JP2010134259A - 体積ホログラム記録用感光性組成物 - Google Patents

体積ホログラム記録用感光性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】固体状の組成物であるにも拘わらず、高い熱を掛けなくてもモノマー間の移動(拡散移動)が容易であり、感度も高く、屈折率変調(Δn)も0.01以上ある、耐熱性の高い体積ホログラム記録用感光性組成物の提供。
【解決手段】(a)分子内に芳香環を有さず、プロピレンオキシド鎖を有するラジカル重合性モノマー、
(b)芳香環を分子内に有するエポキシ化合物、
(c)分子内にカチオン重合性基および芳香環を有する数平均分子量5,000〜50,000の高分子バインダー
(d)特定波長のレーザー光に感光して成分(a)を重合させる光ラジカル重合開始剤系、および
(e)成分(d)を感光させる光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光して成分(b)を重合させる光カチオン重合開始剤系
を含有し、かつ成分(a)の平均の屈折率が成分(b)の平均の屈折率より低いことを特徴とする体積ホログラム記録用感光性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、体積ホログラム記録用感光性組成物に関する。より詳しくは本発明は、固体状で取扱が簡単な体積ホログラム記録用感光性組成物に関する。
体積ホログラムは、干渉縞を持った光で露光して干渉縞を記録した後、残っているモノマーを全面露光することにより干渉縞を固定することにより製造される。
ホログラム記録時には干渉縞に応じて硬化反応が起こるのであるが、硬化反応が起こっている部分に反応するモノマーが移動し、硬化反応が起こらない部分には反応しないモノマーが集まって、屈折率の差が生み出されて画像が記録されていく。この硬化反応による記録からモノマーの移動が起こりやすいことが重要であり、そのため、体積ホログラム用の感光性樹脂組成物はモノマーの移動のしやすさが重要で、粘度が低くモノマーの移動が起こりやすい液状のものが一般的である。
しかし、液状のものは、取扱が不便であって、しかも体積ホログラムは比較的厚膜に形成しなければならないので、塗布などの手段を用いなければならず、不便であった。従って、固体状のものが検討されている。固体状のものは、フィルムなどの表面に膜状に形成し、巻き付けて保存することができるなど、取扱上の面で多くの利点があるが、前述のようにモノマーの移動が起こりにくいので、感度が低くなりがちで鮮明な画像を得ることが難しい傾向あり、しかも屈折率変調(Δn)が0.01以上必要で、屈折率変調(Δn)値として0.01以上を得るためには固体状のホログラム記録材料の中でのモノマーの移動を促進するために高い熱処理が必要になる。その場合、ホログラムの基材となる前記フィルムなども耐熱性を有することが要求され、産業上有効な手段とはなっていなかった。。
特開平7−36354号公報(引用文献1)には、芳香環および複素環を本質的に有しない高分子重合体(A)、芳香環および複素環を本質的に分子内に有しない重合可能なエチレン性不飽和基を1つ以上有する化合物(B)、置換基を有しても良い芳香環または複素環を分子内に有するエポキシ化合物(C)および光重合開始剤系(D)からなるホログラム記録用感光材料が記載されている。この感光材料は、固体状の組成物であって、取扱はしやすいが、この引用文献の実施例をみると、ホログラム露光と全面露光した後に150℃で2時間保持する必要があり、これにより強制的にモノマー移動を行わせているものと考えられる。つまりホログラム記録の後工程として高温で長時間の工程が要求されるものであり、ホログラムの作成に時間を要するだけでなく、感光材料の基材として耐熱性の高いものが要求される。
特開平8−16077号公報(特許文献2)には、(A)溶媒可溶性、カチオン重合可能であり、かつ常温、常圧で固体であるフルオレン誘導体を含む熱硬化性エポキシモノマー、(B)常温、常圧で液体で、かつ常圧で沸点が100℃以上であるラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1個以上有し、前記モノマー(A)と屈折率の異なるモノマーと、それらの光重合開始系を含有するホログラム感光性記録材料が開示される。この記録材料は固体状ではなく、感光液として使用されるものである。
特開平7−36354号公報 特開平8−16077号公報
本発明では、固体状の組成物であるにも拘わらず、高い温度での熱処理がなくてもモノマー間の移動(拡散移動)が容易であり、感度も高く、屈折率変調(Δn)も0.01以上ある、耐熱性の高い体積ホログラム記録用感光性組成物を提供する。
即ち、本発明は、(a)分子内に芳香環を有さず、プロピレンオキシド鎖を有するラジカル重合性モノマー、
(b)芳香環を分子内に有するエポキシ化合物、
(c)分子内にカチオン重合性基および芳香環を有する数平均分子量5,000〜50,000の高分子バインダー
(d)特定波長のレーザー光に感光して成分(a)を重合させる光ラジカル重合開始剤系、および
(e)成分(d)を感光させる光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光して成分(b)を重合させる光カチオン重合開始剤系
を含有し、かつ成分(a)の平均の屈折率が成分(b)の平均の屈折率より低いことを特徴とする体積ホログラム記録用感光性組成物を提供する。
本発明では、上記成分(b)の平均の屈折率から成分(a)の平均の屈折率を引いた差が、0.01以上であるのが好ましい。
また、上記成分(a)はポリプロピレングリコールジアクリレートまたはトリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレートであるのが好ましい。
さらに、上記成分(b)はビスフェノールフルオレン型ジグリシジルエーテルまたはビスフェノールA型ジグリシジルエーテルであるのが好ましい。
上記成分(c)は好ましくはスチレンをモノマー成分とするアクリル共重合体である。
本発明によれば、各モノマーと高分子バインダーとの相溶性が芳香環の有無で制御され、固体状の組成物であってもモノマーの拡散移動が容易であり、感度の高い体積ホログラム記録用感光性組成物が提供できるのである。固体状であるから、取扱が格段に容易になって、基材上に感光層を形成したままで保存ができるので、プラスチック基材を用いて巻き付けた状態での保存も可能となる。また、モノマーの拡散移動を促進するために高い温度での熱処理が不要であるため、感光性材料の基材に耐熱性を要求することが無くなり、材料選択の可能性が大きく広がった。それに加えて、ホログラム記録に長時間の後工程が要求されないので、ホログラム作成の時間の短縮にもつながった。更に、ホログラム記録材料として感光性も高く、屈折率変調も0.01以上と優れており、得られたホログラムの耐熱性も高く、保存安定性も優れている。
本発明の成分(a)は、分子内に芳香環を有さず、プロピレンオキシド鎖を有するラジカル重合性モノマーである。芳香環を含まないことで、比較的屈折率が低い値を示すモノマーを選択することになる。芳香環を有さないことは、脂肪族系のモノマーであって、その中にプロピレンオキシド鎖を含んでいることになる。従って、ポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルが最も一般的なモノマーであると考えられる。本明細書中において、「(メタ)アクリル」の用語は、アクリル、メタクリルの両方を意味する。
また、成分(a)は、多価アルコールをポリプロピレングリコールで変性し、更に(メタ)アクリル酸でエステル化することによっても得られる。それらの例としては、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールPO変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールPO変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで「PO変性」とは、(ポリ)プロピレンオキサイドで変性したものを意味する。ポリプロピレンオキサイド鎖の繰り返し単位数(重合度)としては、3〜24が好ましく、さらに好ましくは4〜12である。繰り返し単位が好ましい下限を下回ると成分(b)の平均の屈折率と成分(a)の平均の屈折率を引いた差が小さくなりすぎるという問題が発生し、一方で好ましい上限を上回ると光照射後も成分(a)がモノマーとして残存する可能性が高まり、その結果として得られるホログラムの耐熱性が低下する(得られたホログラム像が熱履歴を受けることで不鮮明になる)場合があり好ましくない。
本発明の成分(b)は、芳香環を分子内に有することを特徴とするエポキシ化合物である。芳香環には置換基を有していても良い。成分(b)のエポキシ化合物は、後述の成分(c)の高分子バインダーとは異なるものであり、分子量でいうと1,000より小さいものが成分(b)で、1,000を超えるものは成分(c)の高分子バインダーに包含されるものも存在する。成分(b)の例としては、フェニルグリシジルエーテル、oークレジルグリシジルエーテル、p−クレジルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ビスフェノール−A型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレン型ジグリシジルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールフルオログリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールーAージグリシジルエーテル、ビスフェノールーFージグリシジルエーテル、ジグリシジルレゾルシノールエーテル、2−フェニルエチレンオキサイド、イソフタル酸ジグリシジルエステルなどのエポキシモノマーが挙げられる。
本発明では、上記成分(a)の平均屈折率が成分(b)の平均屈折率より低いことが必要である。平均屈折率の差は、成分(b)の平均屈折率から成分(a)の平均屈折率を引いた差が0.01以上、即ち
(成分(b)の平均屈折率)−(成分(a)の平均屈折率)≧0.01
であることが好ましい。平均屈折率の差は、好ましくは0.03〜0.3である。この屈折率の差がホログラム画像を形作るのであり、実際の体積ホログラムでは屈折率変調(Δn)で表す。本明細書において、平均屈折率とは、屈折率の平均値を意味し、平均値としたのは分子量分布を持っている材料があるからである。測定は、アッベの屈折計で行い、そこに表示された値が平均屈折率である。上記の屈折率変調(Δn)が0.01を上回らない場合、得られるホログラム像の鮮明度が低下する場合があり、好ましくない。
本発明の成分(c)は、分子内にカチオン重合性基および芳香環を有する高分子バインダーである。カチオン重合性基は、主として、エポキシ基である。成分(b)で説明したように、成分(c)は成分(b)のエポキシ化合物とは異なるものである。従って、エポキシ基を有する化合物でも、分子量が1,000を超えるものは、成分(c)に該当する。成分(c)の高分子バインダーは、エポキシ基と芳香環を有するポリマーであってよく、エポキシ基を有する共重合性モノマー、芳香環を有する共重合性モノマーおよびその他の共重合性モノマーを共重合することにより得ることができる。高分子バインダーは数平均分子量5,000〜50,000、好ましくは10,000〜30,000を有することを必要とする。数平均分子量が5,000より少ないと、ホログラム記録材料としての組成物の固形性が不十分となり、50,00を超えると合成が困難となり、また粘度が高くなり取扱が困難になる。溶剤等で希釈して取扱の不具合は解消できるが、感光液の溶剤成分量が増加し、ホログラム記録材料の作成時における大気中への溶剤の放出量が増大して環境への負荷が増加することになる。また、分子量が前記好ましい範囲の上限を上回ると、モノマーの移動を妨げる恐れがあり、その結果、好ましいホログラム像を得ることが難しくなる可能性がある。
エポキシ基を有する共重合性モノマーの例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。芳香環を有する共重合性モノマーの例としては、スチレン、αーメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール)プロピレングリコールモノアクリレート、p−クミルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2,4−ジフェニルー4−メチルー1−ぺンテン等が挙げられる。その他の共重合性モノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の体積ホログラム記録用感光性組成物には、通常、特定波長のレーザーに感光して成分(a)を重合させる光ラジカル重合開始剤系(d)を含む。本発明に使用する光ラジカル重合開始剤系(d)は、ホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルが、本発明の構成成分の1つである上記ラジカル重合性化合物(a)を重合させるような開始剤系であればよい。そのような光ラジカル重合開始剤系(d)としては、例えば米国特許第4,766,055号、同第4,868,092号、同第4,965,171号、特開昭54−151024号公報、同58−15,503号公報、同58−29,803号公報、同59−189,340号公報、同60−76735号公報、特開平1−28715号公報、特願平3−5569号及び「プロシーディングス・オブ・コンフェレンス・オン・ラジエーション・キュアリング・エイジア」 (PROCEEDINGS OF CONFERENCE ON RADIATION CURING ASIA)」(P.461〜477、1988年)等に記載されている公知な開始剤系が使用出来るがこの限りでない。
尚、本明細書中「開始剤系」とは、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いることが出来る、ことを意味する。光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、最終的なホログラムに無色透明性が要求される場合(例えば、自動車等のヘッドアップディスプレーとして使用する場合)の増感剤としては、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平4−239505号に記載されているようなシアニン系色素の使用が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、本発明における後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することでホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明なホログラムが得られる。シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3'−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2'チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3',9−ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,3',9−トリエチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3'−カルボキシメチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3',9−トリエチル−2,2'−(4,5,4',5'−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−[[3−アリル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデン−2−チアゾリニリデン]メチル]3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1',3,3,3',3'−ヘキサメチル−2,2'−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3'−ジエチル−2,2'−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3'−カルボキシメチル−5'−クロロ−2,2'−キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ−5,5'−ジフェニル−9−エチル−3,3'−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩、2−[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩が挙げられ、これらの1種以上の色素を使用することができる。
シアニン系色素と組み合わせて用いてもよい活性ラジカル発生化合物としては、上記の特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平4−239505号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4'−ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウム、3,3'−ジニトロジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネートなどが例示される。又2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4'−メトキシ−1'−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが例示される。
本発明の体積ホログラム記録用感光性組成物には、更に成分(d)を感光させる光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光して成分(b)を重合させる光カチオン重合開始剤系(e)を含む。本発明で用いられる光カチオン重合開始剤系(e)は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいは、ルイス酸を発生し、これらが前記のエポキシ化合物(b)を重合させるような開始剤系であればよい。光カチオン重合開始剤系(e)としては、例えば「UV硬化;科学と技術(UV CURING;SCIENCE AND TECHNOLOGY)」[pp.23〜76、S.ピーター・パーパス(S.PETER PAPPAS)編集、ア・テクノロジー・マーケッティング・パブリケーション(A TECHNOLOGY MARKETING PUBLICATION)]及び「コメンツ・インオーグ.ケム.(Comments Inorg.Chem.)」[B.クリンゲルト、M.リーディーカー及びA.ロロフ(B.KLINGERT、M.RIEDIKER and A.ROLOFF)、第7巻、No.3、pp109−138(1988)]などに記載されているものが挙げられ、これらの1種以上を使用してよい。
本発明で用いられる特に好ましい光カチオン重合開始剤系(e)としては、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類あるいは鉄アレン錯体類等を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤系(e)としてのジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては、前記光ラジカル重合開始剤系(d)で示したヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネートおよびヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−チオフェニルトリフェニルスルホニウムなどのスルホニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネートおよびヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
本発明の感光性組成物には、必要に応じて熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤などを併用してよい。
本発明の感光性組成物の組成に於いて、組成物全重量に対し、ラジカル重合性モノマー(a)は30〜90wt%(特に好ましくは40〜70wt%)、エポキシ化合物(b)は2〜70wt%(特に好ましくは10〜50wt%)、芳香族基含有高分子バインダー(d)10〜70wt%(特に好ましくは20〜60wt%)、光ラジカル重合開始剤系(d)は0.3〜8wt%(特に好ましくは1〜5wt%)及び光カチオン重合開始剤系(e)は0.3〜8wt%(特に好ましくは1〜5wt%)がそれぞれ好ましい。
本発明の感光性組成物は通常の方法で調製されてよい。例えば上述の必須成分(a)〜(e)および任意成分をそのままもしくは必要に応じて(フィルム状の基材に前記感光性成分を塗布する際などの作業性を確保する目的で)、溶媒(例えばメチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒)を配合し、冷暗所にて例えば高速撹拌機を使用して混合することにより調製できる。
本発明のホログラムの製造に於いて記録層は、上記感光性組成物を通常の方法によりガラス板、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、アクリル板などの透明な支持体上に(場合によっては前記の各種溶媒を添加した状態で)塗布し、必要に応じて前記各種溶剤を乾燥などにより除去することにより形成することができる。前記乾燥工程は暗所で行なうことが望ましい。塗布量は適宜選択されるが、例えば乾燥塗布重量が1g/m2〜50g/m2であってよい。さらに通常は、この記録層の上に保護層としてポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどを設けて使用される。このように中間層が本発明組成物による記録層である3層体を作製する別の方法として、例えば、どちらか一方に剥離しやすい処理が施されている2つのポリエチレンテレフタレートフィルムの間に記録層を形成しておき、使用時に片方のフィルムを剥離してその面を適当な支持体上にラミネートしてもよい。また例えば2板のガラス板の間に本発明組成物を注入することも出来る。
このように作製された記録層は、レーザー光による通常のホログラフィー露光装置によって前記ラジカル重合性化合物(a)を重合させてその内部に干渉縞が記録される。本発明の組成物の場合、この段階で、記録された干渉縞による回折光が得られホログラムとすることが出来る。しかし未反応のまま残っているカチオン重合性化合物(b)を更に重合させるために、後露光として光カチオン重合開始剤系(e)の感光する光(例えば波長200〜700nmの光)をホログラムに全面照射して、本発明のホログラムが得られる。この際、未反応のまま残っているラジカル重合性化合物が同時に硬化してもよい。なお、後露光の前に記録層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値巾などを変化させることも出来る。
上記体積ホログラムは、例えばレンズ、回折格子、干渉フィルター、ヘッドアップディスプレイ装置、一般的な三次元ディスプレイ、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、IDカードなどのメモリ材料、建築用窓ガラス、広告宣伝媒体等に使用し得る。
以下、実施例で本発明を具体的に説明する。これら実施例は、本発明を減縮するように解してはならない。
実施例1〜5
表1に量の成分(d)と成分(e)を60重量部のエタノール中に溶解分散した後、140重量部のメチルエチルケトンおよび表1に示す量の成分(a)〜(c)を加え撹拌、濾過を経て感光液を得た。
得られた感光液を濾過後、アプリケーターを使用して16cm×16cmのガラス板上に塗布し、60℃で5分間乾燥させ。膜厚が約10μmになるようにした。さらにその上に厚さ50μmのPETフィルム(東レ(株))をラミネート用ローラーを使用してラミネートし、この板を3〜4cm角に分割して試験板とした。
露光は2光束光学系によるレーザー露光を波長514nmのアルゴンレーザーを用いて行った。露光後80℃で10分間保持した後、後露光として高圧水銀灯を照射してホログラムを作製した。
レーザー露光量の水準を変え、ホログラムを作製し、分光光度計(大塚電子株式会社製:MCPD3500)で反射スペクトルを測定し、得られたスペクトルから回折効率を計算した。このとき、回折効率が最大となる最低露光量を感度とする。また、上記試験板のホログラム膜を一部剥がし、表面形状測定装置(DEKTAK30303)で膜厚を測定した。得られた回折効率、膜厚よりKogelnikの結合波理論式を用いて屈折率変調値(Δn)を測定した。結果を表1に記載する。Δnは0.01以上が実用レベルである。
固形性
上記で作成した分割する前の試験板の上9cm(3cmx3cm)に50g/cmの荷重を掛け、室温で1時間放置した。放置後、荷重を外し、ホログラム作成と同じ条件でUV硬化を行い、荷重のかかっている場所の中心部と掛かっていない場所の膜厚を触針式膜厚計(DEKTAK3030:明立精機株式会社製)で測定し、その膜厚変化率を調査し、以下の基準で評価を表1に記載する。
○:膜厚変化が10%以内
×:膜厚変化が10%以上
耐熱性
上記で作成したホログラム板を100℃で一週間放置後、ホログラム板を再測定し、回折波長の変化(即ち、色の変化)を調査した。以下の基準で評価し、結果を表1に記載する。
○:評価前後の波長シフトの差が10nm以内
×:評価前途の波長シフトの差が10nm以上
Figure 2010134259
尚、表中の評価以外の成分(a)〜(e)の数字は固形分の重量部である。
*1 東亞合成株式会社製アロニックスM225
*2 東亞合成株式会社製アロニックスM321
*3 大阪ガス株式会社製ビスフェノールフルオレン型エポキシ(ビスフェノールフルオレン型ジグリシジルエーテル;エポキシ当量230、粘調液体)
*4 東都化成株式会社製YD127(エポキシ当量190)
比較例1〜7
表2に示す成分を用いて、実施例と同様にホログラム板を作成し、同様の評価を行った。評価結果も表2に示す。
Figure 2010134259

Figure 2010134259
尚、表中の評価以外の成分(a)〜(e)の数字は重量部である。
*5 東亞合成株式会社製アロニックスM240
*6 東亞合成株式会社製アロニックスM360
*7 ジャパンエポキシレジン株式会社製1007(エポキシ当量約2000)
*8 日本化薬株式会社製BREN−S(エポキシ当量約270)
比較例1は、成分(c)の高分子バインダーの数平均分子量が3,000であり、固形性が不十分である。比較例2と3は成分(a)がプロピレンオキシド鎖ではなく、エチレンオキシド鎖を有するラジカル重合性モノマーを用いたものであって、感度が悪くなり、屈折率変調も0.01より小さくなる。比較例4は高分子バインダー(c)に芳香環が無い場合であり、ホログラム画像そのものが形成されない。比較例5は高分子バインダー(c)にカチオン重合性基(即ち、エポキシ基)が無い場合であり、形成された体積ホログラムの耐熱性が不足する。比較例5は従来技術の説明で挙げた特開平7−36354号公報に該当する組成物であって、屈折率変調が不足し、耐熱性も不足する。この材料は、特開平7−36354号公報の説明ではホログラム露光と全面露光後に150℃で2時間保持して、モノマー移動を完結させる必要があり、上記比較例6ではその加熱処理がないので、屈折率変調が不足するものと考える。比較例7は、従来技術で挙げた特開平8−16077号公報に該当する組成物であって、固形性ではなく、屈折率変調も不足する。この公報でも、露光後100℃で30分処理していることから、加熱処理がホログラム形性には必須であると考えられる。
本発明の体積ホログラム記録用感光性組成物は、体積ホログラムの作成に用いられる。体積ホログラムは、偽造防止の分野で利用されてきているが、画像を利用する分野での利用もこれからは促進されるであろう。

Claims (5)

  1. (a)分子内に芳香環を有さず、プロピレンオキシド鎖を有するラジカル重合性モノマー、
    (b)芳香環を分子内に有するエポキシ化合物、
    (c)分子内にカチオン重合性基および芳香環を有する数平均分子量5,000〜50,000の高分子バインダー
    (d)特定波長のレーザー光に感光して成分(a)を重合させる光ラジカル重合開始剤系、および
    (e)成分(d)を感光させる光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光して成分(b)を重合させる光カチオン重合開始剤系
    を含有し、かつ成分(a)の平均の屈折率が成分(b)の平均の屈折率より低いことを特徴とする体積ホログラム記録用感光性組成物。
  2. 成分(b)の平均の屈折率から成分(a)の平均の屈折率を引いた差が、0.01以上である請求項1記載の体積ホログラム記録用感光性組成物。
  3. 成分(a)がポリプロピレングリコールジアクリレートまたはトリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレートである請求項4記載の体積ホログラム記録用感光性組成物。
  4. 成分(b)がビスフェノールフルオレン型ジグリシジルエーテルまたはビスフェノールA型ジグリシジルエーテルである請求項4記載の体積ホログラム記録用感光性組成物。
  5. 成分(c)がスチレンをモノマー成分とするアクリル共重合体である請求項4記載の体積ホログラム記録用感光性組成物。
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JP2013057777A (ja) * 2011-09-08 2013-03-28 Tdk Corp ホログラム記録用フォトポリマー組成物及びホログラム記録媒体
WO2017014105A1 (ja) * 2015-07-23 2017-01-26 コニカミノルタ株式会社 ホログラフィック光学素子およびその製造方法

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