JP2001107178A - 発錆増加の少ないCa含有鋼 - Google Patents

発錆増加の少ないCa含有鋼

Info

Publication number
JP2001107178A
JP2001107178A JP28547199A JP28547199A JP2001107178A JP 2001107178 A JP2001107178 A JP 2001107178A JP 28547199 A JP28547199 A JP 28547199A JP 28547199 A JP28547199 A JP 28547199A JP 2001107178 A JP2001107178 A JP 2001107178A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide
steel
inclusions
concentration
mmon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28547199A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiji Nabeshima
誠司 鍋島
Yasuo Kishimoto
康夫 岸本
Hideji Takeuchi
秀次 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17691958&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2001107178(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP28547199A priority Critical patent/JP2001107178A/ja
Priority to DE60035751T priority patent/DE60035751T2/de
Priority to CA002322146A priority patent/CA2322146C/en
Priority to EP00121691A priority patent/EP1091005B1/en
Priority to KR1020000058150A priority patent/KR100700249B1/ko
Priority to US09/680,088 priority patent/US6841123B1/en
Priority to TW089120798A priority patent/TW460590B/zh
Publication of JP2001107178A publication Critical patent/JP2001107178A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/004Very low carbon steels, i.e. having a carbon content of less than 0,01%
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/04Removing impurities by adding a treating agent
    • C21C7/064Dephosphorising; Desulfurising
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/002Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing In, Mg, or other elements not provided for in one single group C22C38/001 - C22C38/60

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Continuous Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ca含有鋼において従来懸念された、介在物を
起点とした発錆の増加を効果的に抑制する。 【解決手段】 Ca含有鋼中に含まれるCaOを含有する酸
化物系介在物のうち直径が2μm 以上の酸化物系介在物
の80%以上について、その平衡S溶解量(%S)inc.が0.03
wt%以下となるように、介在物組成および鋼中S濃度を
制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、発錆増加の少な
いCa含有鋼に関し、特に酸化物系介在物の低融点化によ
るクラスター状の巨大介在物の生成や連続鋳造でのノズ
ル詰まりの発生を防止すると共に、硫化物系介在物の熱
間圧延時における変形能を低下させるために、溶鋼中に
Ca(Ca合金)を添加した場合に懸念される、鋼中に含ま
れるCaOを含有した酸化物系介在物に起因した製品表面
における錆の発生を効果的に防止しようとするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】低炭素鋼や極低炭素鋼等の普通鋼ならび
に各種ステンレス鋼、特にそれらの薄鋼板においては、
製品表面が美麗であることが要求されている。これらの
鋼は、AlやTi, Si等による脱酸によって低酸素鋼とする
のが一般的であるが、Al脱酸やTi脱酸後の鋼中には通常
10〜80 ppm程度の酸素量に相当する Al2O3やTi酸化物を
主とする酸化物系介在物が不可避的に残留する。このよ
うな Al2O3やTi酸化物を主とする酸化物系介在物は、連
続鋳造においてタンディッシュからモールドへ注湯する
ために使用するイマージョンノズルの内壁に付着堆積
し、ノズルの閉塞を引き起こして安定鋳造を阻害するだ
けでなく、詰まり物の剥離、混入により、鋳片、製品に
おける介在物性欠陥となる。また、ノズル詰まりによっ
て、鋳型内の溶鋼流動に偏流をきたし、鋳型内湯面のパ
ウダーの巻き込みの原因となる。さらに、 Al2O3やTi酸
化物はクラスター状となって薄鋼板の表層部に残留し、
製品板に筋状欠陥を発生させて表面の美麗さを損なう原
因ともなる。
【0003】上記したような Al2O3, Ti酸化物に起因し
た問題を解決する方法として、アルミ脱酸した溶鋼にCa
を添加して、CaOとAl2O3 からなる酸化物組成とする方
法が知られている(例えば特開昭61−276756号公報、特
開昭58−154447号公報、特開平6-49523号公報等)。こ
の方法は、Caの添加によって Al2O3とCaを反応させ、 C
aO・Al2O3, 12CaO・7Al2O3, 3CaO・Al2O3 等を主成分と
する低融点の酸化物を形成させることによって所期した
目的を達成しようとするものである。
【0004】一方、耐HIC 鋼やバーリング性を要求され
る薄板用鋼では、鋼中のMnSが耐HIC 特性やバーリング
性に悪影響を及ぼすために、Caを添加してMnSの生成を
抑制する方法が知られている(例えば特開昭56−9317号
公報)。しかしながら、溶鋼中へCaを添加すると、この
Caが鋼中のSと反応してCaSを形成するが、このCaSが
発錆の原因となる。
【0005】この点、特開平6-559号公報では、かよう
な発錆を防止するために、鋼中に残留するCa量を5ppm
以上 10ppm未満とすることを提案しているが、たとえCa
量を10 ppm未満にしても、鋼中に残留する酸化物組成が
適正でない場合、特に介在物中のCaO濃度が高い場合に
は、鋼中に残留するCaO含有酸化物の周囲にCaSが生成
し、それが起点となって錆が生成する。その結果、製品
の発錆までの時間が短くなって、錆の発生量が増加し、
製品の表面性状の劣化を余儀なくされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述した
ように、ノズル詰まりの防止、 Al2O3やTi酸化物の無害
化および硫化物の制御などを目的としてCaを添加した鋼
において、従来問題となっていた、介在物に起因した発
錆を有利に解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、鋼中に
残留するCaO含有酸化物系介在物が全てその周囲にCaS
を生成し、発錆の起点となるのではなく、その組成によ
っては酸化物中のSの溶解度が低下し、温度低下時、凝
固時においても介在物周囲でのCaSの生成が少なく、発
錆の起点となりにくい酸化物も存在するという新規知見
を得た。この発明は、上記の知見に立脚するものであ
る。
【0008】すなわち、この発明は、Ca含有鋼中に含ま
れるCaOを含有する酸化物系介在物のうち直径が2μm
以上の酸化物系介在物の80%以上について、その平衡S
溶解量(%S)inc.が0.03wt%以下となるように、介在物組
成および鋼中S濃度を制御したことを特徴とする、発錆
増加の少ないCa含有鋼である。
【0009】この発明において、平衡S溶解量(%S)inc.
としては、前記酸化物系介在物の組成から計算される光
学的塩基度、鋳造温度および鋼の成分をパラメータとし
て下記式(1) によって計算される値を用いることが好ま
しい。 記 log(%S)inc.=(21920-54640Λ)/T+43.6Λ−23.9−log[a0]+log[wt%S] --- (1) ここで、 T:連続鋳造時の鋳造温度(K) [wt%S]:鋼中S濃度 [a0]:連続鋳造時の鋳造温度での溶鋼の酸素活量 ・Al脱酸時 loga0 =(-64000/T+20.57-2log[wt%Al]-0.086[wt%Al]
-0.102[wt%Si]) /3 ・Ti脱酸時 loga0 =(-60709/T+20.97-2log[wt%Ti]-0.084[wt%T
i])/3 ただし、Al, Ti含有時はa0 が小さい方を選択 Λ:酸化物系介在物の光学的塩基度 Λ= 1.0X(CaO)+ 0.605X(Al203)+0.61X(TiO2)+0.78X(MgO)+0.48X(SiO2) +0.55X(Cr203)+0.59X(MnO) --- (2) X(MmOn):酸化物の陽イオン等量 X(MmOn)=n×N(MmOn)/Σ(n×N(MmOn)) --- (3) N(MmOn):酸化物のモル分率 n:酸化物中の酸素の価数
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明を完成させるに至
った実験結果について説明する。Ar雰囲気の高周波溶解
炉にて、極低炭素鋼(C:0.0015〜0.0025wt%, Mn:0.
15〜0.22wt%, P:0.008 〜0.015 wt%, S:0.002 〜
0.020 wt%)を、Si脱酸後(Si:0.01〜2.0 wt%)、Al
脱酸またはTi脱酸またはAl−Ti脱酸した後、Ca添加(Fe
−Ca, CaSi, Ca:0.0005〜0.0040wt%)を施して、酸化
物組成を、Al2O3,Ti酸化物,Al2O3-Ti酸化物、またはSi
O2を含有する酸化物から、さらにCaOを含有する酸化物
に制御した。この際、Al, Ti, SiおよびCaの濃度を変え
ることによって、鋼中の酸化物組成を変更した。この溶
鋼を鋳造し、鋼塊中における大きさが2μm 以上の介在
物について、その組成および形態をEPMAおよびSEM-EDX
によって調査した。また、この鋼塊を圧延した薄鋼板か
ら試験片を採取し、この試験片を恒温恒湿槽試験器(温
度:60℃、湿度:95%)にて24時間の曝露試験を行っ
た。そして、暴露試験を行った試験片中の介在物につい
てもその組成および形態をEPMA、SEM-EDX にて調査し、
発錆と酸化物組成との関係を求めた。
【0011】図1に、鋼塊中の介在物のEPMA測定結果を
示す。同図に示したとおり、低融点のCaO濃度の高い C
aO−Al2O3 介在物(47wt%CaO-51wt%Al2O3-2wt%Ti2O3)で
は、介在物の内部および周囲にCaSが析出しているのに
対し、CaO濃度の低い CaO-Ti2O3-Al2O3介在物(23wt%C
aO-28wt%Al2O3-47wt%Ti2O3) では、介在物の内部および
周囲にCaSはほとんど析出していない。また、酸化物中
にCaSの析出している鋼塊の薄鋼板では、発錆量が多
く、しかも酸化物を起点として錆が生成していることが
判明した。
【0012】他の鋼塊の介在物組成についても数多く調
査し、酸化物組成とCaSの析出状態および発錆状況から
検討を重ねた結果、CaO濃度が高いすなわち酸化物の光
学的塩基度が高いほど酸化物の周囲にCaSが析出し、発
錆の起点となることが判明した。さらに、検討を繰り返
した結果、CaSの生成量、発錆量は、酸化物のサルファ
イドキャパシティが高く、しかも鋳造温度での溶鋼の酸
素活量が小さいほど増加することが判明した。
【0013】そこで、最終的な指標として、酸化物の光
学的塩基度と、AlまたはTi濃度から求められる鋳造時の
酸素活量を用いD.J.Sosinskyら(D.J.Sosinsky and I.
D.Sommerville, Met.Trans.B., 1986, Vol.17B, pp.33
1-337)が下記式(1) により求めた鋳造温度での酸化物
の平衡S溶解量(%S)inc.を指標として調査したところ、
その値が大きくなるほど酸化物の周囲に多量のCaSが生
成し、その結果、発錆量が増加することが判明した。な
お、式中の酸化物の光学的塩基度Λの値は、酸化物の組
成より次式(2) からJ.A.Duffy ら(J.A.Duffy and M.D.
Ingram, J.Inor. Nuclear Chem.,1975, Vol.37, pp.120
3-1206)による各酸化物の係数を用いて求めた。
【0014】記 log(%S)inc.=(21920-54640Λ)/T+43.6Λ−23.9−log[a0]+log[wt%S] --- (1) ここで、 T:連続鋳造時の鋳造温度(K) [wt%S]:鋼中S濃度 [a0]:連続鋳造時の鋳造温度での溶鋼の酸素活量 ・Al脱酸時 loga0 =(-64000/T+20.57-2log[wt%Al]-0.086[wt%Al]
-0.102[wt%Si]) /3 ・Ti脱酸時 loga0 =(-60709/T+20.97-2log[wt%Ti]-0.084[wt%T
i])/3 ただし、Al, Ti含有時はa0 が小さい方を選択 Λ:酸化物系介在物の光学的塩基度 Λ= 1.0X(CaO)+ 0.605X(Al203)+0.61X(TiO2)+0.78X(MgO)+0.48X(SiO2) +0.55X(Cr203)+0.59X(MnO) --- (2) X(MmOn):酸化物の陽イオン等量 X(MmOn)=n×N(MmOn)/Σ(n×N(MmOn)) --- (3) N(MmOn):酸化物のモル分率 n:酸化物中の酸素の価数 なお、介在物中のTiの酸化物の存在形態としては、前述
のEPMA測定結果に示すようにTi2O3 が主であるが、(2)
式によってΛを計算する場合には、これをTiO2に換算し
てX(TiO2)を算出して差し支えない。
【0015】次に、図2に、(1), (2)式より求めた鋳造
温度での酸化物の平衡S溶解量(%S)inc.と恒温恒湿槽試
験器(温度:60℃、湿度:95%)を用いた発錆試験での
酸化物周囲の発錆確率との関係について調べた結果を示
す。 同図に示したとおり、酸化物の平衡S溶解量(%S)inc.が
大きくなるに従って酸化物周囲の発錆確率は増加し、0.
03wt%超になると急激に発錆確率が増加している。
【0016】発錆試験前の平衡S溶解量(%S)inc.が0.03
wt%超の介在物の周囲には、CaSが発生している割合が
非常に高い。これは、介在物の周囲に生成したCaSは加
水分解性の介在物で、「鉄と鋼第57年第13号 P.301」に
示すように 2CaS +2H2O → Ca(OH)2+Ca(HS)2 Ca(HS)2+2H2O → Ca(OH)2+2H2S なる加水分解が起こり、またH2Sの解離によって鋼の腐
食が促進されるためである。
【0017】次に、図3に、試験片薄鋼板中の平均酸化
物組成から求めた鋳造温度での酸化物の平衡S溶解量(%
S)inc.と屋内曝露発錆試験(2週間、平均気温:18℃、
平均湿度:62%)での薄鋼板の発生点錆個数との関係に
ついて調べた結果を示す。 同図に示したとおり、酸化物の平衡S溶解量(%S)inc.が
大きくなるに従って鋼板での点錆個数は増加し、0.03wt
%超になると点錆個数が急激に増加する。
【0018】このように、鋼の発錆量は、介在物周囲に
おけるCaSの発生に大きく依存しており、一方このCaS
の生成については、酸化物系介在物の組成、鋳造時の温
度および溶鋼酸素活量から求められる鋳造温度での酸化
物の平衡S溶解量によって評価することができ、その値
が0.03wt%超になるとCaSの生成量が増加し、その結
果、著しく発錆が増加することが、数多くの実験により
解明されたのである。
【0019】
【作用】この発明は、溶鋼中にCa(Ca合金)を添加した
Ca含有鋼であれば全てに適合し、特に高炭素鋼、低炭素
鋼および極低炭素鋼等の普通鋼ならびにフェライト系、
マルテンサイト系およびオーステナイト系のステンレス
鋼等で、CaOを含む2μm 以上の酸化物系介在物を含有
している鋼に有利に適用することができる。ここで、Ca
含有鋼とは、Ca濃度が0.0005wt%以上の鋼を指す。この
ようなCa含有鋼において、Al脱酸鋼ではCaO-Al2O3 を主
とした酸化物が、Ti脱酸鋼では CaO−Ti酸化物を主とし
た酸化物が、Al−Ti脱酸鋼ではCaO-Al2O3-Ti酸化物を主
とした酸化物が、それぞれ鋼中に存在する。また、低A
l、低Ti鋼でSi脱酸鋼ではSiO2が、高Mn鋼ではMnOが、
ステンレス等の高Cr鋼ではCr2O3 が、Mg含有鋼では MgO
が、それぞれ酸化物中に含有するが、この発明は、いず
れの酸化物を含有する複合酸化物においても適用可能で
ある。また、その他の不可避的酸化物を含有していても
(≦5wt%)適用可能である。
【0020】また、この発明において、酸化物系介在物
のうちでも、粒径が2μm 以上の粒子だけを対象とした
のは、粒径が2μm 未満の微細粒子は発錆の起点になり
難いからである。なお、粒径が2μm 以上の酸化物系介
在物について、その全てを、上述したような組成範囲に
する必要はなく、少なくとも80%以上の酸化物粒子が適
正範囲にあれば良い。
【0021】この発明では、上述したような酸化物系介
在物について、前掲(1) 式で計算した酸化物の平衡S溶
解量(%S)inc.が0.03wt%以下になるように、介在物組成
および鋼中S濃度を制御することを特徴とするものであ
るが、酸化物の組成は、脱酸剤の選択、添加量の変更な
どにより制御可能である。
【0022】図4に、平衡S溶解量(%S)inc.と酸化物中
のCaO濃度との関係について調べた結果を例示する。同
図に示したとおり、平衡S溶解量(%S)inc.と酸化物中の
CaO濃度との関係は、鋼中S濃度や脱酸手段の違いによ
って幾分変化するけれども、いずれにしても平衡S溶解
量(%S)inc.が0.03wt%以下となるように酸化物中のCaO
濃度を制御することにより、製品表面における錆の発生
を効果的に防止することができる。
【0023】なお、クラスター状の巨大介在物の生成や
連続鋳造でのノズル詰まりの発生を防止するためには、
酸化物系介在物の低融点化が必要であり、概ね酸化物の
融点を1650℃以下とする必要である。従って、クラスタ
ー状の巨大介在物の生成防止、連続鋳造でのノズル詰ま
りの発生防止および製品の発錆抑制の両面から、酸化物
組成、鋼中S濃度を選択することが重要である。また、
連続鋳造時の鋳造温度は、鋼の凝固温度に加えて10〜80
℃程度の範囲が一般的である。
【0024】
【実施例】実施例1 転炉出鋼後、300tonの溶鋼を、RH真空脱ガス装置にて脱
炭処理し、成分をC:0.0020wt%, Mn:0.20wt%,P:
0.015 wt%,S:0.010 wt%にすると共に、温度を1600
℃に調整した。この溶鋼中に、Alを0.5 kg/ton添加し、
溶鋼中の溶存酸素濃度を 150 ppmまで低下させた。つい
で、この溶鋼に、 70wt%Ti−Fe合金を1.2 kg/ton添加
し、脱酸した。その後、溶鋼中に、30wt%Ca-60wt%Si 合
金ワイヤーを0.3 kg/ton添加し、成分調整を行った。処
理後のTi濃度は 0.050wt%、Al濃度は 0.002wt%、Ca濃
度は15 ppmであった。
【0025】次に、2ストランドスラブ連続鋳造装置に
て鋳造を行った。この時の、タンディッシュ内の溶鋼成
分は、Ti濃度は 0.050wt%、Al濃度は 0.002wt%、Ca濃
度は15 ppm、S濃度は 0.010wt%であり、鋳造温度は15
60℃であった。Arガス吹き無しで5チャージ連続鋳造後
のイマージョンノズル内には付着物はほとんど無かっ
た。この 220mm厚スラブを、3.5mm まで熱間圧延し、つ
いで 0.8mmまで冷間圧延したのち、 780℃で45秒間の焼
鈍を行った。
【0026】この製品コイルの成分は、Ti濃度:0.040
wt%、Al濃度:0.001 wt%、Ca濃度:15 ppm,S濃度:
0.010 wt%であり、EPMAで測定したコイル中の30個の平
均酸化物組成は (CaO):20wt%、 (Al2O3):20wt%、(T
iO2):60wt%であった。これより、鋳造温度での [a0]
=0.00076 、酸化物系介在物の光学的塩基度Λ=0.634
、[wt%S]=0.010 wt%となり、前掲(1) 式により求め
た酸化物の計算平衡S溶解量(%S)inc.は0.0084wt%であ
った。このコイルを、屋内曝露発錆試験(2週間、平均
気温:20℃、平均湿度:65%)に共し、発生した点錆個
数を測定したところ20個/100cm2で、Ca無添加のAl脱酸
鋼と同レベルであった。
【0027】比較例1 転炉出鋼後、300tonの溶鋼をRH真空脱ガス装置にて脱
炭処理し、成分をC:0.020 wt%、Mn:0.20wt%,P:
0.015 wt%,S =0.010 wt%にすると共に、温度を1600
℃に調整した。この溶鋼中に、Alを1.5 kg/ton添加し、
ついで 75wt%Ti-25wt%Fe合金を 0.6kg/tonを添加し、脱
酸した。 その後、溶鋼中に、30wt%Ca-60wt%Si ワイヤー
を0.4 kg/ton添加した。処理後のTi濃度は 0.050wt
%、Al濃度は0.035 wt%、Ca濃度は20 ppmであった。
【0028】次に、2ストランドスラブ連続鋳造装置に
て鋳造を行った。この時の、タンディッシュ内の介在物
を調査した結果、2wt%Ti2O3-52wt%CaO-46wt%Al2O3 の球
状介在物であった。また、この時のタンディッシュ内の
溶鋼成分は、Ti濃度は 0.050wt%、Al濃度は 0.030wt
%、Ca濃度は25 ppm、S濃度は 0.010wt%であり、鋳造
温度は1560℃であった。Arガス吹き無しで5チャージ鋳
造後、イマージョンノズル内には付着物はほとんど無か
った。このスラブを 3.5mmまで熱間圧延し、0.8 mmまで
冷間圧延したのち、 780℃で45秒間の焼鈍を行った。
【0029】この製品コイルの成分は、Ti濃度:0.040
wt%、Al濃度:0.030 wt%、Ca濃度:20 ppm、S濃度:
0.010 wt%であり、EPEAで測定したコイル中の30個の平
均酸化物組成は (CaO):50wt%、 (Al2O3):48wt%、(T
iO2):2wt%であった。これより、鋳造温度での [a0]
=0.00076 、酸化物系介在物の光学的塩基度Λ=0.666
7、[wt%S]=0.010 wt%となり、前掲(1) 式により求め
た酸化物の計算平衡S溶解量(%S)inc.は 0.106wt%であ
った。このコイルを、屋内曝露発錆試験(2週間、平均
気温:20℃、平均湿度:65%)に共し、発生した点錆個
数を測定したところ 252個/100cm2で、Ca無添加のAl脱
酸鋼や実施例1に比べると発錆個数の著しい増加を招い
た。
【0030】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、Ca含有鋼
において従来懸念された、介在物を起点とした発錆の増
加を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明と比較例の鋼塊中の介在物のEPMA測
定結果を示したものである。
【図2】 鋳造温度での酸化物の平衡S溶解量(%S)inc.
と恒温恒湿槽試験器(温度:60℃、湿度:95%)を用い
た発錆試験での酸化物周囲の発錆確率との関係を示した
グラフである。
【図3】 薄鋼板中の平均酸化物組成から求めた鋳造温
度での酸化物の平衡S溶解量(%S)inc.と屋内曝露発錆試
験(2週間、平均気温:18℃、平均湿度:62%)での薄
鋼板の発生点錆個数との関係を示したグラフである。
【図4】 平衡S溶解量(%S)inc.と酸化物中のCaO濃度
との関係を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 秀次 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4E004 MB14 MC00 NC04 4K013 AA07 AA09 BA14 CB01 CE01 DA03 DA08 DA12 EA19 EA25 EA28 FA01 FA02 FA05 FA13

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ca含有鋼中に含まれるCaOを含有する酸
    化物系介在物のうち直径が2μm 以上の酸化物系介在物
    の80%以上について、その平衡S溶解量(%S)inc.が0.03
    wt%以下となるように、介在物組成および鋼中S濃度を
    制御したことを特徴とする、発錆増加の少ないCa含有
    鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1において、平衡S溶解量(%S)in
    c.として、前記酸化物系介在物の組成から計算される光
    学的塩基度、鋳造温度および鋼の成分をパラメータとし
    て下記式(1) によって計算される値を用いることを特徴
    とする、発錆増加の少ないCa含有鋼。 記 log(%S)inc.=(21920-54640Λ)/T+43.6Λ−23.9−log[a0]+log[wt%S] --- (1) ここで、 T:連続鋳造時の鋳造温度(K) [wt%S]:鋼中S濃度 [a0]:連続鋳造時の鋳造温度での溶鋼の酸素活量 ・Al脱酸時 loga0 =(-64000/T+20.57-2log[wt%Al]-0.086[wt%Al]
    -0.102[wt%Si]) /3 ・Ti脱酸時 loga0 =(-60709/T+20.97-2log[wt%Ti]-0.084[wt%T
    i])/3 ただし、Al, Ti含有時はa0 が小さい方を選択 Λ:酸化物系介在物の光学的塩基度 Λ= 1.0X(CaO)+ 0.605X(Al203)+0.61X(TiO2)+0.78X(MgO)+0.48X(SiO2) +0.55X(Cr203)+0.59X(MnO) --- (2) X(MmOn):酸化物の陽イオン等量 X(MmOn)=n×N(MmOn)/Σ(n×N(MmOn)) --- (3) N(MmOn):酸化物のモル分率 n:酸化物中の酸素の価数
JP28547199A 1999-10-06 1999-10-06 発錆増加の少ないCa含有鋼 Pending JP2001107178A (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28547199A JP2001107178A (ja) 1999-10-06 1999-10-06 発錆増加の少ないCa含有鋼
DE60035751T DE60035751T2 (de) 1999-10-06 2000-10-04 Kalzium enthaltender rostbeständiger Stahl
CA002322146A CA2322146C (en) 1999-10-06 2000-10-04 Rust-resistant calcium steel
EP00121691A EP1091005B1 (en) 1999-10-06 2000-10-04 Rust-resistant calcium steel
KR1020000058150A KR100700249B1 (ko) 1999-10-06 2000-10-04 녹발생증가가 적은 Ca 함유강
US09/680,088 US6841123B1 (en) 1999-10-06 2000-10-05 Rust-resistant calcium steel
TW089120798A TW460590B (en) 1999-10-06 2000-10-05 Rust-resistant calcium steel

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28547199A JP2001107178A (ja) 1999-10-06 1999-10-06 発錆増加の少ないCa含有鋼

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001107178A true JP2001107178A (ja) 2001-04-17

Family

ID=17691958

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28547199A Pending JP2001107178A (ja) 1999-10-06 1999-10-06 発錆増加の少ないCa含有鋼

Country Status (7)

Country Link
US (1) US6841123B1 (ja)
EP (1) EP1091005B1 (ja)
JP (1) JP2001107178A (ja)
KR (1) KR100700249B1 (ja)
CA (1) CA2322146C (ja)
DE (1) DE60035751T2 (ja)
TW (1) TW460590B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016065319A (ja) * 2015-11-30 2016-04-28 Jfeスチール株式会社 高強度鋼板の表面性状の評価方法および高強度鋼板の製造方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6808550B2 (en) 2002-02-15 2004-10-26 Nucor Corporation Model-based system for determining process parameters for the ladle refinement of steel
BRPI0509128B1 (pt) * 2004-03-23 2014-11-11 Sintokogio Ltd Aparelho para moldagem de um molde e um molde de metal usado pelo mesmo
WO2013058131A1 (ja) * 2011-10-20 2013-04-25 新日鐵住金株式会社 軸受鋼とその製造方法
KR101899691B1 (ko) * 2016-12-23 2018-10-31 주식회사 포스코 수소유기균열 저항성이 우수한 압력용기용 강재 및 그 제조방법

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58154447A (ja) 1982-03-10 1983-09-13 Sumitomo Metal Ind Ltd 浸漬ノズルの閉塞防止方法
JPS5935619A (ja) * 1982-08-18 1984-02-27 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶接部靭性のすぐれた高張力鋼材の製造方法
JP2559692B2 (ja) 1985-05-31 1996-12-04 川崎製鉄株式会社 極低炭素冷延鋼板のフクレ欠陥防止方法
EP0512118B1 (en) * 1990-11-28 1997-04-23 Kawasaki Steel Corporation Process for continuous casting of ultralow-carbon aluminum-killed steel
JPH06559A (ja) 1992-06-18 1994-01-11 Omron Corp プレス装置
JPH0649523A (ja) 1992-07-31 1994-02-22 Kawasaki Steel Corp 冷延用アルミキルド鋼の溶製方法
CA2123470C (en) * 1993-05-19 2001-07-03 Yoshihiro Yazawa Ferritic stainless steel exhibiting excellent atmospheric corrosion resistance and crevice corrosion resistance
JP2999671B2 (ja) * 1994-06-14 2000-01-17 川崎製鉄株式会社 Ca添加鋼の溶製方法
JP3430672B2 (ja) * 1994-10-18 2003-07-28 Jfeスチール株式会社 極低炭アルミキルド鋼の溶製方法
JP3626278B2 (ja) * 1996-03-25 2005-03-02 Jfeスチール株式会社 クラスターのないAlキルド鋼の製造方法
TW408184B (en) * 1997-09-29 2000-10-11 Kawasaki Steel Co Manufacturing method for producing Titanium killed steel with smooth surface texture

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016065319A (ja) * 2015-11-30 2016-04-28 Jfeスチール株式会社 高強度鋼板の表面性状の評価方法および高強度鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP1091005B1 (en) 2007-08-01
TW460590B (en) 2001-10-21
US6841123B1 (en) 2005-01-11
CA2322146A1 (en) 2001-04-06
KR100700249B1 (ko) 2007-03-26
EP1091005A2 (en) 2001-04-11
KR20010039988A (ko) 2001-05-15
EP1091005A3 (en) 2003-12-10
CA2322146C (en) 2008-12-30
DE60035751D1 (de) 2007-09-13
DE60035751T2 (de) 2007-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH09263820A (ja) クラスターのないAlキルド鋼の製造方法
CA1070986A (en) Rare earth metal treated cold rolled non-oriented silicon steel
JP7260731B2 (ja) 高清浄鋼とその精錬方法
JPH08120326A (ja) 極低炭アルミキルド鋼の溶製方法
JP2001107178A (ja) 発錆増加の少ないCa含有鋼
JP7271261B2 (ja) 高純度フェライト系ステンレス鋼及び高純度フェライト系ステンレス鋼鋳片
CN113046616A (zh) 表面性状优异的不锈钢和其制造方法
JPH11100611A (ja) 含Ti極低炭素鋼の製造方法
JP2008095201A (ja) 表面性状の良好なチタンキルド鋼材およびその製造方法
JP3456295B2 (ja) 無方向性電磁鋼板用鋼の溶製方法
JP2001049322A (ja) 耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法
JP7413600B1 (ja) Fe-Ni系合金板及びその製造方法
JP3021736B2 (ja) 電磁材料及びその製造方法
JP4055252B2 (ja) 含クロム鋼の溶製方法
JP3928264B2 (ja) 含クロム鋼の溶製方法
JP3440061B2 (ja) 耐食性に優れた低温材料用Fe−Ni系合金板およびその製造方法
RU2768098C1 (ru) Лист из неструктурированной электротехнической стали и способ изготовления сляба, используемого в качестве материала для него
WO2021145279A1 (ja) フェライト系ステンレス鋼
JP2002161328A (ja) 磁気特性に優れるFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法
JP2001011528A (ja) 耐水素誘起割れ性に優れた鋼の溶製法
JP3153967B2 (ja) 耐銹性に優れた高Alステンレス鋼の製造方法
JP3137369B2 (ja) 極低炭素鋼板の製造方法ならびに溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH10212555A (ja) 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JPH08283823A (ja) 表面性状に優れた極低炭素鋼の製造方法
JPS626604B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060929

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081020

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081111

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090108

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20090108

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090310