JP2013170106A - セラミックグリーンシート用スラリー組成物 - Google Patents

セラミックグリーンシート用スラリー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、曲げ強度が高く、加工性、柔軟性および耐クラック性に優れるセラミックグリーンシートを得ることが可能なセラミックグリーンシート用スラリー組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体、セラミック粉末および水系溶媒を含有するセラミックグリーンシート用スラリー組成物であって、前記ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度Pが200以上5000以下であり、けん化度が20モル%以上99.99モル%以下であり、かつポリオキシアルキレン基変性率Sが0.05モル%以上10モル%以下であるセラミックグリーンシート用スラリー組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、セラミックグリーンシート用スラリー組成物、セラミックグリーンシートおよび積層セラミックコンデンサに関する。
積層セラミックコンデンサとは、酸化チタンやチタン酸バリウムなどの誘電体層と内部電極層とを多数積み重ねたチップタイプのセラミックコンデンサである。このような積層セラミックコンデンサは、例えば、次のような方法で製造される。まず、セラミック粉体とバインダーとを混合してセラミックグリーンシートを成形し、そのセラミックグリーンシートの表面に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体とした後、該積層体を加熱してバインダーを分解除去した後、焼結する方法が採用されている。
セラミックグリーンシートの製造方法としては、プレス成形、泥漿鋳込成形、シート成形、押出成形、射出成形等が採用されている。従来、これらの成形方法の中で水を媒体とするプレス成形等の種々の成形方法においては、ビニルアルコール系重合体(以下、PVAと略記することがある)が、水溶性で、無機粉体に対するバインダー力が優れており、得られるセラミックグリーンシートの強度が高く、焼結前の加工性(切削性など)を含めて取扱性が容易なため、好んで用いられている。しかしながら、PVAは結晶性が高く硬いため、プレス成形ではプレス圧を高くしなければならないという問題があった。
セラミックグリーンシート用のバインダーとして、(メタ)アリル基を有するPVAを用いることが提案されているが(特許文献1参照)、このような特定のPVAを用いたセラミックグリーンシートの性能は不十分であった。
一方で、電子部品の製造に際し、従来の有機溶剤を用いることで人体の安全に対する害、環境汚染、火災、爆発の危険性等が問題となっている。このような問題を解決するため、セラミックグリーンシート用スラリー組成物として有機系スラリーの代わりに、ポリビニルアルコールを含有する水系スラリーを用いることが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2に記載されたセラミックグリーンシートの性能も依然として不十分であった。
特公平06−006504号公報 特開2002−284579号公報
本発明は、曲げ強度が高く、加工性、柔軟性および耐クラック性に優れるセラミックグリーンシートを得ることが可能なセラミックグリーンシート用スラリー組成物を提供することを目的とする。さらには、積層セラミックコンデンサを効率よく製造できるセラミックグリーンシートを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
[1]側鎖にポリオキシアルキレン基(以下、POA基と略記することがある)を有するポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体(以下、POA変性PVAと略記することがある)、導電粉末および水系溶媒を含有するセラミックグリーンシート用スラリー組成物であって、前記ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度Pが200以上5000以下であり、けん化度が20モル%以上99.99モル%以下であり、かつPOA基変性率Sが0.05モル%以上10モル%以下であるセラミックグリーンシート用スラリー組成物;
[2]前記POA変性PVAの含有割合が、0.1質量%以上10質量%以下である上記[1]のセラミックグリーンシート用スラリー組成物;
[3]前記水系溶媒中の水の含有率が60質量%以上である上記[1]または[2]のセラミックグリーンシート用スラリー組成物;
[4]前記オキシアルキレン基が、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基からなる群より選択される少なくとも1種の基である上記[1]〜[3]のいずれかのセラミックグリーンシート用スラリー組成物;
[5]前記オキシアルキレン基の単位数が2〜50である上記[1]〜[4]のいずれかのセラミックグリーンシート用スラリー組成物;
[6]前記POA基が、下記式(I)で示されるPOA基である上記[1]〜[5]のいずれかのセラミックグリーンシート用スラリー組成物;
Figure 2013170106

(式(I)中、Rは水素原子またはメチル基である。Rは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。mおよびnは、それぞれオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、1≦m≦30、1≦n≦20である。)
[7]上記[1]〜[6]のいずれかのセラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシート;
[8]上記[7]のセラミックグリーンシートと導電ペーストとを用いて得られる積層セラミックコンデンサ;
に関する。
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシートは、曲げ強度が高く、加工性、柔軟性および耐クラック性に優れている。したがって、本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物は、積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の誘電体層の形成などに用いるセラミックグリーンシート用スラリー組成物として好適に用いることができる。
以下、本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物、並びに当該セラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシートおよび積層セラミックコンデンサの実施形態について詳しく説明する。
[セラミックグリーンシート用スラリー組成物]
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物は、特定のPOA変性PVA、セラミック粉末および水系溶媒を含有し、必要に応じて、さらに他の成分を含有してもよい。以下、本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物に含有される各成分について説明する。
(POA変性PVA)
本発明に用いられるPOA変性PVAは、側鎖にPOA基を有する。このように側鎖にPOA基を有するPOA変性PVAを用いることで、得られるセラミックグリーンシートの曲げ強度および柔軟性が向上する。上記POA基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキレン基を有するPOA基であることが好ましく、POA基を構成するオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基からなる群より選択される少なくとも1種のオキシアルキレン基であることがより好ましい。
上記POA変性PVAが分子内に2種以上のオキシアルキレン基を有する場合、2種以上のオキシアルキレン基はランダム状またはブロック状のどちらでもよい。その中でも、POA基に基づく物性がより一層発現しやすい観点から、ブロック状であることが好ましい。
上記POA基におけるオキシアルキレン基の平均単位数は2〜50であることが好ましく、5〜40であることがより好ましく、8〜30であることがさらに好ましく、10〜25であることが特に好ましい。このようにオキシアルキレン基の平均単位数が上記範囲にあることで、得られるセラミックグリーンシートの曲げ強度および柔軟性がより一層向上する。なお、上記POA基が2種以上のオキシアルキレン基からなる場合は、それぞれのオキシアルキレン基の合計単位数を、オキシアルキレン基の単位数とする。
これらの中でも、上記POA基が、上記式(I)で示されるPOA基であることが特に好ましい。上記式(I)中、Rは水素原子またはメチル基であり、生産性の観点から水素原子であることが好ましい。
上記式(I)中、Rは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。Rは、水素原子、メチル基またはブチル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。
上記式(I)中、mおよびnは、それぞれオキシアルキレン基の平均繰り返し単位数を表し、1≦m≦30、1≦n≦20が好ましい。ここで、繰り返し単位数がmである単位、すなわちオキシエチレン単位またはオキシプロピレン単位をユニット1と呼び、繰り返し単位数がnである単位、すなわちオキシブチレン単位をユニット2と呼ぶことにする。本発明に用いられる好ましいPOA変性PVAは、疎水性のブロックの凝集による物理架橋により、セラミックグリーンシートとした際に好ましい物性を発現する。
上記式(I)で示されるPOA基のユニット1の繰り返し単位数mは1≦m≦30が好ましく、1≦m≦20がより好ましく、1≦m≦10がさらに好ましく、1≦m≦5が特に好ましい。繰り返し単位数mが上記範囲にあることで、得られるセラミックグリーンシートの曲げ強度および柔軟性がより一層向上する。
そして、上記式(I)で示されるPOA基のユニット2の繰り返し単位数nは1≦n≦20が好ましく、5≦n≦18がより好ましく、8≦n≦15がさらに好ましい。上記繰り返し単位数nが上記範囲にあることで、得られるセラミックグリーンシートの曲げ強度および柔軟性がより一層向上する。
本発明のPOA変性PVAの製造方法は特に限定されないが、側鎖にPOA基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を行い、得られたPOA変性ビニルエステル系重合体をけん化する方法が好ましい。
側鎖にPOA基を有する不飽和単量体としては、側鎖に上記式(I)で示されるPOA基を有する不飽和単量体が好ましく、例えば、下記式(II)で示される不飽和単量体であることが好ましい。すなわち、上記式(I)で示されるPOA基を有する、下記式(II)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を行い、得られたPOA変性ビニルエステル系重合体をけん化する方法がより好ましい。
Figure 2013170106
式(II)中、R、R、m、nは上記式(I)と同様である。Rは水素原子または−COOM基を表し、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。Rは水素原子、メチル基または−CH−COOM基を表し、ここでMは前記定義のとおりである。Xは−O−、−CH−O−、−CO−、−(CH)k−、−COO−、−CO−NR−または−CO−NR−CH−を表す。なお、Xが非対称の場合にその向きは限定されない。ここでRは水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、1≦k≦15である。
上記式(II)で示される不飽和単量体において、R、R、m、nの好ましい例示や数値範囲は、式(I)の説明において上記したのと同様である。また、Rは水素原子が好ましく、Rは水素原子またはメチル基が好ましい。そして、Xは−CH−O−、−CO−NR−または−CO−NR−CH−であることが好ましく、−CO−NR−または−CO−NR−CH−であることがより好ましい。さらに、Rは水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
例えば、上記式(II)のRが水素原子、Rが水素原子、かつRが水素原子またはメチル基の場合、上記式(II)で示される不飽和単量体として、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリルアミド、ポリオキシアルキレンモノアリルエーテル、ポリオキシアルキレンモノビニルエーテル、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリルアミド、N−メチレンポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリルアミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、N−メチレンポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノアクリルアミド、N−メチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノアクリルアミド、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、N−メチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノアリルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノメタアリルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノビニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリレート、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノアクリレート、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノメタクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリルアミド、N−メチレンポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリルアミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、N−メチレンポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアリルエーテルが好適に用いられ、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、N−メチレンポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアリルエーテルがより好適に用いられ、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、N−メチレンポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミドがさらに好適に用いられる。
上記式(II)のRが炭素数1〜8のアルキル基、Rが水素原子、かつRが水素原子またはメチル基の場合、上記式(II)で示される不飽和単量体として具体的には、上記式(II)のRが水素原子の場合に例示した上記の不飽和単量体の末端の水酸基が炭素数1〜8のアルコキシ基に置換されたものが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、N−メチレンポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアリルエーテルの末端の水酸基がメトキシ基に置換された不飽和単量体が好適に用いられ、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミド、N−メチレンポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリルアミドの末端の水酸基がメトキシ基に置換された不飽和単量体が特に好適に用いられる。
上記式(II)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を行う際の温度は特に限定されないが、0℃以上200℃以下が好ましく、30℃以上140℃以下がより好ましい。共重合を行う温度が0℃より低い場合は、十分な重合速度が得られにくい。また、重合を行う温度が200℃より高い場合、本発明で規定するPOA基変性率(S)を有するPOA変性PVAが得られにくい。共重合を行う際に採用される温度を0℃以上200℃以下に制御する方法としては、例えば、重合速度を制御することで、重合による発熱と反応器の表面からの放熱とのバランスをとる方法や、適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法等が挙げられるが、安全性の面からは後者の方法が好ましい。
上記式(II)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を行うのに採用される重合方式としては、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれでもよい。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知の方法の中から、任意の方法を採用することができる。その中でも、無溶媒またはアルコール系溶媒存在下で重合を行う塊状重合法や溶液重合法が好適に採用される。高重合度の共重合体の製造を目的とする場合は乳化重合法が採用される。塊状重合法または溶液重合法に用いられるアルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。またこれらの溶媒は2種類またはそれ以上の種類を併用することができる。
共重合に使用される開始剤としては、重合方法に応じて従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等が適宜選ばれる。アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物系開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等が挙げられる。さらには、上記開始剤に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を組み合わせて開始剤とすることもできる。また、レドックス系開始剤としては、上記の過酸化物と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
また、上記式(II)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を高い温度で行った場合、ビニルエステル系単量体の分解に起因するPVAの着色等が見られることがある。その場合には着色防止の目的で重合系に酒石酸のような酸化防止剤を1ppm以上100ppm以下(ビニルエステル系単量体の質量に対して)程度添加することはなんら差し支えない。
共重合に使用されるビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。中でも酢酸ビニルが最も好ましい。
上記式(II)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合に際して、本発明の趣旨を損なわない範囲で他の単量体を共重合しても差し支えない。使用しうる単量体として、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等のα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸エステル類;メタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパン等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。
また、上記式(II)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合に際し、得られるPOA変性ビニルエステル系重合体の重合度を調節すること等を目的として、本発明の趣旨を損なわない範囲で連鎖移動剤の存在下で共重合を行っても差し支えない。連鎖移動剤としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;2−ヒドロキシエタンチオール等のメルカプタン類;トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;ホスフィン酸ナトリウム1水和物等のホスフィン酸塩類が挙げられる。その中でも、アルデヒド類およびケトン類が好適に用いられる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数および目的とするビニルエステル系重合体の重合度に応じて決定すればよい。一般にビニルエステル系単量体に対して0.1質量%以上10質量%以下が望ましい。
POA変性ビニルエステル系重合体のけん化反応には、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基性触媒またはp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いた加アルコール分解反応ないし加水分解反応を適用することができる。この反応に使用しうる溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でもメタノールまたはメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒に用いてけん化反応を行うのが簡便であり好ましい。
本発明に用いられるPOA変性PVAは、POA基変性率Sが0.05モル%以上10モル%以下である必要があり、0.1モル%以上5モル%以下が好ましく、0.15モル%以上2モル%以下がより好ましい。POA基変性率Sは、POA変性PVAを構成する単量体単位の合計に対するPOA基のモル分率で表される。POA基変性率Sが10モル%を超えると、POA変性PVA一分子あたりに含まれるPOA基の割合が高くなることで、POA変性PVAの水溶性が低下し、セラミックグリーンシート用スラリー組成物の調製が困難となる。一方、POA基変性率Sが0.05モル%未満の場合、POA変性PVA一分子あたりに含まれるPOA基の割合が低く、得られるセラミックグリーンシートの曲げ強度および柔軟性が十分に発現しない。なお、このPOA基変性率Sとは、POA変性PVAを構成する全単量体単位のモル数に占める、上記一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に有する不飽和単量体の単位のモル数の割合(モル%)である。上記POA変性PVAのPOA基変性率Sは、該POA変性PVAから求めても、その前駆体であるPOA変性ビニルエステル系重合体から求めてもよく、いずれもプロトンNMRで求めることができる。
特に、POA変性PVAがビニルアルコール単位、ビニルエステル単位および上記一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に有する不飽和単量体の単位のみからなる場合は、下記の方法によりPOA基変性率Sを算出することができる。すなわち、例えば、POA変性ビニルエステル系重合体から求める場合、具体的には、まず、n−ヘキサン/アセトン混合溶媒を用いてPOA変性ビニルエステル系重合体の再沈精製を3回以上十分に行った後、50℃の減圧下で乾燥を2日間行い、分析用のPOA変性ビニルエステル系重合体のサンプルを作製する。次に、該サンプルをCDClに溶解させ、プロトンNMRを用いて室温で測定する。そして、ビニルエステル系単量体単位の主鎖メチンのプロトンに由来するピークα(4.7〜5.2ppm)の面積とユニット2の末端メチル基のプロトンに由来するピークβ(0.8〜1.0ppm)の面積から下記式を用いてPOA基変性率Sを算出することができる。なお、下記式中のnは、ユニット2の繰り返し単位数を表す。
POA基変性率S(モル%)=[(ピークβの面積/3n)/{ピークαの面積+(ピークβの面積/3n)}]×100
上記POA変性PVAの粘度平均重合度(P)(以下、粘度平均重合度を単に重合度と呼ぶことがある。)は200以上5000以下である必要があり、1000以上4000以下が好ましく、2000以上3000以下がより好ましい。POA変性PVAの重合度が5000を超えると、該POA変性PVAの生産性が低下して実用的でない。一方、POA変性PVAの重合度が200未満の場合、得られるセラミックグリーンシートの曲げ強度および柔軟性等が十分発現しない。そのため、グリーンシートが脆くなり取り扱い性が極端に悪化する。
上記POA変性PVAの粘度平均重合度Pは、JIS K6726に準じて測定される。すなわち、該PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求められる。
粘度平均重合度P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
POA変性PVAのけん化度は、20モル%以上99.99モル%以下である必要があり、40モル%以上99.9モル%以下が好ましく、60モル%以上99.5モル%がより好ましく、80モル%以上99モル%がさらに好ましい。POA変性PVAのけん化度が20モル%未満の場合には、POA変性PVAの水溶性が低下するため、セラミックグリーンシート用スラリー組成物を高濃度に調製するのが困難である。一方、POA変性PVAのけん化度が99.99モル%を超える場合には、POA変性PVAの生産が困難になるので実用的でない。なお、上記POA変性PVAのけん化度は、JIS K6726に準じて測定し得られる値である。
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物における上記POA変性PVAの含有割合は、得られるセラミックグリーンシートを焼結して得られる焼結体を高密度にする、焼結時間を短くする、焼結時の収縮をより一層抑制するといった観点から、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。POA変性PVAの含有割合を上記範囲とすることにより、セラミックグリーンシート用スラリー組成物の粘度が好適な範囲となり、セラミックグリーンシートを成形する際の混練性をはじめとするハンドリング性がより一層向上する。
(セラミック粉末)
本発明に用いられるセラミック粉末としては特に限定されないが、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、マグネシア、サイアロン、スピネムルライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の粉末が挙げられる。これらのセラミック粉末は単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ホウ珪酸ガラスなどのガラス粉末を併用しても良い。
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物における上記セラミック粉末の含有割合は、得られるセラミックグリーンシートを焼結して得られる焼結体を高密度にする、焼結時間を短くする、焼結時の収縮をより一層抑制するといった観点から、30質量%以上80質量%以下が好ましい。セラミック粉末の含有割合を上記範囲とすることにより、セラミックグリーンシート用スラリー組成物の粘度が好適な範囲となり、セラミックグリーンシートを成形する際の混練性をはじめとするハンドリング性がより一層向上する。
(水系溶媒)
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物においては、溶剤として水系溶媒を用いることが重要である。理由としては、上記POA変性PVAは、分子内に多数の水酸基を有するため極性が高く、有機溶剤には溶解しにくい傾向であることが挙げられる。したがって、水系溶媒を用いることで、本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を容易に製造できる。
また、溶剤として水系溶媒を用いることで、後述のように、セラミックグリーンシート上に有機溶剤を含有する導電ペーストを印刷して積層セラミックコンデンサを製造する際に、上記セラミックグリーンシートに含有されるPOA変性PVAが、導電ペースト中に溶け出しにくく、特に耐シートアタック性に優れるという利点もある。
上記水系溶媒は特に限定されないが、人体に対する安全性、環境汚染性、火災、爆発の危険性等の観点から、水を主体とするものが好ましく、具体的には、水系溶媒中の水の含有率は60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、100質量%でもよい。上記水としては、蒸留水またはイオン交換水であることが好ましく、イオン交換水であることがより好ましい。
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物における上記水系溶媒の含有割合は、得られるセラミックグリーンシートの取扱い性をより一層向上させる観点から、20質量%以上70質量%以下が好ましい。水系溶媒の含有割合を上記範囲とすることにより、セラミックグリーンシート用スラリー組成物の粘度が好適な範囲となり、セラミックグリーンシートを成形する際の混練性をはじめとするハンドリング性がより一層向上する。
(他の成分)
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、公知の各種PVA(本発明に用いられるアルキル変性PVAを除く)、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等のバインダー樹脂;可塑剤;解膠剤;潤滑剤;分散剤;帯電防止剤;酸化防止剤等の他の成分を含有してもよい。
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、上記POA変性PVA、セラミック粉末、水系溶媒およびその他の成分をボールミル、ブレンダーミル、3本ロールなどの公知の混合機に供給して混練するスラリー組成物の製造方法が採用され得る。
[用途]
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシートは、積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の内部電極層の形成や太陽電池の導電層の形成などに好適に用いられる。したがって、本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシートもまた、本発明の1つの態様であり、さらには、当該セラミックグリーンシートと導電ペーストとを用いて得られる積層セラミックコンデンサもまた、本発明の別の1つの態様である。本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシートは、曲げ強度が高く、加工性、柔軟性および耐クラック性に優れるため、当該セラミックグリーンシートを用いることで積層セラミックコンデンサを効率よく製造することができる。
上記セラミックグリーンシートの製造方法としては特に限定されず、従来公知の製造方法により製造することができ、例えば、セラミックグリーンシート用スラリー組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム等の剥離性の支持体上に流延成形し、加熱等により溶剤等を除去させた後、支持体から剥離する方法等が採用される。
上記導電ペーストの製造方法としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアセタール樹脂等のバインダー樹脂、導電粉末、有機溶剤および必要に応じて添加する各種添加剤をブレンダーミル、3本ロールなどの公知の混合機に供給して混練する導電ペーストの製造方法が採用され得る。
このようにして得られるセラミックグリーンシートに、上記導電ペーストを印刷(塗布)したものを積層することにより、積層セラミックコンデンサを製造することができる。具体的には、例えば、本発明のセラミックグリーンシートの表面に上記導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体とし、この積層体中に含まれる樹脂等を熱分解して除去(脱脂処理)した後に焼成して得られるセラミック焼成物の端面に、外部電極を焼結する方法等が採用される。
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明する。以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断りのない限り質量基準を意味する。
下記の製造例により得られたPVA(POA変性PVAおよび無変性PVA)について、以下の方法にしたがって評価を行った。
[PVAの粘度平均重合度Pおよびけん化度]
PVAの粘度平均重合度Pおよびけん化度は、JIS K6726に記載の方法により求めた。
[PVAのPOA基変性率S]
PVAのPOA基変性率Sは、上述したプロトンNMRを用いた方法に準じて求めた。なお、プロトンNMRは、500MHzのJEOL GX−500を用いた。
[製造例1]PVA1の製造
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、単量体滴下口および開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル750g、メタノール250g、POA基を有する不飽和単量体である単量体A(単量体Aは下記式(III)で示される、ポリオキシエチレンブロックおよびポリオキシブチレンブロックを側鎖に有する不飽和単量体である。)3.3gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液として単量体Aをメタノールに溶解して濃度20%とした溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを添加し重合を開始した。
ディレー溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルと単量体Aの比率)が一定となるようにしながら、60℃で3時間重合した後冷却して重合を停止した。重合を停止するまで加えた単量体Aの総量は17.6gであった。また重合停止時の固形分濃度は24.4%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、POA変性ビニルエステル系重合体(POA変性PVAc)のメタノール溶液(濃度35%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したPOA変性PVAcのメタノール溶液453.4g(溶液中のPOA変性PVAc100.0g)に、55.6gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った(けん化溶液のPOA変性PVAc濃度20%、POA変性PVAc中の酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比0.1)。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置してPOA変性PVA(PVA1)を得た。PVA1の粘度平均重合度Pは1700、けん化度は98.7モル%、POA基変性率は0.4モル%であった。
Figure 2013170106
[製造例2および3]PVA2および3の製造
重合時に使用するPOA基を有する不飽和単量体の使用量、重合率、けん化時におけるPVAcの濃度および酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により各種のPVA(PVA2および3)を製造した。
Figure 2013170106
[実施例1]
(セラミックグリーンシートの作製)
高純度アルミナ(平均粒径0.6μm、純度99.9%)100部、イオン交換水25部および解膠剤(第一工業製薬製;サラモCD−14)0.75部をボールミルに入れ、24時間かけて分散した後、バインダーとして濃度25%のPVA1の水溶液40部(固形分で10部)を添加し、十分混練してスラリー組成物を得た。真空脱泡装置でスラリー組成物内の気泡を除去した。次に、所定の間隙を持ったブレードを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、熱風乾燥温度85℃で5分、続いて120℃で5分乾燥し、厚み400μmのセラミックグリーンシートを作製した。
(評価)
実施例1で作製したセラミックグリーンシートについて、以下の方法により評価を行った。評価結果を表2に示す。
(1)曲げ破断強度
セラミックグリーンシートの強度は三点曲げ試験にて行い、該シートが折れるのに必要なエネルギーをS・Sカーブの面積から求め、比較例1の値を1.0とした時の相対値で求めた。
(2)加工性
セラミックグリーンシートについてドリルによる孔開けを行いその加工性を評価した。
○:加工が容易
△:脆く、加工が困難
×:脆く、加工が非常に困難
(3)柔軟性
セラミックグリーンシートを5mmφの棒に巻いた時の、ひびや割れの状態を目視で判断した。
◎:ひびも割れもない
○:若干ひびあり
△:若干割れあり
×:割れあり
(4)耐クラック性
セラミックグリーンシートに発生したクラックを観察し、以下の基準で耐クラック性を評価した。
○:クラックの発生なし
△:クラックが少し発生する
×:クラックが多量に発生する
[実施例2]
PVA1に代えてPVA2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。得られたセラミックグリーンシートについて、実施例1と同様の方法により、曲げ強度、加工性、柔軟性および耐クラック性を評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
PVA1に代えてPVA3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。得られたセラミックグリーンシートについて、実施例1と同様の方法により、曲げ強度、加工性、柔軟性および耐クラック性を評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
PVA1に代えてポリ酢酸ビニル(VINAVIL S.p.A.社製;RAVIFLEX BL 1S)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシートを作製した。得られたセラミックグリーンシートについて、実施例1と同様の方法により、曲げ強度および加工性を評価した。なお、得られたセラミックグリーンシートの曲げ強度が低いため、柔軟性および耐クラック性については評価を行なっていない。
Figure 2013170106
本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシートは、曲げ強度が高く、加工性、柔軟性および耐クラック性に優れている。したがって、本発明のセラミックグリーンシート用スラリー組成物は、積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の誘電体層の形成などに用いるセラミックグリーンシート用スラリー組成物として好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 側鎖にポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体、導電粉末および水系溶媒を含有するセラミックグリーンシート用スラリー組成物であって、
    前記ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度Pが200以上5000以下であり、けん化度が20モル%以上99.99モル%以下であり、かつポリオキシアルキレン基変性率Sが0.05モル%以上10モル%以下であるセラミックグリーンシート用スラリー組成物。
  2. 前記ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体の含有割合が、0.1質量%以上10質量%以下である請求項1に記載のセラミックグリーンシート用スラリー組成物。
  3. 前記水系溶媒中の水の含有率が60質量%以上である請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート用スラリー組成物。
  4. 前記オキシアルキレン基が、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基からなる群より選択される少なくとも1種の基である請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート用スラリー組成物。
  5. 前記オキシアルキレン基の単位数が2〜50である請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート用スラリー組成物。
  6. 前記ポリオキシアルキレン基が、下記式(I)で示されるポリオキシアルキレン基である請求項1〜5のいずれかに記載の導セラミックグリーンシート用スラリー組成物。
    Figure 2013170106
    (式(I)中、Rは水素原子またはメチル基である。Rは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基である。mおよびnは、それぞれオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、1≦m≦30、1≦n≦20である。)
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシート。
  8. 請求項7に記載のセラミックグリーンシートと導電ペーストとを用いて得られる積層セラミックコンデンサ。
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