JP3485532B2 - 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JP3485532B2 JP3485532B2 JP2000268320A JP2000268320A JP3485532B2 JP 3485532 B2 JP3485532 B2 JP 3485532B2 JP 2000268320 A JP2000268320 A JP 2000268320A JP 2000268320 A JP2000268320 A JP 2000268320A JP 3485532 B2 JP3485532 B2 JP 3485532B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel sheet
- annealing
- grain
- oriented electrical
- electrical steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
Description
数で{110}<001>方位に集積した、いわゆる方
向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。この鋼板
は、軟磁性材料として変圧器等の電気機器の鉄芯として
用いられる。
>方位(いわゆるゴス方位)に集積した結晶粒により構
成されたSiを4.8%以下含有した鋼板である。この
鋼板は磁気特性として励磁特性と鉄損得性が要求され
る。励磁特性を表す指標としては、磁場の強さ800A
/mにおける磁束密度:B8 が通常使用される。また、
鉄損特性を表す指標としては、周波数50Hzで1.7
Tまで磁化した時の鋼板1kgあたりの鉄損:W17/50
が用いられる。磁束密度:B8 は鉄損特性の最大の支配
因子であり、磁束密度:B8 値が高いほど鉄損特性も良
好になる。磁束密度:B8 を高めるためには結晶方位を
高度に揃えることが重要である。この結晶方位の制御は
二次再結晶とよばれるカタストロフィックな粒成長現象
を利用して達成される。
再結晶前の一次再結晶組織の調整と、インヒビタ−とよ
ばれる微細析出物の調整を行うことが必要である。この
インヒビタ−は、一次再結晶組織のなかで一般の粒の成
長を抑制し、特定の{110}<001>方位粒のみを
優先成長させる機能を持つ。析出物として代表的なもの
としては、M.F.Littmann(特公昭30−3
651号公報)及びJ.E.May&D.Turnbu
ll(Trans.Met.Soc.AIME212
(1958年)p769等はMnSを、田口ら(特公昭
40−15644号公報)はAlNを、今中ら(特公昭
51−13469号公報)はMnSeを提示している。
時に完全固溶させた後に、熱間圧延及びその後の焼鈍工
程で微細析出させる方法がとられている。これらの析出
物を完全固溶させるためには1350℃ないし1400
℃以上の高温で加熱する必要があり、これは普通鋼のス
ラブ加熱温度に比べて約200℃高く、次の問題点があ
る。 (1)専用の加熱炉が必要。(2)加熱炉のエネルギ−
原単位が高い。(3)溶融スケール量が多く、いわゆる
ノロ出し等の操業管理が必要である。
められ、低温スラブ加熱による製造方法として小松ら
(特公昭62ー45285号公報)は、窒化処理により
形成した(Al,Si)Nをインヒビターとして用いる
方法を開示している。この窒化処理の方法として、小林
等は脱炭焼鈍後にストリップ状で窒化する方法を開示
(特開平2−77525号公報)し、牛神等によりその
窒化物の挙動が報告されている(Materials Science Fo
rum, 204-206 (1996),pp593-598)。
造方法においては、脱炭焼鈍時にインヒビタ−が形成さ
れていないので、脱炭焼鈍における一次再結晶組織の調
整が二次再結晶を制御するうえで重要となる。従来の高
温スラブ加熱による方向性電磁鋼板の製造方法の研究に
おいては、二次再結晶前の一次再結晶組織調整に関する
知見はほとんどなく、本発明者らは例えば特公平8−3
2929号公報、特開平9−256051号公報等にそ
の重要性を開示している。特公平8−32929号公報
において、一次再結晶粒組織の粒径分布の変動係数が
0.6より大きくなり粒組織が不均一になると二次再結
晶が不安定になることを開示している。
報において、二次再結晶の制御因子である一次再結晶組
織とインヒビターに関する研究を行った結果、一次再結
晶粒組織の粒組織として脱炭焼鈍後の集合組織において
ゴス方位粒の成長を促進すると考えられる{111}及
び{411}方位の粒の比率;I[111] /I[411] の比
率を調整することにより、製品の磁束密度が向上するこ
とを示した。ここで、I[111] 及びI[411] はそれぞれ
{111}及び{411}面が板面に平行である粒の割
合であり、X線回折測定により板厚1/10層において
測定された回折強度値を表している。この脱炭焼鈍後の
一次再結晶を制御する方法としては、例えば脱炭焼鈍工
程の加熱速度、均熱温度、均熱時間等の脱炭焼鈍の焼鈍
サイクルを調整することにより制御される。
制御プロセス開発の目的と共に、良好な磁気特性を持つ
製品を安定して製造する技術である必要がある。方向性
電磁鋼板の磁気特性を向上させるための一つの技術は、
Si量を増加させ鋼板の比抵抗を高めることにより鉄損
特性の向上をめざすものである。その場合の技術的課題
は二次再結晶の方位制御がSi量をあげると困難になる
ことである。これまで特開平6−17129号公報に、
仕上げ焼鈍中の窒素分圧を鋼板のSi量に応じて所定の
範囲に制御して析出物を管理することにより、二次再結
晶の方位制御を行う技術が開示されている。
程の加熱速度を鋼板のSi量に応じて所定の範囲に制御
して一次再結晶組織を調整することにより、高Si材に
おいても工業的に安定して優れた磁気特性をもつ方向性
電磁鋼板を製造する方法を開示するものである。
ろは下記のとおりである。 (1)質量で、 Si:0.8〜4.8%、 C:0.0
85%以下、 酸可溶性Al:0.01〜0.065%、 N:0.0
12%以下 を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素鋼ス
ラブを1280℃以下の温度で加熱した後に熱間圧延
し、次いで冷間圧延を施して最終板厚とし、脱炭焼鈍
後、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方向性電磁
鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍の加熱速度をA(℃
/秒)とし、鋼板のSi含有量を[Si](%)とした
場合、下記の条件を満足するように制御することを特徴
とするB 8 /Bsが0.93以上の方向性電磁鋼板の製
造方法。 A(℃/秒)≧10×[Si](%)−15 (2)質量で、 Si:0.8〜4.8%、 C:0.0
85%以下、 酸可溶性Al:0.01〜0.065%、 N:0.0
12%以下 を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素鋼ス
ラブを1280℃以下の温度で加熱した後に熱間圧延
し、次いで冷間圧延を施して最終板厚とし、脱炭焼鈍
後、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方向性電磁
鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍の加熱速度をA(℃
/秒)とし、鋼板のSi含有量を[Si](%)とした
場合、下記の条件を満足するように制御することを特徴
とするB 8 /Bsが0.95以上の方向性電磁鋼板の製
造方法。 A(℃/秒)≧8×[Si](%)+10 (3)脱炭焼鈍工程の均熱過程において、均熱温度77
0〜900℃の温度域で雰囲気ガスの酸化度(P H2 O
/P H2 ):0.15以上1.1以下の範囲内で鋼板の
酸素量が2.3g/m2 以下となるような時間焼鈍する
ことを特徴とする請求項1または2記載のB 8 /Bsが
0.93以上の方向性電磁鋼板の製造方法。 (4)質量でSnを0.02〜0.15%添加すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のB 8 /
Bsが0.93以上の方向性電磁鋼板の製造方法。
二次再結晶方位制御について種々の観点から研究を行っ
た結果、Si量に応じて脱炭焼鈍の加熱速度を制御する
必要があるという知見を得た。
1はSi量、脱炭焼鈍の加熱速度と磁気特性の関係を示
す。ここでは、Si:2.0〜4.8%、C:0.05
5%、酸可溶性Al:0.030%、N:0.008
%、Mn:0.1%、S:0.007%を含有し、残部
Fe及び不可避的不純物からなる珪素鋼スラブを115
0℃に加熱し、2.0mm厚とした。この熱間圧延板を
1120℃で30秒保持し、引き続き900℃に30秒
保持後急冷する焼鈍を行った後、冷間圧延し最終板厚
0.2mmとした。その後、加熱速度5℃/秒〜100
℃/秒の範囲で850℃まで加熱した後に室温まで冷却
した。
0℃で2分間、酸化度(P H2 O /P H2 ):0.33
の雰囲気ガスで90秒焼鈍した後、アンモニア含有雰囲
気中で750℃で30秒焼鈍し、鋼板中の窒素量を0.
02%とした。次いで、MgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布した後、N2 :25%−H2 :75%の雰囲気
ガスで15℃/hrの加熱速度で1200℃まで昇温
し、H2 :100%の雰囲気ガスに切り替え1200℃
で20時間保持する仕上げ焼鈍を施した。
熱速度をA(℃/秒)とし、鋼板のSi含有量を[S
i](%)とした場合、下記の条件(1)、(2)を満
足するように制御することにより、それぞれB8 /Bs
≧0.93、B8 /Bs≧0.95以上の良好な磁気特
性が得られた。ここで、Bsは飽和磁束密度でSi量に
より飽和磁束密度が異なるので{110}<001>の
集積度に対応させるためにB8 /Bs比率で評価を行っ
た。 A(℃/秒)≧10×[Si](%)−15 …… (1) A(℃/秒)≧ 8×[Si](%)+10 …… (2)
本発明者らは以下のように推察している。本発明の材料
において尖鋭な{110}<001>方位粒を二次再結
晶粒として優先成長させるためには、{110}<00
1>方位と対応方位関係にある{111}<112>及
び{411}<148>等のマトリックスの集合組織の
調整が重要である。鋼中のSi量が増すと、熱間圧延工
程やその後の焼鈍過程におけるα相とγ相の体積分率が
変化し、冷延前の鋼板の結晶組織が異なるものとなる。
組織の{111}<112>及び{411}<148>
等のマトリックスの集合組織が、{110}<001>
方位から分散した方位粒も二次再結晶しやすくなる。そ
の結果、二次再結晶方位の{110}<001>方位の
集積度が低下し、磁束密度(B8 )が低下するものと考
えられる。この現象は、一次再結晶に及ぼすSi量の影
響に起因するものであり、Si量が高くなるほどその傾
向は顕著となる。従って、Si量の増加に対応して、脱
炭焼鈍の加熱速度を高め、{111}<112>及び
{411}<148>等の一次再結晶マトリックスの集
合組織を調整することが有効だったものと推測される。
る。本発明鋼の成分としては、Si:0.8〜4.8
%、C:0.085%以下、酸可溶性Al:0.01〜
0.065%、N:0.012%以下が必要である。S
iは添加量を多くすると電気抵抗が高くなり、鉄損特性
が改善される。しかしながら、4.8%を超えると圧延
時に割れやすくなってしまう。また、0.8%より少な
いと、仕上げ焼鈍時にγ変態が生じ結晶方位が損なわれ
てしまう。
な元素であるが、磁気特性に悪影響を及ぼすので仕上げ
焼鈍前に脱炭する必要がある。Cが0.085%より多
いと脱炭焼鈍時間が長くなり生産性が損なわれてしま
う。
して、(Al,Si)Nとしてインヒビターとしての機
能を果たすために必須の元素である。二次再結晶が安定
する0.01〜0.065%を限定範囲とする。
リスターとよばれる鋼板中の空孔を生じる。
{411}等の集合組織を改善し、磁束密度の高い製品
を安定して製造することに有効な元素である。後述の実
施例5に示すように、Snは0.02〜0.15%添加
することが望ましい。この下限値未満では集合組織改善
効果が少なく、実質的な磁束密度向上効果が得られな
い。またこの上限値を超えると鋼板中への窒化が難しく
なり、二次再結晶が不安定になる場合を生じる。
で0.015%以下とすることが望ましい。Crは脱炭
焼鈍の酸化層を改善し、グラス被膜形成に有効な元素で
ある。0.03〜0.2%添加することが望ましい。そ
の他、微量のCu,Sb,Mo,Bi,Ti等を鋼中に
含有することは、本発明の主旨を損なうものではない。
等により鋼を溶製し、必要に応じて溶鋼を真空脱ガス処
理し、次いで連続鋳造もしくは造塊後分塊圧延すること
によって得られる。その後、熱間圧延に先立ってスラブ
加熱がなされる。本発明においては、スラブ加熱温度は
1280℃以下として、先述の高温スラブ加熱の諸問題
を回避する。
めるために900〜1200℃で30秒〜30分間の短
時間焼鈍を施す。その後、一回もしくは焼鈍を挟んだ二
回以上の冷間圧延により最終板厚とする。望む製品の特
性レベルとコストを勘案して採否を決めるとよい。その
後、一回もしくは焼鈍を挟んだ二回以上の冷間圧延によ
り最終板厚とする。冷間圧延としては、最終冷間圧延率
を80%以上とすることが、{111}、{411}等
の一次再結晶方位を発達させるうえで必要である。
除去するために湿潤雰囲気中で脱炭焼鈍を施す。その
際、Si量に応じて加熱速度を制御して脱炭焼鈍後の
{111}及び{411}等の一次再結晶集合組織を調
整することが本願発明のポイントである。
織({111}、{411})を制御する大きな因子で
ある。この加熱速度で加熱する必要がある温度域は少な
くとも600℃から750〜900℃までの温度域であ
る。600℃以上では一次再結晶が開始し集合組織が変
化し始めるので、600℃以下の温度から所定の加熱速
度で加熱を行う必要がある。また、上限温度が750℃
未満で効果が発揮されないのは、750℃未満では一次
再結晶が完了しておらず、所望の一次再結晶集合組織を
得るためには再結晶を完了させる必要があるためであ
る。また、900℃超の温度まで加熱すると、試料の一
部に変態組織が生じ、その後の脱炭焼鈍完了時点での組
織が混粒組織になるためであると考えられる。
は特に限定するものではなく、40〜100℃/秒程度
の加熱速度に対しては、従来の通常輻射熱を利用したラ
ジアントチューブやエレマによる脱炭焼鈍設備を改造し
た設備、また100℃/秒以上の加熱速度に対しては、
新たなレーザー、プラズマ等の高エネルギー熱源を利用
する方法、誘導加熱、通電加熱装置等を適用することが
有効である。また、従来の通常輻射熱を利用したラジア
ントチューブやエレマによる脱炭焼鈍設備に新たなレー
ザー、プラズマ等の高エネルギー熱源を利用する方法、
誘導加熱、通電加熱装置等を適用する方法等を組み合わ
せることも可能である。
82866号公報に示されるような一次再結晶粒組織の
調整を勘案して設定する。通常は770〜900℃の範
囲で行う。また、均熱の前段で脱炭した後に、粒調整の
ために均熱の後段の温度を高める方法も粒組織調整のた
めには有効な手段である。
は、0.15以上1.1以下の範囲で行う必要がある。
0.15未満だと鋼板表面に形成されるグラス被膜の密
着性が劣化し、1.1を超えるとグラス被膜に欠陥が生
じる。また、昇温段階での加熱速度を高めた場合、また
Si量を高めた場合には均熱時の酸化が促進され、鋼板
酸素量が2.3g/mm2 超となると実施例2乃至3に
示すように、二次再結晶が不安定になる場合がある。従
って、工業的に安定して磁気特性の優れた一方向性電磁
鋼板を製造するためには、鋼板酸素量を2.3g/mm
2 以下になるように雰囲気酸化度、または均熱時間を制
御する必要がある。
熱時間の両方を合わせた在炉時間が短いにもかかわら
ず、脱炭焼鈍後の鋼板の表面酸化量が多くなるのは、加
熱速度により鋼板の加熱過程における初期酸化状態が変
化して、その後の均熱過程における酸化挙動に影響を与
えたものと考えられる。また、雰囲気ガスの酸化度を高
めた場合も表面酸化量が多くなる。この表面酸化層の二
次再結晶に及ぼす影響にを調べたところ、多量の表面酸
化物が形成された場合には、仕上げ焼鈍の二次再結晶温
度域において(Al,Si)Nインヒビターが急速に分
解して二次再結晶が不安定になってしまうことが解明さ
れた。表面酸化物が多量に形成された場合(Al,S
i)Nインヒビターの分解速度が速まるのは、表面酸化
層の改質による脱N促進、ないしは表面酸化物によるA
lの酸化が促進されるためであると推定される。
晶組織の影響ではなく、インヒビタ−の影響である。従
って、脱炭焼鈍の均熱帯の温度と雰囲気ガスの酸化度を
管理して、一次再結晶粒組織の調整と併せて、表面酸化
層の酸素量を2.3g/m2以下の範囲に限定すること
により、(Al,Si)Nインヒビタ−の分解を抑制し
て、二次再結晶が安定させることができたものと推定さ
れる。
のあるガスを含有する雰囲気中で焼鈍する方法、MnN
等の窒化能のある粉末を焼鈍分離剤中に添加すること等
により仕上げ焼鈍中に行う方法等がある。脱炭焼鈍の加
熱速度を高めた場合に二次再結晶を安定的に行わせるた
めは、(Al,Si)Nの組成比率を調整する必要があ
り、窒化処理後の窒素量としては鋼中のAl量に対して
[N]/[Al]が質量比として1/2また特に加熱速
度を高めた場合には2/3以上として(Al,Si)N
を安定化させることに有効である。
離剤を塗布した後に、仕上げ焼鈍を行い{110}<0
01>方位粒を二次再結晶により優先成長させる。その
際、特開平6−17129号公報に開示されているよう
に、仕上げ焼鈍中の窒素分圧を鋼板のSi量に応じて所
定の範囲に制御して析出物を管理することは、二次再結
晶の方位制御を行ううえで有効な手段である。
5%、酸可溶性Al:0.028%、N:0.007
%、Cr:0.1%、Sn:0.05%、Mn:0.1
%、S:0.008%を含有する珪素鋼スラブを115
0℃加熱し、板厚2.3mmに熱間圧延した。この熱間
圧延板を1120℃で焼鈍し、その後、0.22mm厚
に冷間圧延した。この冷延板を5〜100℃/秒で80
0℃に加熱した後、820℃で110秒間、雰囲気酸化
度0.52で脱炭焼鈍した。その後、750℃で30秒
間アンモニア含有雰囲気中で焼鈍し、鋼板中の窒素量を
0.025%とした。鋼板酸素量はいずれの場合も2.
2g/mm2 以下であった。その後MgOを主成分とす
る焼鈍分離剤を塗布した後、窒素25%−水素75%の
雰囲気ガス中で1200℃まで昇温し、水素雰囲気中1
200℃で20時間仕上げ焼鈍を施した。製品の特性値
を表1に示す。脱炭焼鈍の加熱速度を高めることによ
り、製品の磁気特性が向上することが確認された。
6%、酸可溶性Al:0.028%、N:0.007
%、Cr:0.1%、Sn:0.05%、Mn:0.1
%、S:0.008%含有する珪素鋼スラブを1150
℃加熱し、板厚2.0mmに熱間圧延した。この熱間圧
延板を1120℃で30秒保持し、900℃で30秒保
持焼鈍し、その後、0.2mm厚に冷間圧延した。この
冷延板を40℃/秒で800℃に加熱した後、830℃
で110秒間、雰囲気酸化度0.33〜0.72で脱炭
焼鈍した。その後、750℃で30秒間アンモニア含有
雰囲気中で焼鈍し鋼板中の窒素量を0.022%とし
た。その後、マグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗
布した後、窒素25%−水素75%の雰囲気ガス中で1
200℃まで昇温し、水素雰囲気中1200℃で20時
間仕上げ焼鈍を施した。表2から鋼板酸素量が2.3g
/mm2 超になると二次再結晶が不安定になり磁束密度
(B8 )が低下することがわかる。
7%、酸可溶性Al:0.03%、N:0.007%、
Cr:0.1%、Sn:0.05%、Mn:0.1%、
S:0.008%含有する珪素鋼スラブを1150℃加
熱し、板厚2.0mmに熱間圧延した。この熱間圧延板
を1120℃で30秒保持し、900℃で30秒保持焼
鈍し、その後、0.2mm厚に冷間圧延した。この冷延
板を50℃/秒で800℃に加熱した後、830℃で1
10秒間、雰囲気酸化度0.33〜0.72で脱炭焼鈍
した。その後、750℃で30秒間アンモニア含有雰囲
気中で焼鈍し鋼板中の窒素量を0.022%とした。そ
の後、マグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した
後、窒素25%−水素75%の雰囲気ガス中で1200
℃まで昇温し、水素雰囲気中1200℃で20時間仕上
げ焼鈍を施した。表3から、鋼板酸素量が2.3g/m
m2 超になると、二次再結晶が不安定になり磁束密度
(B8 )が低下することがわかる。
0℃/秒で800℃に加熱した後、820℃で110秒
間、雰囲気酸化度0.52で脱炭焼鈍した。その後、7
50℃で30秒間アンモニア含有雰囲気中で焼鈍し、ア
ンモニア含有量を変えることにより鋼板中の窒素量を変
更した。これらの鋼板にマグネシアを主成分とする焼鈍
分離剤を塗布した後、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍
は1200℃まではN2 :25%+H2 :75%の雰囲
気ガス中で15℃/hrの加熱速度で行い、1200℃
でH2 :100%に切りかえ20時間焼鈍を行った。表
4から、[N]/[Al]を0.5以上とする場合に高
い磁束密度が得られることがわかる。
0.06%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.0
7%、Mn:0.1%、S:0.007%、またSnを
0〜0.2%含有するスラブを1150℃の温度で加熱
した後、1.8mm厚に熱間圧延した。その後、112
0℃で30秒保持し、900℃で30秒保持焼鈍した
後、0.2mm厚まで冷間圧延した。次いで、加熱速度
40℃/秒で800℃まで加熱した後、820℃の温度
で2分間、酸化度0.52の窒素及び水素混合雰囲気で
脱炭焼鈍した後、アンモニア含有雰囲気で焼鈍して窒素
を0.018〜0.022%とした。次いでMgOを主
成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上げ焼鈍を行っ
た。仕上げ焼鈍は1200℃まではN2 :25%+
H2 :75%の雰囲気ガス中で15℃/hrの加熱速度
で行い、1200℃でH2 :100%に切りかえ20時
間焼鈍を行った。得られた製品の磁気特性を表5に示
す。表5より、Snを0.02〜0.15%添加するこ
とにより磁束密度(B8 )が高くなることが分かる。
0.06%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.0
7%、Mn:0.1%、S:0.007%、またSnを
0〜0.2%含有するスラブを1150℃の温度で加熱
した後、1.8mm厚に熱間圧延した。その後、112
0℃で30秒保持し、900℃で30秒保持焼鈍した
後、0.2mm厚まで冷間圧延した。次いで、加熱速度
(1)20℃/秒及び(2)40℃/秒で800℃まで
加熱した後、820℃の温度で2分間、酸化度0.52
の窒素及び水素混合雰囲気で脱炭焼鈍した後、アンモニ
ア含有雰囲気で焼鈍して窒素を0.018〜0.022
%とした。鋼板酸素量はいずれの試料も2.3g/mm
2 以下であった。次いでMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布した後、仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼鈍は9
00℃まではN2 :25%+H2 :75%の雰囲気中で
処理し、900℃〜1200℃までを(A)N2 :25
%+H2 :75%及び(B)N2:75%+H2 :25
%の雰囲気ガス中で処理し、1200℃でH2 :100
%に切りかえ20時間焼鈍を行った。表6から、加熱速
度を高めることにより磁束密度(B8 )が向上するこ
と、また特開平6−17129号公報に開示されるよう
に、仕上げ焼鈍中の窒素分圧を鋼板のSi量に応じて所
定の範囲に制御して析出物を管理することにより、更に
磁束密度(B8 )が向上することが分かる。
起因する諸問題の無い低温スラブ加熱による方向性電磁
鋼板の製造方法を基に、Si量に応じて脱炭焼鈍の加熱
速度を制御することにより、磁束密度の高い優れた磁気
特性をもつ方向性電磁鋼板を工業的に安定して製造する
ことができる。
焼鈍工程の加熱速度の影響を示した図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 質量で、 Si:0.8〜4.8%、 C :0.085%以下、 酸可溶性Al:0.01〜0.065%、 N :0.012%以下 を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素鋼ス
ラブを1280℃以下の温度で加熱した後に熱間圧延
し、次いで冷間圧延を施して最終板厚とし、脱炭焼鈍
後、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方向性電磁
鋼板の製造方法において、 脱炭焼鈍の加熱速度をA(℃/秒)とし、鋼板のSi含
有量を[Si](%)とした場合、下記の条件を満足す
るように制御することを特徴とするB 8 /Bsが0.9
3以上の方向性電磁鋼板の製造方法。 A(℃/秒)≧10×[Si](%)−15 - 【請求項2】 質量で、 Si:0.8〜4.8%、 C :0.085%以下、 酸可溶性Al:0.01〜0.065%、 N :0.012%以下 を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素鋼ス
ラブを1280℃以下の温度で加熱した後に熱間圧延
し、次いで冷間圧延を施して最終板厚とし、脱炭焼鈍
後、焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方向性電磁
鋼板の製造方法において、 脱炭焼鈍の加熱速度をA(℃/秒)とし、鋼板のSi含
有量を[Si](%)とした場合、下記の条件を満足す
るように制御することを特徴とするB 8 /Bsが0.9
5以上の磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法。 A(℃/秒)≧8×[Si](%)+10 - 【請求項3】 脱炭焼鈍工程の均熱過程において、均熱
温度770〜900℃の温度域で雰囲気ガスの酸化度
(P H2 O /P H2 ):0.15以上1.1以下の範囲
内で鋼板の酸素量が2.3g/m2 以下となるような時
間焼鈍することを特徴とする請求項1または2記載のB
8 /Bsが0.93以上の方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 質量でSnを0.02〜0.15%添加
することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載
のB 8 /Bsが0.93以上の方向性電磁鋼板の製造方
法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000268320A JP3485532B2 (ja) | 2000-09-05 | 2000-09-05 | 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 |
DE60144270T DE60144270D1 (de) | 2000-08-08 | 2001-08-07 | Verfahren zur Herstellung eines kornorientierten Elektrobleches mit hoher magnetischer Flussdichte |
EP09159921.7A EP2107130B1 (en) | 2000-08-08 | 2001-08-07 | Method to produce grain-oriented electrical steel sheet having high magnetic flux density |
EP01118756A EP1179603B1 (en) | 2000-08-08 | 2001-08-07 | Method to produce grain-oriented electrical steel sheet having high magnetic flux density |
US09/924,353 US6613160B2 (en) | 2000-08-08 | 2001-08-07 | Method to produce grain-oriented electrical steel sheet having high magnetic flux density |
CN01137980A CN1128239C (zh) | 2000-08-08 | 2001-08-08 | 高磁通密度取向电工钢板的制造方法 |
KR10-2001-0047756A KR100442101B1 (ko) | 2000-08-08 | 2001-08-08 | 자속밀도가 높은 방향성 전기 강판의 제조 방법 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000268320A JP3485532B2 (ja) | 2000-09-05 | 2000-09-05 | 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002069595A JP2002069595A (ja) | 2002-03-08 |
JP3485532B2 true JP3485532B2 (ja) | 2004-01-13 |
Family
ID=18755112
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000268320A Expired - Lifetime JP3485532B2 (ja) | 2000-08-08 | 2000-09-05 | 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3485532B2 (ja) |
-
2000
- 2000-09-05 JP JP2000268320A patent/JP3485532B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002069595A (ja) | 2002-03-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101062127B1 (ko) | 자속 밀도가 높은 방향성 전자기 강판의 제조 방법 | |
JP2013189712A (ja) | 磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法 | |
KR100442101B1 (ko) | 자속밀도가 높은 방향성 전기 강판의 제조 방법 | |
JP5320690B2 (ja) | 磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2008001979A (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法とその製造方法に用いる脱炭焼鈍炉 | |
JP5332134B2 (ja) | 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0686631B2 (ja) | 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3481567B2 (ja) | B8が1.88t以上の方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4714637B2 (ja) | 磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4456317B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3943837B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP5068579B2 (ja) | 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3323052B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4427226B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3474837B2 (ja) | B8が1.91t以上の鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07122096B2 (ja) | 磁気特性、皮膜特性ともに優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4205816B2 (ja) | 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP5068580B2 (ja) | 磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3485532B2 (ja) | 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH06256847A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3485475B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4119614B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2002069532A (ja) | 磁束密度の高い二方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4267320B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2003268452A (ja) | 磁気特性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20030924 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 3485532 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071024 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091024 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101024 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101024 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121024 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121024 Year of fee payment: 9 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131024 Year of fee payment: 10 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131024 Year of fee payment: 10 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131024 Year of fee payment: 10 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |