JP3598422B2 - セラミックス成形用バインダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス成形用バインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、セラミックスの製造に際しては、セラミックス粉体とバインダーとを混合してグリーン成形体を成形し、ついで加熱してバインダーを分解除去した後、焼結する方法が行われている。
セラミックスグリーン成形体の製造方法としては、プレス成形、泥漿鋳込成形、シート成形、押出成形、射出成形等が行われている。従来、これらの成形方法の中で水を媒体とするプレス成形等の種々の成形方法においては、ポリビニルアルコール(以下PVAと略記)系重合体は、水溶性で、無機粉体に対するバインダー力が優れており、得られるグリーン成形体強度が高く、焼結前の加工性(切削性など)を含めて取扱性が容易なため、好んで用いられている。しかしながら、PVAは結晶性が大きく硬いため、プレス成形ではプレス圧を高くしなければならないという問題があり、一方、シート成形では可塑剤を多量に必要とし、そのマイグレーション及び湿度感受性が大きいことが問題になっている。
【0003】
また、セラミックス成形用バインダーとして、(メタ)アリル基を有するPVA系重合体(特公平6−6504号)などが知られているが、従来のセラミックス成形用バインダーは、依然として性能が不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は水性で用いることが可能であり、かつ柔軟性の良好なセラミックス成形用バインダーを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、PVA系重合体の有する無機粉体への優れたバインダー力を保持しつつ、水性で使用可能であり、かつ柔軟なPVA系重合体について鋭意検討した結果、下記の化2で示される構造単位(A)を有するポリビニルアルコール系重合体からなるセラミックス成形用バインダーを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
【化2】
【0007】
(但し、R1 は水素またはメチル基を表し、R2 は炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基を表す。)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミックス成形用バインダーに使用されるPVA系重合体は、分子内にビニルアルコール単位を有していることが必要である。
また、本発明に使用されるPVA系重合体は、上記の化2で表される構造単位(A)を有していることが必要であり、該構造単位(A)におけるR1は水素またはメチル基であり、R2は炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基である。R2の炭素数は1〜20であり、1〜15が好ましく、1〜10がさらに好ましい。構造単位(A)におけるR2は、少なくとも1個のヒドロキシ基(水酸基)を有するアルキル基であり、複数のヒドロキシル基を有していても良く、熱安定性や水溶性の点で、少なくともω位にヒドロキシル基を有するアルキル基が好ましい。ヒドロキシアルキル基のアルキル基としては、その水素原子が炭素数1〜9の直鎖状または分岐状のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されたものでもよい。
構造単位(A)を有する単量体単位としては、ヒドロキシル基含有オレフィン単位が挙げられる。ヒドロキシル基含有オレフィン単位の中でもPVA系重合体の重合度の制御の容易性などの点から、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、11−ドデセン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、7−オクテン−1,2,3−トリオール、7−オクテン−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−1−オールなどに由来する単量体単位が好ましい。これらの単量体単位のほかに、PVA系重合体の原料であるビニルエステル系重合体のけん化反応時に、ヒドロキシル基の生成が可能なエステル基を含有する単量体単位であってもよい。
【0009】
本発明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重合体における構造単位(A)の含有量については特に制限はないが、0.01〜50モル%が好ましく、0.1〜30モル%がより好ましい。
構造単位(A)の含有量が0.01モル%未満の場合には、本発明の目的である柔軟なPVA系重合体が得られず、30モル%より大きい場合には、PVA重合体の水溶性が低下し、50モル%より大きい場合には、グリーン成形体強度が弱くなる。
本発明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重合体のけん化度については特に制限はなく、完全けん化物でも部分けん化物でもよいが、重合体自身の柔軟性の点から、20〜99モル%が好ましく、40〜95モル%がより好ましく、50〜90モル%が特に好ましい。
本発明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重合体の粘度平均重合度(以下「重合度」と略記する)は、100〜40000が好ましく、200〜8000がより好ましく、300〜5000が特に好ましい。重合度が100未満の場合には、得られるグリーン成形体が脆くなるために好ましくなく、重合度が40000より大きい場合には、ビニルアルコール系重合体の工業的な製造が難しい。
【0010】
本発明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重合体の製法としては、ビニルエステルとヒドロキシアルキル基含有オレフィンとを共重合して得られたビニルエステル系重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中でけん化する方法などの公知の方法が挙げられる。
ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、その中でも酢酸ビニルが好ましい。
【0011】
本発明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでもよい。エチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン,N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
また、本発明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重合体は、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、ヒドロキシアルキル基含有オレフィンと共重合し、それをけん化することによって得られる末端変性物でもよい。
【0012】
ビニルエステルとヒドロキシアルキル基含有オレフィンとの共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用され、高重合度のものを得る場合には、乳化重合法が採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、例えば、α,α´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適当である。
【0013】
ビニルエステルとヒドロキシアルキル基含有オレフィンとの共重合体は公知の方法によってけん化される。例えば、アルコール、場合によっては含水アルコールに溶解した状態でけん化される。けん化反応に使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ、メチルアルコールが特に好適に使用される。けん化反応に使用されるアルコールは、40重量%以下であれば、アセトン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、ベンゼン等の溶剤を含有していてもよい。けん化反応に用いられる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの酸触媒が用いられる。けん化反応の温度については特に制限はないが、20〜60℃の範囲が適当である。けん化反応の進行に伴って、ゲル状生成物が析出してくる場合には、その時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することにより、本発明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重合体が得られる。
【0014】
本発明は上記の化2で表される構造単位(A)を有するPVA系重合体をセラミックス成形用バインダーとして用いることに特徴があるが、解膠剤、潤滑剤などと併用しても良い。解膠剤としては通常用いられているものが使用できる。例えば、無機解膠剤としては燐酸ソーダ、苛性ソーダ、クエン酸ソーダ等が挙げられ、有機解膠剤としてはアミン類、ピリジン、ピペリジン、ポリアクリル酸の金属塩あるいはアンモニウム塩、スチレンあるいはイソブテンと無水マレイン酸の共重合物の金属塩あるいはアンモニウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等が挙げられる。一方、潤滑剤としては通常用いられるもので、例えば、みつろう、木ろう等の天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、低分子ポリエチレン及びその誘導体等の合成ワックス、ステアリン酸、ラウリル酸等の脂肪酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸の金属塩、マレイン酸イミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、ポリエチレングリコール等が挙げられ、これらが水性分散体になっていてもよい。
【0015】
また、本発明に用いるPVA系重合体に他の有機バインダーまたは可塑剤を本発明の効果を損なわない範囲内で併用してもよい。有機バインダーとしては通常セラミックス成形に使用される水溶性高分子および疎水性高分子の水性エマルジョンが併用可能である。また、可塑剤としては通常用いられるものであれば良く、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、マンニット、ソルビット等の多価アルコール類及びそれらの誘導体、フタル酸ジエチル等エステル類等が使用できる。
【0016】
本発明に用いるPVA系重合体が適応できるセラミックス粉末としては、セラミックス製造に使用されうる金属または非金属の酸化物または非酸化物の粉末が挙げられる。また、これらの粉末の組成は単一組成、化合物の状態のものを単独または混合して使用してもさしつかえない。なお、金属の酸化物または非酸化物の構成元素はカチオンまたはアニオンともに単元素でも複数の元素から成り立ってもよく、さらに酸化物または非酸化物の特性を改良するために加えられる添加物を含む系についても本発明に使用することができる。具体的には、Li、K、Mg、B、Al、Si、Cu、Ca、Br、Ba、Zn、Cd、Ga、In、ランタノイド、アクチノイド、Ti、Zr、Hf、Bi、V、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Co、Ni等の酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、硫化物等が挙げられる。また、通常複酸化物と称される複数の金属元素を含む酸化物粉末の具体的なものを結晶構造から分類すると、ペロブスカイト型構造をとるものとしてNaNbO3、SrZrO3、PbZrO3、SrTiO3、BaZrO3、PbTiO3、BaTiO3等が、スピネル型構造をとるものとしてMgAl2O3、ZnAl2O4、CoAl2O4、NiAlO2O4、MgFe2O4等が挙げられ、イルメナイト型構造をとるものとしてはMgTiO3、MnTiO3、FeTiO3等が挙げられ、ガーネット型構造をとるものとしてはGdGa5O12、Y6Fe5O12等が挙げられる。
【0017】
これらのセラミックス粉末のうち、酸化物粉末とりわけ電子材料、磁性材料、光学材料、高温材料等を製造するための金属酸化物粉末に対して特に好適に使用される。
また、シート成形後、高温で熱処理することにより、金属または非金属の酸化物または非酸化物になりうる前駆体にも本発明に用いるPVA系重合体を好適に使用することができる。上記前駆体としては、たとえば、金属または非金属のアルコラート、およびそれらから加水分解して得られる水酸化物のゾル、水ガラスから得られるシリカゾル等、および塩基性塩化金属塩、硫酸、硝酸、ギ酸、酢酸等の金属塩などが挙げられる。
【0018】
本発明に用いるPVA系重合体は、セラミックス粉末100重量部に対し、固形分で0.2〜20重量部、好ましくは1〜15重量部の範囲で用いることができる。
また、本発明に用いるPVA系重合体は通常水溶液として取り扱われるが、セラミックスの水性スラリーに粉末添加するような粉末として取り扱うこともできる。
本発明に用いるPVA系重合体はプレス成形、泥漿鋳込成形、シート成形、押出成形等水を媒体とするセラミックスの種々の成形方法において好適に使用される。
【0019】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。なお実施例および比較例において「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0020】
PVA系重合体中の側鎖のヒドロキシアルキル基、ビニルエステル単位、ビニルアルコール単位および他のコモノマー単位の含量は、270MHzの1H−NMRにより定量した。1H−NMR測定時のPVA系重合体の溶媒には重水素化DMSOを用いた。PVA系重合体の重合度および水溶性は下記の方法で測定した。
【0021】
(1)粘度平均重合度
ビニルアルコール系重合体の重合度(粘度平均重合度)は、けん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVA系重合体を無水酢酸およびピリジン中で再酢化したものについて、アセトン中、30℃で測定した極限粘度[η](g/dl)から次式により求めた粘度平均重合度(P)で表す。
P=([η]×103 /7.94)(1/0.62)
【0022】
(2)水溶性
ビニルアルコール系重合体の水溶性は濃度1%の水溶液を調製して、目視により評価した。その結果を下記の記号で示す。
○:ほとんど透明
△:分散状態
×:未溶解分がある
【0023】
合成例1〜9
酢酸ビニルと各種のヒドロキシ−α−オレフィンとからなる共重合体を公知の方法により得た後、メタノール溶媒中で水酸化ナトリウムを触媒に用いてけん化を行い、表1に示すヒドロキシアルキル基変性PVAを得た。
【0024】
比較合成例1〜4
酢酸ビニルからなる重合体を公知の方法により得た後、メタノール溶媒中で水酸化ナトリウムを触媒に用いてけん化を行い、表1に示すPVAを得た。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例1
アルミナ(純度99.5%)100部、水50部、ポリアクリル酸アンモニウム解膠剤0.2部をボールミルに入れ、90分間分散した後、バインダーとして重合体1Aの水溶液を固形分で2部添加し均一に混合した。このスラリーから顆粒(粒径100±20μm)を調製し、幅20mm、長さ100mm、厚さ10mmの直方体を金型で加圧(1.2ton/cm2)して成形した。評価結果を表2に示す。
【0027】
実施例2〜9
実施例1のバインダーの代わりに重合体2A〜9Aを用いる以外は実施例1と同様にして成形物を得た。評価結果を表2に示す。
【0028】
比較例1〜5
実施例1のバインダーの代わりに重合体10A〜13Aあるいはポリ酢酸ビニルエマルジョンを用いる以外は実施例1と同様にして成形物を得た。評価結果を表2に示す。
【0029】
成形物の評価方法を下記に示す。
(1)成形体強度(タフネス)
成形体強度は三点曲げ試験にて行い、成形物が折れるのに必要なエネルギー(タフネス)をS・Sカーブの面積から求め、比較例1の値を1.0とした時の相対値で求めた。
【0030】
(2)加工性
加工性はドリルによる孔開けを行いその難易度を評価した。
○:加工が容易
△:加工が困難
×:加工が非常に困難
【0031】
【表2】
【0032】
実施例10
微粒タイプの高純度アルミナ(平均粒径0.6μm,Al2O3含量99.9%)100部、脱イオン処理水25部、解膠剤(第一工業製薬製、サラモCD−14)0.75部をボールミルに入れ、24時間分散した後、バインダーとして、重合体1Aの25%水溶液40部(固形分10部)を添加し、十分混練して水性スリップを得た。真空脱泡装置でスリップ内の気泡を除去し均質なスリップとした。所定の関隙を持ったブレードでポリエステルシート上にシート引きして熱風乾燥温度85℃、5分、次いで120℃、5分で乾燥し、厚み400μmのグリーンシートを製造した。水性スリップは流動性が良く、得られたグリーンシートは可焼性、弾力性に富み強靭であって取扱い易く、クラックのない平滑な表面を有していた。評価結果を表3に示す。
【0033】
実施例11〜18
実施例10のバインダーの代わりに重合体2A〜9Aを用いる以外は実施例10と同様にしてグリーンシートを得た。評価結果を表3に示す。
【0034】
比較例6〜9
実施例10のバインダーの代わりに重合体10A〜13Aを用いる以外は実施例8と同様にしてグリーンシートを得た。評価結果を表3に示す。
【0035】
グリーンシートの評価方法を下記に示す。
(1)グリーンシートの柔軟性
5mmΦの棒に巻いた時割れないかどうかにて判断した。
◎:非常に優れている
○:良好
△:幾分不良
×:不良
【0036】
(2)乾燥時のクラックの評価
実施例10の成形・乾燥条件で、グリーンシートに発生するクラック量と比較して判定した。
○:クラックの発生なし
△:クラックが少し発生する
×:クラックが多量に発生する
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
本発明のPVA系重合体は、重合体自体が柔軟であるため、種々の成形方法を採用した場合であってもその効果が顕著である。特に、セラミックスのプレス成形においては、低プレス圧で高強度・高密度あるいは複雑な形状の成形体を得ることができる。また、シート成形においては、可塑剤少量添加あるいは無添加で柔軟なシート成形体を得ることができる。また、得られた成形体は、高タフネスで焼結前の取扱性あるいは加工性が良好である。
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