JP2000017330A - 鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法

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JP2000017330A
JP2000017330A JP10198157A JP19815798A JP2000017330A JP 2000017330 A JP2000017330 A JP 2000017330A JP 10198157 A JP10198157 A JP 10198157A JP 19815798 A JP19815798 A JP 19815798A JP 2000017330 A JP2000017330 A JP 2000017330A
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iron loss
rolling
cold
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JP10198157A
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Yoshihiko Oda
善彦 尾田
Nobuo Yamagami
伸夫 山上
Yasushi Tanaka
靖 田中
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板
を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.005%以下、Si:4.0%
以下、Mn:0.05〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%
以下(0を含む)、S:0.001%以下、Al:0.1〜1.5%
を含有し、SbとSnの少なくとも一方をSb+Sn/2で0.001〜
0.05%含有する素材を熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延
および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法
であって、冷圧率を30〜80%として一次の冷間圧延を行
い、続いて700〜1000℃で焼鈍後、冷圧率を30〜80%と
して二次の冷間圧延を行う工程を含むことを特徴とする
磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気材料として使
用されるのに好適な、磁束密度が高く鉄損の低い無方向
性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器の省エネルギーの観点よ
り、より鉄損の低い電磁鋼板が求められるようになって
いる。この鉄損を低減するためには結晶粒の粗大化が効
果的であり、低鉄損が特に要求されるSi+Al量が1〜3%
程度の中・高級グレードの無方向性電磁鋼板において
は、仕上焼鈍温度を1000℃程度まで高めたり、焼鈍時の
ラインスピードを下げ、焼鈍時間を長くすることにより
結晶粒の粗大化を図っている。
【0003】この仕上焼鈍時の粒成長性を良好にするた
めには、鋼板中の介在物、析出物量を低減することが効
果的である。このため、これまで介在物、析出物を無害
化することが試みられており、特に高級材ではMnSの析
出防止の観点からS量を低減させる試みがなされてき
た。
【0004】例えば、特公昭56−22931号公報に
は、Si:2.5〜3.5%、Al:0.3〜1.0%の鋼においてS:
50ppm以下、O:25ppm以下とすることにより鉄損を低下
させる技術が開示されている。
【0005】また、特公平2−50190号公報には、
Si:2.5〜3.5%、Al:0.25〜1.0%の鋼においてS:15p
pm以下、O:20ppm以下、N:25ppm以下とすることによ
り鉄損を低下させる技術が開示されている。
【0006】さらに特開平5−140674号公報に
は、Si:2.0〜4.0%、Al:0.10〜2.0%の鋼において
S:30ppm以下、Ti、Zr、Nb、Vをそれぞれ50ppm以下と
することにより鉄損を低下させる技術が開示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらいずれ
の技術においても、Si、Al量がトータルで3〜3.5%程
度、S量を10ppm以下とした高級グレードの鋼板の鉄損
値は、W15/50=2.4(W/kg)程度(板厚0.5mm)であ
り、これ以上の低鉄損は達成されていないのが現状であ
る。しかるに、近年の省エネルギー化の要請に伴い、さ
らなる低鉄損電磁鋼板が求められているのが現状であ
る。
【0008】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたものであり、磁束密度が高く鉄損の低い無方
向性電磁鋼板を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、S含有
量を所定値以下とし、SbとSnの少なくとも一方を所定量
含有させ、さらに冷圧条件を適正化することにより、磁
束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板を得ることに
ある。
【0010】すなわち、前記課題を解決するための第1
の手段は、重量%で、C:0.005%以下、Si:4.0%以
下、Mn:0.05〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%以
下(0を含む)、S:0.001%以下、Al:0.1〜1.5%を
含有し、SbとSnの少なくとも一方をSb+Sn/2で0.001〜0.
05%含有する素材を熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延お
よび仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法で
あって、冷圧率を30〜80%として一次の冷間圧延を行
い、続いて700〜1000℃で焼鈍後、冷圧率を30〜80%と
して二次の冷間圧延を行う工程を含むことを特徴とする
磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法
(請求項1)である。
【0011】前記課題を解決するための第2の手段は、
重量%で、C:0.005%以下、Si:4.0%以下、Mn:0.05
〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%以下(0を含
む)、S:0.001%以下、Al:0.1〜1.5%を含有し、Sb
とSnの少なくとも一方をSb+Sn/2で0.001〜0.05%含有す
る素材を熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延および仕上焼
鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法であって、冷
圧率を50〜70%として一次の冷間圧延を行い、続いて70
0〜1000℃で焼鈍後、冷圧率を30〜80%として二次の冷
間圧延を行う工程を含むことを特徴とする磁束密度が高
く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法(請求項2)
である。
【0012】前記課題を解決するための第3の手段は、
重量%で、C:0.005%以下、Si:4.0%以下、Mn:0.05
〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%以下(0を含
む)、S:0.001%以下、Al:0.1〜1.5%を含有し、Sb
とSnの少なくとも一方をSb+Sn/2で0.001〜0.05%含有す
る素材を熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延および仕上焼
鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法であって、冷
圧率を30〜80%として一次の冷間圧延を行い、続いて70
0〜1000℃で焼鈍後、冷圧率を50〜70%として二次の冷
間圧延を行う工程を含むことを特徴とする磁束密度が高
く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法(請求項3)
である。
【0013】前記課題を解決するための第4の手段は、
重量%で、C:0.005%以下、Si:4.0%以下、Mn:0.05
〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%以下(0を含
む)、S:0.001%以下、Al:0.1〜1.5%を含有し、Sb
とSnの少なくとも一方をSb+Sn/2で0.001〜0.05%含有す
る素材を熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延および仕上焼
鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法であって、冷
圧率を50〜70%として一次の冷間圧延を行い、続いて70
0〜1000℃で焼鈍後、冷圧率を50〜70%として二次の冷
間圧延を行う工程を含むことを特徴とする磁束密度が高
く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法(請求項4)
である。
【0014】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第1の手段から第4の手段であって、Sb+Sn/2の範
囲を0.001〜0.005%にさらに限定したことを特徴とする
磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法
(請求項5)である。
【0015】なお、本明細書(表を含む)において、鋼
の成分をあらわす%は、特に断らない限り重量%を示
し、ppmも重量ppmを意味する。
【0016】(発明に至る経緯と、S、Sb、Sn含有量及
び冷間圧延条件の限定理由)本発明者らは、前記課題を
解決する方法について鋭意研究を行った結果、S含有量
を所定値以下とし、SbとSnの少なくとも一方を所定量含
有させ、さらに冷圧条件を適正化することにより、磁束
密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板が得られること
を見出した。以下、発明に至る経緯と、S、Sb、Sn含有
量及び冷間圧延条件の限定理由を、実験結果に基づいて
詳細に説明する。
【0017】最初に、鉄損に及ぼすSの影響を調査する
ため、C:0.0020%、Si:2.86%、Mn:0.20%、P:0.
01%、Al:0.32%、N:0.0020%とし、S含有量をtr.
〜15ppmの範囲で変化させた鋼を実験室にて真空溶解し
た。その後、この溶鋼を鋳造し、熱延後、酸洗を行っ
た。引き続き、この熱延板に75%H2-25%N2雰囲気で8
30℃×3hrの熱延板焼鈍を施し、その後、板厚0.35mmま
で冷間圧延し、10%H2-90%N2雰囲気で950℃×1min
の仕上焼鈍を行った。
【0018】図1に、このようにして得られたサンプル
のS含有量と鉄損W15/50の関係を示す(図中×印)。
ここで磁気測定はエプスタイン試験法により行った。図
1より、S含有量を10ppm以下とした場合に大幅な鉄損
低減が達成され、W15/50=2.4W/kgが達成されること
がわかる。これは、S含有量低減により粒成長性が向上
したためである。以上のことより本発明においては、S
含有量の範囲を10ppm以下に限定するが、5ppm以下とす
ることがさらに望ましい。
【0019】しかし、S含有量が10ppm以下となると鉄
損の低下は緩やかとなり、S含有量をさらに低減したと
しても鉄損は2.4W/kg程度にしかならない。本発明者
らは、S≦10ppmの極低S材において鉄損の低減が阻害
されるのは、MnS以外の未知の要因によるものではない
かと考え、光学顕微鏡にて組織観察を行った。その結
果、S≦10ppmの領域で鋼板表層に顕著な窒化層が認め
られた。これに対し、S>10ppmの領域では窒化層は軽
微となっていた。この窒化層は窒化雰囲気で行った熱延
板焼鈍時および仕上焼鈍時に生じたものと考えられる。
【0020】このS含有量の低減に伴う窒化反応促進の
原因に関しては次のように考えられる。すなわち、Sは
表面および粒界に濃化しやすい元素であることから、S
>10ppmの領域では、Sが鋼板表面へ濃化し、熱延板焼
鈍時および仕上焼鈍時の窒素の吸着を抑制しており、一
方、S≦10ppmの領域ではSによる窒素吸着の抑制効果
が低下したためと考えられる。
【0021】本発明者らは、この極低S材において顕著
に生じる窒化層が鋼板表層部の結晶粒の成長を妨げ、鉄
損の低下を抑制するのではないかと考えた。このような
考えの下に、本発明者らは窒素吸着の抑制が可能でかつ
極低S材の優れた粒成長性を妨げることのない元素を添
加することができれば、極低S材の鉄損はさらに低減す
るのではないかという着想を抱き、種々の検討を加えた
結果、Sbの極微量添加が有効であることを発見した。
【0022】図1に、前記×印で示したサンプルの成分
に40ppmのSbを添加したサンプルについて同一の条件で
試験をした結果を○印で示す。Sbの鉄損低減効果に着目
すると、Sb添加による鉄損の低下は、S>10ppmの領域
では0.02〜0.04W/kg程度に留まっているが、S≦10pp
mの領域では0.20W/kg程度に達しており、S含有量が
少ない場合にSbの鉄損低減効果が顕著に認められる。ま
た、このサンプルではS含有量によらず窒化層は認めら
れなかった。これは、Sbが鋼板表層部に濃化し窒素の吸
着を抑制したためと考えられる。
【0023】次にSbの最適添加量を調査するため、C:
0.0018%、Si:2.85%、Mn:0.21%、P:0.010%、A
l:0.32%、N:0.0020%とし、脱硫処理によりS:0.0
002%とし、さらにSb量をtr.〜600ppmの範囲で変化させ
た鋼を実験室にて真空溶解し、熱延後、酸洗を行った。
引き続きこの熱延板に75%H2-25%N2雰囲気で830℃×
3hrの熱延板焼鈍を施し、その後、板厚0.35mmまで冷間
圧延し、10%H2-90%N2雰囲気で950℃×1minの仕上
焼鈍を行った。
【0024】図2に、Sb量と鉄損の関係を示す。図2よ
り、Sb添加量が10ppm以上の領域で鉄損が低下し、W
15/50=2.15W/kgが達成されることがわかる。しかし、
Sbをさらに添加し、Sb>50ppmとなった場合には、鉄損
は再び増大することもわかる。
【0025】このSb>50ppmの領域での鉄損増大原因を
調査するため、光学顕微鏡による組織観察を行った。そ
の結果、表層細粒組織は認められなかったものの、平均
結晶粒径が若干小さくなっていた。この原因は明確では
ないが、Sbが粒界に偏析しやすい元素であるため、Sbの
粒界ドラッグ効果により粒成長性が低下したものと考え
られる。
【0026】但し、Sbを600ppmまで添加してもSbフリー
鋼と比べると鉄損は良好である。以上のことより、請求
項1ないし請求項4に係る発明においては、Sb含有量を
10ppm以上に限定し、コストの問題から上限を500ppmと
する。また鉄損の観点より、10ppm以上、50ppm以下とす
ることが望ましいので、請求項5にかかる発明において
は、この範囲に限定する。
【0027】以上の鉄損低減効果はSbと同様な表面偏析
型元素であるSnを20ppm以上添加した場合にも認めら
れ、100ppm以上の添加で鉄損が若干増大した。このこと
より、請求項1ないし請求項4に係る発明においては、
Sn含有量を20ppm以上に限定し、コストの問題から上限
を1000ppmとする。また鉄損の観点より、20ppm以上、10
0ppm以下とすることが望ましいので、請求項5にかかる
発明においては、この範囲に限定する。
【0028】さらに、SbとSnを複合添加した場合にもSb
+Sn/2で10ppm以上添加した場合に鉄損が低下し、Sb+Sn/
2で50ppm以上添加した場合に若干の鉄損増大が認められ
た。このことより、請求項1ないし請求項4に係る発明
においては、SbとSnを複合して含有させる場合には、そ
の含有量をSb+Sn/2で10ppm以上に限定し、コストの問題
から上限を500ppmとする。また鉄損の観点より、Sb+Sn/
2は、10ppm以上、50ppm以下とすることが望ましいの
で、請求項5にかかる発明においては、この範囲に限定
する。
【0029】次に、磁束密度を向上させる手法として、
冷間圧延条件の適正化について検討した。まず最初に、
C:0.0015%、Si:2.88%、Mn:0.18%、P:0.010
%、S:0.0002%、Al:0.35%、N:0.0017%、Sb:40
ppmとした鋼を実験室にて真空溶解し、熱延、酸洗を行
った。引き続きこの熱延板に75%H2-25%N2雰囲気で8
30℃×3hrの熱延板焼鈍を施した。その後、冷圧率20〜
90%で一次の冷間圧延を行い、950℃×2minの中間焼鈍
後、冷圧率20〜90%で二次の冷間圧延を行うことによ
り、最終板厚0.35mmとし、引き続き10%H2-90%N2
囲気で950℃×1minの仕上焼鈍を行った。
【0030】図3に一次、二次の冷圧率と磁束密度の関
係を示す。なお、比較のため一冷圧により作製したサン
プルの磁束密度は1.68Tであった。図3より、一次冷圧
率が30〜80%、二次冷圧率が30〜80%の材料において磁
束密度が向上しており、特に一次冷圧率が50〜70%、二
次冷圧率が50〜70%の場合に磁束密度はより一層向上す
ることがわかる。
【0031】以上のことから、請求項1に係る発明にお
いては、一次冷圧率を30〜80%、二次冷圧率を30〜80%
に限定するが、一次冷圧率は50〜70%、二次冷圧率は50
〜70%とすることがより望ましいので、請求項2ないし
請求項4にかかる発明においては、一方又は両方をこれ
らの値に限定する。
【0032】二冷圧を行う場合の中間焼鈍温度は、700
℃以上、1000℃以下とする。700℃以上とするのは、700
℃未満では再結晶が進まず、磁束密度が向上しないため
である。一方、1000℃以下とするのは、1000℃超となっ
た場合には窒化、内部酸化が顕著となって、鉄損が増大
するためである。
【0033】(その他の成分の限定理由)次に、その他
の成分の限定理由について説明する。 C: Cは磁気時効の問題があるため0.005%以下とす
る。 Si: Siは鋼板の固有抵抗を上げるために有効な元素で
あるが、4.0%を超えると飽和磁束密度の低下に伴い磁
束密度が低下するため上限を4.0%とする。 Mn: Mnは熱間圧延時の赤熱脆性を防止するために0.05
%以上必要であるが、1.5%以上になると磁束密度を低
下させるので0.05〜1.5%とする。
【0034】P: Pは鋼板の打ち抜き性を改善するた
めに必要な元素であるが、0.2%を超えて含有させると
鋼板が脆化するため0.2%以下とする。 N: Nは、含有量が多い場合にはAlNの析出量が多く
なり、鉄損を増大させるため0.005%以下とする。 Al: AlはSiと同様、固有抵抗を上げるために有効な元
素であるが、1.5%を超えると飽和磁束密度の低下に伴
い磁束密度が低下するため上限を1.5%とする。また、
0.1%未満の場合にはAlNが微細化し粒成長性が低下す
るため下限を0.1%とする。
【0035】(製造方法)本発明においては、S、Sb、
Snをはじめとする所定の成分が所定の範囲にあり、かつ
冷圧条件が所定の範囲内であれば、他の製造条件は、通
常の無方向性電磁鋼板を製造する条件でかまわない。す
なわち、転炉で吹練した溶鋼を脱ガス処理、脱硫処理し
て所定の成分に調整し、引き続き鋳造、熱間圧延を行
う。熱間圧延時の仕上焼鈍温度、巻取り温度は特に規定
する必要はなく、通常の無方向性電磁鋼板を製造する温
度でかまわない。また、熱延後の熱延板焼鈍は行っても
良いが必須ではない。次いで中間焼鈍をはさんだ2回以
上の冷間圧延により所定の板厚とした後に、最終焼鈍を
行う。
【0036】
【実施例】鋼を転炉で吹練した後に、脱ガス処理により
表1に示すように成分調整し(成分値として示されてい
ない残部はFe及び微量元素)、鋳造によりスラブを作製
した。得られたスラブを1200℃で1hr加熱した後、板厚
2.0mmまで熱間圧延を行った。熱延仕上げ温度は800℃と
し、巻取り温度は550℃とした。その後、830℃×3hrの
熱延板焼鈍を施し、中間焼鈍を挟んだ2回冷圧により最
終板厚0.35mmとし、表2に示す仕上焼鈍条件で焼鈍を行
った。表1と表2のNo.は、それぞれ対応している。磁
気測定はエプスタイン試験片を用いて行った。各鋼板の
磁気特性を表2に併せて示す。
【0037】表1、表2より、S、Sb、Snをはじめ所定
の鋼板成分を本発明の範囲とし、かつ、一次の冷圧率、
二次の冷圧率、中間焼鈍温度を本発明の範囲とした本発
明鋼(No.1〜No.10)は、鉄損W15/50が低く、かつ磁束
密度B50が高い。
【0038】これに対し、No.11の鋼板はS含有量とSb+
Sn/2の値が、No.12の鋼板はSb+Sn/2の値が、それぞれ本
発明の範囲を外れているので、鉄損W15/50が高くなっ
ている。
【0039】No.13の鋼板は、二次冷圧率が、No.14の鋼
板は一次冷圧率と二次冷圧率が、No.15の鋼板、No.16の
鋼板は一次冷圧率が、No.17の鋼板は二次冷圧率が、そ
れぞれ本発明の範囲を外れているので、鉄損W15/50
本発明鋼と同程度であるものの、磁束密度B50が低い。
【0040】No.18の鋼板は、中間焼鈍温度が本発明の
範囲を下回っているので、鉄損W15/50は本発明鋼と同
程度であるものの、磁束密度B50が低い。一方、No.19
の鋼板は、中間焼鈍温度が本発明の範囲を上回っている
ので、鉄損W15/50が高くなっている。
【0041】No.20の鋼板は、C含有量が本発明の範囲
を上回っているので、鉄損W15/50が高いばかりでなく
磁気時効の問題を有している。No.21の鋼板は、Si含有
量が本発明の範囲を上回っているので、鉄損W15/50
本発明鋼より低いものの、磁束密度B50が低くなってい
る。No.22の鋼板は、Mn含有量が本発明の範囲を下回っ
ているので、鉄損W15/50が高くなっている。一方、No.
23の鋼板は、Mn含有量が本発明の範囲を上回っているの
で、磁束密度B50が低くなっている。
【0042】No.24の鋼板は、N含有量が本発明の範囲
を上回っているので、鉄損W15/50が高くなっている。N
o.25の鋼板は、Al含有量が本発明の範囲を下回っている
ので、鉄損W15/50が高くなっている。一方、No.26の鋼
板は、Al含有量が本発明の範囲を上回っているので、磁
束密度B50が低くなっている。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、S含有量、Sb、Sn含有量をはじめとする所定の成分
を所定範囲に限定し、かつ、一次冷圧率、二次冷圧率、
中間焼鈍温度を所定範囲に限定しているので、磁束密度
が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板を得ることができ
る。
【0046】本発明によって得られた無方向性電磁鋼板
は、モータやトランスのコア等、低い鉄損と高い磁束密
度が要求される電気材料に用いるのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 S量と仕上焼鈍後の磁気特性との関係を示す
図である。
【図2】 Sb量と仕上焼鈍後の磁気特性との関係を示す
図である。
【図3】 冷圧率と仕上焼鈍後の磁気特性との関係を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 靖 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K033 AA01 CA02 CA03 CA08 CA09 CA10 FA00 GA00 HA04 JA01 KA00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.005%以下、Si:4.0%
    以下、Mn:0.05〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%
    以下(0を含む)、S:0.001%以下、Al:0.1〜1.5%
    を含有し、SbとSnの少なくとも一方をSb+Sn/2で0.001〜
    0.05%含有する素材を熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延
    および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法
    であって、冷圧率を30〜80%として一次の冷間圧延を行
    い、続いて700〜1000℃で焼鈍後、冷圧率を30〜80%と
    して二次の冷間圧延を行う工程を含むことを特徴とする
    磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.005%以下、Si:4.0%
    以下、Mn:0.05〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%
    以下(0を含む)、S:0.001%以下、Al:0.1〜1.5%
    を含有し、SbとSnの少なくとも一方をSb+Sn/2で0.001〜
    0.05%含有する素材を熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延
    および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法
    であって、冷圧率を50〜70%として一次の冷間圧延を行
    い、続いて700〜1000℃で焼鈍後、冷圧率を30〜80%と
    して二次の冷間圧延を行う工程を含むことを特徴とする
    磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.005%以下、Si:4.0%
    以下、Mn:0.05〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%
    以下(0を含む)、S:0.001%以下、Al:0.1〜1.5%
    を含有し、SbとSnの少なくとも一方をSb+Sn/2で0.001〜
    0.05%含有する素材を熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延
    および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法
    であって、冷圧率を30〜80%として一次の冷間圧延を行
    い、続いて700〜1000℃で焼鈍後、冷圧率を50〜70%と
    して二次の冷間圧延を行う工程を含むことを特徴とする
    磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 重量%で、C:0.005%以下、Si:4.0%
    以下、Mn:0.05〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%
    以下(0を含む)、S:0.001%以下、Al:0.1〜1.5%
    を含有し、SbとSnの少なくとも一方をSb+Sn/2で0.001〜
    0.05%含有する素材を熱間圧延した後、酸洗、冷間圧延
    および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法
    であって、冷圧率を50〜70%として一次の冷間圧延を行
    い、続いて700〜1000℃で焼鈍後、冷圧率を50〜70%と
    して二次の冷間圧延を行う工程を含むことを特徴とする
    磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4に記載の磁束密度
    が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法であっ
    て、Sb+Sn/2の範囲を0.001〜0.005%としたことを特徴
    とする磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製
    造方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008127612A (ja) * 2006-11-17 2008-06-05 Nippon Steel Corp 分割コア用無方向性電磁鋼板
JP2012001772A (ja) * 2010-06-17 2012-01-05 Sumitomo Metal Ind Ltd 無方向性電磁鋼板の製造方法
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CN102925793A (zh) * 2012-11-27 2013-02-13 武汉钢铁(集团)公司 一种磁感≥1.8t的无取向电工钢及其生产方法
JP2013091837A (ja) * 2011-10-27 2013-05-16 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 圧延方向の磁気特性が良好な無方向性電磁鋼板の製造方法
US8882284B2 (en) 2010-03-03 2014-11-11 Cree, Inc. LED lamp or bulb with remote phosphor and diffuser configuration with enhanced scattering properties

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