JP2000328207A - 耐窒化・耐内部酸化性に優れた電磁鋼板 - Google Patents
耐窒化・耐内部酸化性に優れた電磁鋼板Info
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Abstract
供する。 【解決手段】 電磁鋼板の表面から50nm以内の極表
層に、重量比で20%以上のAl2O3を含み、主として
Al2O3+SiO2からなる酸化被膜を形成する。例え
ば、電磁鋼板はC:0.005%以下、Si:4.0%
以下、Al:1.5%以下、P:0.2%以下、N:
0.005%以下(0を含む)、Mn:1.0%以下を
含有し、さらにS:0.0010〜0.0025%を含
み、残部は実質的にFeからなる無方向性電磁鋼板であ
る。
Description
化性に優れた電磁鋼板に関する。
板の分野においては、近年の製鋼技術の進展によって鋼
の高純度化が実機レベルで実現している。例えば極低炭
素化、極低S化などは比較的容易となってきており、製
鋼コストとのバランスを考慮した成分設計が盛んであ
る。その一方で高純度化に起因した新たな問題も顕在化
している。特に、実機プロセスにおける表面現象の変化
は、製品外観を決定的に左右することもあり、その制御
が大きな課題である。一般に、冷延鋼板の表面では高温
プロセスに起因した酸化現象や窒化現象が起こっている
が、これらの程度は冷間圧延後の焼鈍プロセス条件のみ
ならず、鋼成分に起因するところが大きい。
鈍を行う電磁鋼板の分野においても、高純度化した鋼に
おいては、鋼板表面が極めて活性となっており、不純物
を多量に含む鋼板では問題にならなかった表面現象が顕
著に現われる場合が多く、磁気特性の劣下だけでなく表
面外観上も問題となる。
0号公報では、鋼板表層1μm以内のAlやSiの濃化
度を一定の範囲に制御し、過度の浸窒とそれにともなう
鋼板内部での窒化物形成を抑制した無方向性電磁鋼板が
開示されている。
は、方向性電磁鋼板の絶縁被膜形成に先立ち、耐酸化性
や耐窒化性を確保するために鋼板表面にファイヤライト
を優先的に形成させた方向性電磁鋼板が開示されてい
る。
0−183310号公報に開示されている無方向性電磁
鋼板は、焼鈍前に十分なスケール除去を行う必要がある
ことなど、生産性の点で問題がある。また、特開平10
−212526号公報に開示されている方向性電磁鋼板
は、特に脱炭焼鈍時の雰囲気ガス酸化度制御などの点で
実機製造プロセスにおいて困難な点がある。
のであり、実機製造プロセスにおいて変動しうる製造条
件下において、耐窒化・耐内部酸化性に優れた電磁鋼板
を提供することを目的とする。
極表層50nm以内に、重量比で20%以上のAl2O3
を含み、主としてAl2O3+SiO2からなる酸化被膜
を形成することにより、耐窒化・耐内部酸化性に優れた
電磁鋼板を提供することである。
第二、第三の発明によって解決される。
表層に酸化被膜を形成し、さらに、前記酸化被膜は、重
量比で20%以上のAl2O3を含み、主としてAl2O3
+SiO2からなることを特徴とする耐窒化・耐内部酸
化性に優れた電磁鋼板である。
i:4.0%以下、Al:1.5%以下、P:0.2%
以下、N:0.005%以下(0を含む)、Mn:1.
0%以下を含有し、さらにS:0.0010〜0.00
25%を含み、残部は実質的にFeからなる無方向性電
磁鋼板であって、第一の発明に記載の酸化被膜が冷間圧
延後の焼鈍時に形成されることを特徴とする焼鈍時の耐
窒化・耐内部酸化性に優れた電磁鋼板である。
i:4.0%以下、Al:1.5%以下、P:0.2%
以下、N:0.005%以下(0を含む)、Mn:1.
0%以下、S:0.0009%以下を含有し、さらにS
bとSnの少なくとも一方を0.0005〜0.010
%含み、残部は実質的にFeからなる無方向性電磁鋼板
であって、第一の発明に記載の酸化被膜が冷間圧延後の
焼鈍時に形成されることを特徴とする焼鈍時の耐窒化・
耐内部酸化性に優れた電磁鋼板。
Feである」とは、本発明の作用効果を無くさない限
り、不可避不純物をはじめ、他の微量元素を含有するも
のが本発明の範囲に含まれることを意味する。また、本
明細書において、鋼の成分を示す%は全て重量%であ
り、ppmも重量ppmである。
中の表面酸化・窒化状態について調査するため、C:
0.0025%、Si:2.70%、Mn:0.20
%、P:0.010%、Al:0.30%、N:0.0
021%とし、S量をtr.〜40ppmの範囲で変化
させた鋼をラボ溶解し、熱延後、酸洗を行った。引き続
きこの熱延板に75%H2−25%N2雰囲気で830℃
×3hrの熱延板焼鈍を施し、その後、板厚0.5mm
まで冷間圧延し、25%H2−75%N2雰囲気で900
℃×1minの仕上焼鈍を行った。図1に、このように
して得られたサンプルのS量と鉄損W15/50の関係
を示す(図1の○印)。ここで、磁気測定は25cmエ
プスタイン法により行った。
損低減が達成され、S=0.0025%以下でW15/
50で3.0W/Kg以下が実現していることがわか
る。これは、S量低減により粒成長性が向上したためで
ある。一方、Sが低下してくると表層酸化量が増大して
くる。特にSの範囲を0.0009%以下にすると、主
に冷間圧延後の再結晶焼鈍時の表層窒化が著しくなるの
に加えて、酸化被膜がSiO2主体となり、内部酸化が
顕著になってくることがX線電子分光装置を用いた表面
分析によって確認された。結果として、酸化被膜が厚く
かつSiO2主体となることで表面外観が問題になる上
に、内部酸化が顕著なため、極低S化による鉄損の低減
が十分でなくなることがわかった。
部酸化現象の抑制方法について鋭意検討した。その結
果、焼鈍プロセスにおいて表層に形成される酸化被膜を
保護性の高いAl2O3主体とすることで、表層窒化なら
びに内部酸化が抑制出来ることを見い出した。
被膜とは、重量比で少なくとも20%以上のAl2O3を
含み、主としてAl2O3+SiO2からなる酸化被膜で
ある。主としてAl2O3+SiO2からなる酸化被膜と
は、酸化被膜中の金属元素の大部分はAlおよびSiで
あり、FeやMn等その他金属の重量比の和が5%以下
の酸化被膜である。
べる。以上のように、耐窒化・耐内部酸化性の為にはS
を0.0010%以上必要とする。S:0.0009%
以下では、鋼板内部の粒成長性が顕著となり表層のAl
2O3+SiO2の酸化被膜構成比がSiO2主体となるう
え、焼鈍時の表層窒化・内部酸化現象が著しくなる。S
が0.0010%以上であれば、表層の酸化被膜は保護
性の高いAl2O3主体にすることができ、顕著な窒化・
内部酸化が抑制できる。
制御元素である。鉄損低減の為には図1に示したよう
に、S減少に伴い、仕上焼鈍後の粒成長性が図れるよう
に上限は0.0025%以下にしなければならない。S
が上限を越えた場合、スラブ再加熱時に再固溶するMn
Sが熱延までに微細に再析出し、粒成長阻害要因とな
る。よってSは0.0010〜0.0025%とする。
表層の酸化被膜を保護性の高いAl 2O3主体にし、表層
窒化・内部酸化を抑制する手法はないかさらなる検討を
進めた。その結果、SbもしくはSnを添加することに
より、Sが0.0009%以下の領域において表層の酸
化被膜は保護性の高いAl2O3主体へ変化し、表層の窒
化現象のみならず内部酸化の進行も抑制されることがわ
かった。SbやSnの添加により、表面の酸化状態が変
化し、窒化や内部酸化が抑制される原因については明ら
かでないが、添加した微量元素の表面偏析現象が関与す
るものと推定される。SbおよびSnの添加について
は、特にSが0.0009%以下の領域において有効で
あるが、過剰な添加はコストアップにつながるため、S
bおよびSnを一種もしくは二種合計で0.010%以
下とする。また下限についてはSが0.0009%以下
の領域において、表層窒化・内部酸化抑制に効果の現わ
れる0.0005%とする。
る。Cは磁気時効の問題があるため0.005%以下と
する。
要な元素であるが、0.2%を超えて添加すると鋼板が
脆化するため0.2%以下とする。高純度化による粒成
長性の極限化を狙う場合は望ましくは0.01%以下と
するのが良い。
けるAlNの析出量が多くなり、鉄損を増大させるため
0.005%以下とする。
な元素であるが、4.0%を超えると飽和磁束密度の低
下に伴い磁束密度が低下するため上限を4.0%とす
る。
ため、上限を1.0%以下とする。
に有効な元素であるが、1.5%を超えると飽和磁束密
度の低下に伴い磁束密度が低下するため上限を1.5%
とする。また、下限はAl2O3主体の酸化被膜形成上、
0.05%以上が望ましい。
いては、酸化被膜が所定の範囲内であれば、通常の電磁
鋼板を製造する方法でかまわない。すなわち、転炉で吹
練した溶鋼を脱ガス処理して所定の成分に調整し、引き
続き鋳造、熱間圧延を行う。熱間圧延時の仕上温度、巻
取り温度は特に規定する必要はなく、通常の電磁鋼板を
製造する範囲の温度でかまわない。また、熱延後の熱延
板焼鈍は行っても良いが必須ではない。次いで一回の冷
間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ2回以上の冷間圧
延により所定の板厚とした後に、最終焼鈍を行う。
スにおいて通常行われる還元雰囲気下で行えば良い。特
に露点が−10℃以下のH2−N2混合雰囲気で最終焼鈍
を行うことにより、鋼板表層により一層耐窒化・耐内部
酸化性に優れた酸化被膜を形成することが出来る。
で吹練した後に脱ガス処理を行うことにより所定の成分
に調整後鋳造し、スラブ加熱温度1160℃で1hr加
熱した後、板厚2.0mmまで熱間圧延を行った。熱間
圧延時の仕上温度は800℃、巻取り温度は670℃と
した。次にこの熱延板を酸洗し、その後、板厚0.5m
mまで冷間圧延を行い、10%H2−90%N2雰囲気
で、900℃×1minの仕上焼鈍条件を行った。この
試料について、25cmエプスタイン法により、鉄損値
(W15/50)および磁束密度(B50)を測定した。
さらに、仕上焼鈍後の板についてX線光電子分光法によ
り酸化被膜成分とその厚み、さらに内部酸化の有無を測
定した。また表層窒化層の有無については、鋼板表面よ
り約30μm厚さまで電解法によりサンプリングした抽
出残さの定量結果から判断した。測定結果を表2に示
す。
No.1〜3までは、酸化被膜成分はAl2O3主体であ
り、酸化被膜厚みも5〜10nmと少なく、表層窒化・
内部酸化は抑制されている。
7までは、酸化被膜成分はAl2O3主体で、酸化被膜厚
みも50nm以下になっており、表層窒化・内部酸化は
抑制されている。さらに、Sが0.0025%以下であ
ることから粒成長阻害要因の一つであるMnSの析出も
なく、低鉄損が得られている。
11までは、極低Sのため粒成長性が確保される上、S
b、Snを添加する事により、酸化被膜成分はAl2O3
主体で、酸化被膜厚みも50nm以下となっている。そ
の結果、表層窒化・内部酸化は抑制され、低鉄損が得ら
れている。
低SではあるがSbもしくはSnが無添加のため、酸化
被膜成分はSiO2主体となっており酸化被膜厚みも5
0nm超えとなっている。その結果、表面窒化・内部酸
化が顕著で、鉄損も本発明鋼No.4〜11と比べやや
高めとなっている。
耐窒化・耐内部酸化性に優れた電磁鋼板を得ることがで
きる。さらに、第二の発明、第三の発明によれば低鉄損
の電磁鋼板を得ることができる。
けでなく優れた表面外観を要求される電気材料として使
用するのに好適である。
関係を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 表面から50nm以内の極表層に酸化被
膜を形成し、さらに、前記酸化被膜は、重量比で20%
以上のAl2O3を含み、主としてAl2O3+SiO2か
らなることを特徴とする耐窒化・耐内部酸化性に優れた
電磁鋼板。 - 【請求項2】 C:0.005%以下、Si:4.0%
以下、Al:1.5%以下、P:0.2%以下、N:
0.005%以下(0を含む)、Mn:1.0%以下を
含有し、さらにS:0.0010〜0.0025%を含
み、残部は実質的にFeからなる無方向性電磁鋼板であ
って、請求項1に記載の酸化被膜が冷間圧延後の焼鈍時
に形成されることを特徴とする焼鈍時の耐窒化・耐内部
酸化性に優れた電磁鋼板。 - 【請求項3】 C:0.005%以下、Si:4.0%
以下、Al:1.5%以下、P:0.2%以下、N:
0.005%以下(0を含む)、Mn:1.0%以下、
S:0.0009%以下を含有し、さらにSbとSnの
少なくとも一方を0.0005〜0.010%含み、残
部は実質的にFeからなる無方向性電磁鋼板であって、
請求項1に記載の酸化被膜が冷間圧延後の焼鈍時に形成
されることを特徴とする焼鈍時の耐窒化・耐内部酸化性
に優れた電磁鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11136500A JP2000328207A (ja) | 1999-05-18 | 1999-05-18 | 耐窒化・耐内部酸化性に優れた電磁鋼板 |
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-
1999
- 1999-05-18 JP JP11136500A patent/JP2000328207A/ja active Pending
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