JPH09277735A - 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

Info

Publication number
JPH09277735A
JPH09277735A JP9852996A JP9852996A JPH09277735A JP H09277735 A JPH09277735 A JP H09277735A JP 9852996 A JP9852996 A JP 9852996A JP 9852996 A JP9852996 A JP 9852996A JP H09277735 A JPH09277735 A JP H09277735A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous solution
aluminum plate
treatment
aluminum
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9852996A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsuo Nishino
温夫 西野
Akio Uesugi
彰男 上杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP9852996A priority Critical patent/JPH09277735A/ja
Publication of JPH09277735A publication Critical patent/JPH09277735A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学的エッチング法する方法における欠点を
解決でき、平版印刷版の品種交換時、エッチング量の適
正化を短時間で実現できるエッチング処理方法を開発す
ること。 【解決手段】 硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で
電気化学的な粗面化を行う前または前後に、酸性水溶液
中での電解研磨処理を行うことを特徴とする平版印刷版
用アルミニウム支持体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体の製造方法に関するものであり、特にアルミニウム板
の粗面化処理前または前後に行うエッチング処理方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷法とは、水と油が本質的に混じ
り合わないことを利用した印刷方式であって、これに使
用される平版印刷版の印刷版面には水を受容して油性イ
ンキを反撥する非画像部と、水を反撥して油性インキを
受容する画像部が形成される。平版印刷版に使用される
アルミニウム支持体は、その表面が非画像部を担うよう
に使用されるため、親水性、保水性が優れていること、
更にはその上に設けられる感光層との密着性が優れてい
ること等といった相反する種々の性能が要求される。支
持体の親水性が低い場合、印刷時非画像部にインキが付
着するようになり、いわゆる地汚れが発生する。支持体
の保水性が低い場合、印刷時湿し水を多くしないとシャ
ドー部につまりが発生する。また、支持体と感光層との
密着性が悪いと優れた耐刷性が得られない。
【0003】このため、親水性であり、保水性に優れた
アルミニウム支持体を得るためには、アルミニウム板の
表面を粗面化して微細な凹凸を付与するのが通例であ
る。しかして、アルミニウム板の表面を粗面化した後、
アルカリ水溶液を用いて化学的エッチングや電解的にエ
ッチングすることがおこなわれている。
【0004】特開昭63−176188号公報には、ア
ルミニウム板の表面を酸性電解液中で交流または直流を
用いて電気化学的に粗面化処理を行った後に電解的エッ
チングを行ってスマット除去する方法が開示されてい
る。特開平6−135175号公報には、機械的粗面
化を行い、アルカリ水溶液中で化学的エッチングを行
い、酸性水溶液中でデスマット処理し、硝酸を主体
とした水溶液中で交流電解粗面化を行い、アルカリ水
溶液中で化学的エッチングを行い、酸性水溶液中でデ
スマット処理し、陽極酸化処理するマルチグレイン技
術が開示されている。この場合エッチングはアルカリ水
溶液中で化学的に行われ、その後酸性水溶液中でデスマ
ット処理されている。また、本出願人は別に硝酸を主体
とした水溶液中で交流電解粗面化を行い、アルカリ水溶
液中で化学的エッチングを行い、酸性水溶液中でデスマ
ット処理し、酸性水溶液中で交流電解粗面化を行い、ア
ルカリ水溶液中で化学的エッチングを行い、酸性水溶液
中でデスマット処理する電気化学的マルチグレイン技術
を提案している(特願平7−266112号)。
【0005】以上説明したように、従来は機械的粗面化
の後、または電気化学的粗面化の前後には化学的エッチ
ングを行うことが行われるが、化学的エッチングで一定
量のエッチングを行うには、エッチング液の濃度、処理
温度およびエッチング時間を精度良く調整しなければな
らず、これらの調整を迅速に行うことは極めて困難であ
ることが記載されている。特公昭57−46436号公
報には、ボールグレイニングあるいはブラシグレイニン
グによりアルミニウム板の表面を機械的に粗面化した
後、アルカリ水溶液中で電解研磨して、精度良くかつ迅
速にエッチングするためアルカリ水溶液中で電解研磨す
る技術が開示されている。この技術ではアルカリ水溶液
中で電解研磨した後陽極酸化することが非画線部の保水
性をよくするために必須となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
した従来の化学的エッチング法やアルカリ水溶液中で電
解研磨する方法における欠点を解決でき、平版印刷版の
品種交換時、エッチング量の適正化を短時間で実現でき
る処理方法を開発することにある。従来の化学的エッチ
ング処理の代わりに、酸性水溶液中で電解研磨を行う
と、通電量をコントロールすることによってエッチング
量をコントロールすることができ、前記アルカリ水溶液
を用いて化学的にエッチングするより、平版印刷版の品
種交換時に、短時間でエッチング量の適正化を実現でき
ることが判明し、本発明に達した。酸性水溶液中で電解
研磨を行うと、アルカリ水溶液中で行う場合に発生し易
いスケールの発生による故障を少なくできる他酸性水溶
液中で電解研磨では処理した後のデスマット処理が不要
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題は、以下の本発
明の平版印刷版用支持体の製造方法によって達成され
る。すなわち、硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で
電気化学的な粗面化を行う前または前後に、酸性水溶液
中での電解研磨処理を行うことを特徴とする平版印刷版
用アルミニウム支持体の製造方法である。
【0008】具体的な本発明の実施態様の第1は、連続
して走行するアルミニウム板の表面を順に、(a)酸性
水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理、または、酸
またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を化学的にエ
ッチング処理し、(b)硝酸または塩酸を主体とする水
溶液中で交流または直流を用いて100〜1000C/
dm2 の電気量で電気化学的に粗面化処理し、(c)酸
性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理、または、
酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を化学的に
エッチング処理し、(d)陽極酸化して酸化皮膜を形成
させる。ここで、前記第1の実施態様の(a)及び
(c)において、場合により酸性水溶液中で電解研磨処
理の代わりに化学的にエッチング処理しても構わない。
以下の第2及び第3の実施態様においても同じである。
【0009】具体的な本発明の実施態様の第2は、連続
して走行するアルミニウム板の表面を順に、(a)酸性
水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理、または、酸
またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を化学的にエ
ッチング処理し、(b)硝酸または塩酸を主体とする水
溶液中で交流または直流を用いて100〜1000C/
dm2 の電気量で電気化学的に粗面化処理し、(c)酸
性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理、または、
酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を化学的に
エッチング処理し、(d)硝酸または塩酸を主体とする
水溶液中で交流または直流を用いて100〜1000C
/dm2 の電気量で電気化学的に粗面化処理し、(e)
酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理、また
は、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を化学
的にエッチング処理し、(f)陽極酸化して酸化皮膜を
形成させる。
【0010】具体的な本発明の実施態様の第3は、実施
態様の第1または第2の第1段目(a)の電解研磨処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板を化学的にエッチング処理をする前に、毛径が0.2
〜0.9mmの回転するナイロンブラシローラとアルミ
ニウム板表面に供給されるスラリー液で機械的に粗面化
処理をすること以外実施態様の第1または第2と同様に
処理する製造方法である。
【0011】本発明は、常法に従い、前記平版印刷版用
アルミニウム支持体表面に感光層または中間層および感
光層を塗布・乾燥するこによって印刷性能が優れたPS
版とすることができる。この感光層中に用いられる感光
性物質は、特に限定されるものでなく、通常、平版印刷
版用のものが使用できる。このような感光性物質として
は特開平6−135175号公報に記載されているよう
な各種のものを使用することができる。また、感光層は
ネガ型でもポジ型でも良い。アルミニウム支持体表面に
は感光層を塗布する前に、必要に応じて有機下塗層(中
間層)が設けられる。この下塗層に用いられる有機下塗
材として従来より知られているものを用いることがで
き、例えば特開平6−135175号公報に記載されて
いるような各種のものを使用することができる。また、
感光層の上には常法に従い、マット層を設けるなどして
もよい。さらにまた、現像時のアルミニウムの溶け出し
を防ぐ目的で裏面にバックコート層を設けてもよい。本
発明は片面のみでなく両面を処理したPS版の製造にも
適応できる。
【0012】本発明の感光層を塗布する前のアルミニウ
ム支持体は、JIS Z9741−1983で規定して
いる85度光沢度が30以下であり、走査型電子顕微鏡
で観察した時に、平均ピット径が0.1〜3μmのハニ
カムピットが生成している部分が全表面積に占める割合
が30〜100%であり、針先端径が2μRの触針式粗
さ計で測定した平均表面粗さが0.25〜0.8μmの
ものを得ることができる。本発明は、平版印刷版用アル
ミニウム支持体の粗面化のみならず、電解コンデンサ用
電極、塗装の下地処理、電池用電極などの粗面化にも応
用できる。本発明の装置は、金属ウェブの連続的表面処
理に使用するものがいずれも適用できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造方法について詳しく述べる。本発
明に使用されるアルミニウム板は、純アルミニウム板、
アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金
板、又はアルミニウムがラミネートもしくは蒸着された
プラスチックフィルムの中から選ばれる。該アルミニウ
ム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、
銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケ
ル、チタン、ガリウムなどがある。合金中の異元素の含
有量は10重量%以下である。
【0014】本発明に好適なアルミニウムは純アルミニ
ウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精練技術上
製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するもので
もよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板
は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知
公用の素材のもの、例えばJIS A 1050、JI
S A 1100、JIS A 3103、JIS A
3004、JISA 3005材または引っ張り強度
を増す目的でこれらに5wt%以下のマグネシウムを添
加した合金をもちいることができる。前記アルミニウム
板は、通常のDC鋳造によるアルミニウム板の他、連続
鋳造圧延法により製造されたものでも良い。連続鋳造圧
延の方法としては双ロール法、ベルトキャスター法、ブ
ロックキャスター法などを用いることができる。本発明
に用いられるアルミニウム板の厚みは、およそ0.1m
m〜0.6mm程度である。
【0015】以下に本発明の具体的な実施の態様につい
てその第1から順に説明する。 実施態様第1 (1−a)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板を化学的にエッチング処理 まず、アルミニウム板の表面にある圧延油、自然酸化皮
膜、汚れなどを除去し電気化学的な粗面化が均一に行わ
れるようにする目的で電気研磨処理を行う。電気研磨処
理で研磨するアルミニウム板の量は1〜30g/m2
あることが好ましく、1.5〜20g/m2 研磨除去す
ることがより好ましい。
【0016】(1−a−1)酸性水溶液中でアルミニウ
ム板を電解研磨処理 被研磨材料別に電解研磨処理の処方例が、間宮富士雄:
洗浄設計No.21,p65〜72(1984)に記載
されている。本発明の酸性の電解研磨液には公知のもの
が使用できる。好ましくは硫酸またはリン酸を主体とす
る水溶液であり、好ましくはリン酸を主体とする水溶液
である。リン酸20〜90wt%、好ましくは40〜8
0wt%の濃度、液温10〜90℃、好ましくは50〜
80℃、電流密度1〜100A/dm2 、好ましくは5
〜80A/dm2 、電解時間は1〜180秒の範囲が選
択できる。リン酸水溶液中に硫酸、クロム酸、過酸化水
素、クエン酸、ホウ酸、フッ化水素酸、無水フタル酸な
どを1〜50wt%添加しても良い。また、アルミニウ
ムはもちろんアルミニウム合金中に含有する合金成分が
1〜10wt%含有していて良い。
【0017】電流は、直流、パルス直流、交流を用いる
ことが可能であるが、連続直流が好ましい。電解研磨装
置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解処理に
使われているものを用いることができる。電解研磨液は
アルミニウム板に対して、パラレルフロー、カウンター
フローどちらでも良く、0.01〜10000cm/分
の間から選択される。アルミニウム板と電極との距離
は、0.8〜2cmが特に好ましい。給電方式は、コン
ダクタローラを用いた直接給電方式を用いても良いし、
コンダクタローラを用いない間接給電方式(液給電方
式)を用いても良い。使用する電極材質、構造は、電解
処理に使用されている公知のものが使用可能であるが、
陰極材料は、カーボン、陽極材料はフェライト、酸化イ
ンジュウム、または、白金が好ましい。アルミニウム板
の処理面は、上面でも下面でも両面でも良い。
【0018】図1に本発明の連続直流を用いる間接給電
方式の電解研磨装置の一例を示し、図2に本発明の連続
直流を用いるコンダクタローラ9を用いた直接給電方式
の電解研磨装置の一例を示す。図1および図2におい
て、2は電解研磨槽であり、電解研磨槽2中に電解液供
給口7より酸性電解液を供給し、槽2中に酸性電解液を
満たし、電解液排出口8より液を排出する。図1の間接
給電方式の電解研磨装置においては、電解液中に陽極4
及び陰極5を配置し、パスローラ6によってアルミニウ
ム板1を電解液中に導いて前記陽極4及び陰極5と一定
の間隔を保って槽2中を通過させ、電源3から陽極4及
び陰極5に直流を供給してアルミニウム板1の表面を電
解研磨する。図2の直接給電方式の電解研磨装置におい
ては、コンダクタローラ9を介してアルミニウム板1を
陽極とし陰極5との間に電源3から直流を供給してアル
ミニウム板1の表面を電解研磨する。
【0019】(1−a−2)酸またはアルカリ水溶液中
でアルミニウム板を化学的にエッチング処理 化学的にエッチング処理の詳細については、例えば米国
特許第3834398号明細書に記載されており、公知
の手段を用いることができる。酸性水溶液に用いられる
酸としては、特開昭57−16918号公報に記載され
ているように、弗酸、弗化ジルコン酸、燐酸、硫酸、塩
酸、硝酸等があり、これらを単独または組み合わせて用
いることができる。アルカリ水溶液に用いられるアルカ
リとしては、特開昭57−16918号公報に記載され
ているように、水酸化カリウム、第3燐酸ナトリウム、
アルミン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム等がある。これらを単独または組み合わせて用いるこ
とができる。酸性水溶液の濃度は、0.5〜25重量%
が好ましく、特に1〜5重量%が好ましい。酸性水溶液
中に溶解しているアルミニウムは0.5〜5重量%が好
ましい。アルカリ水溶液の濃度は、5〜30重量%が好
ましく、特に20〜30重量%が好ましい。アルカリ水
溶液中に溶解しているアルミニウムは0.5〜30重量
%が好ましい。エッチング処理が終了した後には、処理
液を次工程に持ち込まないためにニップローラによる液
切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。
【0020】化学的エッチングを、アルカリ性の水溶液
を用いて行なった場合には、一般にアルミニウムの表面
にスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝
酸、硫酸、クロム酸またはこれらの内の2以上の酸を含
む混酸で処理するデスマット処理を施すことが好まし
い。さらに酸性水溶液中にはアルミニウムが0〜5wt
%が溶解していても良い。デスマットの液温は常温〜7
0℃で実施され、処理時間は1〜30秒が好ましい。ま
た、酸性水溶液を用いて化学的にエッチング処理を行う
場合、酸性水溶液は電気化学的な粗面化処理で用いる電
解液のオーバーフロー廃液を使用することもできる。電
気化学的な粗面化処理で用いる電解液のオーバーフロー
廃液を使用するときは、デスマット処理の後の水洗工程
は省略してもよいが、アルミニウム板が乾いてデスマッ
ト液中の成分が析出しないように濡れたままの状態でハ
ンドリングする必要がある。本発明において化学的エッ
チング処理は、前記電解研磨処理に代えて行われること
もあるが、好ましいエッチング処理は電解研磨処理であ
る(以下実施態様第1の1−c他、実施態様第2、第3
でも同様である。)。
【0021】(1−b)硝酸または塩酸を主体とする水
溶液中で交流または直流を用いた電気化学的な粗面化処
理 硝酸または塩酸を主体とする水溶液中での交流または直
流を用いた粗面化処理は、平均直径が0.1〜20μm
のハニカムピットをアルミニウム板表面に30〜100
%の面積率で生成し、アルミニウム板表面を平均粗さ
0.25〜0。8μmとする目的で行う。印刷版の非画
像部の汚れ難さと耐刷力を向上する目的で行われる。
【0022】(1−b−1)直流を用いた電気化学的粗
面化処理 硝酸または塩酸を主体とする水溶液は、通常の交流を用
いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、
1〜100g/lの硝酸または塩酸水溶液に硝酸アルミ
ニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イ
オン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモ
ニウム等の塩酸イオンを有する硝酸または塩酸化合物の
1つ以上を1g/l〜飽和まで添加して使用することが
できる。また、硝酸または塩酸を主体とする水溶液に
は、 また、硝酸または塩酸を主体とする水溶液中に
は、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウ
ム、シリカ等のアルミニウム合金中の含まれる金属を溶
解していてもよい。好ましくは、硝酸または塩酸0.5
〜2wt%の水溶液中にアルミニウムイオンが3〜50
g/lとなるように塩化アルミニウム、硝酸アルミニウ
ムを添加した液を用いることが好ましい。酸性水溶液の
温度は20〜55℃が好ましく、35〜50℃がより好
ましい。直流を用いた電気化学的な粗面化に用いる処理
装置は公知の直流を用いたものを使用することができる
が、特開平1−141094号公報に記載されているよ
うに1対以上の陽極と陰極を交互に並べた装置を用いる
ことが好ましい。
【0023】公知の装置の一例としては特開平6−32
8876号公報、特開昭61−19115号公報、特公
昭57−44760号公報等に記載されている。電解処
理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないた
めにニップローラによる液切りとスプレーによる水洗を
行うことが好ましい。電気化学的な粗面化に使用する直
流はリップル率が20%以下の直流を用いることが好ま
しい。電流密度は10〜200A/dm2 が好ましく、
アルミニウム板が陽極時の電気量は100〜1000C
/dm2 が好ましい。陽極は、フェライト、酸化イリジ
ウム、白金、白金をチタン、ニオブジルコニウムなどの
バルブ金属にクラッドまたはメッキしたもの等公知の酸
素発生用電極から選定して用いることができる。陰極
は、カーボン、白金、チタン、ニオブ、ジルコニウム、
ステンレスや燃料電池用陰極に用いる電極から選定して
用いることができる。
【0024】(1−b−2)交流を用いた電気化学的粗
面化処理 硝酸または塩酸を主体とする水溶液は、通常の交流を用
いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、
1〜100g/lの硝酸または塩酸水溶液に硝酸アルミ
ニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イ
オン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモ
ニウム等の塩酸イオンを有する硝酸または塩酸化合物の
1つ以上を1g/l〜飽和まで添加して使用することが
できる。また、硝酸または塩酸を主体とする水溶液中に
は、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウ
ム、シリカ等のアルミニウム合金中の含まれる金属を溶
解していてもよい。好ましくは、硝酸または塩酸0.5
〜2wt%の水溶液中にアルミニウムイオンが3〜50
g/lとなるように塩化アルミニウム、硝酸アルミニウ
ムを添加した液を用いることが好ましい。酸性水溶液の
温度は20〜55℃が好ましく、30〜50℃がより好
ましい。
【0025】電気化学的な粗面化に用いる交流電源波形
は、サイン波、矩形波、台形波、三角波等が用いられ
る。硝酸水溶液中の電気化学的な粗面化では台形波が好
ましい。塩酸水溶液中の電気化学的な粗面化では、サイ
ン波、台形波、三角波が好ましく、波形の形状、立ち上
がり時間、周波数で形状が制御できる。電波波形のDU
TY比は1:2から2:1のものが好ましく、電源本体
のコストからするとDUTY比1:1のものが特に好ま
しい。周波数は0.1〜120Hzのものを用いること
が可能であるが、30〜70Hzが設備上好ましい。但
し、硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化で銅が0.1
wt%よりも多く含まれているアルミニウム合金を用い
るときには周波数は0.1〜10Hzの交流を用いるこ
とが好ましい。
【0026】硝酸を主体とした水溶液中での交流を用い
た電気化学的な粗面化では平均直径0.5〜3μmのピ
ットが1×105 〜6×105 個/mm2 の割合でピッ
トが生成していることが好ましい。ただし、電気量を比
較的多くしたときは、電解反応が集中し、3μmを越え
るハニカムピットも生成する。塩酸を主体とした水溶液
中での交流を用いた電気化学的な粗面化ではクレータ状
のうねりに重畳して平均直径0.1〜1μmのハニカム
ピットが全面に均一に生成する。
【0027】本発明において、交流を用いた電気化学的
粗面化処理に用いる電解槽は、縦型、フラット型、ラジ
アル型など公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能で
あるが、特開平5−195300号公報に記載のような
ラジアル型が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液
はアルミニウム板の進行とパラレルでもカウンターでも
良い。各電解槽の主電解に用いる電源は、1個以上の交
流電源を接続することができる。主極に対向するアルミ
ニウム板に加わる交流の陽極と陰極の電流比をコントロ
ールし、均一な粗面化を行うことと、主極のカーボンの
溶解を防止する目的で、補助陽極を設け、交流電流の一
部を分流させることが好ましい。整流素子またはスイッ
チング素子を介して電流の一部を2つの主電極途は別の
槽に設けた補助陽極に直流として分流させることによ
り、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノー
ド反応にあずかる電流値とカソード反応にあずかる電流
値との比を制御できる。
【0028】(1−c)酸性水溶液中でアルミニウム板
を電解研磨処理、または、酸またはアルカリ水溶液中で
アルミニウム板を化学的にエッチング処理 交流または直流を用いた電気化学的な粗面化処理で生成
した、水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の
除去と、生成したピットのエッジ部分を滑らかにし、印
刷した時の汚れ性能を良化させる目的で処理を行う。ア
ルミニウム板の溶解量は、0.05〜3g/m2 溶解と
することが好ましく、0.1〜2g/m2 溶解すること
がより好ましい。電解研磨処理でエッチング処理するこ
とが好ましいが、化学的にエッチングしても構わない。
処理の条件については、前記実施態様(1−a)に記載
の範囲から選択して行う。
【0029】(1−d)陽極酸化処理 アルミニウム板の表面の保水性や耐摩耗性を高めるため
に陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化
処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成
するものならば、いかなるものでも使用することがで
き、一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸あるい
はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は
電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理
条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し
得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶
液、液温は5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2
電圧1〜100V、電解時間は10秒〜5分の範囲、好
ましくは10秒〜30秒の範囲にあれば適当である。硫
酸法は通常直流電流で処理が行われるが、交流を用いる
ことも可能である。陽極酸化皮膜の量は、1〜10g/
2 の範囲が適当である。1.0g/m2より少ないと
耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷
が付易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着する
いわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0030】陽極酸化処理を施された後の親水化処理 陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要に
より親水化処理が施される。本発明に使用される親水化
処理としては、米国特許第2,714,066号、第
3,181,461号、第3,280,734号および
第3,902,734号各明細書に開示されているよう
なアルカリ金属シリケート(例えば珪酸ナトリウム水溶
液)法がある。この方法においては、支持体が珪酸ナト
リウム水溶液中で浸漬処理されるか、または電解処理さ
れる。他に、特公昭36−22063号公報に開示され
ている弗化ジルコン酸カリウムおよび米国特許第3,2
76,868号、第4,153,461号および第4,
689,272号各明細書に開示されているようなポリ
ビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。ま
た、砂目立て処理及び陽極酸化後、封孔処理を施したも
のも好ましい。かかる封孔処理は熱水及び無機塩または
有機塩を含む熱水溶液への浸漬ならびに水蒸気浴などに
よって行われる。
【0031】実施態様第2 (2−a)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板を化学的にエッチング処理 処理条件等は、実施態様第1の(1−a)に記載の範囲
から選択する。 (2−b)硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で交流
または直流を用いた電気化学的な粗面化処理 アルミニウム板表面を平均表面粗さ0.25〜0.8μ
mとする目的で行う。処理条件等は、実施態様第1の
(1−b)に記載の範囲から選択する。印刷版の非画像
部の汚れ難さと耐刷力を向上する目的で行われる。 (2−c)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板を化学的にエッチング処理 前記実施態様(2−b)の電気化学的な粗面化処理で生
成したスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ
部分またはピットが生成していないプラトーな部分の溶
解を行い、平均粗さ0.25〜0.8μmの滑らかな凹
凸を持つ表面を得る目的で行う。印刷版の非画像部の汚
れ難さと耐刷力を向上する目的で行われる。 処理条件
等は、実施態様第1の(1−a)に記載の範囲から選択
する。
【0032】(2−d)硝酸を主体とする水溶液中で交
流を用いて100〜1000C/dm 2 の電気量で電気
化学的に粗面化処理 平均直径が約0.1〜3μmのハニカムピットをアルミ
ニウム板表面に30〜100%の面積率で生成する目的
で行う。また、印刷版の非画像部の汚れ難さと耐刷力を
向上する目的で行う。 (2−e)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板を化学的にエッチング処理 実施態様第1の(1−c)同様である。 (2−f)陽極酸化処理 実施態様第1の(1−d)同様である。
【0033】実施態様第3 実施態様の第1または第2の第1段目(a)の電解研磨
処理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウ
ム板を化学的にエッチング処理をする前に、毛径が0.
2〜0.9mmの回転するナイロンブラシローラとアル
ミニウム板表面に供給されるスラリー液で行う機械的な
粗面化処理 アルミニウム板表面を平均表面粗さ0.3〜0.9μm
とする目的で、特開平6−135175号公報、特公昭
50−40047号公報に記載されている機械的な粗面
化処理を行う。第1段目の電解研磨処理の前に行うこと
が好ましい。毛径が0.2〜0.9mmの回転するナイ
ロンブラシローラとアルミニウム板表面に供給されるス
ラリー液で行う機械的に粗面化処理することが有利であ
る。もちろんスラリー液を吹きつける方式、ワイヤーブ
ラシを用いた方式、凹凸をつけた圧延ローラの表面形状
をアルミニウム板に転写する方式などを用いても良い。
研磨剤としては公知のものが使用できるが、珪砂、石
英、水酸化アルミニウムまたはこれらの混合物が好まし
い。
【0034】機械的な粗面化処理の次に行う、実施態様
第1の(1−a)、第2の(2−a)に記載の酸性水溶
液中でアルミニウム板を電解研磨処理、または、酸また
はアルカリ水溶液中でアルミニウム板を化学的に行うエ
ッチング処理は、機械的な粗面化によって生成した凹凸
のエッジ部を溶解し、滑らかなうねりを持つ表面を得、
汚れ性能が良い印刷版を得る目的で行う。この時アルミ
ニウム板の溶解量は5〜20g/m2 が好ましい。
【0035】このようにして得られた平版印刷版用支持
体の上には、従来より知られている感光層を設けて、感
光性平版印刷版を得ることができ、これを製版処理して
得た平版印刷版は、優れた性能を有している。この感光
層中に用いられる感光性物質は、特に限定されるもので
はなく、通常、感光性平版印刷版に用いられているもの
を使用できる。例えば特開平6−135175号公報に
記載のような各種のものを使用することができる。アル
ミニウム板は感光層を塗布する前に必要に応じて有機下
塗層(中間層)が設けられる。この下塗層に用いられる
有機下塗層としては従来より知られているものを用いる
ことができ、例えば、特開平6−135175号公報に
記載のものを用いることができる。感光層はネガ型でも
ポジ型でもよい。
【0036】
【実施例】
実施例1 厚さ0.24mm、幅1030mmのJIS A 31
03アルミニウム板に、マグネシウムを0.3wt%添
加したアルミニウム板を用いて連続的に処理をおこなっ
た。 (a)アルミニウム板を、リン酸70wt%含有する水
溶液中、液温70℃で、電流密度40A/dm2 で20
秒間アルミニウム板を陽極にして電解研磨処理を行っ
た。その後スプレーによる水洗をおこなった。 (b)交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処
理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%水溶液
(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオ
ン0.007wt%含む)、液温45℃であった。交流
電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間
TPが1msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交
流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗
面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用い
た。電流密度は電流のピーク値で60A/dm2 、電気
量はアルミニウム板が陽極の時の電気量の総和で230
C/dm2 であった。補助陽極には電源から流れる電流
の5%を分流させた。その後スプレーによる水洗を行っ
た。
【0037】(c)アルミニウム板を、リン酸70wt
%含有する水溶液中、液温70℃で、電流密度4A/d
2 で2.5秒間アルミニウム板を陽極にして電解研磨
処理を行った。アルミニウム板を約0.1g/m2 溶解
し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行っ
た時に生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマッ
ト成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解
し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレーによる
水洗をおこなった。
【0038】(d)液温35℃の硫酸濃度15wt%水
溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、直
流電圧を用い、電流密度2A/dm2 で陽極酸化皮膜量
が2.4g/m2 になるように陽極酸化処理を行った。 (e)親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt
%、70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレー
で水洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップ
ローラで液切りを行った。処理されたアルミニウム板の
表面を日本電子製FESEMで観察したところ、平均直
径0.5〜3.0μmのハニカムピットが生成してい
た。このアルミニウム板に中間層および感光層を塗布、
乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2 のネガ型PS版を作成
した。このPS版を用いて印刷したところ、良好な印刷
版であった。
【0039】実施例2 実施例1の(e)の珪酸ソーダ水溶液に浸漬しない以外
は、実施例1と全く同じ条件で行った。この処理したア
ルミニウム板に中間層とポジ型感光層を塗布、乾燥して
PS版を作成した。このPS版を用いて印刷したとこ
ろ、良好な印刷版であった。
【0040】実施例3 厚さ0.3mmの、幅1030mmのJIS A 10
50アルミニウム板を用いて連続的に処理を行った。 (a)比重1.12の珪砂と水との懸濁液を研磨スラリ
ー液として、アルミニウム板の表面に供給しながら、回
転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化処
理を行った。ナイロンブラシの材質はナイロン6・10
を使用し、毛長50mm、毛の直径は0.295mmで
あった。ナイロンブラシは直径300mmのステンレス
性の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラ
シは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(直
径200mm)の距離は300mmであった。ブラシロ
ーラはブラシ回転させる駆動モータの負荷がブラシロー
ラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7
kwプラスになるまで押さえ付けた。ブラシの回転方向
はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
【0041】(b)アルミニウム板を、リン酸70wt
%含有する水溶液中、液温70℃で、電流密度40A/
dm2 で20秒間アルミニウム板を陽極にして電解研磨
処理を行った。ブラシとスラリー液で生成した凹凸の尖
った部分を溶解し、滑らかな、5〜30μmピッチのう
ねりをもつ表面とした。その後スプレーによる水洗をお
こなった。 (c)交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処
理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%水溶液
(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオ
ン0.007wt%含む)、液温45℃であった。交流
電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間
TPが1msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交
流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗
面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用い
た。電流密度は電流のピーク値で60A/dm2 、電気
量はアルミニウム板が陽極の時の電気量の総和で200
C/dm2 であった。補助陽極には電源から流れる電流
の5%を分流させた。その後スプレーによる水洗を行っ
た。
【0042】(d)アルミニウム板を、リン酸70wt
%含有する水溶液中、液温70℃で、電流密度20A/
dm2 で5秒間アルミニウム板を陽極にして電解研磨処
理を行った。アルミニウム板を約1g/m2 溶解し、前
段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行った時に
生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分
の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッ
ジ部分を滑らかにした。その後スプレーによる水洗をお
こなった。
【0043】(e)液温35℃の硫酸濃度15wt%水
溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、直
流電圧を用い、電流密度2A/dm2 で陽極酸化皮膜量
が2.4g/m2 になるように陽極酸化処理を行った。
その後スプレーによる水洗をおこなった。 (f)親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt
%、70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレー
で水洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップ
ローラで液切りを行った。処理されたアルミニウム板の
表面を日本電子製FESEMで観察したところ、5〜3
0μmの大きなうねりに、平均直径0.5〜3μmのハ
ニカムピットが重畳していた。このアルミニウム板に中
間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/
2 のネガ型PS版を作成した。このPS版を用いて印
刷したところ、良好な印刷版であった。
【0044】実施例4 実施例3の(f)の珪酸ソーダ水溶液に浸漬しない以外
は、実施例3と全く同じ条件で行った。この処理したア
ルミニウム板に中間層とポジ型感光層を塗布、乾燥して
PS版を作成した。このPS版を用いて印刷したとこ
ろ、良好な印刷版であった。
【0045】実施例5 実施例3の(d)の電解研磨処理をアルカリ水溶液中で
の化学的なエッチング処理とした以外は、実施例3と全
く同様に処理し、処理したアルミニウム板に中間層とポ
ジ型感光層を塗布、乾燥してPS版を作成した。アルカ
リ水溶液はスプレーによりアルミニウム板に吹きつけ
た。このPS版を用いてPS版を作成したところ良好な
印刷版であった。
【0046】実施例6 厚さ0.3mmの、幅1030mmのJIS A 10
50アルミニウム板を用いて連続的に処理を行った。 (a)アルミニウム板を、リン酸70wt%含有する水
溶液中、液温70℃で、電流密度40A/dm2 で20
秒間アルミニウム板を陽極にして電解研磨処理を行っ
た。その後スプレーによる水洗をおこなった。 (b)直流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処
理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%水溶液
(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオ
ン0.007wt%含む)、液温45℃であった。アノ
ードにはフェライト、カソードにはチタンを用いた。電
解にはリップル率20%以下の直流電圧を用いた。電流
密度は50A/dm2 、アルミニウム板が陽極時の電気
量は400C/dm2 であった。陰極と陽極は1対であ
った。
【0047】(c)アルミニウム板を、リン酸70wt
%含有する水溶液中、液温70℃で、電流密度40A/
dm2 で15秒間アルミニウム板を陽極にして電解研磨
処理を行った。その後スプレーによる水洗をおこなっ
た。 (d)交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処
理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%水溶液
(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオ
ン0.007wt%含む)、液温45℃であった。交流
電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間
TPが1msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交
流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗
面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用い
た。電流密度は電流のピーク値で60A/dm2 、電気
量はアルミニウム板が陽極の時の電気量の総和で150
C/dm2 であった。補助陽極には電源から流れる電流
の5%を分流させた。その後スプレーによる水洗を行っ
た。
【0048】(e)アルミニウム板を、リン酸70wt
%含有する水溶液中、液温70℃で、電流密度20A/
dm2 で5秒間アルミニウム板を陽極にして電解研磨処
理を行った。アルミニウム板を約1g/m2 溶解し、前
段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行った時に
生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分
の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッ
ジ部分を滑らかにした。その後スプレーによる水洗をお
こなった。
【0049】(f)液温35℃の硫酸濃度15wt%水
溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、直
流電圧を用い、電流密度2A/dm2 で陽極酸化皮膜量
が2.4g/m2 になるように陽極酸化処理を行った。
その後スプレーによる水洗をおこなった。 (g)親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt
%、70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレー
で水洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップ
ローラで液切りを行った。処理されたアルミニウム板の
表面を日本電子製FESEMで観察したところ、5〜2
0μmの大きなうねりに、平均直径0.5〜3.0μm
のハニカムピットが重畳していた。このアルミニウム板
に中間層および感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0
g/m2 のネガ型PS版を作成した。このPS版を用い
て印刷したところ、良好な印刷版であった。
【0050】実施例7 実施例6の(g)の珪酸ソーダ水溶液に浸漬しない以外
は、実施例6と全く同じ条件で行った。この処理したア
ルミニウム板に中間層とポジ型感光層を塗布、乾燥して
PS版を作成した。このPS版を用いて印刷したとこ
ろ、良好な印刷版であった。
【0051】比較例1 実施例3の(b)及び(d)の電解研磨処理をアルカリ
水溶液中での化学的なエッチング処理とした以外は、実
施例3と全く同様に処理し、処理したアルミニウム板に
中間層と感光層を塗布、乾燥してPS版を作成した。ア
ルカリ水溶液はスプレーによりアルミニウム板に吹きつ
けた。このPS版を用いてPS版を作成したところ、
(b)および(d)の化学的なエッチングに用いるアル
カリ水溶液の組成が安定せず、印刷性能にばらつきがで
た。
【0052】
【発明の効果】本発明の酸性水溶液中での電解研磨処理
でエッチングを行うことにより、エッチング量を通電量
でコントロールすることができ、PS版の品種切替え時
間が短縮できる。また、アルミニウム溶解量を一定にす
るための液濃度制御はアルカリエッチング液における液
濃度制御ほど厳しさが要求されない。また、アルカリ液
を用いた時に発生し易い、スケールの発生が原因となる
故障を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸性水溶液中での電解研磨処理に用い
る間接給電方式の装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の酸性水溶液中での電解研磨処理に用い
る直接給電方式の装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム板 2 電解研磨槽 3 直流電源 4 陽極 5 陰極 6 パスローラ 7 電解液供給口 8 電解液排出口 9 コンダクタローラ 10 電解液

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硝酸または塩酸を主体とする水溶液中で
    電気化学的な粗面化を行う前または前後に、酸性水溶液
    中での電解研磨処理を行うことを特徴とする平版印刷版
    用アルミニウム支持体の製造方法。
JP9852996A 1996-04-19 1996-04-19 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 Pending JPH09277735A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9852996A JPH09277735A (ja) 1996-04-19 1996-04-19 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9852996A JPH09277735A (ja) 1996-04-19 1996-04-19 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09277735A true JPH09277735A (ja) 1997-10-28

Family

ID=14222212

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9852996A Pending JPH09277735A (ja) 1996-04-19 1996-04-19 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09277735A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0960743A2 (en) * 1998-05-28 1999-12-01 Fuji Photo Film Co., Ltd. Aluminum support for lithographic printing plate and production method thereof
US6143158A (en) * 1997-04-25 2000-11-07 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for producing an aluminum support for a lithographic printing plate
WO2004041477A1 (ja) * 2002-11-06 2004-05-21 Nomura Plating Co., Ltd. 真空用部材の表面処理方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6143158A (en) * 1997-04-25 2000-11-07 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method for producing an aluminum support for a lithographic printing plate
EP0960743A2 (en) * 1998-05-28 1999-12-01 Fuji Photo Film Co., Ltd. Aluminum support for lithographic printing plate and production method thereof
EP0960743A3 (en) * 1998-05-28 2000-03-01 Fuji Photo Film Co., Ltd. Aluminum support for lithographic printing plate and production method thereof
WO2004041477A1 (ja) * 2002-11-06 2004-05-21 Nomura Plating Co., Ltd. 真空用部材の表面処理方法
US8517795B2 (en) 2002-11-06 2013-08-27 Nomura Plating Co., Ltd. Surface treatment method for vacuum member

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3580462B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP3695618B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP3738940B2 (ja) 校正用平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH09277735A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP2001011698A (ja) 平版印刷板用アルミニウム支持体の粗面化方法及び製造方法
JP3748295B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化方法
JP3494328B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JPH08300843A (ja) 平版印刷版用支持体とその製造方法及びそれに用いる電気化学的粗面化装置並びに電極
JP3717025B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH10183400A (ja) アルミニウム板の粗面化方法
JP2001121837A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH1044636A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化処理方法
JPH09142049A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体およびその製造方法
JPH1030200A (ja) アルミニウム板の粗面化方法
JPH09234971A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP3599210B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH10130897A (ja) アルミニウム板及びその粗面化方法
JPH10251900A (ja) アルミニウム板の粗面化方法
JP2000301850A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP3787735B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法および支持体
JPH09290578A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体とその製造方法
JPH11240275A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JP2707339B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2001011699A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
JPH1111035A (ja) 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法