JP2001139367A - ベータ・アルミナ焼結体の製造方法、及び、ベータ・アルミナ焼結体 - Google Patents

ベータ・アルミナ焼結体の製造方法、及び、ベータ・アルミナ焼結体

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JP2001139367A
JP2001139367A JP32104499A JP32104499A JP2001139367A JP 2001139367 A JP2001139367 A JP 2001139367A JP 32104499 A JP32104499 A JP 32104499A JP 32104499 A JP32104499 A JP 32104499A JP 2001139367 A JP2001139367 A JP 2001139367A
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Hideki Uematsu
秀樹 上松
Hiroki Sugiura
宏紀 杉浦
Satoshi Iio
聡 飯尾
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 仮焼工程を経ずに反応焼結によってベータ・
アルミナ焼結体を製造するベータ・アルミナ焼結体の製
造方法において、β”−アルミナの生成率及び機械的強
度の高いベータ・アルミナ焼結体を、容易にかつ安価に
製造可能とする。 【解決手段】 SSSDプロセスにおいて、αアルミナ
がβ−アルミナまたは/及びβ”−アルミナに変化する
900℃〜1300℃の温度範囲に、2℃/min以下
の低速で昇温する第1低速昇温域を設けることにより、
β”−アルミナの生成率及び機械的強度の高いアルミナ
焼結体が得られる。また、この第1低速昇温域の他に、
1400℃から焼結体の相対密度が95%に達する温度
までの間に、2℃/min以下の低速で昇温する第2低
速昇温域を更に設けることにより、一層優れた上記特性
を有するアルミナ焼結体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベータ・アルミナ
焼結体及びその製造方法に関し、詳しくは、Na−S電
池、Na−溶融塩電池、AMTEC(Alkali Metal The
rmo-Erectric Convertor)、SOX センサ等に好適な高
強度で高いナトリウムイオン伝導性をもったベータ・ア
ルミナ焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Na2 O・xAl23 (x=5〜1
1)の組成式で表されるベータ・アルミナ焼結体は、高
いナトリウムイオン伝導性を有するため、Na−S電
池、Na−溶融塩電池、各種センサ用の固体電解質等と
して使用されている。特にNa−S電池においてベータ
・アルミナ焼結体は、次のように有底円筒状の固体電解
質管として用いられ、陰極活物質である金属ナトリウム
と陽極活物質の硫黄(多硫化ナトリウム)とのセパレー
タとしての役目も果たしている。
【0003】ここで、Na−S電池の構造の一例を、図
1に基づいて説明する。図1の断面図に示すように、N
a−S電池は、防食処理金属からなる(陽極側の)電槽
1内に、ベータ・アルミナ焼結体からなる固体電解質管
3が配置されており、この固体電解質管3の内側にナト
リウム5が充填されると共に、固体電解質管3の外側に
硫黄7が充填されている。
【0004】この固体電解質管3の上部の開口端部に
は、断面L字状のαアルミナからなる絶縁リング9が接
合され、絶縁リング9の上部には、固体電解質管3の上
方を覆う金属からなる(陰極側の)蓋11が接合されて
いる。なお、蓋11の中央の内側には、銅からなる(陰
極となる)中心電極13が取り付けられ、この中心電極
13の下端がナトリウム5内に挿入されている。
【0005】つまり、固体電解質管3により、ナトリウ
ム5が充填された陰極室15と硫黄7が充填された陽極
室17とが分離されている。この場合、固体電解質管3
は、Na−S電池の組み立て中、及びその使用中に様々
な応力を受ける。そして、固体電解質管3が破損する
と、ナトリウム5と硫黄7とが直接接触して反応を起こ
す可能性がある。このため、固体電解質管3を構成する
ベータ・アルミナ焼結体としては、応力集中にも充分耐
え得る高強度で、高いナトリウムイオン伝導性をもった
ものを使用することが望まれる。
【0006】ベータ・アルミナには、β−アルミナ(理
論組成Na2 O・11Al23 )とβ”−アルミナ
(理論組成Na2 O・5.3Al2 3 )との2種類の
結晶形が存在し、β”−アルミナの方がナトリウムイオ
ン伝導性が高く電池用の固体電解質として高性能を示
す。このため、Na−S電池には、β”−アルミナ単相
のものが使用されている。β”−アルミナの理論組成は
Na2 O・5.3Al2 3 で示されるが、実際の組成
はNa2 O・xAl2 3 (x=5〜9)と広がりをも
っている。また、β”−アルミナは準安定物質であるた
め、Li2 OやMgOを構造安定化剤として添加して使
用される。
【0007】ベータ・アルミナ焼結体の製造方法として
最も一般的な方法は、特公昭57−15063号公報に
記載のいわゆる「ゼータ・プロセス」である。この方法
は、アルミナ及び炭酸ナトリウムを混合・焼成して得ら
れたβ−アルミナ,β”−アルミナの2相混合物である
仮焼粉と、アルミナ及び炭酸リチウムを混合・焼成して
得られたゼータリチウムアルミネート(理論組成Li2
O・5Al2 3 )の結晶相を示す仮焼粉とを、再度混
合し、成形、焼結してβ”−アルミナを得る方法であ
る。ところが、この製造方法では、仮焼工程が最低2
回、更に焼成工程とアニール工程とを含めると最低でも
合計4回の加熱工程が必要となる。また、有機溶媒を使
用する混合工程や、仮焼粉の粉砕工程も多くなり、更
に、そのために特殊な設備が必要となって製造コストが
高くなるという課題があった。
【0008】そこで、このゼータ・プロセスを改良した
方法として、特開平6−116016号公報、特開平9
−221356号公報等に記載された製造方法が提案さ
れている。しかしながら、いずれの方法でもベータ・ア
ルミナの仮焼工程は必須となり、これによって製造工程
が複雑化し、β”−アルミナの製造コストを充分に低減
することはできなかった。
【0009】また、特開平8−337464号公報や、
特開平11−49562号公報には、ベータ・アルミナ
の仮焼工程を省略可能とした製造方法が提案されている
が、この場合も、リチウム源等の仮焼工程が必要とな
り、製造工程を充分に簡略化して製造コストを低減する
ことはできなかった。
【0010】仮焼工程を含まず、最も安価にベータ・ア
ルミナを製造することのできる理想的な方法として、S
SSDプロセス(Slurrg Solution on Spray Drying Pr
ocess)と呼ばれる製造方法が提案されている。この方
法は、水溶性のナトリウム塩と、同じく水溶性のリチウ
ム塩とを水溶媒中に完全に溶解し、更にアルミナ粉末を
加えてスラリを調整し、このスラリを噴霧乾燥して成形
顆粒を得る方法である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この方法で
製作した成形顆粒を加圧成形し、焼成して得られたベー
タ・アルミナ焼結体は、β”−アルミナの生成率や機械
的強度が低く、また、Naイオン伝導率の初期値も低く
不安定であった。このため、SSSDプロセスでは、N
a−S電池等の固体電解質として充分な特性を持った焼
結体を得ることは困難であった。
【0012】SSSDプロセスで得られるベータ・アル
ミナの特性を向上させるための提案も種々なされている
が、これまでの提案では、高価な原料や添加物を使用す
る必要が生じるなど、β”−アルミナの製造コストを充
分に低減することができない。また、特開平7−272
749号公報に記載のように、焼成スケジュールを検討
して特性の改善を図ることも検討されているが、充分な
機械的強度を確保するには到らなかった。これは、従来
のSSSDプロセスでは粗大粒が多く発生して、機械的
強度の低いベータ・アルミナ焼結体しか得られないため
と考えられる。
【0013】そこで、請求項1〜6記載の発明は、仮焼
工程を経ずに反応焼結によってベータ・アルミナ焼結体
を製造するベータ・アルミナ焼結体の製造方法におい
て、β”−アルミナの生成率及び機械的強度の高いベー
タ・アルミナ焼結体を、容易にかつ安価に製造可能とす
ることを目的としてなされた。また、請求項7記載の発
明は、容易にかつ安価に製造可能で、β”−アルミナの
生成率及び機械的強度の高いベータ・アルミナ焼結体を
提供することを目的としてなされた。
【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的
を達するためになされた請求項1記載の発明は、αアル
ミナと、ナトリウム化合物と、構造安定化剤としてのマ
グネシア化合物及び/またはリチウム化合物との混合粉
を、所定の焼成スケジュールに沿って焼成することによ
り、仮焼工程を経ずに反応焼結によってベータ・アルミ
ナ焼結体を製造するベータ・アルミナ焼結体の製造方法
であって、上記焼成スケジュールの、αアルミナがナト
リウムと反応してβ−アルミナまたは/及びβ”−アル
ミナに変化する温度範囲に、2℃/min以下の低速で
昇温する第1低速昇温域を設けたことを特徴としてい
る。
【0015】本発明では、β”−アルミナの構造安定化
剤としては、マグネシア化合物を使用しても、リチウム
化合物を使用しても、両者の混合物を使用してもよい。
本発明では、αアルミナと上記構造安定化剤との混合粉
を所定の焼成スケジュールに沿って焼成することにより
ベータ・アルミナ焼結体を製造するのであるが、その焼
成スケジュールの中には、αアルミナがナトリウムと反
応してβ−アルミナ、β”−アルミナ、または両者の混
合物に変化する温度範囲がある。本願出願人は、上記温
度範囲に2℃/min以下の低速で昇温する低速昇温域
を設けると、上記焼成温度付近で起こる粒成長が格段に
抑えられ、かつ、β”−アルミナの生成率及びナトリウ
ムイオン伝導率が向上することを見出した。
【0016】そこで、本発明では、αアルミナがナトリ
ウムと反応してβ−アルミナまたは/及びβ”−アルミ
ナに変化する温度範囲に、2℃/min以下の低速で昇
温する第1低速昇温域を設けている。このため、本発明
の製造方法では、高いβ”−アルミナの生成率及びナト
リウム伝導性を有すると共に粒成長が抑えられて高い機
械的強度を有するベータ・アルミナ焼結体を、容易に製
造することができる。しかも、本発明では、高価な原料
や添加物を使用することなく、焼成スケジュールの変更
によって上記のように優れたベータ・アルミナ焼結体を
安価にかつ大量に製造することができるので、そのベー
タ・アルミナ焼結体の製造コストも充分に低減すること
ができる。
【0017】請求項2記載の発明は、請求項1記載の構
成に加え、上記構造安定化剤としてリチウム化合物を用
いると共に、上記第1低速昇温域を、900℃〜130
0℃の温度範囲に設けたことを特徴としている。構造安
定化剤としてリチウム化合物を使用した場合、組成比,
構造安定化剤の種類,アルミナの性状等にも依存する
が、900℃〜1300℃の温度域において成形体中の
ほぼ全てのαアルミナがβ−アルミナ及びβ”−アルミ
ナに変化する。この温度域に上記第1低速昇温域を設け
ると、一般的に用いられる4℃/minで昇温した場合
と比較して、1300℃に達するまでに生成されるβ”
−アルミナの量が増加することが確認された。また、
β”−アルミナの生成率向上に加えて、上記反応の起こ
る温度域が低温側へ移行することが確認された。これ
は、低速昇温により、成形体内部の温度が均一化し、反
応の進行が一様になったためと考えられる。また、反応
が均一に進行することにより、粒成長の核となるナトリ
ウム成分の偏析部が減少し、その結果、粗大粒の成長が
格段に減少したと考えられる。
【0018】本発明では、構造安定化剤としてリチウム
化合物を用いると共に、上記第1低速昇温域を、900
℃〜1300℃の温度範囲に設けているので、請求項1
記載の発明の効果に加えて、β”−アルミナの生成率及
び機械的強度の高いベータ・アルミナ焼結体を、一層安
定して容易にかつ安価に製造することができるといった
効果が生じる。
【0019】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の構成に加え、上記焼成スケジュールの、β−アル
ミナがβ”−アルミナに変化する温度範囲にも、2℃/
min以下の低速で昇温する第2低速昇温域を設けたこ
とを特徴としている。β−アルミナがβ”−アルミナに
変化する温度範囲でも、2℃/min以下の低速で昇温
する低速昇温域を設けることにより、β”−アルミナの
生成反応を均一にかつ良好に進行させることができる。
そこで、本発明では、上記焼成スケジュールの、β−ア
ルミナがβ”−アルミナに変化する温度範囲にも、2℃
/min以下の低速で昇温する第2低速昇温域を設けて
いる。
【0020】従って、本発明では、請求項1または2記
載の発明の効果に加えて、β”−アルミナの生成率及び
ナトリウムイオン伝導率が一層優れたベータ・アルミナ
焼結体を製造することができるといった効果が生じる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の構成に加え、上
記構造安定化剤としてリチウム化合物を用いると共に、
上記第2低速昇温域を、1400℃から焼結体の相対密
度が95%に達する温度までの間に設けたことを特徴と
している。
【0021】本願出願人が調査した結果、β−アルミナ
がβ”−アルミナに変化する反応は900℃〜焼成温度
で起こっているものと考えられるが、構造安定化剤とし
てリチウム化合物を用いた場合、1400℃〜焼成温度
で最も盛んに起こる。この温度域は、αアルミナがβ−
アルミナ及びβ”−アルミナに変化したために一旦膨張
していた成形体が、収縮する温度域でもある。このた
め、この温度域に第2低速昇温域を設けることにより、
β”−アルミナの生成率を向上させるのみならず、上記
収縮に伴って発生する応力によって焼結体にクラックが
発生するのも防止することができる。
【0022】また、焼結体の相対密度が95%以上にな
っても上記低速昇温を継続すると、粗大粒の生成が起こ
り、機械的強度が低いベータ・アルミナ焼結体が得られ
る。そこで、本発明では、上記第2低速昇温域を、焼結
体の相対密度が95%に達する温度までの間に設けてい
る。
【0023】従って、本発明では、請求項3記載の発明
の効果に加えて、機械的強度の一層優れたベータ・アル
ミナ焼結体を製造することができるといった効果が生じ
る。請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに
記載の構成に加え、上記各低速昇温域の上限温度を、焼
結体の相対密度が95%以下である温度範囲に設けたこ
とを特徴としている。
【0024】請求項4に関連しても説明したように、焼
結体の相対密度が95%以上になっても上記低速昇温を
継続すると、粗大粒の生成が起こり、機械的強度が低い
ベータ・アルミナ焼結体が得られる。そこで、本発明で
は、上記各低速昇温域の上限温度を、焼結体の相対密度
が95%以下である温度範囲に設けている。
【0025】このため、本発明では、請求項1〜4のい
ずれかに記載の発明の効果に加えて、機械的強度の一層
優れたベータ・アルミナ焼結体を製造することができる
といった効果が生じる。請求項6記載の発明は、請求項
5記載の構成に加え、上記構造安定化剤としてリチウム
化合物を用いると共に、上記各低速昇温域を、900℃
から焼結体の相対密度が95%に達する温度までの間に
設けたことを特徴としている。
【0026】構造安定化剤としてリチウム化合物を使用
した場合、前述のように、αアルミナがβ−アルミナ及
びβ”−アルミナに変化する反応は900℃以上で発生
する。本発明では、構造安定化剤としてリチウム化合物
を用いると共に、上記各低速昇温域を、900℃から焼
結体の相対密度が95%に達する温度までの間に設けて
いるので、β”−アルミナの生成率を確実に向上させる
と共に、粗大粒の生成を確実に防止することができる。
従って、本発明では、請求項5記載の発明の効果に加え
て、機械的強度の優れたベータ・アルミナ焼結体を一層
安定して製造することができるといった効果が生じる。
【0027】請求項7記載の発明は、請求項1〜6のい
ずれかに記載のベータ・アルミナ焼結体の製造方法によ
って、製造されたことを特徴とするベータ・アルミナ焼
結体を要旨としている。請求項1〜6のいずれに記載の
ベータ・アルミナ焼結体の製造方法によっても、前述の
ように、β”−アルミナの生成率及び機械的強度の高い
ベータ・アルミナ焼結体を、容易にかつ安価に製造可能
とすることができる。従って、本発明のベータ・アルミ
ナ焼結体は、β”−アルミナの生成率が高くて優れたナ
トリウム伝導性を有し、機械的強度も優れていて製造コ
ストも安い。
【0028】従って、本発明のベータ・アルミナ焼結体
を利用すれば、Na−S電池、Na−溶融塩電池、AM
TEC、SOX センサ等の特性及び耐久性を向上させ、
それらの製造コストを低減することができるといった効
果が生じる。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を具体
的な実施例を挙げて説明する。なお、以下の実施例で
は、SSSDプロセスによってベータ・アルミナ焼結体
を製造しているが、仮焼工程を経ずに反応焼結によって
ベータ・アルミナ焼結体を製造する方法であれば、本発
明はSSSDプロセス以外の製造方法にも適用できる。
また、以下の実施例では、β”−アルミナの構造安定化
剤としてリチウム化合物を用いているが、マグネシウム
化合物等、他の構造安定化剤を用いることもできる。但
し、他の構造安定化剤を用いた場合、下記の温度範囲等
は変化する。
【0030】
【実施例】実施例では、後に掲載した表1に示す3種の
アルミナを用いた。このアルミナと、ナトリウム源とし
ての炭酸ナトリウムと、リチウム源としての酢酸リチウ
ムと、バインダと、分散剤とを、水を溶媒として混合
し、スラリとした。炭酸ナトリウムと酢酸リチウムとは
試薬一級を用いた。
【0031】αアルミナ、炭酸ナトリウム、酢酸リチウ
ムの混合量は、それぞれ酸化物重量換算でAl23
Na2 O:Li2 O=90.15:9.1:0.75と
した。一般的にベータ・アルミナの仕込み組成はAl2
3 :Na2 O:Li2 O=90.45:8.8:0.
75であるが、本願出願人が検討した結果、反応焼結の
場合、焼結時にナトリウム成分の蒸発が生じたり、ナト
リウム成分が不均一になり易いため、ナトリウム成分を
若干多く添加した。なお、本実施例ではαアルミナを用
いているが、本実施例では900℃以降に低速昇温を行
うので、この温度以下でαアルミナに変化する材料、例
えば、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム等を用い
てもよく、更には、無定型のアルミナ原料を用いても同
様の効果が発揮される。また、本実施例ではSSSDプ
ロセスを用いているため、ナトリウム源、リチウム源に
は水溶性の原料を用いているが、水溶性の化合物に限ら
ず他の原料を用いてもその効果は発揮される。
【0032】上記スラリを充分に混合した後、粉末乾燥
法を用いて成形用の造粒子を作製した。工業的に2次電
池の固体電解質としてベータ・アルミナ焼結体を使用す
る場合には、通常、有底円筒状(図1の固体電解質管3
参照)の焼結体を使用する。そこで、各実施例、各比較
例共に、成形圧1.5×103 kg/cm2 のCIP
(冷間静水圧プレス)にて有底円筒状の成形体を作製
し、各焼成スケジュールに沿って焼成して有底円筒状の
ベータ・アルミナ焼結体を作製し、それぞれ評価を行っ
た。
【0033】なお、ベータ・アルミナ焼結体の寸法は、
収縮率が各例で異なり若干のばらつきが生じるものの、
有底円筒状で内径22mmφ×外形25mmφ×200
mmLのサイズとなるようにした。また、焼成に際して
は、ナトリウム成分の蒸発を抑えるため、試験管形状の
MgOルツボにて焼結体を覆い、雰囲気を保持した。
【0034】各例のベータ・アルミナ焼結体の評価は、
以下の方法で行った。 (1)焼結体密度 作製した各例それぞれ10本のベータ・アルミナ焼結体
の密度を、アルキメデス法で測定し、測定値及び原料組
成から計算した理論密度より相対密度を計算した。 (2)内圧破壊強度 内圧破壊強度は、有底円筒状のベータ・アルミナ焼結体
の内壁面全体に均一に圧力印加していき、破壊した時点
での印加圧力と有底円筒のサイズから計算して求めた。
計算は、有底円筒状のベータ・アルミナ焼結体の内半径
をr1 、外半径をr2 、破壊した時点での印加圧力をp
とすると、内圧破壊強度σは次式により近似計算され
る。
【0035】σ=p(r22+r12)/(r22−r12) 各例それぞれ10本のベータ・アルミナ焼結体の内圧破
壊強度を計算した。 (3)ナトリウムイオン伝導率(比抵抗値) アルゴン雰囲気、350℃のグローブボックス中で、各
例それぞれ10本のベータ・アルミナ焼結体の円筒内側
と円筒外側とに金属ナトリウムを接触させ、該焼結体部
の抵抗値を4端子法で測定した。 (4)β”−アルミナ生成率 焼結体を粉砕して測定した粉末X線回折データのβ”相
(0 1 11)のピーク強度Iβ”とβ相(0 1 7) のピー
ク強度Iβから次式により計算した。
【0036】β”−アルミナ生成率=100・Iβ”/
(Iβ”+Iβ) (5)低速昇温終了時における焼結体の相対密度 昇温途中で焼成を止めて急冷することにより、昇温途中
の焼結体の相対密度を測定した。具体的には、調査した
い温度までは通常の焼成と同様に行い、目的の温度に達
すると同時に、約−30℃/minの速度で急冷した。
その後、室温まで冷却し、焼結体の相対密度を測定し
た。
【0037】
【表1】
【0038】試験結果を、表2〜表5に示す。先ず、表
2は、900℃〜1300℃の温度域における低速昇温
の影響をまとめたものである。
【0039】
【表2】
【0040】表2に示すように、試料番号1〜4は90
0℃〜1300℃において低速昇温を行った試料であ
る。それに対して、試料番号5は、低速昇温を行わずに
焼成を行った試料である。これを見ると、低速昇温を行
わなかった試料番号5に対して、2℃/min以下の低
速昇温を行った試料番号1〜3では、相対密度、内圧強
度、β”−アルミナ生成率、及び比抵抗値のいずれもが
向上していることが判る。試料番号4は、低速昇温域の
昇温速度を2.5℃/minとした試料であるが、大き
な特性向上には至っておらず、低速昇温の効果は2℃/
min以下の速度で表れることが判る。なお、表2に示
す試料1〜5では、いずれもAのアルミナを使用した。
【0041】表3に示す試料番号6〜9は、低温側の第
1低速昇温域(900℃〜1300℃)に加えて、高温
側の第2低速昇温域(1400℃〜1560℃)を設
け、更に、その昇温速度を変化させた試料である。
【0042】
【表3】
【0043】試料番号6〜7では、試料番号1(第1低
速昇温域の昇温速度が同じ)と比較して、相対密度,
β”−アルミナ生成率,及び比抵抗値が改善され、高温
側の低速昇温が相対密度,β”−アルミナ生成率,及び
比抵抗値の改善に効果があることが判る。しかしなが
ら、試料番号9では、試料番号1と比較して特性値に大
きな変化はなく、第2低速昇温も2℃/min以下の速
度で効果が現れることが判る。
【0044】また、表3の試料番号10,11は、第2
低速昇温域のみを設けた試料である。この結果より、第
1低速昇温域を設けずに第2低速昇温域のみを設ける
と、β”−アルミナ生成率及び相対密度はある程度向上
するものの、充分な特性値をもった焼結体が得られない
ことが判る。また、内圧強度は極端に低下することが判
る。これは、αアルミナからβ−アルミナ及びβ”−ア
ルミナに変化する温度域(第1低速昇温域)で低速昇温
を行わなかったために、粒成長が抑制されず、粗大粒を
基点に焼結体が崩壊したためである。
【0045】次に、表4は、第2低速昇温域の上限温度
を焼結体の相対密度が95%以下である温度範囲に設け
ることの効果を表したものである。
【0046】
【表4】
【0047】試料番号6,12,13はAのアルミナ、
試料番号14,15,16はBのアルミナ、試料番号1
7,18,19はCのアルミナを、それぞれ用いて試験
を行った。これらのアルミナは粒度が異なり、そのため
に焼結性に差が生じている。その結果、A,B,Cのア
ルミナでは、それぞれ焼結体の相対密度が95%に達す
る温度が異なっていることが判る。粒度の細かいアルミ
ナBを用いた試料では、相対密度が95%に達する温度
は1540℃であり、これ以上の温度まで低速昇温を継
続すると内圧強度が急激に低下している(試料番号1
5,16)。これは、低速昇温を長く行ったため粒成長
が起こり、粗大粒が生成して、そこを起点に破壊が起こ
ったためである。
【0048】また、中間的な粒度のアルミナAを用いた
場合に相対密度が95%に達する温度は1560℃であ
り、低速昇温を1580℃まで継続するとアルミナBを
用いたときと同様に急激な内圧強度の低下が見られる
(試料番号13)。更に、粒度の粗いアルミナCを用い
た場合、相対密度が95%に達する温度は1580℃で
あり、この温度まで低速昇温を継続した場合に最も良好
な特性が得られている(試料番号19)。以上の結果よ
り、低速昇温の上限温度は、焼結体の相対密度が95%
に達する温度以下に設定するのが望ましいことが判る。
【0049】
【表5】
【0050】表5の試料番号20〜22は、900℃〜
1560℃の全てを低速で昇温した試料である。試料番
号6〜17で試験した1400℃〜1560℃の第2低
速昇温域は、β−アルミナからβ”−アルミナへの変化
が盛んに起こる温度域であるが、低温側の第1低速昇温
域と高温側の第2低速昇温域との間の温度域において
も、僅かながらβ−アルミナからβ”−アルミナへの変
化は起こっている。そのため、この温度域も低速昇温す
ることにより、試料番号20では試料番号7よりも良好
な特性が得られている。また、試料番号21,22につ
いても低速昇温の効果が現れており、良好な特性値を有
する焼結体を得ることができる。
【0051】但し、低速昇温を長期間続けるとアルミナ
焼結体の製造効率は低下するので、アルミナ焼結体に求
められる特性との兼ね合いによって、第1低速昇温域と
第2低速昇温域とを分けるか否かを設定するのが望まし
い。以上の試験結果から明らかなように、SSSDプロ
セスにおいて、αアルミナがβ−アルミナまたは/及び
β”−アルミナに変化する900℃〜1300℃の温度
範囲に、2℃/min以下の低速で昇温する第1低速昇
温域を設けることにより、優れた特性を有するアルミナ
焼結体が得られることが判った。また、この第1低速昇
温域の他に、1400℃から焼結体の相対密度が95%
に達する温度までの間に、2℃/min以下の低速で昇
温する第2低速昇温域を更に設けることにより、一層優
れた特性を有するアルミナ焼結体が得られることが判っ
た。このようにして製造されたアルミナ焼結体は、β”
−アルミナの生成率が高くて優れたナトリウム伝導性を
有し、機械的強度も優れていて製造コストも安いので、
Na−S電池、Na−溶融塩電池、AMTEC、各種セ
ンサ等に利用すれば、その特性及び耐久性を向上させ、
それらの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ベータ・アルミナ焼結体が使用されるNa−
S電池の構成の一例を表す断面図である。
【符号の説明】
1…電槽 3…固体電解質管 5
…ナトリウム 7…硫黄 9…絶縁リング 1
1…蓋 13…中心電極 15…陰極室 1
7…陽極室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // H01M 10/39 G01N 27/58 B (72)発明者 飯尾 聡 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 2G004 ZA04 4G030 AA36 AA67 BA01 BA02 BA07 GA28 5G301 CA02 CA12 CA16 CA17 CA30 CD01 CE02 5H029 AJ11 AK05 AL13 AM14 AM15 CJ02 CJ08 HJ00 HJ08 HJ14

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 αアルミナと、ナトリウム化合物と、構
    造安定化剤としてのマグネシア化合物及び/またはリチ
    ウム化合物との混合粉を、所定の焼成スケジュールに沿
    って焼成することにより、仮焼工程を経ずに反応焼結に
    よってベータ・アルミナ焼結体を製造するベータ・アル
    ミナ焼結体の製造方法であって、 上記焼成スケジュールの、αアルミナがナトリウムと反
    応してβ−アルミナまたは/及びβ”−アルミナに変化
    する温度範囲に、2℃/min以下の低速で昇温する第
    1低速昇温域を設けたことを特徴とするベータ・アルミ
    ナ焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記構造安定化剤としてリチウム化合物
    を用いると共に、 上記第1低速昇温域を、900℃〜1300℃の温度範
    囲に設けたことを特徴とする請求項1記載のベータ・ア
    ルミナ焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記焼成スケジュールの、β−アルミナ
    がβ”−アルミナに変化する温度範囲にも、2℃/mi
    n以下の低速で昇温する第2低速昇温域を設けたことを
    特徴とする請求項1または2記載のベータ・アルミナ焼
    結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記構造安定化剤としてリチウム化合物
    を用いると共に、 上記第2低速昇温域を、1400℃から焼結体の相対密
    度が95%に達する温度までの間に設けたことを特徴と
    する請求項3記載のベータ・アルミナ焼結体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 上記各低速昇温域の上限温度を、焼結体
    の相対密度が95%以下である温度範囲に設けたことを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のベータ・ア
    ルミナ焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記構造安定化剤としてリチウム化合物
    を用いると共に、 上記各低速昇温域を、900℃から焼結体の相対密度が
    95%に達する温度までの間に設けたことを特徴とする
    請求項5記載のベータ・アルミナ焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のベータ
    ・アルミナ焼結体の製造方法によって、製造されたこと
    を特徴とするベータ・アルミナ焼結体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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