JPH07122090B2 - 方向性けい素鋼素材の溶製方法 - Google Patents

方向性けい素鋼素材の溶製方法

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JPH07122090B2
JPH07122090B2 JP3262299A JP26229991A JPH07122090B2 JP H07122090 B2 JPH07122090 B2 JP H07122090B2 JP 3262299 A JP3262299 A JP 3262299A JP 26229991 A JP26229991 A JP 26229991A JP H07122090 B2 JPH07122090 B2 JP H07122090B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、Al及びSbを含有する
磁束密度の極めて高い方向性けい素鋼の連続鋳造に供す
る方向性けい素鋼素材の溶製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼板は、磁気特性として、
磁束密度が高いこと及び鉄損が低いことが要求される。
近年は製造技術の進歩により、例えば板厚:0.23mm の鋼
板では、磁束密度B8(磁化力 800A/m における値): 1.
92T のものが得られ、また鉄損特性W17/50 (50 Hz, 1.
7Tの最大磁化における値) が0.90 w/kg の如き優れた製
品の工業的規模での生産も可能となっている。
【0003】かかる優れた磁気特性を有する材料は、鉄
の磁化容易軸である〈001> 方位が鋼板の圧延方向に高
度に揃った結晶組織で構成されるものであり、かような
集合組織は、方向性けい素鋼板の製造工程中、最終仕上
げ焼鈍の際に、いわゆるゴス方位と称される(110) 001
方位を有する結晶粒を優先的に巨大成長させる2次再結
晶と呼ばれる現象を通じて形成される。この(110) 001
方位の2次再結晶粒を十分に成長させるための基本的な
要件としては、2次再結晶過程において(110) 001 方位
以外の好ましくない方位を有する結晶粒の成長を抑制す
るインヒビターの存在と、(110) 001 方位の2次再結晶
粒が十分に発達するのに好適な1次再結晶組織の形成と
が不可欠であることは周知の事実である。
【0004】ここにインヒビターとしては、一般に Mn
S, MnSe, AlN 等の微細析出物が利用され、さらにこれ
らに加えて特公昭51-13469号や同54-32412号公報に開示
された如き、Sb, Snなどの粒界偏析型の元素を複合添加
してインヒビターの効果を補強することが行われてい
る。
【0005】ところでこれまで一般に、MnS やMnSeを主
要インヒビターとするものは、2次再結晶粒径が小さい
ので、鉄損の低減には有利であったが、近年、レーザー
照射法やプラズマジェット法など、人工的に擬似粒界を
導入し、磁区細分化が図れるようになって以来、2次再
結晶粒径のサイズが小さいことによる優位性は低下し、
磁束密度が高いことの優位性が大きくなった。
【0006】磁束密度の高い方向性けい素鋼板を得る方
法は古くから知られており、例えば特公昭46-23820号公
報に記載されているように、 鋼中にインヒビター成分としてAlN を含有させる、 最終冷延前の焼鈍の冷却を急冷にしてAlN を析出させ
る、 最終冷延の圧下率を80〜95%と高圧下率とする、 以上3点の結合により製造できるとされている。
【0007】上記の方法においては、製品の板厚が薄く
なると、磁束密度が急激に劣化するという欠点を内包し
ており、近年指向されているような例えば板厚:0.25mm
以下の製品でB8 ≧1.94の製品を安定して製造すること
は極めて困難であった。これに対して発明者らは、AlN
を主要インヒビターとする方向性けい素鋼板素材にSbを
添加し、かつ仕上げ焼鈍方法を改善することにより、鋼
板の最終板厚が小さい場合にも極めて高い磁束密度の材
料が得られることを見出し、先に特開平2-115319号公報
にて提案した。しかしながら、上記の方法によっても工
業的に安定して高磁束密度の材料を製造することは必ず
しも容易ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで発明者らは、数
多くの熱延コイルのサンプルを採取して、この原因を調
査した結果、同一溶製チャージ内においても、サンプル
によってはSi, Sbの値が大きく変動することがわかっ
た。またSeを含有する鋼におけるSeも、Si, Sbと同様大
きく変動していた。ここでSiは鉄損の値に直接作用し、
また途中工程において高温焼鈍時のγ変態率に影響を及
ぼすため、その含有量は厳密に管理する必要がある。Sb
は粒界に偏析し熱延板焼鈍や中間焼鈍の冷却における析
出カーバイドのサイズ制御を行い、またこれら焼鈍、脱
炭・1次再結晶焼鈍及び最終仕上げ焼鈍における窒化や
脱窒を抑制し、焼鈍雰囲気に対する鋼中の析出AlN の安
定性を保つのに一定量は必要で、これも厳密に管理する
ことが必要である。さらにSeは直接MnSeのインヒビター
として作用するので、添加する場合はこれも厳密に管理
する必要がある。
【0009】ところで連続鋳造法による方向性けい素鋼
スラブの製造は、1チャージの鋳造に1〜2時間の時間
を要するので、鋳造後の成分変動が大きいことが知られ
ている。例えば特公昭58-9125 号公報には、方向性電磁
鋼板の連続鋳造において、最終鋳片は鋳造の前半で得ら
れた鋳片に比べて、sol.Alが0.005wt %(以下単に%と
示す)、Sが0.005 %減少し、2次再結晶後の製品の磁
気特性を著しく劣化させることが記載され、さらにこの
原因は長時間の鋳造のため、溶鋼がスラグ(鋼滓)と反
応したり、スラグが少ない場合には、溶鋼と空気が直接
反応することにあると記載されている。また特公昭59-3
4207号公報には、電磁鋼板用溶鋼の鋳造に際し連続鋳造
や下注ぎ造塊法では注入始めから注入完了まで極めて長
時間を要するので、Alが0.007 %も低下することが記載
されている。この場合も、溶鋼中のAlが酸素との結合力
がスラグ中のAlよりも弱い金属酸化物と反応し、Alが酸
化物となって溶鋼中から失われることが原因である旨が
述べられている。
【0010】こうした問題に対し特公昭58-9125 号公報
では、溶鋼を保有する取鍋内のスラグ組成のうち、CaO,
SiO2, Al2O3成分をAl2O3 /SiO2 重量比及びCaO/SiO2
量比として各々0.25〜2.0 の範囲に制御して、Al成分及
びS成分の変動を抑えること、また特公昭59-34207号公
報においては、溶鋼を保持する取鍋内のスラグ成分を
(%Al2O3)/(%CaO)を1.0 以上かつ(%Al2O3)/(%Si
O2) を1.0 以上となるように調整し、Al成分の変動を抑
えることがそれぞれ開示されている。これらの手法は通
常のAlを含有する珪素鋼の連続鋳造においては有効であ
ったが、Sbを含有する方向性けい素鋼用溶鋼の連続鋳造
においては、逆にAl含有量が増加するという問題が発生
する。
【0011】図1はC:0.08%、Si:3.27%、Mn:0.07
%、N:83 ppmを含む溶鋼を取鍋に保持して1時間で連
続鋳造したときのAl及びSi量の変化と対応する製品特性
の変化とを示した例である。なお取鍋中のスラグは出鋼
時にボーキサイトを添加してAl2O3:33%、SiO2:25 %、
CaO:28%に調整し、Al2O3/SiO2= 1.32、Al2O3/CaO =1.1
8及び CaO/SiO2 =1.12とした。
【0012】図1から、鋳込時期の経過とともにAl含有
率は上昇する一方、Si含有率は低下することがわかる。
特に鋳込みの中段から後段にかけての製品はAl含有量が
高過ぎて2次再結晶不良を起こすところに問題がある。
これは明らかにスラグ中のAl 2O3 によって溶鋼中のSiが
酸化され、還元されたAlが溶鋼中に溶け込むためであ
る。Sbを含有する溶鋼で何故このような現象が生じるの
かは不明であるが、溶鋼中のSi含有量がAl含有量に比較
して二桁も高いこと、そしてSbによって酸化物の活量が
変化したことが関係していると考えられる。なおスラグ
中のAl2O3 の含有量を低下し、重量比Al2O3/SiO2を0.25
かつAl2O3/CaO を0.20以下とすれば、Al含有量は増加す
るため2次再結晶不良を回避できるが、鋳造の経過にし
たがってSiやSb量が低下し、またSeを含有する溶鋼では
Se量の低下も併せて発生する前述した問題が再発するこ
とになる。
【0013】この発明は、Al及びSbを含有する磁束密度
の極めて高い方向性けい素鋼を連続鋳造法で製造する場
合に特に有利に適合する素材、すなわち鋳片長手方向の
成分変動のない連続鋳造を実現し得る方向性けい素鋼素
材の溶製方法について提案することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】発明者らは、AlとSbを併
せて含有する方向性けい素鋼用溶鋼を連続鋳造する際の
Al, Si, SbやSeの含有量の変動を抑制する技術を鋭意検
討した結果、溶鋼を収容した取鍋内のスラグ組成をAl2O
3, SiO2, CaOについて、重量比にてAl2O3/SiO2を0.25以
下およびAl2O3/CaO を0.20以下とすることに併せて、T.
Feを10%以下とすることによりAl, Si, Sb. Seといった
スラブ成分の変動を抑制できるとの新規知見を得た。
【0015】すなわちこの発明は、Si:2.5 〜 4.5%、
Al:0.01〜0.15%及びSb:0.005 〜0.08%を含有する溶
鋼を連続鋳造に供するに当たり、該溶鋼を収容した取鍋
内におけるスラグ成分を、 Al2O3/SiO2 ≦ 0.25 Al2O3/CaO ≦ 0.20 でかつ T. Fe≦ 10 % の範囲に調整することを特徴とする方向性けい素鋼素材
の溶製方法である。ここに T. Feは、FeO やFe2O3 等に
含まれるFeの総量(全Fe分量) を示す。
【0016】また実施に当たり、スラグ厚みを50mmから
150mm に規制すること及びスラグにNa2O又はMgO を0.5
〜10%の範囲で添加することが有利に適合する。
【0017】以下、この発明を由来にするに至った実験
結果に基づきこの発明を具体的に説明する。発明者らは
溶鋼成分の低下量を定量的に評価するため、150 トンの
溶鋼を溶製した後、連続鋳造機にて一定速度での1時間
にわたる注入で鋳込みを行い、該鋳造における注入終了
時のスラブの成分含有量Cfと注入開始時のスラブの成分
含有量Ciとの差 (Cf−Ci) を成分の変化量として調査し
た。すなわち溶鋼は、C:0.069 〜0.082 %、 Si : 3.
23〜3.39%、Mn:0.062 〜0.075 %、 Se : 0.017 〜0.
021 %、Al:0.018 〜0.027 %、 Sb : 0.022 〜0.027
%及びN:68〜89 ppmの範囲にある種々の組成のものを
用い、各溶鋼を収容した取鍋内のスラグ組成を変えて鋳
込んだ際のAl, Si, Sb及びSeの上記変化量を調査した。
その調査結果を、各成分毎に図2〜5に示す。
【0018】まず図2に示すように、Al2O3/SiO2を0.25
以下かつAl2O3/CaO を0.20以下とすることにより、Alの
増加は抑制できることがわかる。しかしながら図3に示
すSiは、Al2O3/SiO2≦0.25かつAl2O3/CaO ≦0.20とする
と、その変動量(変化量の絶対値)は低減するものの、
依然として0.02〜0.05%の低下が認められるし、図4や
図5に示すように、SbやSeにおいては逆に変動量(変化
量の絶対値)が増大する傾向がある。
【0019】発明者らは上記のSi, Sb及びSeの変動の原
因を追求した結果、スラグ中のT.FeとSi, Sb及びSeの変
化量とに強い相関を見出した。すなわち図6〜8に、上
記の図2〜5に結果を示した実験データのうち、Al2O3/
SiO2≦0.25、Al2O3/CaO ≦0.20のものについてT.FeとS
i, Sb及びSeの変化量との関係を示すように、T.Fe量の
低下とともにSi, Sb及びSeの変化量も小さくなってい
る。
【0020】スラグ中のT.FeはFeO, Fe2O3などであり、
通常1%から30%程度含まれている。これは主に転炉で
の脱炭吹錬によって鉄が酸化されることにより生成する
ものである。ここでのスラグ成分は転炉での副原料とし
てCaO が用いられているため、T.FeとCaO の比率が極め
て高い。T.Feの比率を低下させるためには、転炉での吹
錬を下吹き法などで行う方法の他、出鋼時に取鍋に溶鋼
を注入する際に混入するスラグの量を抑える手法が有効
である。何故ならば、これ以降はSiやAlを溶鋼に添加す
るので、このときに生成するSiO2やAl2O3 のスラグへの
混入や、添加するCaO の混入によってスラグ中のT.Feが
低下するからである。T.Feが高い場合スラグ中Siの低下
が進行するのは、スラグ中のFeO やFe2O3 による溶鋼Si
の酸化が原因であろうが、SbやSeの低下を進行させる原
因は不明である。おそらくスラグの流動性が関係し、Sb
やSeがスラグ中に取込まれるものと考えられる。
【0021】次に上記した実験と同一の成分組成からな
る溶鋼を同様に連続鋳造で鋳造した。この時のスラブ組
成はAl2O3/SiO2: 0.10〜0.20、Al2O3/CaO : 0.10〜0.20
とし、T.Fe: 5〜10%とした。そして一部は出鋼時にソ
ーダ灰をまたはMgO を添加することによってスラグ中に
Na2OやMgO を含有させ、他の一部は溶鋼を覆うスラグの
厚みを変化させ、それぞれ連続鋳造し成分の変化量を測
定した。この測定結果を図9〜11に示す。
【0022】図9よりスラグ厚み50mmから150mm の範囲
で、Si, Sb, Seの変化量が極めて少なくなることがわか
る。スラグ厚みが薄いと、スラグ中の鉄酸化物の量が減
少するのでこの悪影響は低減するが、50mmよりも少なく
なると逆に溶鋼が大気と接触する確率が増し、T.Feの増
加につながるものと考えられる。
【0023】また図10はスラグ中のNa2Oの影響を調べた
もので、Ma2Oの含有量が増加するに従ってSi,Sb, Seの
変動量が低減している。さらに図11はスラグ中のMgO の
影響を調べたもので、Na2Oと同様に、その含有量が増加
するに従ってSi, Sb, Seの変動量が低減している。なお
Na2O又はMgO の含有量の増加によってSi, Sb, Seの変動
量が低減する理由は、Na2OやMgO の増加がスラグの流動
性を低下するため、溶鋼とスラグ間の生成物のスラグ内
への取り込みが抑制されるためと考えられる。但し10%
以上の含有はスラグの流動性を極端に低下させ、鋳造終
了後の取鍋からの排滓作業を困難にするため、好ましく
ない。
【0024】
【作用】この発明における方向性けい素鋼素材は、Si、
Al及びSbを含有する組成になる。まずSiは、あまりに少
ないと電気抵抗が小さくなって良好な鉄損特性が得られ
ず、一方多過ぎると冷間圧延が困難になるので、2.5 〜
4.5 %の範囲とする。この他にCは、熱延組織改善に必
要であるが、多過ぎると脱炭が困難となるので、0.035
〜0.090 %程度の範囲で含有することが好ましい。
【0025】またAlはインヒビター形成成分として不可
欠で、すなわちインヒビターについては、高磁束密度を
得るためにはAlN がとりわけ有利であるので、この発明
でも主要インヒビターとしてAlN を用いるものとする
が、多過ぎるとかえって微細析出が困難となるためAl:
0.01〜0.15%の範囲とし、一方Nは0.0030〜0.020 %の
範囲が好適である。ここに主要インヒビターとは、これ
が欠けると2次再結晶の発現が不能になるものを云う。
【0026】なおインヒビター形成成分として、S、Se
を補助的に含有させても良い。すなわちS又はSeはMnS
又はMnSeとして析出しインヒビターとして有効で、この
うちMnSeは特に最終仕上げ板厚が薄くなっても抑制効果
が強いので、好ましい。かようなMnS 、MnSeを微細析出
させるのに好適なSやSeの範囲は単独および併用いずれ
の場合も0.01〜0.40%程度である。なおMnは、上記した
とおりインヒビター成分となるが、多過ぎると溶体化が
困難であるので0.05〜0.15%の範囲が好適である。
【0027】この発明ではさらに、Sbを鋼中に含有させ
ることが必須であり、0.005 〜0.08%程度のSbを含有さ
せることにより、鋼板板厚の薄い場合にも極めて高い磁
束密度の製品が得られる。これは、Sbの鋼板表面や結晶
粒界への偏析効果が有効に作用して、鋼板板厚の小さい
場合にも、インヒビター抑制効果が維持されるからであ
る。
【0028】以上の他さらに、磁性の向上のために、C
u, Cr, Bi,Sn, B,Ge等のインヒビター補強元素も適宜
添加することができ、その範囲も公知の範囲でよい。ま
た熱間脆化に起因した表面欠陥防止及び熱延仕上圧延で
の再結晶の抑制のためには、0.005〜0.020 %の範囲のM
o添加が好ましい。
【0029】かかる組成の鋼は公知の製法で溶製し、そ
の後連続鋳造に供するため取鍋に収容するが、ここで取
鍋内のスラグ組成のうち、Al2O3,SiO2及びCaO を重量比
で Al2O3/SiO2 ≦ 0.25 Al2O3/CaO ≦ 0.20 に規制し、さらに T. Feを T. Fe≦10% とすることがこの発明の骨子で、これにより鋳込みスラ
グの長さ方向における成分変動を抑制することが可能と
なる。
【0030】Al2O3/SiO2が 0.25 を超えるか又はAl2O3/
CaO が0.20を超えると、Alの変動が大きくなり、T.Feが
1.0 %を超えるとSi, SbやSeの変動量が大きくなる。Al
2O3 はAlを含有させるため溶鋼に投入されたAlが酸化さ
れ生成するため、特に出鋼時にボーキサイトなどアルミ
ニウムの酸化物を添加する等の処理は全く不要であるば
かりか、逆にAl2O3 含有量を高めるので好ましくない。
スラグ中のAl2O3 の含有量が高い場合は、CaO やSiO2
添加して、上記比を低下させる必要がある。
【0031】またT.Feを低減するには、転炉吹錬での副
原料である石灰の添加量を増加したり下吹き吹錬を行う
か、或いは出鋼時に取鍋に混入するスラグの量を制限
し、同時に焼石灰を添加することにより調節できる。
【0032】さらにこの発明では、取鍋内のスラグの厚
さを50mmから150mm に制限すること又はスラグ中にNa2O
又はMgO を0.5 〜10%の範囲で含有させることにより、
鋳込みスラブの長さ方向の成分の変動量をより有効に抑
制することが可能である。すなわちスラグの厚みが50mm
より薄いと溶鋼の大気酸化が促進される一方、150mmよ
り厚いとスラブのSi, Sb, Seの成分変動を助長し、また
Na2O又はMgO 量が0.5%未満では成分変動を抑制する効
果に乏しい一方、10%を超えるとスラグの流動性が劣化
し作業性が極端に低下するので望ましくない。なおスラ
グの厚さ調節は、出鋼時の後半で、溶鋼とともに取鍋に
混入するスラグの量を調節するか、特に取鍋内のスラグ
の厚みが薄い場合にはCaO を添加することによっても行
われる。またスラグにNa2O成分を含有させる方法は出鋼
時にソーダ灰を添加することで、また同様にMgO 成分
は、MgO やドロマイトなどの添加によって、それぞれ実
現できる。
【0033】かかる工程を経て得られたスラブは、Alと
Sbとを含有する方向性けい素鋼板の公知の製法を適用
し、必要に応じて再圧したスラブを高温で加熱し、熱間
圧延の供する。そして熱延後の鋼帯は1回の冷間圧延、
あるいは中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延によって最終板
厚とする。最終冷延前の焼鈍は、 AlNの溶体化のために
は 850〜1200℃の高温とすることが好ましく、また焼鈍
後、AlN の析出のため 500℃までの急冷処理を施すこと
が好ましい。ここでの冷却は、例えば特公昭46-23820号
公報の実施例に示されるように、湯中に浸漬して低温ま
で急冷しても良いが、Sbを含有する鋼においては、少な
くとも 500℃までを急冷し、 500℃から 200℃の温度領
域内において徐冷する処理または歪を付加して徐冷する
処理を施す方法が有利である。
【0034】次に最終冷延の圧下率については、公知の
ように高磁束密度を得るためには高圧下率とすることが
好ましく、従って1回法の圧下率および2回法における
最終冷延の圧下率はいずれも、80〜95%の範囲とする。
というのは圧下率が80%より少ないと高磁束密度が得ら
れず、一方95%を超えると2次再結晶が困難となるから
である。
【0035】なお最終冷間圧延の途中で時効処理を行う
ことは、製品の鉄損を低減する上で有利である。特にSb
を含有するこの発明の成分系では、短時間のそれも1回
の時効処理によって磁束密度の格段の向上が認められる
点に優れた特徴がある。最終圧延後の鋼板は脱脂処理を
施した後、脱炭・1次再結晶焼鈍に供される。次いでMg
Oを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、コイル状
に巻かれて最終仕上げ焼鈍に供され、その後必要に応じ
て絶縁コーティングを施されるが、時にレーザーやプラ
ズマを利用した処理、その他の手法によって磁区細分化
処理を施すことも可能である。
【0036】
【実施例】
実施例1 上・下吹き転炉で溶製したけい素鋼板用溶鋼に、3.5kg/
t の割合で出鋼中の取鍋にCaO を添加し、同時にFeSi合
金も添加した。次いで真空脱ガス(RH)炉でC,Si, Mn,
Al, Se, Mo, Sb, Nの調整を行った後、取鍋内スラグの
成分調整を行いながら連続鋳造機で一定の速度で鋳造し
た。ここでRH直後の溶鋼の組成は、C:0.075 %、Si:
3.32%、Mn:0.070 %、Al: 0.027 %、Se:0.018%、M
o:0.011%、Sb:0.025%、N:89 ppmであり、またスラ
グ組成は T.Fe 3%、Al2O3 7%、SiO2 30 %、CaO 48
%であり、スラグの厚みは80mmであった。溶鋼は70分間
かけて取鍋より連鋳タンディシュへ注入し、10分毎の各
鋳込時間に対応するスラブ試料を採取し分析した。この
分析結果を表1に示す。
【0037】また比較として、上吹き転炉で溶製したけ
い素鋼板用の出鋼中にFeSi合金及びボーキサイトを添加
し、同じくRH炉で C, Si, Al, Se, Mo, Sb, N の調整を
行い、連続鋳造機で一定の速度で鋳造した。ここでRH直
後の溶鋼の組成は、C:0.078 %、Si:3.30 %、Mn:0.0
68%、Al:0.026%、Se:0.019%、Mo:0.012%、Sb:0.026
%、N:92 ppmであり、またスラグ組成は T.Fe 13%、Al
2O3 11%、SiO2 28 %、CaO 32%であり、スラグの厚み
は160mm であった。溶鋼は70分かけて取鍋より連鋳タン
ディシュへ注入し、10分毎の各鋳込時間に対応するスラ
ブ試料を採取し分析した。この分析結果を比較例として
表1に併せて示す。
【0038】
【表1】
【0039】実施例2 上・下吹き転炉で溶製したけい素鋼板用溶鋼に、4.2kg/
t の割合で出鋼中の取鍋に20%のソーダ灰を含むCaO を
添加し、同時にFeSi合金も添加した。次いで真空脱ガス
(RH)炉でC,Si, Mn, Al, Se, Mo, Sb, Nの調整を行っ
た後、取鍋内スラグの成分調整を行いながら連続鋳造機
で一定の速度で鋳造した。ここでRH直後の溶鋼の組成
は、C:0.069 %、Si:3.25%、Mn:0.075 %、Al: 0.
025 %、Mo:0.012%、Sb:0.025%、N:72 ppmであり、
またスラグ組成は T.Fe 6%、Al2O 3 4%、SiO2 32
%、CaO 41%、Na2O 2%であり、スラグの厚みは170m
m であった。溶鋼は60分間かけて取鍋より連鋳タンディ
シュへ注入し、10分毎の各鋳込時間に対応するスラブ試
料を採取し分析した。この分析結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】実施例3 上・下吹き転炉で溶製したけい素鋼板用溶鋼に、4.5kg/
t の割合で出鋼中の取鍋に10%のMgO を含むCaO を添加
し、同時にFeSi合金も添加した。このとき溶鋼へのスラ
グの混入を避けるため、出鋼量も制限した。次いで真空
脱ガス(RH)炉でC,Si, Mn, Al, Se, Mo, Sb, Nの調整
を行った後、取鍋内スラグの成分調整を行いながら連続
鋳造機で一定の速度で鋳造した。ここでRH直後の溶鋼の
組成は、C:0.068 %、Si:3.25%、Mn:0.065 %、A
l: 0.023 %、Se:0.020%、Sb:0.027%、N:82 ppmで
あり、またスラグ組成は T.Fe 1.5 %、Al2O 3 3%、
SiO235 %、CaO 48%、MgO 5%であり、スラグの厚み
は120mm であった。溶鋼は60分間かけて取鍋より連鋳タ
ンディシュへ注入し、10分毎の各鋳込時間に対応するス
ラブ試料を採取し分析した。この分析結果を表3に示
す。
【0042】また比較として、上吹き転炉で溶製したけ
い素鋼板用の出鋼中に2.5kg/t のCaO とともにFeSi合金
を添加し、同じくRH炉で C, Si, Al, Se, Mo, Sb, N の
調整を行い、連続鋳造機で一定の速度で鋳造した。ここ
でRH直後の溶鋼の組成は、C:0.070 %、Si:3.27 %、
Mn:0.065%、Al:0.024%、Se:0.019%、Sb:0.026%、N:
80 ppmであり、またスラグ組成は T.Fe 13%、Al2O3 11
%、SiO2 28 %、CaO32%であり、スラグの厚みは150mm
であった。溶鋼は60分かけて取鍋より連鋳タンディシ
ュへ注入し、10分毎の各鋳込時間に対応するスラブ試料
を採取し分析した。この分析結果を比較例として表3に
併せて示す。
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】この発明に従って取鍋内のスラグ組成を
調整して得た溶鋼を連続鋳造に供することによって、長
さ方向における成分変動のない鋳込みスラブを提供で
き、従って成分変動にともなう製品の磁気特性の劣化を
防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al及びSi量の変化と対応する製品特性の変化と
の関係を示したグラフである。
【図2】Al2O3/SiO2 及び Al2O3/CaOとAl量の変化との
関係を示すグラフである。
【図3】Al2O3/SiO2 及び Al2O3/CaOとSi量の変化との
関係を示すグラフである。
【図4】Al2O3/SiO2 及び Al2O3/CaOとSb量の変化との
関係を示すグラフである。
【図5】Al2O3/SiO2 及び Al2O3/CaOとSe量の変化との
関係を示すグラフである。
【図6】T. FeとSi量の変化との関係を示すグラフであ
る。
【図7】T. FeとSb量の変化との関係を示すグラフであ
る。
【図8】T. FeとSe量の変化との関係を示すグラフであ
る。
【図9】スラグ厚みとSi,Sb及びSe量の変化との関係を
示すグラフである。
【図10】Na2O含有量とSi,Sb及びSe量の変化との関係
を示すグラフである。
【図11】MgO 含有量とSi,Sb及びSe量の変化との関係
を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:2.5 〜 4.5 wt %、Al:0.01〜0.15
    wt %及びSb:0.005 〜0.08 wt %を含有する溶鋼を連
    続鋳造に供するに当たり、該溶鋼を収容した取鍋内にお
    けるスラグ成分を、 Al2O3/SiO2 ≦ 0.25 Al2O3/CaO ≦ 0.20 でかつ T. Fe≦ 10 wt% の範囲に調整することを特徴とする方向性けい素鋼素材
    の溶製方法。
  2. 【請求項2】 スラグの厚さを50〜 150mmとした請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 スラグにNa2O又はMgO を 0.5〜10wt%の
    範囲で添加する請求項1記載の方法。
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