JP2001125474A - 体積ホログラム記録用感光組成物およびこれから得られるホログラム - Google Patents

体積ホログラム記録用感光組成物およびこれから得られるホログラム

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JP2001125474A
JP2001125474A JP30477399A JP30477399A JP2001125474A JP 2001125474 A JP2001125474 A JP 2001125474A JP 30477399 A JP30477399 A JP 30477399A JP 30477399 A JP30477399 A JP 30477399A JP 2001125474 A JP2001125474 A JP 2001125474A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた屈折変調率を与える体積ホログラム記録
用感光組成物及びそれを用いて製造された体積ホログラ
ムを提供する。 【解決手段】特定のラジカル重合性化合物(a)、光重
合開始剤(b)、および上記ラジカル性化合物と屈折率
の異なる化合物(c)を含んでなる体積ホログラム記録
用組成物において、上記ラジカル重合性化合物(a)を
10〜95重量%含むことを特徴とするホログラム記録
用感光組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体積ホログラム記
録用感光性組成物およびそれを用いて製造された体積ホ
ログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】ホログラムは波長の等しい2つの光であ
る物体光と参照光とを干渉させて物体光の波面を干渉縞
として感光材料に記録したもので、このホログラムに元
の参照光と同一条件の光を当てると干渉縞による回折現
象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できる。
【0003】干渉縞の記録形態によりホログラムはいく
つかの種類に分類されるが、近年、干渉縞を記録層部の
屈折率差で記録する、いわゆる体積ホログラムが、その
高い回折効率や優れた波長選択性により、三次元ディス
プレーや光学素子などの用途に応用されつつある。
【0004】このような体積ホログラムの記録に用いら
れる材料として、例えば特開平2−3081号公報、特
開平5−107999号公報、特開平6−301322
号公報に記載されているようなフォトポリマー系材料が
提案されている。これらは乾式プロセスで体積ホログラ
ムが記録できる特徴を有することから体積ホログラムの
工業的生産に適しているといえるが、ホログラムの明る
さに相当する屈折率変調について更なる向上が望まれて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた屈折
率変調を与える体積ホログラム記録用感光性組成物およ
びそれを用いて製造された体積ホログラムを提供するも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式I
で表されるラジカル重合性化合物(a)、光重合開始剤
(b)、および上記ラジカル重合性化合物と屈折率の異
なる化合物(c)を含んでなる体積記録用感光性組成物
において、上記ラジカル重合性化合物(a)を10〜9
5重量%含むことを特徴とする体積ホログラム記録用感
光性組成物を提供する。
【0007】
【化2】 (式中、Rは水素原子またはメチル基、Aはエチレン基
またはプロピレン基、Xはp−ビフェニリルメチリレン
基またはフルオレニリデン基を示し、m、nは各々1以
上であり、m+nは2.0〜8.0の範囲の数であ
る。) 本発明の好ましい態様において、上記光重合開始剤
(b)を0.1〜10重量%、および前記ラジカル重合
性化合物と屈折率の異なる化合物(c)とを4.9〜8
0重量%含み(a)+(b)+(c)が100重量%以
下であるものである。さらに好ましい態様において、上
記ラジカル重合性化合物と屈折率の異なる化合物(c)
が、カチオン重合性化合物、可塑剤または高分子結合剤
の中から選ばれた少なくとも1種以上であり、好ましく
はカチオン重合性化合物と高分子結合剤との2成分を用
い、光重合開始剤(b)としてシアニン系色素およびジ
アリールヨードニウム塩を使用するものである。加え
て、本発明は上記組成物を用いて製造されたホログラム
をも提供する。
【0008】
【実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の第1態様である体積ホログラム記
録用感光性組成物は、下記一般式Iで表されるラジカル
重合性化合物(a)、光重合開始剤(b)、および前記
ラジカル重合性化合物と屈折率の異なる化合物(c)を
含んでなる体積記録用感光性組成物において、前記ラジ
カル重合性化合物(a)を10〜95重量%含有する。
【0010】
【化3】 (式中、Rは水素原子またはメチル基、Aはエチレン基
またはプロピレン基、Xはp−ビフェニリルメチリレン
基またはフルオレニリデン基を示し、m、nは各々1以
上であり、m+nは2.0〜8.0の範囲の数であ
る。)
【0011】このラジカル重合性化合物(a)は通常、
フェノール性水酸基を有する骨格化合物に対し、公知の
方法でエチレンオキサイドを付加し、さらに末端のアル
コール性水酸基とアクリル酸あるいはメタクリル酸を、
公知の方法でエステル化させることで製造できる。
【0012】本発明で使用される一般式Iのラジカル重
合性化合物(a)の具体例としては、例えば下記の化合
物1〜4を挙げることが出来る。化合物1〜4の各化合
物は、m、n、が各々1以上であり、m+nが2.0〜
8.0の範囲でエチレンオキサイド鎖あるいはプロピレ
ンオキサイド鎖の繰り返し数が異なる化合物の混合物で
あってよい。
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】本発明の組成物において、上記化合物
(a)は10〜95重量%、好ましくは30〜60重量
%含有される。上記化合物含有量が10%を下まわると
記録された干渉縞が熱的に不安定となるため好ましくな
い。他方95重量%を越えると、屈折率変調を生じさせ
る(a)以外の成分が少なくなり、十分な屈折率変調が
得られず好ましくない。
【0018】本発明の組成物に含まれる光重合開始剤
(b)は、レーザー光またはコヒーレンス性の優れた光
の干渉によって生じる干渉縞を露光した際に活性ラジカ
ルを生成し、その活性ラジカルが上記ラジカル重合性化
合物を重合させるような光重合開始剤であればよい。そ
のような光重合開始剤は、一般に増感剤と活性ラジカル
発生化合物を組み合わせて使用される。光重合開始剤と
しては、例えば米国特許第4766055号、同第48
68092号、同4965171号、特開昭54−15
1024号公報、同58−15503号公報、同58−
29803号公報、同59−189340号公報、同6
0−76735号公報、特開平1−287105号公
報、特開平4−239505号及び「プロシーディング
ス・オブ・コンファレンス・オン・ラジエーション・キ
ュアリング・エイジア)(PROCEEDINGS O
F CONFERENCE ON RADIATION
CURING ASIA)」(P.461〜477、
1988年)等に記載されている公知の光重合開始剤が
使用出来るがこの限りでない。
【0019】ここで、光重合開始剤に起因するホログラ
ムの着色を抑える必要がある場合には、光重合開始剤を
構成する増感剤として光ブリーチング性のシアニン系色
素を使用することが好ましい。シアニン系色素の具体例
としては、アンヒドロ−3,3’−ジカルボキシメチル
−9−エチル−2,2’−チアカルボシアニンベタイ
ン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3’,9’−
ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,
3’,9−トリエチル−2,2’−チアカルボシアニン
・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3’−カルボキシメチ
ル−2,2’−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,
3’,9−トリエチル−2,2’−(4,5,4’,
5’−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−
[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−
プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチ
アゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,
3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−[[3−ア
リル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−
ジメチル−2−ヘンゾチアゾリリデン)−エチリデン−
2−チアゾリニリデン]メチル]3−エチル−4,5−
ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1’,3,
3,3’,3’−ヘキサメチル−2,2’−インドトリ
カルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’−ジエチル−2,
2’−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒド
ロ−1−エチル−4−メトキシ−3’−カルボキシメチ
ル−5’−クロロ−2,2’−キノチアシアニンベタイ
ン、アンヒドロ−5,5’−ジフェニル−9−エチル−
3,3’−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒド
ロキシド・トリエチルアミン塩が挙げられ、これらの1
種以上を使用してよい。
【0020】シアニン系色素と組み合わせて用いてもよ
い活性ラジカル発生化合物としては、上記の特開昭58
−29803号公報、特開平1−287105号公報、
特開平4−239505号公報に記載されているような
ジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置
換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光
性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用
が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム塩類の具
体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4’−ジ
クロロジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメトキシ
ジフェニルヨードニウム、4,4’−ジターシャリーブ
チルジフェニルヨードニウム、3,3’−ジニトロジフ
ェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラ
フルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキ
サフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネー
ト、トリフルオロメタンスルホン酸塩、9,10−ジメ
トキシアントラセン−2−スルホン酸塩などが例示され
る。又2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の
具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロ
ロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−ト
リス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−
1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメ
チル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,
3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナ
フチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,
3,5−トリアジンなどが例示される。
【0021】本発明の組成物では、上記光重合開始剤は
0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%含まれ
る。0.1%未満では、十分な感光性が得られないため
好ましくない。他方、10重量%を越えるとホログラム
記録後に残存する光開始剤が多くなるため、膜が着色し
たり、膜物性が低下するため好ましくない。
【0022】本発明の組成物では、上記のラジカル重合
性化合物(a)と光重合開始剤(b)に加えて、体積ホ
ログラムの屈折率変調を引き起こすための成分として上
記ラジカル重合性化合物と異なる屈折率を有する化合物
(c)が使用される。すなわちこの化合物(c)は、上
記ラジカル重合性化合物および光重合開始剤と相溶し、
さらにレーザー光またはコヒーレンス性の優れた光の干
渉によって生じる干渉縞を露光して上記ラジカル重合性
化合物が干渉縞明部で重合すると同時か、または重合し
た後に、ラジカル重合性化合物の濃度勾配などに起因す
る拡散によって、結果的に干渉縞の暗部に局在化できる
ものであればよい。そのような化合物(c)として特に
好ましいのは、以下に説明するカチオン重合性化合物、
可塑剤および高分子結合剤であり、これらは単独あるい
は複合して使用される。
【0023】本発明の組成物に含まれる、前記ラジカル
重合性化合物と異なる屈折率を有する化合物(c)とし
てのカチオン重合性化合物の具体例としては、ジグリセ
ロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール
ポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポ
キシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキ
サン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチ
ロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジ
グリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリ
シジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジル
エーテル、フェニルグリシジルエーテル、パラターシャ
リーブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジ
グリシジルエステル、オルソフタル酸ジグリシジルエス
テル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモ
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,
2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロー
ルパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,
4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロ
イソプロピル)ジフェニルエーテル、3,4−エポキシ
シクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘ
キサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキ
シルオキシラン、1,2,5,6−ジエポキシ−4,7
−メタノペルヒドロインデン、2−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジ
オキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレ
ンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメ
タン)、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘ
キシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘ
キサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス
(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレー
ト)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル)アジペート、ジ−2,3−エポキシシクロペンチル
エーテル、ポリ(ビスフェノールAジグリシジルエーテ
ル)、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、
1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキ
シ)メチル]ベンゼン、ビニル−2−クロロエチルエー
テル、ビニル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリ
コールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメ
タノールジビニルエーテル、トリメチロールエタントリ
ビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、あるいは
特開平8−160842号公報に記載されているような
シロキサン構造を有するカチオン重合性化合物が挙げら
れる。なお、これらのカチオン重合性化合物を使用する
場合は、カチオン重合開始剤として光または熱でプロト
ン酸やルイス酸を発生するような化合物を併用してよ
い。好ましいカチオン重合開始剤としては、ジアリール
ヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類ある
いは鉄アレン錯体類等を挙げることができる。なお、前
記の光重合開始剤としてジアリールヨードニウム塩を使
用する場合は、カチオン重合開始剤としての機能を兼務
させることができる。
【0024】一方、上記可塑剤の具体例としては、リン
酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン
酸トリフェニル及びリン酸トリクレシルのようなリン酸
エステル;フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタ
ル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−
オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸
ジイソノニル、フタル酸オクチルドデシル、フタル酸ジ
イソデシル及びフタル酸ブチルベンジルのようなフタル
酸エステル;オレイン酸ブチル及びグリセリンモノオレ
イン酸エステルのような脂肪族一塩基酸エステル;アジ
ピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−
n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、ア
ゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチ
ル及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルのような脂肪
族二塩基酸エステル;ジエチレングリコールジベンゾエ
ート及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチラ
ートのような二価アルコールエステル、アセチルリシノ
ール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフ
タリルブチルグリコレート及びアセチルクエン酸トリブ
チルのようなオキシ酸エステル、塩化パラフィン、塩素
化ビフェニル、2−ニトロビフェニル、ジノニルナフタ
レン、O−トルエンスルホンエチルアミド、P−トルエ
ンスルホンエチルアミド、ショウ脳及びアビエチン酸メ
チルなどが挙げられる。
【0025】さらに、上記高分子結合剤の具体例として
は、塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、
メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリル
の共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、
ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルピロリドン、エチルセルロース、アセチルセルロー
スなどが挙げられる。高分子結合剤は、その側鎖または
主鎖にカチオン重合性基などの反応性を有していても良
い。
【0026】上記ラジカル重合性化合物と異なる屈曲率
を有する化合物(c)は4.9〜80重量%、好ましく
は20〜50重量%で用いられてよい。上記化合物の含
有量が4.9重量%未満では屈折率変調が不十分となり
好ましくない。また、80重量%を越えると記録された
干渉縞が熱的に不安定になるか、あるいは十分な屈折率
変調が得られなくなり好ましくない。
【0027】本発明の感光性組成物組には、必要に応じ
てレベリング剤、消泡剤、熱重合禁止剤、酸化防止剤、
光安定剤、色素、顔料、有機微粒子などの任意成分を添
加してよい。
【0028】本発明の感光性組成物は通常の方法で調製
することができる。例えば上記の必須成分および任意成
分をそのままもしくは必要に応じて溶媒(例えばメチル
エチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケト
ン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコー
ルジアセテートなどのエステル系溶媒、トルエン、キシ
レンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、
メタノール、エタノール、プロパノール,n−ブタノー
ルなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオ
キサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロ
ロエタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒)を配合
し、冷暗所にて例えば高速撹拌機を使用して混合するこ
とにより調製できる。
【0029】本発明の感光性組成物を用いたホログラム
を記録する際の記録層は、上記感光性組成物を通常の方
法によりガラス板、ポリエチンテレフタレートフィル
ム、ポリエチレンフィルム、アクリル板などの透明な支
持体上に、アプリケーター、バーコーター、スピンコー
ター、ロールコーター、ダイコーター等を使用して塗布
し、必要に応じて乾燥することにより形成することがで
きる。塗布量は適宜選択されるが、例えば乾燥塗布量が
1g/m2〜50g/m2であってよい。さらに通常は、
この記録層の上に保護層としてポリエチレンテレフタレ
ートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレン
フィルムなどを設けて使用される。このように中間層が
本発明組成物による記録層である3層体を作製する別の
方法として、例えば、どちらか一方に剥離しやすい処理
が施されている2つのポリエチレンテレフタレートフィ
ルムの間に記録層を形成しておき、使用時に片方のフィ
ルムを剥離してその面を適当な支持体上にラミネートし
てもよい。また例えば2枚のガラス板の間に本発明組成
物を注入することもできる。
【0030】このように作製された記録層は、レーザー
光やコヒーレンス性の優れた光(例えば波長300〜1
200nm)による通常のホログラフィー露光装置によ
って前記ラジカル重合性化合物を重合させてその内部に
干渉縞が記録される。この段階で記録層中に屈折率変調
を生じさせることができるが、未反応のまま残っている
一部のラジカル重合性化合物を重合させたり、カチオン
重合性化合物と光カチオン重合開始剤を使用した場合に
は、後露光としてキセノンランプ、水銀灯、メタルハラ
イドランプなどの光源からの光をホログラムに全面露光
することでこれらの重合を完了させて、安定な体積ホロ
グラムとすることができる。なお、後露光の前に記録層
を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピー
ク波長、半値幅などを変化させることも可能である。
【0031】上記体積ホログラムは、例えばレンズ、回
折格子、干渉フィルター、ヘッドアップディスプレイ装
置、スクリーン、反射板、一般的な三次元ディスプレ
イ、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、
IDカードなどのメモリ材料、建築用窓ガラス、広告宣
伝媒体などに使用できる。
【0032】
【実施例】以下、実施例で本発明を具体的に説明する。
後述の各実施例及び各比較例で示される感光性組成物を
用いて、以下の方法で試験板を作製し、露光して各ホロ
グラムを得、この物性評価を以下の方法で行った。
【0033】試験板の作製 表1に示す組成で各成分をn−ブタノールとメチルイソ
ブチルケトンの混合溶媒(重量比1:1)に濃度が35
重量%になるように溶解して感光液を得た。この感光液
をアプリケーターを使用して16cm×16cmのガラ
ス板上に塗布し、90℃で5分間乾燥させた。さらにそ
の上に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィ
ルムをラミネートし、この板を3〜4cm角に分割して
試験板とした。
【0034】露光 干渉縞露光は、アルゴンイオンレーザーの514nm光
を用い、試験板の法線に対して入射角0°と135°で
2光束露光することで行った。試験板面における1つの
光束の光強度は1.0mW/cm2とし、露光時間は3
0秒とした。干渉縞露光後、後露光として高圧水銀灯
(日本電池社製 実験用紫外線照射装置FL−1001
−2)の光をラミネートしたフィルム側から2分間照射
した。
【0035】評価 回折効率は、ホログラムの分光透過率を大塚電子製MC
PD−3000により測定して求めた。回折効率測定部
分の膜厚は、SOLAN製DEKTAK 3STを用い
て測定した。得られた回折効率と膜厚の値から屈折率変
調(干渉縞の屈折率変化の半分の値)を計算して求め
た。計算式は「カップルド・ウェーブ・セオリー・フォ
ー・シック・ホログラム・グレーティングス(Coup
led Wave Theory for Thick
Hologram Gratings)[H.コゲル
ニク(H.Kogelnik)、ベル・シスト・テク・
J.(Bell Syst.Tech.J.)第48
巻、PP2909−2947(1969)]に記載され
ているものを用いた。表1に評価結果を示す。
【0036】
【表1】
【0037】尚、表1において表記された化合物の略称
は以下の通りである。屈折率はアッベ屈折率計を用いて
測定した。 (a)ラジカル重合性化合物 a−1:下記式で表される化合物1、屈折率1.629
【0038】
【化8】
【0039】a−2:下記式で表される化合物2(m=
n=1が52重量%、m=1、n=2が38重量%、m
=n=2が10重量%からなる混合物)、屈折率1.6
25
【0040】
【化9】
【0041】a−3: ビス(4−アクリロキシジエト
キシフェニル)メタン、 屈折率1.539 a−4: 9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシ
フェニル)フルオレン、屈折率1.594 (b)光重合開始剤 b−1: 3,9−ジエチル−3’−カルボキシメチル
−2,2’−チアカルボシアニン、ヨウ素塩 b−2: ジフェニルヨードニウム・トリフルオロメタ
ンスルホネート b−3: 4,4’−ジターシャリーブチルジフェニル
ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート (c)Aと屈折率の異なる化合物 c−1: ポリビニルアセテート(Aldrich.N
o.18948−0)、屈折率 1.4〜1.5 c−2: メチルメタクリレート/エチルアクリレート
/アクリル酸の共重合体(共重合比=45/49/
6)、屈折率 1.4〜1.5 c−3: セバシン酸ジエチル、 屈折率1.437 c−4: 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
(ユニオンカーバイド社製UVR−6110)、屈折率
1.498 c−5: 東芝シリコーン社製XC96−B0370
(シリコーン系エポキシ)、 屈折率1.474 実施例の結果が示すように、本発明の体積ホログラム記
録用感光性組成物は、高い回折効率と優れた屈折率変調
を与えることができ、明るい高品質のホログラムを得る
ことができた。
【0042】
【発明の効果】本発明のホログラム記録用感光性組成物
は改良された屈折率変調を与えることから、明るい高品
質のホログラムの製造に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/12 C08L 101/12 G03F 7/004 501 G03F 7/004 501 511 511 7/027 502 7/027 502 Fターム(参考) 2H025 AB14 BC13 BC42 BC65 BC83 BD03 CA42 CA48 CB51 CC05 CC20 2K008 AA05 AA09 AA10 AA13 AA14 BB04 BB08 DD13 EE01 FF17 4J002 AB011 AB021 BB241 BD051 BE021 BE061 BF021 BG041 BG051 BG061 BG101 BJ001 EB028 EB107 EB128 ED056 ED066 EH048 EH058 EH088 EH148 EL029 ES008 ET007 EV238 EV288 EW018 EW048 FD028 FD147 GP03 GQ00 4J011 PA35 PA66 PA67 PA68 PA69 PA74 PB23 PB40 PC02 PC07 PC08 QA13 QC05 QC07 RA01 RA02 RA03 RA09 RA10 SA87 SA88 UA01 VA01 WA01 WA02 WA10 4J100 AL66P BA08P BC44P BC48P CA01 FA03 JA37

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)下記一般式Iで表されるラジカル
    重合性化合物、(b)光重合開始剤、および(c)前記
    ラジカル重合性化合物と屈折率の異なる化合物を含んで
    なる体積記録用感光性組成物において、前記ラジカル重
    合性化合物(a)を10〜95重量%含むことを特徴と
    する、体積ホログラム記録用感光性組成物 【化1】 (式中、Rは水素原子またはメチル基、Aはエチレン基
    またはプロピレン基、Xはp−ビフェニリルメチリレン
    基またはフルオレニリデン基を示し、m、nは各々1以
    上であり、m+nは2.0〜8.0の範囲の数であ
    る。)
  2. 【請求項2】 前記光重合開始剤(b)を0.1〜10
    重量%、および前記ラジカル重合性化合物と屈折率の異
    なる化合物(c)とを4.9〜80重量%含み(a)+
    (b)+(c)が100重量%以下であることを特徴と
    する、請求項1記載の体積ホログラム記録用感光性組成
  3. 【請求項3】 ラジカル重合性化合物と屈折率の異なる
    化合物(c)がカチオン重合性化合物、可塑剤または高
    分子結合剤の群から選ばれる少なくとも1種である、請
    求項1または2に記載の体積ホログラム記録用感光性組
    成物。
  4. 【請求項4】 ラジカル重合性化合物と屈折率の異なる
    化合物(c)としてカチオン重合性化合物と高分子結合
    剤との2成分を使用する、請求項1〜3記載のいずれか
    のホログラム記録用感光性組成物。
  5. 【請求項5】 光重合開始剤(b)としてシアニン系色
    素およびジアリールヨードニウム塩を使用する、請求項
    1〜4記載の体積ホログラム記録用感光組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載のいずれかの組成物を
    用いて製造された体積ホログラム。
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