JP2001121837A - 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

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JP2001121837A
JP2001121837A JP30713299A JP30713299A JP2001121837A JP 2001121837 A JP2001121837 A JP 2001121837A JP 30713299 A JP30713299 A JP 30713299A JP 30713299 A JP30713299 A JP 30713299A JP 2001121837 A JP2001121837 A JP 2001121837A
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aluminum
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aqueous solution
liquid
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JP30713299A
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Atsuo Nishino
温夫 西野
Yoshitaka Masuda
義孝 増田
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理工程で用いる金属イオンを含む多成分
液の濃度測定をリアルタイムで、正確に行なう方法の適
用により、品質の安定した平版印刷版用アルミニウム支
持体を製造しうる方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム基材を、酸性水溶液又はア
ルカリ水溶液中でエッチング処理する工程と、酸性水溶
液中で電気化学的に粗面化処理する工程と、陽極酸化処
理する工程と、を含む、平版印刷版用アルミニウム支持
体の製造方法であって、該アルカリ水溶液、酸性水溶
液、及び陽極酸化処理液から選択される少なくとも1種
の多成分液が、比重、導電率、超音波の伝搬速度のうち
1種以上と温度とを測定し、予め作成しておいたデータ
テーブルを参照して被測定物の酸又はアルカリ濃度、及
び金属イオン濃度を求める多成分液の濃度測定方法によ
り濃度管理されることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版用アルミ
ニウム支持体の製造方法に関し、詳細には、この製造方
法においてアルミニウム板の粗面化に用いる、金属イオ
ンを含んだ酸またはアルカリ水溶液の濃度測定を迅速か
つ正確におこなう濃度測定方法の適用及び、高電流効率
で長期間にわたり安定な使用が可能な電解用陽極の使用
により、品質の安定した平版印刷版用アルミニウム支持
体を製造し得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版は、版面の親水性、親油性
(親インク性)を制御して印刷を行なうものであり、安
定な画像形成には、均一な表面性状を有する平版印刷版
用のアルミニウム支持体の製造が重要な要素となってい
る。通常、アルミニウム支持体は、アルミニウム表面を
粗面化処理、親水化処理することにより製造されるが、
このような処理に用いる処理液は金属イオンを含む多成
分液であり、安定な処理を行なうためには、金属イオン
を含む多成分液の有効成分の濃度をリアルタイムでしか
も正確に測定し、その結果を多成分液の濃度制御にフィ
ードバックして安定した処理条件を維持することが重要
であった。このような金属イオンを含む多成分液につい
て、各成分の濃度を測定する方法として中和滴定装置を
用いる方法が知られている。中和滴定装置を用いた濃度
測定方式は、測定対象となる被測定液を滴定装置内のセ
ルに取り込み、必要に応じて純水を加え希釈した後、中
和滴定を行ない、一定量の被測定液に試薬を添加しなが
らPHの変曲点を測定し、PHの変曲点に達するまで添
加した試薬の添加量に基づいて液成分の濃度を求めるの
が一般的な方式である。
【0003】しかしながら、中和滴定方式で濃度測定を
行なうと時間がかかり、さらに、滴定時に析出する金属
の水酸化物がセルや配管を汚し、除去し難い等の問題点
があった。特に、アルミニウム支持体の処理に際して
は、アルミニウムの溶出が起こり、アルミニウムが苛性
ソーダ等のアルカリ溶液中に溶解した多成分液の濃度を
測定するとき、アルミニウムイオンが障害となってうま
く測定できず、苛性ソーダ成分の濃度を測定する場合に
は、予めグルコン酸ソーダでアルミニウムイオンをマス
キングし、第一番目の変曲点に到達した後にフッ化カリ
ウム水溶液を添加してアルミニウムイオンに対するマス
キングを解くという複雑な作業が必要となり、アルミニ
ウム支持体の連続的な製造プロセス中で濃度測定を行な
う障害となっていた。
【0004】また、前記電気化学的な粗面化処理の補助
陽極として用いる陽極の材料もまた、連続的に安定して
アルミニウム支持体を製造する上で重要である。前記陽
極としては、フェライト、白金または白金族系の電極が
種々知られており、特公平3−19305には海水電解
用陽極の例が開示されている。現在一般的に実用されて
いるフェライト電極は安価ではあるが、温度の急激な変
化に弱く、大電流が流せず、さらに、機械的な衝撃にも
弱く、割れやすいという欠点があった。また、本発明に
係るアルミニウム支持体の製造プロセスの如く、硝酸ま
たは塩酸水溶液中で用いる陽極や、塩素イオンを含む高
温高濃度の硫酸水溶液中で用いる陽極は電極寿命の点で
適当なものがなく、交換頻度が高くなるため、均一は品
質の平版印刷版用アルミニウム支持体を効率よく得るた
めの製造方法における障害となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
従来技術の欠点を解決するためになされたもので、均一
な品質の平版印刷版用アルミニウム支持体を効率よく得
るための製造方法、特に、粗面化処理、親水化処理に用
いる金属イオンを含む多成分液の濃度や、研磨剤を含む
スラリー液の濃度測定をリアルタイムでしかも正確に測
定できる方法を製造プロセス中に取りこむことで、平版
印刷版用アルミニウム支持体の粗面化工程の処理条件の
均一性を確保し、品質の安定した平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造をおこいうる方法を提供することを目
的としている。また、本発明の第2の目的は、さらに、
前記電気化学的な粗面化処理の補助陽極として、品質が
安定で、長寿命の陽極を用いることで、より品質の安定
した平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、所定のデータテーブルを予め作成し、製造プロセ
ス中においても容易に測定し得る2種以上の指標を測定
して、該データテーブルを参照することで、目的とする
金属イオンを含む多成分液の濃度を容易に知ることがで
き、そのデータを基に工程管理を行なうことで品質の安
定した平版印刷版用アルミニウム支持体を製造し得るこ
とを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の平版印
刷版用アルミニウム支持体の製造方法は、アルミニウム
基材を、酸性水溶液又はアルカリ水溶液中でエッチング
処理する工程と、酸性水溶液中で電気化学的に粗面化処
理する工程と、陽極酸化処理する工程と、を含む、平版
印刷版用アルミニウム支持体の製造方法であって、該ア
ルカリ水溶液、酸性水溶液、及び陽極酸化処理液から選
択される少なくとも1種の多成分液が、比重、導電率、
超音波の伝搬速度のうち1種以上と温度とを測定し、予
め作成しておいたデータテーブルを参照して被測定物の
酸又はアルカリ濃度、及び金属イオン濃度を求める多成
分液の濃度測定方法により濃度管理されることを特徴と
する平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
【0007】前記データテーブルが、多成分液の酸の濃
度と金属イオンの濃度と温度に対するそれぞれの超音波
伝搬速度、または超音波伝搬速度と導電率を測定したデ
ータテーブルであり、前記濃度測定方法が、任意の被測
定液の温度と超音波伝搬速度、または温度と超音波伝搬
速度と導電率を測定し、前記データテーブルを参照し
て、被測定物の酸またはアルカリ濃度及び金属イオン濃
度を求める濃度測定方法であること、及び、前記データ
テーブルが、多成分液の酸の濃度と金属イオンの濃度と
温度に対するそれぞれの比重と導電率を測定したデータ
テーブルであり、前記濃度測定方法が、任意の被測定液
の温度と比重、または温度と導電率、または温度と比重
と導電率を求め、前記データテーブルを参照して、被測
定物の酸またはアルカリ濃度及び金属イオン濃度を求め
る濃度測定方法であることが好ましい態様である。
【0008】また、前記濃度測定方式により得られた濃
度データを、フィードバック方式またはフィードフォワ
ード方式またはこれらを組み合わせた液濃度制御方式に
より管理し、前記多成分液の濃度を制御することで均一
な処理条件を確保することができる。この濃度測定に使
用するデータテーブルの作成にあたり、超音波の伝搬速
度測定や電導率の測定は液中の気泡の影響を受けやす
く、この気泡の影響を最小にするために、垂直に配置し
た下から上に向かって流速のある配管中でこれらの測定
を行なうことが特に好ましい。また、配管の曲がり部分
から、前記測定ポイントを50cm離すことが好まし
い。
【0009】また、本発明の製造方法においてこの濃度
測定方法を好適に適用し得る多成分液として、酸性水溶
液としては、塩酸、硝酸、硫酸、ポリビニルホスホン酸
またはこれら2種以上の混合物を含む水溶液が、アルカ
リ性水溶液としては、苛性ソーダまたは珪酸ソーダを含
む水溶液が、挙げられ、また、マスキングが不要になる
という観点から、含まれる金属イオンがアルミニウムイ
オンである多成分液に適用した場合に著しい効果を奏す
る。本発明に係る濃度測定方法は、エッチング液などの
多成分液に適用し得るのはもちろんであるが、アルミニ
ウム基材の物理的な粗面化処理に用いられるスラリーに
も適用可能である。即ち、多成分液の比重と温度を測定
し、予め作成しておいたデータテーブルを参照して被測
定物のスラリー濃度を求めることもできる。
【0010】さらに、前記製造方法における前記電気化
学的な粗面化処理の補助陽極として用いる電極材料が、
バルブ金属またはその合金から選んだ基体上に酸化イリ
ジウムを主体とする被覆層を設けてなる電極用陽極、或
いは、筒状のフェライトに芯材として銅を挿入し、銀を
主体とした導電性接着剤で固定した構造を有する電極用
陽極のいずれかを用いて、アルミニウムイオンが溶解し
た酸性水溶液中でアルミニウム板をカソード電解処理す
ることが好ましい。また、バルブ金属またはその合金か
ら選んだ基体上に設ける被覆層が酸化ルテニウム及び/
または酸化イリジウムを主体とした被覆層である陽極を
用いて、塩酸を主体とするアルミニウムイオンが溶解し
た水溶液中でアルミニウム板をカソード電解処理するこ
とも好ましい態様である。また、酸化イリジウムを主体
とする被覆層を設けた陽極は、補助電源と補助カソード
とを備えることが特に好ましく、基材となるアルミニウ
ム板に通電していないときに、0.1〜5Vの陽極電位
を加える補助電源を持つことが好ましい。
【0011】本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法における粗面化処理には特に制限はなく、機
械的な粗面化処理、バフ研磨処理、ポリッシング処理、
酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処
理、酸性水溶液中で直流または交流を用いておこなう電
気化学的な粗面化処理、酸性水溶液中でアルミニウム板
を陰極にし電解しながらおこなうデスマット処理等から
任意に1種以上を選択して粗面化処理を行なうことがで
きるが、いずれ処理方法においても、使用する処理液の
濃度管理に、前記の液濃度測定方式を適用することが好
ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
は、処理工程において使用する多成分液の(a)比重、
(b)導電率、(c)超音波の伝搬速度のうち1種以上
と温度とを測定し、予め作成しておいたデータテーブル
を参照して被測定物の酸又はアルカリ濃度、及び金属イ
オン濃度を求める多成分液の濃度測定方法により濃度管
理されることが特徴である。この温度と任意の1種以上
を測定して濃度測定を行なうための、具体的な方法につ
いて説明する。1つの方法として、温度を指標とする方
法が挙げられる。この方法では、予め使用が予定されて
いる濃度範囲の成分液毎の、(a)導電率、(b)比
重、または(c)超音波の伝搬速度を各温度毎に測定し
て、温度との相関を明らかにしたデータテーブルを作
る。そして、被測定液の(a)導電率、(b)比重、ま
たは(c)超音波の伝搬速度の値のうち一種と、温度と
を測定し、この少なくとも2つのデータより、予め作成
したデータテーブルを参照して多成分液の濃度を測定す
ることができる。また、異なる2つの温度で超音波の伝
搬速度を測定し、予め作成したデータテーブルを参照し
て、多成分液の濃度を測定することができる。
【0013】ここで、超音波の伝搬時間を高精度・高安
定に測定する方法は特開平6−235721号公報に開
示されており、本発明に適用できる。超音波の伝搬速度
を利用した濃度測定システムについては特開昭58−7
7656号公報に開示されている。同様に、複数の物理
量データを液成分毎に相関を示すデータマップを作成し
ておき、そのデータマップを参照にして多成分液の濃度
測定する方法は特開平4−19559法公報に開示され
ている。本発明者らは、超音波の伝搬速度を用いた濃度
測定方法を被測定液の導電率と温度の値と組み合わせ
て、平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化工程に応
用する可能性について検討した結果、この応用により、
プロセスの管理がリアルタイムで正確におこなえ、一定
品質の製品が製造できるようになり、得率アップにつな
がることを見出し、さらに、前記温度と(c)超音波の
伝搬速度又は(a)導電率の組み合わせだけでなく、温
度と(b)比重、温度と(a)導電率、温度と(a)導
電率と(b)比重など、それぞれの物理量に対して濃度
と温度毎にデータテーブルをつくっておき、そのデータ
マップを参照にして、いずれの組合せにおいても、多成
分液の濃度測定することができ、この濃度測定方法を平
版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化工程に応用する
と、前記と同様な効果があることも見出し、本発明を完
成したものである。
【0014】さらに、この応用として、(b)比重と温
度を測定し、予め作成しておいたデータテーブルを参照
することで、固形分を含むスラリーについてもこの濃度
測定方法を適用することができ、被測定物のスラリー濃
度の測定も迅速かつ正確におこなえるようになり、これ
を平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化工程に応用
すると予想外の効果があった。これらのデータは、被測
定物である多成分液の特性により、測定を正確に、簡易
に行ないやすいもののデータを選択することが効率の観
点から好ましい。
【0015】なお、(c)超音波の伝搬速度測定は、先
に述べた測定方法を適用する際においても、液中の気泡
の影響を受けやすい為、垂直に配置した下から上に向か
って流速のある配管中でおこなわれることが特に好まし
い。そして超音波の伝搬速度測定は配管内の圧力が1〜
10kg/cm2の圧力範囲で行うことが好ましい。伝搬速
度の測定を行なう超音波の周波数は0.5〜3MHzが
好ましい。比重、導電率、超音波の伝搬速度の測定にお
いては、そのデータが温度の影響を受けやすいので、保
温され、且つプラスマイナス0.3℃以下に温度コント
ロールされた配管内で測定することが好ましい。導電率
と比重、導電率と超音波の伝搬速度は同一温度で測定す
ることが好ましいので、同一の配管内または同一の配管
フロー内で測定することが特に好ましい。圧力変動は温
度の変動につながるので可能な限り低い方が好ましい。
また測定する配管内の流速分布もできるだけ少ない方が
好ましい。スラリーやゴミや気泡の影響を受けやすいの
で、フィルターや脱気装置などを通した液を測定するこ
とが好ましい。
【0016】本発明者らは次に、これらの処理液の濃度
管理のみならず、平版印刷版用支持体製造における重要
な工程である陽極酸化工程において、特定の陽極を用い
ることで好適な陽極酸化被膜を形成することができ、優
れた支持体が得られることを見出した。即ち、浴とし
て、硫酸を主体とする水溶液を用いる場合、硫酸を含有
する水溶液中での陽極としては、バルブ金属またはその
合金から選んだ基体に酸化イリジウムを主体とする被覆
層を設けてなる電解用陽極を用いることが好ましい。本
発明でいうバルブ金属とはチタン、タンタル、ニオブ、
ジルコニウムまたはその合金のことを指す。また、硝酸
又は塩酸を主体とする水溶液中で電気化学的な粗面化処
理の補助陽極として用いる陽極としては、バルブ金属ま
たはその合金から選んだ基体に、酸化ルテニウム及び/
または酸化イリジウムを主体とする被覆層を設けてなる
電解用陽極を用いること、及び、フェライト電極を用い
ること、が好ましいことを同様に見出した。本発明の電
解用陽極の被膜として好適な酸化イリジウムおよび酸化
ルテニウムの構造をX線回折で分析の結果、2酸化イリ
ジウムが主成分であることがわかった。酸化イリジウム
は通電していないときは溶解し易いため、電極に1〜1
0Vの正の電位を印加する補助電源と補助電極を設置す
ることが陽極の長寿命化の観点から特に好ましい。
【0017】本発明の製造方法に適用し得る電解用陽極
において、酸化イリジウムまたは酸化ルテニウムを主体
とする被覆層を形成する方法については公知の方法を適
用することができ、例えば、特公平3−19305号公
報に製造方法の一例が具体的に記載されており、この方
法も適用可能であるが、これに限定されるものではな
い。陽極の基体金属としては、チタンおよびチタン・パ
ラジウム合金のようなチタン合金を用いることができ、
電極内部の電気抵抗による電力ロスを最小限にするため
のに、銅を芯材に用い、その周囲にチタンまたはニオブ
をクラッドしたものを用いることが最も好ましい。ニオ
ブ、チタン以外では、タンタル、ジルコニウムを用いる
ことも可能である。銅の芯材にチタンまたはニオブをク
ラッドするにはあまり複雑なものは作れないので、各パ
ーツに分割して作成した電極部品を、酸化イリジウムま
たは酸化ルテニウムを主体とする成分を被覆、熱処理し
た後にボルト・ナット等で希望の構造となるように組み
立てるのが一般的である。
【0018】本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法は、アルミニウム基材を、酸性水溶液又はア
ルカリ水溶液中でエッチング処理する工程、酸性水溶液
中で電気化学的に粗面化処理する工程、及び陽極酸化処
理する工程、を含むものである。本発明で言う平版印刷
版用アルミニウム支持体の粗面化工程には、酸またはア
ルカリ水溶液中の化学的エッチング工程、酸性水溶液中
でのデスマット工程、酸性水溶液中での直流または交流
を用いて電気化学的な粗面化工程、酸またはアルカリ水
溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨工程、酸
またはアルカリ水溶液中での親水化工程、中性塩水溶液
中でアルミニウム板を陰極にした変性処理工程、中性塩
水溶液中でアルミニウム板を陽極にした粗面化処理工
程、酸性水溶液中でアルミニウム板を陰極にしたデスマ
ット処理工程などが包含される。前記水溶液中には被処
理物に含まれる金属イオンが溶解している。
【0019】本発明において他成分液は前記の各処理で
使用される酸性水溶液、アルカリ性水溶液などが含ま
れ、本発明の方法が好適に適用される酸性水溶液として
は、塩酸、硝酸、硫酸、ポリビニルホスホン酸を含む水
溶液またはこれら2種以上の混合物が挙げられ、その他
にも、リン酸を含む水溶液にも用いることが可能であ
る。本発明の方法を適用し得るアルカリ性水溶液として
は苛性ソーダまたは珪酸ソーダを含むアルカリ性水溶液
が挙げられる。本発明でいう金属イオンを含む多成分液
には、被処理物に含まれる金属イオンが含まれ、アルミ
ニウム板を表面処理する水溶液にはアルミニウムイオン
が主として含まれる。
【0020】本発明に係る平版印刷版用支持体の基材と
して使用されるアルミニウム板は、純アルミニウム板、
アルミニウムを主成分として微量の異元素を含む合金
板、またはアルミニウムがラミネートまたは蒸着された
プラスチックフィルムの中から選ばれる。微量の異元素
を含む合金板には、所定の異元素を担持させたものや除
去し難い微量元素を含む合金板も含まれる。このような
合金板は、元素周期表に記載されているものの中から選
択された1種以上を、0.001重量%〜1.5重量%
含有する合金板である。該アルミニウム合金に含まれる
異元素の代表例には、珪素、鉄、ニッケル、マンガン、
銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、チタン、
パナジウムなどがある。通常はアルミニウムハンドブッ
ク第4版(1990、軽金属協会)に記載の、従来より
公知の素材のもの、例えばJISA1050材、JIS
A3103材、JIS A3005材、JIS A1
100材、JIS A3004材または引っ張り強度を
増す目的でこれらに5重量%以下のマグネシウムを添加
した合金を用いることが出来る。このような合金板を基
材として使用する場合には、これら微量元素も被水溶液
(多成分液)中に僅かに溶解しているが、極微量のため
比重、伝導率、超音波の伝搬速度にほとんど影響を与え
ない。また、硝酸水溶液中で電気化学的な粗面化を行う
と自然発生的にアンモニウムイオンが増加するが、これ
はおよそ100ppm以下なので比重、伝導率、超音波
の伝搬速度にほとんど影響を与えない。
【0021】本発明に係る濃度測定方法は、フィードバ
ック方式またはフィードフォワード方式またはこれらを
組み合わせた液濃度制御方式と組み合わせることによ
り、安定的な濃度制御を行うことが可能となるので特に
好ましい。また、平版印刷版用アルミニウム支持体の粗
面化工程の液濃度管理に用いることで、より安定した品
質の製品を製造することが可能となる。
【0022】支持体を製造するため、アルミニウム基材
に適用される粗面化処理とは、機械的な粗面化処理、バ
フ研磨処理、ポリッシング処理、酸またはアルカリ水溶
液中での化学的なエッチング処理、酸またはアルカリ水
溶液中でアルミニウム板を陽極とした電解研磨処理、中
性塩水溶液中でアルミニウム板を陽極または陰極にした
電解処理、酸性水溶液中で直流または交流を用いておこ
なう電気化学的な粗面化処理のうち一つ以上を組み合わ
せて行うことを特徴とするものであるが、特に好ましい
粗面化処理工程としては以下に記載のものが挙げられ
る。
【0023】即ち、アルミニウム基材を、(a)所望に
よりバフ研磨処理する工程、(b)所望により機械的に
粗面化処理する工程、(c)所望によりアルカリ水溶液
中で化学的にエッチング処理する工程(エッチング処理
は1〜15g/m2行なわれることが好ましい)、(d)
所望によりポリッシング処理する工程、(f)塩酸を主
体とする水溶液中で予備的な粗面化処理処理する工程、
(g)硫酸を主体とする水溶液中でアルミニウム板をカ
ソード電解洗浄処理処理する工程、または、アルカリ水
溶液中でアルミニウム板を0.01〜1g/m2化学的に
エッチング処理処理する工程、(h)硝酸を主体とする
酸性水溶液中で電気化学的に粗面化処理する工程、
(i)アルカリ水溶液中でアルミニウム板を化学的にエ
ッチング処理処理する工程(エッチング処理は0.01
〜5g/m2行なわれることが好ましい)、(j)所望に
よりポリッシング処理処理する工程、(k)陽極酸化処
理する工程、(l)所望により親水化処理処理する工
程、を含む粗面化処理する方式である。
【0024】前記各工程のうち、「所望により」と記載
されている工程は、得ようとする支持体の特性により任
意に実施される工程であり、必ずしも必須のものではな
い。即ち、好ましい粗面化処理方式は、前記工程のう
ち、(f)工程、(g)工程、(h)工程及び(k)工
程(本発明の方法における前記3つの工程に該当する)
を含むものである。
【0025】次に、前記した各粗面化工程について詳細
に説明する (b)機械的に粗面化処理する工程、 機械的な粗面化処理においては、毛径が0.2〜1.6
1mmの回転するナイロンブラシローラと、アルミニウ
ム板表面に供給されるスラリー液とで機械的に粗面化処
理する方式が有利である。研磨剤としては公知の物が使
用できるが、珪砂、石英、水酸化アル、ミニウムまたは
これらの混合物が好ましい。機械的に粗面化処理された
アルミニウム板の平均表面粗さは、0.3〜0.8μm
である。これら方式は、特開平6−135175号、特
公昭50−40047号各公報に詳しく記載されてい
る。スラリー液の比重は1.05〜1.3が好ましい。
もちろんスラリー液を吹き付ける方式、ワイヤーブラシ
を用いた方式、凹凸を付けた圧延ローラの表面形状をア
ルミニウム板に転写する方式などを用いても良い。その
他の方式としては、特開昭55−074898号、特開
昭61−162351号、特開昭63−104889号
各公報等に記載されている。
【0026】(f)塩酸を主体とする水溶液中で予備的
な粗面化処理処理工程 塩酸を主体とする水溶液は、通常の直流または交流を用
いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使周でき、
1〜100g/リットルの塩酸水溶液に、硝酸アルミニ
ウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、等の硝酸イ
オン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモ
ニウム、等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物
の1つ以上を1g/リットル〜飽和まで添加して使用す
ることができる。塩酸を主体とする水溶液中には、鉄、
銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリ
カ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解してい
てもよい。次亜塩素酸を添加してもよい。塩酸を主体と
する水溶液中で、交流を用いて予備的に微細な凹凸を生
成するには、液温15〜45℃、塩酸を5〜15g/リ
ットル含有する水溶液にアルミニウム塩を添加してアル
ミニウムイオンが3〜50g/リットル、更にアルミニ
ウムイオンが4〜10g/リットルにした水溶液であるこ
とが特に好ましい。塩酸を主体とする水溶液中への添加
物、装置、電源、電流密度、流速、温度としては公知の
電気化学的な粗面化に使用するものが用いられ、硝酸ま
たは塩酸を主体とする水溶液が好ましい。電気化学的な
粗面化に用いる電源は交流または直流が用いられるが、
交流が特に好ましい。塩酸を主体とする水溶液中での電
気化学的な粗面化でアルミニウム板が陽極反応にあずか
る電気量は、1〜300C/dm2の範囲から選択で
き、5〜150C/dm2が好ましく、10〜100C
/dm2が特に好ましい。周波数は50〜500Hz、
好ましくは60〜250Hzの交流を用いることが好ま
しい。このときの粗面化された面の形状は、未エッチン
グ部分が無く全面に均一にピットができていることが好
ましく、または、未エッチング部分が存在していても未
エッチング部分が均一に分散していることが特に好まし
い。
【0027】電気化学的な粗面化で微細な凹凸を生成さ
せた後にはスマットや酸化皮膜が生成するので、次の電
気化学的な粗面化を均一におこなうために、酸又はアル
カリ水溶液中でアルミニウム板を0.01〜3g/m2
溶解する軽度のエッチング処理することが好ましく、
0.01〜1.0g/m2が特に好ましい。
【0028】(g−1)硫酸を主体とする水溶液中でア
ルミニウム板をカソード電解洗浄処理処理する工程、ま
たは、アルカリ水溶液中でアルミニウム板を0.01〜
1g/m 2化学的にエッチング処理処理する工程、 塩酸水溶液中で予備的に電気化学的な粗面化処理を行っ
た後には、電気化学的な粗面化で生成した水酸化アルミ
ニウムを主体とするスマット成分を除去することによ
り、次におこなう酸性水溶液中での電気化学的な粗面化
をより均一におこなうことができる。このとき、アルミ
ニウム板をカソード電解処理しながらデスマット処理す
ることが特に好ましい。アルミニウム板をカソード電解
処理しながらデスマット処理一することにより発生する
水素ガスによる撹拝効果や、電流によるアルミニウム界
面の発熱により水酸化アルミニウムを主体とするスマッ
ト成分が溶解、脱落しやすくなる。アルミニウム板をカ
ソード電解処理しながらデスマット処理する装置として
は、単独に電解装置を設けてもよいが、図1に示したよ
うな公知の電気化学的な粗面化装置の補助陽極槽を用い
てカソード電解処理することが特に好ましい。以下、図
1を用いて説明する。補助陽極16が設置された補助陽
極槽20には、主電解槽10とは別の循環タンクから電
解液を循環する。そして補助陽極槽20を用いてアルミ
ニウム板Wをカソード電解処理しながらデスマット処理
する。
【0029】陽極としては鉛、酸化イリジウム、酸化ル
テニウム、白金、フェライトなどを用いることができ
る。酸化イリジウム、白金を焼結またはクラッドまたは
メッキする母材としてはチタン、タンタル、ニオブ、ジ
ルコニウムなどが用いられる。前記バルブ金属は比較的
電気抵抗が大きいため、芯材に銅を用い、その周囲にバ
ルブ金属をクラッドすることが特に好ましい。銅の芯材
にバルブ金属をクラッドするにはあまり複雑なものは作
れないので、各パーツに分割して作成した電極部品を、
酸化イリジウムまたは酸化ルテニウムを被覆した後にボ
ルト・ナット等で希望の構造となるように組み立てるの
が一般的である。フェライトを用いるときは、筒状のフ
ェライトに芯材として銅を挿入し、銀を主体とした導電
性接着剤で固定した構造からなることが最も好ましい。
導電性接着剤で筒状のフェライト電極内部を固定するこ
とで電極内部の電流の流れが均一になり、フェライトが
割れにくくなる。
【0030】補助陽極槽20に循環する液は、電気化学
的な粗面化を行うために用いる主電解槽に循環する水溶
液とは、液の種類、温度、組成のうち一つ以上が異なる
液を用いることが望ましい。液の種類としては、酸、ア
ルカリまたは中性塩水溶液を用いることが可能である
が、工程の品質安定を考えると酸性水溶液を用いること
が好ましい。酸性水溶液の種類としては塩酸、硫酸、硝
酸、燐酸、クロム酸またはこれらの2種類以上を混合し
た液を用いることができる液温は30〜90℃、濃度は
0.1〜40wt%の範囲から選択される。液温は35
〜80℃であることが特に好ましい。前記液にはアルミ
ニウムイオンが0〜10g/リットル、好ましくは0.
5〜8g/リットル溶解していてもよい。アルミニウム
板中に含まれる微量元素も微量ではあるが溶解している
ことはもちろんである。
【0031】塩酸を用いてアルミニウム板をカソード電
解処理しながらデスマット処理する場合は、塩酸濃度1
〜100g/リットル、好ましくは5〜75g/リット
ルの水溶液を用いる。アルミニウム板に対向する陽極5
3としては酸化ルテニウムまたは酸化イリジウムまたは
フェライトを用いることが特に好ましい。硫酸を用いて
アルミニウム板をカソード電解処理しながらデスマット
処理する場合は、硫酸濃度80〜400g/リットル、
好ましくは100〜350g/リットルの水溶液を用い
る。アルミニウム板に対向する陽極としては鉛、酸化イ
リジウム、白金またはフェライトを用いることが特に好
ましい。電解液中には塩酸が0〜1wt%含有していて
も良い。硝酸を用いてアルミニウム板をカソード電解処
理しながらデスマット処理する場合は、硝酸濃度5〜4
00g/リットル、好ましくは10〜350g/リット
ルの水溶液を用いる。アルミニウム板に対向する陽極と
しては、フェライトまたは白金を用いることが特に好ま
しい。
【0032】アルミニウム板をカソード電解処理しなが
らデスマット処理するにあたっては、連続直流またはパ
ルス状の直流を用いる。電流密度は電流のピーク値で1
〜100A/dm2が好ましい、電解時間は0.1〜6
0秒が好ましく、連続処理においては0.5〜10秒が
設備的に好ましい。電解液中には塩酸が0〜1wt%含
有していても良い。前記酸性水溶液のうち、硫酸がとく
に好ましい。スマット成分が取りきれないときは補助的
に酸またはアルカリ水溶液中で化学的にアルミニウム板
を0.1〜1.0g/cm2溶解するエッチング処理又
は酸性水溶液中でのデスマット処理を用いることができ
る。温度、液組成は、下記(c)、(i)に記載の範囲
から選択される。
【0033】(c)、(i)アルカリ水溶液中でアルミ
ニウム板を化学的にエッチング処理処理する工程 アルカリ水溶液の濃度は1〜30wt%が好ましく、ア
ルミニウムはもちろんアルミニウム合金中に含有する他
の合金成分を0〜10wt%含有していてもよい。アル
カリ水溶液としては、特に苛性ソーダを主体とする水溶
液が好ましい。苛性ソーダ濃度とアルミニウム濃度は常
温で晶出しない範囲から選択することが好ましい。特に
好ましくは、苛性ソーダ濃度4〜6wt%、且つ、アル
ミニウムイオン濃度1〜1.5wt%、または、苛性ソ
ーダ濃度25〜28wt%、且つ、アルミニウムイオン
濃度5〜9wt%である。液温は30〜80℃で、0.
1〜60秒間処理することが好ましい。
【0034】酸性水溶液に用いることのできる酸は、燐
酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2以
上の酸を含む混酸を用いることが出来る。酸性水溶液の
濃度は0.5〜65wt%が好ましく、アルミニウムは
もちろんアルミニウム合金中に含有する他の合金成分を
0〜10wt%含有していてよい。液温は30〜95℃
で、1〜120秒間処理することが好ましい。酸性水溶
液としてはとくに硫酸が好ましい、硫酸濃度とアルミニ
ウム濃度は常温で晶出しない範囲から選択することが好
ましい。アルミニウム板のエッチング量としては0.0
1〜30g/m 2が好ましい。機械的な粗面化の後また
は電気化学的な粗面化の前のエッチング量は1〜15g
/m2が特にこのましい。電気化学的な粗面化後のエッ
チング量としては0.01〜5g/m2が好ましい。エ
ッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち
込まないためにニップローラによる液切りとスプレーに
よる水洗を行うことが好ましい。
【0035】(酸性水溶液中でのデスマット処理)化学
的なエッチングをアルカリの水溶液を用いて行った場合
は一般にアルミニウムの表面にはスマットが生成するの
で、この場合には燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、
またはこれらの2以上の酸を含む混酸でデスマット処理
する。酸性水溶液の聰度は0.5〜60wt%が好まし
い。さらに酸性水溶液中にはアルミニウムは勿諭アルミ
ニウム合金中に含有する他の合金成分を0〜5wt%溶
解していても良い。液温は常温から95℃で実施され、
処理時間は1〜60秒が好ましい。デスマット処理が終
了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニ
ヅプローラによる液切りとスプレーによる水洗を行うこ
とが好ましい。最も好ましい酸性水溶液中でのデスマッ
ト処理とは、塩酸または硝酸0.5〜3wt%にアルミ
ニウムイオンが0〜1wt%含有する水溶液15℃〜5
0℃、または、硫酸5〜30wt%にアルミニウムイオ
ンが0〜1wt%含有する水溶液15℃〜70℃であ
る。
【0036】(h)酸性水溶液中で電気化学的に粗面化
処理処理する工程、 なお、本発明において、「硝酸を主体とする水溶液」と
は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化
処理に用いるものを使用でき、濃度5〜20g/リット
ルの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウ
ム、硝酸アンモニウム、等の硝酸イオン、塩化アルミニ
ウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、等の塩酸イ
オンを有する塩酸または硝酸化合物の1つ以上を1g/
リットル〜飽和まで添加して使用することができる。硝
酸を主体とする水溶液中にぱ、鉄、銅、マンガン、ニッ
ケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム
合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。とくに好
ましくは、硝酸5〜20g/リットル水溶液中にアルミ
ニウムイオンが3〜50g/リットルとなるように塩化
アルミニウム、硝酸アルミニウムを添加した液を用いる
ことが好ましい。温度は10〜95℃が好ましく、40
〜80℃がより好ましい。
【0037】また、この粗面化は交流を用いて行なうこ
とができる。ここで、用いうる酸性水溶液は、通常の直
流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いる
ものを使用できる。有利には、前記硝酸を主体とする水
溶液または塩酸を主体とする水溶液から選ぶことができ
る。電気化学的な粗面化に周いる交流電源波形は、サイ
ン波、矩形波、台形波、三角波などを用いることができ
るが、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好
ましい。周波数は0.1〜250Hzが好ましい。台形
波において、電流が0からピークに達するまでの時間t
pは0.1〜10msecが好ましく、0.3〜2ms
ecがとくに好ましい。電源回路のインピーダンスの影
響のため、tpが0.1msec未満であると電流波形
の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要となり、電源の
設備コストが高くなる。10msecより大きくなる
と、電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり均一な
粗面化がおこなわれにくくなる。
【0038】電気化学的な粗面化に用いる交流の1サイ
クルの条件が、アルミニウム板のアノード反応時間ta
とカソード反応時間tcの比tc/taが1〜20、ア
ルミニウム板がアノード時の電気量Qcとアノード時の
電気量Qaの比Qc/Qaが0.3〜20、アノード反
応時閻taが0.5〜1000msec、の範囲にある
ことが好ましい。tc/taは2.5〜15であること
がより好ましい。Qc/Qaは2.5〜15であること
がより好ましい。電流密度は台形波のピーク値で電流の
アノードサイクル側Ia、カソードサイクル側Icとも
に10〜200A/dm2が好ましい。Ic/Iaは
0.3〜20の範囲にあることが好ましい。
【0039】電気化学的な粗面化が終了した時点でのア
ルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和は
50〜600C/dm2が好ましい、本発明で交流を用
いた電気化学的な粗面化に用いる電解槽は、縦型、フラ
ット型、ラジアル型など公知の表面処理に用いる電解槽
が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に
記載のようなラジアル型電解槽がとくに好ましい。電解
槽内を通過する電解液はアルミニウムウェブの進行とパ
ラレルでもカウンターでもよい。ひとつの電解槽には1
個以上の交流竜源が接続することができる。電解槽は2
個以上を用いることもできる。
【0040】交流を用いた電気化学的な粗面化には図1
に示した装置を用いることができる。電解槽を2つ以上
用いるときには電解条件は同じでもよいし異なっていて
もよい。アルミニウム板Wは主電解槽10中に浸漬して
配置されたラジアルドラムローラ12に巻装され、搬送
過程で交流電源11に接続する主極13a、13bによ
り電解処理される。電解液15は電解液供給口14から
スリット16を通じてラジアルドラムローラ12と主極
13a、13bとの間の電解液通路17に供給される。
主電解槽10で処理されたアルミニウム板Wは次いで補
助陽極槽20で電解処理される。この補助陽極槽20に
は補助陽極18がアルミニウム板Wと対向配置されてお
り、電解液15が補助陽極18とアルミニウム板Wとの
間の空間を流れるように供給される。
【0041】(a)バフ研磨処理する工程、 (d)、(j)ポリッシング処理する工程、 本発明で言うバフ研磨処理またはポリッシング処理と
は、機械的、電気的、化学的、またぱ熱的なポリッシン
グ処理をいう。機械的なバフまたはポリッシング処理に
は、砥粒ジェット吹き付け、水ジェット吹き付け、磁気
的砥粒吹き付け、磁気研磨法、ベルト研削、ブラッシン
グ、液体ホーニング等がある。電気的ポリッシングには
超音波方式がある。熱的なポリッシングには、プラズ
マ、放電加工、レーザー加工によるものがある。工業的
には機械的なバフまたはポリッシング方式が好ましく、
ナイロンブラシ、ゴム、布、不織布、ナイロン不織布、
スポンジ、フェルト、革または琢磨布を用いて製作した
ホイールまたはローラを用いて、アルミニウム表面をポ
リッシング処理することが好ましい。機械的なバフまた
はポリッシング処理は乾式よりも湿式が、外観故障とな
るような大きな傷が付きにくく好ましい。湿式でおこな
うときは、水またはアルミニウムをエッチング作用する
液を吹き付けながら、または、水またはアルミニウムを
エッチング作用する液中で行うことが好ましい。バフま
たはポリッシング処理は湿式でも乾式でも、研磨剤を併
用しながら行うことが、少ないエネルギーで表面を丸く
する効果が高く特に好ましい。ポリッシング処理を行っ
た後には、削りかすや研磨剤を除去する目的で、水洗処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板を0.01〜1g/m2溶解する化学的なエッチング
処理を行うことが好ましい。
【0042】本発明でいうバフ研磨処理とはアルミニウ
ム板を圧延後の、粗面化処理する前のアルミニウム板の
表面を回転する研磨剤が塗布・接着されたナイロン不織
布ローラーなどにより機械的に削り取ることをいう。本
発明でいうポリッシング処理とは、機械的、化学的、ま
たは電気化学的に粗面化された表面の凸部の著しく尖っ
た部分を機械的、電気的または熱的に削り取る処理のこ
とをいう。図3は湿式機械的ポリッシング処理に用いる
装置の概略図である。アルミニウム板Wは前記したよう
な処理液32が満たされた処理層をパスロール33によ
り搬送されながら、ポリッシングロール34により表面
をポリッシング処理される。機械的なポリッシングをお
こなう前に、酸又はアルカリ水溶液を使ってアルミニウ
ム板を0.01〜30g/m2、特に好ましくは0.1
〜15g/m2溶解するとアルミニウム板の表面が柔ら
かくなり、機械的なポリッシングがおこなわれやすくな
る。機械的なポリッシングをすることで、粗面化処理さ
れたアルミニウム支持体の凸部が削れ、印刷時のインキ
が引っかかりにくくなって印刷物が汚れにくくなった
り、湿し水を与える際にスポンジが引っかかりにくくな
る効果があると思われる。機械的なポリッシングに用い
るナイロンブラシ、スポンジ、ゴム、不繊布などで平面
にアルミニウム板を擦るようにしても良いし、図3に示
すようなロール状のものを使って回転させてもよい。ロ
ーラ状のものを作って回転させたときはアルミニウム板
とローラの外周とは速度差があることが好ましい。
【0043】水、或いは、酸性、またはアルカリ性の液
体を、ポリッシングされているアルミニウム面に液体を
吹き付けながら、または、アルミニウム板をこれらの液
中に浸漬してポリッシング処理を行うとき、これらの液
体の粘度は好ましくは1〜200cp、特に好ましくは
1.5〜50cpである。液体の粘度を上げるとアルミ
ニウム表面に液膜が形成され易くなり、その結果アルミ
ニウム表面に傷が付きにくくなる。粘度アップの方法と
しては増粘剤を添加する方法が挙げられる。増粘剤とし
ては、高分子化合物を用いることが好ましい。例えば、
ポリエチレングリコールを0.01〜60wt%添加し
たり、水処理・廃水処理に用いる高分子凝集剤を0.0
1〜5wt%添加して用いることができる。高分子凝集
剤としてはノニオン系、アニオン系、ポリアクリル酸系
等の凝集剤を用いることができる。
【0044】(k)陽極酸化処理する工程、 支持体に用いられるアルミニウム板の表面の耐磨耗性を
高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板
の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化
皮膜を形成するものならば、いかなるものでも使用する
ことができる。一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロ
ム酸、またはそれらの混合液が用いられる。それらの電
解質の浪度は電解質の種類によって適宣決められる。陽
極酸化の処理条件は用いる電解質によって異なるため、
一概に特定し得ないが、一般的には電解質の電度が1〜
80wt%、液温は5〜70℃、電流密度1〜60A/
dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜300秒
の範囲にあれば適当である。硫酸水溶液中での陽極酸化
については、特開昭54−12853号、特開昭48−
45303号各公報に詳しく記載されている。硫酸濃度
10〜300g/リットル、アルミニウム電度1〜25
g/リットルとすることが好ましく、50〜200g/
リットルの硫酸水溶液中に硫酸アルミニウムを添加して
アルミニウムイオン濃度を2〜10g/リットルとする
ことが特に好ましい。液温は30〜60℃が好ましい。
直流法を用いるときは、電流密度が1〜60A/d
2、特に5〜40A/dm2が好ましい。連続的にアル
ミニウムシートを陽極酸化する場合は、アルミニウム板
の焼けと呼ばれる電流集中を防ぐために、最初5〜10
A/dm2の低電流密度で陽極酸化処理を行い、後半に
ゆくに従い徐々に電流密度を上げて30〜40A/dm
2になるまで、あるいはそれ以上に電流密度を設定する
ことが特に好ましい。
【0045】硫酸法では通常、直流電流で処理がおこな
われるが、交流を用いることも可能である。陽極酸化皮
膜の量は1〜10g/m2の範囲が適当である。一般的
平版印刷版材料の場合、陽極酸化皮膜量は1〜5g/m
2で、1g/m2よりも少ないと耐刷性が不十分であった
り、平版印刷版の非画像部に傷が付きやすくなって、同
時に傷の部分にインキが付着する、いわゆる傷汚れが生
じやすくなる。また、陽極酸化皮膜量が多くなると、ア
ルミニウム板のエッジ部分へ酸化皮膜が集中しやすくな
るので、アルミニウム板のエッジの部分と中心部分の酸
化皮膜量の差は、1g/m2以下であることが好まし
い。連続的な陽極酸化処理は液給電方式を用いるのが一
般的である。アルミニウム板に電流を通電するための陽
極としては、鉛、酸化イリジウム、白金、フェライトな
どを用いることができるが、酸化イリジウムを主体とす
るものが特に好ましい。酸化イリジウムは熱処理により
基材に被覆される。基材としてはチタン、タンタル、ニ
オブ、ジルコニウムなどの所謂バルブ金属が用いられる
が、チタンまたはニオブが特に好ましい。前記バルブ金
属は比較的電気抵抗が大きいため、芯材に銅を用い、そ
の周囲にバルブ金属をクラッドすることが特に好まし
い。銅の芯材にバルブ金属をクラッドする場合は、あま
り複雑な形状のものは作れないので、各パーツに分割し
て作成した電極部品を、酸化イリジウムを被覆した後に
ボルト・ナット等で希望の構造となるように組み立てる
のが一般的である。
【0046】(l)親水化処理処理する工程、 陽極酸化処理が施された後、アルミニウム表面は必要に
より親水化処理が施される。本発明に使用される親水化
処理としては、米国特許第2714066号、第318
1461号、第3280734号及び第3902734
号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケ
ート(例えば珪酸ナトリウム水溶液)法がある。この方
法においては、支持体が珪酸ナトリウム水溶液中で浸漬
されるか、また電解処理される。蛍光X線装置でSi量
を測定したとき、0.1mg/m2〜100mg/m2
あることが好ましい。とくに好ましくは1〜50mg/
2の範囲である。他に特公昭36−22063号公報
に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム、および、
米国特許第3276868、第4153461号および
第4689272号各明細書に開示されているようなポ
リビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
また、砂目立て処理及び陽極酸化処理後、封孔処理を施
したものも好ましい。かかる封孔処理は熱水および無機
塩または有機塩を含む熱水溶液への浸漬ならびに水蒸気
浴等によっておこなわれる。
【0047】前記の各工程、即ち、本発明に必須の前記
(f)工程、(g)工程、(h)工程、(k)工程、さ
らには、得られる支持体の特性により任意に施される
(a)〜(l)のうち任意の工程を経て、平版印刷版用
支持体として好適なアルミニウム支持体を得ることがで
きる。これらの工程管理において、使用する処理液、即
ち、本発明に言う金属イオンを含む多成分液の濃度管理
に本発明の特徴である前記の濃度測定方法を適用するこ
とで、処理条件の安定化が図れ、優れた品質のアルミニ
ウム支持体を安定に製造することができるものである。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1)まず、各処理液(多成分液)の濃度測定の
ためのデータテーブルを酸性水溶液、アルカリ性水溶液
にわけて作成した。
【0049】〔酸性水溶液の例〕塩酸濃度0wt%、
0.5wt%、1wt%、1.5wt%水溶液中に塩化
アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度それぞ
れ0wt%、0.25wt%、0.5wt%、0.75
wt%添加した水溶液(多成分液)を用いて、液温30
℃、35℃、40℃で導電率と超音波の伝搬速度を測定
したデータテーブルを作った。35℃のときの例を図4
及び図5に示す。また、データテーブルを作成する際に
気泡の影響を受け難い垂直の流束の配管を利用した超音
波、伝導率などの測定装置の概要を図10に示す。これ
らのデータテーブルを基に、温度、導電率、超音波の伝
搬速度から液組成を求めるようにした。超音波は周波数
2MHzのものを用いた。超音波の伝搬距離は110m
mで測定した。同様に硝酸濃度0g/リットル、5g/
リットル、10g/リットル、15g/リットル水溶液
中に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃
度それぞれ0g/リットル、2.5g/リットル、5g
/リットル、7.5g/リットル添加した水溶液を用い
て、液温40℃、45℃、50℃、55℃で導電率と超
音波の伝搬速度を測定したデータテーブルを作った。こ
れらのデータテーブルを基に、温度、導電率、超音波の
伝搬速度から液組成を求めるようにした。
【0050】また、硫酸濃度50g/リットル、100
g/リットル、150g/リットルに硫酸アルミニウム
を添加してアルミニウムイオン濃度がそれぞれ0g/リ
ットル、5g/リットル、10g/リットルで液温30
℃、40℃、50℃、60℃を液温25℃に補正した比
重と導電率のデータテーブルを作った。この例を図6に
示す。これらのデータテーブルを基に、温度、導電率、
比重から液組成を求めるようにした。また、硫酸濃度2
0wt%、23.5wt%、26.5wt%、30wt
%、アルミニウムイオン濃度0wt%、0.3wt%、
0.7wt%、1wt%の液で、2つの異なる温度で超
音波の伝搬速度を測定し、図11に示すデータテーブル
を作成した。さらに、ポリビニルホスホン酸の濃度0.
1wt%、0.5wt%、1wt%液温で60℃、70
℃、80℃で液温25℃に換算した導電率のデータテー
ブルを作った。これらのデータテーブルを基に、温度、
導電率から液組成を求めるようにした。
【0051】〔アルカリ性水溶液の例〕NaOH濃度2
0wt%、25wt%、30wt%で、アルミニウムイ
オン濃度がそれぞれ2.5wt%、5wt%、7.5w
t%、液温30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、
80℃を液温25℃に補正した比重と導電率のデータテ
ーブルを作った。1例を図12に示す。これらのデータ
テーブルを基に、温度、導電率、比重から液組成を求め
るようにした。また、同様に、NaOH濃度3wt%、
7wt%、アルミニウムイオン濃度0.5wt%、1w
t%、1.5wt%のデータテーブルも作成した。ま
た、珪酸ソーダ濃度1wt%、2wt%、3wt%液温
で60℃、70℃、80℃で液温25℃に換算した導電
率のデータテーブルを作った。これらのデータテーブル
を基に、温度、導電率から液組成を求めるようにした。
【0052】〔粗面化処理液の濃度測定と工程管理への
適用〕前記各処理液用のデータテーブルを用いて、平版
印刷版用アルミニウム支持体の電気化学的な粗面化工程
の液濃度管理システムを行ない、下記の手順で平版印刷
版用アルミニウム支持体の粗面化をおこなった。 (1)アルミニウム基材 DC鋳造法で中間焼鈍処理と均熱処理を省略し、酸また
はアルカリ水溶液中での化学的なエッチングでストリー
ク、面質むらが発生しやすくなった厚さ0.24mm、
幅1030mmの、JISA1050アルミニウム板を
用いて連続的に処理をおこなった。
【0053】(2)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理 アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する水溶液、75℃に浸漬して
アルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウ
ム板の溶解量は5g/m2であった。このエッチング処
理工程の液濃度は、前記データテーブルより求めた。そ
して測定した液組成を基にフィードバックをかけて液濃
度制御をおこなった。その後、水洗処理を行った。
【0054】(3)デスマット処理 次に塩酸7.5g/lの水溶液に、塩化アルミニウムを
添加してアルミニウムイオンが4.5g/lとした水溶
液、35℃に10秒間浸漬してデスマット処理を行っ
た。その後、水洗処理を行った。このデスマット処理工
程の液濃度は、前記データテーブルより求めた。そして
測定した液組成を基にフィードバックをかけて液濃度制
御をおこなった。 (4)塩酸水溶液中での予備的な電気化学的粗面化処理
およびカソード電解処理しながらのデスマット処理 図1に示す装置を1槽を用いて、図2に示すような交流
電圧をかけて、連続的に電気化学的な粗面化処理を行っ
た。このときの電解液は、塩酸7.5g/lの水溶液に
塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオンが4.
5g/lとした水溶液(アルミニウムイオン0.75w
t%含む)、液温35℃であった。この処理工程の液濃
度は、前記データテーブルより求めた。そして測定した
液組成を基にフィードフォワード制御とフィードバック
制御を併用した液濃度制御をおこなった。
【0055】交流電源波形は電流値がゼロからピークに
達するまでの時閻TPが0.3msec、duty比
1:1、60Hzの台形の矩形波交流を用いて、カーボ
ン電極を対極として電気化学的な粗面化処理をおこなっ
た。補助陽極には銅を基材71としてニオブ被覆層72
を形成したものに酸化イリジウム73を主体とする成分
をコーティング後、熱処理した電極を用いた。この電極
の断面図を図7に、全体の概略図を図8に示す。電流密
度は電流のピーク値で50A/dm2、電気量はアルミ
ニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であ
った。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流さ
せた。補助電解槽の通過時閻は1秒であった。補助陽極
が設置されている電解槽に供給する電解液は硫酸25w
t%、塩酸0.75wt%、アルミニウムイオン0.7
5wt%であった。この液濃度は、前記データテーブル
より求めた。そして測定した液組成を基にフィードバッ
ク制御で液濃度制御をおこなった。補助電解槽ではアル
ミニウム板をカソード電解処理しながらのデスマット処
理がおこなわれた。その後、スプレーによる水洗を行っ
た。
【0056】(5)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面
化処理 図2の交流電圧で、図1の装置を2槽用いて連続的に電
気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、
硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt
%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)であっ
た。この液濃度は、前記データテーブルより求めた。そ
して測定した液組成を基にフィードフォワード制御とフ
ィードバック制御を併用した液濃度制御をおこなった。
液温50℃であった、交流電源波形は電流値がゼロから
ピークに達するまでの時間TPが0.8msec,du
ty比1:1,60Hz、台形の矩形波交流を用いて、
カーポン電極を対極として電気化学的な粗面化処理をお
こなった。電流密度は電流のピーク値で50A/d
2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和
で190C/dm2であった。補助陽極には電源から流
れる電流の5%を分流させた。
【0057】補助陽極91には、筒状のフェライト92
に芯材として銅93を挿入し、銀を主体とした導電性接
着剤94で固定した構造の電極を用いた。図9は補助陽
極の構造を示す概略図である。フェライト電極は、アル
ミニウム板の幅方向に対して両側から通電するように、
電極先端部を突き合わせて設置した。突き合わせ部は一
列に並ばないように千鳥状に交互に配置した。その後、
スプレーによる水洗をおこなった。
【0058】(6)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理 アルミニウム板を、NaOH5wt%、アルミニウムイ
オン1.5wt%含有する水溶液、40℃に浸漬してア
ルミニウム板のエッチング処理を行った。このエッチン
グ処理工程の液濃度は、前記データテーブルより求め
た。そして測定した液組成を基にフィードバックをかけ
て液濃度制御をおこなった。アルミニウム板の溶解貴は
0.05g/m2であった。その後、水洗処理をおこな
った。
【0059】(7)デスマット処理 その後、水洗処理を行い、次に硫酸10wt%含有する
水溶液に60℃で浸漬してデスマット処理を行った。そ
の後、水洗処理をおこなった。この工程の液濃度は、前
記データテーブルより求めた。そして測定した液組成を
基にフィードバックをかけて液濃度制御をおこなった。
【0060】(8)陽極酸化処理 液温55℃の硫酸濃度100g/リットルの水溶液(ア
ルミニウムイオンを5g/リットル含む)で、直流電圧
を用い、電流密度5A/dm2から35A/dm2まで約
5A/dm2ずつ電流密度が段階的にに高くなるように
電流設定して、陽極酸化皮膜量が2.4g/m2になる
ように陽極酸化処理をおこなった。この工程の液濃度
は、前記データテーブルより求めた。そして測定した液
組成を基にフィードバックをかけて液濃度制御をおこな
った。陽極酸化処理方式としては液給電方式を用い、陽
極酸化処理反応をおこなう陽極酸化処理槽の前後に、銅
にチタンをクラッドし耐食性をもたせた基材に酸化イリ
ジウムを主体とする成分をコーティング後、熱処理した
陽極を設置した処理槽を配置した。陽極はアルミニウム
板は水平にハンドリングされるため、アルミニウム板を
挟んで上下両面に配置した。陽極酸化処理槽の陰極はア
ルミニウム電極を用い、気泡の抜けを良くするために、
アルミニウム板の上面にアルミニウム板の直行方向と垂
直に複数に分割して配置した。個々の陰性の間隔は30
mmであった。その後、スプレーによる水洗をおこな
い、平版印刷版用のアルミニウム支持体を得た。このア
ルミニウム支持体の表面を観察したところ、表面にはア
ルミニウム板の結晶粒の方位に起因するストリークや面
質むらは全く発生していなかった。
【0061】このアルミニウム支持体の特性を評価する
ために、常法により、中間層およびポジ型感光層を塗
布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2のポジ型平版印刷
版原版を作成した。この平版印刷版原版を露光、現像し
て得られた平版印刷版を用いて印刷したところ、画像部
のむらや非画像部の傷に起因する汚れなどがない、良好
な印刷物が得られた。
【0062】(実施例2)実施例1の(8)陽極酸化処
理後の基板に、親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.
5wt%、70℃の水溶液に14秒間浸漬した。この工
程の液濃度は、前記データテーブルより求めた。そして
測定した液組成を基にフィードバックをかけて液濃度制
御をおこなった。その後スプレーで水洗し、乾燥して平
版印刷版用アルミニウム支持体を得た。各処理および水
洗の後にはニップローラで液切りをおこなった。得られ
たアルミニウム支持体の特性を評価するために、常法に
より、中間層とネガ型感光層を塗布、乾燥してネガ型の
平版印刷版原版を作成した。この平版印刷版原版を露
光、現像して得られた平版印刷版を用いて印刷したとこ
ろ、画像部のむらや非画像部汚れなどがない、良好な印
刷物が得られた。
【0063】(実施例3)実施例1の(7)陽極酸化処
理後のアルミニウム基板を親水化処理する目的で、60
℃,0.2%のポリビニルフォスフォン酸に30秒聞浸
漬して親水化処理した。この工程の液濃度は、前記デー
タテーブルより求めた。そして測定した液組成を基にフ
ィードバックをかけて液濃度制御をおこなった。その後
スプレーで水洗し、乾燥して平版印刷版用アルミニウム
支持体を得た。得られたアルミニウム支持体の特性を評
価するために、常法により、中間層とネガ型感光層を塗
布、乾燥してネガ型の平版印刷版原版を作成した。この
平版印刷版原版を露光、現像して得られた平版印刷版を
用いて印刷したところ、画像部のむらや非画像部汚れな
どがない、良好な印刷物が得られた。
【0064】(実施例4)実施例1において、(2)化
学的なエッチング処理の前に、バフ研磨処理をおこなっ
た以外は実施例1と全く同様にして粗面化処理し、アル
ミニウム支持体を得た。このアルミニウム支持体の表面
を観察したが、表面に圧延後のアルミニウム板の表面へ
のCuの偏析による細長いレンズ状の処理ムラは全く発
生していなかった。このアルミニウム支持体の特性を評
価するために、常法により、中間層およびポジ型感光層
を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2のポジ型平版
印刷版原版を作成した。この平版印刷版原版を露光、現
像して得られた平版印刷版を用いて印刷したところ、画
像部のむらや非画像部の汚れなどがない、良好な印刷物
が得られた。
【0065】(実施例5)珪砂と水を主体とする水溶液
中で珪砂濃度5wt%、10wt%、15wt%となる
ような液をそれぞれ15℃、35℃、50℃で比重を測
定し、データテーブルを作成した。機械的な粗面化処
理:比重1.12の珪砂と水の懸濁液を研磨スラリー液
としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する
ローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化をおこ
なった。この工程の液濃度は、前記データテーブルより
求めた。そして測定した液組成を基にフィードバックを
かけて液濃度制御をおこなった。ナイロンブラシの材質
は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径
は0.295mmであった。ナイロンブラシはΦ300
mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植
毛した。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向
と同じであった。その後、水洗した。この機械的粗面化
処理後のアルミニウム板の平均表面粗さは0.45μm
であった。
【0066】実施例1の(2)化学的なエッチング処理
の前に前記の機械的な粗面化処理を行った。そして、実
施例1の(6)アルカリ水溶液中でのエッチング処理に
おけるアルミニウム溶解量を0.8g/m2とした以外は
実施例1と全く同様に粗面化処理し、平版印刷版用アル
ミニウム支持体を得た。このアルミニウム支持体の特性
を評価するために、実施例1と同様にして、ポジ型平版
印刷版原版を作成した。この平版印刷版原版を露光、現
像して得られた平版印刷版を用いて印刷したところ、画
像部のむらや非画像部の汚れなどがない、良好な印刷物
が得られた。
【0067】(実施例6)実施例5の機械的な粗面化処
理の前にバフ研磨処理をおこなった以外は実施例5と全
く同様に粗面化処理し、平版印刷版用アルミニウム支持
体を得た。このアルミニウム支持体の表面を観察した
が、圧延後のアルミニウム板の表面へのCuの偏析によ
る細長いレンズ状の処理ムラは全く発生していなかっ
た。このアルミニウム支持体の特性を評価するために、
実施例1と同様にして、ポジ型平版印刷版原版を作成し
た。この平版印刷版原版を露光、現像して得られた平版
印刷版を用いて印刷したところ、画像部のむらや非画像
部の汚れなどがない、良好な印刷物が得られた。
【0068】(実施例7)実施例1において(4)塩化
水溶液中での予備的な電気化学的な粗面化処理およびカ
ソード電解処理しながらのデスマット処理で用いる補助
陽極に銅を基材としてチタンをクラッドしたものに酸化
イリジウムを主体とする成分をコーティング後に熱処理
した電極を用いた以外は実施例1と全く同様に粗面化処
理し、平版印刷版用アルミニウム支持体を得た。このア
ルミニウム支持体の特性を評価するために、実施例1と
同様にして、ポジ型平版印刷版原版を作成した。この平
版印刷版原版を露光、現像して得られた平版印刷版を用
いて印刷したところ、画像部のむらや非画像部の汚れな
どがない、良好な印刷物が得られた。
【0069】(実施例8)実施例1と同様に、アルミニ
ウム板の粗面化処理に用いる処理液の液組成と温度、導
電率、超音波の伝達速度、比重のデータテーブルを作成
した。 (1)DC鋳造法で中間焼鈍処理と均熱処理を省略し、
酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチングでス
トリーク、面質むらが発生しやすくなった厚さ0.24
mm、幅1030mmの、JIS A1050アルミニ
ウム板基材を用いて以下にしめす連続的に処理をおこな
った。 (2)アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミ
ニウムイオン6.5wt%含有する水溶液に70℃で浸
漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アル
ミニウム板の溶解量は6g/m2であった。このエッチ
ング処理工程の液濃度は、前記データテーブルより求め
た。そして測定した液組成を基にフィードバックをかけ
て液濃度制御をおこなった。その後、水洗処理をおこな
った。 (3)次に塩酸7.5g/l、アルミニウムイオン5g
/l含有する水溶液、35℃に5秒間浸漬してデスマッ
ト処理を行った。このデスマット処理工程の液濃度は、
前記データテーブルより求めた。そして測定した液組成
を基にフィードバックをかけて液濃度制御をおこなっ
た。このデスマット液は(4)に示す電気化学的な粗面
化処理工程の廃液を用いた。その後、水洗処理をおこな
った。
【0070】(4)図2の交流電圧と図1の装置を1槽
を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。こ
のときの電解液は、塩酸7.5g/l水溶液(アルミニ
ウムイオン4.5g/l含む)、液温35℃であった。
交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの
時間TPが0.5msec,duty比1:1,60H
z、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極と
して電気化学的な粗面化処理をおこなった。この処理工
程の液濃度は、前記データテーブルより求めた。そして
測定した液組成を基にフィードフォワード制御とフィー
ドバック制御を併用した液濃度制御をおこなった。補助
アノードには先に図8で示したフェライト電極を用い
た。フェライト電極は、アルミニウム板の幅方向に対し
て両側から通電するように、電極先端部を突き合わせて
設置した。突き合わせ部は一列に並ばないように千鳥状
に交互に配置した。電流密度は電流のピーク値で50A
/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の
総和で50C/dm2であった。補助陽極には電源から
流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによ
る水洗をおこなった。
【0071】(5)アルミニウム板を、NaOH27w
t%、アルミニウムイオン6.5wt%含有する水溶液
に40℃で浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を
行った。アルミニウム板の溶解量は0.3g/m2であ
った。このエッチング処理工程の液濃度は、前記データ
テーブルより求めた。そして測定した液組成を基にフィ
ードバックをかけて液濃度制御をおこなった。その後、
水洗処理をおこなった。 (6)次に硝酸1wt%含有する水溶液に35℃で5秒
間浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理
をおこなった。
【0072】(7)図2の交流電圧と図1に示す装置を
2槽用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。
このときの電解液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウ
ムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007
wt%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は電
流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8
msec,duty比1:1,60Hz、台形の矩形波
交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な
組面化処理をおこなった。この液濃度は、前記データテ
ーブルより求めた。そして測定した液組成を基にフィー
ドフォワード制御とフィードバック制御を併用した液濃
度制御をおこなった。補助アノードには図9に示すフェ
ライト電極を用いた。フェライト電極は、アルミニウム
板の幅方向に対して両側から通電するように、電極先端
部を突き合わせて設置した。突き合わせ部は一列に並ば
ないように千鳥状に交互に配置した。電流密度は電流の
ピーク値で50A/dm2、電気量はアルミニウム板が
陽極時の電気量の総和で210C/dm2であった。補
助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。そ
の後、スプレーによる水洗をおこなった。
【0073】(8)アルミニウム板を、NaOH5wt
%、アルミニウムイオン0.5wt%含有する水溶液、
40℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行
った。アルミニウム板の溶解量は0.05g/m2であ
った。このエッチング処理工程の液濃度は、前記データ
テーブルより求めた。そして測定した液組成を基にフィ
ードバックをかけて液濃度制御をおこなった。その後、
水洗処理をおこなった。
【0074】(9)次に硫酸25wt%(アルミニウム
イオン0.5wt%含む)水溶液、60℃に5秒間浸漬
してデスマット処理を行った。この工程の液濃度は、前
記データテーブルより求めた。そして測定した液組成を
基にフィードバックをかけて液濃度制御をおこなった。
その後、水洗処理をおこなった。
【0075】(10)液温35℃の硫酸濃度150g/
リットルの水溶液(アルミニウムイオンを5g/リット
ル含む)で、直流電圧を用い、電流密度5A/dm2
ら35A/dm2まで約5A/dm2ずつ電流密度が段階
的に高くなるように電流設定して、陽極酸化皮膜量が
1.2g/m2になるように陽極酸化処理をおこなっ
た。この工程の液濃度は、前記データテーブルより求め
た。そして測定した液組成を基にフィードバックをかけ
て液濃度制御をおこなった。陽極酸化処理方式としては
液給電方式を用い、陽極酸化処理反応をおこなう陽極酸
化処理槽の前後に、銅にチタンをクラッドした基材に酸
化イリジウムを主体とする成分をコーティング後、熱処
理した陽極を配置した処理槽を配置した。陽極酸化処理
槽の陰極はアルミニウム電極を用いた。このアルミニウ
ム支持体の特性を評価するために、常法により、中間層
およびポジ型感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g
/m2のポジ型平版印刷版原版を作成した。この平版印
刷版原版を露光、現像して得られた平版印刷版を用いて
印刷したところ、画像部のむらや非画像部の傷に起因す
る汚れなどがない、良好な印刷物が得られた。
【0076】(実施例9)実施例8において、(2)の
化学的なエッチング処理の前に、バフ研磨処理をおこな
った以外は実施例1と全く同様に粗面化処理し、平版印
刷版用アルミニウム支持体を得た。このアルミニウム支
持体の表面を観察したが、圧延後のアルミニウム板の表
面へのCuの偏析による細長いレンズ状の処理ムラは全
く発生していなかった。このアルミニウム支持体の特性
を評価するために、実施例1と同様にして、ポジ型平版
印刷版原版を作成した。この平版印刷版原版を露光、現
像して得られた平版印刷版を用いて印刷したところ、画
像部のむらや非画像部の汚れなどがない、良好な印刷物
が得られた。
【0077】(実施例10)珪砂と水を主体とする水溶
液中で珪砂濃度5wt%、10wt%、15wt%とな
るような液をそれぞれ15℃、35℃、50℃で比重を
測定し、データテーブルを作成した。そして実施例8に
おける(2)の化学的エッチング処理の前に下記の機械
的な粗面化処理を行った、そして、実施例8(5)のエ
ッチング処理におけるアルミニウム溶解量を0.8g/m
2とした以外は実施例8と全く同様に粗面化処理した。
その後、比重1.12の珪砂と水の懸濁液を研磨スラリ
ー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転
するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を
おこなった。この工程の液濃度は、前記データテーブル
より求めた。そして測定した液組成を基にフィードバッ
クをかけて液濃度制御をおこなった。ナイロンブラシの
材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の
直径は0,295mmであった。ナイロンブラシはΦ3
00mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるよう
に植毛した。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動
方向と同じであった。その後、水洗し、平版印刷版用ア
ルミニウム支持体を得た。この機械的粗面化処理後のア
ルミニウム板の平均表面粗さは0.45μmであった。
【0078】このアルミニウム支持体の特性を評価する
ために、実施例1と同様にして、ポジ型平版印刷版原版
を作成した。この平版印刷版原版を露光、現像して得ら
れた平版印刷版を用いて印刷したところ、画像部のむら
や非画像部の汚れなどがない、良好な印刷物が得られ
た。
【0079】(実施例11)実施例10の機械的な粗面
化処理の前にバフ研磨処理をおこなった以外は実施例1
0と全く同様に粗面化処理し、平版印刷版用アルミニウ
ム支持体を得た。このアルミニウム支持体の表面には圧
延後のアルミニウム板の表面へのCuの偏析による細長
いレンズ状の処理ムラは全く発生していなかった。この
アルミニウム支持体の特性を評価するために、実施例1
と同様にして、ポジ型平版印刷版原版を作成した。この
平版印刷版原版を露光、現像して得られた平版印刷版を
用いて印刷したところ、画像部のむらや非画像部の汚れ
などがない、良好な印刷物が得られた。
【0080】(実施例12)実施例8の(4)補助的な
電気化学的な粗面化処理で用いる補助陽極に銅を基材と
してチタンをクラッドしたものに酸化ルテニウムをコー
ティング、熱処理した電極を用いた以外は実施例8と全
く同様に粗面化処理し、平版印刷版用アルミニウム支持
体を得た。このアルミニウム支持体の特性を評価するた
めに、実施例1と同様にして、ポジ型平版印刷版原版を
作成した。この平版印刷版原版を露光、現像して得られ
た平版印刷版を用いて印刷したところ、画像部のむらや
非画像部の汚れなどがない、良好な印刷物が得られた。
【0081】(実施例13)実施例8の(10)陽極酸
化処理後の基板に、親水化処理する目的で、珪酸ソーダ
2.5wt%、70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その
後スプレーで水洗し、乾燥した。各処理および水洗の後
にはニップローラで液切りをおこなって、平版印刷版用
アルミニウム支持体を得た。このアルミニウム支持体の
特性を評価するために、常法により、中間層とネガ型感
光層とを形成し、ネガ型平版印刷版原版を作成した。こ
の平版印刷版原版を露光、現像して得られた平版印刷版
を用いて印刷したところ、画像部のむらや非画像部の汚
れなどがない、良好な印刷物が得られた。
【0082】(実施例14)実施例10における(1
0)陽極酸化処理後の基板に、親水化処理する目的で、
珪酸ソーダ2.5wt%、70℃の水溶液に14秒間浸
漬し、その後スプレーで水洗し、乾燥した。各処理およ
び水洗の後にはニップローラで液切りをおこなって、平
版印刷版用アルミニウム支持体を得た。このアルミニウ
ム支持体の特性を評価するために、常法により、中間層
とネガ型感光層とを形成し、ネガ型平版印刷版原版を作
成した。この平版印刷版原版を露光、現像して得られた
平版印刷版を用いて印刷したところ、画像部のむらや非
画像部の汚れなどがない、良好な印刷物が得られた。
【0083】(実施例15)実施例10における(1
0)陽極酸化処理後の基板を70℃のポリビニルスルホ
ン酸0.2%水溶液に5秒浸漬し、親水化処理し、平版
印刷版用アルミニウム支持体を得た。このアルミニウム
支持体の特性を評価するために、常法により、中間層と
ネガ型感光層とを形成し、ネガ型平版印刷版原版を作成
した。この平版印刷版原版を露光、現像して得られた平
版印刷版を用いて印刷したところ、画像部のむらや非画
像部の汚れなどがない、良好な印刷物が得られた。
【0084】(実施例16)実施例10において、機械
的な粗面化の後におこなう(2)化学的なエッチング処
理の後にポリッシング処理をおこない表面の著しい凸部
を研磨した以外は実施例10と全く同様に粗面化処理
し、平版印刷版用アルミニウム支持体を得た。このアル
ミニウム支持体の特性を評価するために、実施例1と同
様にして、ポジ型平版印刷版原版を作成した。この平版
印刷版原版を露光、現像して得られた平版印刷版を用い
て印刷したところ、画像部のむらや非画像部の汚れなど
がない、良好な印刷物が得られた。また、この結果を実
施例10におけるものと比較したところ、ポリッシング
処理を行なった本実施例16の方が、実施例10よりも
印刷時にブラン胴が汚れにくい良好な印刷版を得られる
ことがわかった。
【0085】(実施例17、18)実施例5の(8)陽
極酸化処理、及び、実施例10の(10)陽極酸化処理
の前にポリッシング処理をおこない、粗面化された表面
の著しく突出した凸部を削り取る加工をした以外は、そ
れぞれ実施例5、実施例10と全く同様に粗面化処理
し、平版印刷版用アルミニウム支持体(実施例17およ
び18)を得た。このアルミニウム支持体の特性を評価
するために、実施例1と同様にして、ポジ型平版印刷版
原版を作成した。この平版印刷版原版を校正印刷に用い
たところ、いずれも、湿し水を与えるスポンジが引っか
かりにくい良好な印刷版であった。 (実施例19)硫酸とアルミニウムイオン濃度を変化さ
せ、液温50℃と60℃の超音波伝搬速度を計測して液
組成との対応マップを作成した。硫酸濃度、20wt
%、23.5wt%、26.5wt%、30wt%、ア
ルミイオン濃度 0wt%、0.3wt%、0.7wt
%で液組成に対応するマップを作成した。図11に例を
示す。実施例(7)で硫酸水溶液中での陽極酸化の液濃
度組成を測定し、それぞれフィードバック方式で液濃度
制御を行った。それ以外は実施例1と全く同様に粗面化
処理した。この方式でコントロールすると濃度をリアル
タイムで測定することができ、安定的に平版印刷版用ア
ルミニウム支持体を製造可能であった。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、粗面化処理、親水化処
理に用いる金属イオンを含む多成分液の濃度等の測定を
リアルタイムでしかも正確に測定できる方法を製造プロ
セス中に取りこむことで、平版印刷版用アルミニウム支
持体の粗面化工程の処理条件の均一性を確保し、品質の
安定した平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気化学的な粗面化処理に用いる電解装置の
概略図である。
【図2】 電気化学的な粗面化処理を行なう際の交流電
圧の印加条件を示すグラフである。
【図3】 湿式ポリッシング処理に用いる装置の概略図
である。
【図4】 アルミニウムイオン濃度それぞれ0wt%、
0.25wt%、0.5wt%、0.75wt%添加し
た水溶液(多成分液)を用いて、液温35℃で超音波の
伝搬速度を測定したデータテーブルの例を示すグラフで
ある。
【図5】 アルミニウムイオン濃度それぞれ0wt%、
0.25wt%、0.5wt%、0.75wt%添加し
た水溶液(多成分液)を用いて、液温35℃で導電率を
測定したデータテーブルの例を示すグラフである。
【図6】 硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度を変えた
場合の、液温25℃に補正した比重と導電率のデータテ
ーブルの例を示すグラフである。
【図7】 電気化学的な粗面化処理に用いる酸化イリジ
ウム被覆層を有する補助陽極の例を示す概略断面図であ
る。
【図8】 電気化学的な粗面化処理に用いる酸化イリジ
ウム被覆層を有する補助陽極の例を示す概略斜視図であ
る。
【図9】 電気化学的な粗面化処理に用いるフェライト
を用いた補助陽極の例を示す概略断面図である。
【図10】 気泡の影響を抑えて超音波伝搬速度や導電
率を測定する装置の例を示す概略断面図である。
【図11】 硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度を変え
た場合の液温50℃と60℃の周波数2MHz、伝搬距
離110mmで測定した、超音波伝搬速度を測定したデ
ータテーブルの例を示すグラフである。
【図12】 NaOH濃度とアルミニウムイオン濃度を
変えた場合の液温25℃に補正した比重と導電率のデー
タテーブルの例を示すグラフである。
【符号の説明】
W アルミニウム板(アルミニウム基材) 13a、13b 陽極(主極) 15 電解液 16 補助陽極
フロントページの続き (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H114 AA14 DA04 DA73 EA01 FA07 GA05 GA06 GA08 GA09 GA35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム基材を、酸性水溶液又はア
    ルカリ水溶液中でエッチング処理する工程と、酸性水溶
    液中で電気化学的に粗面化処理する工程と、陽極酸化処
    理する工程と、を含む、平版印刷版用アルミニウム支持
    体の製造方法であって、 該アルカリ水溶液、酸性水溶液、及び陽極酸化処理液か
    ら選択される少なくとも1種の多成分液が、比重、導電
    率、超音波の伝搬速度のうち1種以上と温度とを測定
    し、予め作成しておいたデータテーブルを参照して被測
    定物の酸又はアルカリ濃度、及び金属イオン濃度を求め
    る多成分液の濃度測定方法により濃度管理されることを
    特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記データテーブルが、多成分液の酸の
    濃度と金属イオンの濃度と温度に対するそれぞれの超音
    波伝搬速度、または超音波伝搬速度と導電率を測定した
    データテーブルであり、前記濃度測定方法が、任意の被
    測定液の温度と超音波伝搬速度、または温度と超音波伝
    搬速度と導電率を測定し、前記データテーブルを参照し
    て、被測定物の酸またはアルカリ濃度及び金属イオン濃
    度を求める濃度測定方法であることを特徴とする請求項
    1に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記データテーブルが、多成分液の酸の
    濃度と金属イオンの濃度と温度に対するそれぞれの比重
    と導電率を測定したデータテーブルであり、前記濃度測
    定方法が、任意の被測定液の温度と比重、または温度と
    導電率、または温度と比重と導電率を求め、前記データ
    テーブルを参照して、被測定物の酸またはアルカリ濃度
    及び金属イオン濃度を求める濃度測定方法であることを
    特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用アルミニウム
    支持体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記濃度測定方式により得られた濃度デ
    ータを、フィードバック方式またはフィードフォワード
    方式またはこれらを組み合わせた液濃度制御方式により
    管理し、前記多成分液の濃度を制御することを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の平版印
    刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電気化学的な粗面化処理の補助陽極
    として用いる電極材料が、バルブ金属またはその合金か
    ら選んだ基体上に酸化イリジウムを主体とする被覆層を
    設けてなる電極用陽極であることを特徴とする請求項1
    に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記電気化学的な粗面化処理の補助陽極
    として用いる電極材料が、筒状のフェライトに芯材とし
    て銅を挿入し、銀を主体とした導電性接着剤で固定した
    構造を有する電極用陽極であることを特徴とする請求項
    1に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方
    法。
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