JPH11240274A - 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

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JPH11240274A
JPH11240274A JP4560798A JP4560798A JPH11240274A JP H11240274 A JPH11240274 A JP H11240274A JP 4560798 A JP4560798 A JP 4560798A JP 4560798 A JP4560798 A JP 4560798A JP H11240274 A JPH11240274 A JP H11240274A
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JP
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aluminum
aqueous solution
aluminum plate
treatment
plate
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JP4560798A
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English (en)
Inventor
Atsuo Nishino
温夫 西野
Yoshitaka Masuda
義孝 増田
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ストリーク、面質むらと呼ぶ結晶粒の方位差
によるアルミ溶解速度の差に起因する処理むらの発生が
なく、良好な平版印刷版を与える、平版印刷版用アルミ
ニウム支持体の製造方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム板を(1)液温60〜95
℃の硝酸を主体とする水溶液中で、交流を用いた電気化
学的な粗面化を行い、平均径0.1〜0.5μmハニカ
ムピットを1〜150C/dm2 の電気量で生成し、次
いで(2)酸又はアルカリ水溶液中で化学的なエッチン
グ、または、アルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
を行い、アルミニウム板を0.01〜10g/m2 溶解
することにより平版印刷版用アルミニウム支持体を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平版印刷版用支持体と
して使用されるアルミニウム支持体の製造方法に関する
ものである。また、本発明は平版印刷版用支持体として
使用されるアルミニウム板の粗面化方法、特に、従来の
化学的なエッチング方法で発生しやすい、結晶粒の方位
差に起因するストリークスと呼ばれる畳目状の筋や、面
質むらと呼ばれるざらつき状の処理むらなどが発生しや
すいアルミニウム板の粗面化に好適な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面
化法としては、交流エッチング法が一般的に採用されて
おり、 電流としては、普通の正弦波交流、矩形波など
の特殊交番波形電流がもちいれている。そして、黒鉛等
の適当な電極を対極として交流電流により、アルミニウ
ム板の粗面化処理を行うもので、通常一回の処理で行わ
れているが、そこで得られるピット深さは全体的に浅
く、対印刷性の劣る物であった。このため、その直径に
比べて深さの深いピットが均一かつ緻密に存在する砂目
を有する印刷板用支持体として好適なアルミニウム板が
得られように、数々の方法が提案されている。その方法
としては、特殊電解電源波形を用いた粗面化方法(特開
昭53−67507号公報)、交流を用いた電解粗面化
時の陽極時と陰極時の電気量の比率(特開昭54−65
607号公報)、電源波形(特開昭56−25381号
公報)、単位面積あたりの通電量の組み合わせ(特開昭
56−29699号公報)などが知られている。
【0003】一方、アルミニウム支持体の製造方法とし
ては、アルミニウムのインゴットを溶解保持してスラブ
(厚さ400〜600mm, 幅1000〜2000m
m,長さ2000〜6000mm)を製造し、スラブ表
面の不純物組織部分を面削機にかけて3〜10mmづつ
切削する面削工程を経た後、スラブ内部の応力の除去と
組織の均一化の為、均熱炉において480〜540℃、
6〜12時間保持する均熱化処理工程を行い、しかる後
に熱間圧延を480〜540℃で行う。熱間圧延で5〜
40mmの厚みに圧延した後、室温で所定の厚みに冷間
圧延を行う。またその後組織の均一化のため焼鈍を行い
圧延組織等を均質化した後、規定の厚みに冷間圧延を行
い、平坦度の良い板のするため矯正する。この様にして
作られたアルミニウム支持体を平版印刷版用支持体とし
ていた。平版印刷版用アルミニウム支持体として、汎用
のアルミニウム板やアルミニウム板の製造工程から中間
焼鈍処理や灼熱処理を省略したアルミニウム板を用いる
ことは省エネギー、資源の有効利用の観点から望まれて
いる。しかしながら前記アルミニウム板を用いて平版印
刷版用アルミニウム支持体を製造したとき、ストリーク
スや面質むらと呼ばれる処理むらが発生しやすかった。
これは、アルミの化学的な溶解反応が進む際に結晶方位
によって溶解速度が違うため、アルミの電気化学的なピ
ッティング反応が進む際に結晶方位によって反応が違う
ためといわれている。つまり、化学的な溶解反応での溶
解速度差でできた凹凸がストリーク・面質ムラとしてみ
えたり、結晶方位によるピッティング反応の差(ピット
個数、大きさの差)がストリーク・面質むらとして見え
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
ストリークや面質むらと呼ぶ故障の発生しない平版印刷
版用アルミニウム支持体の製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、アルミニウム板に微細な凹凸を付けた後に、酸性
水溶液中で電気化学的に粗面化処理することにより、ス
トリークや面質ムラと呼ぶ故障が発生しない平版印刷板
用アルミニウム支持体を製造できることを見出し、本発
明を達成した。アルミニウム板に微細な凹凸を付けるこ
とで、微細な凹凸が乱反射を招き、ストリーク・面質む
らが見えにくくなる。また、微細な凹凸が存在すること
により、更にその後に生成させる硝酸水溶液中で0.1
〜3μmのハニカムピットが結晶方位によらず均一に生
成するという効果もある。即ち、本発明は、アルミニウ
ム板を順に、(1)液温60〜95℃の硝酸を主体とす
る水溶液中で、交流を用いた電気化学的な粗面化を行
い、平均径0.1〜0.5μmハニカムピットを1〜1
50C/dm2 の電気量で生成し、(2)酸又はアルカ
リ水溶液中で化学的なエッチング、または、アルミニウ
ム板を陽極にした電解研磨処理を行い、アルミニウム板
を0.01〜10g/m2 溶解することを特徴とする平
版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法である、
【0006】
【発明の実施形態】以下、本発明の粗面化方法の実施形
態について詳細に説明する。 実施形態1 アルミニウム板を順に(1)液温55−95℃の硝酸を
主体とする水溶液中で、交流を用いた電気化学的な粗面
化をおこない、平均直径0.1〜0.5μmハニカムピ
ットを1〜150C/dm2の電気量で生成し、(2)酸ま
たはアルカリ水溶液中で化学的なエッチング、または、
アルミニウム板を陽極にした電解研磨処理をおこない、
アルミニウム板を0.01〜10g/m2 溶解する。
【0007】実施形態2 アルミニウム板を順に(1)塩酸を主体とする水溶液中
で、交流を用いて、1〜300C/dm2の電気量で、
予備的な電気化学的な粗面化を行い、(2)酸またはア
ルカリ水溶液中で化学的なエッチング、または、アルミ
ニウム板を陽極にした電解研磨処理を行い、アルミニウ
ム板を0.01〜1.5g/m 2 溶解し、(3)液温6
0−95℃の硝酸を主体とする水溶液中で、交流を用い
た電気化学的な粗面化をおこない、平均直径0.1〜
0.5μmハニカムピットを1〜150C/dm2 の電
気量で生成し、(4)酸またはアルカリ水溶液中で化学的な
エッチング、または、アルミニウム板を陽極にした電解
研磨処理を行い、アルミニウム板を0.01〜10g/
2 溶解する。 実施形態3 塩酸水溶液中で予備的な電気化学的な粗面化を行う前
に、アルミニウム板を順に、(1)機械的粗面化、また
は、硝酸を主体とする水溶液中で直流または交流を用い
た電気化学的な粗面化し、(2)酸またはアルカリ水溶液中
で化学的なエッチング、または、アルミニウム板を陽極
にした電解研磨処理を行い、アルミニウム板を0.01
〜20g/m2 溶解する。
【0008】本発明において、液温60−95℃の硝酸
を主体とする水溶液中で、交流を用いた電気化学的な粗
面化をおこない、平均直径0.1〜0.5μmハニカム
ピットを1〜150C/dm2の電気量で生成した後に
行う、酸またはアルカリ水溶液中で化学的なエッチング
でのアルミニウム板の溶解量が0.01〜1.5g/m
2であることが特に好ましい。アルカリ水溶液中でアル
ミニウム板を化学的に溶解、または、アルカリ水溶液中
でアルミニウム板を陽極にして電解研磨処理した後には
酸性水溶液中でデスマット処理することが好ましい。前
記粗面化処理の後に、アルミニウム板の表面の耐磨耗性
を高めるために陽極酸化処理が施されることが好まし
い。さらに、陽極酸化処理が施された後、アルミニウム
表面は必要により親水化処理が施されることが好まし
い。また、砂目立て処理及び陽極酸化処理後、封孔処理
を行うことが好ましい。
【0009】本発明に使用されるアルミニウム板は、純
アルミニウム板、アルミニウムを主成分として微量の異
元素を含む合金板、またはアルミニウムがラミネートま
たは蒸着されたプラスチックフィルムの中から選ばれ
る。該アルミニウム合金に含まれる異元素には、珪素、
鉄、ニッケル、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、
亜鉛、ビスマス、チタン、バナジウムなどがある。通常
はアルミニウムハンドブック第4版(1990、軽金属
協会)に記載の、従来より公知の素材のもの、例えばJ
IS A 1050材、JIS A 3103材、JI
S A 3005材、JIS A 1100材、JIS
A 3004材または引っ張り強度を増す目的でこれ
らに5wt%以下のマグネシウムを添加した合金を用い
ることが出来る。特に。結晶粒の方向起因の故障が発生
するアルミニウム板の粗面化に好適である。上記アルミ
ニウム板は通常のDC鋳造法によるアルミニウム板の
他、連続鋳造圧延法により製造されたものでも良い。連
続鋳造圧延の方法としては双ロール法、ベルトキャスタ
ー法、ブロックキャスター法などを用いることができ
る。本発明に用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ
0.1〜0.6mm程度である。アルカリエッチングで
結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度差に起因する処理
ムラの発生しやすいアルミニウム板とは、DC鋳造法か
ら中間焼鈍処理、または、均熱処理、または、中間焼鈍
処理と均熱処理を省略して製造されたアルミニウム板、
または、連続鋳造法から中間焼鈍処理を省略して製造さ
れたアルミニウム板であることが好ましい。
【0010】本発明で用いる、アルカリエッチングで結
晶粒の方位差によるアルミ溶解速度差に起因する処理ム
ラの発生しやすいアルミニウム板とは、アルカリエッチ
ング処理後に、ストリークと呼ぶすじ状の処理むらや、
面質ムラと呼ぶの出やすいアルミニウム板をいう。ま
た、本発明の粗面化方法は、アルミニウム板の表面をバ
フ研磨により鏡面仕上げし、アルミニウム板を15g/
2溶解する目的で、苛性ソーダ水溶液中でアルカリエ
ッチングし、酸性水溶液中でデスマット処理したアルミ
ニウム板の表面をAFMで観察したとき、エッチング速
度差により発生した段差が0.01μm以上0.5μm
以下、更に好ましくは0.02μm以上0.2μm以下
であるアルミニウム合金板を均一に粗面化するのに好適
である。アルミニウム板をバフ研磨処理し、フッ酸でエ
ッチングした表面を観察したときの圧延方向に長い結晶
粒の幅は約0.01mm以上10mm以下、長さは0.
5mm以上300mm以下である。圧延方向圧延方向に
長い結晶粒の幅は5mm以下が好ましく、3mm以下が
更に好ましい。本発明の直流または交流を用いた電気化
学的な粗面化または電解研磨処理に用いる装置は、金属
ウェブの連続的表面処理に使用する公知のものがいずれ
も適用できる。
【0011】本発明によって粗面化されたアルミニウム
板は、アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために
陽極酸化処理が施されることが好ましい。陽極酸化処理
または陽極酸化処理と浸水化処理の後、常法に従い、感
光層または、中間層および感光層を塗布・乾燥すること
によって印刷性能が優れたPS版となる。感光層の上に
は真空焼き付け時のリスフィルムとの密着性を良好にす
るためにマット層を設けるなどしてもよい。現像時のア
ルミニウムの溶け出しを防ぐ目的で裏面にバックコート
層を設けてもよい。本発明は片面のみでなく両面を処理
したPS版の製造にも適応できる。本発明は、平版印刷
版用アルミニウム支持体の粗面化のみならず、あらゆる
アルミニウム板の粗面化にも応用できる。
【0012】塩酸を主体とする水溶液中で、交流を用い
て、1〜300C/dm2の電気量で、予備的な電気化
学的な粗面化:本発明でいう塩酸を主体とする水溶液
は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化
処理に用いるものを使用でき、1〜100g/リットル
の塩酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、
硝酸アンモニウム、等の硝酸イオン、塩化アルミニウ
ム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、等の塩酸イオ
ンを有する塩酸または硝酸化合物の1つ以上を1g/リ
ットル〜飽和まで添加して使用することができる。塩酸
を主体とする水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケ
ル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合
金中に含まれる金属が溶解していてもよい。次亜塩素酸
を添加してもよい。塩酸を主体とする水溶液中で、交流
を用いて予備的に微細な凹凸を生成するには、液温15
〜45℃、塩酸を5〜15g/リットル含有する水溶液
にアルミニウム塩を添加してアルミニウムイオンが3〜
50g/リットルにした水溶液であることが特に好まし
い。塩酸を主体とする水溶液中への添加物、装置、電
源、電流密度、流速、温度としては公知の電気化学的な
粗面化に使用するものが用いられ、硝酸または塩酸を主
体とする水溶液が好ましい。電気化学的な粗面化に用い
る電源は交流または直流が用いられるが、交流が特に好
ましい。塩酸を主体とする水溶液中での電気化学的な粗
面化でアルミニウム板が陽極反応にあずかる電気量は、1〜3
00C/dm2の範囲から選択でき、5〜150C/d
2が好ましく、10〜100C/dm2が特に好ましい
電気化学的な粗面化で微細な凹凸を生成させた後にはス
マットや酸化皮膜が生成するので、次の電気化学的な粗
面化を均一におこなうために、酸又はアルカリ水溶液中
でアルミニウム板を0.01〜3g/m2溶解する軽度
のエッチング処理することが好ましく、0.01〜1.
5g/m2が特に好ましい。塩酸を主体とする水溶液中
で、交流を用いる1〜300C/dm2の電気量の予備
的な電気化学的な粗面化は、未エッチングngu部分が
無く全面に均一にピットができていることが好ましく、
または、未エッチング部分が存在していても未エッチ部
分が均一に分散していることが特に好ましい。
【0013】アルカリ水溶液中での電解研磨処理:本発
明で言うアルカリ水溶液中での電解研磨処理は、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよびリ
ン酸ナトリウムのようなアルカリ性物質の単独か、また
はそれらの混合物、またはアルカリ性物質と水酸化亜
鉛、水酸化アルミニウムとの混合物、またはこれらアル
カリ性物質と塩化ナトリウムあるいは塩化カリウム等の
塩類との混合物の水溶液を使用し、しかも電気的に脱酸
素材になるような電解液組成、温度および濃度でアルミ
を陽極にして電解処理する場合のことをいう。均一な酸
化皮膜を安定的に生成するために、過酸化水素、りん酸
塩などを1wt%以下の濃度で添加してもよい。公知の
電解研磨に用いる水溶液が使用できるが、好ましくは水
酸化ナトリウムを主体とする水溶液である。好ましく
は、水酸化ナトリウムを2〜30wt%含有する水溶液
であり、とくに水酸化ナトリウムを3〜20%含有する
水溶液である。液温10〜90℃(好ましくは35〜6
0℃)、電流密度1〜200A/dm2(好ましくは2
0〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲
から選択できる。 電流は直流、パルス直流、交流を用
いることが可能であるが、連続直流が好ましい。電解処
理装置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解処
理に使われているものを用いることができる。処理が終
了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニ
ップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行う
ことが好ましい電解研磨処理の前または後、または前後
には、アルミニウム板を0.01〜3g/m2溶解す
る、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング
を行うことが更に好ましい。
【0014】酸性水溶液中での電解研磨処理:本発明で
言う酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理は公
知の電解研磨に用いる水溶液が使用できるが、好ましく
は硫酸またはリン酸を主体とする水溶液である。特に好
ましくは、硫酸又はリン酸を20〜90wt%(好まし
くは40〜80wt%)含有する水溶液である。液温1
0〜90℃(好ましくは50〜80℃)、電流密度1〜
200A/dm2(好ましくは5〜80A/dm2)、電
解時間は1〜180秒の範囲から選択できる。前記水溶
液中に、硫酸、リン酸、クロム酸、過酸化水素、クエン
酸、硼酸、フッ化水素酸、無水フタール酸などを1〜5
0wt%添加しても良い。また、アルミニウムはもちろ
んアルミニウム合金中に含有する合金成分が0〜10w
t%含有していてよい。硫酸イオンまたはリン酸イオン
の濃度と、アルミニウムイオン濃度は、常温でも晶析し
ない濃度で用いることが好ましい。電流は直流、パルス
直流、交流を用いることが可能であるが、連続直流が好
ましい。電解処理装置はフラット型槽、ラジアル型槽な
ど公知の電解処理に使われているものを用いることがで
きる。処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込
まないためにニップローラーによる液切りとスプレーに
よる水洗を行うことが好ましい電解研磨処理の前または
後、または前後には、アルミニウム板を0.01〜3g
/m2溶解する、酸またはアルカリ水溶液中での化学的
なエッチングをおこなうことが更に好ましい。
【0015】酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエ
ッチング処理:アルカリ水溶液の濃度は1〜30wt%
が好ましく、アルミニウムはもちろんアルミニウム合金
中に含有する合金成分が0〜10wt%含有していてよ
い。アルカリ水溶液としては、とくに苛性ソーダを主体
とする水溶液が好ましい。液温は常温〜95℃で、1〜
120秒間処理することが好ましい。酸性水溶液に用い
ることのできる酸は、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩
酸、またはこれらの2以上の酸を含む混酸を用いること
が出来る。酸性水溶液の濃度は0.5〜65wt%が好
ましく、アルミニウムはもちろんアルミニウム合金中に
含有する合金成分が0〜10wt%含有していてよい。
液温は30〜95℃で、1〜120秒間処理することが
好ましい。酸性水溶液としてはとくに硫酸が好ましい。
硫酸濃度とアルミニウム濃度は常温で晶出しない範囲か
ら選択することが好ましい。エッチング処理が終了した
後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップロ
ーラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが
好ましい。
【0016】酸性水溶液中でのデスマット処理:化学的
なエッチングをアルカリの水溶液を用いて行った場合は
一般にアルミニウムの表面にはスマットが生成するの
で、この場合には燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、
またはこれらの2以上の酸を含む混酸でデスマット処理
する。酸性水溶液の濃度は0.5〜60wt%が好まし
い。さらに酸性水溶液中にはアルミニウムはもちろんア
ルミニウム合金中に含有する合金成分が0〜5wt%が
溶解していても良い。液温は常温から95℃で実施さ
れ、処理時間は1〜120秒が好ましい。デスマット処
理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないた
めにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗
を行うことが好ましい。
【0017】機械的な粗面化処理:本発明でいう機械的
な粗面化とは、毛径が0.2〜1.61mmの回転する
ナイロンブラシロールと、アルミニウム板表面に供給さ
れるスラリー液で機械的に粗面化処理することが有利で
ある。研磨剤としては公知の物が使用できるが、珪砂、
石英、水酸化アルミニウムまたはこれらの混合物が好ま
しい。特開平6−135175、特公昭50−4004
7に詳しく記載されている。スラリー液の比重は1.0
5〜1.3が好ましい。もちろんスラリー液を吹き付け
る方式、ワイヤーブラシを用いた方式、凹凸を付けた圧
延ロールの表面形状をアルミニウム板に転写する方式な
どを用いても良い。その他の方式としては、特開昭55
−074898、特開昭61ー162351、特開昭6
3−104889等に記載されている。
【0018】硝酸を主体とする水溶液:本発明でいう硝
酸を主体とする水溶液は、通常の直流または交流を用い
た電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、1
〜400g/リットルの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウ
ム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、等の硝酸イオ
ン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニ
ウム、等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物の
1つ以上を1g/リットル〜飽和まで添加して使用する
ことができる。硝酸を主体とする水溶液中には、鉄、
銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリ
カ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解してい
てもよい。とくに好ましくは、硝酸5〜20g/リット
ル水溶液中にアルミニウムイオンが3〜50g/リット
ルとなるように塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムを
添加した液を用いることが好ましい。温度は10〜95
℃が好ましく、平均直径0.1〜0.5μmのハニカム
ピットを生成するには60〜95℃がより好ましい。
【0019】本発明でいう酸性水溶液は、通常の直流ま
たは交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるもの
を使用できる。有利には、前記硝酸を主体とする水溶液
または塩酸を主体とする水溶液から選ぶことができる。
電気化学的な粗面化に用いる交流電源波形は、サイン
波、矩形波、台形波、三角波などを用いることができる
が、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ま
しい。周波数は0.1〜250Hzが好ましい。台形波
において、電流が0からピークに達するまでの時間tp
は0.1〜10msecが好ましく、0.3〜2mse
cが特に好ましい。電源回路のインピーダンスの影響の
ため、tpが1未満であると電流波形の立ち上がり時に
大きな電源電圧が必要となり、電源の設備コストが高く
なる。10msecより大きくなると、電解液中の微量
成分の影響を受けやすくなり均一な粗面化が行われにく
くなる。電気化学的な粗面化に用いる交流の1サイクル
の条件が、アルミニウム板のアノード反応時間taとカ
ソード反応時間tcの比tc/taが1〜20、アルミ
ニウム板がアノード時の電気量Qcとアノード時の電気
量Qaの比Qc/Qaが0.3〜20、アノード反応時
間taが5〜1000msec、の範囲にあることが好
ましい。tc/taは2.5〜15であることがより好
ましい。Qc/Qaは2.5〜15であることがより好
ましい。電流密度は台形波のピーク値で電流のアノード
サイクル側Ia、カソードサイクル側Icともに10〜
200A/dm2が好ましい。Ic/Iaは0.3〜2
0の範囲にあることが好ましい。電気化学的な粗面化が
終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあず
かる電気量の総和は1〜150C/dm2が好ましく、
30〜125C/dm2がとくに好ましい。
【0020】本発明で交流を用いた電気化学的な粗面化
に用いる電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型など
公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特
開平5−195300に記載のようなラジアル型電解槽
がとくに好ましい。電解槽内を通過する電解液はアルミ
ニウムウェブの進行とパラレルでもカウンターでもよ
い。ひとつの電解槽には1個以上の交流電源が接続する
ことができる。電解槽は2個以上を用いることもでき
る。交流を用いた電気化学的な粗面化には、図2に示し
た装置を用いることができる。電解槽を2つ以上用いる
ときには電解条件は同じでもよいし異なっていてもよ
い。図2において、アルミニウム板Wは主電解槽50中
に浸漬して配置されたラジアルドラムローラ52に巻装
され、搬送過程で交流電源51に接続する主極53a、
53bにより電解処理される。電解液55は電解液供給
口54からスリット56を通じてラジアルドラムローラ52
と主極53a、53bとの間の電解液通路57に供給さ
れる。主電解槽50で処理されたアルミニウム板Wは次
いで補助陽極槽60で電解処理される。この補助陽極槽
60には補助陽極58がアルミニウム板Wと対向配置さ
れており、電解液55が補助陽極58とアルミニウム板
Wとの間の空間を流れるように供給される。
【0021】直流を用いた電気化学的な粗面化:本発明
で言う直流を用いた電気化学的な粗面化処理とは、アル
ミニウム板とこれに対向する電極間に直流電流を加え、
電気化学的に粗面化する方法を言う。電解液は、公知の
直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に使用
するものを用いることができる。有利には、前記硝酸を
主体とする水溶液または塩酸を主体とする水溶液から選
ぶことができる。温度は10〜80℃が好ましい。直流
を用いた電気化学的な粗面化に用いる処理装置は公知の
直流を用いたものを使用することが出来るが、特開平1
ー141094に記載されているように一対以上の陽極
と陰極を交互に並べた装置を用いることが好ましい。公
知の装置の一例としては特願平5−68204、特願平
6−205657、特願平6−21050、特開昭61
−19115、特公昭57−44760などに記載され
ている。また、アルミニウム板に接触するコンダクタロ
ールと、これに対向する陰極との間に、直流電流を加
え、アルミニウム板を陽極にして電気化学的な粗面化処
理を行っても良い。電解処理が終了した後には、処理液
を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液
切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。電気
化学的な粗面化に使用する直流はリップル率が20%以
下の直流を用いることが好ましい。電流密度は10〜2
00A/dm2が好ましく、アルミニウム板が陽極時の
電気量は1〜1000C/dm2が好ましい。陽極はフ
ェライト、酸化イリジウム、、白金、白金をチタン、ニ
オブ、ジルコニウムなどのバルブ金属にクラッドまたは
メッキしたものなど公知の酸素発生用電極から選定して
用いることが出来る。陰極はカーボン、白金、チタン、
ニオブ、ジルコニウム、ステンレスや燃料電池用陰極に
用いる電極から選定して用いることができる。
【0022】陽極酸化処理:アルミニウム板の表面の耐
磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミ
ニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多
孔質酸化皮膜を形成するものならば、いかなるものでも
使用することができる。一般には硫酸、リン酸、シュウ
酸、クロム酸、またはそれらの混合液が用いられる。そ
れらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宣決めら
れる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質によって変わ
るので一概に一概に特定し得ないが、一般的には電解質
の濃度が1〜80wt%、液温は5〜70℃、電流密度
1〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10
秒〜300秒の範囲にあれば適当である。硫酸法は通常
直流電流で処理が行われるが、交流を用いることも可能
である。陽極酸化皮膜の量は1〜10g/m2の範囲が適
当である。1g/m2よりも少ないと耐刷性が不十分で
あったり、平版印刷版の非画像部に傷が付きやすくなっ
て、同時にキズの部分にインキが付着する、いわゆるキ
ズ汚れが生じやすくなる。陽極酸化処理が施された後、
アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2
714066号、第3181461号、第328073
4号及び第3902734号各明細書に開示されている
ようなアルカリ金属シリケート(例えば珪酸ナトリウム
水溶液)法がある。この方法においては、支持体が珪酸
ナトリウム水溶液中で浸漬されるか、また電解処理され
る。他に特公昭36−22063号広報に開示されてい
るフッ化ジルコン酸カリウム、および、米国特許第32
76868、第4153461号および第468927
2号各明細書に開示されているようなポリビニルホスホ
ン酸で処理する方法などが用いられる。また、砂目立て
処理及び陽極酸化処理後、封孔処理を施したものも好ま
しい。かかる封孔処理は熱水および無機塩または有機塩
を含む熱水溶液への浸漬ならびに水蒸気浴等によって行
われる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (実施例1)DC鋳造法で中間焼鈍処理と均熱処理を省
略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチン
グでストリークス、面質むらが発生しやすくなった厚さ
0.24mm、幅1030mmの、JIS A 105
0アルミニウム板を用いて連続的に処理を行った。 (1)機械的な粗面化処理:比重1.12の珪砂と水の
懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に
供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシによ
り機械的な粗面化をおこなった。ナイロンブラシの材質
は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径
は0.48mmであった。ナイロンブラシはΦ300m
mのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛
した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の
支持ローラ(Φ200mm)の距離は300mmであっ
た。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負
荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前
の負荷に対して6kwプラスになるまで押さえつけた。
ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じで
あった。その後、水洗した。アルミニウム板の移動速度
は50m/minであった。
【0024】(2)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理:アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニ
ウムイオン6.5wt%含有する水溶液、70℃に浸漬
してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミ
ニウム板の溶解量は10g/m2であった。その後、水
洗処理を行った。 (3)デスマット処理:次に硝酸1wt%(アルミニウ
ムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007
wt%含む)水溶液、35℃に10秒間浸漬してデスマ
ット処理を行った。その後、水洗処理を行った。 (4)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理:図1
の交流電圧と図2装置を2槽用いて連続的に電気化学的
な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1w
t%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモ
ニウムイオン0.007wt%含む)、液温65℃(実
施例1−1)、70℃(実施例1−2)、80℃(実施
例1−3)であった。交流電源波形は電流値がゼロから
ピークに達するまでの時間TPが0.3msec、du
ty比1:1、60Hz、台形の矩形波交流を用いて、
カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理をお
こなった。補助アノードにはフェライトを用いた。電流
密度は電流のピーク値で50A/dm2、電気量はアル
ミニウム板が陽極時の電気量の総和で120C/dm2
であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分
流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
【0025】(5)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理:アルミニウム板を、NaOH26wt%、アルミニ
ウムイオン6.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬
してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミ
ニウム板の溶解量は0.3g/m2であった。その後、
水洗処理を行った。 (6)デスマット処理:その後、水洗処理をおこなっ
た。次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に浸漬
してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行っ
た。 (7)陽極酸化処理:液温35℃の硫酸濃度15wt%
水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、
直流電圧を用い、電流密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が
2.4g/m 2になるように陽極酸化処理を行った。そ
の後、スプレーによる水洗を行った。このアルミニウム
板の表面には結晶粒の方位が起因のストリークス、面質
ムラは発生していなかった。このアルミニウム板の平均
表面粗さは約0.6μmであった。このアルミニウム板
に中間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0
g/m2のポジ型PS版を作成した。このPS版を用い
て印刷したところ、良好な印刷版であった。
【0026】(実施例2)実施例1−3で(5)のアル
カリ水溶液中での化学的なエッチング処理のかわりに、
苛性ソーダ9wt%、アルミニウムイオン0.5wt%
を含有する水溶液中35℃で、電流密度は20A/dm
2でアルミニウム板を陽極にして、アルミニウム溶解量
は1g/m2となるように電解研磨処理を行った以外
は、実施例1と同じように粗面化処理した。 この処理
したアルミニウム板に中間層とネガ型感光層を塗布、乾
燥してPS版を作成した。このPS版で印刷したところ
良好な印刷版であった。
【0027】(実施例3)DC鋳造法で中間焼鈍処理と
均熱処理を省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学
的なエッチングでストリークス、面質ムラが発生しやすく
なった厚さ0.24mm、幅1030mmの、JIS
A 1050アルミニウム板を用いて連続的に処理を行
った。 (1)機械的な粗面化処理:比重1.12の珪砂と水の
懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に
供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシによ
り機械的な粗面化をおこなった。ナイロンブラシの材質
は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径
は0.295mmであった。ナイロンブラシはΦ300
mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植
毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本
の支持ローラ(Φ200mm)の距離は300mmであ
った。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの
負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける
前の負荷に対して6kwプラスになるまで押さえつけ
た。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同
じであった。その後、水洗した。アルミニウム板の移動
速度は50m/minであった。 (2)アルカリ水溶液中でのエッチング処理:アルミニ
ウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン
6.5wt%含有する水溶液、70℃に浸漬してアルミ
ニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の
溶解量は6g/m2であった。その後、水洗処理を行っ
た。 (3)デスマット処理:次に塩酸1wt%含有する水溶
液、35℃に10秒間浸漬してデスマット処理を行っ
た。その後、水洗処理をおこなった。
【0028】(4)塩酸水溶液中での予備的な電気化学
的粗面化処理:図1の交流電圧と図2装置を1槽を用い
て連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このとき
の電解液は、塩酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン
0.5wt%含む)、液温35℃であった。交流電源波
形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが
1msec、duty比1:1、60Hz、台形の矩形
波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的
な粗面化処理をおこなった。補助アノードにはフェライ
トを用いた。電流密度は電流のピーク値で50A/dm
2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で
40C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる
電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗
を行った。 (5)アルカリ水溶液中でのエッチング処理:アルミニ
ウム板を、NaOH26wt%、アルミニウムイオン
6.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬してアルミ
ニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の
溶解量は0.3g/m2であった。その後、水洗処理を
行った。 (6)デスマット処理;次に硝酸1wt%(アルミニウ
ムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007
wt%含む)水溶液、35℃に10秒間浸漬してデスマ
ット処理を行った。その後、水洗処理を行った。 (7)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理:図1
の交流電圧と図2装置を2槽用いて連続的に電気化学的
な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1w
t%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモ
ニウムイオン0.007wt%含む)、液温50℃であ
った。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達する
までの時間TPが1msec、duty比1:1、60
Hz、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極
として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノード
にはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で
50A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電
気量の総和で30C/dm2 (実施例3−1)、120
C/dm2(実施例3−2)であった。補助陽極には電
源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレ
ーによる水洗を行った。 (8)アルカリ水溶液中でのエッチング処理:アルミニ
ウム板を、NaOH26wt%、アルミニウムイオン
6.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬してアルミ
ニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の
溶解量は1g/m2であった。その後、水洗処理を行っ
た。 (9)デスマット処理:その後、水洗処理を行った。次
に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に浸漬してデ
スマット処理を行った。その後、水洗処理を行った。 (10)陽極酸化処理:液温35℃の硫酸濃度15wt
%水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)
で、直流電圧を用い、電流密度2A/dm2で陽極酸化
皮膜量が1.2g/m2になるように陽極酸化処理を行
った。その後、スプレーによる水洗を行った。このアル
ミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因のストリーク
ス、面質ムラは発生していなかった。また、このアルミ
ニウム板の平均表面粗さは約0.35μmであった。こ
のアルミニウム板に中間層および感光層を塗布、乾燥
し、乾燥膜厚2.0g/m2の校正印刷用のポジ型PS版を作
成した。このPS板を用いて校正版用の印刷機で印刷し
たところ、色が白く検版性が良く、着肉性が良好で、人
手作業によって湿し水を補給するスポンジがスム−スに
版面を移動できて良好な印刷版であった。
【0029】(実施例4)実施例3−1で(8)のアル
カリ水溶液中での化学的なエッチング処理のかわりに、
苛性ソーダ9wt%、アルミニウムイオン0.5wt%
を含有する水溶液中35℃で、電流密度は20A/dm
2でアルミニウム板を陽極にして、アルミニウム溶解量
は2g/m2となるように電解研磨処理を行った以外
は、実施例3−1と全く同じように粗面化処理した。
このアルミニウム板に中間層および感光層を塗布、乾燥
し、乾燥膜厚2.0g/m2の校正印刷用のポジ型PS
版を作成した。このPS板を用いて校正用の印刷機で印
刷したところ、色が白く検版性が良く、着肉性が良好
で、湿し水を補給するスポンジがスムースに版面を移動
でき良好な印刷版であった。
【0030】(実施例5)DC鋳造法で中間焼鈍処理と
均熱処理を省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学
的なエッチングでストリークス、面質ムラが発生しやすく
なった厚さ0.24mm、幅1030mmの、JIS
A1050アルミニウム板を用いて連続的に処理を行っ
た。 (1)アルカリ水溶液中でのエッチング処理:アルミニ
ウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン
6.5wt%含有する水溶液、70℃に浸漬してアルミ
ニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の
溶解量は3g/m2であった。その後、水洗処理を行っ
た。 (2)デスマット処理:次に塩酸1wt%含有する水溶
液、35℃に10秒間浸漬してデスマット処理を行っ
た。その後、水洗処理を行った。 (3)塩酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理(微細
な凹凸をつくる処理):図1の交流電圧と図2装置を1
槽を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。
このときの電解液は、塩酸1wt%水溶液(アルミニウ
ムイオン0.5wt%含む)、液温35℃であった。交
流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時
間TPが1msec、duty比1:1、60Hz、台
形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電
気化学的な粗面化処理をおこなった。補助アノードには
フェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で50
A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量
の総和で50C/dm2であった。補助陽極には電源か
ら流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーに
よる水洗を行った。
【0031】(4)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理:アルミニウム板を、NaOH5wt%、アルミニウ
ムイオン0.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬し
てアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニ
ウム板の溶解量は0.3g/m2であった。その後、水
洗処理を行った。 (5)デスマット処理:次に硝酸1wt%(アルミニウ
ムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007
wt%含む)水溶液、35℃に10秒間浸漬してデスマ
ット処理を行った。その後、水洗処理を行った。 (6)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理:図1
の交流電圧と図2装置を2槽用いて連続的に電気化学的
な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1w
t%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモ
ニウムイオン0.007wt%含む)、液温50℃であ
った。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達する
までの時間TPが1msec、duty比1:1、60
Hz、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極
として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノード
にはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で
50A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電
気量の総和で100C/dm2であった。補助陽極には
電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプ
レーによる水洗を行った。 (7)アルカリ水溶液中でのエッチング処理:アルミニ
ウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン
6.5wt%含有する水溶液、40℃に浸漬してアルミ
ニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の
溶解量は0.05g/m2であった。その後、水洗処理
を行った。(8)デスマット処理:その後、水洗処理を
行った。次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に
浸漬してデスマット処理を行い、その後、水洗処理を行
った。 (9)陽極酸化処理:液温35℃の硫酸濃度15wt%
水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、
直流電圧を用い、電流密度2A/dm2で陽極酸化皮膜
量が2.4g/m2になるように陽極酸化処理をおこな
った。その後、スプレーによる水洗を行った。このアル
ミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因のストリーク
ス、面質むらは発生していなかった。このアルミニウム
板に中間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.
0g/m2のポジ型PS版を作成した。このPS版を用
いて印刷したところ、良好な印刷版であった。
【0032】(比較例1)実施例1の硝酸水溶液中での
電気化学的な粗面化工程(4)の液温を50℃とした以
外は実施例1と全く同様に粗面化処理した。 このアル
ミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因のストリーク
ス、面質ムラが発生していた。
【0033】
【発明の効果】本発明により、ストリーク、面質ムラと
呼ぶ結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度の差に起因す
る処理むらの発生がなく、良好な平版印刷版を与える、
平版印刷版用アルミニウム支持体を安価に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気化学的粗面化に好ましく用いられ
る台形波形交流電流電源波形の一例を示す波形図であ
る。
【図2】本発明の電気化学的粗面化に用いられる電解装
置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
ta アノード反応時間 tb カソード反応時間 tc 電流が0からピークに達するまでの時
間 Ia アノードサイクル側のピーク時の電流 Ic カソードサイクル側のピーク時の電流 50 主電解槽 51 交流電源 52 ラジアルドラムローラ 53a,53b 主極 54 電解液供給口 55 電解液 56 補助陽極 60 補助陽極槽 W アルミニウム板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム板を順に、(1)液温60〜
    95℃の硝酸を主体とする水溶液中で、交流を用いた電
    気化学的な粗面化を行い、平均径0.1〜0.5μmハ
    ニカムピットを1〜150C/dm2 の電気量で生成
    し、(2)酸又はアルカリ水溶液中で化学的なエッチン
    グ、または、アルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
    を行い、アルミニウム板を0.01〜10g/m2 溶解
    することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】アルミニウム板を順に、(1)塩酸を主体
    とする水溶液中で、交流を用いて、1〜300C/dm
    2の電気量で、予備的な電気化学的な粗面化を行い、
    (2)酸またはアルカリ水溶液中で化学的なエッチン
    グ、または、アルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
    を行い、アルミニウム板を0.01〜1.5g/m 2
    解し、(3)液温60−95℃の硝酸を主体とする水溶
    液中で、交流を用いた電気化学的な粗面化を行い、平均
    直径0.1〜0.5μmハニカムピットを1〜150C
    /dm2の電気量で生成し、(4)酸またはアルカリ水
    溶液中で化学的なエッチング、または、アルミニウム板
    を陽極にした電解研磨処理を行い、アルミニウム板を
    0.01〜10g/m2溶解することを特徴とする平版
    印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  3. 【請求項3】塩酸水溶液中で予備的な電気化学的な粗面
    化を行う前に、アルミニウム板を順に、(1)機械的粗
    面化、または、硝酸を主体とする水溶液中で直流または
    交流を用いた電気化学的な粗面化(2)酸またはアルカリ水
    溶液中で化学的なエッチング、または、アルミニウム板
    を陽極にした電解研磨処理を行い、アルミニウム板を
    0.01〜20g/m2溶解することを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載の平版印刷版用アルミニウム支持
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】液温60−95℃の硝酸を主体とする水溶
    液中で、交流を用いた電気化学的な粗面化を行い、平均
    直径0.1〜0.5μmハニカムピットを1〜150C
    /dm2の電気量で生成した後に行う酸またはアルカリ
    水溶液中で化学的なエッチングでのアルミニウム板の溶
    解量が0.01〜1.5g/m2であることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3のいずれかの項に記載の平版印
    刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  5. 【請求項5】酸またはアルカリ水溶液中で化学的なエッ
    チング、または、アルミニウム板を陽極にした電解研磨
    処理を行った後に、酸性水溶液中でデスマット処理を行
    うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかの
    項に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
  6. 【請求項6】引き続き陽極酸化処理、または、陽極酸化
    処理と親水化処理をおこなうことを特徴とする、請求項
    1、請求項2、請求項3、請求項4、または請求項5の
    平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001247984A (ja) * 2000-03-07 2001-09-14 Asahi Denka Kogyo Kk アルミニウム含有材料用エッチング組成物

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