JPH10212555A - 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JPH10212555A
JPH10212555A JP1504497A JP1504497A JPH10212555A JP H10212555 A JPH10212555 A JP H10212555A JP 1504497 A JP1504497 A JP 1504497A JP 1504497 A JP1504497 A JP 1504497A JP H10212555 A JPH10212555 A JP H10212555A
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JP
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steel sheet
steel
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JP1504497A
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Inventor
Takayuki Nishi
隆之 西
Mitsuyo Maeda
光代 前田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】結晶粒成長性を改善した、低Si 系の磁気特性
に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供す
ること。 【解決手段】C:0.01%以下、Si :0.01〜1%、Mn
:0.05〜1%、P:0〜0.15%、sol.Al :0.0001〜
0.002 %、Mg :0.002 %以下を含有し、鋼板中の酸化
物系介在物の組成が、酸化物系介在物の総重量に対して
MgO を8%以上、かつ、SiO2とMgO を合計で60%
以上含有するものであることを特徴とする磁気特性に優
れた無方向性電磁鋼板、および、真空処理して溶鋼中の
炭素濃度を0.0005〜0.01%にした後、Al 、Si を添加
した後Mg 処理することにより介在物の構成を上記の比
率にする方法、あるいは、上記のMg 処理後に再度真空
処理して鋼中のMg 含有量を0.001 %以下にする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気特性に優れた
無方向性電磁鋼板およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板の内で、Si 含有量が
1%程度以下の比較的低Si の無方向性電磁鋼板が、電
動機や小型の変圧器等に広範囲にかつ大量に使用されて
いる。世界的な電力、エネルギー節減の動きの中で電気
機器の高効率化が強く要望されており、これらの無方向
性電磁鋼板においても磁気特性が優れていること、特に
低鉄損であることへの要請が益々強まっている。無方向
性電磁鋼板の鉄損は、鋼板の結晶粒径がある範囲にある
時に最小となる。この最適結晶粒径は、通常の冷延鋼板
を焼鈍して得られる再結晶粒径よりもかなり大きいこと
から、焼鈍後の無方向性電磁鋼板の結晶粒径を大きくす
るために様々な方法が工夫されている。鋼板中に存在す
る介在物は鋼板を焼鈍するときの結晶粒の成長を阻害す
る。鋼板中の介在物の内で、たとえばMnS のような硫
化物系介在物については鋼のS含有量を低めることで、
また、微細なAlN 析出物に対しては、Al 含有量を高
めてAlN 析出物を粗大化させたり、逆にAl 含有量を
低くしてAlN 析出量を減少させるなどの方法で対応さ
れている。
【0003】種々の介在物の内で酸化物系介在物は量が
多いうえに、高温域で延性に富む介在物が多い。高温で
延性に富む介在物は熱間圧延時に延ばされ、冷間圧延で
さらに細かく分散されるので焼鈍時の結晶粒の成長を妨
げる。焼鈍時の結晶粒成長性を改善するために、酸化物
系介在物の組成を変更して延性の少ない介在物にする方
法も提案されている。
【0004】特開昭63-195217 号公報には酸化物系介在
物中のMnO の重量割合を15%以下にする方法が、特開
平7-150248号公報には介在物中のSiO2の重量割合を75
%以上にする方法が開示されている。また特願平8-2563
64号公報には、介在物の組成を規定すると共に、真空槽
内でMn を添加した後に真空脱炭を行ない、その後Si
脱酸することでMnO の重量割合を低める方法も開示さ
れている。
【0005】しかしながらいずれの方法とも介在物は基
本的にはSiO2−Al23 −MnO系で構成されてお
り、延性に富む組成の介在物を含んでいる。このため、
種々の方法でその構成比率を変更しても介在物の延性を
低減する効果には限界があり、結晶粒成長性に対する介
在物の無害化は十分ではなく、磁気特性の改善効果は限
定されたものであった。また、特開昭63-195217 号公報
や特開平7-150248号公報で開示されている方法では、基
本的には介在物中のSiO2濃度を上昇させる必要がある
ため、連続鋳造時にノズルが溶損したり、鋼板を打抜き
いて鉄心に加工する時の打抜き性を損なったり、介在物
による製品きずの原因になったりする問題もある。
【0006】別の方法として、Ca 処理を施して鋼中の
Sを結晶粒成長を阻害しにくいCaSにする方法が特開
昭59-74213号公報に開示されている。しかしこの方法で
は、Si とAl で強力に脱酸した後にCa を添加して溶
鋼中のSとOの合計を0.0035重量%以下にする必要があ
る。経済性も要求される低Si 系の鋼でこのような高純
度鋼を製造するのは困難である。また、この方法では酸
化物系介在物を無害化する方法については触れられてい
ない。
【0007】特開平3-126845号公報には、Ca /Sが0.
1 〜1.5 の範囲になるようにCa を添加し、CaS を生
成させてMnS とAlN の析出を抑制すると共に、磁気
特性に有害なAl23 系介在物をAl23 ―CaO 系介
在物に変化させて磁気特性を向上させる方法が開示され
ている。しかしながらこの方法においても、Al23
CaO 系介在物の中には熱延温度で延性を示す組成のも
のがあり、熱間圧延時に延伸されて冷間圧延後にはかえ
って微細化されて介在物個数を増加させる場合があるこ
と、他の酸化物系介在物の無害化には触れられていな
い、等の問題があり磁気特性の改善効果は十分ではな
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、結晶粒成長性を改善した低Si 系の磁気特
性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)に記載の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板、お
よび、(2)、(3)に記載のその製造法にある。
【0010】(1) 化学組成が、重量%でC:0.01%
以下、Si :0.01〜1%、Mn :0.05〜1%、P:0〜
0.15%、sol.Al :0.0001〜0.002 %、Mg :0.002 %
以下、残部はFe および不可避的不純物からなる無方向
性電磁鋼板であって、鋼板中の酸化物系介在物の組成
が、酸化物系介在物の総重量に対してMgO を8%以
上、かつ、SiO2とMgO を合計で60%以上含有するも
のであることを特徴とする磁気特性に優れた無方向性電
磁鋼板。
【0011】(2)溶鋼に真空処理を施して溶鋼中の炭
素含有量を0.0005〜0.01重量%にした後、Al およびS
i を添加して脱酸し、その後Mg 源を添加することを特
徴とする上記(1)に記載の磁気特性に優れた無方向性
電磁鋼板の製造方法。
【0012】(3)溶鋼に真空処理を施して溶鋼中の炭
素含有量を0.0005〜0.01重量%にし、Al およびSi を
添加して脱酸し、その後Mg 源を添加して脱酸し、再度
真空処理を施して鋼中のMg 含有量を0.001 重量%以下
にすること特徴とする上記(1)に記載の磁気特性に優
れた無方向性電磁鋼板の製造法。
【0013】本発明は、低Si 系の無方向性電磁鋼板の
結晶粒成長を阻害する介在物を無害化する方法について
の、下記の新たな考え方に基づいて完成されたものであ
る。 (a)Si 含有量が少なく、その介在物が基本的にSi
2−Al23 −MnO系で構成されている鋼では、介在
物中のMnO の比率が高くなる、すなわち熱間圧延され
る時に圧延方向に延ばされやすい介在物が多くなる可能
性が高い。また、Si 含有量が少ないと製鋼時に弱脱酸
の傾向になり、介在物の個数が多くなりやすい。しか
し、低Si 鋼であっても、酸素と強い親和力を持つ元素
を添加すれば酸素との親和力の弱いMnO の生成を防ぐ
ことができる。さらに溶鋼の撹拌処理や真空処理等を適
正に施すことで介在物を浮上、除去することができる。
【0014】(b)酸素と親和力の強い元素としては、
介在物の主な構成要素であるSiO2と結合しても融点が
低くなりにくく、鋼に残存しても磁気特性に悪影響を及
ぼさず、また必要に応じて過剰な部分を容易に除くこと
ができるものであることが望ましい。溶鋼に添加しやす
いの形状のものが容易に入手できることも必要な条件で
ある。
【0015】これらの条件を満たす元素としてはMg が
最も適している。Mg を用いて溶鋼を処理することで介
在物個数を減少させると共に、残存する介在物もMgO
を含有することで融点が1500℃以上に上昇し、熱間圧延
温度域では非延性な介在物となる。このため、熱間圧延
されても延ばされ難くなり、結晶粒成長性に対する介在
物の悪影響が除かれて磁気特性が改善できる。また、真
空脱ガス処理を適切におこなえば上記の処理を効率的に
施すことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の内容を具体的に
説明する。なお、以下に記す%表示は重量%を意味す
る。
【0017】(1)鋼の化学組成 C:磁気特性を劣化させるので少ないほど好ましい。電
磁鋼板としての特性を満たすために、C含有量の上限を
0.01%とする。
【0018】Si :鋼を脱酸するため、および鋼の電気
抵抗を高めて鉄損を低減するために用いられる。Si
は、脱酸効果を得るために0.01%以上含有させる。他方
Si 含有量が増すにつれて磁束密度が低下するので、そ
の上限は1%とする。
【0019】Mn :不可避的不純物であるSを固定し、
Sによる熱間脆性を防止するために0.05%以上含有させ
る。Mn は鋼の固有抵抗を高めて鉄損を下げる効果があ
るが、Mn 含有量が増すと延性に富むMnO 系の介在物
が増すおそれがある。MnO系の介在物の生成を抑制す
るためにMn 含有量の上限を1%とする。なお、後述す
るMg 処理の効果を確実にし合金鉄を節減するためにM
n 含有量は0.5 %未満とするのが好ましい。
【0020】P:鋼の固有抵抗を高めて鉄損を改善する
とともに、鋼を硬くして打抜き性を改善する作用がある
ので必要に応じて添加できる。打抜き性を向上させるた
めには0.005 %以上含有させるのが好ましい。過度に含
有させると鋼が脆化するので、その上限は0.15%とする
のが好ましい。
【0021】sol.Al :本発明ではAl は、健全な鋼を
得るための脱酸剤として用いる。しかし、過剰にsol.A
l を含有すれば、AlN 析出物が生成して磁気特性を損
なうので好ましくない。このため、sol.Al の含有量は
0.002 %以下とする。脱酸効果を確実にするために0.00
01%以上含有させる。
【0022】Mg :本発明ではMg を用いて溶鋼の脱酸
処理をおこなうので、最終製品にも不可避的にMg が含
有される。Mg が過剰に含有され、かつ他の不可避的不
純物例えばSやNの量が多い場合にはこれらと析出物を
形成するおそれがある。これを避けるためにMg の含有
量は0.002 %以下とする。後ほど述べるように、Mg処
理後に真空処理を施せばMg 処理が効率的に施せるう
え、Mg の残留量も0.001 %以下とすることができる。
Mg は必ずしも鋼板に残存させる必要はないので含有量
の下限は規定しないが、脱酸効果を確実にするためには
0.0001%程度以上含有させるのが好ましい。
【0023】上記以外の元素はFe および不可避的不純
物である。不可避的不純物は少ないほど好ましいが、特
にSおよびNは磁気特性を損なうので、Sは0.01%以
下、Nは0.005 %以下にするのが望ましい。また、全酸
素含有量(化学分析で求められる酸素であり、鋼中に溶
存する酸素と介在物中の酸素からなる)は0.01%以下に
するのが望ましい。本発明の製造方法ではMg を用いて
脱酸処理をするので、全酸素含有量を上記の値以下にす
るのは容易である。
【0024】(2)介在物の組成 酸化物系介在物の融点を高めて熱間圧延段階で延ばされ
にくいものにするには、介在物の組成を、鋼板中の酸化
物系介在物の総重量に対する重量比でMgO を8%以
上、かつSiO2とMgO を合計で60%以上とする必要が
ある(以下、介在物の組成を示す%表示は、鋼板中の酸
化物系介在物の総重量に対する比率を意味する)。この
範囲の組成を有する介在物は融点が高いために熱間圧延
温度域でも延性が乏しく、熱間圧延されても延ばされに
くい。その結果冷間圧延された後も破砕されることが少
ないので冷延鋼板での介在物個数は少なくなり、焼鈍時
に結晶粒が容易に成長できる。
【0025】MgO 比率が8%に満たない場合にはMg
による脱酸効果が不十分となる。また、SiO2とMgO
の合計が60%に満たない場合には、介在物中のMnO 比
率を減少させる効果が不十分になる。酸化物系介在物中
のMgO 比率およびSiO2とMgO の合計の比率は高い
ほど好ましい。
【0026】なお上記以外の介在物としてはAl23
CaO、MnO などが含まれる。これらの介在物の構成
比率は特定するものではないが、塑性変形しにくい介在
物であることが望ましいので、これらの酸化物系介在物
の総重量に対する比率をAl23 ≦20%、CaO ≦20
%、MnO ≦30%となるようにするのが好ましい。
【0027】介在物の組成は、SiO2、MgO 、Al2
3、CaO、MnO 濃度について、ヨウ素−メタノール法
で介在物を抽出し、その組成を分析によって求めること
ができる。
【0028】(3)鋼の製造方法 本発明の鋼板を製造する溶鋼は、転炉、電気炉等、通常
用いられる方法で製造できる。溶鋼の化学組成は、最終
の溶鋼組成が実現できるものであればよいので特別な制
限はない。例えば転炉鋼の場合であれば、転炉から出鋼
する時の化学組成で、Si :0.05〜0.5 %、Mn :0.01
〜0.1 %、P:0.005 〜0.15%であればよい。Cは、望
ましくは0.03〜0.08%である。
【0029】溶鋼は真空処理して脱炭される。真空処理
の手段は、RH脱ガス装置、VODおよびタンク脱ガス
装置等、溶鋼を0.01気圧以下で真空処理を行うことが可
能な、一般的に用いられている装置を用いることができ
る。
【0030】溶鋼中のC含有量は真空処理により0.0005
〜0.01%とするのが好ましい。C含有量を0.0005%以上
とするのは、溶鋼中の酸素含有量が増加しすぎるのを防
ぐためである。溶鋼中のC含有量が0.01%を超えると最
終製品に必要なC含有量が得られない。
【0031】真空処理を施す間の溶鋼中の酸素含有量は
0.01〜0.07%に制御するのが望ましい。真空処理時の脱
炭反応は、溶鋼中の炭素と酸素の溶解度積と真空度によ
って決まる。溶鋼中の酸素含有量が0.01%に満たない場
合は0.005 気圧程度の実用的な高真空下でも脱炭速度が
遅く、炭素含有量を0.01%以下にするのは困難である。
溶鋼中の酸素含有量が0.07%を超える場合には、Al お
よびSi による脱酸とMg 処理を実施しても、脱酸に多
大な時間を要し脱酸が不十分となり、介在物が多量に生
成して清浄度が悪化するからである。真空度は、所用の
時間内に脱炭ができる程度でよいが、例えば真空度は0.
01気圧以下にすることが適当である。処理時間が長くて
も構わない場合には、0.05気圧程度の真空度でも良い。
【0032】脱炭が終了した後にAl およびSi を添加
して脱酸する。
【0033】Al の添加量は溶存酸素を脱酸するのに必
要な量であればよい。前記の(1)で述べたように、鋼
板中のsol.Al 含有量は0.002 %以下にする必要があの
で、過剰に添加するのは好ましくない。また、Mg 処理
を施した後の介在物中のAl23 含有量を20%以下にす
るためにもsol.Al を過剰に含有させるのは好ましくな
い。Al を添加する方法は任意であり、ショットアルミ
を用いる等通常の添加方法でよい。
【0034】Si は、溶鋼中に残っている溶存酸素を脱
酸するとともに鋼板製品に必要な量を添加される。鋼板
中のSi 含有量は、0.01%以上必要である。その理由
は、Si 含有量が0.01%を下回ると、脱酸不足になると
ともに、Mg 処理を施した後の介在物中のSiO2含有量
が少なくなり、介在物中のSiO2+MgO が60%に満た
なくなるからである。
【0035】なお、Mn は、必要に応じて通常用いられ
るFe −Mn 合金などの形態で、転炉出鋼時やその後の
真空処理時に添加できる。次にMg 処理を施す。Mg 処
理とは、金属Mg を金属単体で、あるいは他の金属との
合金などにして溶鋼に添加することを意味する。Mg は
酸素と親和力が強いので、溶鋼と接触した際に溶鋼中の
酸化物系介在物と反応してMgO 含む介在物を形成す
る。
【0036】Mg 添加に用いる合金の種類は特定するも
のではないが、Fe −Mg 合金、Fe −Si −Mg 合金
などが好ましい。これらの合金などの形態は任意である
が、取り扱いの容易さからいえば、これらのMg 源の金
属を塊状もしくはワイヤー状に加工して用いるのが好適
である。塊状にすると、例えばRH槽内への添加が容易
であり、ワイヤー状にすればVODプロセスでの取鍋へ
の添加が容易である。
【0037】Mg を添加する時期は任意であるが、溶鋼
と充分に接触させて介在物と効率よく反応させるために
は、溶鋼面がスラグから露出しておりかつ溶鋼の攪拌が
充分におこなわれている状態で添加するのが望ましい。
従い、RH槽内やVODチャンバー内等の真空処理装置
内で、脱酸処理に引き続いてMg 処理を施すのが好適で
ある。Mg 処理を施す温度は特に限定されないが、Mg
は蒸気圧が高い活性な元素であるので、低い温度で添加
するのが望ましい。添加時の雰囲気については特別な制
限はないが、上記と同様の理由で、不活性な低真空度の
状態で添加するのが望ましい。
【0038】本発明の方法によるMg の添加量は溶鋼中
の介在物量、添加形態および添加方法で大きく異なる
が、例えばMg 原単位で、溶鋼トンあたり0.01〜1kg程
度必要である。
【0039】(4)Mg 処理後の真空処理 Mg 処理は、Mg を溶鋼に添加することによってSiO2
−Al23 −MnO 系介在物をSiO2−MgO 系介在物
に変化させることが目的であり、溶鋼中にMgを含有さ
せる必要はない。むしろ、Mg はNやSとも親和力が強
いので、Mg が過剰に含有されるとMg 硫化物やMg 窒
化物等を析出したり、熱間加工性に影響を及ぼす場合が
あるので好ましくない。Mg は、蒸気圧が高いので真空
処理を施すことにより、溶鋼に溶解している過剰のMg
を除去できる。この真空処理は、脱炭処理を施すのと同
じ装置で施せるので、これを用いてMg 処理に引き続き
再度真空処理をおこなうのが好ましい。このときの真空
槽の圧力は、0.05気圧以下であればよく、0.01気圧以下
であればさらに好ましい。0.05気圧以下で処理すれば溶
鋼中に残留するMg の量は0.0005%以下にでき、0.01気
圧以下であればその処理時間を1/2 に短縮できる。
【0040】また、この真空処理時に溶鋼が攪拌される
ことによる別の効果として、介在物の浮上が促進され
る。この結果、介在物の個数そのものが減少するので結
晶粒の粗大化を阻害する要因が減少し、さらなる磁気特
性の向上が期待できる。
【0041】このようなプロセスで、鋼板の目標成分お
よび介在物組成に調整されて製造された鋳片は、通常の
条件で熱間圧延、冷間圧延および焼鈍などの工程を経て
電磁鋼板とすればよい。鋳片を最終の電磁鋼板に仕上げ
るための製造工程において、良好な磁気特性を得るため
に望ましい条件は次のとおりである。熱間圧延工程での
スラブ加熱温度は1250℃以下、仕上げ温度は800 〜950
℃とし、巻き取り温度は500 〜700 ℃とするのがよい。
磁気特性をさらに向上させる場合には、冷間圧延前の熱
延鋼板に焼鈍を施しても良い。
【0042】
【実施例】
(実施例1)転炉を用いて精錬し、RH脱ガス装置を用
いて真空処理して表1に示す鋼A〜鋼Qを溶製した。
【0043】
【表1】
【0044】鋼A〜鋼Iと鋼N〜鋼Qは、RH脱ガス装
置を用いて真空処理を施して化学組成と介在物組成を制
御した後、RH槽内にてMg を添加した。その内、鋼F
〜鋼Iについては、Mg 処理後さらに0.01Torr以下の真
空度で5分間の真空処理を施した。鋼J〜鋼Mは、RH
脱ガス装置で真空処理したがMg 処理は施さなかった。
その後、これらの溶鋼は連続鋳造でスラブとし、スラブ
加熱炉に装入して1180℃に加熱し、仕上温度870 〜890
℃、巻取温度660 〜680 ℃で板厚2.0 mmに熱間圧延し、
脱スケール後冷間圧延して板厚0.5 mm厚に仕上げ、連続
焼鈍炉で850 ℃に加熱して1分間保持した後冷却し、通
常の無方向性電磁鋼板と同様の有機成分と無機成分を含
有した複合組成からなる表面絶縁コーティングを施し
た。
【0045】得られた鋼板について、JIS C 2550に規定
されるエプスタイン試験法によって鉄損(W15/50)と
磁束密度(B50)を測定した。またそれぞれの鋼板の介
在物をヨウ素−メタノール法で抽出し、酸化物系介在物
の総重量に対するSiO2、MgO 、Al23、CaO、M
nO の比率を測定した。これら鋼の鋼板中の酸化物系介
在物の組成と、磁気特性評価結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表2に示されているように、鋼の化学組成
と酸化物系介在物の組成が本発明で規定する条件を満た
している鋼A〜鋼Iは、鉄損がW15/50 で4.7 w/kg未
満、磁束密度がB50で1.78Tesla以上の良好な磁気特性
を示す。特にMg 処理後に真空処理を施した鋼F〜鋼I
は、4w/kg未満の優れた鉄損を示す。
【0048】鋼の化学組成が適正な範囲にあっても、酸
化物系介在物の組成が適正な範囲にならなかった鋼J〜
鋼Mの磁気特性は好ましくなかった。また、鋼N〜鋼Q
は鋼の化学組成が本発明の規定する条件から外れている
うえ酸化物系介在物の組成も適正な範囲にならなかった
のでいずれも磁気特性が好ましくなかった。
【0049】表2に示されているように、本発明の規定
する方法でMg 処理を施すことで酸化物系介在物の組成
を本発明が規定する範囲にできる。さらに、Mg 処理に
引き続いて真空処理を施せば鋼中のMg 含有量を低くす
ることができる。
【0050】
【発明の効果】本発明の無方向性電磁鋼板は、介在物が
熱間圧延時に延ばされ難く、また、その量も少ないので
冷間圧延後の焼鈍時の結晶粒成長性に優れる。このた
め、低Si 系でありながら良好な鉄損と磁束密度をしめ
す。また、この電磁鋼板は、溶鋼にMg 処理と真空処理
を適正に施すことで容易に製造できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学組成が、重量%でC:0.01%以下、S
    i :0.01〜1%、Mn :0.05〜1%、P:0〜0.15%、
    sol.Al :0.0001〜0.002 %、Mg :0.002 %以下、残
    部はFe および不可避的不純物からなる無方向性電磁鋼
    板であって、鋼板中の酸化物系介在物の組成が、酸化物
    系介在物の総重量に対してMgO を8%以上、かつ、S
    iO2とMgO を合計で60%以上含有するものであること
    を特徴とする磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】溶鋼に真空処理を施して溶鋼中の炭素含有
    量を0.0005〜0.01重量%にした後、Al およびSi を添
    加して脱酸し、その後Mg 源を添加することを特徴とす
    る、請求項1に記載の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】溶鋼に真空処理を施して溶鋼中の炭素含有
    量を0.0005〜0.01重量%にし、AlおよびSi を添加し
    て脱酸し、その後Mg 源を添加して脱酸し、再度真空処
    理を施して鋼中のMg 含有量を0.001 重量%以下にする
    こと特徴とする、請求項1に記載の磁気特性に優れた無
    方向性電磁鋼板の製造法。
JP1504497A 1997-01-29 1997-01-29 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Pending JPH10212555A (ja)

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