JP4381538B2 - セラミックス成形用バインダー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス成形用バインダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セラミックスは、近年その諸特性を生かして電子材料、磁性材料、光学材料、高温材料など幅広い用途に用いられている。これら種々の用途から、物性・形状などの様々な面での改良が要望されている。例えば、熱的、電気的、機械的性質などの点では、より緻密で均質な製品が望まれている。また、機械部品、電機部品などの分野では、より複雑な形状の製品およびより大型の製品が望まれている。これらの要望の実現のために、原料セラミックス粉体の面からも成形方法の面からも種々の検討がなされている。
【0003】
従来、セラミックス製品の熱的・電気的・機械的・光学的諸性質を改善する方法として原料粉末の純度を上げる方法あるいは微細な粒径の粉末を用いる方法が提案されている。これらの方法を用いた場合には、成形面から考えると原料不純物に由来する可塑性物質の減少あるいは粒子表面積の増大を招き、より多量の有機バインダーが必要とされる。
【0004】
また、製品の大型化あるいは複雑化を成形面から考えると成形物(未焼成品;中間製品)の取扱い時あるいは加工時に、より強度が高い成形物であることが必要とされる。従来技術ではこのような場合、有機バインダーの添加量を増す方法を採用している。しかしながら、原料粉末に対する有機バインダーの添加量を増すことは、下記の点で問題がある。
▲1▼焼成中に発生する問題
成形物を焼成する際、まず最初に脱バインダー操作を行うが、発熱量・分解ガス量が多くなるため、爆裂などによる割れ、フクレを生じるおそれがある。
▲2▼不純物などの混入の問題
有機バインダーの多量の添加は、不純物の混入あるいは成形物焼成後の炭化残さの増大を招くことがあり、かかる場合には製品純度を低下させる。
これらの問題点を解決するために種々のバインダーが検討されているが、低添加量で、成形性、加工性および強度に優れた成形物(未焼成品;中間製品)を与え、しかも該成形物を焼成することにより割れ、フクレのない成形体(焼成品;最終製品)を与えるバインダーは数が少ない。例えば、特公昭63−44709では、特定の疎水基および親水基を有するビニルアルコール系重合体を用いた例が挙げられる。低添加量で、混和性が良好で強度などの性能も従来のバインダーと比較して向上しているが、依然として十分満足しうる性能とは言い難いのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記▲1▼〜▲2▼の問題を解消したものであり、低添加量で、成形性、加工性、強度などに優れた成形物(中間製品)を付与するセラミックスバインダーを提供すること、および前記成形物を焼成することにより、割れ、フクレのないまたは少ない成形体(最終製品)を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、 0.1〜10%水溶液濃度範囲で曇点が90℃以下のビニルアルコール系重合体を主成分とするセラミックス成形用バインダーを提供することによって達成される。
【0007】
【発明の実施の態様】
本発明に用いるPVAは、0.1〜10%水溶液濃度範囲で曇点が90℃以下を示すものである。このような曇点を有するPVAは、けん化度、重合度を適宜選択することにより、またはけん化度、重合度、炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテル単位の含有量を適宜選択することにより得られる。例えば、けん化度は低いほど、重合度は高いほど、炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテル単位の含有量は多いほど、曇点は低下する傾向にあるので、この点を考慮して、適宜選択することができる。なお、ここで、0.1〜10%水溶液濃度範囲で曇点が90℃以下とは、この濃度範囲のいづれかの濃度における曇点が90℃以下であることを意味する。本発明において、好適な曇点は、80℃以下であり、さらに好適には70℃以下である。また曇点の下限値については、30℃以上が好適であり、さらに好適には35℃以上である。また、水溶液濃度4%における曇点が上記範囲を示すものがより好適である。
このようなPVAのうちで、炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテル単位を含有するPVAが、セラミックス成形物の成形性、加工性、強度の点で、また焼成後の成形体の強度の点で好適に用いられる。
【0008】
炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテル単位を含有するPVAの炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテル単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン、1−ブテンなどのα−オレフィン、エチルビニルエーテル、メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類が例示されるが、エチレンが最良である。
炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテル単量体単位の含有量は、単量体単位の種類、けん化度および粘度平均重合度によりPVA水溶液の曇点が異なるために一概に規定できないが、水溶性を維持するためには、通常20モル%以下、好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。下限値については、0.1モル%以上が好適であり、さらに好適には0.5モル%以上である。
【0009】
本発明に用いるPVAのけん化度は、炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテル単量体単位の種類および含有量、粘度平均重合度によりPVA水溶液の曇点が異なるために一概に規定できないが、成形物を得る際の成形性、得られる成形物の強度、加工性の点、および焼成後の成形体の割れ、フクレの抑制の点から、通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上である。
【0010】
本発明に用いるPVAの粘度平均重合度(以下「重合度」と略記する)は、炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテル単位の種類および含有量、けん化度によりPVA水溶液の曇点が異なるために一概に規定できないが、成形物を得る際の成形性、得られる成形物の強度、加工性の点、および焼成後の成形体の割れ、フクレの抑制の点から、100〜5000が好ましく、200〜3000がより好ましく、300〜2000が特に好ましい。
【0011】
本発明に用いるPVAの製法としては、ビニルエステルを重合して得られたビニルエステル系重合体、またはビニルエステルと炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテルとを共重合して得られたビニルエステル系重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中でけん化する方法などの公知の方法が挙げられる。
ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、その中でも酢酸ビニルが好ましい。
【0012】
本発明に用いるPVA系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでもよい。エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマール酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン,N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
また、本発明のセラミックス成形用バインダーに用いるPVA系重合体は、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、ヒドロキシアルキル基含有オレフィンと共重合し、それをけん化することによって得られる末端変生物でもよい。
【0013】
ビニルエステルの重合方法およびビニルエステルと炭素数4以下のα−オレフインまたはビニルエーテルとの共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用され、高重合度のものを得る場合には、乳化重合法が採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、例えば、α,α'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適当である。
【0014】
得られたビニルエステル系重合体は公知の方法によってけん化される。例えば、アルコール、場合によっては含水アルコールに溶解した状態でけん化される。けん化反応に使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ、メチルアルコールが特に好適に使用される。けん化反応に使用されるアルコールには、40重量%以下であれば、アセトン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、ベンゼン等の溶剤を含有していてもよい。けん化反応に用いられる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの酸触媒が用いられる。けん化反応の温度については特に制限はないが、20〜60℃の範囲が適当である。けん化反応の進行に伴って、ゲル状生成物が析出してくる場合には、その時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することにより、本発明に用いるPVAが得られる。
【0015】
本発明においては、0.1〜10%水溶液濃度範囲で曇点が90℃以下のPVAに、解膠剤、潤滑剤などを併用することもできる。解膠剤としては通常用いられているものが使用できる。例えば無機解膠剤としては燐酸ソーダ、苛性ソーダ、クエン酸ソーダ等、有機解膠剤としてはアミン類、ピリジン、ピペリジン、ポリアクリル酸の金属塩あるいはアンモニウム塩、スチレンあるいはイソブテンと無水マレイン酸の共重合物の金属塩あるいはアンモニウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等が挙げられる。一方、可塑剤としてはグリコール類、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリオールなどが使用される。滑剤としては通常用いられるもので、例えばみつろう、木ろう等天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、低分子ポリエチレン及びその誘導体等の合成ワックス、ステアリン酸、ラウリル酸等の脂肪酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸の金属塩、マレイン酸イミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、ポリエチレングリコール等が挙げられ、これらが水系分散体になっていてもよい。
【0016】
また、本発明に用いるPVAには他のバインダーを、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。例えば、各種澱粉類およびそれらの誘導体、各種糖類およびそれらの誘導体、ゴム類、可溶性蛋白質、セルロース誘導体や、合成高分子として、PVA、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、イソブテン−無水マレイン酸共重合体やアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル化物の単独あるいは共重合物、水系分散体としてエチレン、プロピレンなどのオレフィン、ブタジエン、イソプレンなどのジオレフィン、酢酸ビニルなどのビニルエステル、ラウリルビニルエーテルなどのビニルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル、スチレンなど単量体の一種または二種以上からなるポリマーの水系分散体などを併用することができる。
【0017】
本発明に用いるPVAが適応できるセラミックス粉末としては、セラミックス製造に使用されうる金属または非金属の酸化物または非酸化物の粉末が挙げられる。また、これらの粉末の組成は単一組成、化合物の状態のものを単独または混合して使用してもさしつかえない。なお、金属の酸化物または非酸化物の構成元素はカチオンまたはアニオンともに単元素でも複数の元素から成り立ってもよく、さらに酸化物または非酸化物の特性を改良するために加えられる添加物を含む系についても本発明に使用することができる。具体的には、Li、K、Mg、B、Al、Si、Cu、Ca、Br、Ba、Zn、Cd、Ga、In、ランタノイド、アクチノイド、Ti、Zr、Hf、Bi、V、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Co、Ni等の酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、硫化物等が挙げられる。また、通常復酸化物と称される復巣の金属元素を含む酸化物粉末の具体的なものを結晶構造から分類すると、ペロブスカイト型構造をとるものとしては、NaNbO3、SrZrO3、PbZrO3、SrTiO3、BaZrO3、PbTiO3、BaTiO3等が、スピネル型構造をとるものとしては、MgAl2O4、ZnAl2O4、CoAl2O4、NiAl2O4、MgFe2O4等が、イルメナイト型構造をとるものとしては、MgTiO3、MnTiO3、FeTiO3等が、ガーネット型構造をとるものとしては、GdGa5O12、Y6Fe5O12等が挙げられる。
【0018】
これらのセラミックス粉末のうち、酸化物粉末とりわけ電子材料、磁性材料、光学材料、高温材料等を製造するための金属酸化物粉末に対して本発明に用いられるPVAが好適に使用される。本発明に用いるPVAは、上記セラミックス粉末の粒径および形状によらず有効であるが、粉末の粒径が微細になるにつれて造粒上の問題が重要になることから、特に20μ以下の平均粒子径を有する粉末が優れた効果を発揮する。
【0019】
本発明の成形物(中間製品)の成形方法としては、プレス成形、押し出し成形、テープ成形、泥奬鋳込成形などの、水系混錬物を成形工程として持つ成形方法が挙げられる。ここで言う水系混錬物とは、原料粉末と、水とバインダーからなり、必要に応じて解膠剤・可塑剤・滑剤などが添加された系である。また、必要に応じてPVAの溶解に問題にならない範囲で有機溶媒が存在してもよい。
【0020】
成形方法の中でも、水系混錬物を適当な粒径の顆粒状に乾燥させ、これを適当な型材に供給し、加圧して成形するプレス成形方法が最良である。
本発明に用いるPVAの添加量は、セラミックス粉体の種類、成形方法、成形物の形状、成形体の形状などにより異なるが、通常、セラミックス粉体100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部である。
【0021】
前記方法により得た成形物(中間製品)を、焼成することにより、割れ、フクレのないまたは少ない成形体が得られる。その際の焼成条件は、例えば、電気炉などを用いて、室温から5〜24時間かけて、300℃〜500℃まで加熱し、バインダーなどの有機物を加熱分解した後、10〜50℃/分の昇温速度で800〜1500℃まで加熱し、同温度で2〜24時間加熱することで、セラミックス成形体が得られる。
また、成形物を得た後、焼成することにより、金属または非金属の酸化物または非酸化物になりうる前駆体にも本発明に用いるPVA系重合体を好適に使用することができる。上記前駆体としては、たとえば、金属または非金属のアルコラート、およびそれらから加水分解して得られる水酸化物のゾル、水ガラスから得られるシリカゾル等、および塩基性塩化金属塩、硫酸、硝酸、ギ酸、酢酸等の金属塩などが挙げられる。
【0022】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。なお実施例および比較例において「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0023】
重合体1〜12
表1に示す重合体をそれぞれ得た。
PVA中のビニルエステル単位、ビニルアルコール単位およびその他の単量体単位の含量は、500MHz1H−NMRにより定量した。1H−NMR測定時のPVA系重合体の溶媒は重水素化DMSOを用いた。
PVA系重合体の重合度および水溶液曇点は下記の方法で測定した。
【0024】
(1)粘度平均重合度
ビニルアルコール系重合体の重合度(粘度平均重合度)は、けん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAを無水酢酸およびピリジン中で再酢化したものについて、アセトン中、30℃で測定した極限粘度[η](g/dl)から次式により求めた粘度平均重合度(P)で表す。
P=([η]×103/7.94)(1/0.62)
【0025】
(2)水溶液曇点
濃度4%のPVA水溶液を調製して、10℃から0.5℃/min.の昇温速度で90℃まで加熱し、その間に水溶液が白濁した温度を目視で観察した。
【0026】
【表1】
Figure 0004381538
【0027】
比較重合体1〜6
表2に示す比較重合体をそれぞれ得た。
【0028】
【表2】
Figure 0004381538
【0029】
実施例1
アルミナ(純度99.8%)100部、水50部、ポリアクリル酸アンモニウム塩解膠剤0.3部をボールミルに入れ、90時間粉砕した後、重合体1の水溶液を固形分で2部添加し粉体と均一に混合した。このスラリーを噴霧乾燥により造粒し、顆粒(粒径100±20μ)を得た。この顆粒を幅20mm、長さ100mm、厚さ10mmの直方体を金型でプレス(1.2ton/cm2および1.0ton/cm2)して成形した。評価結果を表3に示す。
【0030】
実施例2〜8、参考例1〜4
実施例1のバインダーの代わりに重合体2〜12を用いる以外は実施例1と同様にして成形物を得た。評価結果を表3に示す。
【0031】
比較例1〜6
実施例1のバインダーの代わりに比較重合体1〜6を用いる以外は実施例1と同様にして成形物を得た。評価結果を表3に示す。
【0032】
成形物の評価方法を下記に示す。
(1)成形性
離型性は、プレス成形で得られたセラミックス成形物を成形用型材から取り出す際、型材への付着の様子から判定した。
○:付着せず
△:ほとんど付着せず
×:付着が激しい
均質性は、プレス成形で得られたセラミックス成形体の表面を顕微鏡観察し、その様子から判定した。
○:顆粒が十分つぶれて均質
△:顆粒のつぶれ残りが若干見られ、やや不均質
×:顆粒のつぶれ残りが多い
(2)加工性
加工性はドリルによる孔開けを行いその難易度を評価した。
○:加工が容易
△:加工が困難
×:加工が非常に困難
【0033】
(3)成形物強度(タフネス)
成形物強度は三点曲げ試験にて行い、成形物が折れるのに必要なエネルギー(タフネス)をS・Sカーブの面積から求め、比較例1の値を1.0とした時の相対値で求めた。
【0034】
成形物(中間製品)を焼成後の成形体(最終製品)
1.0ton/cm2のプレス圧力で成形した成形物を用いて、電気炉にて、室温から300℃まで6時間かけて加熱した後、10℃/分の昇温速度で1200℃まで加熱し、同温度で2時間加熱した。その後室温まで冷却した後、焼成後の成形体を観察した。
○:割れおよびフクレが認められず良好。
△:割れおよびフクレが部分的に認められた。
×:フクレおよび割れが全体で認められ不良。
【0035】
【表3】
Figure 0004381538
【0036】
【発明の効果】
0.1〜10%水溶液濃度範囲で曇点が90℃以下のPVAを主成分にバインダーとして用いた場合、種々の成形方法、とりわけプレス成形において、少量の使用で、成形性、加工性に優れ、かつ強度の優れた成形物(中間製品)を得ることができ、また前記成形物を焼成した場合、割れおよびフクレのないまたは少ない成形体(最終製品)を得ることができる。

Claims (5)

  1. 炭素数4以下のα−オレフイン単位を0.1〜8.5モル%含有し、けん化度が88.3モル%以上であり、かつ4%水溶液を10℃から0.5℃/min.の昇温速度で90℃まで加熱したときの曇点が64℃以下のビニルアルコール系重合体を主成分とするセラミックス成形用バインダー。
  2. 請求項1に記載のバインダーを、セラミックス粉末100重量部に対し0.1〜20重量部含有するセラミックス成形用組成物。
  3. 請求項2に記載の組成物を、水系混錬物とし、乾燥して顆粒化し、次いで成形して得たセラミックス成形物。
  4. 請求項2に記載の組成物を成形し、次いで焼成して得たセラミックス成形体。
  5. 請求項2に記載の組成物を、水系混錬物とし、乾燥して顆粒化し、成形し、次いで焼成して得たセラミックス成形体。
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