JPH10297132A - 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

Info

Publication number
JPH10297132A
JPH10297132A JP10952897A JP10952897A JPH10297132A JP H10297132 A JPH10297132 A JP H10297132A JP 10952897 A JP10952897 A JP 10952897A JP 10952897 A JP10952897 A JP 10952897A JP H10297132 A JPH10297132 A JP H10297132A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous solution
treatment
aluminum
aluminum plate
lithographic printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10952897A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsuo Nishino
温夫 西野
Yoshitaka Masuda
義孝 増田
Akio Uesugi
彰男 上杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP10952897A priority Critical patent/JPH10297132A/ja
Priority to DE69821044T priority patent/DE69821044T2/de
Priority to EP98107542A priority patent/EP0874068B1/en
Priority to US09/063,727 priority patent/US6143158A/en
Publication of JPH10297132A publication Critical patent/JPH10297132A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶粒の方位差に起因する処理ムラの発生す
るアルミニウム板を、耐食性を低下させることなく、且
つ処理コストを抑えて効率よく粗面化処理することので
きる平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法を提供
する。 【解決手段】 平版印刷版用アルミニウム支持体を製造
する工程において、アルミニウム板を順に、 (1)アルカリ水溶液中での電解研磨処理 (2)酸性水溶液中での直流または交流を用いた電気化
学的な粗面化処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体として使用されるアルミニウム板の粗面化処理を含む
平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に関し、特
に、支持体の表面処理において、結晶粒の方位差に起因
するストリークスと呼ばれる畳目状の筋などの発生しや
すいアルミニウム板の粗面化に好適な平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、平版印刷版用アルミニウム支
持体の粗面化方法としては、酸又はアルカリ水溶液中で
のエッチング処理が、該平版印刷版用アルミニウム支持
体の製造工程の中に用いられているが、ストリークスと
呼ばれる処理ムラが発生しやすかった。これは、アルミ
ニウム支持体(以後、「アルミニウム板」と云う場合も
ある)の表面の溶解反応が進む際、結晶方位によって溶
解速度が違うためといわれている。
【0003】そこで、アルミニウム板の結晶粒の方位差
に起因するストリークスと呼ばれる処理ムラに対する解
決手段として、本出願人が提案した、特願平8−295
248号明細書に記載した技術がある。この明細書に記
載した解決方法手段は、従来の化学的なエッチングを電
解研磨処理に置き換えた方法である。この明細書に記載
された電解研磨処理は、酸化皮膜を生成しながら酸化皮
膜が水溶液中に溶解していくことでアルミニウム板の表
面を溶解していく。そのため、アルミ原子面の違いによ
る溶解速度の差が出にくくなったと考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本出願
人による前記特願平8−295248号明細書で提案し
た技術においては、比較的高温、高濃度の酸性水溶液を
用いることから、液のコストや耐食性のうえで不利であ
った。一方、特公昭57−46436号公報には、機械
的な粗面化処理したアルミニウム板にアルカリ電解研磨
処理を行い、その後、陽極酸化処理する方法が記載され
ている。しかし、この方法においては、アルカリ電解研
磨処理が結晶粒の方位性に起因する処理ムラの発生にど
のような作用を及ぼすのかといった技術については何の
記載もなく、何ら検討されていないのが現状であった。
【0005】本発明は従来方法では結晶粒の方位差に起
因する処理ムラの発生するアルミニウム板を、耐食性を
低下させることなく、且つ処理コストを抑えて効率よく
粗面化処理することのできる平版印刷版用アルミニウム
支持体の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは鋭意
研究の結果、アルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極
にして電解研磨処理を行うとアルミニウム板の結晶粒の
方位差に起因する処理ムラが発生しないことを見い出
し、本発明に係る平版印刷版用アルミニウム支持体の製
造方法に至った。
【0007】即ち、本発明に係る平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造方法は、平版印刷版用アルミニウム支
持体を製造する工程において、(I)アルミニウム板を順
に、(1)アルカリ水溶液中での電解研磨処理(2)酸
性水溶液中での直流または交流を用いた電気化学的な粗
面化処理すること、(II)アルミニウム板を順に、(1)
酸性水溶液中での直流または交流を用いた電気化学的な
粗面化処理(2)アルカリ水溶液中での電解研磨処理す
ること、(III)アルミニウム板を順に、(1)アルカリ
水溶液中での電解研磨処理(2)酸性水溶液中での直流
または交流を用いた電気化学的な粗面化処理(3)アル
カリ水溶液中での電解研磨処理すること、(IV)アルミニ
ウム板を順に、(1)酸またはアルカリ水溶液中での化
学的なエッチング処理(2)酸性水溶液中での直流また
は交流を用いた電気化学的な粗面化処理(3)アルカリ
水溶液中での電解研磨処理すること、(V)アルミニウム
板を順に、(1)アルカリ水溶液中での電解研磨処理
(2)酸性水溶液中での直流または交流を用いた電気化
学的な粗面化処理(3)酸またはアルカリ水溶液中での
化学的なエッチング処理すること、を特徴とする。
【0008】また、前記の平版印刷版用アルミニウム支
持体の製造方法において、更に、(VI)アルカリ水溶液中
での電解研磨処理の前または後または前後に、酸または
アルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理、また
は、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニニウム板を陰
極にした電解エッチング処理を行うこと、(VII)アルカ
リ水溶液中での化学的なエッチング処理、またはアルカ
リ水溶液中でのアルミニウム板を陰極にした電解エッチ
ング処理の後に、酸性水溶液中でのデスマット処理を行
うこと、(VIII)電解研磨処理に用いるアルカリ水溶液
が、水酸化ナトリウムを主体とする水溶液であること、
(IX)機械的な粗面化処理を行った後に上記記載のいずれ
かに処理を行うこと、(X)更に引き続き陽極酸化処理を
行うこと、(XI)陽極酸化処理を行った後に親水化処理を
行うこと、を特徴とする。
【0009】また、本発明に係る平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造方法は、前掲の製造方法において、ア
ルカリ水溶液中での電解研磨処理の前に行う、酸又はア
ルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理、または、
酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陰極にし
た電解処理を行うことで、電解研磨処理工程でのアルミ
溶解量を少なくすることができる。また、圧延油、研磨
剤、酸化皮膜、スマット成分などが取り除かれるため
に、電解研磨処理が均一に行われるようになる。
【0010】また、本発明に係る平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造方法は、前掲の製造方法において、ア
ルカリ水溶液中での電解研磨処理の後に行う、酸または
アルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理、また
は、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陰極
にした電解エッチング処理は、電解研磨処理で生成した
酸化皮膜や、スマットなどの副生成物を除去することが
できる。従って、電解研磨処理で生成した、酸化皮膜や
スマットなどの副生成物を除去し、後の工程で行われる
電気化学的な粗面化を均一に行うことができ、また、陽
極酸化処理後のアルミニウム板をより優れた平版印刷版
用アルミニウム支持体とすることができる。
【0011】また、電解研磨処理に用いるアルカリ水溶
液の濃度および温度は、化学的なエッチングの液に比べ
て低く設定することが可能なため、調整や管理がしやす
い利点がある。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。
【0013】(実施形態1)アルミニウム板を下記の
(1)〜(4)の順に処理する。 (1)酸またはアルカリ水溶液中でのアルミニウム板の
化学的なエッチング処理 表面の自然酸化皮膜や汚れ、圧延油等を取り除き、表面
の状態を均一にする目的でアルミニウム板を0.1〜2
0g/m2 溶解する。前段の処理に機械的な粗面化を行
った時は、機械的な粗面化で生成した急峻な凹凸を滑ら
かにする作用も兼ねる。
【0014】(2)酸性水溶液中での直流または交流を
用いた電気化学的な粗面化処理 アルミニウム板表面に、平均直径0.1〜3μmのピッ
トを生成する目的で行われる。但し、電気量を比較的多
くした時は、電気量を比較的高く設定すると大きなうね
りを持つ表面となる。電気化学的な粗面化処理で生成す
るスマット成分は0.3〜2g/m2 生成する。
【0015】(3)アルカリ水溶液中でのアルミニウム
板の電解研磨処理 アルミニウム板の結晶粒の方位差に起因するストリーク
スを発生させないように、アルミニウム板をエッチング
する工程である。電気化学的な粗面化処理で生成したハ
ニカムピットのエッジの部分を滑らかにする目的で行わ
れる。アルミニウム板の溶解量は0.01〜3g/m2
が好ましい。電解研磨処理では0.01〜3g/m2
酸化皮膜またはスマット成分がアルミニウム板表面に生
成する。
【0016】(4)陽極酸化処理 アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために、陽極
酸化処理が施される。
【0017】(実施形態2)アルミニウム板を下記の
(1)〜(4)の順に処理する。 (1)アルカリ水溶液中でのアルミニウム板の電解研磨
処理 アルミニウム板の結晶粒の方位差に起因するストリーク
スを発生させないように、アルミニウム板をエッチング
する工程である。アルミニウム板を0.01〜20g/
2 溶解することが好ましい。電解研磨処理では0.0
1〜8g/m2の酸化皮膜またはスマット成分がアルミ
ニウム板表面に生成する。また、前処理として機械的な
粗面化を行った時は、機械的な粗面化で生成した急峻な
凹凸を滑らかにする作用も兼ねる。
【0018】(2)酸性水溶液中での直流または交流を
用いた電気化学的な粗面化処理 実施形態1と同様である。
【0019】(3)酸またはアルカリ水溶液中でのアル
ミニウム板の化学的にエッチング処理 電気化学的な粗面化処理で生成したハニカムピットのエ
ッジの部分を滑らかにする目的、および、電気化学的な
粗面化処理で生成した、水酸化アルミニウム成分を主体
とするスマット成分や酸化皮膜を除去する目的で行われ
る。アルミニウム板の溶解量は、前段の電気化学的な粗
面化処理で生成した酸化皮膜やスマット以外に、0.1
〜3g/m2 が好ましい。
【0020】(4)陽極酸化処理 実施形態1と同様である。
【0021】(実施形態3)アルミニウム板を下記の
(1)〜(4)の順に処理する。 (1)アルカリ水溶液中でのアルミニウム板の電解研磨
処理 実施形態2と同様である。
【0022】(2)酸性水溶液中での直流または交流を
用いた電気化学的な粗面化処理 実施形態1と同様である。
【0023】(3)酸性水溶液中でアルミニウム板を電
解研磨処理 実施形態1と同様である。
【0024】(4)陽極酸化処理 実施形態1と同様である。
【0025】(実施形態4)アルカリ水溶液中での電解
研磨処理の前、後または前後に酸またはアルカリ水溶液
中での化学的なエッチング処理、あるいは、酸またはア
ルカリ水溶液中でアルミニウム板を陰極にした電解エッ
チング処理を行うと、より優れた平版印刷版用アルミニ
ウム支持体とすることができる。この時のアルミニウム
板の溶解量は、0.01〜5g/m2 が好ましく、特に
0.01〜3g/m2 が好ましい。
【0026】アルカリ水溶液中での電解研磨処理の前に
行う、酸又はアルカリ水溶液中での化学的なエッチング
処理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウ
ム板を陰極にした電解処理を行うことで、電解研磨処理
工程でのアルミ溶解量を少なくすることができる。ま
た、圧延油、研磨剤、酸化皮膜、スマット成分などが取
り除かれるために、電解研磨処理が均一に行われるよう
になる。
【0027】アルカリ水溶液中での電解研磨処理の後に
行う、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチン
グ処理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニ
ウム板を陰極にした電解処理は、電解研磨処理で生成し
た酸化皮膜や、スマットなどの副生成物を除去する目的
で行われる。このような処理を行なうことで、電解研磨
処理で生成した、酸化皮膜やスマットなどの副生成物を
除去し、後の工程で行われる電気化学的な粗面化を均一
に行うことができ、また、陽極酸化処理後のアルミニウ
ム板をより優れた平版印刷版用アルミニウム支持体とす
ることができる。
【0028】(実施形態5)前掲の実施形態1〜4いず
れかの方法で、化学的なエッチングをアルカリの水溶液
を用いて行った場合またはアルカリ水溶液中でアルミニ
ウム板を陰極にした電解エッチング処理を行った場合、
一般にアルミニウムの表面にはスマットが生成するので
燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2
以上の酸を含む混酸でデスマット処理することが好まし
いスマットを除去することが好ましい。
【0029】(実施形態6)機械的な粗面化処理に続い
て実施形態1〜5いづれかに記載の処理を行うことによ
り、電気化学的な粗面化で消費する電力を軽減できると
同時に、アルミの結晶流の方位差が起因の処理ムラが更
に目立ちにくくなる。
【0030】本発明に係る製造方法に使用されるアルミ
ニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分
として微量の異元素を含む合金板、またはアルミニウム
がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルムの
中から選ばれる。前記アルミニウム合金に含まれる異元
素には、珪素、鉄、ニッケル、マンガン、銅、マグネシ
ウム、クロム、亜鉛、ビスマス、チタン、バナジウム等
がある。通常はアルミニウムハンドブック第4版(19
90、軽金属協会)に記載の、従来より公知の素材のも
の、例えばJIS A 1050材、JIS A 31
03材、JIS A 3005材、JIS A 110
0材、JIS A 3004材または引っ張り強度を増
す目的でこれらに5wt%以下のマグネシウムを添加し
た合金を用いることが出来る。特に、結晶粒の方向起因
の故障が発生するアルミニウム板の粗面化に好適であ
る。
【0031】上記アルミニウム板は通常のDC鋳造法に
よるアルミニウム板の他、連続鋳造圧延法により製造さ
れたものでも良い。連続鋳造圧延の方法としては双ロー
ル法、ベルトキャスター法、ブロックキャスター法など
を用いることができる。本発明に用いられるアルミニウ
ム板の厚みはおよそ0.1〜0.6mm程度である。D
C鋳造法で中間焼鈍や金熱処理を省いたアルミニウム板
を用いてもよい。
【0032】本発明に係る製造方法においては、直流ま
たは交流を用いた電気化学的な粗面化または電解研磨処
理に用いる装置は、金属ウェブの連続的表面処理に使用
する公知のものがいずれも適用できる。
【0033】本発明に係る製造方法は、機械的な粗面
化、化学的なエッチング、陽極酸化処理、親水化処理な
どのうち1つ以上と組み合わせて表面処理することで平
版印刷版用アルミニウム支持体として好適な表面とする
ことが出来る。
【0034】その後、常法に従い、感光層または、中間
層および感光層を塗布・乾燥することによって印刷性能
が優れたPS版となる。感光層の上には真空焼き付け時
のリスフィルムとの密着性を良好にするためにマット層
を設けるなどしてもよい。現像時のアルミニウムの溶け
出しを防ぐ目的で裏面にバックコート層を設けてもよ
い。本発明は片面のみでなく両面を処理したPS版の製
造にも適応できる。本発明は、平版印刷版用アルミニウ
ム支持体の粗面化のみならず、あらゆるアルミニウム板
の粗面化にも応用できる。
【0035】以下、本発明に係る製造方法において適用
する各処理についてより詳細に説明する。 [アルカリ水溶液中での電解研磨処理]本発明に係る製
造方法で言うアルカリ水溶液中での電解研磨処理は、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよ
びリン酸ナトリウムのようなアルカリ性物質の単独か、
またはそれらの混合物、またはアルカリ性物質と水酸化
亜鉛、水酸化アルミニウムとの混合物、またはこれらア
ルカリ性物質と塩化ナトリウムあるいは塩化カリウム等
の塩類との混合物の水溶液を使用し、アルミニウム板を
陽極にして電解処理する場合のことをいう。公知の電解
研磨に用いる水溶液が使用できるが、好ましくは水酸化
ナトリウムを主体とする水溶液である。好ましくは、水
酸化ナトリウムを1〜30wt%含有する水溶液であ
る。液温10〜90℃(好ましくは25〜70℃)、電
流密度1〜200A/dm2 (好ましくは5〜80A/
dm2 )、電解時間は1〜180秒の範囲から選択でき
る。
【0036】また、アルミニウムはもちろんアルミニウ
ム合金中に含有する合金成分が0〜10wt%含有して
いてよい。
【0037】本発明に係る製造方法においては、図1か
ら図5に示すような搬送系を具備した電解研磨処理装置
を用いることにより、アルミニウム板Wを連続的に処理
することが出来る。なお、図1〜図5において示す符号
1,2,3,4,5は電解研磨処理装置、10,20,
30,40,50は電解研磨処理槽、11,21,3
1,41,51は、電源、12,22,32,42は陰
極、13は給電ロール、14はニップローラー、15,
25,35,45,55は処理液、16、パスローラ
ー、23,33,43は陽極、Wはアルミニウム板、2
9,29A,29Bは給電槽、52はラジアルドラムロ
ーラ、53a,53bは主極、54は電解液供給口、5
7は電解液通路、58は補助陽極、80は補助電極槽で
ある。
【0038】電流は直流、パルス直流、交流を用いるこ
とが可能であるが、連続直流が好ましい。電解研磨処理
装置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解処理
に使われているものを用いることができる。アルミニウ
ム板と電極間の平均流速はアルミニウム板に対して、パ
ラレルフロー、カウンターフローどちらでもよく、1〜
400cm/secが好ましい。アルミニウム板と電極
との距離は0.3〜30cmが好ましい。給電方法は給
電ロール(図1参照)を用いた直接給電方式を用いても
よいし、給電ロールを用いない液給電方式(図2から図
5に示す間接給電方式を参照)を用いても良い。
【0039】使用する電極材質、構造は電解処理に使わ
れている公知のものが使用可能である。液給電方式を用
いる時は、陽極が配置された電解槽と陰極が配置された
電解槽を分離することが好ましい。陽極が配置された電
解槽と陰極が配置された電解槽の間を通過するアルミニ
ウム板は電流が流れることによる発熱でアルミが溶断す
る可能性があるため、冷却を目的として電解液をスプレ
ーノズルから吹き付けることが好ましい。液給電方式を
用いた時は、陽極が配置された電解槽では、アルミニウ
ム板を陰極とした電解エッチング処理槽として機能す
る。陽極が配置された電解槽の電解液は酸でもアルカリ
でもよい。
【0040】陰極材質はカーボン、銀、ニッケル、純
鉄、ステンレス、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニ
ウム、ハフニウム、白金が好ましい。陽極材質はフェラ
イト、白金、酸化イリジウムが好ましい。
【0041】電解処理装置は、公知の装置を用いること
ができる。アルミニウム板の処理面は、上面でも下面で
も、片面でも両面でもよい。間接給電方式を用いる時
は、陽極の消耗を抑止するため、陽極を配置する電解槽
を電解研磨を行う電解槽と分離し、陽極を配置する電解
槽の液組成、温度等は電解研磨の条件よりも低く設定す
ることが好ましい。液温度、組成、平均流速等が一定の
時、電流密度によってストリークの見え方に差が出てく
るため、図2、図3に示したように、電源を分割し、電
流密度が一定になるようにコントロールすることが更に
好ましい。
【0042】電解研磨処理を行ったアルミニウム板表面
には酸化皮膜やスマットなどの副生成物が0.01〜1
0g/m2 生成する。この酸化皮膜や、スマットなどの
副生成物が存在すると平版印刷版用アルミニウム支持対
とした時好ましくないので、電解研磨処理の後工程とし
ては酸又はアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処
理、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陰極
にした電解エッチング処理、または酸性水溶液中でのデ
スマット処理を行うことが更に好ましい。
【0043】電解研磨処理を行う前処理としても、表面
の状態が不均一だと電解研磨処理が均一に行われないの
で、酸又はアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板を陰極にした電解エッチング処理を行うことが更に好
ましい。
【0044】[アルカリ水溶液中でのアルミニウム板を
陰極にした電解エッチング処理]ここで云う電解エッチ
ング処理とは、前記電解研磨処理装置に液給電方式を用
いた時、アルミニウム板が陰極になる工程を利用してア
ルミニウム板を電解しながら溶解する処理工程を云うも
のであって、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウムおよびリン酸ナトリウムのようなアルカリ性
物質の単独か、またはそれらの混合物、またはアルカリ
性物質と水酸化亜鉛、水酸化アルミニウムとの混合物、
またはこれらアルカリ性物質と塩化ナトリウムあるいは
塩化カリウム等の塩類との混合物の水溶液を使用し、ア
ルミニウム板を陰極にして電解処理する場合のことをい
う。
【0045】この処理においては、公知の電解研磨に用
いる水溶液が使用できるが、好ましくは水酸化ナトリウ
ムを主体とする水溶液である。好ましくは、水酸化ナト
リウムを1〜30wt%含有する水溶液である。液温1
0〜90℃(好ましくは25〜70℃)、電流密度1〜
100A/dm2 (好ましくは5〜80A/dm2 )、
電解時間は1〜180秒の範囲から選択できる。アルミ
ニウム板と電極間の平均流速は、1〜400cm/se
cが好ましく、アルミニウム板に対してカウンターフロ
ーでもパラレルフローでもよい。また、アルミニウムは
もちろんアルミニウム合金中に含有する合金成分が0〜
10wt%含有していてよい。最も好ましくはアルカリ
水溶液中での電解研磨処理と同じ、液組成、液温で用い
ることが好ましい。しかし、アルカリ水溶液中での電解
研磨処理が陽極材質にとって消耗が激しい液条件の時
は、アルカリ水溶液中での電解研磨処理よりも低温、低
濃度、低電流密度のいずれか一つ以上満足する電解条件
で処理を行うことが好ましい。陽極材質は、フェライ
ト、白金、酸化イリジウムが好ましい。
【0046】[酸性水溶液中でのアルミニウム板を陰極
にした電解エッチング処理]前記電解研磨処理の装置に
液給電方式を用いた時、アルミニウム板が陰極になる工
程を利用して酸性水溶液中でアルミニウム板を陰極にし
て電解しながら溶解する処理工程をいう。液の混合を防
ぐため、酸性水溶液中でアルミニウム板を陰極にして電
解しながら溶解する処理工程と、アルカリ水溶液中での
電解研磨処理工程との間には水洗工程を設けることが好
ましい。酸性水溶液としては燐酸、硝酸、硫酸、クロム
酸、塩酸、またはこれらの2以上の酸を含む混酸を用い
ることができる。酸性水溶液の濃度は0.5〜65wt
%が好ましく、更に好ましくは、硫酸または燐酸を1〜
30wt%含有する水溶液である。液温10〜90℃
(好ましくは25〜70℃)、電流密度1〜200A/
dm2 (好ましくは5〜80A/dm2 )、電解時間は
1〜180秒の範囲から選択できる。また、アルミニウ
ムはもちろんアルミニウム合金中に含有する合金成分が
0〜10wt%含有していてよい。アルミニウム板と電
極間の平均流速は1〜400cm/secが好ましく、
アルミニウム板に対してカウンターフローでもパラレル
フローでもよい。電解処理はアルミニウム板に対して片
面でも両面でもよい。陽極材質はフェライト、白金、酸
化イリジウムが好ましい。
【0047】[酸またはアルカリ水溶液中での化学的な
エッチング処理]アルカリ水溶液の濃度は1〜30wt
%が好ましく、更にアルカリ水溶液中に溶解しているア
ルミニウムは1〜30wt%が好ましい。アルカリ水溶
液としては、特に苛性ソーダを主体とする水溶液が好ま
しい。液温は常温〜95℃で、1〜120秒間処理する
ことが好ましい。
【0048】酸性水溶液に用いることのできる酸は、燐
酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2以
上の酸を含む混酸を用いることが出来る。酸性水溶液の
濃度は0.5〜65wt%が好ましく、更に酸性水溶液
中に溶解しているアルミニウムは0.5〜5wt%が好
ましい。液温は30〜95℃で、1〜120秒間処理す
ることが好ましい。酸性水溶液としては特に硫酸が好ま
しい。硫酸濃度とアルミニウム濃度は常温で晶出しない
範囲から選択することが好ましい。エッチング処理が終
了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニ
ップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行う
ことが好ましい。
【0049】[酸性水溶液中でのデスマット処理]アル
カリ水溶液中での電解研磨処理で酸化皮膜の生成量の少
ない時、または化学的なエッチング処理をアルカリ水溶
液を用いて行った場合、またはアルカリ水溶液中でアル
ミニウム板を陰極にして電解エッチング処理を行った場
合は一般にアルミニウムの表面にはスマットが生成する
ので、この場合には燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩
酸、またはこれらの2以上の酸を含む混酸でデスマット
処理する。酸性水溶液の濃度は0.5〜60wt%が好
ましい。更に酸性水溶液中にはアルミニウムが0〜5w
t%が溶解していても良い。液温は常温から95℃で実
施され、処理時間は1〜120秒が好ましい。デスマッ
ト処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まな
いためにニップローラーによる液切りとスプレーによる
水洗を行うことが好ましい。
【0050】[機械的な粗面化処理]本発明でいう機械
的な粗面化とは、毛径が0.2〜0.9mmの回転する
ナイロンブラシロールと、アルミニウム板表面に供給さ
れるスラリー液で機械的に粗面化処理することが有利で
ある。研磨剤としては公知の物が使用できるが、珪砂、
石英、水酸化アルミニウムまたはこれらの混合物が好ま
しい。特開平6−135175号公報、特公昭50−4
0047号公報に詳しく記載されている。スラリー液の
比重は1.05〜1.3が好ましい。
【0051】もちろんスラリー液を吹き付ける方式、ワ
イヤーブラシを用いた方式、凹凸を付けた圧延ロールの
表面形状をアルミニウム板に転写する方式などを用いて
も良い。その他の方式としては、特開昭55−0748
98号、特開昭61ー162351号、特開昭63−1
04889号公報等に記載されている。
【0052】[硝酸を主体とする水溶液]本発明に係る
製造方法において云う硝酸を主体とする水溶液は、通常
の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用
いるものを使用でき、1〜100g/リットルの硝酸水溶
液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモ
ニウム、等の硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナト
リウム、塩化アンモニウム、等の塩酸イオンを有する塩
酸または硝酸化合物の1つ以上を1g/リットル〜飽和ま
で添加して使用することができる。硝酸を主体とする水
溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マ
グネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる
金属が溶解していてもよい。好ましくは、硝酸0.5〜
2wt%水溶液中にアルミニウムイオンが3〜50g/
リットルとなるように塩化アルミニウム、硝酸アルミニ
ウムを添加した液を用いることが好ましい。温度は10
〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。
【0053】[塩酸を主体とする水溶液]本発明に係る
製造方法でいう塩酸を主体とする水溶液は、通常の直流
または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるも
のを使用でき、1〜100g/リットルの塩酸水溶液
に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニ
ウム、等の硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリ
ウム、塩化アンモニウム、等の塩酸イオンを有する塩酸
または硝酸化合物の1つ以上を1g/リットル〜飽和ま
で添加して使用することができる。塩酸を主体とする水
溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マ
グネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる
金属が溶解していてもよい。好ましくは、硝酸0.5〜
2wt%水溶液中にアルミニウムイオンが3〜50g/
リットルとなるように塩化アルミニウム、硝酸アルミニ
ウムを添加した液を用いることが好ましい。温度は10
〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。次
亜塩素酸を添加してもよい。
【0054】[交流を用いた電気化学的な粗面化]本発
明に係る製造方法でいう硝酸を主体とする水溶液は、通
常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に
用いるものを使用できる。有利には、前記硝酸を主体と
する水溶液または塩酸を主体とする水溶液から選ぶこと
ができる。硝酸を主体とした水溶液中での電気化学的な
粗面化では平均直径0.5〜3μmのピットが生成す
る。但し、電気量を比較的多くした時は、電解反応が集
中し、3μmを越えるハニカムピットも生成する。ま
た、電気量を比較的高く設定するにしたがい大きなうね
りを持つ表面となる。
【0055】塩酸を主体とした水溶液中で電気化学的に
粗面化した時は、0.1〜0.5μmの方形状のピット
が生成する。また、電気量を比較的高く設定するにした
がい大きなうねりを持つ表面となる。結晶粒の方位差に
起因するストリークスが見えにくくするには、ハニカム
ピットが密に生成していることが好ましい。ハニカムピ
ットの占める割合は60〜100%であることが好まし
く、特に80〜100%であることが好ましい。電気化
学的な粗面化に用いる交流電源波形は、サイン波、矩形
波、台形波、三角波などを用いることができるが、図6
に示すような矩形波または台形波が好ましく、台形波が
特に好ましい。
【0056】図6に示す台形波において、電流が0から
ピークに達するまでの時間tpは1〜10msecが好
ましい。電源回路のインピーダンスの影響のため、tp
が1未満であると電流波形の立ち上がり時に大きな電源
電圧が必要となり、電源の設備コストが高くなる。10
msecより大きくなると、電解液中の微量成分の影響
を受けやすくなり均一な粗面化が行われにくくなる。電
気化学的な粗面化に用いる交流の1サイクルの条件が、
アルミニウム板のアノード反応時間taとカソード反応
時間tcの比tc/taが1〜20、アルミニウム板が
アノード時の電気量Qcとアノード時の電気量Qaの比
Qc/Qaが0.3〜20、アノード反応時間taが1
〜1000msec、の範囲にあることが好ましい。t
c/taは2.5〜15であることがより好ましい。
【0057】Qc/Qaは0.8〜15であることがよ
り好ましい。アルミニウム板表面に均一なハニカムピッ
トを生成させるためには、アルミニウム板表面の酸化皮
膜の分布と水酸化アルミニウムを主体とするスマットの
生成され方のバランスが重要になってくる。酸化皮膜の
分布はアルミニウム板のアノード反応の時のピッティン
グ反応の開始点の分布を意味する。スマットの生成のさ
れ方は、一度ピッティング反応が起こった部分に再度ピ
ッティング反応が起こることを阻止し、ハニカムピット
を分散するうえで重要な役割を担っている。スマットは
アルミニウム板がアノード反応の時も反応が起きている
界面近傍のアルミニウムイオン濃度がリッチになり、水
酸化アルミニウムとなって析出する。
【0058】また、アルミニウム板がカソード反応の時
に水素ガスが発生し、界面のpHがアルミニウム析出領
域となって析出する。特にカソード反応の直前のアノー
ド反応でピッティングが行われた部分に析出し易く、ピ
ットにふたをするような形でスマットが生成するために
その部分には電流が流れにくく、電流を集中させない役
目をする。電気化学的な粗面化が終了したアルミニウム
板の表面には0.8g/m2 以上の水酸化アルミニウム
を主体とするスマットが生成されている時、平均直径
0.5〜3μmのハニカムピットが均一に分散してい
る。
【0059】tc/taが1未満であるとアルミニウム
板のアノード反応で生成した酸化皮膜の溶解による、ピ
ッティング反応の開始点が少なくなり、均一なハニカム
ピットが生成できなくなる。tc/taが20より大き
いと、アルミニウム板のアノード反応で生成した酸化皮
膜が溶解されすぎ、ピッティング反応の開始点が多くな
りすぎ、均一なハニカムピットが生成されず、表面積が
増えなくなる。Qc/Qaが0.3未満であるとアルミ
ニウム板のアノード反応で生成した酸化皮膜の溶解によ
る、ピッティング反応の開始点が少なくなり、均一なハ
ニカムピットが生成できなくなる。Qc/Qaが20よ
り大きいと、アルミニウム板のアノード反応で生成した
酸化皮膜が溶解されすぎ、ピッティング反応の開始点が
多くなりすぎ、均一なハニカムピットが生成されず、表
面積が増えなくなる。
【0060】電流密度は台形波のピーク値で電流のアノ
ードサイクル側Ia、カソードサイクル側Icともに1
0〜200A/dm2 が好ましい。Ic/Iaは0.3
〜20の範囲にあることが好ましい。電気化学的な粗面
化が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応に
あずかる電気量の総和は10〜1000C/dm2 が好
ましく、100〜600C/dm2 が特に好ましい。
【0061】本発明に係る製造方法で交流を用いた電気
化学的な粗面化に用いる電解槽は、縦型、フラット型、
ラジアル型など公知の表面処理に用いる電解槽が使用可
能であるが、特開平5−195300号公報に記載のよ
うなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過
する電解液はアルミニウムウェブの進行とパラレルでも
カウンターでもよい。ひとつの電解槽には1個以上の交
流電源が接続することができる。
【0062】[直流を用いた電気化学的な粗面化]本発
明で言う直流を用いた電気化学的な粗面化処理とは、ア
ルミニウム板とこれに対向する電極間に直流電流を加
え、電気化学的に粗面化する方法を言う。電解液は、公
知の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に
使用するものを用いることができる。有利には、前記硝
酸を主体とする水溶液または塩酸を主体とする水溶液か
ら選ぶことができる。温度は10〜80℃が好ましい。
直流を用いた電気化学的な粗面化に用いる処理装置は公
知の直流を用いたものを使用することが出来るが、特開
平1ー141094号公報に記載されているように一対
以上の陽極と陰極を交互に並べた装置を用いることが好
ましい。公知の装置の一例としては特開平6−3288
76号公報、特開平8−67078号公報、特開昭61
−19115号公報、特公昭57−44760号公報な
どに記載されている。
【0063】また、アルミニウム板に接触する給電ロー
ルと、これに対向する陰極との間に、直流電流を加え、
アルミニウム板を陽極にして電気化学的な粗面化処理を
行っても良い。電解処理が終了した後には、処理液を次
工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切り
とスプレーによる水洗を行うことが好ましい。電気化学
的な粗面化に使用する直流はリップル率が20%以下の
直流を用いることが好ましい。電流密度は10〜200
A/dm2 が好ましく、アルミニウム板が陽極時の電気
量は100〜1000C/dm2 が好ましい。陽極はフ
ェライト、酸化イリジウム、白金、白金をチタン、ニオ
ブ、ジルコニウムなどのバルブ金属にクラッドまたはメ
ッキしたものなど公知の酸素発生用電極から選定して用
いることが出来る。陰極はカーボン、白金、チタン、ニ
オブ、ジルコニウム、ステンレスや燃料電池用陰極に用
いる電極から選定して用いることができる
【0064】[陽極酸化処理]アルミニウム板の表面の
耐磨耗性を高めるために、陽極酸化処理が施される。ア
ルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質として
は多孔質酸化皮膜を形成するものならば、いかなるもの
でも使用することができる。一般には硫酸、リン酸、シ
ュウ酸、クロム酸、またはそれらの混合液が用いられ
る。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宣
決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質によっ
て変わるので一概に一概に特定し得ないが、一般的には
電解質の濃度が1〜80wt%、液温は5〜70℃、電
流密度1〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時
間10秒〜300秒の範囲にあれば適当である。
【0065】硫酸法は通常直流電流で処理が行われる
が、交流を用いることも可能である。陽極酸化皮膜の量
は1〜10g/m2 の範囲が適当である。1g/m2
りも少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の
非画像部に傷が付きやすくなって、同時にキズの部分に
インキが付着する、いわゆるキズ汚れが生じやすくな
る。
【0066】陽極酸化処理が施された後、アルミニウム
表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用
される親水化処理としては、米国特許第2714066
号、第3181461号、第3280734号及び第3
902734号各明細書に開示されているようなアルカ
リ金属シリケート(例えば珪酸ナトリウム水溶液)法が
ある。この方法においては、支持体が珪酸ナトリウム水
溶液中で浸漬されるか、また電解処理される。他に特公
昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジル
コン酸カリウム、および、米国特許第3276868、
第4153461号および第4689272号各明細書
に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理す
る方法などが用いられる。
【0067】また、砂目立て処理及び陽極酸化処理後、
封孔処理を施したものも好ましい。かかる封孔処理は熱
水および無機塩または有機塩を含む熱水溶液への浸漬な
らびに水蒸気浴等によっておこなわれる。
【0068】本発明に係る製造方法で粗面化されたアル
ミニウム板は、特願平8−296708号、特願平8−
176568号の明細書に記載されている物性値を満足
する支持体である。
【0069】具体的には下記の表面形状を満足する支持
体である。 (1)AFM(原子間力顕微鏡)で測定した値を用いて
定義した表面形状が下記の範囲にある。 水平(X,Y)方向の分解能が0.1μmとしたAF
Mを用いて100μm角の測定範囲で測定し、近似三点
法により求めた表面積をa、上部投影面積をbとした
時、a/bの値(比表面積)が1.15〜1.5、 水平(X,Y)方向の分解能が1.9μmとしたAF
Mを用いて240μm角の測定範囲で測定した平均表面
粗さが0.35〜1.0μm、 水平(X,Y)方向の分解能が1.9μmとしたAF
Mを用いて240μm角の測定範囲で測定した傾斜度が
30度以上の割合が5〜40%、 アルミニウム板の表面が粗面化によって起伏を有する
平版印刷版用支持体で、原子間力顕微鏡により、0.1
μm分解能で、50μm角を計測した際の表面傾斜度分
布の傾斜度が45度以上の割合が5%以上50%以下、
であることを特徴とする平版印刷版用支持体。
【0070】(2)感光層を塗布する前のJIS Z9
741−1983に規定の85度光沢度が30以下。
【0071】(3)走査型電子顕微鏡で、倍率750倍
で観察した時、80μmの視野の中に、平均直径0.5
〜20μmのハニカムピットがしめる面積の割合が30
〜100%。
【0072】(4)フラクタル次元が、水平(X,Y)
方向の分解能が0.1μmまたは1.9μmとしたAF
Mを用いて100μm角または240μm角の測定範囲
で測定したボックスカウンティング法、スケール変換
法、カバー法、回転半径法、密度相関関数法などで求め
たフラクタル次元が2.1〜2.5である。特に、交流
又は直流を用いた電気化学的な粗面化で生成したハニカ
ムピットの密度が、走査型電子顕微鏡で、倍率750倍
で観察した時、80μmの視野の中に、平均直径0.5
〜20μmのハニカムピットがしめる面積の割合が60
〜100%、更に好ましくは80〜100%であると結
晶粒に起因する処理ムラの発生を最小にすることができ
る。
【0073】以下、本発明に係る平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造方法の実施例について説明する。
【0074】(実施例1)均熱処理および中間焼鈍処理
を省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッ
チングでストリークスが発生しやすくなった厚さ0.2
4mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミ
ニウム板を用いて連続的に処理を行った。
【0075】(1)機械的な粗面化処理 比重1.12の水酸化アルミニウムと水の懸濁液を研磨
スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しなが
ら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な
粗面化を行った。ナイロンブラシの材質は6・10ナイ
ロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.295m
mであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレ
ス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブ
ラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ
(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシ
ローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラ
シローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対
して6kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回
転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。そ
の後、水洗した。アルミニウム板の移動速度は50m/
minであった。
【0076】(2)アルカリ水溶液中での電解研磨処理 アルミニウム板を、水酸化ナトリウム5wt%含有する
水溶液35℃で、電流密度30A/dm2 でアルミニウ
ム板を陽極にして電解研磨処理を行った。アルミニウム
板の溶解量は5g/m2 であった。その後スプレーによ
る水洗を行った。
【0077】(3)酸性水溶液中での化学的なエッチン
グ処理 次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に120秒
間浸漬して化学的なエッチング処理を行った。その後、
水洗処理を行った。
【0078】(4)電気化学的な粗面化処理 交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行
った。装置は図5に示したものを用いた。この時の電解
液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5
wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)、
液温45℃であった。交流電源波形は電流値がゼロから
ピークに達するまでの時間tpが1msec、duty
比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を
対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノ
ードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク
値で60A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時
の電気量の総和で200C/dm2 であった。補助陽極
には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、
スプレーによる水洗を行った。
【0079】(5)アルカリ水溶液中での電解研磨処理 アルミニウム板を、水酸化ナトリウム5wt%含有する
水溶液35℃で、電流密度30A/dm2 でアルミニウ
ム板を陽極にして電解研磨処理を行った。アルミニウム
板の溶解量は1g/m2 であった。その後スプレーによ
る水洗を行った。
【0080】(6)酸性水溶液中での化学的なエッチン
グ処理 次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に120秒
間浸漬して化学的なエッチング処理を行った。その後、
水洗処理を行った。
【0081】(7)陽極酸化処理 液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電流
密度2A/dm2 で陽極酸化皮膜量が2.4g/m2
なるように陽極酸化処理を行った。その後、スプレーに
よる水洗を行った。このようにして処理したアルミニウ
ム板の表面を目視により観察したところ、結晶粒の方位
が起因のストリークスは発生していなかった。このアル
ミニウム板に中間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥
膜厚2.0g/m2 のポジ型PS版を作成した。このP
S版を用いて印刷したところ、良好な印刷版であった。
【0082】(実施例2)実施例1の陽極酸化処理後の
基板に、親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt
%、70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレー
で水洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップ
ローラで液切りを行った。この処理したアルミニウム板
に中間層とネガ型感光層を塗布、乾燥してPS版を作成
した。このPS版を印刷したところ良好な印刷版であっ
た。このアルミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因
のストリークスは発生していなかった。
【0083】(実施例3)実施例1の(1)の機械的研
磨処理に用いるスラリー液を硅砂を主体とする液を用い
た。比重は1.12であった。実施例1の(2)のアル
ミの溶解量を8g/m2 とした以外は実施例1と全く同
様に処理を行った。このアルミニウム板の表面には結晶
粒の方位が起因のストリークスは発生していなかった。
このようにして処理したアルミニウム板の表面を目視に
より観察したところ、結晶粒の方位が起因のストリーク
スは発生していなかった。このアルミニウム板に中間層
および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2
のポジ型PS版を作成した。このPS版を用いて印刷し
たところ、良好な印刷版であった。
【0084】(実施例4)実施例3の陽極酸化処理後の
基板に、親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt
%、70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレー
で水洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップ
ローラで液切りを行った。この処理したアルミニウム板
に中間層とネガ型感光層を塗布、乾燥してPS版を作成
した。このPS版を印刷したところ良好な印刷版であっ
た。このアルミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因
のストリークスは発生していなかった。
【0085】(実施例5)均熱処理及び中間焼鈍処理を
省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチ
ングでストリークスが発生しやすくなった厚さ0.24
mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニ
ウム板を用いて連続的に処理を行った。電解研磨処理に
は図4に示した装置を用いた。
【0086】(1)機械的な粗面化処理 比重1.12の水酸化アルミニウムと水の懸濁液を研磨
スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しなが
ら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な
粗面化を行った。ナイロンブラシの材質は6・10ナイ
ロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.295m
mであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレ
ス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブ
ラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ
(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシ
ローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラ
シローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対
して6kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回
転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。そ
の後、水洗した。アルミニウム板の移動速度は50m/
minであった。
【0087】(2)アルカリ水溶液中での化学的なエッ
チング処理 アルミニウム板を、NaOH26wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する水溶液、60℃に浸漬して
アルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウ
ム板の溶解量は5g/m2 であった。その後、水洗処理
を行った。
【0088】(3)酸性水溶液中でのデスマット処理 次に硝酸1wt%含有する水溶液、30℃に10秒間浸
漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行
った。
【0089】(4)電気化学的な粗面化処理 交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行
った。装置は図5に示したものを用いた。この時の電解
液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5
wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)、
液温45℃であった。交流電源波形は電流値がゼロから
ピークに達するまでの時間tpが1msec、duty
比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を
対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノ
ードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク
値で60A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時
の電気量の総和で200C/dm2 であった。補助陽極
には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、
スプレーによる水洗を行った。
【0090】(5)アルカリ水溶液中での電解研磨処理 アルミニウム板を、水酸化ナトリウム5wt%含有する
水溶液35℃で、電流密度30A/dm2 でアルミニウ
ム板を陽極にして電解研磨処理を行った。アルミニウム
板の溶解量は0.6g/m2 であった。その後スプレー
による水洗を行った。
【0091】(6)アルカリ水溶液中でアルミニウム板
を陰極にした電解エッチング処理 図4に示した電解研
磨処理工程の陽極が配置された電解槽(給電槽)を利用
してアルミニウム板を陰極にして電解処理しながら、電
解エッチング処理を行った。電解液はNaOH5wt%
含有する水溶液、35℃であった。アルミニウム板の溶
解量は0.4g/m2 であった。
【0092】(7)酸性水溶液中でのデスマット処理 次に硫酸15wt%含有する水溶液(この水溶液はアル
ミニウムイオンを0.5wt%含む)、35℃に5秒間
浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を
行った。
【0093】(8)陽極酸化処理 液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(この水溶液は
アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、直流電圧
を用い、電流密度2A/dm2 陽極酸化皮膜量が2.4
g/m2 になるように陽極酸化処理を行った。その後、
スプレーによる水洗を行った。このようにして処理した
アルミニウム板の表面を目視により観察したところ、結
晶粒の方位が起因のストリークスは発生していなかっ
た。このアルミニウム板に中間層および感光層を塗布、
乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2 のポジ型PS版を作成
した。このPS版を用いて印刷したところ、良好な印刷
版であった。
【0094】(実施例6)均熱処理及び中間焼鈍処理を
省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチ
ングでストリークスが発生しやすくなった厚さ0.24
mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニ
ウム板を用いて連続的に処理を行った。電解研磨処理に
は図3に示した装置を用いた。
【0095】(1)機械的な粗面化処理 比重1.12の水酸化アルミニウムと水の懸濁液を研磨
スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しなが
ら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な
粗面化を行った。ナイロンブラシの材質は6・10ナイ
ロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.295m
mであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレ
ス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブ
ラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ
(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシ
ローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラ
シローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対
して6kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回
転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。そ
の後、水洗した。アルミニウム板の移動速度は50m/
minであった。
【0096】(2)アルカリ水溶液中での化学的なエッ
チング処理 アルミニウム板を、NaOH26wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する水溶液、60℃に浸漬して
アルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウ
ム板の溶解量は5g/m2 であった。その後、水洗処理
を行った。
【0097】(3)酸性水溶液中でのデスマット処理 次に硝酸1wt%含有する水溶液、30℃に10秒間浸
漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行
った。
【0098】(4)電気化学的な粗面化処理 交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行
った。装置は図5に示したものを用いた。この時の電解
液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5
wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)、
液温45℃であった。交流電源波形は電流値がゼロから
ピークに達するまでの時間tpが1msec、duty
比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を
対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノ
ードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク
値で60A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時
の電気量の総和で200C/dm2 であった。補助陽極
には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、
スプレーによる水洗を行った。
【0099】(5)アルカリ水溶液中でアルミニウム板
を陰極にした電解エッチング処理 図3に示した電解研磨処理工程の陽極が配置された電解
槽(給電槽A)を利用してアルミニウム板を陰極にして
電解処理しながら、電解エッチング処理を行った。電解
液はNaOH5wt%含有する水溶液、35℃であっ
た。アルミニウム板の溶解量は0.4g/m2 であっ
た。
【0100】(6)アルカリ水溶液中での電解研磨処理 アルミニウム板を、水酸化ナトリウム5wt%含有する
水溶液35℃で、電流密度30A/dm2 でアルミニウ
ム板を陽極にして電解研磨処理を行った。アルミニウム
板の溶解量は1g/m2 であった。その後スプレーによ
る水洗を行った。
【0101】(7)アルカリ水溶液中でアルミニウム板
を陰極にした電解エッチング処理 図3に示した電解研磨処理装置3の陽極が配置された電
解槽(給電槽B)を利用してアルミニウム板を陰極にし
て電解処理しながら、電解エッチング処理を行った。電
解液はNaOH 5wt%含有する水溶液、35℃であ
った。アルミニウム板の溶解量は0.2g/m2 であっ
た。
【0102】(8)酸性水溶液中でのデスマット処理 次に硫酸15wt%含有する水溶液(アルミニウムイオ
ンを0.5wt%含む)、35℃に5秒間浸漬してデス
マット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
【0103】(9)陽極酸化処理 液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電流
密度2A/dm2 で陽極酸化皮膜量が2.4g/m2
なるように陽極酸化処理を行った。その後、スプレーに
よる水洗を行った。
【0104】このようにして処理したアルミニウム板の
表面を目視により観察したところ、結晶粒の方位が起因
のストリークスは発生していなかった。このアルミニウ
ム板に中間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚
2.0g/m2 のポジ型PS版を作成した。このPS版
を用いて印刷したところ、良好な印刷版であった。
【0105】(実施例7)均熱処理及び中間焼鈍処理を
省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチ
ングでストリークスが発生しやすくなった厚さ0.24
mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニ
ウム板を用いて連続的に処理を行った。電解研磨処理に
は図2に示した装置を用いた。
【0106】(1)機械的な粗面化処理 比重1.12の水酸化アルミニウムと水の懸濁液を研磨
スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しなが
ら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な
粗面化を行った。ナイロンブラシの材質は6・10ナイ
ロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.295m
mであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレ
ス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブ
ラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ
(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシ
ローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラ
シローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対
して6kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回
転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。そ
の後、水洗した。アルミニウム板の移動速度は50m/
minであった。
【0107】(2)アルカリ水溶液中での化学的なエッ
チング処理 アルミニウム板を、NaOH26wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する水溶液、60℃に浸漬して
アルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウ
ム板の溶解量は5g/m2 であった。その後、水洗処理
を行った。
【0108】(3)酸性水溶液中でのデスマット処理 次に硝酸1wt%含有する水溶液、30℃に10秒間浸
漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行
った。
【0109】(4)電気化学的な粗面化処理 交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行
った。装置は図5に示したものを用いた。この時の電解
液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5
wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)、
液温45℃であった。交流電源波形は電流値がゼロから
ピークに達するまでの時間tpが1msec、duty
比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を
対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノ
ードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク
値で60A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時
の電気量の総和で200C/dm2 であった。補助陽極
には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、
スプレーによる水洗を行った。
【0110】(5)アルカリ水溶液中でのアルミニウム
板を陰極にした電解エッチング処理 図2に示した電解研磨処理工程の陽極が配置された電解
槽(給電槽)を利用してアルミニウム板を陰極にして電
解処理しながら、電解エッチング処理を行った。電解液
はNaOH5wt%含有する水溶液、35℃であった。
アルミニウム板の溶解量は0.4g/m2 であった。
【0111】(6)アルカリ水溶液中での電解研磨処理 アルミニウム板を、水酸化ナトリウム5wt%含有する
水溶液35℃で、電流密度30A/dm2 でアルミニウ
ム板を陽極にして電解研磨処理を行った。アルミニウム
板の溶解量は0.6g/m2 であった。その後スプレー
による水洗を行った。
【0112】(7)酸性水溶液中での化学的なエッチン
グ処理 次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に120秒
間浸漬して化学的なエッチング処理を行った。その後、
水洗処理を行った。
【0113】(8)陽極酸化処理 液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電流
密度2A/dm2 で陽極酸化皮膜量が2.4g/m2
なるように陽極酸化処理を行った。その後、スプレーに
よる水洗を行った。
【0114】このようにして処理したアルミニウム板の
表面を目視により観察したところ、結晶粒の方位が起因
のストリークスは発生していなかった。このアルミニウ
ム板に中間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚
2.0g/m2 のポジ型PS版を作成した。このPS版
を用いて印刷したところ、良好な印刷版であった。
【0115】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る平版印
刷版用アルミニウム支持体の製造方法によれば、アルカ
リ水溶液中でアルミニウム板を陽極にして電解研磨処理
を行うとアルミニウム板の結晶粒の方位差に起因する処
理ムラが発生しないので、安価なアルミニウム板でも平
版印刷版用アルミニウム支持体として使用することがで
きる。また、アルミ溶解量は通電量でコントロールでき
るためコンピュ−ターを使った生産管理システムで管理
しやすいことから、高品質を維持しつつ生産性を高める
ことができる。また、比較的高温、高濃度の水溶液を用
いないので、耐食性の低下を回避する事ができる。更に
電解研磨処理に用いるアルカリ水溶液の濃度および温度
は、化学的なエッチングの液に比べて低く設定すること
が可能であるので、調整や管理がしやすく、品質の安定
化を図ることが極めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法を実施する電解研磨処理処理装置の概略図で
ある。
【図2】本発明に係る平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法を実施する電解研磨処理に用いる装置の一実
施形態である。
【図3】本発明に係る平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法を実施する電解研磨処理に用いる装置の他の
実施形態である。
【図4】本発明に係る平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法を実施する電解研磨処理に用いる装置の他の
実施形態である。
【図5】本発明に係る平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法を実施する電解研磨処理に用いる装置の他の
実施形態であって、交流を用いた電気化学的な粗面化に
用いる装置の概略図である。
【図6】交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いる
交流波形の一例を示す概略波形図である。
【符号の説明】
1,2,3,4,5・・・電解研磨処理装置 10,20,30,40,50・・・電解研磨処理槽 11,21,31,41,51・・・電源 12,22,32,42・・・陰極 13・・・給電ロール 14・・・ニップローラー 15,25,35,45,55・・・処理液 16・・・パスローラー 23,33,43・・・陽極 W・・・アルミニウム板

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平版印刷版用アルミニウム支持体を製造
    する工程において、アルミニウム板を順に、(1)アル
    カリ水溶液中での電解研磨処理(2)酸性水溶液中での
    直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理するこ
    とを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 平版印刷版用アルミニウム支持体を製造
    する工程において、アルミニウム板を順に、(1)酸性
    水溶液中での直流または交流を用いた電気化学的な粗面
    化処理(2)アルカリ水溶液中での電解研磨処理するこ
    とを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 平版印刷版用アルミニウム支持体を製造
    する工程において、アルミニウム板を順に、(1)アル
    カリ水溶液中での電解研磨処理(2)酸性水溶液中での
    直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理(3)
    アルカリ水溶液中での電解研磨処理することを特徴とす
    る平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  4. 【請求項4】 平版印刷版用アルミニウム支持体を製造
    する工程において、アルミニウム板を順に、(1)酸ま
    たはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理
    (2)酸性水溶液中での直流または交流を用いた電気化
    学的な粗面化処理(3)アルカリ水溶液中での電解研磨
    処理することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支
    持体の製造方法。
  5. 【請求項5】 平版印刷版用アルミニウム支持体を製造
    する工程において、アルミニウム板を順に、(1)アル
    カリ水溶液中での電解研磨処理(2)酸性水溶液中での
    直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理(3)
    酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理
    することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 アルカリ水溶液中での電解研磨処理の前
    または後または前後に、酸またはアルカリ水溶液中での
    化学的なエッチング処理、または、酸またはアルカリ水
    溶液中でアルミニウム板を陰極にした電解エッチング処
    理を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に
    記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  7. 【請求項7】 アルカリ水溶液中での電解研磨処理また
    はアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理、また
    はアルカリ水溶液中でのアルミニウム板を陰極にした電
    解エッチング処理の後に、酸性水溶液中でのデスマット
    処理を行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項
    に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  8. 【請求項8】 電解研磨処理に用いるアルカリ水溶液
    が、水酸化ナトリウムを主体とする水溶液であることを
    特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の平版印刷
    版用アルミニウム支持体の製造方法。
  9. 【請求項9】 機械的な粗面化処理を行った後に、請求
    項1〜8の何れか一項に記載の処理を行うことを特徴と
    する平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  10. 【請求項10】 更に引き続き、陽極酸化処理を行うこ
    とを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の平版
    印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  11. 【請求項11】 陽極酸化処理を行った後に親水化処理
    を行うことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に
    記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  12. 【請求項12】 陽極材質にフェライト、白金、酸化イ
    リジウムを使用することを特徴とする請求項1〜11の
    何れか一項に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 陰極材質にカーボン、銀、ニッケル、
    純鉄、ステンレス、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコ
    ニウム、ハフニウム、白金を使用することを特徴とする
    請求項1〜12の何れか一項に記載の平版印刷版用アル
    ミニウム支持体の製造方法。
JP10952897A 1997-04-25 1997-04-25 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 Pending JPH10297132A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10952897A JPH10297132A (ja) 1997-04-25 1997-04-25 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
DE69821044T DE69821044T2 (de) 1997-04-25 1998-04-24 Verfahren zur Herstellung eines Aluminiumträgers für lithographische Druckplatten
EP98107542A EP0874068B1 (en) 1997-04-25 1998-04-24 Method for producing an aluminum support for a lithographic printing plate
US09/063,727 US6143158A (en) 1997-04-25 1998-04-24 Method for producing an aluminum support for a lithographic printing plate

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10952897A JPH10297132A (ja) 1997-04-25 1997-04-25 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10297132A true JPH10297132A (ja) 1998-11-10

Family

ID=14512554

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10952897A Pending JPH10297132A (ja) 1997-04-25 1997-04-25 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10297132A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6143158A (en) Method for producing an aluminum support for a lithographic printing plate
JP3580462B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
EP0924101B1 (en) Process for producing aluminium support for lithographic printing plate
JP3738940B2 (ja) 校正用平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP3695618B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP2001011698A (ja) 平版印刷板用アルミニウム支持体の粗面化方法及び製造方法
JP3748295B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化方法
JP3717025B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH10183400A (ja) アルミニウム板の粗面化方法
JP3494328B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JPH10251900A (ja) アルミニウム板の粗面化方法
JPH11240275A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH10297132A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP2001121837A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH1030200A (ja) アルミニウム板の粗面化方法
JPH1111035A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH10130897A (ja) アルミニウム板及びその粗面化方法
JP3787735B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法および支持体
JPH08300843A (ja) 平版印刷版用支持体とその製造方法及びそれに用いる電気化学的粗面化装置並びに電極
JPH09142049A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体およびその製造方法
JP2000301850A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH1044636A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化処理方法
JP3599210B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH09234971A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP2001011699A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法