JP2001139776A - 熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物

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JP2001139776A JP31970499A JP31970499A JP2001139776A JP 2001139776 A JP2001139776 A JP 2001139776A JP 31970499 A JP31970499 A JP 31970499A JP 31970499 A JP31970499 A JP 31970499A JP 2001139776 A JP2001139776 A JP 2001139776A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低誘電率等の硬化物、およびそのような硬化
物が得られる熱硬化性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂組成物に、(A)成分とし
て、下記一般式(1)等で表わされる開環ノルボルネン
系樹脂と、(B)成分として、一分子中に少なくとも二
以上のエポキシ基を有する化合物とを含有する。 【化1】 [一般式(1)中、R1〜R4は、相互に独立であり、水
素原子、アルキル基、アリール基、またはCOOR
5(R5は、水素原子、アルキル基またはアリール基であ
る。)で表わされる基であり、そのうち少なくとも1つ
はCOOR5で表わされる基であり、繰り返し数nは、
0、1または2である。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱硬化性樹脂組成
物およびそれを熱硬化してなる硬化物に関する。より詳
細には、相溶性に優れた熱硬化性樹脂組成物、およびそ
の硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、誘電特性に優れていることから、
回路基板材料等として、ノルボルネン系重合体からなる
熱硬化性樹脂が提案されている。このような熱硬化性樹
脂組成物は、例えば、特開平10−158367号公報
に開示されており、ノルボルネン系モノマーの開環重合
体中の主鎖構造中にエポキシ基を有し、かつ主鎖構造中
の炭素−炭素二重結合含有率が30モル%以下であっ
て、数平均分子量(Mn)が500〜500,000で
あるエポキシ基含有ノルボルネン系樹脂と、エポキシ硬
化剤とから構成してある。また、特開昭48−1141
32号公報や、特開平1−240517号公報等には、
極性基を有するノルボルネン系樹脂が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
10−158367号公報に開示されているノルボルネ
ン系樹脂は、エポキシ樹脂との相溶性に乏しく、熱硬化
性樹脂組成物を構成するにあたり、予めエポキシ基化し
たノルボルネン系樹脂を作成しなければならなかった。
したがって、熱硬化性樹脂組成物を構成するために、製
造工程が多くかかり、しかも、製造コストが高いという
問題が見られた。また、特開昭48−114132号公
報や、特開平1−240517号公報等に開示されてい
るノルボルネン系樹脂は、熱可塑性のノルボルネン系樹
脂あるいはそれを含む熱可塑性組成物を提供することを
目的としており、エポキシ樹脂等と組み合わせて熱硬化
性樹脂組成物を提供することについては、何ら開示され
ていなかった。
【0004】そこで、本発明者らは、鋭意検討した結
果、特定の極性基を有する開環ノルボルネン系樹脂であ
れば、エポキシ基を分子内に導入することなくエポキシ
系樹脂と良好に相溶する熱硬化性樹脂組成物が得られる
ことを見出した。すなわち、本発明は、容易に製造する
ことができ、しかも、含まれるエポキシ基を均一かつ十
分に反応させることができる熱硬化性樹脂組成物を提供
すること、およびこのような熱硬化性樹脂組成物を熱硬
化してなる、誘電特性や相溶性に優れた硬化物を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
成分として、下記一般式(1)および一般式(2)ある
いはいずれか一方の一般式で表わされる開環ノルボルネ
ン系樹脂と、(B)成分として、一分子中に少なくとも
二以上のエポキシ基を有する化合物とを含有することに
より、上述した問題を解決可能な熱硬化性樹脂組成物を
提供することができる。
【0006】
【化3】
【0007】[一般式(1)中、R1〜R4は、相互に独
立であり、水素原子、アルキル基、アリール基、または
COOR5(R5は、水素原子、アルキル基またはアリー
ル基である。)で表わされる基であり、そのうち少なく
とも1つはCOOR5で表わされる基であり、繰り返し
数nは、0、1または2である。]
【0008】
【化4】
【0009】[一般式(2)中、R1〜R、繰り返し
数nは、一般式(1)の内容と同様である。]
【0010】また、本発明の別の態様は、(A)成分と
して、一般式(1)および一般式(2)あるいはいずれ
か一方の一般式で表わされる開環ノルボルネン系樹脂
と、(B)成分として、一分子中に少なくとも二以上の
エポキシ基を有する化合物とを含有する熱硬化性樹脂組
成物を、熱硬化してなる硬化物である。このような熱硬
化性樹脂組成物から硬化物を得ることにより、(A)成
分と(B)成分とが良好に相溶するとともに、均一に反
応させることができ、結果として、優れた誘電特性を得
ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における熱硬化性樹脂組成
物、およびその硬化物に関する実施形態について、それ
ぞれ具体的に説明する。本発明の実施形態は、下記
(A)〜(E)成分を含有する硬化性樹脂組成物に関す
る。なお、下記(A)〜(C)成分は必須成分であり、
(D)〜(E)成分は任意成分であるが、好ましい熱硬
化性樹脂組成物の態様として、(D)〜(E)成分を含
んでいる。 (A)一般式(1)および一般式(2)あるいはいずれ
か一方の一般式で表わされる開環ノルボルネン系樹脂 (B)一分子中に少なくとも二以上のエポキシ基を有す
る化合物 (C)硬化剤 (D)ゴム成分 (E)有機溶媒
【0012】(1)(A)成分 種類 (A)成分は、一般式(1)および一般式(2)あるい
はいずれか一方の一般式で表わされる極性基を有する開
環ノルボルネン系樹脂である。一般式(1)で表わされ
る極性基を有する開環ノルボルネン系樹脂は、非水添タ
イプであり、一般式(2)で表わされる極性基を有する
開環ノルボルネン系樹脂は、耐熱性を向上させるために
不飽和結合を水添したタイプである。また、このような
一般式(1)および一般式(2)で表わされる開環ノル
ボルネン系樹脂を混合使用することも好ましいが、その
場合、混合比を、耐熱性と経済性とのバランスがより良
好となることから、1:100〜100:1の範囲内の
値とすることが好ましく、1:50〜50:1の範囲内
の値とすることがより好ましく、1:10〜10:1の
範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0013】また、(A)成分の開環ノルボルネン系樹
脂を構成するノルボルネン誘導体モノマーとしては、例
えば、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−
エチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−8
−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.
7,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−プロ
ポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17
,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−8−n−プロポ
キシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.
7 ,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−i−プロ
ポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17
,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−8−i−プロポ
キシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.
7 ,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−ブト
キシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.
7,1 0]ドデカ−3−エン、8−エチル−8−n−ブト
キシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.
7,1 0]ドデカ−3−エン、5−ノルボルネン−2−カ
ルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エ
チル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、5−
ノルボルネン−2−カルボン酸アミド、2−メチル−5
−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−
5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、2−メチル
−5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、2−メチ
ル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸アミド、3−フ
ェニル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、3
−フェニル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチ
ル、3−フェニル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸
ブチル、3−フェニル−5−ノルボルネン−2−カルボ
ン酸アミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸
ジメチル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジ
エチル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジブ
チル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジアミ
ド等の一種単独または二種以上の組合わせが挙げられ
る。さらに、(A)成分は、上記の極性基を有するノル
ボルネン誘導体モノマーと極性基を有しないノルボルネ
ン誘導体モノマーとからなる共重合体とすることも好ま
しい。このような極性基を有しないノルボルネン誘導体
モノマーとしては、5−ノルボルネン、3−フェニル−
5−ノルボルネン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、テトラシクロ[4.4.0.12 ,5.17,10]ドデ
カ−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17, 10]ドデカ−3−エン等の一種単独または二種
以上の組み合わせが挙げられる。
【0014】したがって、(A)成分の開環ノルボルネ
ン系樹脂を、上述したノルボルネン誘導体モノマーから
得るには、メタセシス触媒、例えば、タングステン等の
金属ハロゲン化物と、有機アルミニウム化合物とからな
る触媒を用いて、例えば、温度−50〜120℃、1〜
10時間の条件で、開環重合すれば良い。さらに、開環
ノルボルネン系樹脂を水添する場合には、例えば、水素
添加触媒の存在下に、ゲージ圧で水素ガス圧力4.9×
10〜2.0×10Pa、温度100〜180℃、
1〜10時間の条件で容易に実施することができる。
【0015】COOH量 また、(A)成分に含まれる極性基のCOOH量は、
(B)成分との相溶性や、反応性を考慮して決定するこ
とができるが、かかるCOOH量を、例えば、一般式
(1)および一般式(2)あるいはいずれか一方の一般
式で表わされるノルボルネン系樹脂中に占めるCOOH
基の含有構造の割合は1〜90モル%が好ましく、5〜
50モル%がより好ましい。この理由は、極性基のCO
OH量が1モル%未満であるとすると(A)成分と
(B)成分との間の反応性が著しく低下する場合がある
ためである。一方、COOH量が90モル%を超える
と、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性や誘電率が低下す
る場合があるためである。
【0016】部分加水分解物 また、(A)成分は、開環ノルボルネン系樹脂の部分加
水分解物を含むことが好ましい。すなわち、カルボン酸
エステルを加水分解して、下記一般式(3)および一般
式(4)あるいはいずれか一方の一般式で表わされるカ
ルボン酸を部分的に生成させた部分加水分解物であるこ
とが好ましい。このような部分加水分解物であれば、分
子内に含まれるCOOH基量を精度良く制御することが
できる。
【0017】
【化5】
【0018】[一般式(3)中、R1〜R4、繰り返し数
nは、一般式(1)の内容と同様である。また、R6
9は、相互に独立であり、水素原子、アルキル基、ア
リール基、またはCOOHで表わされる基であり、その
うち少なくとも1つはCOOHで表わされる基であり、
aおよびbは、aとbとの成分比率の合計を100モル
%としたときに、それぞれ1〜99モル%の範囲内の値
である。]
【0019】
【化6】
【0020】[一般式(4)中、R1〜R9、繰り返し数
n、およびa、bは、一般式(3)の内容と同様であ
る。]
【0021】部分加水分解量 また、カルボン酸エステルの加水分解量については、
(A)成分と、(B)成分との間の相溶性や、反応性を
考慮して定めることが好ましいが、例えば、加水分解前
の開環ノルボルネン系樹脂が有するカルボン酸エステル
量を100モル%とした場合に、加水分解後の開環ノル
ボルネン系樹脂が有する残基としてのカルボン酸エステ
ル量を、10〜99モル%の範囲内の値とすることが好
ましい。この理由は、加水分解後のカルボン酸エステル
量が、10モル%未満となると、生成するCOOH量が
多くなり、得られる熱硬化性樹脂組成物の保存安定性が
低下する場合があるためである。一方、加水分解後のカ
ルボン酸エステル量が、95モル%を超えると、生成す
るCOOH量が少なくなり、(A)成分と(B)成分と
の間の相溶性や、反応性が著しく低下する場合があるた
めである。したがって、得られる熱硬化性樹脂組成物の
保存安定性と、反応性とのバランスがより良好となるた
め、加水分解後のカルボン酸エステル量を、50〜99
モル%の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜
95モル%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0022】分子量 また、(A)成分の分子量についても特に制限されるも
のではないが、GPCにより測定されるポリスチレン換
算の重量平均分子量を、例えば、1,000〜1,00
0,000の範囲内の値とすることが好ましい。この理
由は、かかる重量平均分子量が1,000未満となる
と、得られる組成物の粘度が低すぎて取り扱いが困難に
なったり、硬化物としての物性(ガラス転移温度、靭性
など)が低下する場合があるためであり、一方、重量平
均分子量が1,000,000を超えると、得られる熱
硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて、逆に取り扱
いが困難となったり、あるいは(B)成分との相溶性が
低下する場合があるためである。したがって、得られる
熱硬化性樹脂組成物の取り扱い性がより良好となること
から、(A)成分の重量平均分子量を、2,000〜5
00,000の範囲内の値とすることがより好ましく、
5,000〜100,000の範囲内の値とすることが
さらに好ましい。なお、このように重量平均分子量を調
節するために、(A)成分の重合時に、例えば、1−ヘ
キセン等の分子量調整剤を用いることが好ましい。
【0023】(2)(B)成分 種類 (B)成分は、一分子中に少なくとも二以上のエポキシ
基を有する化合物であれば特に制限されないが、耐熱性
が比較的良好なエポキシ樹脂が好ましい。このようなエ
ポキシ樹脂としては、具体的には、フェノールノボラッ
ク樹脂型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂型エ
ポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラ
フェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型
エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹
脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂
等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられ
る。
【0024】添加量 また、(B)成分の添加量を、(A)成分100重量部
に対して、1〜500重量部の範囲内の値とすることが
好ましい。この理由は、かかる(B)成分の添加量が1
重量部未満となると、熱硬化性が不充分となり、所定の
耐熱性が得られない場合があるためである。一方、
(B)成分の添加量が500重量部を超えると、得られ
た硬化物の誘電特性等が低下する場合があるためであ
る。したがって、得られた硬化物の耐熱性と、誘電特性
等とのバランスがより良好となるため、かかる(B)成
分の添加量を、5〜100重量部の範囲内の値とするこ
とがより好ましく、10〜50重量部の範囲内の値とす
ることがさらに好ましい。
【0025】(3)(C)成分 種類 (C)成分は、(B)成分が有するエポキシ基の硬化剤
であり、その種類は特に制限されるものではないが、例
えば、アミン類、フェノール類、カルボン酸無水物類等
の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
このような硬化剤を添加することにより、(B)成分の
有するエポキシ基の反応をより効率的に行うことができ
る。
【0026】添加量 また、(C)成分の添加量についても、特に制限される
ものではないが、例えば、(B)成分のエポキシ基1.
0モルに対して、かかる硬化剤の使用量(硬化剤が有す
る官能基を考慮して)を0.1〜1.0モル当量の範囲
内の値とするのが好ましい。この理由は、硬化剤の使用
量が0.1モル当量未満となると、(B)成分に対する
硬化性が著しく低下する場合があるためであり、一方、
硬化剤の使用量が1.0モル当量を超えると、反応性を
制御することが困難となり、(B)成分における保存安
定性が低下する場合があるためである。
【0027】硬化促進剤 また、必要に応じて、(C)成分とともに、硬化促進剤
を使用することも好ましい。このような硬化促進剤とし
ては、例えば、有機ボロン、有機ホスフィン、三級アミ
ン類、イミダゾール類、グアニジン類、およびこれらの
塩等が挙げられる。また、硬化促進剤の使用量を、
(B)成分100重量部に対して、0.1〜10重量部
の範囲内の値とするのが好ましく、0.5〜5重量部の
範囲内の値とするのがより好ましい。
【0028】(4)(D)成分 種類 (D)成分は、ゴム成分であり、酸化剤による表面粗化
処理を可能とし、金属箔との密着力を向上させるため
や、あるいは、得られる硬化物の柔軟性や靭性を向上さ
せるために添加される。例えば、表面粗化処理する場
合、添加したゴム成分を、酸化剤により低分子化して取
り出し、表面に、例えば0.1〜3μm程度の微細な凹
凸を形成するものである。また、ゴム成分は、硬化時
に、一部相分離して、微細な凹凸を表面に形成する場合
があるという働きも有している。このようなゴム成分と
しては、ポリブタジエンゴム、ウレタン変性ポリブタジ
エンゴム、エポキシ変性ポリブタジエンゴム、アクリロ
ニトリル変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基含有
ブタジエンゴムおよびそれらの架橋ゴム粒子等の一種単
独または二種以上の組み合わせが挙げられる。特に、カ
ルボキシル基含有ブタジエンゴムであれば、予め(B)
成分が有するエポキシ基に対してプレリアクトできるた
め、相分離を有効に防止できることから好ましい。
【0029】添加量 また、(D)成分のゴム成分の使用量についても、特に
制限されるものではないが、熱硬化性樹脂組成物の固形
分の全体量を100重量部としたときに、(D)成分の
使用量を100重量部以下の値とするのが好ましい。こ
の理由は、(D)成分の使用量が100重量部を超える
と、得られる硬化物の耐熱性や、耐薬品性が低下する場
合があるためである。したがって、酸化剤による表面粗
化処理性や、硬化物の耐熱性等とのバランスがより良好
なことから、(D)成分の使用量を、熱硬化性樹脂組成
物の固形分の全体量を100重量部としたときに、0〜
50重量部の範囲内の値(但し、0を除く。)とするの
がより好ましく、0〜30重量部の範囲内の値(但し、
0を除く。)とするのがさらに好ましい。なお、表面粗
化処理に使用する酸化剤の種類は特に制限されるもので
はないが、例えば、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オ
ゾン、過酸化水素、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。
【0030】(5)(E)成分 種類 (E)成分としての有機溶媒は、熱硬化性樹脂組成物の
取り扱い性を向上させたり、粘度や保存安定性を調節す
るために添加される。このような有機溶媒の種類は、特
に制限されるものではないが、例えば、エチレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコー
ルモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコー
ルモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ
エチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエ
ーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の
プロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピ
レングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコー
ルジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピル
エーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等の
プロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレ
ングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレ
ングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピ
レングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロ
ピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ
類、ブチルカルビトール等のカルビトール類;乳酸メチ
ル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル
等の乳酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、
酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、
酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプ
ロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブ
チル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプ
ロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、
3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピ
オン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等
の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタ
ノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−ジメチルホ
ルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;
γ−ブチロラクン等のラクトン類を挙げることができ
る。これらの有機溶媒は、一種単独で使用することも好
ましいが、あるいは二種以上を混合して使用することも
好ましい。
【0031】使用量 また、(E)成分としての有機溶媒の使用量について
も、特に制限されるものではないが、熱硬化性樹脂組成
物の固形分の全体量を100重量部としたときに、有機
溶媒の使用量を1,000重量部以下の値とすることが
好ましい。この理由は、有機溶媒の使用量が1,000
重量部を超えると、熱硬化性樹脂組成物を塗布した場合
の乾燥性が乏しくなる場合があるためである。したがっ
て、かかる熱硬化性樹脂組成物の塗布性や乾燥性とのバ
ランスがより良好なことから、有機溶媒の使用量を、熱
硬化性樹脂組成物の固形分の全体量を100重量部とし
たときに、20〜900重量部の範囲内の値とするのが
より好ましく、30〜800重量部の範囲内の値とする
のがさらに好ましい。
【0032】(6)添加剤 熱硬化性樹脂組成物中に、添加剤として、高分子添加
剤、反応性希釈剤、ラジカル性光重合開始剤、光増感
剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性
改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、帯電防止剤、無機充填剤、防カビ剤、調湿剤、染料
溶解剤、緩衝溶液、キレート剤、難燃剤等の一種単独ま
たは二種以上の組合せを含有させることも好ましい。
【0033】(7)硬化方法 使用形態 熱硬化性樹脂組成物の使用形態としては、例えば、ワニ
スやドライフィルムとして用いる場合が考えられるが、
ワニスとして用いる場合、硬化させるにあたり、調整さ
れた熱硬化性樹脂組成物の粘度を10〜10,000c
P(測定温度:25℃、以下、同様である。)の範囲内
の値とするのが好ましい。この理由は、粘度がこの範囲
外となると、熱硬化性樹脂組成物の取り扱い性や保存安
定性が低下したり、あるいは、均一な厚さを有する塗膜
を形成することが困難となる場合があるためである。例
えば、ガラス布に含浸させる場合、この範囲外の粘度と
なると、ガラス布に均一に付着させることが困難となっ
たり、あるいはプリプレグに気泡を巻き込むなどの問題
が生じる場合がある。したがって、熱硬化性樹脂組成物
の粘度を、100〜8,000cPの範囲内の値とする
のがより好ましく、100〜5,000cPの範囲内の
値とするのがさらに好ましい。 塗布 熱硬化性樹脂組成物を硬化させるにあたり、粘度を調整
した熱硬化性樹脂組成物を、基材等に塗布することが好
ましい。このような塗布方法としては、公知の塗布方法
を使用することができ、例えば、ディッピング法、スプ
レー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート
法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリ
ーン法、またはインクジェット法等の塗布方法を用いる
ことが好ましい。
【0034】硬化条件 また、熱硬化性樹脂組成物の硬化条件についても特に制
限されるものではないが、硬化物の用途に応じて、例え
ば、80〜200℃の温度で、10分〜48時間の条件
で硬化することが好ましい。このような硬化条件であれ
ば、加熱設備として一般的なオーブンや、赤外線炉等を
使用することができ、しかも、硬化時間が過度に長くな
ることがない。ただし、より短時間で加熱硬化させるた
めには、例えば、130〜200℃の温度で、10分〜
12時間の条件で硬化することが好ましい。また、硬化
を十分に行ったり、あるいは気泡の発生を効率的に防止
するために、二段階で加熱することも好ましい。例え
ば、第一段階では、80〜130℃未満の温度で、2〜
48時間の条件で加熱し、第二段階では、130〜20
0℃の温度で、10分〜12時間の条件で加熱すること
が好ましい。
【0035】(8)硬化物の特性 電気絶縁性(体積抵抗率) 熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の電気絶縁性
(体積抵抗率)を1×1014〜1×1017Ω・cmの
範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる
体積抵抗率が1×1014Ω・cm未満となると、電気絶
縁性が低下し、熱硬化性樹脂組成物の層間絶縁膜用材料
や半導体封止用材料、あるいは半導体アンダーフィル用
材料等の用途への使用が制限される場合があるためであ
る。一方、かかる体積抵抗率が1×1017Ω・cmを超
えると、熱硬化性樹脂組成物に使用可能な材料の種類が
過度に制限される場合があるためである。したがって、
電気絶縁性と、使用材料の制限とのバランスがより良好
な点から、硬化物の体積抵抗率を1×1015〜1×10
17Ω・cmの範囲内の値とすることがより好ましく、5
×1015〜5×1016Ω・cmの範囲内の値とすること
がさらに好ましい。なお、ガラスクロスに含浸させたビ
スフェノールタイプのエポキシ樹脂およびアミン化合物
からなる熱硬化樹脂を硬化させた場合、得られる硬化物
の体積抵抗率は、通常、1×1014〜1×1016Ω・c
mの範囲内の値であることが知られている。
【0036】比誘電率 また、熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の比誘電
率(周波数1MHz)を2.0〜3.5以下の範囲内の
値とすることが好ましい。この理由は、かかる比誘電率
が2.0未満となると、熱硬化性樹脂組成物に使用可能
な材料の種類が過度に制限される場合があるためであ
り、一方、3.5を超えると、高周波損失が大きくなっ
たり、インピーダンスマッチングが困難となり、熱硬化
性樹脂組成物を層間絶縁膜用材料や半導体封止用材料等
に使用できない場合があるためである。したがって、高
周波損失等と、使用材料の制限とのバランスがより良好
な点から、硬化物の比誘電率(周波数1MHz)を2.
0〜3.4の範囲内の値とすることがより好ましく、
2.0〜3.3の範囲内の値とすることがさらに好まし
い。なお、ガラスクロスに含浸させたビスフェノールタ
イプのエポキシ樹脂およびアミン化合物からなる熱硬化
樹脂を硬化させた場合、得られる硬化物の比誘電率(周
波数1MHz)は、通常、4.4〜4.8の範囲内の値
であることが知られている。
【0037】誘電正接 熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の誘電正接(周
波数1MHz)を0.001〜0.03の範囲内の値と
することが好ましい好ましい。この理由は、誘電正接の
値が0.001未満となると、熱硬化性樹脂組成物に使
用可能な材料の種類が過度に制限される場合があるため
であり、一方、0.03を超えると、高周波損失が大き
くなったり、インピーダンスマッチングが困難となり、
層間絶縁膜用材料や半導体封止用材料に使用できない場
合があるためである。したがって、高周波損失等と、使
用材料の制限とのバランスがより良好な点から、硬化物
の誘電正接(周波数1MHz)を0.002〜0.02
の範囲内の値とすることがより好ましく、0.002〜
0.01の範囲内の値とすることがさらに好ましい。な
お、ガラスクロスに含浸させたビスフェノールタイプの
エポキシ樹脂およびアミン化合物からなる熱硬化樹脂を
硬化させた場合、得られる硬化物の誘電正接(周波数1
MHz)は、通常、0.017〜0.15の範囲内の値
であることが知られている。
【0038】(9)硬化物の形態 硬化物の形態は特に制限されるものでなく、用途に応じ
て、シート状、塊状、線状等の種々の形態を採ることが
できる。例えば、半導体保護膜用材料、回路保護用材
料、回路基材材料、平坦化膜材料、電気絶縁用フィル
ム、コンデンサフィルム等の用途に使用する場合には、
0.1μm〜10mm程度の厚さを有するシート状とす
ることが好ましい。また、半導体封止用材料、半導体ア
ンダーフィル用材料、液晶封止用材料等の用途に使用す
る場合には、半導体素子や液晶ディスプレイ等を覆うよ
うな塊状や線状とすることが好ましい。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に
説明する。なお、実施例中の部および%は、特に断らな
い限り重量部および重量%である。
【0040】[合成例1] 開環ノルボルネン系樹脂の合成 攪拌機、還流冷却器、および三方コックを備えたセパラ
ブルフラスコ内を窒素置換した後、窒素気流下に、8−
メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン100重量部と、
分子量調整剤としての1−ヘキセン33重量部と、トル
エン200重量部とを仕込み、80℃に加熱した。次い
で、セパラブルフラスコ内に、メタセシス触媒として、
トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度1.5モ
ル/リットル)0.17重量部と、六塩化タングステン
のトルエン溶液(濃度0.05モル/リットル)1.0
重量部とをそれぞれ加え、攪拌しながら、80℃、3時
間の条件で反応させ、下記式(5)で表わされる開環ノ
ルボルネン系樹脂(A−1と称する。)を得た。なお、
A−1の収率は67重量%であった。
【0041】
【化7】
【0042】開環ノルボルネン系樹脂の水添処理 オートクレーブ内に、得られたA−1 400重量部
と、水素添加触媒としてクロロヒドロカルボニルトリフ
ェニルホスフィンルテニウム0.075重量部とを添加
した後、ゲージ圧で水素ガス圧力9.8×10Pa、
温度165℃、4時間の条件で開環ノルボルネン系樹脂
に対して水素添処理を行い、反応溶液とした。次いで、
この反応溶液400重量部と、トルエン100重量部
と、乳酸0.71重量部と、水1.15重量部とを別の
反応容器に仕込み、温度60℃で、30分間攪拌した
後、メチルアルコールを260重量部添加して、温度6
0℃で、さらに60分間攪拌した。その後、反応容器内
の温度を室温まで冷却し、メチルアルコール相(貧溶媒
相)と、樹脂溶液相(良溶媒相)とに分離させた。この
樹脂溶液相のみを取り出し、メチルアルコールによる抽
出操作を5回繰り返し、樹脂のみを回収した。次いで、
得られた樹脂をテトラヒドロフランに再溶解させた後、
大量のメチルアルコールにより、再凝固させ、さらに減
圧下に乾燥して、精製樹脂を得た。この精製樹脂につ
き、NMR測定を行い、不飽和結合に対する水素添加率
が100%であり、下式(6)で表わされる化合物が生
成していることを確認した。また、GPCにより、ポリ
スチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、1
5,000であった。この精製樹脂をA−2とする。
【0043】
【化8】
【0044】開環ノルボルネン系樹脂の加水分解処理 反応容器内に、得られたA−2 100重量部と、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル200重量部と、
蒸留水100重量部と、水酸化カリウム3重量部とを仕
込み、窒素気流中で、A−2に含まれるメチルエステル
部分の加水分解を12時間行った。次いで、反応容器を
冷却した後、加水分解反応液を、水酸化カリウムに対し
て1.1当量の蓚酸2水和物を溶解した水溶液中に滴下
して、下式(7)で表される加水分解反応物(A−3と
称する)を凝固させた。得られたA−3につき、赤外吸
収スペクトルを測定し、加水分解前のメチルエステル基
量を100モル%とした場合に、メチルエステル基の加
水分解率が20モル%であることを確認した。
【0045】
【化9】
【0046】[合成例2]合成例1と同様の操作条件
で反応を行い、式(5)で表される開環ノルボルネン系
樹脂(A−1)を得た。得られたA−1 100重量部
と、プロピレングリコールモノメチルエーテル200重
量部と、蒸留水100重量部と、水酸化カリウム3重量
部とを仕込み、窒素気流中で、A−1に含まれるメチル
エステル部分の加水分解を12時間行った。次いで、反
応容器を冷却した後、加水分解反応液を、水酸化カリウ
ムに対して1.1当量の蓚酸2水和物を溶解した水溶液
中に滴下して、下式(8)で表される加水分解反応物
(A−4と称する)を凝固させた。得られたA−4につ
き、赤外吸収スペクトルを測定し、加水分解前のメチル
エステル基量を100モル%とした場合に、メチルエス
テル基の加水分解率が23モル%であることを確認し
た。
【0047】
【化10】
【0048】[実施例1]合成例1で得られたA−3
100重量部と、o−クレゾールノボラック樹脂型エ
ポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名EOCN−10
4S、エポキシ樹脂1と略記する。)30重量部と、2
−エチルイミダゾール(IMZと略記する。) 5重量
部とを、トルエン60重量部に対して溶解させた。得ら
れた溶液をSUS基板に乾燥後の厚さが、20μmにな
るように均一に塗布した後、オーブンを用いて、80℃
で30分間加熱し、さらに150℃で、3時間加熱し、
透明な硬化膜を得た。得られた硬化膜につき、JIS
C6481に準拠して、体積抵抗率、比誘電率(周波数
1MHz)、誘電正接(周波数1MHz)および相溶性
をそれぞれ測定した。得られた結果を表1(表1−1お
よび表1−2、以下同様)に示す。なお、表1中、相溶
性の項目において、○は相分離を起こさなかった場合を
意味し、×は相分離を起こした場合を意味する。
【0049】[実施例2]合成例1で得られたA−3
100重量部と、ジシクロペンタジエン−フェノール
縮合物のエポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名XD
−1000L、エポキシ樹脂2と略記する。)40重量
部と、IMZ 5重量部とを、トルエン65重量部に対
して溶解させた。得られた溶液をSUS基板に乾燥後の
厚さが、20μmになるように均一に塗布した後、オー
ブンを用いて、80℃で30分間加熱し、さらに150
℃で、3時間加熱し、透明な硬化膜を得た。得られた硬
化膜は実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1
に示す。
【0050】[実施例3〜4]実施例3では、実施例2
におけるエポキシ樹脂2の添加量を、40重量部から1
0重量部に、実施例4では、エポキシ樹脂2の添加量
を、40重量部から50重量部としたほかは、実施例2
と同様にして、透明な硬化膜を作成した。得られた硬化
膜は実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に
示す。
【0051】[実施例5〜6]実施例5では、合成例2
で得られたA−4 100重量部と、エポキシ樹脂24
0重量部と、IMZ 5重量部とをトルエン65重量部
に、実施例6では、A−4 100重量部と、エポキシ
樹脂2 50重量部と、IMZ 5重量部とをトルエン
65重量部にそれぞれ溶解させた。それぞれ得られた溶
液をSUS基板に乾燥後の厚さが、20μmになるよう
に均一に塗布した後、オーブンを用いて、80℃で30
分間加熱し、さらに150℃で、3時間加熱し、透明な
硬化膜を得た。得られた硬化膜は実施例1と同様に評価
した。得られた結果を表1に示す。
【0052】[比較例1]合成例1で使用するモノマー
を、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンから2−
ノルボルネンにした以外は、合成例1と同様に開環ノル
ボルネン系樹脂(a―1と称する)を得た。得られたa
―1を用いて実施例2と同様にして硬化膜を得た。得ら
れた硬化膜は実施例1と同様に評価した。得られた結果
を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物によれば、
極性基を有する開環ノルボルネン系樹脂と、エポキシ樹
脂等との相溶性が優れていることにより、これらの化合
物を均一に混合することができるようになった。したが
って、エポキシ基を開環ノルボルネン系樹脂内に導入す
ることなく、開環ノルボルネン系樹脂と、エポキシ系樹
脂等とを均一に混合できるとともに、一部反応させるこ
とができ、透明な熱硬化性樹脂組成物が得られるように
なった。
【0056】また、本発明によれば、このような熱硬化
性樹脂組成物を熱硬化することにより、誘電特性に優
れ、しかも透明な硬化物が得られるようになった。した
がって、多層回路基板における層間絶縁膜等に用いた場
合にも、優れた電気絶縁性が得られるとともに、高周波
損失を低下させることができる。また、極性基を有する
開環ノルボルネン系樹脂およびエポキシ樹脂等の添加量
を任意に制御することにより、得られる硬化物の電気的
特性や、物理的特性を幅広く調整することができるよう
になった。したがって、用途に応じて、適した特性を有
する硬化物を提供することが容易になった。
【0057】なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、優
れた誘電特性や電気絶縁性等の特性を生かして、電子部
品用材料として広く使用することができる。したがっ
て、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、半導体封止用材
料、半導体アンダーフィル用材料、半導体保護膜用材
料、液晶封止用材料、回路保護用材料、回路基材材料、
平坦化膜材料、電気絶縁用プリプレグ、電気絶縁用フィ
ルム、コンデンサフィルム等の用途に好適に使用するこ
とができる。
フロントページの続き (72)発明者 岩永 伸一郎 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CD00X CD05X CD06X CD07X CE00W EJ016 EL136 EN016 EN026 FD146 FD150 GQ01 GQ05 4J032 CA34 CA35 CA36 CB01 CB04 CC07 CD03 CD09 CE03 4J036 AA01 AC02 AC03 AF01 AF06 AF07 AF08 AK02 DB05 DB15 DC02 DC03 DC05 DC34 DC41 DD07 GA06 JA07 JA11 JA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)成分として、下記一般式(1)お
    よび一般式(2)あるいはいずれか一方の一般式で表わ
    される開環ノルボルネン系樹脂と、(B)成分として、
    一分子中に少なくとも二以上のエポキシ基を有する化合
    物とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。 【化1】 [一般式(1)中、R1〜R4は、相互に独立であり、水
    素原子、アルキル基、アリール基、またはCOOR
    5(R5は、水素原子、アルキル基またはアリール基であ
    る。)で表わされる基であり、そのうち少なくとも1つ
    はCOOR5で表わされる基であり、繰り返し数nは、
    0、1または2である。] 【化2】 [一般式(2)中、R1〜R、繰り返し数nは、一般
    式(1)の内容と同様である。]
  2. 【請求項2】 前記(B)成分が、エポキシ樹脂である
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 (C)成分として、前記(B)成分の硬
    化剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記
    載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記(A)成分が、部分加水分解物であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載
    の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱
    硬化性樹脂組成物を、熱硬化してなる硬化物。
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