JP3252692B2 - 磁気特性のすぐれた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

磁気特性のすぐれた無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JP3252692B2
JP3252692B2 JP3586496A JP3586496A JP3252692B2 JP 3252692 B2 JP3252692 B2 JP 3252692B2 JP 3586496 A JP3586496 A JP 3586496A JP 3586496 A JP3586496 A JP 3586496A JP 3252692 B2 JP3252692 B2 JP 3252692B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器の鉄心と
して広く用いられる磁気特性にすぐれた無方向性電磁鋼
板およびその製造方法に関する。無方向性電磁鋼板に
は、鋼板の製造業者側で冷間圧延後の仕上焼鈍をおこな
い、使用者側ではとくには焼鈍はせずに鉄心に使用する
フルプロセス材と、使用者側にて打抜き加工後焼鈍する
ことを前提に製造されるセミプロセス材とがあるが、本
発明はこれらいずれの場合にも適用される。
【0002】
【従来の技術】電気機器の鉄心に使用される電磁鋼板に
は、無方向性電磁鋼板と方向性電磁鋼板とがあり、電力
用の変圧器に主として用いられる方向性電磁鋼板に対
し、無方向性電磁鋼板は汎用モーターや小形モーターあ
るいは小形変圧器などに広く使用される。電気機器に
は、たとえば発電機のように回転エネルギーを電気エネ
ルギーに変えるものもあり、変圧器のように電圧を上げ
たり下げたりして使用しやすい形に変るもの、あるいは
モーターなど電気エネルギーを回転その他の機械的エネ
ルギーに変えるものがある。このようなエネルギー変換
をおこなう機器においては、発熱などエネルギーの無駄
な損失をできるだけ低く抑える必要があり、それに使用
される鉄心は損失が少なく高効率、すなわち低鉄損で高
磁束密度であることが要求される。
【0003】電磁鋼板の鉄損は、渦電流損とヒシテリシ
ス損とに分けられる。渦電流損は電気抵抗を増せば低下
することから、鉄損の低い無方向性電磁鋼板を得るため
には、通常、電気抵抗を増す効果のあるSiを多く含有
させる。しかしながら、Siの添加は磁束密度を低下さ
せる傾向にあり、さらに添加によりコスト上昇ばかりで
なく、鋼を硬くし、圧延の変形抵抗を増すなどの問題も
生じてくる。
【0004】一方、ヒシテリシス損は、無方向性電磁鋼
板の場合、Siなどの化学組成が同じであれば、鋼板の
結晶粒径が大きくなるにつれて減少する。ただし、結晶
粒が大きくなると渦電流損は増加する傾向にあり、この
ため鉄損が最小値を示す最適結晶粒径があるとされてい
る。しかし、その最適結晶粒径は、一般の数十%以上の
冷間圧延後の焼鈍によって得られる再結晶粒径よりはか
なり大きいものであり、鉄損低減のためには、焼鈍後の
結晶粒径ができるだけ大きくなるよう、種々の工夫がな
されるのが普通である。
【0005】Si含有量レベルの低い無方向性電磁鋼板
においては、焼鈍時の結晶粒成長をできるだけ容易にす
るために、粒成長を阻害する微細な析出物の低減がはか
られる。例えば特開昭 63-195217号公報の発明では、so
l.Alを 0.001〜 0.005%(重量%:以下「重量」を省
略)に限定して微細なAlNの生成量を低減させたり、
特開昭 61-119652号公報の発明のように逆にAlを0.15
〜0.60%に高め、AlN析出物を粗大化させてその影響
を減退させたりする方法が知られている。また、SもM
nSの様な析出物となって粒成長を阻害するので、一般
にはできるだけ低く抑えられる。
【0006】このような窒化物や硫化物の微細析出物の
他に、酸化物系の介在物も結晶粒の成長を阻害すること
が知られている。例えば、上述の特開昭 63-195217号公
報では、C: 0.015%以下、Si: 0.1〜 1.0%、sol.
Al: 0.001〜 0.005%、Mn: 1.5%以下、S: 0.0
08%以下、N:0.0050%以下、tot.O(鋼中の全酸
素):0.02%以下を含む無方向性電磁鋼板において、鋼
中のSiO2 、MnO、Al2 3 の3種の介在物の総
重量に対するMnOの重量の割合を15%以下とすれば、
結晶粒成長を阻害する低融点介在物がなくなって、焼鈍
後の平均結晶粒が大きくなり磁気特性が向上する発明を
提示している。また、sol.Alが0.0005以上0.0010%未
満である以外は全く同一の化学組成で、鋼中の介在物S
iO2 、MnO、Al2 3 の3種の総重量に対するM
nOの重量の割合が15%以下、SiO2 の重量の割合を
75%以上に規制した、上記と同様な粒成長性を改善させ
た電磁鋼板の発明も特開平7-150248号公報に提示されて
いる。
【0007】酸化物系の介在物が結晶粒の成長を阻害す
る理由については、上記の発明ではMnOの重量の割合
が15%を超えSiO2 の重量の割合が75%を下回るよう
になると、その軟化点が低下して介在物が圧延中に伸ば
され、これが焼鈍時の結晶粒成長を妨げるためとしてい
る。鋼中の酸化物系介在物の組成比率を変えれば介在物
は球状になり、そうなると結晶粒成長を抑制する作用は
小さいので、粒成長性は改善されるという。しかしなが
ら、MnOの重量の割合を15%以下にする方法として、
これらの発明では転炉出鋼時に従来よりも多量のFe−
Mn合金を添加し、Mnによる溶鋼の脱酸を強化してい
る。Si含有量が低く、他の合金元素をほとんど添加し
ないこのような無方向性電磁鋼板では、コストをできる
だけ低くして作ることも強く要望されているが、脱酸の
ためにMnOを生じて多量のMnを消耗させることはコ
ストの上昇を招く。さらに、SiO2 介在物の比率を増
し75%以上になるようにすると、連続鋳造時のノズル閉
塞を生じやすくなり、鋼板から電気機器の鉄心にするた
めの打抜き加工性を劣化させ、さらに製品の疵発生の原
因になりやすい。
【0008】本発明は、鋼中の酸化物系介在物の形態が
磁気特性向上に影響していることに着目し、その組成比
率を変えることにより、磁気特性ばかりでなくその製造
コストや外観および打抜き加工性も改善した、Si含有
量の低い無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供し
ようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶鋼の段
階で極低炭素化する方法で製造される、Si 1.0%以
下、Mn 1.0%以下の純鉄系の無方向性電磁鋼板におい
て、化学組成ではとくに異常がないにもかかわらず磁気
特性の劣るものがしばしば出現することに遭遇し、その
原因と対策の検討をおこなった。まず、ほぼ同じ組成で
同じ製造条件であるとして製造された鋼板の中から、磁
気特性の大きく異るサンプルを抽出し、金属組織や製造
工程の条件を詳細に調査した。その結果、磁気特性のよ
くないサンプルは結晶粒の成長が悪く、さらに調査をす
すめたところ、その原因は酸化物系介在物の分散状態が
結晶粒成長を阻害しているためと推定された。すなわ
ち、熱間圧延で展伸した低融点の酸化物が、冷間圧延で
微細に破砕されて点列状に分散し、これが焼鈍中の粒界
移動を妨げ結晶粒の成長を阻害するのである。これらの
酸化物系介在物の組成を調査した結果、粒成長阻害が甚
だしい場合は、MnOの比率が高くなる傾向が見出され
た。
【0010】そこで次に、脱炭を主目的としておこなう
溶鋼の真空処理の条件や脱酸剤の添加方法を変え、これ
ら酸化物系介在物の組成をとくに意図して変化させて種
々の鋼を溶製し、圧延、焼鈍等をおこなって磁気特性に
およぼす介在物の影響を調査した。
【0011】この場合、酸化物系の介在物は、その組成
を変化させ無害化しようとしているとはいえ、総量は少
ないほど磁気特性や結晶粒成長性によい筈であり、その
ためにはtot.Oはできるだけ低くすべきである。通常、
脱酸を目的に添加されるAlは、鋼中の酸化物の形態は
変えるがtot.Oは低下できず、その上、添加量が増して
sol.Alが存在するようになると、微細なAlNが析出
してきて結晶粒成長を阻害する。そこで、真空処理にお
ける脱炭は同時に有力な脱酸方法でもあることから、真
空における脱炭反応の活用による溶鋼の脱酸を極力おこ
なわせてtot.Oを低減させ、その上で、sol.Alが 0.0
02%を超えないようAlを添加して補完的な脱酸をおこ
なった後、SiやMnなどを添加して目的とする化学組
成に調整するようにした。
【0012】その結果、前述の特開平7−150248
号公報の発明のようにSiO 、MnOおよびAl
の3種の総重量に対するSiO重量の割合を
75%以上にするするよりは、それを66.7%以下と
した方がより一層磁気特性が改善されることが明らかに
なった。また、前述の特開昭63−195217号公報
の発明では、MnO量の割合の低下のため、転炉出鋼時
の真空処理前にMnを添加して脱酸をおこなわせてい
る。これに対し、鋼中に脱酸生成物を作らない真空処理
による脱酸を極力おこなわせると、鋼中の酸化物系非金
属介在物量は大幅に低減するが、それと共に介在物の組
成が変化して磁気特性の向上により適したものとなり、
さらに向上効果が大きくなったのではないかと考えられ
た。
【0013】以上のような知見に基づき、磁気特性ばか
りでなく表面疵の発生や打抜き性への影響、さらには製
造時の作業性等を調査して、好ましい酸化物系介在物の
組成の限界を明確にし、製造時の条件も検討して本発明
を完成させた。本発明の要旨は次のとおりである。
【0014】(1)重量%で、C:≦0.01%、S
i:0.01〜0.68%、Mn:0.01〜1.0
%、P:≦0.15%、S:≦0.035%、tot.
O(鋼中の全酸素):0.008〜0.02%、so
l.Al:<0.002%で、かつMn(%)/S
(%)≧10であって(以下このような組成比の(%)
を省略して記述する)、さらに鋼中に存在するMnO、
SiOおよびAlの3種の酸化物系介在物
の組成重量比が MnO/SiO≦0.43 ・・・・・・・ 0.1≦Al/SiO≦1.0 ・・・ SiO/(SiO+MnO+Al≦0.667 ・・ であり、残部はFeおよび不可避的不純物であることを
特徴とする磁気特性および打抜き性にすぐれた無方向性
電磁鋼板。
【0015】(2)真空処理により溶鋼中のCを0.0
1%以下、O(酸素)を0.02%以下に調整した後、
sol.Alが0.002%未満となる範囲にてAlを
添加して脱酸し、次いでSiおよびMnを添加して所要
組成に調整することにより、鋼の化学組成および鋼中の
酸化物系介在物を制御することを特徴とする前記(1)
の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0016】成分および酸化物系介在物を調整して得ら
れた鋳片は、通常の条件の熱間圧延、冷間圧延、および
焼鈍等の工程で電磁鋼板とすればよい。より磁気特性を
向上させたい場合は必要に応じ冷間圧延前に焼鈍をおこ
なってもよいが、本発明は、できるだけ製造コストを低
くして十分な性能の無方向性電磁鋼板を得ることもその
目標の一つであり、余分の工程はできるだけなくす方が
望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施に際し、各要因や条
件を限定した理由を以下に述べる。
【0018】(1) C Cは磁気特性を劣化させる元素なので製品の鋼板におい
ては少ないほどよい。
【0019】ただし、溶鋼の真空処理による脱炭ないし
は脱酸素の段階においては、到達真空度にもよるが溶鋼
中のCが 0.001%を下回る状態になると、tot.Oを0.02
%以下に低減できなくなるので多少の残存は避けられな
い。顕著な悪影響が現われない限界として、 0.010%以
下に限定する。
【0020】(2)Si Siは含有量が増すほど鋼の電気抵抗が高くなり、鉄損
低減に有効である。しかし一方では、含有量が増すと磁
束密度の低下を来すので、十分な磁束密度を確保するた
め、その含有量の上限を0.68%とする。また、so
l.Alが0.002%未満でMnOの量を多くしない
ようにするには、Siの脱酸効果が重要であり、そのた
めには少なくとも0.05%以上の含有が必要である。
したがって、Siの含有範囲を0.05〜0.68%と
する。
【0021】(3) Mn 本発明の場合、MnはSの存在による熱間圧延時の割れ
すなわち熱間脆性の抑止と、結晶粒成長阻害の低減を主
目的にその含有量を調整する。この効果を得るために
は、少なくともMn/Sが10以上となるよう含有してい
ることが必須である。Mnは電気抵抗を増すので鉄損の
低減に有意であるが、その効果はSiに比較して小さ
く、上記のSの害の抑止効果は含有量を増しても飽和し
てしまい、コスト上昇を来すので、上限を 1.0%とす
る。
【0022】(4) P Pは鋼に不可避的に混入してくる不純物の一つである
が、無方向性電磁鋼板の場合、電気抵抗を増し硬さを高
くして打抜き性を向上させる効果があるので、積極的に
添加する。ただし鋼を脆化させる傾向があるため、その
含有量は多くても0.15%までとする。
【0023】(5) S Sは、磁気特性を劣化させるのでその含有量は少なけれ
ば少ないほどよい。ただし、鋼板の打抜き性や切削性を
改善する効果があるので、必要に応じて添加するが、そ
の場合でも含有量は 0.035%までとする。上述のように
Mn/Sを10以上とすることにより磁気特性劣化や熱間
脆性を軽減できても、これを超える含有は影響が顕著に
なる。
【0024】とくに磁気特性を重視する場合、望ましく
は 0.006%以下とする。しかし、打抜き性や切削性を強
く要望される場合には、 0.015〜 0.035%とするのがよ
い。
【0025】(6) Al Alは健全な鋳片を得るための溶鋼の脱酸剤として添加
する。添加により脱酸生成物の一部は浮上するが、残余
は酸化物系介在物を形成し、さらに過剰のAlはsol.A
lとして鋼中に残存する。sol.AlはAlNの微細析出
物を形成しやすく、その量が増すと結晶粒成長や磁壁移
動の障害になる。そこで、sol.Al量は0.002%未満と
する。
【0026】なお、sol.Alを低減することにより、N
が多く含有されてもAlNの微細析出物の生成は抑制で
きるが、SiとMnの存在によりSi−Mn−N系の微
細析出物の発生の危険性が出てくる。したがって、Nは
できるだけ少なくすべきで、0.005%以下とするのが望
ましい。
【0027】(7) tot.O(全酸素) 鋼中のtot.Oの量を 0.008〜0.02%とする。これは次の
ような結果に基づいている。
【0028】C: 0.003〜 0.005%、Si: 0.2〜 0.3
%、Mn: 0.2〜 0.3%、sol.Al:< 0.002%とした
tot.O量の種々異る鋼を実験室的に到達真空度を変える
ことにより溶製し、熱間圧延、冷間圧延および焼鈍をお
こなって 0.5mm厚の鋼板とした後、JIS-C-2550に規定の
エプスタイン試験法により磁気特性を調査した。
【0029】図1にこれらの鋼板の酸素量に対する鉄損
値(W15/50 )の測定結果を示す。
【0030】この結果から明らかなように、tot.O量が
0.008%未満、または0.02%を超える場合鉄損値が悪く
なっている。0.02%を超えると介在物量が増し、磁気特
性が劣化したものと考えられる。 0.008%未満で悪くな
る理由は明らかではないが、鋼板の結晶粒径が大きくな
っていないことから、O量が少なくなりすぎたため介在
物の分散状態が変化し、焼鈍時の結晶粒成長を阻害した
のではないかと考えられた。また、実際の工場における
製造にて、C量の上限の 0.010%を十分下回る量に制御
した上でtot.Oを 0.008%以下に低減するには、溶鋼真
空処理の排気設備の能力の限界や酸素の供給等を配慮し
た高価な耐火材の選定など、コストの大幅上昇を招くの
で現実的には困難である。
【0031】(8) 酸化物系介在物の組成 tot.Oを低減させて、Alをできるだけ使用しないよう
にすれば、酸化物系介在物の主要組成物はMnOとSi
2 になると推定される。そこで上述の組成範囲の実験
室的に製造した電磁鋼板にて、介在物中のSiO2 に対
するMnOの重量組成比を取り、鉄損との関係を調べて
みると図2のような結果が得られた。すなわち、MnO
/SiO2 が 3/ 7以下、または0.43以下とすることに
より良好な磁気特性が得られる。これはMnOの比率を
低下させると介在物の軟化点が上昇し、熱間圧延による
介在物の展伸、および冷間圧延による破砕が抑制され、
結晶粒成長が促進されたためと考えられる。
【0032】このようにMnOの比率の低下が好ましい
とすれば、tot.Oが限定された場合のSi量に対するA
lの使用量を十分配慮すべきであると思われる。そこで
酸化物系介在物のSiO2 に対するAl2 3 の比との
関係を調査してみた。その結果、Al2 3 /SiO2
が 0.1以上 1.0以下の範囲で磁気特性が良好であること
が判明した。このAl2 3 比が 1.0を超えると磁気特
性が悪くなるのは、sol.Alの増加による微細なAlN
析出が主な原因である。 0.1を下回るとよくない理由は
明らかでないが、粒成長性や磁気特性に悪影響をおよぼ
すSi−Mn−N系の微細析出物の生成によるのではな
いかと考えられる。
【0033】磁気特性は良好であっても、製造上あるい
は製品の使用上難点のある鋼は量産には適応できない。
そのような観点から酸化物系介在物の組成の影響を調べ
ると、Al2 3 の増加は鋳込み時のノズル詰まりを起
こしやすく、鋼板の表面欠陥を多くし、さらに電磁鋼板
を打抜いたり切削したりする際の工具寿命を低下させる
傾向がある。しかしながらtot.Oを限定し、かつAl2
3 /SiO2 が 1.0以下である範囲に限定すれば、こ
のような問題はなくなる。
【0034】SiO に対するMnOやAl
比を上述のように規制したとしても、酸化物系介在物の
組成のほとんどすべてをSiO となるようにする
と、磁気特性がやや劣ってくるばかりでなく、工具寿命
を短くし打抜き性を悪くする。磁気特性を悪くする理由
は、介在物の形態変化による影響の相違と思われる。工
具寿命に対しては硬いSiO そのものが影響をおよ
ぼすためと推定され、MnOやAl 等がある程
度混在する酸化物系介在物が好ましいと考えられた。そ
のような範囲はSiO 比率すなわちSiO/(S
iO+MnO+Al)が0.667以下であ
る。
【0035】以上の、酸化物系介在物におけるSi
2 、MnOおよびAl2 3 の組成比の限界は、前述
のように、および式にまとめられる。さらにこの
本発明範囲を表示すれば、図3に示す太線でかこまれた
範囲になる。
【0036】ただし、現実の鋼板中に存在する個々の酸
化物系介在物の組成は、同じ鋳片から得た鋼板であって
も、それぞれが同一ではなくばらついている。しかしな
がら鋼板中に存在する全酸化物系介在物の80%以上がこ
の組成範囲に入っておれば、良好な磁気特性の無方向性
電磁鋼板が得られている。すなわち、実質的に酸化物系
介在物の組成がここで定める組成範囲であればよい。
【0037】(9) 溶鋼の脱酸処理方法 tot.Oの量を 0.008〜0.02%とするには、減圧下でのC
O発生による脱酸を活用し到達真空度および真空処理時
間を制御して、溶鋼中のCを 0.002〜 0.005%となるよ
うにする。到達真空度は0.01気圧程度が望ましいが、0.
05気圧程度でも処理時間を長くすることにより所要のto
t.O範囲に低下できる。その後Alを添加し、次いでS
iおよびMnを添加して鋼成分を調整するのがよい。溶
鋼の真空処理前、ないしは真空処理中の脱酸昇熱を目的
とするAlの添加は極力避ける。
【0038】これは、Alを真空処理による脱酸が終了
する前に添加するとtot.Oが目標範囲に入らなくなるば
かりでなく、介在物組成がAl2 3 の多いものになっ
てしまうからである。真空処理後にAlを添加すれば、
介在物中に適量のAl2 3 が含まれてSiO2 の比率
の増大を抑制でき、式を満足させることができる。
【0039】SiまたはMnは、昇熱目的あるいは目標
組成によっては真空処理前ないしは真空処理中に添加し
てもよいが、式を満足させ、さらに酸化物系介在物の
組成を図3に示す本発明範囲にするには、Alの添加後
とするのがよい。
【0040】溶鋼中のCは、tot.Oを本発明の目標範囲
に制御するために、溶鋼中ではある程度以上の存在が重
要である。しかし、鋳片を最終の電磁鋼板にする製造工
程において、たとえば焼鈍工程などで雰囲気による脱炭
が生じて低減することがあるので、電磁鋼板の化学組成
としてはC量の下限をとくには規制しない。
【0041】鋳片を最終の電磁鋼板に仕上げるための製
造工程において、よりよい磁気特性を得るために望まし
い条件は次のとおりである。すなわち、熱間圧延のスラ
ブ加熱温度は1200℃以下、仕上温度は 860〜 950℃と
し、巻取温度は 600〜 700℃とするのがよい。スラブ加
熱温度を1200℃以下とするのは、とくに磁気特性が劣化
しがちなSの含有量が多い場合、スラブ加熱温度を下げ
ることにより改善できるためで、1150℃以下にできれば
なおよい。ただし、仕上温度が確保できなくなるので加
熱温度低下には限度がある。仕上温度は 860℃以上が望
ましいのは、 600〜 700℃の巻取温度と組合せることに
より、特性改善されるからである。これは巻き取った状
態で十分再結晶がおこなわれるためと考えられる。 950
℃を超える仕上温度は、1200℃以下のスラブ加熱では実
現困難であり、その上表面疵が増すなど製品外観の劣化
を来す。
【0042】
【実施例】〔実施例1〕 表1に化学組成を示すが、tot.Oは0.02%以下
とすることを目標とし、溶鋼の真空処理によりtot.
Oを0.02%以下としてからAlを添加後Siおよび
Mn含有量を調整するようにしたもの、真空処理前また
は処理中にAlを添加したもの、真空処理前または処理
中にSiおよびMnを添加したもの等、成分の調整方法
を変え、15種の鋼スラブを溶製した。これらスラブを
1180℃に加熱して仕上げ温度870〜890℃、巻
取温度660〜680℃として、2.0mmに熱間圧延
後、脱スケールおよび冷間圧延して0.5mm厚に仕上
げ、850℃にて均熱1minの焼鈍と、通常の無方向
性電磁鋼板と同様の表面絶縁コーティングをおこなっ
た。
【0043】
【表1】
【0044】得られた鋼板により、鋼の介在物組成の分
析、磁気特性の測定、および打抜き性評価試験をおこな
った。介在物組成はエネルギー分散型X線分析法により
分析し、磁気特性についてはJIS-C-2550に規定のエプス
タイン試験法に基づいて実施し、鉄損(W15/50 )およ
び磁束密度(B50)を求めた。打抜き性については、ク
リアランス 5%、 8%および10%としたコーナーR部0.
12mmの20mm角ブランク3種を同時に打抜けるSKD-11の金
型により、エマルジョン潤滑にて 200回/minの打抜き
をおこない、バリ発生の相対評価により判定した。
【0045】表2にこれらの結果を併せて示す。また、
これらの鋼の酸化物系介在物の組成比を図3内に記載し
た。
【0046】
【表2】
【0047】溶鋼の真空処理により、tot.Oが0.
02%を十分下回るようにした後にAlを添加し、かつ
化学組成、および酸化物系の介在物組成が本発明の定め
る範囲に入る鋼A〜は、すぐれた磁気特性および打抜
き性を示している。
【0048】これに対し、真空処理前にSiまたはAl
を添加した鋼およびは、介在物中のSiO2
たはAl23 の比率が本発明で定める範囲を外れ、打
抜き性が劣る結果となっている。鋼および は、真
空処理中の溶鋼中のC量がやや高くtot.Oが本発明
で定める範囲を下回り、介在物中のMnO比率も高す
ぎ、磁気特性が劣る結果となった。これは微細な酸化物
系介在物が増加したためと考えられる。鋼は溶鋼の昇
熱にもAlを添加したこともあってsol.Alおよび
Al23 の比率が高くなり、磁気特性ばかりでなく打
抜き性も劣った結果になっている。鋼はそれぞれ
Si、Mn、P、S等が本発明で定める範囲を外れてお
り、磁気特性または打抜き性が向上しない結果となって
いる。
【0049】
【発明の効果】本発明は、鋼中の酸化物系介在物の組成
を制御することにより、高価な合金元素や特殊な製造工
程を用いることなく、低鉄損で高磁束密度の磁気特性に
すぐれた低Si系の無方向性電磁鋼板を提供するもので
あり、実用上きわめて有意義である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼中の全酸素(tot.O)量と、鋼板の鉄損(W
15/50 )との関係を示す図である。
【図2】鋼中の酸化物系介在物のMnO/SiO2 と、
鋼板の鉄損(W15/50 )との関係を示す図である。
【図3】鋼中の酸化物系介在物の組成比率について、本
発明範囲および実施例1の鋼の場合の例を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−152239(JP,A) 特開 平7−150248(JP,A) 特開 平2−259015(JP,A) 特開 昭60−255953(JP,A) 特開 昭63−137147(JP,A) 特開 昭63−195217(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C22C 33/04 - 33/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:≦0.01%、Si:0.
    01〜0.68%、Mn:0.01〜1.0%、P:≦
    0.15%、S:≦0.035%、tot.O(鋼中の
    全酸素):0.008〜0.02%、sol.Al:<
    0.002%で、かつMn/S≧10であって、さらに
    鋼中に存在するMnO、SiOおよびAl
    3種の酸化物系介在物の組成重量比が MnO/SiO≦0.43 ・・・・・・・ 0.1≦Al/SiO≦1.0 ・・・ SiO/(SiO+MnO+Al≦0.667 ・・・ であり、残部はFeおよび不可避的不純物であることを
    特徴とする磁気特性および打抜き性にすぐれた無方向性
    電磁鋼板。
  2. 【請求項2】真空処理により重量%で溶鋼中のCを0.
    01%以下、O(酸素)を0.02%以下に調整した
    後、sol.Alが0.002%未満となる範囲にてA
    lを添加して脱酸し、次いでSiおよびMnを添加する
    ことにより、鋼の化学組成および鋼中の酸化物系介在物
    を制御することを特徴とする請求項1の無方向性電磁鋼
    板の製造方法。
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