JP2001143531A - 複合誘電体材料およびこの複合誘電体材料を使用した誘電体アンテナ - Google Patents

複合誘電体材料およびこの複合誘電体材料を使用した誘電体アンテナ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロム酸エッチングを使用することなく、S
PSの表面にめっき性を付与することができる複合誘電
体材料およびこの複合誘電体材料を使用した誘電体アン
テナを提供する。 【解決手段】 誘電体アンテナ1は、直方体形状のアン
テナ基体2,入力電極4,放射電極5およびグランド電
極6にて構成されている。アンテナ基体2の材料として
は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
からなる母体樹脂に、無機充填材と、溶剤に可溶なゴム
状弾性体とを混合してなる複合誘電体材料が用いられ
る。複合誘電体材料は、SP値が8.8〜10のテトラ
ヒドロフランやクロロホルム等の溶剤にて、その表面が
エッチングされて粗面化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合誘電体材料お
よびこの複合誘電体材料を使用した誘電体アンテナに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、携帯電話等の移動体通信機器
や無線LANに用いられる表面実装型誘電体アンテナと
して、誘電体セラミックス単体や樹脂単体からなるもの
が提案されている。例えば、特開平9−98015号公
報には、アンテナ基体がセラミックス単体や樹脂単体か
らなる表面実装型誘電体アンテナが開示されている。ま
た、特開平9−221573号公報には、シンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体、無機充填材、ゴ
ム状弾性体、熱可塑性樹脂からなる複合材料からなるめ
っき性を有する成形体が開示されている。さらに、特開
平9−263663号公報、特開平10−17739号
公報には、シンジオタクチック構造を有するスチレン系
重合体に、相溶剤としてゴム状弾性体であるスチレン系
ブロックポリマを配合した成形体が開示されている。さ
らにまた、特開平10−45936号公報には、めっき
性を有するシンジオタクチック構造を有するスチレン系
重合体の発泡体の製造方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、携帯
電話等の移動体通信機器の軽量化および小型化に伴っ
て、誘電体アンテナも軽量化および小型化の要求が高ま
っている。しかしながら、従来の誘電体セラミックス単
体からなるアンテナや樹脂単体からなるアンテナには、
それぞれ次のような不具合があった。
【0004】すなわち、誘電体セラミックス単体からな
るアンテナでは、アンテナ基体の成形工程や焼成工程等
に時間がかかるばかりでなく、加工性および成形性に劣
り、複雑な形状のアンテナを作成するのが困難であっ
た。また、誘電率を大きくすることで、アンテナを小型
化することができるが、アンテナにはサイズ効果があ
り、小さくしすぎるとアンテナ特性を極端に低下させる
ので、アンテナの小型化には限界がある。従って、アン
テナの軽量化にはアンテナの材質の比重が重要となる。
しかしながら、誘電体セラミックスは比重が大きく、ア
ンテナの軽量化に対応できないという問題もあった。
【0005】そこで、比重の小さい有機材料が注目され
ている。その中でも特に、耐熱性および高周波特性に優
れており、射出成型可能なシンジオタクチック構造を有
するスチレン系重合体(以下、SPSと記す)が注目さ
れている。ところが、SPSは、それ単独では耐薬品性
が非常に良好であることからエッチングができず、その
表面にめっきをすることができない。従って、このSP
Sの表面にめっき性を付与するため、酸に可溶なゴム状
弾性体をSPSに添加し、クロム酸でSPS表面に露出
したゴム状弾性体をエッチングしてSPSの表面を粗面
化する技術が知られていた。しかしながら、クロム酸で
エッチングしたSPS表面は非常に粗く、めっき密着強
度は高いが、共振周波数における利得が低いという問題
があった。さらに、クロム酸は有害な薬品であり、環境
保全の観点からもその使用は好ましくない。
【0006】そこで、クロム酸エッチングを回避する方
法として、特開平10−183362号公報に、物理的
外力(サンドブラストや研磨等)によってSPSの表面
を粗面化する技術が開示されている。しかし、この方法
は、スルーホール等を有する複雑な形状のアンテナには
対応することができないという問題があった。
【0007】本発明の目的は、クロム酸エッチングを使
用することなく、SPSの表面にめっき性を付与するこ
とができる複合誘電体材料およびこの複合誘電体材料を
使用した誘電体アンテナを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】前記目的を達
成するため、本発明に係る複合誘電体材料は、シンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体からなる母体
樹脂に、無機充填材と、溶剤に可溶なゴム状弾性体とを
混合したことを特徴とする。
【0009】以上の構成により、シンジオタクチック構
造を有するスチレン系重合体(SPS)は低tanδで
かつ比重が小さいため、複合誘電体材料は、セラミック
ス単体からなる誘電体材料より軽量になる。しかも、こ
の複合誘電体材料は、セラミックス単体からなる誘電体
材料より加工性及び成形性に優れている。
【0010】さらに、ゴム状弾性体は、溶剤でエッチン
グされ、SPS表面を粗面化してSPSの表面にめっき
性を付与するとともに、複合誘電体材料にゴム弾性を与
えてめっき膜ピール強度を向上させる。また、無機充填
材は複合誘電体材料の比誘電率をアップさせて誘電率を
調整するために添加される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して本発
明に係る複合誘電体材料およびそれを使用した誘電体ア
ンテナの実施の形態を説明する。
【0012】本発明に係る誘電体アンテナの一つの実施
形態を図1に示す。該誘電体アンテナ1は、直方体形状
のアンテナ基体2,入力電極4,放射電極5およびグラ
ンド電極6にて構成されている。
【0013】入力電極4は、アンテナ基体2の手前側端
部に設けられている。放射電極5は、アンテナ基体2の
上面中央部に設けられ、アンテナ基体2の長手方向に直
線状に延在している。放射電極5の長さはλ/4(λ:
アンテナ基体2内での中心波長)である。放射電極5の
一方の端部5aは、所定の間隔7をおいて入力電極4に
対向している。放射電極5の他方の端部5bは、アンテ
ナ基体2の奥側端面を回り込んで、アンテナ基体2の略
下面全面に設けられたグランド電極6に電気的に接続し
ている。
【0014】アンテナ基体2の材料としては、シンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体(SPS)か
らなる母体樹脂に、無機充填材と、溶剤に可溶なゴム状
弾性体とを混合してなる複合誘電体材料である。ここ
で、「溶剤」とは、後述するように、アンテナ基体2の
表面にめっき膜を形成する工程において、アンテナ基体
2の表面を粗面化するための溶剤である。また、ここで
いう「溶剤に可溶な」とは、30〜40℃の溶剤に粒径
0.1〜50μmの粉末を10体積%加えて攪拌し、5
分以内に目視で完全に溶解するものを指す。
【0015】SPSを使用するのは、汎用のアタクチッ
クポリスチレン(汎用PS)が有する高周波で良好な誘
電特性を維持しつつ、耐溶剤性および耐熱性に優れてい
るためである。低tanδおよび耐熱性を有するものと
しては、PTFE系樹脂、液晶ポリマー等もあるが、P
TFE樹脂は成形性、コスト、めっき性の点でSPSに
劣り、液晶ポリマーは成形性、コスト、誘電特性の点で
SPSに劣る。
【0016】無機充填材は、複合誘電体材料の比誘電率
をアップさせる。無機充填材としては、高周波で誘電正
接(tanδ)が小さいCaTiO3,SrTiO3等の
ペロブスカイト系酸化物常誘電体、BaTiO3等のペ
ロブスカイト系酸化物強誘電体およびその混合物や、B
aO−Nd23−TiO2等のフッ酸以外の他の酸およ
びアルカリに不溶のものが使用される。あるいは、無機
充填材としては、酸やアルカリに可溶な周期律表IIa
またはIIb族元素の酸化物、炭酸塩、硫酸塩、燐酸塩
および珪酸塩からなる群の中から選択することができ
る。酸やアルカリに可溶の無機充填材を採用すると、溶
剤エッチングの後、酸やアルカリでさらにエッチングす
ることができ、めっき密着強度をより一層向上させるこ
とができる。
【0017】溶剤に可溶なゴム状弾性体は、溶剤エッチ
ングを可能にしてSPSの表面にめっき性を付与すると
ともに、SPSにゴム弾性を与えてめっき膜ピール強度
を向上させる。ゴム状弾性体としては、ゴム弾性の高い
汎用ジエン系ゴムや、熱可塑性ゴム等が使用される。本
実施形態では、架橋し粉砕する必要のない熱可塑性ゴ
ム、特にSPSと相溶性の高いスチレン系で、耐熱性の
高いスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンのブロッ
ク共重合体(SEBS)とスチレン−ブタジエンゴム
(SBR)とを採用した。この場合、溶剤としては、S
EBS等のスチレン系ゴム弾性体を溶解することができ
るSP値(solubility paramete
r、溶解性パラメータ値)8.8〜10の範囲のものが
使用される。
【0018】SP値8.8〜10の溶剤には、ジエチル
ケトン、エチルベンゼン、キシレン、トルエン、ジクロ
ルプロパン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ベンゼ
ン、プロピレンオキサイド、クロロホルム、ジブチルフ
タレート、メチルエチルケトン、スチレン、ジメチルス
ルフィド、クロロベンゼン、酢酸メチル、ジメチルアニ
リン、二塩化エチレン、アセトン、シクロヘキサノンお
よびその混合物がある。特に、効果の面からテトラヒド
ロフランやクロロホルムが好ましい。これらの溶剤は、
ゴム状弾性体を溶かし出すだけで、溶剤自体は分解等し
ない。従って、溶剤をエバポレータ等で回収すれば、リ
サイクル可能である。また、これらの溶剤は、クロム酸
エッチング処理の場合に必要な大規模廃液処理システム
が不要であるため、ランニングコストが安価である。
【0019】前記のようなストリップライン構成からな
る誘電体アンテナ1は、SPSの比重が小さいため、ア
ンテナ基体2の軽量化を図ることができる。さらに、ア
ンテナ基体2が低tanδのSPSの複合誘電体材料か
らなるので、安定したアンテナ特性を有する誘電体アン
テナ1を得ることができる。
【0020】次に、複合誘電体材料の組成比および組成
物を種々変更させて、誘電特性を測定した。表1に示す
容量比で秤量したSPS等を粗混合した後、2軸押出し
機を用いて複合材料ペレットを製作した。2軸押出し時
のシリンダ温度は290℃であった。
【0021】
【表1】
【0022】ここに、ゴム状弾性体として、材料1,
2,4〜10の場合にはスチレン−エチレン−ブチレン
−スチレンのブロック共重合体(シェルジャパン製クレ
イトンG1650)を使用し、材料3の場合にはスチレ
ン−ブタジエンゴム(日本ゼオン製2057S−スチレ
ン含有量60%)を使用した。無機充填材としては、各
材料1〜10に対して、それぞれ、平均粒径1.2μm
のCaTiO3、平均粒径2.6μmのCaCO3平均粒
径1.0μmのBaSO4、平均粒径0.5μmのCa2
27(ピロリン酸カルシウム)、平均粒径2.0μm
のBaTiO3、平均粒径1.3μmのSrTiO3、平
均粒径2.0μmのZnO、平均粒径0.8μmのTi
2および平均粒径5.0μmのAl23を表1に示す
容量比で使用した。
【0023】製作した複合材料ペレットを使用して、射
出成形法にて直径が50mm、板厚が1.3mmの円形
の評価板を成形した。この射出成形法は、誘電体アンテ
ナ等の複雑形状のものを容易にかつ短時間に成形するこ
とができる。そして、射出成形の際には、SPSを溶融
させる程度の熱を加えるだけでよく、セラミック焼成の
ように1000℃以上の温度は不要である。
【0024】こうして得られた各材料サンプルについて
誘電特性の測定をした結果を表1に示す。誘電特性の測
定には、共振周波数の摂動量より比誘電率および誘電正
接を算出する摂動法を用いた。表1からわかるように、
材料1〜材料10は、3.0〜17の比誘電率εrを有
している。一般に、誘電体アンテナ等の高周波部品で
は、約3.0〜20の比誘電率εrを有するものが要求
されている。SPSの含有量が高過ぎると、比誘電率ε
rが3.0より小さくなり、誘電体アンテナを小型化す
ることができない。
【0025】次に、成形された評価板の表面には、以下
の工程によりめっき膜を形成した。評価板を界面活性剤
水溶液(常温)に6分間浸漬して、評価板の表面を脱脂
洗浄する。次に、評価板を表2および表3に示すよう
に、エッチング方法を種々変更させてその表面を粗面化
する。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】ここに、溶剤エッチング法として、実施例
1,2,6〜12および比較例13の場合にはSP値が
9.1のTHF(テトラヒドロフラン)を使用し、実施
例3,13の場合にはSP値が8.8のキシレンを使用
し、実施例4および比較例14の場合にはSP値が9.
3のクロロホルムを使用し、実施例5,14の場合には
SP値が10.0のアセトンを使用し、比較例3の場合
にはSP値が8.2のシクロヘキサンを使用し、比較例
4の場合にはSP値が10.5のイソブタノールを使用
した。評価板は、これら溶剤にそれぞれ所定の時間だけ
超音波浸漬される。評価板の表面に露出した溶剤に可溶
なゴム状弾性体とSPS低分子量成分とが溶剤によって
エッチングされ、評価板の表面が粗面化される。
【0029】一方、クロム酸エッチングは、比較例1,
2,5〜12の評価板に対して行われた。評価板を、ク
ロム酸系の酸化剤である、無水クロム酸(400g/リ
ットル水溶液):硫酸(400g/リットル水溶液)=
1:1の混合液(68℃)に12分間浸漬する。評価板
の表面に露出した酸に可溶なゴム状弾性体やSPS低分
子量成分等が酸化剤によってエッチングされ、評価板の
表面が粗面化される。
【0030】次に、エッチングによって表面が粗面化さ
れた評価板を十分水洗し、カチオン系界面活性剤液(4
5℃)に5分間浸漬(コンディショナ工程)した後、塩
化パラジウム/塩化錫の塩酸酸性水溶液(50℃)に5
分間浸漬して評価板の表面にパラジウムを付着させた
(キャタリスト工程)。次に、評価板を、塩酸水溶液
(常温)に10分間浸漬した(アクセラレータ工程)。
この後、評価板を硫酸銅アルカリ水溶液(常温)に20
分間浸漬して、評価板の表面に0.05〜0.1μmの
無電解銅めっき膜を形成した。さらに、無電解銅めっき
膜の上に電解銅めっき膜を形成し、合計10〜70μm
の厚みを有するめっき膜を成膜した。
【0031】こうして得られた各サンプルについて、め
っき膜ピール強度の測定をした結果を表2および表3に
示す。めっき膜ピール強度の測定は、めっき膜をエッチ
ングして幅が10mmで長さが45mmの短冊状パター
ンを形成した後、この短冊状パターンを、短冊の長さ方
向で、引き上げ方向が常に評価板と垂直になるような状
態で評価板から引き剥がす際の荷重を測定した。垂直引
き剥がし速度は、0.9mm/sである。
【0032】また、表2および表3に記載されている表
面粗さRa、中心周波数およびアンテナ利得は次の条件
で製作した誘電体アンテナ1(図1参照)を用いて測定
した。表1に示す容量比で秤量したSPS等を粗混合し
た後、2軸押出し機を用いて材料1〜材料10の各複合
材料ペレットを製作した。この材料1〜材料10の各ペ
レットを、120℃の温度で3時間予備乾燥した後、射
出成形法にて直方体形状のアンテナ基体2を成形した。
このとき、成形温度は290℃、射出速度は50mm/
s、保圧は500kg/cm2に設定した。
【0033】成形されたアンテナ基体2の表面には、前
述のめっき膜形成工程と同様の工程でめっき膜が形成さ
れる。ただし、めっき膜は無電解銅めっきが厚さ0.1
μm、電解銅めっきが厚さ3〜4μm、電解ニッケルめ
っきが厚さ1〜2μm、電解金めっきが厚さ0.1μm
の順で積層される。このとき、電界銅めっきを成膜した
時点で、パターニングされたメタルマスクを用いてレジ
ストを電解銅めっき膜上に塗布し、塩化第2鉄でエッチ
ングして入力電極4,放射電極5及びグランド電極6の
パターニングを行なった。
【0034】表面粗さRaは、製作した誘電体アンテナ
1のアンテナ基体2が露出している表面部分を測定し
た。また、中心周波数およびアンテナ利得は、製作した
誘電体アンテナ1を、回路基板にリフロー半田により実
装した後、測定した。
【0035】表2からわかるように、実施例1〜14の
誘電体アンテナ1の場合、つまり、複合誘電体材料の組
成比を、SPSからなる母体樹脂が55〜88体積%、
ゴム状弾性体が5〜8体積%、無機充填材が4〜40体
積%の範囲とし、アンテナ基体2の表面を粗面化するた
めSP値が8.8〜10.0の溶剤を用いて溶剤エッチ
ングした場合には、めっき膜ピール強度は0.5kg/
cm以上であり、表面粗さRaは0.15〜0.45の
範囲にあり、アンテナ利得は1.5dBd以上であっ
た。
【0036】一方、表3の比較例1,2,5〜12に示
すように、アンテナ基体2の表面を粗面化するためにク
ロム酸エッチングを採用した場合、クロム酸はゴム状弾
性体やSPS低分子量成分を分解しながらアンテナ基体
2の深部までエッチングする。このため、溶剤エッチン
グより高いめっき密着強度が得られる。しかし、クロム
酸エッチングは、エッチング表面が非常に粗く、誘電体
アンテナ1の中心周波数におけるアンテナ利得が0.5
〜1.45dBdと低い。特に、無機充填材の組成比が
高い材料を用いたアンテナ基体2の場合(比較例11参
照)、アンテナ利得は顕著に低い。従って、誘電体アン
テナ等の高周波部品で要求されている約1.5dBd以
上のアンテナ利得を満足しない。
【0037】なお、本発明に係る複合誘電体材料および
それを使用した誘電体アンテナは、前記実施形態に限定
されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更す
ることができる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る複合誘電体材料は、SPSからなる母体樹脂
に、溶剤に可溶なゴム状弾性体を混合しているので、S
PSの表面を粗面化してSPSの表面めっき性を付与す
る場合、溶剤でエッチングすることができ、従来のクロ
ム酸エッチングをする必要がなくなる。さらに、溶剤エ
ッチングはSPSの表層のみをエッチングし、クロム酸
エッチングのようにSPSの深部までエッチングする方
法とは異なる。従って、溶剤エッチングで製作した誘電
体アンテナは、高いめっき密着強度と高いアンテナ利得
を両立することができる。
【0039】また、成形に必要な温度はSPSを熱溶融
させる程度でよく、セラミックスの焼成のように高い温
度が不要である。さらに、射出成形が可能であり、簡単
かつ効率よく複雑な形状に成形することができ、めっき
電極も容易に形成することができ、しかもその密着強度
が高いことと相俟ってスルーホール等も容易に形成する
ことができる。また、SPSが高周波特性に優れている
ので、ギガヘルツ帯においても高比誘電率及び低tan
δの優れた電気特性を有する高周波部品を得ることがで
きる。さらに、ゴム状弾性体が添加されているので、内
部応力が緩和され、リフロー半田時の変形不良が発生し
にくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る誘電体アンテナの一つの実施形態
を示す斜視図。
【符号の説明】
1…誘電体アンテナ 2…アンテナ基体 4…入力電極 5…放射電極 6…グランド電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BC031 BP012 DE136 DE186 FD016 GQ00 5G303 AA04 AB06 AB07 AB11 AB20 BA12 CA01 CA09 CB03 CB06 CB22 CB32 CB35 5G305 AA09 AB09 AB26 AB34 AB36 BA12 BA15 CA02 CA47 CC02 CC11 CD01 5J045 AA05 AB05 AB06 DA10 EA07 FA02 NA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンジオタクチック構造を有するスチレ
    ン系重合体からなる母体樹脂に、無機充填材と、溶剤に
    可溶なゴム状弾性体とを混合したことを特徴とする複合
    誘電体材料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の複合誘電体材料からな
    るアンテナ基体を備え、該アンテナ基体の表面に放射電
    極及びグランド電極を設けたことを特徴とする誘電体ア
    ンテナ。
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