JP2001140481A - 収納付きの建物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 使い勝手がよく、耐久性に優れ、見栄えがよ
く、内外壁を厚くでき、モデュールに合う収納付きの建
物を提供する。 【解決手段】 モデュールＭにしたがって複数の建物ユ
ニットで建物を構築し、内壁面をモデュール基準線から
寸法ａ室内側に配置し、間仕切壁の厚みを２ａとしてモ
デュール基準線上にその厚み方向の中心を配置し、収納
の横方向の外形寸法をｎＭ−２ａ（ｎは整数）として、
複数の収納を横に並べて室内に配し、内壁面又は間仕切
壁面と収納の側面との隙間を１０ｍｍ〜ａの範囲に設定
した。建物ユニット間の接合部を１モデュールになるよ
うに設定した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、収納付きの建物
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】特公平１−１２８９０号公報や特開平１
１−２５３２５３号公報に記載されているように、建物
をモデュールにしたがって構築することが行なわれてい
る。この建物に収納を設置する場合、収納もモデュール
の整数倍にすると、建物内に間仕切壁などが存在する場
合、それらの厚みのために収納が設置できないことが生
じる。

【０００３】このことを解消するために、特開平１１−
２５３２５３号公報の技術では、壁パネルの芯（厚み方
向の中心）をモデュール基準線上に配置し、収納の横方
向の外形寸法をモデュールＭの整数倍から壁パネルの厚
みを引いた寸法に設定している。そして、建物の室内の
壁パネルに接して収納を設置し、収納を複数設置する場
合は、収納間に壁パネルの厚み分の隙間が生じるわけで
あるが、この隙間に壁パネルの厚みと同じ厚みの調整材
を挿入していた。

【０００４】また、上記特開平１１−２５３２５３号公
報の技術は、上記の壁パネルを用いた建物ユニットを複
数組み合わせて建物を構築している。この建物ユニット
の壁パネルの芯をモデュール基準線上に配置し、壁パネ
ルの厚みをＭ／８に設定し、具体的には９１０／８＝１
１４ｍｍにしていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平１１−２５３２５３号公報の技術では、収納の側面
を室内の壁パネルに接して設置していたので、収納物の
出し入れに際して壁パネルが邪魔になり、使用しにくか
ったり、換気性が悪く、収納の防湿性が劣ったりする等
の問題があった。また、収納を複数設置した場合に、収
納間に壁パネルの厚み分の調整材が存在し、これが厚い
ので目立ち、室内の見栄えが悪い問題があった。

【０００６】また、上記特開平１１−２５３２５３号公
報の技術では、建物ユニットを用いてその壁パネルの厚
みを１１４ｍｍに設定していたから、この壁パネルが間
仕切壁として用いられる場合はよいが、建物の外殻とな
る外壁を含む内外壁パネルとして用いる場合には薄いた
め、防音、断熱性能などが劣る問題があった。また、内
外壁パネルを厚くすると、建物のモデュールがくずれる
問題があった。

【０００７】そこで、本発明の第１の目的は、上記の問
題点を解消し、使い勝手がよく、耐久性に優れ、見栄え
のよい収納付きの建物を提供することにある。

【０００８】本発明の第２の目的は、上記の問題点を解
消し、内外壁を厚くでき、しかもモデュールもくずさな
い収納付きの建物を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本発明
は、モデュールＭにしたがって構築する建物であって、
内壁面をモデュール基準線から寸法ａ室内側に配置し、
間仕切壁の厚みを２ａとしてモデュール基準線上にその
厚み方向の中心を配置し、収納の横方向の外形寸法をｎ
Ｍ−２ａ（ｎは整数）として、複数の収納を横に並べて
室内に配し、内壁面又は間仕切壁面と収納の側面との隙
間を１０ｍｍ〜ａの範囲に設定したことを特徴とする収
納付きの建物である。

【００１０】請求項２記載の本発明は、内壁面もしくは
間仕切壁面と収納の側面との隙間又は収納間の隙間をそ
の収納の縁材にまで跨る化粧材で被覆したことを特徴と
する請求項１記載の収納付きの建物である。

【００１１】請求項３記載の発明は、建物を、複数の箱
形状の建物ユニットを接合して構築し、建物ユニットの
内外壁の厚みを間仕切壁の厚みよりも厚くするととも
に、建物ユニット間の接合部を１モデュールＭになるよ
うに設定したことを特徴とする請求項１又は２記載の収
納付きの建物である。

【００１２】本発明における収納としては、押入れ、た
んす、下駄箱、洋収納、洗面収納、キッチン収納など造
り付け収納から家具収納まで全ての収納を含むものであ
る。

【００１３】本発明におけるモデュールＭとしては、２
２５ｍｍ、３００ｍｍ、３０３ｍｍ、３０５ｍｍ、３３
３ｍｍ、４５０ｍｍなどの一般に基準となる寸法が用い
られる。

【００１４】本発明において内壁面又は間仕切壁面と収
納の側面との隙間を１０ｍｍ〜ａの範囲に設定するの
は、収納への収納物の出し入れを容易にしたり、この隙
間により換気性を上げる等して収納及び収納物の耐久性
を向上させるためである。隙間が小さすぎると収納物の
出し入れの使い勝手が悪くなり、換気性等の作用が低下
し、隙間が大きすぎるとスペースが無駄になる。更に好
ましい隙間としては、２０ｍｍ〜ａの範囲である。

【００１５】

【作用】請求項１記載の本発明の収納付きの建物は、内
壁面をモデュール基準線から寸法ａ室内側に配置し、間
仕切壁の厚みを２ａとしてモデュール基準線上にその厚
み方向の中心を配置し、収納の横方向の外形寸法をｎＭ
−２ａとして、複数の収納を横に並べて室内に配し、内
壁面又は間仕切壁面と収納の側面との隙間を１０ｍｍ〜
ａの範囲に設定したから、収納の側面と内壁面又は間仕
切壁面との間に余裕ができて収納物の出し入れが容易と
なる。また、収納と内壁面又は間仕切壁面との間に隙間
があるために、保温、換気等が行われ、収納及び収納物
が防湿されるなど耐久性が向上する。

【００１６】請求項２記載の本発明の収納付きの建物
は、請求項１において、内壁面もしくは間仕切壁面と収
納の側面との隙間又は収納間の隙間をその収納の縁材に
まで跨る化粧材で被覆したから、収納の両側に幅のある
化粧材が存在することになって重厚感があり、しかも意
匠的にバランスの取れた見栄えのよいものになる。

【００１７】請求項３記載の本発明の収納付きの建物
は、請求項１又は２において、建物を、複数の箱形状の
建物ユニットを接合して構築し、建物ユニットの内外壁
の厚みを間仕切壁の厚みよりも厚くするとともに、建物
ユニット間の接合部を１モデュールＭになるように設定
したから、内外壁が厚くなって防音性、断熱性などに優
れるとともに、建物ユニット間の接合部が１モデュール
Ｍになるので室内のモデュールくずれも生じない。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の収納付きの建物の
実施の形態を図面を参照して説明する。図１は本発明の
実施例１である収納付き建物の平面図、図２は本発明に
用いる建物ユニットの構造体の斜視図、図３は図１の収
納の部分の拡大断面図、図４は図１の収納の部分の正面
図である。

【００１９】図１において、建物１０は、複数の箱形状
の建物ユニット１、１…を接合して構築されている。箱
形状の建物ユニット１は、四隅に鋼製の柱１１、１１…
を有しており、図２に示すような鉄骨構造体を有してお
り、これに床や内外壁、間仕切壁などが工場で取り付け
られている。建物１０は、図１にモデュール基準線ｍ、
ｍ…を示すように、モデュールＭにしたがって、工場で
製造された建物ユニット１、１…を建築現場で接合し
て、仕上げを行なって構築されている。

【００２０】この建物１０においては、モデュールＭを
２２５ｍｍに設定している。間仕切壁２１、２２はその
厚み方向の中心をモデュール基準線ｍ上にして配置され
ている。間仕切壁２１、２２の厚み２ａは７０ｍｍにな
っている。

【００２１】建物ユニット１、１間の接合部を１モデュ
ールＭである２２５ｍｍになるように設定している。建
物ユニット１の内外壁３１の厚みは、上記間仕切壁２
１、２２よりも厚い、２００ｍｍに設定している。内外
壁３１の内壁面３１１はモデュール基準線ｍから寸法ａ
として３５ｍｍ室内側に配置している。

【００２２】二つの収納４１、４２は、押し入れとなる
ものであり、横に並べて設置されており、その横幅方向
の外形寸法がそれぞれ８Ｍ−２ａである１７３０ｍｍに
なっている。

【００２３】この実施例１では、収納４１を工場におい
て建物ユニット１1 内の所定の位置に設置しておき、収
納４２は、建物ユニット１内のスペースに積み込んでお
き、建築現場で建物ユニット１、１…を接合してから、
所定の位置に設置する。

【００２４】収納４１、４２は、図３に示すように、箱
状に形成されており、その内壁面３１１と収納４１の側
面との隙間を３０ｍｍとし、間仕切壁面２１１と収納４
２の側面との隙間を３０ｍｍに設定している。収納４１
と収納４２との隙間は１０ｍｍに設定している。

【００２５】これらの隙間を塞ぐように、収納４１と収
納４２の前面の周囲には、付柱としての化粧材５１、５
２、５３と敷居６１、６２と鴨居７１、７２（図４参
照）が設けられている。この化粧材５１は、隙間の３０
ｍｍと収納４１の縁材４１１の厚み３０ｍｍに跨る幅６
０ｍｍを有する広幅のものになっている。化粧材５２
は、隙間の３０ｍｍと収納４２の縁材４２１の厚み３０
ｍｍに跨る幅６０ｍｍを有する広幅のものになってい
る。化粧材５３は、隙間の１０ｍｍと収納４１の縁材４
１１の厚み３０ｍｍと収納４２の縁材４２１の厚み３０
ｍｍとに跨る幅７０ｍｍを有する広幅のものになってい
る。

【００２６】これらの化粧材５１、５２、５３と敷居６
１、６２と鴨居７１、７２の前面は、モデュール基準線
ｍよりも寸法ａである３５ｍｍ室内側の位置になってい
る。収納４１、４２の奥行き方向の外形寸法は、４Ｍ−
ａより小さい８００ｍｍになっている。化粧材５１、５
２、５３と敷居６１、６２と鴨居７１、７２の厚みは８
４ｍｍになっている。したがって、収納４１、４２の背
面と内壁面３１１との隙間は１６ｍｍになっている。

【００２７】収納４１、４２の前には、畳８１、８１…
が敷かれている。畳８１は、（８Ｍ−ａ）×（４Ｍ−ａ
／２）である１７６５ｍｍ×８８２．５ｍｍになってい
る。

【００２８】このように、化粧材５１、５２、５３が広
幅のものになっており、図４にも示すように、略等しい
幅で略均等に配置されているものとなっているから、重
厚感があり、しかも意匠的にバランスの取れた見栄えの
よいものになっている。収納４１、４２の側面と内壁面
３１１、間仕切壁面２１１との間に隙間３０ｍｍの余裕
ができており、収納４１、４２の両側に広幅の化粧材５
１、５２が存在するから、これらの収納物の出し入れが
容易となる。また、収納４１、４２と内壁面３１１や間
仕切壁面２１１との間に隙間があるために、保温、換気
等が行われ、収納４１、４２及び収納物が防湿されるな
ど耐久性が向上する。

【００２９】隙間による換気をより効率的に行なうため
には、収納４１、４２の側面や背面に換気孔を設けた
り、化粧材５１、５２、５３に換気孔を設けるとよい。

【００３０】この収納付きの建物１０は、複数の箱形状
の建物ユニット１、１…を接合して構築し、建物ユニッ
ト１の内外壁３１の厚みを間仕切壁２１、２２の厚みよ
りも厚くするとともに、建物ユニット１、１間の接合部
を１モデュールＭになるように設定したから、内外壁３
１が厚くなって防音性、断熱性などに優れるものとなっ
ている。また、建物ユニット１、１間の接合部が１モデ
ュールＭになるので、図１に示すように、モデュール基
準線ｍにしたがって配置され、室内のモデュールくずれ
も生じないものとなっている。

【００３１】次に、図５と図６により、本発明の他の実
施例２を説明する。図５は本発明の実施例２の収納の部
分の拡大断面図、図６は図５の収納の部分の正面図であ
る。ここでは、上記実施例１の収納４１の場所に、略半
分の横幅の収納４３、４４を設置している。

【００３２】二つの収納４３、４４も、押し入れとなる
ものであり、横に並べて設置されており、その横幅方向
の外形寸法がそれぞれ４Ｍ−２ａである８３０ｍｍにな
っている。収納４３、４４は、図５に示すように、箱状
に形成されており、その内壁面３１１と収納４３の側面
との隙間を３０ｍｍとし、収納４３と収納４４との隙間
を４０ｍｍとし、収納４４と収納４２との隙間を４０ｍ
ｍに設定している。

【００３３】これらの隙間を塞ぐように、収納４３と収
納４４と収納４２の前面の周囲には、付柱としての化粧
材５４、５５、５６、５２と敷居６３、６４、６２と鴨
居７３、７３、７２が設けられている。この化粧材５４
は、隙間の３０ｍｍと収納４３の縁材４３１の厚み３０
ｍｍに跨る幅６０ｍｍを有する広幅のものになってい
る。化粧材５５は、隙間の４０ｍｍと収納４３の縁材４
３１の厚み３０ｍｍと収納４４の縁材４４１の厚み３０
ｍｍとに跨る幅１００ｍｍを有する広幅のものになって
いる。化粧材５６は、隙間の４０ｍｍと収納４４の縁材
４４１の厚み３０ｍｍと収納４２の縁材４２１の厚み３
０ｍｍとに跨る幅１００ｍｍを有する広幅のものになっ
ている。

【００３４】このように、化粧材５４、５５、５６、５
２が広幅のものになっており、図６にも示すように、略
等しい幅で略均等に配置されているものとなっているか
ら、重厚感があり、しかも意匠的にバランスの取れた見
栄えのよいものになっている。収納４３、４２と内壁面
３１１、間仕切壁面２１１との間に隙間３０ｍｍの余裕
ができており、収納４４、４２の両側に広幅の化粧材５
４、５２が存在するから、これらの収納物の出し入れが
容易となる。また、収納４３、４４、４２と内壁面３１
１や間仕切壁面２１１との間に隙間があるために、保
温、換気等が行われ、収納４３、４４、４２及び収納物
が防湿されるなど耐久性が向上する。

【００３５】隙間による換気をより効率的に行なうため
には、収納４３、４４、４２の側面や背面に換気孔を設
けたり、化粧材５４、５５、５６、５２に換気孔を設け
るとよい。

【００３６】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要
旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含
まれる。例えば、上記実施例では収納と化粧材や敷居、
鴨居とを別体のものとして説明したが、これらが一体の
ものでもよい。

【００３７】

【発明の効果】請求項１記載の本発明の収納付きの建物
は、内壁面をモデュール基準線から寸法ａ室内側に配置
し、間仕切壁の厚みを２ａとしてモデュール基準線上に
その厚み方向の中心を配置し、収納の横方向の外形寸法
をｎＭ−２ａとして、複数の収納を横に並べて室内に配
し、内壁面又は間仕切壁面と収納の側面との隙間を１０
ｍｍ〜ａの範囲に設定したから、モデュールに合い、収
納物の出し入れが容易で使い勝手がよく、収納及び収納
物の耐久性が優れたものになる。

【００３８】請求項２記載の本発明の収納付きの建物
は、請求項１において、隙間をその収納の縁材にまで跨
る化粧材で被覆したから、重厚感があり、意匠的にバラ
ンスの取れた見栄えのよいものになる。

【００３９】請求項３記載の本発明の収納付きの建物
は、請求項１又は２において、建物ユニットの内外壁の
厚みを間仕切壁の厚みよりも厚くするとともに、建物ユ
ニット間の接合部を１モデュールＭになるように設定し
たから、防音性、断熱性などに優れるとともに、室内の
モデュールくずれも生じないものになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１である収納付き建物の平面図
である。

【図２】本発明に用いる建物ユニットの構造体の斜視図
である。

【図３】図１の収納の部分の拡大断面図である。

【図４】図１の収納の部分の正面図である。

【図５】本発明の実施例２の収納の部分の拡大断面図で
ある。

【図６】図５の収納の部分の正面図である。

【符号の説明】

ｍ モデュール基準線 １０ 建物 １ 建物ユニット ２１ 間仕切壁 ２１１ 間仕切壁面 ３１ 内外壁 ３１１ 内壁面 ４１、４２、４３、４４ 収納 ５１、５２、５３、５４、５５、５６ 化粧材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 モデュールＭにしたがって構築する建物
   であって、内壁面をモデュール基準線から寸法ａ室内側
   に配置し、間仕切壁の厚みを２ａとしてモデュール基準
   線上にその厚み方向の中心を配置し、収納の横方向の外
   形寸法をｎＭ−２ａ（ｎは整数）として、複数の収納を
   横に並べて室内に配し、内壁面又は間仕切壁面と収納の
   側面との隙間を１０ｍｍ〜ａの範囲に設定したことを特
   徴とする収納付きの建物。
2. 【請求項２】 内壁面もしくは間仕切壁面と収納の側面
   との隙間又は収納間の隙間をその収納の縁材にまで跨る
   化粧材で被覆したことを特徴とする請求項１記載の収納
   付きの建物。
3. 【請求項３】 建物を、複数の箱形状の建物ユニットを
   接合して構築し、建物ユニットの内外壁の厚みを間仕切
   壁の厚みよりも厚くするとともに、建物ユニット間の接
   合部を１モデュールＭになるように設定したことを特徴
   とする請求項１又は２記載の収納付きの建物。