JP2735929B2 - 磁気特性および被膜特性に優れた方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性および被膜特性に優れた方向性けい素鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、方向性けい素鋼板の製造方法に関し、と
くにその磁気特性と被膜密着性の効果的な改善を図ろう
とするものである。
(従来の技術) 磁気特性に優れた方向性けい素鋼板を得るには(11
0)[001]方位の二次再結晶粒を安定して得ることが必
要である。そのためには二次再結晶前の鋼板中におい
て、(110)[001]方位粒以外の正常粒成長を抑制する
インヒビターの存在と、二次再結晶の核となる(110)
[001]方位粒の存在が不可欠である。一次再結晶集合
組織の改善法については、たとえば特開昭58−55530号
公報、特開昭59−232227号公報および特開昭61−117215
号公報等に、熱延板焼鈍または中間焼鈍において50〜30
0ppm程度脱炭を行う方法が開示されている。かかる方法
の目的は、表層の一次再結晶集合組織中の(110)[00
1]方位粒を増加させると共に、(110)[001]方位粒
の成長を妨げる中心部の{100}<011>方位粒の成長を
抑えることによって磁気特性の向上を図ろうとするもの
である。
これらの方法の問題は、単に表層脱炭を行った場合に
は、表層の(110)[001]方位粒は増加するけれども、
同時に(110)[001]方位より多少ずれた方位の結晶粒
も増加してしまい、結果として二次再結晶が安定して進
行し鉄損は良好となるものの、磁束密度については十分
とはいえないことである。
方向性けい素鋼板の製造に際しては、結晶組織のコン
トロールに鋼中Cが重要な役割を果たしているため、鋼
中には所定量のCの存在が必要であり、それ故素材中に
は0.04〜0.08wt%(以下単に%で示す)程度のCが含有
されている。しかしながら製品中にCが残留すると磁気
特性の著しい劣化を招くので、最終仕上げ焼鈍前に脱炭
焼鈍を施して、C量を0.0030%程度以下まで減少させて
いる。この脱炭機構は、Cを鋼板表面に拡散させて雰囲
気中の酸素と結合させ、一酸化炭素として除去するもの
である。
ところでこの脱炭工程には、脱炭だけでなく、後続の
仕上げ焼鈍工程におけるフォルステライト被膜形成に不
可欠なSiO2およびファイアライト(2FeO・SiO2)を主体
とする酸化膜の形成という重要な役割がある。かかる酸
化膜の形成には、脱炭焼鈍時における雰囲気の酸素ポテ
ンシャルが重要な意味をもつが、この酸素ポテンシャル
のコントロールは、通常、水素または水素と窒素の混合
ガスを所定温度の水中に通すなどして、所定の露点を確
保することにより行っている。この酸素ポテンシャルの
表示としての露点は雰囲気ガス中の水素ガス量に応じて
実質内容が異なるので、一般的にはP(H2O)/P(H2
値を雰囲気の酸素ポテンシャルとして表示する。
従来、方向性けい素鋼板の脱炭焼鈍工程では、特開昭
54−160514号公報の明細書中に開示されているように、
雰囲気の酸素ポテンシャルはP(H2O)/P(H2)値で0.1
5〜0.75の範囲内の一定値とされるのが普通であった。
その後、特開昭54−160514号公報において、脱炭焼鈍工
程を前部と後部とに分け、脱炭焼鈍温度たとえば750〜8
80℃の前部領域での雰囲気のP(H2O)/P(H2)を0.15
以上とし、後部領域の雰囲気のP(H2O)/P(H2)を0.7
5以下でかつ前部領域のP(H2O)/P(H2)より小さくす
る方法が提案された。この方法により、製品の磁気特性
だけでなく被膜特性も改善された。
(発明が解決しようとする課題) ところで発明者らは、時代の要請である省エネルギー
に効果的に対処すべく、方向性けい素鋼板の磁気特性お
よび被膜特性の一層の改善、さらにはより安定した製品
の製造を実現すべく、製造工程について再検討を行っ
た。
AlNを主要インヒビターとする方向性けい素鋼板の特
徴として、最良の磁気特性を得るための最終冷延圧下率
は80%を超える。ここに日本金属学会誌第52巻第3号の
第259〜266頁にわたる“3%Si−Fe合金の1次再結晶板
の{110}方位粒分布と2次再結晶粒方位の関係”と題
する報文中とくにFig.11によれば、1回法(圧下率87.6
%,91.3%)のほうが2回法(圧下率60%)よりも{11
0}<001>方位の存在頻度が低いことが示されている。
そのためAlNを主要インヒビターとする1回法の方向性
けい素鋼では、MnSe,MnSをインヒビターとする2回法の
場合に比べて、板厚が薄い場合、特に0.23mm厚以下の場
合には二次再結晶が不安定になるという問題があった。
たとえば特開昭54−160514号公報の実施例4の条件A
には、板厚0.23mmの試料について、P(H2O)/P(H2
=0.35の気流中で840℃,120秒の脱炭焼鈍を行った場合
の二次再結晶発生率および磁気特性が示されているが、
二次再結晶発生率は0〜25%であり、またB8も1.57〜1.
71(Wb/m2)程度の低い値しか得られていない。かかる
問題の解決策として特開昭54−160514号公報では、前述
したように、脱炭焼鈍工程を前部と後部に分け、かつ後
部の雰囲気の酸化度を前部のそれよりも小さくしたので
ある。しかしながら上記の方法では、磁気特性とくに鉄
損特性が不安定であり、実施例4中の発明例Cの条件で
は、板厚:0.23mmの場合の鉄損はW17/50で0.87〜1.08W/
kgと必ずしも満足のいく値とはなっていない。しかも発
明者らの検討によれば密着性の改善も不十分であった。
この点については前述した表面脱炭技術も同様で、た
とえば特開昭61−117215号公報の実施例1中履歴(A)
において、板厚0.225mmの場合の磁束密度はB8=1.93Tと
不十分な値であり、また発明者らの検討によれば被膜特
性も思わしくなかった。
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、Al
Nを主要インヒビターとする方向性けい素鋼板、特に板
厚が薄いけい素鋼板であっても、良好な磁気特性および
被膜特性が得られる方向性けい素鋼板の有利な製造方法
を提案することを目的とする。
(課題を解決するための手段) すなわちこの発明は、 C:0.040〜0.080%、 Si:2.0〜4.0%、 solAl:0.01〜0.04%、 N:0.0040〜0.0120%、 Mn:0.03〜0.12%、 Se:0.01〜0.05%および Sb:0.01〜0.20% を含む組成になるけい素鋼スラブを、熱間圧延後、1回
または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施して最終
板厚としたのち、脱炭焼鈍を施し、ついで鋼板表面にMg
Oを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結
晶焼鈍および純化焼鈍を施す一連の工程によって方向性
けい素鋼板を製造するに当たり、 熱間圧延後、最終冷延前までの間に、鋼中Cを0.005
〜0.030%脱炭すると共に、その後の脱炭焼鈍を焼鈍温
度:850〜950℃、雰囲気のP(H2O)/P(H2):0.10〜0.3
0の条件下に行うことからなる磁気特性および被膜特性
に優れた方向性けい素鋼板の製造方法である。
以下、この発明を具体的に説明する。
この発明は、熱間圧延後、最終圧延前までの間に鋼板
表面より脱炭を行い、さらに脱炭焼鈍を特定の条件下で
実施することにより、二次再結晶の安定化による磁気特
性の向上および被膜特性の向上を同時に実現するもので
ある。
さて発明者らは、素材としてC:0.058%,Si:3.30%,M
n:0.07%,sol.Al:0.030%,N:0.0070%,Se:0.020%,Sb:
0.030%を含み、残部は実質的にFeからなるスラブを、
熱間圧延−熱延板焼鈍−酸洗−冷間圧延−中間焼鈍−冷
間圧延の各工程で処理して0.23mmの最終板厚とし、この
とき中間焼鈍工程で一部の材料にK2CO3溶液を塗布して
表面から脱炭を行わせた。最終冷延前にC分析を行った
ところ、K2CO3溶液を塗布したものはC量が0.014%減少
していたのに対し、K2CO3溶液を塗布しないものは0.003
%の減少であった。
その後これらの材料に、温度と雰囲気の酸化度を種々
に変更させて脱炭焼鈍を行い、さらにMgOを主成分とす
る焼鈍分離剤を塗布してから、N2雰囲気中で二次再結晶
焼鈍、ついでH2雰囲気中で純化焼鈍を施した。
かくして得られた各鋼板の磁束密度および被膜の最小
はく離径について調査した結果を、第1図および第2図
にそれぞれ示す。
同図から明らかなように、最終冷延に先立って鋼板表
面から脱炭を行わせ、その後に脱炭焼鈍温度:850℃〜95
0℃、雰囲気のP(H2O)/P(H2):0.10〜0.30の条件で
脱炭処理を施した場合には、高磁束密度でかつ被膜の曲
げ密着性が良好な製品が得られている。
これに対し、表面から脱炭を行わせなかった場合は、
被膜特性および磁気特性とも良好な条件は極めて狭い範
囲に限られており、しかも磁束密度の値は表面脱炭を行
った場合に比べて低レベルである。また表面から脱炭を
行わせた場合でも、通常の脱炭処理条件である焼鈍温
度:825℃前後、雰囲気のP(H2O)/P(H2):0.30〜0.50
程度の条件では良好な磁気特性は得られていない。
このように表面脱炭を行いかつ脱炭焼鈍を特定の条件
下で実施することによって、磁気特性および被膜特性の
良好な製品が得られる理由は、次のとおりと考えられ
る。
従来の脱炭焼鈍方法では、脱炭反応と酸化反応の両者
を適正に行わせる必要があり、温度と露点の微妙なコン
トロールが必要不可欠であるため、実際の操業を安定し
て行うことは極めて難しい。その困難さは近年の板厚減
少傾向に伴って飛躍的に増大し、もはや看過することは
できない状態に陥っている。
しかも脱炭反応と酸化反応は、製品の磁気特性と被膜
特性とを併せて向上させるためには相反する関係にあ
る。
すなわち均一で密着性の良いフォルステライト被膜を
形成させるためには、緻密で一様なサブスケール(鋼板
表層の内部酸化層を一般にサブスケールと呼称する)を
形成させる必要があり、そのためには例えば雰囲気のP
(H2O)/P(H2)を0.3以下にする必要があるが、この場
合には脱炭反応が不十分となり、鋼中にCが残存して製
品の磁気特性が劣化するのである。鋼中に残存するCを
十分に脱炭させるべく脱炭焼鈍温度を上げる(例えば85
0℃以上)と、従来から知られているように鋼板表層の
サブスケールが緻密となってやはり脱炭不良を起こし、
フォルステライト被膜の形成には有利であるけれども、
磁気特性には悪い結果となる。
逆に、磁気特性を向上させるため、鋼中Cを十分に脱
炭させるべく例えば雰囲気の酸素ポテンシャルを上げる
(P(H2O)/P(H2)=0.50)と、サブスケール中のシ
リカがまばらとなり、仕上げ焼鈍後に形成されるフォル
ステライト被膜の密着性が劣化する結果となる。
この点、発明者らは、最終冷延までの途中工程におい
て鋼中Cの一部を表面脱炭させた上で、従来、脱炭上不
利とされていた温度と焼鈍雰囲気の下(0.10≦P(H
2O)/P(H2)≦0.30、850℃≦焼鈍温度≦950℃)で脱炭
焼鈍を施すことが、むしろ磁気特性の向上のみならず被
膜密着性の向上に有効であることを新規に知見し、この
知見に基づいてこの発明を完成させるに至ったのであ
る。
磁気特性が向上する理由としては、表面脱炭により一
次再結晶の集合組織中の(110)[001]方位粒が増加し
て二次再結晶が安定化したために、脱炭不良による二次
再結晶粒の成長阻害が軽減されたこと、および仕上げ焼
鈍初期に残留Cが、MgO中に数%程度含まれているMg(O
H)より放出されるH2Oを消費するために地鉄の初期酸
化が抑制されることが挙げられる。なおかかる初期酸化
は被膜密着性の劣化要因でもあり、従って初期酸化の抑
制は被膜密着性の向上にも寄与しているものと考えられ
る。
(作 用) この発明において、素材の成分組成を前記の範囲に限
定した理由は次のとおりである。
C:0.040〜0.080% Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化なら
びにゴス方位の発達に有用な元素であるが、0.040%に
満たないと二次再結晶不良となり、一方0.080%を超え
ると表面からの脱炭が困難になるので、0.040〜0.080%
の範囲とした。
Si:2.0〜4.0% Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与す
るが、2.0%未満では良好な鉄損が得られず、一方4.0%
を超えると冷間圧延性が著しく劣化するので、2.0〜4.0
%の範囲とした。
Al:0.01〜0.04%、N:0.0040〜0.0120% AlおよびNは、インヒビターAlNを形成するために必
要であり、まずAlはインヒビターとしての機能を発揮さ
せるためには少なくとも0.01%を必要とし、一方0.04%
を超えると二次再結晶しても磁束密度が不安定となるの
で、0.01〜0.04%の範囲に限定した。次にNは0.0040%
未満ではAlNの量が不足し、一方0.0120%を超えると製
品にブリスターが発生するので、0.0040〜0.0120%の範
囲とした。
Mn:0.03〜0.12%、Se:0.01〜0.05% MnとSeは、インヒビターMnSeを形成させるための成分
である。まずMnはインヒビターとしての機能を発揮させ
るためには少なくとも0.03%を必要とし、一方0.12%を
超えるとMnSeの固溶温度が高くなり、通常のスラブ加熱
温度では固溶せず磁性の劣化を招くので、0.03〜0.12%
の範囲とした。次にSeは0.05%を超えると純化焼鈍での
純化が困難となり、一方0.01%未満ではインヒビターの
量が不足するため、0.01〜0.05%とする。
Sb:0.01〜0.20% Sbは、表面に濃化して焼鈍雰囲気の影響を緩和する働
きがあるが、含有量が0.01%未満ではその効果に乏し
く、一方0.20%を超えると脱炭性及び表面被膜の形成に
問題を生じるので、0.01〜0.20%とした。
以上、必須成分について説明したが、この発明ではさ
らに以下の成分を必要に応じて添加することができる。
Cu:0.02〜0.20% Cuは、磁束密度のみならず、被膜外観のさらなる向上
に有効に寄与するが、0.20%未満ではその添加効果に乏
しく、一方0.20%を超えるとぜい性が劣化するので、0.
02〜0.20%の範囲で含有させる必要がある。
Sn:0.02〜0.20% Snは、鉄損の向上に有用な元素であるが、含有量が0.
20%未満ではその添加効果に乏しく、一方0.20%を超え
るとぜい性が劣化するので、0.02〜0.20%の範囲で含有
させる必要がある。
Mo:0.005〜0.05% Moは、表面性状の改善に有効に寄与するが、含有量が
0.005%未満ではその添加効果に乏しく、一方0.05%を
超えると脱炭性が悪化するので、0.005〜0.05%の範囲
で含有させる必要がある。
さて上記の好適成分組成に調整したけい素鋼スラブ
は、加熱後、常法に従って熱間圧延する。その後、必要
に応じ900〜1200℃程度の温度で均一化焼鈍を施したの
ち、急冷し、引き続き1回あるいは中間焼鈍をはさむ2
回以上の冷間圧延を施す。
この発明では、上記の熱間圧延後、最終冷延前までの
間に、鋼板表面からCを0.005〜0.030%脱炭することが
肝要である。これに脱炭量を0.005〜0.030%の範囲に限
定したのは、脱C量が0.005に満たないと磁気特性の改
善効果に乏しく、一方0.030%を超えると二次再結晶が
不良となるからである。
ここで表面より脱炭を行う方法としては、熱間圧延後
の巻き取り温度を500〜700℃程度に制限して、コイルの
自己焼鈍を進行させる方法、熱延板焼鈍または/および
中間焼鈍時にK2CO3,Na2O等のアルカリ金属化合物等の、
SiO2と容易に反応して鋼板表面に脱炭抑制被膜を生じさ
せない脱炭促進剤を塗布する方法、熱延板焼鈍または/
および中間焼鈍を脱炭性雰囲気で行う方法、その他表面
より脱炭できる方法であれば何れでもよい。
ついで冷間圧延後、脱炭焼鈍を行うが、この脱炭焼鈍
において焼鈍温度が850℃に満たないと均一な被膜が得
られず、一方950℃を超えるとAlNの効果が損なわれ磁気
特性が劣化するので、焼鈍温度は850〜950℃の範囲に限
定した。また脱炭焼鈍時における雰囲気の酸化度P(H2
O)/P(H2)が0.10に満たないと被膜の形成が阻害さ
れ、一方0.30を超えると磁気特性が劣化するので、雰囲
気の酸化度P(H2O)/P(H2)は0.10〜0.30の範囲に限
定した。
その後MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してか
ら、常法に従い二次再結晶焼鈍ついで純化焼鈍を施して
製品とする。
なおその後さらに上塗り絶縁コーティング処理を施す
ことは有利である。
(実施例) C:0.065%,Si:3.34%,Mn:0.076%,Se:0.024%,sol A
l:0.028%,N:0.0085%およびSb:0.029%を含み、残部実
質的にFeからなるけい素鋼スラブを、1420℃でスラブ加
熱後、熱間圧延を施して板厚2.3mmの熱延板とした。つ
いで1回目の冷間圧延で1.8mmの中間板厚としたのち、K
2CO3溶液を種々の濃度で塗布してから1100℃、2分間の
中間焼鈍を施し、焼鈍後急冷した。しかるのち2回目の
冷間圧延で0.90mm厚まで冷延し、300℃、2分間のパス
間時効後、最終冷延によって0.22mm厚に仕上げた。
次に焼鈍温度と焼鈍雰囲気を種々に変化させて脱炭焼
鈍を120秒間行った。その後脱炭焼鈍板の表面にMgO:100
部に対しTiO2:10部を加えた焼鈍分離剤を塗布してか
ら、75%H2−25%N2の雰囲気中において20℃/hの速度で
1200℃まで昇温する二次再結晶焼鈍を施し、ついでH2
囲気に切換えてから1200℃で純化焼鈍を行った。
第1表に、最終冷延前における脱C量ならびに製品の
磁気特性および被膜の最小はく離径について調べた結果
を示す。
実施例2 第2表に示す種々の成分組成になるけい素鋼スラブ
を、1420℃でスラブ加熱後、熱間圧延を施して板厚2.3m
mの熱延板とした。ついで1回目の冷間圧延で1.5mmの中
間板厚としたのち、脱炭性雰囲気(H2:50%,N2:50%,d.
p.30℃)で1100℃、90秒の中間焼鈍を施し、焼鈍後急冷
した。しかるのち2回目の冷間圧延で0.60mm厚まで冷延
し、300℃、2分間のパス間時効後、最終冷延によって
0.22mm厚に仕上げた。
ついで焼鈍温度:880℃、焼鈍雰囲気の酸化度P(H
2O)/P(H2)=0.24の条件下に120秒間の脱炭焼鈍を行
った。その後脱炭焼鈍板の表面にMgOを主成分とする焼
鈍分離剤を塗布してから、75%H2−25%N2の雰囲気中に
おいて20℃/hの速度で1200℃まで昇温する二次再結晶焼
鈍を施し、ついでH2雰囲気に切換えてから1200℃で純化
焼鈍を行った。
第2表に、最終冷延前における脱C量ならびに製品の
磁気特性および被膜の最小はく離径について調べた結果
を示す。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、表面脱炭による集合組織
改善効果を脱炭焼鈍後の残留Cの効果により飛躍的に増
大させることができ、もって磁気特性および被膜特性と
もに良好な方向性けい素鋼を安定して得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、最終冷延前までの脱炭量が0.014%であると
き、脱炭焼鈍における焼鈍温度および焼鈍雰囲気の酸化
度P(H2O)/P(H2)が磁束密度および被膜密着性に及
ぼす影響を示したグラフ、 第2図は、最終冷延前までの脱炭量が0.003%であると
き、脱炭焼鈍における焼鈍温度および焼鈍雰囲気の酸化
度P(H2O)/P(H2)が磁束密度および被膜密着性に及
ぼす影響を示したグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.040〜0.080wt%、 Si:2.0〜4.0wt%、 solAl:0.01〜0.04wt%、 N:0.0040〜0.0120wt%、 Mn:0.03〜0.12wt%、 Se:0.01〜0.05wt%および Sb:0.01〜0.20wt% を含む組成になるけい素鋼スラブを、熱間圧延後、1回
    または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施して最終
    板厚としたのち、脱炭焼鈍を施し、ついで鋼板表面にMg
    Oを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結
    晶焼鈍および純化焼鈍を施す一連の工程によって方向性
    けい素鋼板を製造するに当たり、 熱間圧延後、最終冷延前までの間に、鋼中Cを0.005〜
    0.030wt%脱炭すると共に、その後の脱炭焼鈍を焼鈍温
    度:850〜950℃、雰囲気のP(H2O)/P(H2):0.10〜0.3
    0の条件下に行うことを特徴とする磁気特性および被膜
    特性に優れた方向性けい素鋼板の製造方法。
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