JP2001121388A - 内面冷風研削方法及び内面冷風研削装置 - Google Patents

内面冷風研削方法及び内面冷風研削装置

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JP2001121388A
JP2001121388A JP30708599A JP30708599A JP2001121388A JP 2001121388 A JP2001121388 A JP 2001121388A JP 30708599 A JP30708599 A JP 30708599A JP 30708599 A JP30708599 A JP 30708599A JP 2001121388 A JP2001121388 A JP 2001121388A
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Japan
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grinding
workpiece
cold air
spindle
supply pipe
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JP30708599A
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Chuichi Sato
忠一 佐藤
Hidenori Kawai
英典 河合
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研削液の使用量を最小限に抑えつつ、研削装
置やスピンドルの剛性が低くても高速且つ高精度に内面
研削が行える内面冷風研削方法及び内面冷風研削装置を
提供する。 【解決手段】 砥石スピンドル3側に冷風供給パイプ2
0を配設する一方、チャック側スピンドル12内に研削
液供給パイプ14と研削屑排出用空気供給パイプ16を
設ける。そして、研削液供給パイプ14を通してワーク
2内の研削点に研削液を供給する一方、冷風供給パイプ
20から冷風を供給する。研削屑は、研削屑排出用空気
供給パイプ16を通してワーク2内に供給する圧縮空気
により吹き飛ばす。吹き飛ばされた研削屑は、吸塵パイ
プ18及びワーク2上部より発生させたウォーターカー
テンにより回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円環状を成した被
加工物の内面研削に用いて好適な内面冷風研削方法及び
内面冷風研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の円環状を成した被加工物(ワー
ク)の内面研削は、例えば図6に示すマグネット・シュ
ータイプのチャック機構を用いていた。図6(a)は、マ
グネット・シュータイプのチャック機構の要部を一部断
面で示す正面図で、図6(b)は図6(a)の側面から見た図
である。図6に示すようにマグネット・シュータイプの
チャック機構では、ドライブプレート1にてワーク2の
片側端面を吸着固定すると共に、ワーク2のドライブプ
レート1との吸着反対側よりワーク2内に砥石スピンド
ル3に装着した砥石4を回転駆動しつつ挿入し、ワーク
2に対して砥石4を送ることで研削加工を行う。この他
のチャック方法としては、2ロール1シューや一般的な
チャック等があるが、特に円環状を成したワークに対し
ては、マグネット・シュータイプが量産に適するため、
広く用いられている。
【0003】ワーク2の研削中は、研削液(油性又は水
溶性)5が砥石4側より研削液供給パイプ6を通ってワ
ーク2内の研削点PGに向けて大量に供給される。ま
た、研削液5はワーク2とフロントシュー7との間、及
びワーク2とリアシュー8との間、及びワーク2とチャ
ック1(ワーク2のセンターとチャック1とのセンター
はシュー7、8にワーク2を押し付けるため偏心してい
る)との間にも供給されて滑りに対する潤滑を行う。こ
こで、図7に示すように、内周面に鍔を有する鍔付環状
を成したワーク2では、研削点PGから砥石回転方向下
流側の砥石4とワーク2との間隙であるA部には完全に
研削液5が充満し、A部以外の間隙であるB部にもかな
りの割合で研削液5が充満する。このため、研削点PG
における研削の潤滑に加えてワーク2の冷却が可能とな
っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
超砥粒による高速乃至超高速研削(80[m/sec]前後で
区分される)の適用による高能率加工が主流になりつつ
あり、既に外面研削では実用化されているものの、内面
研削では以下の問題により実用化が困難になっている。
即ち、図7に示すように、研削液5がA部に充満するた
め、砥石周速が大きくなるとA部における動圧効果が大
となり、研削加工による抵抗よりもこの動圧効果による
法線方向の抵抗が大となって、内面研削スピンドルの剛
性にもよるが砥石4の送り位置が不安定になる。その結
果、成円作用が悪くなり、ワーク2の寸法、傾斜、真円
度等の精度が悪化してしまう。また、砥石スピンドル3
の法線方向の負荷容量が不足してしまう。また、図7に
示すB部にもかなりの量の研削液5が充満するため、A
部と共に砥石回転に対する摩擦抵抗が、およそ回転数の
2.75乗に比例して大となり、負荷容量不足になって
しまう。ところが、超高速研削を実現するには、スピン
ドル回転数を2倍近く上げなければならず、また負荷容
量とパワーも大きくしなければならない。このようなこ
とから、超高速内面研削は実用化までには至っていな
い。
【0005】一方、近年、地球環境問題対策を主とした
研削液を極力使用しない冷風研削が研究されている。こ
の冷風研削を用いた外面研削の方式として、例えば研削
点上部より研削液と冷風を供給し、下側より研削屑を真
空吸塵するものがある。しかしながら、この冷風研削方
法にあっては、外面研削は可能であるが、内面研削の場
合、研削液の供給と冷風の供給を行うにはスペース上の
制約があって、研削屑の完全な回収が難しいという問題
点があった。
【0006】本発明は上記状況に鑑みてなされたもの
で、研削液の使用量を最小限に抑えつつ、研削装置やス
ピンドルの剛性が低くても高速且つ高精度に内面研削が
行える内面冷風研削方法及び内面冷風研削装置を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る内面冷風研削方法は、円環状を成した被
加工物の内面研削を行う内面冷風研削方法において、先
端部にチャックを有するチャック側スピンドルに前記被
加工物を固定し、該被加工物のチャック側とは反対側か
ら砥石スピンドルにより被加工物の内周面を研削する際
に、前記チャック側スピンドルの内部に軸方向に沿って
形成された貫通孔を通じて被加工物に研削液を供給する
一方、前記砥石スピンドル側より前記被加工物の研削点
を冷却するための冷風を供給することを特徴とする。
【0008】この内面冷風研削装置によれば、被加工物
の内面研削時に、研削液に加えて冷風を用いることで、
研削液の供給量を最小限にでき、研削液の動圧効果によ
る研削抵抗を大幅に低減できる。また、被加工物への研
削液の供給をチャック側スピンドル内に設けた貫通孔を
通して行っているので、スペース効率が向上し、冷風供
給用の断熱スペースをより広く確保でき、冷風供給時の
断熱効果が高められる。
【0009】また、この内面冷風研削方法では、チャッ
ク側スピンドルに形成した貫通孔を通じて、被加工物の
研削時に生ずる研削屑を排出させるための圧縮空気をも
前記被加工物内に供給することが好ましい。これによ
り、被加工物を研削することで生ずる研削屑をチャック
側スピンドル内に形成した貫通孔を通して圧縮空気を供
給することで排出し、研削位置からスペース効率を高め
つつ研削屑を効果的に除去することができ、安定した研
削加工が行えるようになる。
【0010】また、この内面冷風研削方法では、圧縮空
気により吹き飛ばした研削屑を回収するための液体を前
記被加工物に向けて扇状に広がるようにして放出するこ
とが好ましい。これにより、発生した研削屑が扇状に放
出された液体に確実に吸収されて排出される。また、圧
縮空気により研削屑を吹き飛ばす場合は、特に研削屑の
除去効率を向上できる。
【0011】また、この内面冷却研削方法では、被加工
物とこの被加工物を支持するシュー又はロールとの間に
潤滑液を供給することで、同時に被加工物の冷却を行う
ことが好ましい。これにより、被加工物を支持するシュ
ー又はロールとの接触が円滑になると共に、被加工物の
冷却を補助できる。
【0012】また、この内面冷却研削方法では、前記砥
石スピンドルの軸受に向けて冷風を供給することが好ま
しい。これにより、砥石スピンドルの軸受をより高速に
回転可能となり、加工速度を速められ、生産性を向上さ
せることができる。さらに、内蔵モータの冷却用として
冷風を供給することによっても同様な効果が得られる。
【0013】そして、内面冷風研削を行う内面冷風研削
装置としては、円環状を成した被加工物の内面研削を行
う内面冷風研削装置において、被加工物を固定するチャ
ックを先端部に備えたチャック側スピンドルと、前記チ
ャック側スピンドルの被加工物を挟んだ反対側に設けら
れ被加工物の内周面を研削する砥石スピンドルと、前記
チャック側スピンドル内に形成した貫通孔を通して被加
工物に研削液を供給する研削液供給手段と、前記砥石ス
ピンドル側より被加工物の研削点を冷却する冷風を供給
する冷風供給手段とを備えたことを特徴とするものが挙
げられる。この内面冷風研削装置では、被加工物の内面
研削時に、研削液に加えて冷風を用いることで、前記同
様に、研削液の供給量を最小限にでき、研削液の動圧効
果による研削抵抗を大幅に低減できる。また、被加工物
への研削液の供給をチャック側スピンドル内に設けた貫
通孔を通して行っているので、スペース効率が向上し、
冷風供給用の断熱スペースをより広く確保でき、冷風供
給時の断熱効果が高められる。
【0014】また、内面冷風研削装置は、前記チャック
側スピンドル内を貫通して形成された貫通孔より前記被
加工物内に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段を備え
ることが好ましい。これにより、チャック側スピンドル
を通して被加工物に圧縮空気を供給することで、研削に
より生ずる研削屑を吹き飛ばして排出することができ、
安定した研削加工が行えるようになる。
【0015】この内面冷風研削装置は、前記被加工物の
上方に吐出口を被加工物に向けて配設し、該吐出口から
液体を扇状にして放出するウォーターカーテンノズル
と、このウォーターカーテンノズルに液体を供給する液
体供給手段とを備えることが好ましい。これにより、被
加工物に向けてウォーターカーテンノズルから液体が扇
状に放出され、発生した研削屑を確実に回収することが
できる。また、圧縮空気により研削屑を吹き飛ばす場合
は、特に研削屑の除去効率を向上できる。
【0016】ここで、内面研削について説明する。 (1)内面研削における法線抵抗及び消費動力 図8は外面研削時の研削データである研削抵抗と研削能
率との関係を示すグラフである。周知のように外面研削
においては、同じ法線研削抵抗[kgf/mm]であっても、砥
石周速(m/sec)が速くなる程、研削能率Qw [mm3/mm se
c]が高くなり、法線力Fthは小さくなる。この法線力F
thは小さい程良く、小さな力で早く研削できるようにな
る。このようなことから、軸受リングのマグネット・シ
ュータイプのチャックによる外面研削においては、高速
研削が有利であるといえる。しかしながら、強制振動に
は不利であるため、研削装置の剛性の向上及び砥石スピ
ンドルの回転精度の向上を図る必要がある。
【0017】一方、内面研削においては、高速になる
程、研削液による研削動力や研削力への影響が大きくな
ることが知られている。図9は、円筒ころ軸受の鍔付外
輪溝研削時における研削データである砥石周速と法線抵
抗との関係を示すグラフである。この図に示すように、
現状の砥石周速60[m/sec]では、実研削抵抗Fnに対
する研削液(クーラント)による法線抵抗Fncは、 Fnc/Fn=1.7/1.1 で約1.55倍であるが、砥石周速が超高速領域となる
120[m/sec]では、 Fnc/Fn=4.53/0.6 となり7.55倍となる。
【0018】この周速増加に伴う法線抵抗の増大は、内
面研削であることに加えて、この場合、研削内径φ14
7[mm]の被加工物(ワーク)の内径両端に幅4.0[m
m]の鍔部が存在し、この鍔部によって研削液がワークと
砥石の間に滞留して、動圧効果が大となるためである。
そして、研削液による動圧効果により法線抵抗が大きく
なると、研削装置の剛性には限度があり、また砥石スピ
ンドルの回転精度にも限度があることから、ワークの研
精度、寸法、真円度が悪化してしまう。
【0019】一般に、図10に示すように、砥石径DG
とワーク径DWとの比(DG/DW)は0.8(最大値)
としている。上記研削液による法線抵抗は、研削点PG
近傍における動圧効果によるものと考えられ、この動圧
効果による発生圧力はワークと砥石との相対速度に比例
する。この研削液により発生する法線抵抗が、本来の研
削抵抗に比べて大きければ大きい程、ワークの研削精
度、寸法、真円度の悪化が生ずることになる。このよう
に、法線抵抗はワークと砥石との間の研削液の滞留状態
によって支配される。
【0020】図11(a)は、内径部に鍔部の無いワーク
に対して、砥石周速Vsを60[m/sec]、115[m/sec]
としたときの研削幅[mm]と研削液による法線抵抗[kgf]
との関係を示すグラフで、図11(b)は、同じく研削幅
[mm]と消費電力[kW]との関係を示すグラフである。研
削幅19.3[mm]のときの研削液による法線抵抗は、砥
石周速60m/secでは12[kgf]になり、砥石周速115
[m/sec]では7[kgf]になる。一方、砥石周速60[m/se
c]での消費電力は0.52[kW]であるが、砥石周速11
5[m/sec]での消費電力は2.1[kW]にも達する。この
ように、つばのない場合であっても、内面研削において
は、超高速研削時に研削液による法線抵抗、消費電力が
急増することになる。但し、研削液による研削は、図7
に示すように砥石周速が高速になる程、法線抵抗が大き
くなり、ワークの研削精度、寸法、真円度を低下させる
ことになるが、冷風研削(例えば−30℃の冷風)によ
れば、冷風(空気)の粘度は研削液の粘度と比較して約
1/60と小さいので、図9に示す研削抵抗のみの法線
抵抗程度で研削が可能となる。
【0021】(2)冷風研削の内面研削への適用 内面研削への冷風研削の適用については上述したように
スペース的に制約がある。ここでは、軸受リングの加工
には、マグネットシュータイプのチャックを用いること
を前提として考える。上記(1)に説明したように、超
高速研削においては、研削液による法線抵抗、消費電力
の急増が確認されている。このため、研削スピンドルに
は、高速回転に加え、高剛性化、高出力化が必要となる
が、これらを同時に実現することは難しい。この解決策
として磁気スピンドルを用いることが考えられるが、コ
スト高となり現実的ではない。これに対し、冷風研削が
実現すれば、粘度が気体と液体とでは大きく異なるた
め、現状の設備で超高速研削が可能になり、多大なメリ
ットを享受できる。
【0022】図8より、砥石周速Vsを120[m/se
c]、研削能率Qwを2倍の10[mm3/mmsec]としても、
粘度が1/60なので、研削抵抗は現状(Vs=60[m
/sec]、Qw=5[mm3/mm sec])よりも小さく、研削動
力も小さくなる。そのため、研削スピンドルの軸径を1
段小さくして回転数を増加させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る内面冷風研削
装置の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明す
る。 (I)第1実施形態 図1は本発明に係る内面冷風研削装置の第1実施形態の
構成を示す部分断面図である。また、図2は本実施形態
の内面冷風研削装置を砥石スピンドル側より見た図であ
る。図1及び図2において前述した図6と共通する部分
には同一の符号を付けて説明を省略する。なお、この内
面冷風研削装置のチャック機構は、マグネット・シュー
タイプを用いている。また、図1においては、被加工物
は、玉軸受外輪で、溝研削が対象となっているが、この
場合は、前記つば付き円筒ころ軸受外輪溝(図9に示す
特性)とつばなし(図11に示す特性)の中間と考えて
良い。
【0024】本実施形態の内面冷風研削装置100は、
ワーク(被加工物)2を取り付けるマグネットチャック
のスピンドル先端に中央開口孔の形成されたドライブプ
レート1と、チャック側のチャック側スピンドル12内
に軸方向に沿って形成された貫通孔(円筒形の空洞部
分)に内設され、大小異なる径で二重化された研削液供
給パイプ(内側)14及び研削屑排出用空気供給パイプ
(外側)16と、砥石スピンドル3側下方より先端を砥
石4及びワーク2に向けて配設された吸塵パイプ18
と、砥石スピンドル3側上方より先端を砥石4及びワー
ク2に向けて配設された冷風供給パイプ20と、ワーク
2の上方より先端をワーク2に向けて配設され、液体を
扇状に広げて放出するウォーターカーテンノズル22
と、先端をフロントシュー7(図2参照)とドライブプ
レート1との接触点に向けて配設されたフロントシュー
潤滑液供給パイプ26と、先端をリアシュー8とドライ
ブプレート1との接触点に向けて配設されたリアシュー
潤滑液供給パイプ30と、装置本体のドライブプレート
1側に固定され磁気遮蔽用の背面板であるアイアンカー
テン32と、装置本体のワーク2下方に開口された研削
屑排出用の排出孔34とを備えている。
【0025】また、チャック側スピンドル12は、軸受
36を介してチャック側スピンドル支持体38に回転可
能に支持されており、チャック側スピンドル12のチャ
ック側の外周には、ドライブプレート1を介してワーク
2をチャックするためのマグネット40がアイアンカー
テン32に固設されている。マグネット40とアイアン
カーテン32との間は、シール42により研削液及び潤
滑液の浸透を防止している。チャック側スピンドル支持
体38は、送り案内台44上で案内駆動モータ46によ
りワーク2と共に移動可能に構成されている。
【0026】また、内面冷風研削装置は、図示は省略す
るが、研削液供給パイプ14を通してワーク2内に研削
液を供給する研削液供給手段と、研削屑排出用空気供給
パイプ16を通してドライブプレート1内に圧縮空気を
供給する圧縮空気供給手段と、吸塵パイプ18を通して
ワーク2研削時に生ずる研削屑を吸引する真空吸塵手段
と、冷風供給パイプ20を通してワーク2内の研削点P
Gに冷風(例えば−30℃の冷風)を供給する冷風供給
手段と、フロントシュー潤滑液供給パイプ26及びリア
シュー潤滑液供給パイプ30を通してワーク2とフロン
トシュー7との間及びワーク2とリアシュー8との間の
潤滑及びワーク2の冷却を行う潤滑液を供給する潤滑液
供給手段と、ウォーターカーテンノズル22に液体を供
給する液体供給手段とを備えて構成されている。
【0027】二重化された研削液供給パイプ14と研削
屑排出用空気供給パイプ16との間には、複数個のスペ
ーサ48を配設しており、研削屑排出用空気供給パイプ
16の内壁面で研削液供給パイプ14を支持している。
外側の研削屑排出用空気供給パイプ16は、チャック側
スピンドル12内に配設され、回転摺動を許容する滑り
軸受となるブッシュ50により外周面をチャック側スピ
ンドル12に回転自在に支持されている。これにより、
研削屑排出用空気供給パイプ16の回転が阻止されて、
回転継手を設けることを省くことができる。この研削屑
排出用空気供給パイプ16は、チャック側先端をドライ
ブプレート1の中央開口孔に挿入して、ワーク2に向け
て圧縮空気を供給する。内側の研削液供給パイプ14
は、そのチャック側の先端部分がドライブプレート1の
中央開口孔を挿通してワーク2近傍に至り、ワーク2の
内側から研削点P G上部に向けて研削液を供給する。
【0028】研削液供給手段による研削液の供給方法と
しては、オイル・エアー装置により供給する方法や、例
えば自動車の直噴エンジン等に用いられる高圧燃料供給
ポンプのような高圧ポンプを用いて研削液だけを高圧供
給する方法等が挙げられる。特に後者の高圧供給方法
は、冷風による冷却効果をより有効にできるため好まし
い。ワーク2を研削することで生ずる研削屑の排出は、
冷風供給パイプ20より供給する冷風と、研削屑排出用
空気供給パイプ16より供給する圧縮空気にて行う。な
お、研削屑排出用空気供給パイプ16より供給する圧縮
空気も冷風とすることで、冷却効果を増大できるため好
ましい。
【0029】前記冷風及び圧縮空気によりワーク2内か
ら吹き飛ばされた研削屑は、ウォーターカーテンに吸収
されて、排出孔34から排出されて回収される。また、
吸塵パイプ18を通して真空吸塵手段によっても研削屑
が吸引回収される。このように、二つの回収方法を併用
することにより、研削屑がより確実に回収でき、安定し
た研削加工が行えるようになる。また、潤滑液や研削液
の悪化を極力防止できる。フロントシュー7、リアシュ
ー8、ドライブプレート1と、ワーク2との間に供給す
る潤滑液は、フロントシュー潤滑液供給パイプ26とリ
アシュー潤滑液供給パイプ30の2本のパイプを通して
行う。この潤滑液は、ウォーターカーテンノズル22か
ら散布する液体と同じものにすることが好適であり、軸
受リングのように肉厚の小さいワークに対しては、その
外面より冷却できるように通常の水溶性研削液とするこ
とが好適であり、水溶性研削液を用いることで機械自身
の防錆効果も得られる。
【0030】ウォーターカーテンノズル22は、図3の
縦断面図に示すように、液体の流入口60の形成された
基体ブロック62と、基体ブロック62にネジ止めさ
れ、内部に液体の流路64とノズル固定穴66を備え、
一端側の内周面68が円錐形状に形成された吐出側ブロ
ック70と、ノズル固定穴66に皿バネ72を介して挿
入して流量調整ネジ74により進退調整可能に固定さ
れ、一端側に円錐面76を有するノズル部材78とから
なり、ノズル部材78と吐出側ブロック70との間に
は、円錐状の吐出流路80が形成される。また、基体ブ
ロック62と吐出側ブロック70との間は、Oリング8
2によりシーリングされて液体の機密性が保持される。
【0031】上記構成のウォーターカーテンノズル22
においては、流量調整ネジ74をねじ込むと、ノズル部
材78がノズル固定穴66に挿入され、円錐状の吐出流
路80が狭められて流量を制限できる。一方、流量調整
ネジ74を緩めると、皿バネ72の弾性復元力によりノ
ズル部材78がノズル固定穴66外側に押され、吐出流
路80が拡げられて流量を増加できる。これにより、吐
出流路80の流量調整を行える。吐出流路80を形成す
るノズル部材78及び吐出側ブロック70における円錐
面は、その傾斜角度α(β)に応じてウォーターカーテ
ンの広がり角度が決定される。また、吐出流路80の横
断面形状を円形から、例えば楕円形にすることにより楕
円状のウォーターカーテンとすることもでき、吐出流路
80の形状を適宜変更することで、所望の形状のウォー
ターカーテンを自在に形成できる。以て、装置内の必要
とされる領域のみ選択的にウォーターカーテンが形成で
きる。このウォーターカーテンノズル22と上記冷風供
給パイプ20は、アイアンカーテン32側に取り付けら
れ、冷風供給パイプ20には、その先端近くまで断熱材
21により被覆されており、断熱効果を高めて冷却効果
の低下を防いでいる。
【0032】このように内面冷風研削装置100では、
研削液を用いて内面研削を行う際に、研削液に加えて冷
風を用いることで、研削液の供給量を最小限にでき、研
削液の動圧効果による研削抵抗を大幅に低減できる。ま
た、冷風を用いることで研削液の場合と比較して粘度が
1/60程度となり、研削装置の剛性、スピンドル剛性
が低くても、同じサイズのワークを高精度に研削可能な
システムを提供できる。さらに、研削液の使用量や消費
動力を低減でき、地球環境の保全対策としても効果があ
る。また、ワーク2内への研削液の供給をチャック側後
部のチャック側スピンドル12内に設けた研削液供給パ
イプ11を通して行っているので、スペース効率が向上
し、冷風供給用の断熱スペースをより広く確保できるた
め、冷風供給時の断熱効果が高められる。そして、ワー
ク2を研削することで生ずる研削屑をチャック側後部の
チャック側スピンドル12内に配設した研削屑排出用空
気供給パイプ16を通して圧縮空気を送ることで攪拌し
つつ除去し、さらに飛び散った研削屑を吸塵パイプ18
とワーク2上部より発生させたウォーターカーテンによ
り回収するので、研削屑の回収を確実に行える。また、
ワーク2とフロントシュー16、リアシュー18及びド
ライブプレート1との各間に供給する潤滑液により、ワ
ーク2の冷却を補助できる。
【0033】このように、冷風研削によって超高速研削
に伴う研削液による法線抵抗の増大、砥石軸必要パワー
の増大を回避できるため、砥石軸の高速化が可能とな
る。また、法線方向の抵抗も減少するため、軸受径を一
段小さくでき、セラミックボール玉軸受けの使用も可能
となる。更には冷風を砥石スピンドルの軸受や内蔵モー
タ等に吹き付けることで冷却することで、従来のスピン
ドル構造のままで高速化が可能となる。そして、従来の
マグネット・シュータイプの研削装置の一部の構成を変
更するだけで、本発明を容易に適用することができる。
【0034】(II)第2実施形態 図4は、本発明に係る内面冷風研削装置200の第2実
施形態の構成を示す部分断面図である。また、図5は本
実施形態の内面冷風研削装置200を砥石スピンドル3
側から見た図である。この第2実施形態の内面冷風研削
装置200は、2ロール1シュー方式を採用している。
なお、図4及び図5において、前述した図1及び図2と
共通する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。
本実施形態の内面冷風研削装置200は、研削液供給パ
イプ14、研削屑排出用空気供給パイプ16が一体とし
て形成され、プレッシャーロータ支持体86内に挿通さ
れて、研削液及び研削屑排出空気の供給を行う構成とし
ている。このプレッシャーロータ支持体86には、砥石
スピンドル3側にプレッシャーロータ88が前記パイプ
14,16の軸線方向にスライド可能に、且つワーク2
と共に回転可能に取り付けられており、圧縮空気の供給
・供給解除により、ワーク2をフロントプレートへ押し
当て・押し当て解除する。
【0035】図4に示すワーク2の上方には、ワーク2
の外周面上側を押し当てる上下方向に移動可能な上ロー
ル92が設けられ、図5に示すレバー93を有するピボ
ット構造により上ロール92をワーク2側に加圧可能に
している。また、ワーク2の下方には、ワーク2の外周
面下側に接する下ロール94が設けられている。さら
に、図5に示すようにワーク2の研削位置の外周側に摺
接するシュー96を設けている。上ロール92、下ロー
ル94、シュー96と、ワーク2との間への潤滑液は、
ローディング性を考慮して、潤滑液供給パイプ97によ
りフロントプレート90側から供給する。 一方、冷風
は、ワーク2の手前側(図4右側)から断熱材21によ
り被覆された冷風供給パイプ20によってフロントプレ
ート90越しに供給している。なお、ウォーターカーテ
ンは、前述した第1実施形態のマグネット・シュー方式
と同様に形成し、研削屑の回収を行う。上記構成によっ
ても、第1実施形態の内面冷風研削装置と同様な作用効
果を得ることができる。
【0036】
【発明の効果】本発明の内面冷風研削方法によれば、内
面研削に冷風研削を適用するため、内面研削特有の高速
研削時における研削液の動圧効果による法線抵抗、研削
消費動力の急激な増大が避けられると共に、装置に高い
剛性を必要とさせることなく、より高速な研削が可能と
なる。このため、円環状を成したワークを扱う自動化生
産ラインにおいて問題視されていた内面研削工程を高能
率化することができ、ライン全体の高能率化を図ること
ができる。そして、冷風を併用して冷却を行うため、研
削液の使用量を最小限に抑えることができ、地球環境の
保全対策としても有効となる。
【0037】また、本発明の内面冷風研削装置によれ
ば、チャック側スピンドルに形成された貫通孔を通して
研削液と圧縮空気を供給することにより、冷風供給用の
断熱スペースをより広く確保でき、スペース効率の高い
構成にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内面冷風研削装置の第1実施形態
の構成を示す部分断面図である。
【図2】第1実施形態の内面冷風研削装置を砥石スピン
ドル側より見た図である。
【図3】ウォーターカーテンノズルの構造を示す縦断面
図である。
【図4】本発明に係る内面冷風研削装置の第2実施形態
の構成を示す部分断面図である。
【図5】第2実施形態の内面冷風研削装置を砥石スピン
ドル側より見た図である。
【図6】従来の内面研削の様子を示す図である。
【図7】従来の内面研削における研削液の状態を示す図
である。
【図8】法線研削抵抗と研削能率との関係を示すグラフ
である。
【図9】砥石周速と法線抵抗との関係を示すグラフであ
る。
【図10】砥石径とワーク径との関係を示す図である。
【図11】研削幅と法線抵抗及び研削幅と消費電力との
関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ドライブプレート 2 ワーク 3 砥石スピンドル 4 砥石 12 チャック側スピンドル 14 研削液供給パイプ 20 冷風供給パイプ 100、200 内面冷風研削装置 PG 研削点

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円環状を成した被加工物の内面研削を行
    う内面冷風研削方法において、 先端部にチャックを有するチャック側スピンドルに前記
    被加工物を固定し、該被加工物のチャック側とは反対側
    から砥石スピンドルにより被加工物の内周面を研削する
    際に、前記チャック側スピンドルの内部に軸方向に沿っ
    て形成された貫通孔を通じて被加工物に研削液を供給す
    る一方、前記砥石スピンドル側より前記被加工物の研削
    点を冷却するための冷風を供給することを特徴とする内
    面冷風研削方法。
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