JPH0860247A - 磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0860247A
JPH0860247A JP6222504A JP22250494A JPH0860247A JP H0860247 A JPH0860247 A JP H0860247A JP 6222504 A JP6222504 A JP 6222504A JP 22250494 A JP22250494 A JP 22250494A JP H0860247 A JPH0860247 A JP H0860247A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スラブの高温加熱や中間焼鈍をはさんでの2
回の冷間圧延を施すことなく、安価に低鉄損で、かつ高
磁束密度の磁気特性を得る。 【構成】 C:0.004%以下、Si:1.0%以
下、Mn:0.4%以下、N:0.004%以下、S:
0.006%以下、O:0.015%以下を含み、Mn
/S≧10を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物
からなる鋼を溶製する際、合金元素添加前のsol.A
l量を0.001%以下として溶製し鋳片となし、10
00〜1300℃に加熱後、熱間圧延し、650℃以上
の温度で巻取ったのち、圧下率75%以上で冷間圧延を
行う。 【効果】 回転機器用の鉄芯材料として低鉄損で、かつ
高磁束密度の優れた磁気特性の無方向性電磁鋼板を製造
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動機、発電機等の回
転機器の鉄芯材料として用いられる磁気特性の優れた無
方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板は、発電機、電動機等
の回転機器の鉄芯材料と、小型変圧器、安定器等の静止
機器の鉄芯材料とに大別されるが、これらの電気機器に
対しては、いずれも最近の省エネルギーの見地から小型
化あるいは高効率化がますます必要とされており、電磁
鋼板の低鉄損、高磁束密度化という磁気特性改善が強く
求められている。静止機器の鉄芯材料用の無方向性電磁
鋼板は、磁化の方向が限定されることから機器の特性向
上には磁性に方向性を付与した方が有利であるが、回転
機器の鉄芯材料用の無方向性電磁鋼板は、板面のあらゆ
る方向に磁化されることから、磁気特性の異方性は極め
て小さくなければならない。従って、回転機器用電磁鋼
板としては、磁気特性の異方性が少なく、板面のあらゆ
る方向の平均値としての磁気特性が低鉄損、高磁束密度
であることが求められる。
【0003】無方向性電磁鋼板の磁気特性は、通常はJ
IS−C−2550に定められているように、圧延方向
と、圧延方向に対し直角な方向とから採取した短冊状試
料の測定値で評価されている。この方法により評価され
る無方向性電磁鋼板の磁気特性は、磁化方向が限定され
る静止機器の特性には反映されるが、回転機器の鉄芯の
ような板面のあらゆる方向に磁化される機器の鉄芯の性
能を正当に評価することができない。回転機器用の電磁
鋼板の磁気特性としては、回転機器の励磁状態に近いリ
ング試料での磁気特性の評価が適切であり、この試験法
で良好な特性が得られることが重要である。このような
ことから最近では、リング試料で測定しても良好な鉄損
と磁束密度が得られる、板面内無方向に磁気特性の良好
な無方向性電磁鋼板の開発が進められるようになり、電
磁鋼板とその製造法について種々の提案が行われてい
る。
【0004】例えば、C:0.015%以下、Si:
0.1〜1.0%、sol.Al:0.001〜0.0
05%、Mn:1.5%以下、S:0.008%以下、
N:0.0050%以下、T.O:0.02%以下を含
む無方向性電磁鋼板において、鋼中のSiO2、Mn
O、Al23の3種の介在物の総重量に対するMnOの
重量の割合が15%以下である無方向性電磁鋼板(特開
昭63−195217号公報)、SiとAlを合計で
4.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.2%以下
を含有し、残部は実質的にFeよりなる素材スラブを1
300〜1500℃の温度で10〜120分加熱し、つ
いで仕上温度600〜800℃の熱間圧延を施したの
ち、圧下率40〜85%の1回の冷間圧延により最終板
厚とし、再結晶焼鈍を施す方法(特開平2−10771
9号公報)、Si:3.3%以下、Al:1.5〜8
%、Mn:0.2%以下。金属残渣(Ni、Mo、T
i、Cu)の合計:0.1%以下、C:0.3%以下、
S:0.2%以下、N:0.2%以下、O:0.2%以
下、P:0.5%以下、残部実質的にFeよりなる鋼帯
は熱間圧延と、中間焼鈍介して行われる2回の冷間圧延
と、最終焼鈍によって製造され、最終冷間圧延の圧下率
が50〜80%、好ましくは60〜75%であり、上記
鋼帯は立方晶系の結晶構造を有し、かつ結晶粒子の少な
くとも40%はミラー記号での理想立方晶方向(10
0)[001]から15度以上はずれていない電磁鋼板
(特開平3−24251号公報)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭63−19
5217号公報に開示の無方向性電磁鋼板は、鋼中のS
iO2、MnO、Al23の3種の介在物の総重量に対
するMnOの重量の割合を15%以下に調整するため、
真空脱ガス処理前にSi−Mn合金を添加するため、M
nのロスが増大し、Mnの添加コストが増大するという
欠点がある。また、特開平2−107719号公報に開
示の方法は、スラブを1300〜1500℃という高温
で加熱しなければならないため、スラブの表面が低融点
のスケールに覆われて融け落ちが生じたり、熱延鋼板の
スケール除去が困難となるばかりでなく、エネルギーコ
ストが増大し、かつスケールロスが増えるため、経済的
にも不利である。さらに特開平3−24251号公報に
開示の電磁鋼板は、中間焼鈍をはさんで2回の冷間圧延
を行なうため、工程が煩雑になり、また製造コストが増
大し経済的にも不利である。
【0006】この発明の目的は、上記従来技術の欠点を
解消し、スラブの高温加熱や中間焼鈍をはさんでの2回
の冷間圧延を施すことなく、安価に板面内無方向に磁気
特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、磁気特性
に及ぼす合金元素添加前のsol.Al量の影響を詳細
に検討した結果、合金元素添加前のsol.Al量を
0.001%以下となるように溶製した鋼素材を鋳片と
なし、1000〜1300℃に加熱後、熱間圧延し、6
50℃以上の温度で巻取ったのち、さらに75%以上の
圧下率で冷間圧延を行うことによって、高温のスラブ加
熱や中間焼鈍をはさんで2回の冷間圧延を必要とせずに
円周方向の磁気特性が一段と改善されることを知見し、
この発明に到達した。
【0008】すなわちこの発明は、C:0.004%以
下、Si:1.0%以下、Mn:0.4%以下、N:
0.004%以下、S:0.006%以下、O:0.0
15%以下を含み、Mn/S≧10を満足し、残部がF
eおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製する際、合金
元素添加前のsol.Al量を0.001%以下として
溶製し鋳片となし、1000〜1300℃に加熱後、熱
間圧延し、650℃以上の温度で巻取ったのち、圧下率
75%以上で冷間圧延を行うことを特徴とする磁気特性
の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0009】
【作用】この発明においては、C:0.004%以下、
Si:1.0%以下、Mn:0.4%以下、N:0.0
04%以下、S:0.006%以下、O:0.015%
以下を含み、Mn/S≧10を満足し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼を溶製する際、合金元素添
加前のsol.Al量を0.001%以下として溶製し
て鋳片となし、1000〜1300℃に加熱後、熱間圧
延し、650℃以上の温度で巻取ったのち、圧下率75
%以上で冷間圧延を行うことによって、酸化物形態が変
化してSi−Mn−Al系の複合酸化物が低減し、熱延
鋼板での粒成長が促進されると共に、さらに高圧下冷延
を行うことにより板面内平均の磁気特性に有利な集合組
織が得られ、板面内の平均磁気特性の優れた電磁鋼板を
得ることができる。
【0010】この発明における合金元素添加前のso
l.Al量が0.001%以下のAlトレース系の鋼の
場合は、酸化物はSi−Mn系が主体となるが、so
l.Alの高い状態でSi,Mnを添加すると、Si−
Mn系の酸化物に一部Alが混入して、低融点(120
0℃以下)のSi−Mn−Al系の複合酸化物が生成
し、これが熱間圧延時に展伸し、熱延鋼板の粒成長を阻
害すると考えられる。熱延鋼板の粒成長が妨げられると
磁気特性が悪化することは、従来からよく知られてい
る。すなわち、磁気特性の改善のためには、Si,Mn
添加前のsol.Al量をできるだけ低くする必要があ
る。この発明においては、Alトレース系に限定しS
i,Mn添加前のsol.Al量をできるだけ低減す
る、すなわち真空脱ガス処理の際のAlによる脱酸を抑
えることによってSi−Mn−Al系の複合酸化物が低
減し、かつ巻取り温度、冷間圧延の圧下率を最適化する
ことにより、板面内の平均磁気特性を改善することがで
きる。
【0011】この発明において所定化学成分の鋼を溶製
する際の合金元素添加前のsol.Al量を0.001
%以下に限定したのは、sol.Alの高い状態でS
i,Mnを添加すると、Si−Mn系の酸化物に一部A
lが混入して、低融点(1200℃以下)のSi−Mn
−Al系の複合酸化物が生成し、これが熱延時に展伸
し、熱延板の粒成長を疎外するため0.001%以下と
する。なお合金元素添加後にAlを再添加することは、
同様の理由で望ましくない。この発明において鋼の化学
成分を限定した理由は以下のとおりである。Cは鉄損低
減の観点から少ない方が好ましく、0.004%を超え
ると磁気時効による鉄損増加が生じることから、0.0
04%以下とした。なお、下限については特に限定しな
い。Siは固有抵抗を増加させて渦電流損の低下による
鉄損低下に有効に寄与する元素であるが、1.0%を超
えて添加すると硬度が大きくなり過ぎて、鉄芯に加工す
る際の打ち抜き型の摩耗が激しくなることから、1.0
%以下とした。Mnは熱間脆性の観点からMn/Sで1
0以上添加することが必要であるが、あまり添加し過ぎ
ると磁束密度の低下が生じるため、0.4%以下とし
た。Nは鉄損低減の観点から少ない方がNが好ましく、
0.004%を超えると窒化物の量が増加して磁気特性
が劣化することから、0.004%以下とした。なお、
下限については特に限定しない。SはMnとの間でMn
Sを形成して仕上げ焼鈍後の熱延鋼板の粒成長を抑制
し、焼鈍時の粒成長も妨げ、鉄損の低下を阻む方向に作
用すると共に、熱間脆性を惹起することから、0.00
6%以下とした。なおSについては特性上、下限の規定
は不要である。OはSi、Mn、Alと酸化物を形成し
て結晶粒の成長を障害するため、0.015%以下とし
た。
【0012】この発明において熱間圧延時の加熱温度を
1000〜1300℃としたのは、1000℃未満では
変形抵抗が大きすぎて圧延が困難となり、1300℃を
超えると加熱炉内でスラブがたれたり、スケールロスが
大きくなって経済的に不利となる。また、巻取り温度を
650℃以上としたのは、650℃より低いと結晶粒の
成長を十分に行わせることができないからである。冷間
圧延における圧下率を75%以上としたのは、圧下率7
5%以上の高圧下率の冷間圧延を行なうことによって、
製品での磁気特性の板面内異方性が減少するからであ
る。なお、冷間圧延における圧下率の上限は、もっぱら
操業上の規制から決められるので設定しない。最も一般
的な板厚の0.5mmの製品の場合、95%の圧下率で
は熱延板板厚が10mmにもなり、これ以上の圧下率は
実質上不可能といえる。
【0013】上記により得られた冷延鋼板は、冷延後の
加工組織を再結晶させると共に再結晶粒を十分に粒成長
させることを目的とし、焼鈍されるが、連続焼鈍が一般
的である。無方向性電磁鋼板には、所定の磁気特性を付
与して出荷するフルプロセス品と、出荷後、ユーザー側
で打ち抜き等の加工後に750℃で2h程度の歪取り焼
鈍を施し、所定の磁気特性を保有させるセミプロセス品
とがある。フルプロセス品では、当然ユーザー側におい
て歪取り焼鈍が施される場合もあり、出荷時はもとよ
り、ユーザー側での歪取り焼鈍実施時にも規定の磁気特
性を示すことが要求される。この発明は、このようなフ
ルプロセス品、セミプロセス品の両方を対象とするもの
であるが、冷間圧延後の焼鈍は一般に、フルプロセス品
では700℃〜900℃で5秒以上程度、セミプロセス
品の場合650℃〜900℃で5秒以上程度とされ、本
発明の場合にもこれに準ずる条件としてよい。なお、電
磁鋼板を製造する場合は、通常さらに絶縁コーティング
を付与する工程が入ってくるが、本発明の場合にも、製
造の最終工程としてコーティングの工程を追加すること
は可能であり、本発明はこのようなケースをも含むもの
である。
【0014】
【実施例】
実施例1 ベース成分として、C:0.003%、Si:0.2
%、Mn:0.3%、P:0.07%、S:0.005
%、N:0.003%、O:0.011〜0.013%
の鋼を溶製する際、真空脱ガス処理時の合金元素(S
i、Mn)添加直前のsol.Al量を変化させて溶製
した鋼片に対し、加熱温度1180℃、仕上げ温度85
0℃で、巻取り温度680℃の熱間圧延を行なった。得
られた各熱延鋼板を脱スケール後、圧下率80%で0.
5mmまで冷間圧延したのち、830℃で30秒の連続
焼鈍を実施し、得られた鋼板をJISリング(外径45
mm、内径33mm)に加工し、リング状での磁気特性
を調査した。その結果を図1に示す。なお磁気特性は周
波数50Hz、磁束密度1.5Tにおける鉄損W15/
50および磁化力5000A/mにおける磁束密度B5
0で評価した。表1に示すとおり、鉄損については、合
金元素添加前のsol.Alが0.001%以下で著し
く低くなっている。磁束密度については、合金元素添加
前のsol.Alが0.001%以下で著しく大きくな
っている。すなわち、合金元素添加前のsol.Alを
0.001%以下とすることによって、磁気特性のバラ
ンスを良くすることができる。
【0015】実施例2 ベース成分として、C:0.002%、Si:0.2
%、Mn:0.3%、P:0.05%、sol.Al:
0.0007%、S:0.005%、N:0.003
%、O:0.011%の鋼片を、加熱温度1200℃、
仕上げ温度880℃とし、巻取り温度を550〜750
℃に変化させて熱間圧延を行なった。得られた各熱延鋼
板を脱スケール後、圧下率78%で0.5mm間で冷間
圧延し、次に740℃で30秒の連続焼鈍を実施し、得
られた鋼板を実施例1と同様にJISリングに加工し、
リング状での磁気特性を調査した。その結果を図2に示
す。なお磁気特性は周波数50Hz、磁束密度1.5T
における鉄損W15/50および磁化力5000A/m
における磁束密度B50で評価した。図2に示すとお
り、鉄損については、熱間圧延における巻取り温度が、
650℃以上で著しく低くなっている。また、磁束密度
については、熱間圧延の巻取り温度が、650℃以上で
著しく大きくなっている。すなわち、熱間圧延の巻取り
温度を650℃以上とすることによって、磁気特性のバ
ランスを良くすることができる。
【0016】実施例3 ベース成分として、C:0.002%、Si:0.8
%、Mn:0.2%、P:0.02%、sol.Al:
0.0003%、S:0.005%、N:0.002
%、O:0.008%の鋼片を、加熱温度1170℃、
仕上げ温度840℃、巻取り温度690℃で熱間圧延を
行なって種々の厚さの熱延鋼板を作製した。得られた各
熱延鋼板を脱スケール後、圧下率65%〜85%で0.
5mmまで冷間圧延したのち、780℃で30秒の連続
焼鈍を実施し、得られた鋼板を実施例1と同様にJIS
リングに加工し、リング状での磁気特性を調査した。そ
の結果を図3に示す。なお磁気特性は周波数50Hz、
磁束密度1.5Tにおける鉄損W15/50及び磁化力
5000A/mにおける磁束密度B50で評価した。図
3に示すとおり、鉄損については、冷間圧延の圧下率
が、75%以上で著しく低くなっている。また、磁束密
度については、冷間圧延の圧下率が、75%以上で著し
く大きくなっている。すなわち、冷間圧延の圧下率を7
5%以上とすることによって、磁気特性のバランスを良
くなることができる。
【0017】実施例4 表1に示す成分組成の鋼を、真空脱ガス処理時の合金元
素(Si、Mn)添加直前のsol.Al量を表2に示
すとおり変化させて溶製し鋼片となし、加熱温度118
0℃、仕上げ温度850℃で、表2に示す巻取り温度で
熱間圧延を行なった。得られた各熱延鋼板を脱スケール
した後、表2に示す圧下率で0.5mmまで冷間圧延
し、得られた試験No.1〜4の冷延鋼板は、780℃
で30秒、No.5〜11の冷延鋼板は、850℃で3
0秒の連続焼鈍を実施し、得られた鋼板をJISリング
に加工し、リング状での磁気特性を調査した。その結果
を表2に示す。なお、表1および表2中の*印は、この
発明の範囲外を示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】表1および表2に示すとおり、試験No.
1、No.5は、本発明の範囲内の成分および製造条件
で製造した電磁鋼板であるが、それぞれ鉄損・磁束密度
バランスに優れた良好な磁気特性を示している。これに
対しMn量が本発明範囲よりも多い試験No.2は、試
験No.1と比較して磁束密度が悪くなっている。S量
が本発明範囲よりも多い試験No.3は、熱間圧延時に
MnSが折出し熱延鋼板の粒成長が起こらず、試験N
o.1と比較して鉄損・磁束密度ともに悪くなってい
る。O量が本発明範囲よりも多い試験No.4は、試験
No.1と比較して鉄損・磁束密度ともに悪くなってい
る。Mn/S比が本発明範囲よりも低い試験No.6
は、熱間圧延時に割れて破断し、熱間圧延が不可能であ
った。合金元素添加前のsol.Al量が本発明範囲よ
りも多い試験No.7〜9は、Si−Mn−Al系の複
合酸化物が生成し、これが熱間圧延時に展伸し、熱延鋼
板の粒成長を阻害するため、試験No.5と比較して試
験鉄損・磁束密度ともに悪くなっている。熱間圧延の巻
取り温度が本発明範囲よりも低い試験No.10は、熱
延鋼板の粒成長が十分でなく、試験No.5と比較して
鉄損・磁束密度ともに悪くなっている。冷間圧延の圧下
率が本発明範囲よりも低い試験No.11は、試験N
o.5と比較して鉄損・磁束密度ともに悪くなってい
る。
【0021】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、従来技術のようにスラブの高温加熱や2回冷間圧延
あるいは、熱延鋼板焼鈍などの煩雑かつ困難な工程をと
ることなく、回転機器用の鉄芯材料として低鉄損で、か
つ高磁束密度の優れた磁気特性の無方向性電磁鋼板を製
造することができる。したがって本発明は、回転機器用
の鉄芯材料向けの無方向性電磁鋼板の性能向上策とし
て、実用上きわめて有意義である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における合金元素添加前のsol.A
l量と磁気特性との関係を示すグラフである。
【図2】実施例2における熱間圧延における巻取り温度
と磁気特性との関係を示すグラフである。
【図3】実施例3における冷間圧延の圧下率と磁気特性
との関係を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.004%以下、Si:1.0%
    以下、Mn:0.4%以下、N:0.004%以下、
    S:0.006%以下、O:0.015%以下を含み、
    Mn/S≧10を満足し、残部がFeおよび不可避的不
    純物からなる鋼を溶製する際、合金元素添加前のso
    l.Al量を0.001%以下として溶製し鋳片とな
    し、1000〜1300℃に加熱後、熱間圧延し、65
    0℃以上の温度で巻取ったのち、圧下率75%以上で冷
    間圧延を行うことを特徴とする磁気特性の優れた無方向
    性電磁鋼板の製造方法。
JP6222504A 1994-08-23 1994-08-23 磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP2874564B2 (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008156741A (ja) * 2006-11-29 2008-07-10 Nippon Steel Corp 高磁束密度無方向性電磁鋼板の製造方法
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RU2723121C1 (ru) * 2016-10-28 2020-06-08 Баошан Айрон Энд Стил Ко., Лтд. Неориентированная электротехническая сталь с превосходными магнитными свойствами и способ её производства

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