JP3695618B2 - 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用支持体として使用されるアルミニウム板の製造方法に関するものである。
特に、本発明は、従来の化学的なエッチング方法では、結晶粒の方位差に起因するストリークと呼ばれる畳目状の筋や、面質ムラと呼ばれるザラツキ状の処理ムラなどが発生しやすいアルミニウム板を粗面化して平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版用アルミニウム支持体として、汎用のアルミニウム板やアルミニウム板の製造工程から中間焼鈍処理や均熱処理を省略したアルミニウム板を用いることは省エネルギー、資源の有効利用の観点から望まれている。
しかしながら前記アルミニウム板を用いて平版印刷版用アルミニウム支持体を製造したとき、ストリークや面質ムラと呼ばれる処理ムラが発生しやすかった。これは、アルミニウムの化学的な溶解反応が進む際に結晶方位によって溶解速度が違うため、アルミニウムの電気化学的なピッティング反応が進む際に結晶方位によって反応が違うためといわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記ストリークや面質ムラと呼ぶ故障の発生し易いアルミニウム(またはアルミニウムに合金)板を用いて、これらの欠点の発生しない平版印刷版用アルミニウム(またはアルミニウム合金)支持体の製造方法に関するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、上記したようなストリークや面質ムラと呼ぶ故障の発生し易いアルミニウム(またはアルミニウムに合金)板を用いて、これらの故障が発生しない平版印刷版用アルミニウム(またはアルミニウム合金)支持体(以下、単に、アルミニウム板まらはアルミニウム支持体と称する)の製造方法を見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の主な態様は次の通りである。
▲1▼ アルカリエッチングを施した際、結晶粒の方位差によるアルミニウム溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウムを順に、
(1)硝酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的に粗面化し、
(2)塩酸を主体とする水溶液中で10〜300C/dm2の電気量で電気化学的に粗面化する
ことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
▲2▼ アルカリエッチングを施した際、結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウム板をを順に、
(1)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理し、
(2)硝酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的に粗面化し、
(3)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理し、
(4)塩酸を主体とする水溶液中で10〜300C/dm2の電気量で電気化学的に粗面化し、
(5)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理する
ことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
【0005】
▲3▼ アルカリエッチングを施した際、結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウム板を順に、
(1)機械的に粗面化し、
(2)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理し、
(3)塩酸を主体とする水溶液中で10〜300C/dm2の電気量で電気化学的に粗面化し、
(4)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理する
ことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
▲4▼ アルカリエッチングを施した際、結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウム板をを順に、
(1)機械的に粗面化し、
(2)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理し、
(3)硝酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的に粗面化し、
(4)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理し、
(5)塩酸を主体とする水溶液中で10〜300C/dm2の電気量で電気化学的に粗面化し、
(6)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理する
ことを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
本発明は、アルカリエッチングを施した、結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウム板としては、DC鋳造法から中間焼鈍処理、または、均熱処理、または、中間焼鈍処理と均熱処理を省略して製造されたアルミニウム板、または、連続鋳造法から中間焼鈍処理を省略して製造されたアルミニウム板である場合に適している。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法の実施形態について詳細に説明する。
実施形態1
アルカリエッチングを施した際、結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウム板を順に、
(1)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
表面の自然酸化皮膜や汚れ、圧延油等を取り除き、表面の状態を均一にする目的でアルミニウム板を0.1〜20g/dm2溶解する。
(2)硝酸を主体とする水溶液中で電気化学的な粗面化処理
アルミニウム板表面に、平均直径0.1〜10μmのハニカムピットを生成する目的で行われる。
アルミニウム板が陽極反応に預かる電気量が1〜1000C/dm2が好ましく、10〜600C/dm2が更に好ましい。電気量が多ければ、より大きな表面粗さとなる。電気化学的な粗面化に用いる電源波形は、交流または直流が用いられる。(3)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
電気化学的な粗面化処理で生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、ピットのエッジの部分を滑らかにする目的で行われる。アルミニウム板の溶解量は0.01〜20g/m2が好ましい。
(4)塩酸を主体とする水溶液中で電気化学的に粗面化
アルミニウムの結晶粒の方位差に起因する処理ムラ(ストリーク、面質ムラ)を目立ち難くする目的で走査型電子顕微鏡で観察したとき平均ピッチが0.01〜1μmの角形ピットまたはハニカムピットを密に生成する。
アルミニウム板が陽極反応に預かる電気量が1〜1000C/dm2が好ましく、10〜300C/dm2が更に好ましく、特に25〜100C/dm2が好ましい。電気化学的な粗面化に用いる電源波形は、交流または直流が用いられるが交流が特に好ましい。
(5)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
電気化学的な粗面化処理で生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、ピットのエッジの部分を滑らかにする目的で行われる。アルミニウム板の溶解量は0.01〜5g/m2が好ましく、更に0.1〜1g/m2が好ましく、とくに、0.15〜0.5g/m2が好ましい。
この処理を行うことで、塩酸を主体とする水溶液中で生成した角形ピットのエッジ部分が滑らかになり、印刷版にしたときの汚れ難さが向上する。
(6)陽極酸化処理
アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
【0007】
実施形態2
アルカリエッチングを施した際、結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウム板を用いて、このアルミニウム板を順に、
(1)機械的に粗面化
機械的な粗面化処理を行うことで、電気化学的な粗面化と比較して、より安価に、0.3〜1.5μmの平均表面粗さを持つ表面とすることができる。
(2)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
表面の自然酸化皮膜や汚れ、圧延油等を取り除き、なおかつ機械的な粗面化で生成した急峻な凹凸を滑らかにする目的でアルミニウム板を0.1〜20g/m2溶解する。
(3)塩酸を主体とする水溶液中で電気化学的に粗面化
アルミニウムの結晶粒の方位差に起因する処理ムラ(ストリーク、面質ムラ)を目立ち難くする目的で走査型電子顕微鏡で観察したとき平均ピッチが0.01〜0.5μmの角形ピットまたはハニカムピットを密に生成する。
アルミニウム板が陽極反応に預かる電気量が1〜1000C/dm2が好ましく、10〜300C/dm2が更に好ましく、とくに25〜100C/dm2が好ましい。電気化学的な粗面化に用いる電源波形は、交流または直流が用いられるが交流が特に好ましい。
(4)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
電気化学的な粗面化処理で生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、ピットのエッジの部分を滑らかにする目的で行われる。アルミニウム板の溶解量は0.01〜5g/m2 が好ましく、更に0.1〜1g/m2 が好ましく、とくに、0.15〜0.5g/m2 が好ましい。
この処理を行うことで、塩酸を主体とする水溶液中で生成した角形ピットのエッジ部分が滑らかになり、印刷版にしたときの汚れ難さが向上する。
(5)陽極酸化処理
アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
【0008】
実施形態3
アルカリエッチングを施した際、結晶粒の方位差によるアルミニウム溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウム板を用いて、このアルミニウム板を順に、
(1)機械的に粗面化
機械的な粗面化処理を行うことで、電気化学的な粗面化と比較して、より安価に、0.3〜1.5μmの平均表面粗さを持つ表面とすることができる。
(2)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
表面の自然酸化皮膜や汚れ、圧延油等を取り除き、なおかつ機械的な粗面化で生成した急峻な凹凸を滑らかにする目的でアルミニウム板を0.1〜20g/m2溶解する。
(3)硝酸を主体とする水溶液中で電気化学的な粗面化処理
アルミニウム板表面に、平均直径0.1〜10μmのハニカムピットを生成する目的で行われる。
アルミニウム板が陽極反応に預かる電気量が1〜1000C/dm2が好ましく、10〜300C/dm2が更に好ましい。電気量が多ければ、より大きな表面粗さとなる。電気化学的な粗面化に用いる電源波形は、交流または直流が用いられる。(4)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
電気化学的な粗面化処理で生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、ピットのエッジの部分を滑らかにする目的で行われる。アルミニウム板の溶解量は0.01〜20g/m2が好ましい。
(5)塩酸を主体とする水溶液中で電気化学的に粗面化
アルミニウムの結晶粒の方位差に起因する処理ムラ(ストリーク、面質ムラ)を目立ち難くする目的で走査型電子顕微鏡で観察したとき平均ピッチが0.01〜1μmの角形ピットまたはハニカムピットを密に生成する。
アルミニウム板が陽極反応に預かる電気量が1〜1000C/dm2が好ましく、10〜300C/dm2が更に好ましく、とくに25〜100C/dm2が好ましい。電気化学的な粗面化に用いる電源波形は、交流または直流が用いられるが交流が特に好ましい。
(6)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理
電気化学的な粗面化処理で生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、ピットのエッジの部分を滑らかにする目的で行われる。アルミニウム板の溶解量は0.01〜5g/m2が好ましく、更に0.1〜1g/m2が好ましく、とくに、0.15〜0.5g/m2が好ましい。
この処理を行うことで、塩酸を主体とする水溶液中で生成した角形ピットのエッジ部分が滑らかになり、印刷版にしたときの汚れ難さが向上する。
(7)陽極酸化処理
アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
【0009】
実施形態4
実施形態1〜3いずれかの方法で、アルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理をおこなったとき、一般にアルミニウムの表面にはスマットや酸化皮膜が生成するので燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2以上の酸を含む混酸でデスマット処理することが好ましい。
実施形態5
実施形態1〜3いずれかの方法の前段階で、バフ研磨処理を行い、アルミニウム圧延工程の仕上げロールで発生する大きな圧延スジを除去することで、より好ましい印刷版とすることができる。
このようにして粗面化されたアルミニウム板を、走査型電子顕微鏡で観察したとき一辺が0.01〜1μmの角形ピット、または、平均直径0.01〜3μmのハニカムピットが占める面積の割合が80−100%であり、平均表面粗さ0.3〜1.5μmの平版印刷板用アルミニウム支持体である。
本発明に使用されるアルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分として微量の異元素を含む合金板、またはアルミニウムがラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルムの中から選ばれる。該アルミニウム合金に含まれる異元素には、珪素、鉄、ニッケル、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、チタン、バナジウムなどがある。通常はアルミニウムハンドブック第4版(1990、軽金属協会)に記載の、従来より公知の素材のもの、例えばJIS A 1050材、JIS A 3103材、JIS A 3005材、JIS A 1100材、JIS A 3004材または引っ張り強度を増す目的でこれらに5wt%以下のマグネシウムを添加した合金を用いることが出来る。とくに、結晶粒の方向起因の故障が発生するアルミニウム板の粗面化に好適である。
上記アルミニウム板は通常のDC鋳造法によるアルミニウム板の他、連続鋳造圧延法により製造されたものでも良い。連続鋳造圧延の方法としては双ロール法、ベルトキャスター法、ブロックキャスター法などを用いることができる。本発明に用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1〜0.6mm程度である。アルカリエッチングで結晶粒の方位差によるアルミニウム溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウム板とは、DC鋳造法から中間焼鈍処理、または、均熱処理、または、中間焼鈍処理と均熱処理を省略して製造されたアルミニウム板、または、連続鋳造法から中間焼鈍処理を省略して製造されたアルミニウム板であることが好ましい。
本発明で用いる、アルカリエッチングで結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度差に起因する処理ムラの発生しやすいアルミニウム板とは、アルカリエッチング処理後に、ストリークと呼ぶスジ状の処理ムラや、面質ムラと呼ぶ故障の出やすいアルミニウム板をいう。
また、本発明でいうアルミニウム板の表面をバフ研磨により鏡面仕上げし、アルミニウム板を15g/m2溶解する目的で、苛性ソーダ水溶液中でアルカリエッチングし、酸性水溶液中でデスマット処理したアルミニウム板の表面をAFMで観察したとき、エッチング速度差により発生した段差が0.01μm以上0.5μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.2μm以下であるアルミニウム合金板である。
【0010】
具体的なバフ研磨の方法は、
▲1▼平均粒径0.3μmのアルミナ粉と水を用いて30秒間バフ研磨し、
▲2▼平均粒径0.1μmのアルミナ粉と水を用いて60秒間バフ研磨し、
▲3▼水を用いて120秒間バフ研磨し、
表面の圧延スジ、圧延油、酸化皮膜を除去して鏡面仕上げした。
アルカリエッチングの方法は水酸化アルミニウム27wt%、アルミニウム7wt%の水溶液70℃でアルミニウムの溶解量が15g/m2である。酸性水溶液中でのデスマット処理は硫酸25wt%の水溶液60℃に10秒間浸漬した。
【0011】
アルミニウム板をバフ研磨処理し、フッ酸でエッチングした表面を観察したときの圧延方向に長い結晶粒の幅は約0.01mm以上10mm以下、長さは0.5mm以上300mm以下である。圧延方向圧延方向に長い結晶粒の幅は5mm以下が好ましく、3mm以下が更に好ましい。
本発明の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化または電解研磨処理に用いる装置は、金属ウェブの連続的表面処理に使用する公知のものがいずれも適用できる。
陽極酸化処理または陽極酸化処理と浸水化処理の後、常法に従い、感光層または、中間層および感光層を塗布・乾燥することによって印刷性能が優れたPS版となる。感光層の上には真空焼き付け時のリスフィルムとの密着性を良好にするためにマット層を設けるなどしてもよい。現像時のアルミニウムの溶け出しを防ぐ目的で裏面にバックコート層を設けてもよい。本発明は片面のみでなく両面を処理したPS版の製造にも適応できる。
本発明は、平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化のみならず、あらゆるアルミニウム板の粗面化にも応用できる。
【0012】
アルカリ水溶液中での電解研磨処理
本発明で言うアルカリ水溶液中での電解研磨処理は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムのようなアルカリ性物質の単独か、またはそれらの混合物、またはアルカリ性物質と水酸化亜鉛、水酸化アルミニウムとの混合物、またはこれらアルカリ性物質と塩化ナトリウムあるいは塩化カリウム等の塩類との混合物の水溶液を使用し、しかも電気的に脱酸素材になるような電解液組成、温度および濃度でアルミを陽極にして電解処理する場合のことをいう。均一な酸化皮膜を安定的に生成するために、過酸化水素、りん酸塩などを1wt%以下の濃度で添加してもよい。公知の電解研磨に用いる水溶液が使用できるが、好ましくは水酸化ナトリウムを主体とする水溶液である。好ましくは、水酸化ナトリウムを2〜30wt%含有する水溶液であり、とくに水酸化ナトリウムを3〜20%含有する水溶液である。液温10〜90℃(好ましくは35〜60℃)、電流密度1〜200A/dm2(好ましくは20〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲から選択できる。 電流は直流、パルス直流、交流を用いることが可能であるが、連続直流が好ましい。電解処理装置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解処理に使われているものを用いることができる。
処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい
電解研磨処理をおこなった後には、酸化皮膜が生成するため、電解研磨処理後には、アルミニウム板を0.1〜3g/m2溶解する、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチングを行うことが更に好ましい。
【0013】
酸性水溶液中での電解研磨処理
本発明で言う酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理は公知の電解研磨に用いる水溶液が使用できるが、好ましくは硫酸またはリン酸を主体とする水溶液である。特に好ましくは、硫酸又はリン酸を20〜90wt%(好ましくは40〜80wt%)含有する水溶液である。液温10〜90℃(好ましくは50〜80℃)、電流密度1〜200A/dm2(好ましくは5〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲から選択できる。前記水溶液中に、硫酸、リン酸、クロム酸、過酸化水素、クエン酸、硼酸、フッ化水素酸、無水フタール酸などを1〜50wt%添加しても良い。また、アルミニウムはもちろんアルミニウム合金中に含有する合金成分が0〜10wt%含有していてよい。硫酸イオンまたはリン酸イオンの濃度と、アルミニウムイオン濃度は、常温でも晶析しない濃度で用いることが好ましい。
電流は直流、パルス直流、交流を用いることが可能であるが、連続直流が好ましい。電解処理装置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解処理に使われているものを用いることができる。処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい
電解研磨処理をおこなった後には、酸化皮膜が生成するため、電解研磨処理後には、アルミニウム板を0.1〜3g/m2 溶解する、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチングをおこなうことが更に好ましい。
酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理
アルカリ水溶液の濃度は1〜30wt%が好ましく、アルミニウムはもちろんアルミニウム合金中に含有する合金成分が0〜10wt%含有していてよい。アルカリ水溶液としては、とくに苛性ソーダを主体とする水溶液が好ましい。液温は常温〜95℃で、1〜120秒間処理することが好ましい。
酸性水溶液に用いることのできる酸は、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2以上の酸を含む混酸を用いることが出来る。酸性水溶液の濃度は0.5〜65wt%が好ましく、アルミニウムは勿論アルミニウム合金中に含有する合金成分を0〜10wt%含有していてよい。液温は30〜95℃で、1〜120秒間処理することが好ましい。酸性水溶液としては特に硫酸が好ましい。硫酸濃度とアルミニウム濃度は常温で晶出しない範囲から選択することが好ましい。
エッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。
【0014】
酸性水溶液中でのデスマット処理
化学的なエッチングをアルカリの水溶液を用いて行った場合は一般にアルミニウムの表面にはスマットが生成するので、この場合には燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2以上の酸を含む混酸でデスマット処理する。酸性水溶液の濃度は0.5〜60wt%が好ましい。さらに酸性水溶液中にはアルミニウムはもちろんアルミニウム合金中に含有する合金成分が0〜5wt%が溶解していても良い。液温は常温から95℃で実施され、処理時間は1〜120秒が好ましい。デスマット処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。
機械的な粗面化処理
本発明でいう機械的な粗面化とは、毛径が0.2〜1.61mmの回転するナイロンブラシロールと、アルミニウム板表面に供給されるスラリー液で機械的に粗面化処理することが有利である。研磨剤としては公知の物が使用できるが、珪砂、石英、水酸化アルミニウムまたはこれらの混合物が好ましい。特開平6−135175、特公昭50−40047に詳しく記載されている。スラリー液の比重は1.05〜1.3が好ましい。
勿論、スラリー液を吹き付ける方式、ワイヤーブラシを用いる方式、凹凸を付けた圧延ロールの表面形状をアルミニウム板に転写する方式などを用いても良い。その他の方式としては、特開昭55−074898、特開昭61ー162351、特開昭63−104889等に記載されている。
硝酸を主体とする水溶液
本発明でいう硝酸を主体とする水溶液は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、1〜100g/リットルの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、等の硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物の1つ以上を1g/リットル〜飽和まで添加して使用することができる。硝酸を主体とする水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。とくに好ましくは、硝酸0.5〜2wt%水溶液中にアルミニウムイオンが3〜50g/リットルとなるように塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムを添加した液を用いることが好ましい。温度は10〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。
【0015】
塩酸を主体とする水溶液
本発明でいう塩酸を主体とする水溶液は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、1〜100g/リットルの塩酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、等の硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物の1つ以上を1g/リットル〜飽和まで添加して使用することができる。塩酸を主体とする水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。とくに好ましくは、硝酸0.5〜2wt%水溶液中にアルミニウムイオンが3〜50g/リットルとなるように塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムを添加した液を用いることが好ましい。温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。次亜塩素酸を添加してもよい。
交流を用いた電気化学的な粗面化
本発明でいう硝酸を主体とする水溶液は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用できる。有利には、前記硝酸を主体とする水溶液または塩酸を主体とする水溶液から選ぶことができる。
電気化学的な粗面化に用いる交流電源波形は、サイン波、矩形波、台形波、三角波などを用いることができるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。周波数は0.1〜250Hzが好ましい。
図1は、本発明の電気化学的粗面化に好ましく用いられる交流電源波形の一例である台形波を示す波形図である、
台形波において、電流が0からピークに達するまでの時間tpは1〜10msecが好ましい。電源回路のインピーダンスの影響のため、tpが1未満であると電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要となり、電源の設備コストが高くなる。10msecより大きくなると、電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり均一な粗面化がおこなわれにくくなる。
電気化学的な粗面化に用いる交流の1サイクルの条件が、アルミニウム板のアノード反応時間taとカソード反応時間tcの比tc/taが1〜20、アルミニウム板がアノード時の電気量Qcとアノード時の電気量Qaの比Qc/Qaが0.3〜20、アノード反応時間taが5〜1000msec、の範囲にあることが好ましい。tc/taは2.5〜15であることがより好ましい。Qc/Qaは2.5〜15であることがより好ましい。
電流密度は台形波のピーク値で電流のアノードサイクル側Ia、カソードサイクル側Icともに10〜200A/dm2が好ましい。Ic/Iaは0.3〜20の範囲にあることが好ましい。
電気化学的な粗面化が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和は25〜1000C/dm2が好ましい。
本発明で交流を用いた電気化学的な粗面化に用いる電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型など公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300に記載のようなラジアル型電解槽がとくに好ましい。電解槽内を通過する電解液はアルミニウムウェブの進行とパラレルでもカウンターでもよい。ひとつの電解槽には1個以上の交流電源が接続することができる。電解槽は2個以上を用いることもできる。
交流を用いた電気化学的な粗面化には図2に示した装置を用いることができる。電解槽を2つ以上用いるときには電解条件は同じでもよいし異なっていてもよい。
アルミニウム板Wは主電解槽50中に浸漬して配置されたラジアルドラムローラ52に巻装され、搬送過程で交流電源51に接続する主極53a、53bにより電解処理される。電解液55は電解液供給口54からスリット56を通じてラジアルドラムローラ52と主極53a、53bとの間の電解液通路57に供給される。主電解槽50で処理されたアルミニウム板Wは次いで補助陽極槽60で電解処理される。この補助陽極槽60には補助陽極58がアルミニウム板Wと対向配置されており、電解液55が補助陽極58とアルミニウム板Wとの間の空間を流れるように供給される。
【0016】
直流を用いた電気化学的な粗面化
本発明で言う直流を用いた電気化学的な粗面化処理とは、アルミニウム板とこれに対向する電極間に直流電流を加え、電気化学的に粗面化する方法を言う。電解液は、公知の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に使用するものを用いることができる。有利には、前記硝酸を主体とする水溶液または塩酸を主体とする水溶液から選ぶことができる。温度は10〜80℃が好ましい。直流を用いた電気化学的な粗面化に用いる処理装置は公知の直流を用いたものを使用することが出来るが、特開平1ー141094に記載されているように一対以上の陽極と陰極を交互に並べた装置を用いることが好ましい。公知の装置の一例としては特願平5−68204、特願平6−205657、特願平6−21050、特開昭61−19115、特公昭57−44760などに記載されている。また、アルミニウム板に接触するコンダクタロールと、これに対向する陰極との間に、直流電流を加え、アルミニウム板を陽極にして電気化学的な粗面化処理を行っても良い。電解処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。電気化学的な粗面化に使用する直流はリップル率が20%以下の直流を用いることが好ましい。電流密度は10〜200A/dm2が好ましく、アルミニウム板が陽極時の電気量は25〜1000C/dm2が好ましい。陽極はフェライト、酸化イリジウム、、白金、白金をチタン、ニオブ、ジルコニウムなどのバルブ金属にクラッドまたはメッキしたものなど公知の酸素発生用電極から選定して用いることが出来る。陰極はカーボン、白金、チタン、ニオブ、ジルコニウム、ステンレスや燃料電池用陰極に用いる電極から選定して用いることができる
【0017】
陽極酸化処理
アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならば、いかなるものでも使用することができる。一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはそれらの混合液が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宣決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質によって変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80wt%、液温は5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜300秒の範囲にあれば適当である。
硫酸法は通常直流電流で処理がおこなわれるが、交流を用いることも可能である。
陽極酸化皮膜の量は1〜10g/m2の範囲が適当である。1g/m2よりも少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付きやすくなって、同時にキズの部分にインキが付着する、いわゆるキズ汚れが生じやすくなる。
陽極酸化処理が施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2714066号、第3181461号、第3280734号及び第3902734号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えば珪酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体を珪酸ナトリウム水溶液中に浸漬するか、また電解処理する。他に特公昭36−22063号広報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム、および、米国特許第3276868、第4153461号および第4689272号各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
また、砂目立て処理及び陽極酸化処理後、封孔処理を施したものも好ましい。かかる封孔処理は熱水および無機塩または有機塩を含む熱水溶液への浸漬ならびに水蒸気浴等によって行われる。
本発明の方法で粗面化されたアルミニウム板は、特願平8−296708、特願平8−176568号報に記載された測定法で測定した物性値が以下の値を満足する支持体である。
【0018】
具体的には下記の表面形状を満足するアルミニウム支持体である。
(1)AFM(原子間力顕微鏡)で測定した値を用いて定義した表面形状が下記の範囲にある。
▲1▼水平(X,Y)方向の分解能が0.1μmとしたAFMを用いて100μm角の測定範囲で測定し、近似三点法により求めた表面積をa、上部投影面積をbとしたとき、a/bの値(比表面積)が1.15〜1.5、
▲2▼水平(X,Y)方向の分解能が1.9μmとしたAFMを用いて240μm角の測定範囲で測定した平均表面粗さが0.3〜1.5μm、
▲3▼水平(X,Y)方向の分解能が1.9μmとしたAFMを用いて240μm角の測定範囲で測定した傾斜度が30度以上の割合が5〜40%、
▲4▼アルミニウム板の表面が粗面化によって起伏を有する平版印刷版用支持体で、原子間力顕微鏡により、0.1μm分解能で、50μm角を計測した際の表面傾斜度分布の傾斜度が45度以上の割合が5%以上50%以下である平版印刷版用支持体。
(2)感光層を塗布する前のJIS Z9741−1983に規定の85度光沢度が30以下である平版印刷版用支持体。
(3)走査型電子顕微鏡で、倍率750倍で観察したとき、80μmの視野の中に、平均直径0.1〜3μmのハニカムピットがしめる面積の割合が80〜100%である平版印刷版用支持体。
(4)フラクタル次元が、水平(X,Y)方向の分解能が0.1μmまたは1.9μmとしたAFMを用いて100μm角または240μm角の測定範囲で測定したボックスカウンティング法、スケール変換法、カバー法、回転半径法、密度相関関数法などで求めたフラクタル次元が2.1〜2.5である平版印刷版用支持体。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
実施例1
DC鋳造法で中間焼鈍処理と均熱処理を省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチングでストリークが発生しやすくなった厚さ0.24mm、幅1030mmの、JIS A 1050アルミニウム板を用いて連続的に処理をおこなった。 このアルミニウム板の表面をバフ研磨により鏡面仕上げし、アルカリエッチングし、酸性水溶液中でデスマット処理したアルミニウム板の表面をAFMで観察したとき、エッチング速度差により発生した段差が約0.03μmであった。
(1)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン6.5wt%含有する水溶液、70℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は10g/m2であった。その後、水洗処理をおこなった。(2)デスマット処理
次に硝酸1wt%含有する水溶液、45℃に10秒間浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
(3)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理
図1の交流電圧と図2装置を2槽用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが1msec、duty比1:1、60Hz、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で60A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
(4)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン6.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は1g/m2であった。その後、水洗処理を行った。
【0020】
(5)デスマット処理
次に塩酸1wt%含有する水溶液、35℃に10秒間浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理をおこなった。
(6)塩酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理
図1の交流電圧と図2装置を1槽を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%含む)、液温35℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが1msec、duty比1:1、60Hz、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理をおこなった。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で60A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で75C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗をおこなった。
(7)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH5wt%、アルミニウムイオン0.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は0.3g/m2であった。その後、水洗処理をおこなった。(8)デスマット処理
その後、水洗処理をおこなった。次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理をおこなった。
(9)陽極酸化処理
液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電流密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が2.4g/m2になるように陽極酸化処理をおこなった。その後、スプレーによる水洗をおこなった。
このアルミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因のストリーク、面質ムラは発生していなかった。 このアルミニウム板の表面をSEMで観察したところ、塩酸電解グレイン特有のピットが全面に均一に生成していた。このアルミニウム板の平均表面粗さは約0.35μmであった。
このアルミニウム板に中間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2のポジ型PS版を作成した。このPS版を用いて印刷したところ、良好な印刷版であった。
【0021】
実施例2
実施例1の陽極酸化処理後の基板に、親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt%、70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレーで水洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップローラで液切りをおこなった。
この処理したアルミニウム板に中間層とネガ型感光層を塗布、乾燥してPS版を作成した。このPS版を印刷したところ良好な印刷版であった。
【0022】
実施例3
DC鋳造法で中間焼鈍処理と均熱処理を省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチングでストリークが発生しやすくなった厚さ0.24mm、幅1030mmの、JIS A 1050アルミニウム板を用いて連続的に処理をおこなった。 このアルミニウム板の表面をバフ研磨により鏡面仕上げし、アルカリエッチングし、酸性水溶液中でデスマット処理したアルミニウム板の表面をAFMで観察したとき、エッチング速度差により発生した段差が約0.1μmであった。
(1)機械的な粗面化処理
比重1.12の珪砂と水の懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化をおこなった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.48mmであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して6kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。その後、水洗した。アルミニウム板の移動速度は50m/minであった。
(2)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH 27wt%、アルミニウムイオン6.5wt%含有する水溶液、70℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は10g/m2であった。その後、水洗処理をおこなった。
【0023】
(3)デスマット処理
次に塩酸1wt%含有する水溶液、35℃に10秒間浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理をおこなった。
(4)塩酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理
図1の交流電圧と図2装置を2槽を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%含む)、液温35℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが1msec、duty比1:1、60Hz、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理をおこなった。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で50A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で200C/dm2(実施例3―1)、300C/dm2(実施例3―2)であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
(5)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH5wt%、アルミニウムイオン0.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は0.3g/m2であった。その後、水洗処理を行った。
(6)デスマット処理
その後、水洗処理を行った。次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
(7)陽極酸化処理
液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電流密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が2.4g/m2になるように陽極酸化処理を行った。その後、スプレーによる水洗をおこなった。
このアルミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因のストリーク面質ムラは発生していなかった。 このアルミニウム板の表面をSEMで観察したところ、塩酸電解グレイン特有のピットが全面に均一に生成していた。このアルミニウム板の平均表面粗さは約0.6μmであった。
このアルミニウム板に中間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2のポジ型PS版を作成した。このPS版を用いて印刷したところ、良好な印刷版であった。
【0024】
実施例4
実施例3−1、実施例3−2の陽極酸化処理後の基板に、親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt%、70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレーで水洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップローラで液切りをおこなった。
この処理したアルミニウム板に中間層とネガ型感光層を塗布、乾燥してPS版を作成した。このPS版を印刷したところ良好な印刷版であった。
【0025】
実施例5
DC鋳造法で中間焼鈍処理と均熱処理を省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチングでストリークが発生しやすくなった厚さ0.24mm、幅1030mmの、JIS A 1050アルミニウム板を用いて連続的に処理をおこなった。 このアルミニウム板の表面をバフ研磨により鏡面仕上げし、アルカリエッチングし、酸性水溶液中でデスマット処理したアルミニウム板の表面をAFMで観察したとき、エッチング速度差により発生した段差が約0.03μmであった。
(1)機械的な粗面化処理
比重1.12の珪砂と水の懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化をおこなった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.48mmであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して6kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。その後、水洗した。アルミニウム板の移動速度は50m/minであった。
(2)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン6.5wt%含有する水溶液、70℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は10g/m2 であった。その後、水洗処理を行った。
【0026】
(3)デスマット処理
次に硝酸1wt%(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)水溶液、35℃に10秒間浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
(4)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理
図1の交流電圧と図2装置を2槽用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが1msec、duty比1:1、60Hz、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で60A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で230C/dm2(実施例5―1)、65C/dm2(実施例5−2)であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(5)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン6.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は1g/m2(実施例5−1)、4g/m2(実施例5−2)であった。その後、水洗処理を行った。
(6)デスマット処理
次に塩酸1wt%含有する水溶液、35℃に10秒間浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
(7)塩酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理
図1の交流電圧と図2装置を1槽を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%含む)、液温35℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが1msec、duty比1:1、60Hz、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で50A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で100C/dm2 であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(8)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH5wt%、アルミニウムイオン0.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は0.3g/m2であった。その後、水洗処理を行った。
(9)デスマット処理
その後、水洗処理をおこなった。次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
(10)陽極酸化処理
液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電流密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が2.4g/m2になるように陽極酸化処理を行った。その後、スプレーによる水洗をおこなった。
このアルミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因のストリーク、面質ムラは発生していなかった。 このアルミニウム板の表面をSEMで観察したところ、塩酸電解グレイン特有のピットが全面に均一に生成していた。このアルミニウム板の平均表面粗さは0.6μmであった。
このアルミニウム板に中間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2のポジ型PS版を作成した。このPS版を用いて印刷したところ、良好な印刷版であった。
【0027】
実施例6
実施例5−1、実施例5−2の陽極酸化処理後の基板に、親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt%、70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレーで水洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップローラで液切りをおこなった。
この処理したアルミニウム板に中間層とネガ型感光層を塗布、乾燥してPS版を作成した。このPS版を印刷したところ良好な印刷版であった。
【0028】
比較例1
DC鋳造法で中間焼鈍処理と均熱処理を省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチングでストリークが発生しやすくなった厚さ0.24mm、幅1030mmの、JIS A 1050アルミニウム板を用いて連続的に処理をおこなった。 このアルミニウム板の表面をバフ研磨により鏡面仕上げし、アルカリエッチングし、酸性水溶液中でデスマット処理したアルミニウム板の表面をAFMで観察したとき、エッチング速度差により発生した段差が約0.1μmであった。
(1)機械的な粗面化処理
比重1.12の珪砂と水の懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化をおこなった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.48mmであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して6kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。その後、水洗した。アルミニウム板の移動速度は50m/minであった。
(1)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン6.5wt%含有する水溶液、70℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は10g/m2 であった。その後、水洗処理をおこなった。(2)デスマット処理
その後、水洗処理をおこなった。次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理をおこなった。
(3)陽極酸化処理
液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電流密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が2.4g/m2になるように陽極酸化処理をおこなった。その後、スプレーによる水洗をおこなった。
このアルミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因のストリーク、面質ムラが発生していた。
【0029】
比較例2
DC鋳造法で中間焼鈍処理と均熱処理を省略し、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチングでストリークが発生しやすくなった厚さ0.24mm、幅1030mmの、JIS A 1050アルミニウム板を用いて連続的に処理をおこなった。 このアルミニウム板の表面をバフ研磨により鏡面仕上げし、アルカリエッチングし、酸性水溶液中でデスマット処理したアルミニウム板の表面をAFMで観察したとき、エッチング速度差により発生した段差が約0.1μmであった。
(1)機械的な粗面化処理
比重1.12の珪砂と水の懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化をおこなった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.48mmであった。ナイロンブラシはΦ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(Φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して6kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。その後、水洗した。アルミニウム板の移動速度は50m/minであった。
(2)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン6.5wt%含有する水溶液、70℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は10g/m2であった。その後、水洗処理をおこなった。(3)デスマット処理
次に硝酸1wt%(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)水溶液、35℃に10秒間浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理をおこなった。
(4)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理
図1の交流電圧と図2装置を2槽用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが1msec、duty比1:1、60Hz、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理をおこなった。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で60A/dm2 、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で230C/dm2(比較例2―1)、65A/dm2(比較例2―2)であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗をおこなった。
(5)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン6.5wt%含有する水溶液、45℃に浸漬してアルミニウム板のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は1g/m2(比較例2−1)、4g/m2(比較例2−2)であった。その後、水洗処理を行った。
(6)デスマット処理
その後、水洗処理をおこなった。次に硫酸25wt%含有する水溶液、60℃に浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
(7)陽極酸化処理
液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電流密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が2.4g/m2 になるように陽極酸化処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
このアルミニウム板の表面には結晶粒の方位が起因のストリーク、面質ムラが発生していた。
【0030】
【発明の効果】
ストリーク、面質ムラと呼ぶ結晶粒の方位差によるアルミ溶解速度の差に起因する処理ムラの発生し易いアルミニウム板を用いて、このような故障が発生しない平版印刷版用アルミニウム支持体を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気化学的粗面化に好ましく用いられる台形波交流電源波形の一例を示す波形図である。
【図2】本発明の電気化学的粗面化に用いられる電解装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
ta アノード反応時間
tb カソード反応時間
tc 電流が0からピークに達するまでの時間
Ia アノードサイクル側のピーク時の電流
Ic カソードサイクル側のピーク時の電流
50 主電解槽
51 交流電源
52 ラジアルドラムローラ
53a,53b 主極
54 電解液供給口
55 電解液
56 補助陽極
60 補助陽極槽
W アルミニウム板

Claims (7)

  1. DC鋳造法から中間焼鈍処理と均熱処理を省略して製造されたアルミニウム板を順に、(1)硝酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的に粗面化し、(2)塩酸を主体とする水溶液中で10〜300C/dm2の電気量で電気化学的に粗面化することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  2. DC鋳造法から中間焼鈍処理と均熱処理を省略して製造されたアルミニウム板を順に、(1)機械的に粗面化し、(2)塩酸を主体とする水溶液中で10〜300C/dm2の電気量で電気化学的に粗面化することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  3. DC鋳造法から中間焼鈍処理と均熱処理を省略して製造されたアルミニウム板を順に、(1)アルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理し、(2)硝酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的に粗面化し、(3)アルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理し、(4)塩酸を主体とする水溶液中で10〜300C/dm2の電気量で電気化学的に粗面化し、(5)アルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  4. DC鋳造法から中間焼鈍処理と均熱処理を省略して製造されたアルミニウム板を順に、(1)機械的に粗面化し、(2)アルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理し、(3)塩酸を主体とする水溶液中で10〜300C/dm2の電気量で電気化学的に粗面化し、(4)アルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  5. DC鋳造法から中間焼鈍処理と均熱処理を省略して製造されたアルミニウム板を順に、(1)機械的に粗面化し、(2)アルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理し、(3)硝酸を主体とする酸性水溶液中で電気化学的に粗面化し、(4)アルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理し、(5)塩酸を主体とする水溶液中で10〜300C/dm2の電気量で電気化学的に粗面化し、(6)酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング、または酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を陽極にした電解研磨処理することを特徴とする平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  6. 上記のアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理と塩酸を主体とする水溶液中での10〜300C/dm 2 の電気量で電気化学的に粗面化処理との間に、塩酸水溶液によるデスマット処理工程を有することを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
  7. 上記アルミニウム板が、アルミニウム版の表面をバフ研磨により鏡面仕上げし、苛性ソーダ水溶液中で溶解量が15g/m 2 となるように、アルカリエッチングし、酸性水溶液中でデスマット処理した表面をAFMで観察したとき、エッチング速度差により発生した段差が0.01μm以上0.5μm以下であるアルミニウム板であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
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