JPH04289200A - 平版印刷版用支持体の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム板を電気
化学的に変性処理するとともに粗面化処理して平版印刷
版用支持体を製造する方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、オフセット印刷版用支持体とし
てアルミニウム板が使用されており、その表面は、その
上に設けられる感光層との密着性を良好にすること、印
刷時に使用する湿し水を保持すること等の目的のために
、通常、粗面化されている。

【０００３】この粗面化の処理方法として、ボールグレ
イニング、ブラシグレイニングなどの機械的処理方法が
知られているが、近年、塩酸、硝酸などの酸性電解液中
でアルミニウム板の表面を電気化学的に粗面化処理をす
る電解粗面化処理方法が注目されている。この電解粗面
化処理方法は、従来の機械的粗面化処理方法に比べて平
均粗さ分布の小さな均一な粗面を有するアルミニウム板
が得られるが、そのような粗面を得るための条件は極め
て狭いものである。しかし、電解液組成、温度、電解条
件などの諸条件を一定にすれば、製品のばらつきも極め
て少なく、均一な性能を有するアルミニウム板を容易に
得ることができる。

【０００４】ところで、アルミニウム板の表面には、圧
延、加工の際の加工油剤、空気中の酸素、水分などがア
ルミニウムと複雑に絡み合うため、酸化物やスマットな
どが不均一に存在している。このような状態のアルミニ
ウム板表面に対して直接電解粗面化処理を行なうと、均
一な粗面化処理が行えず処理ムラが発生することがある
。この処理ムラは外観上好ましくなく、また、そのアル
ミニウム面に塗膜などを乗せたときに塗膜の密着性の悪
化をもたらす原因となる。

【０００５】したがって、従来、電解粗面化処理の前に
アルミニウム板を酸性水溶液中やアルカリ性水溶液中に
浸漬して、加工油剤、酸化物、スマット等の除去と加工
変質層の溶解を行ない表面の洗浄、均一化を行なってい
る。例えば、アルミニウム板の表面に存在する圧延油や
自然酸化皮膜の除去を、苛性ソーダなどのアルカリ水溶
液中で行なう方法が特開昭５４−６５６０７号公報で開
示されている。

【０００６】しかしながら、これらの上述した方法は、
苛性ソーダによる化学的な溶解反応であるため、溶解量
の抑制が難しく、また、アルミニウム板に穴が開きやす
いものであった。さらに、苛性ソーダ中に溶出したアル
ミニウムの除去に透析膜などを用いるために廃液処理コ
ストが大きかった。

【０００７】そこで、中性塩水溶液中での電解による方
法が種々提案されている（特開昭５９−１１２９５号公
報、特開昭５０−１３１６３５号公報、特開昭５０−１
３０６４２号公報、特願平１−３１３４５８号明細書等
）　。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記中性塩水溶液中で
エッチング処理する方法は、液の疲労が少なく、かつ廃
液処理の負担が少なくてすむので、電解粗面化処理の前
後処理を簡易かつ安価に行うことができるものであった
。

【０００９】しかし、陰極電解処理の場合アルミニウム
界面に生成したアルカリの溶解作用によってアルミニウ
ム板のエッチングが行われるので、アルミニウム板表面
に気泡のトラップがあると、局部的に通電がおこなわれ
ず水玉状のエッチングむらが発生するものであった。

【００１０】本発明は、以上の問題点を解決し、粗面化
処理の前処理を簡単かつ安価に行え、しかもエッチング
むらが発生しない印刷用支持体の製造方法を提供するこ
とを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究し、エッチング処理の前にアル
ミニウム板を陽極として電解処理して酸化皮膜を形成さ
せると、気泡がほとんどトラップされないことを見出し
、本発明を完成させた。

【００１２】すなわち、本発明の印刷版用支持体の製造
方法は、アルミニウム板を中性塩水溶液中で陽極として
電解処理する陽極電解処理工程と、該陽極電解処理工程
で処理されたアルミニウム板を中性塩水溶液で陰極とし
て電解処理する陰極電解処理工程と、該陰極電解処理工
程で処理されたアルミニウム板を酸性水溶液中で電気化
学的に粗面化処理する粗面化処理工程とを具備すること
を特徴として構成されている。

【００１３】本発明の陽極電解処理工程および陰極電解
処理工程は、中性塩水溶液中においてアルミニウム板を
陽極および陰極とし対抗する陰極および陽極に直流電圧
を加えることにより行う。

【００１４】本発明に用いるアルミニウム板としては、
純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とする合金板
等がある。また、その形状は、シート状であってもウェ
ブ状であってもよい。

【００１５】本発明に用いる陽極としては、白金、フェ
ライト、酸化イリジウム等があり、陰極としては、カー
ボン、ステンレス等がある。陽極及び陰極は、アルミニ
ウム板の少なくとも一面に対向して設けられる。アルミ
ニウム板と対向する陽極と陰極の面積比、本数は異なっ
てもよく、また、陽極と陰極を交互に設置することもで
きる。

【００１６】本発明に用いる中性塩水溶液は、例えば、
特開昭５２−２６９０４号公報、特開昭５９−１１２９
５号公報、特開昭５３−７３４２７　号公報等に記載さ
れているような塩の水溶液であり、好ましくはアルカリ
金属ハロゲン化物またはアルカリ金属硝酸塩の水溶液で
あり、特に好ましくは塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム
及び硫酸ナトリウムの水溶液であり、最も好ましくは硫
酸ナトリウムの水溶液である。

【００１７】中性塩水溶液中でのナトリウムイオン等の
濃度は、０．１〜１０％が好ましい。中性塩水溶液は全
体として中性付近を維持するが、ｐＨ５〜９、特にｐＨ
６〜８の範囲が好ましい。但し、アルミニウム板または
電極界面近傍は、ｐＨ５以下またはｐＨ９以上となる。

【００１８】直流電圧の給電方式は、例えば、特開昭５
６−１３０５００号公報に記載されているような間接給
電方式によっても、コンダタロールを用いた給電方式に
よってもよいが、スパークの発生などを考えると間接給
電方式が好ましい。

【００１９】電解処理に用いる直流電圧は、連続直流で
も、パルス形のくし型波形、交流をサイリスタで整流し
たもの等、電圧の強さが周期的に変わるものでもよい。

【００２０】電解に用いる直流の電流密度は０．１〜１
００Ａ／ｃｍ２が好ましい。電解処理時間は１〜９０秒
間の範囲にあることが好ましい。

【００２１】本発明の粗面化処理工程は、酸性水溶液中
でアルミニウム板と対極との間に交流または直流電流を
供給して電気化学的に粗面化する。

【００２２】粗面化処理工程の酸性水溶液としては、公
知の電気化学的な粗面化に用いられるものを使用できる
が、硝酸を５〜１５ｇ／ｌ含有する水溶液が好ましい。 また、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アン
モニウム、塩化アンモニウム、硝酸マンガン、塩化マン
ガン、硝酸鉄、塩化鉄等の硝酸イオン、塩素イオンまた
は硫酸イオンを含む塩類を添加することができる。さら
に、より安定的に粗面化を行なえるように、電解液中の
微量成分としてアルミニウム板から溶け出す金属イオン
を添加してもよい。

【００２３】さらに、また硝酸水溶液中で電解粗面化を
行なうと自然発生的にアンモニウムイオンが増加するの
で、アンモニウムイオンを添加することが好ましい。ア
ンモニウムイオンを添加する方法は、アンモニウムイオ
ンを含む化合物を添加する方法、電解処理によってアン
モニウムイオンを増加させる方法等があり、アンモニウ
ムイオンを含む化合物としては、例えば、硝酸アンモニ
ウム及び塩化アンモニウムがある。

【００２４】アンモニウムイオンの添加量は４０００〜
４００００ｐｐｍが好ましく、特に１６０００〜４００
００ｐｐｍが好ましい。

【００２５】アンモニウムイオンの添加により比較的ピ
ットサイズが大きく、均一なハニカムピットを生成する
ことができる。

【００２６】電解処理時間は、長過ぎても短過ぎても最
適な粗面が得られず５〜９０秒が好ましい。電流密度は
２０〜１００Ａ／ｄｍ２が好ましい。液温は３０〜６０
℃が好ましい。

【００２７】交流を用いて粗面化をおこなうときは、粗
面化に使用する電源の周波数としては電解液の種類によ
って０．１〜４００Ｈｚまで幅広く選択できる。例えば
、硝酸水溶液に硝酸アンモニウムを添加した場合、１〜
３０Ｈｚの範囲が好ましい。１Ｈｚ未満では、直流に近
くなるのでピットが集中してしまう。３０Ｈｚを越える
と、ピットの形状と大きさが不均一になる。この周波数
範囲は１〜２０Ｈｚが好ましく、１０〜２０Ｈｚが最適
である。

【００２８】アルミニウム板に交流電流を供給する対極
としてはカーボンが好ましい。

【００２９】電解粗面化処理の方法は、例えば、米国特
許第４５４８６８３号明細書、同第４０８７３４１号明
細書等に開示されている方法を用いることができる。対
極にカーボンを用いた場合、カーボン極はバインダーな
どの劣化により溶解していく。そこで、米国特許第４５
３３４４４号明細書、同第４５９７８５３号明細書、同
第４５３６２６４号明細書等で開示されているように、
補助極を用い、主極に流れる電流をダイオードなどの整
流子を用いて分流し、主極から流れ出る電流が流れ込ん
でくる電流よりも少なくなるように抑制することが好ま
しい。

【００３０】陽極電解処理工程の前または陰極電解処理
工程の後に、アルミニウム板表面を化学的に洗浄するた
めに、苛性ソーダ、硫酸、燐酸、硝酸、塩酸、弗酸、ク
ロム酸などへの浸漬処理を行うことができる。しかし、
本発明の陰極電解処理工程における変性効果により、脱
脂及びアルミニウム板表面層の溶解が行われるので、上
記化学的な洗浄処理は特に設けなくても充分である。

【００３１】電気化学的に粗面化されたアルミニウム板
を、電気化学的粗面化処理で生成した水酸化アルミニウ
ムを主体としたスマットの除去と軽度のエッチングを行
うために、酸またはアルカリを含む水溶液中に浸漬する
ことができる。なお、軽度のエッチングは、中性塩水溶
液中での電解研磨処理によって行ってもよい。

【００３２】また、上述したような粗面化されたアルミ
ニウム板を、親水性、保水性、耐印刷性等を向上させる
ために、通常の手法に従って硫酸またはリン酸を含む電
解液中で陽極酸化処理をおこなうことができる。さらに
、陽極酸化処理後ケイ酸ソーダなどを含む水溶液中に浸
漬し、親水化処理を行うこともできる。

【００３３】本発明の印刷版用支持体の製造方法で製造
された支持体は、オフセット印刷版等に適用される。

【００３４】

【作用】本発明の印刷版用支持体の製造方法は、陽極電
解処理工程でアルミニウム板表面に酸化皮膜を形成し、
この皮膜が中性塩水溶液とのぬれ性を向上させて気泡の
トラップを防止する。

【００３５】

【実施例】本発明の印刷版用支持体の製造方法の一実施
例を図１に基づいて説明する。図１は、印刷版用支持体
の製造方法を実施する支持体製造装置の概略図である。 図１において、符号１０はアルミニウム板を中性塩水溶
液中で陽極として電解処理する陽極電解処理部、符号２
０は陽極電解処理部で処理されたアルミニウム板を中性
塩水溶液で陰極として電解処理する陰極電解処理部、符
号３０は陰極電解処理部で処理されたアルミニウム板を
酸性水溶液中で電気化学的に粗面化処理する粗面化処理
部である。

【００３６】陽極電解処理部１０は、陽極電解槽１１に
中性塩水溶液１２が貯留されており、また、陰極電解処
理部２０も、陰極電解槽２１に中性塩水溶液２２が貯留
されている。 そして、陽極電解処理部１０の中性塩水溶液１２には２
個の陰極１３、１３が配置されるとともに、陰極電解処
理部２０の中性塩水溶液２２には陽極２３が配置され、
これらの陰極１３と陽極２３とは、直流電源４０を介し
て接続されている。

【００３７】粗面化処理部３０は、粗面化処理槽３１に
酸性水溶液３２が貯留されており、酸性水溶液３３中に
は２個のカーボン電極３３、３３が平行に設けられ、さ
らにカーボン電極３３、３３は交流電源３４を介して接
続されている。

【００３８】そして、陽極電解処理部１０、陰極電解処
理部２０及び粗面化処理部３０には、ローラー５０…５
０が所定間隔で配置され、アルミニウム板としてのアル
ミニウムウェブ５０の走行路が形成されている。

【００３９】以上のような印刷版用支持体の製造装置で
支持体を製造するには、中性塩水溶液１２、２２及び酸
性水溶液３２に通電させるとともに、アルミニウムウェ
ブ６０を走行させる（図中、右方向）。すると、アルミ
ニウムウェブ６０は、まず、陽極電解処理部１０におい
て陽極として電解処理され、表面に酸化皮膜が形成され
る。次に、酸化皮膜が形成された状態で陰極電解処理部
２０で陰極として電解処理によりエッチングされる。そ
して、粗面化処理部３０で所定粗さの粗面が形成される
。

【００４０】実施例１ ＪＩＳ　１０５０−Ｈ１８アルミニウム板を、Ｎａイオ
ン１２．５ｇ／ｌとなるように調整した硫酸ナトリウム
水溶液中６０℃で連続直流を用いて電流密度２Ａ／ｃｍ
２でアルミニウム板が陽極となるようにして６０秒管電
解処理をした。

【００４１】次に、同一の条件でアルミニウム板が陰極
となるように６０秒間電解処理を行った。

【００４２】そして、水洗し１％の硝酸水溶液４５℃で
電流密度２０Ａ／ｃｍ２で１０秒間交流を用いて電解粗
面化処理を行った。このとき用いた交流はｄｕｔｙ比１
：１の６０Ｈｚの矩形波であった。

【００４３】比較例 最初にアルミニウム板を陰極として電解処理し、次いで
陽極として電解処理をした他は、実施例１と同一の条件
で行った。

【００４４】従来例 アルミニウム板を陰極としてのみ電解処理を行った。

【００４５】上記実施例１、比較例及び従来例の粗面を
走査型電子顕微鏡で観察した。結果を表１に示す。

【００４６】

【表１】

【００４７】以上の結果より、実施例は、従来例等に比
較してむらの無い均一な粗面を有し、印刷版陽極電解前
処理部支持体として好適なものであった。

【００４８】実施例２ ＪＩＳ　１０５０−Ｈ１８アルミニウム板を、Ｎａイオ
ン１２．５ｇ／ｌとなるように調整した硫酸ナトリウム
水溶液中６０℃で連続直流を用いて電流密度２Ａ／ｃｍ
２でアルミニウム板が陽極となるようにして６０秒管電
解処理をした。

【００４９】次に、同一の条件でアルミニウム板が陰極
となるように６０秒間電解処理を行った。

【００５０】そして、水洗し１％の硝酸水溶液４５℃に
アンモニウムイオンを４００００ｐｐｍ添加し、電流密
度４０Ａ／ｄｍで１０秒間交流を用いて電解粗面化処理
をおこなった。このときの交流はｄｕｔｙ比１：１の２
０Ｈｚの矩形波であった。

【００５１】上記実施例２の粗面を走査型顕微鏡で観察
したところ均一な粗面であった。また、その面質は実施
例１と同様にムラの無い均一な粗面であった。

【００５２】

【発明の効果】本発明は、アルミニウム板を陰極として
電解処理する前にアルミニウム板を陽極として電解処理
することにより、アルミニウム板は酸化皮膜形成され親
水性となるので、気泡がトラップされることなく常に均
一なエッチングを行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の印刷版用支持体の製造方法を実
施するための装置の一実施例の概略図である。

【符号の説明】

１０…陽極電解処理部 １２…中性塩水溶液 １３…陰極 ２０…陰極電解処理部 ２２…中性塩水溶液 ２３…陽極 ３０…粗面化処理部 ３２…酸性水溶液 ３３…電極 ３４…交流電源 ４０…直流電源

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　アルミニウム板を中性塩水溶液中で陽
   極として電解処理する陽極電解処理工程と、該陽極電解
   処理工程で処理されたアルミニウム板を中性塩水溶液で
   陰極として電解処理する陰極電解処理工程と、該陰極電
   解処理工程で処理されたアルミニウム板を酸性水溶液中
   で電気化学的に粗面化処理する粗面化処理工程とを具備
   することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法【
   請求項２】　　前記粗面化処理工程において、酸性水溶
   液が硝酸を主体とする水溶液にアンモニウムイオンが添
   加されたものであり、電気化学的な粗面化に用いる交流
   電流の周波数が１〜３０Ｈｚである請求項１に記載の平
   版印刷版用支持体の製造方法