JP3153967B2 - 耐銹性に優れた高Alステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

耐銹性に優れた高Alステンレス鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水溶性介在物のない耐銹
性に優れた高Alステンレス鋼の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】Cr系ステンレス鋼の耐銹性、特に塩水
噴霧下での耐銹性に対して、鋼板表面に存在する非金属
介在物が影響することは知られている。例えば、Tra
ns.ISIJ第16巻の258頁以降に記載された論
文によれば、腐食ピットの起点はカルシウムアルミネー
ト系の介在物にあり、耐銹性を保障するにはAlを0.
004%以下とした上でMn/Siを1.4以上に保つ
ことにより、CaOが40%以下、SiO2 が30%以
上含まれるマンガン・シリケート系の介在物を生成させ
る必要があると指摘している。しかし、このような介在
物組成を実現するには、溶鋼中のAl濃度を0.004
%以下にする必要があるため、圧延工程や熱処理工程か
ら最も望ましいとされているAlを0.020%以上含
有するCr系ステンレス鋼に対しての適用は困難である
という問題があった。つまり、このような高Al鋼では
介在物中のMnO、SiO2 と溶鋼中のAlとが反応
し、MnO、SiO2 がAl2 3 へと変化するため、
SiO 2 濃度を30%以上に維持することが困難なため
である。
【0003】この論文によれば、介在物の水溶性はイオ
ン結合物質であるCaSの影響が大きいことはもちろ
ん、たとえ(CaO)0.55(Al2 3 0.45という組
成を持つ酸化物であっても同様にCaSの影響が大きい
としている。また、これまで数多く行われている、カル
シウムアルミネートと溶鉄間の硫黄分配比の測定結果
(例えば、Ironmaking and Steelmaking、 第12巻(198
5)、64頁以降)から考えると、カルシウムアルミネート
中へのCaSの溶解度は1.5%程度(例えば、ドイツ
鉄鋼協会編;Schlackenatlas、(1981)、55頁)のため、
カルシウムアルミネート中のCaOとAl2 3 との比
(CaO/Al2 3 )が1以上ではCaSが析出し、
水溶性を助長していることが推定され得る。
【0004】この腐食ピットの起点となるカルシウムア
ルミネート系の介在物は、仕上脱炭工程で生成したスラ
グが鋼中に混入した結果生成されるものであるため、V
OD等の取鍋脱ガス炉にて仕上脱炭して製造する工程に
おいては避け難いものであり、Alを0.020%以上
含有するCr系ステンレス鋼の耐銹性を保障する工業的
な方法は従来はなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Tran
s.ISIJ第16巻の第258頁以降に記載された技
術における、Alを0.020%以上含有するCr系ス
テンレス鋼に対しては、介在物中のSiO2 濃度を高く
維持することが困難となるという問題点を解決する耐銹
性に優れた高Alステンレス鋼の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記問題点を解決するた
めの本発明の要旨とするところは、Alを0.020%
以上含有するCr系ステンレス鋼を、VOD等の取鍋脱
ガス炉にて仕上脱炭して製造する工程において、取鍋脱
ガス炉処理終了時のスラグ中のCaO濃度を35%以下
とし、かつMgO濃度を30%以下とすることを特徴と
する耐銹性に優れた高Alステンレス鋼の製造方法にあ
る。
【0007】
【作用】本発明は、Cr系ステンレス鋼の耐銹性を規定
しているものは、酸化物系介在物ではなくCaSであ
り、それは後工程での加熱時に酸化物系介在物の周囲に
CaSが析出するという発見に基づくものである。つま
り、塩水中に各種組成の酸化物や硫化物を浸漬して溶解
試験を実施したところ、各種組成のカルシウムアルミネ
ートに比較してCaSは、はるかに速い溶解速度を示し
た。また、鋼板表面においても、カルシウムアルミネー
トの如き酸化物にはCaSが付着しており、CaSが付
着していない酸化物はカルシウムアルミネートであって
も腐食の起点とはなりえないことが明らかになった。さ
らに、鋼板でCaSが付着しているカルシウムアルミネ
ートは、硫黄分配からCaSが析出すると推定される組
成(CaO/Al2 3 ≧1)よりもCaOが少ないも
のもあり、単純に溶鋼中での硫黄分配とCaSの析出で
は説明し得ない現象を発見した。また、鋳片ではカルシ
ウムアルミネートは見られるものの、鋼板で認められる
が如きCaSの付着は観察されず、この鋳片を1200
℃に加熱したところ、鋼板と全く同様なCaSが認めら
れた。
【0008】このような知見に基づく本発明者による詳
細な基礎実験の結果、酸化物系介在物の組成を種々変化
させたところ、アルミナの表面には加熱後もCaSの析
出は認められず、カルシウムアルミネートでも、特にC
aO濃度が35%超の場合にCaSが析出するという新
たな事実がわかった。引き続いて実施した各種試験によ
り、このようなCaSが析出しやすい介在物は以下の2
つの要因を満たすものであることがわかった。
【0009】1)介在物の内の低融点相が高い脱硫能を
有するもの。 2)介在物の内の高融点相とCaSとの格子整合性が良
く析出が容易に起こるもの。 つまり、1)の要因では、介在物全体の平均組成が高い
脱硫能を有する必要はなく、最後に介在物周囲を取り囲
むように凝固する、介在物の内の最低融点相が脱硫能を
有することが重要であることを意味する。つまり、Ca
O/Al2 3<1であってもCaO濃度が35%超の
場合には、最低融点相が高い脱硫能を有する12CaO
・7Al2 3 となるため、凝固後の加熱時に、この低
融点相に向かう硫黄の固相内拡散が起こり、CaSの析
出をもたらすという機構に立脚している。図1に、VO
D処理後スラグのCaO濃度と鋼板の耐銹性との関係を
示す。
【0010】一方、2)は、たとえ硫黄が酸化物周囲へ
固相内拡散しても酸化物表面にCaSとして析出するた
めには、CaS結晶格子との整合性が良く、析出した場
合に界面エネルギー変化が小さい酸化物である必要があ
るという機構に立脚するものである。つまり、MgOが
30%超では、ほぼ純粋なMgOになるため、CaSと
格子定数が近いため格子整合性が良く容易にCaSが析
出するのに対して、MgOが30%以下であればMgO
・Al2 3 、もしくはAl2 3 が固相となるため格
子定数が大きく、CaSとの格子整合性が悪く、CaS
の析出が抑制されるというものである。図2、図3にV
OD処理後スラグのMgO濃度と鋼板の耐銹性との関
係、および析出している固相の組成変化を示すが、好ま
しくはMgOを5%以上含み、固相をMgO・Al2
3 とした場合に、より優れた耐銹性が得られている。
【0011】以上の要件は、Alを0.020%以上含
有する高Alステンレス鋼を、VOD等の取鍋脱ガス炉
にて仕上脱炭して製造することが前提となる。つまり、
この場合には鋼浴内に巻き込まれた取鍋脱ガス処理終了
時のスラグが介在物組成を決定し、スラグ中のCaO、
MgO、Al2 3 よりも低級の酸化物であるSi
2 、MnO、FeO、Cr2 3 等はすべてAlによ
り還元され、Al2 3 を生成するためである。ここ
で、Alが0.020%未満の場合には、本発明以外の
方法でも耐銹性に優れたステンレス鋼の製造が可能とな
るが、前述の如き問題を生じる。
【0012】本発明の実施にあたり、就中MgOを15
〜30%とした場合には、さらに取鍋耐火物の溶損を抑
制するという経済効果をもたらす。つまり、VOD仕上
脱炭精錬後にAl還元を行う場合、スラグのCaOを3
0%以下にすると、スラグ中へのMgOの溶解度が極め
て大きくなるため取鍋耐火物の溶損が非常に大きくなる
のに対して、予めMgOを15〜30%とすることによ
り取鍋耐火物の溶損が抑制されるためである。
【0013】
【実施例】実施例は以下の工程での溶製結果である。1
75トン規模の上底吹き転炉により炭素濃度を約0.7
0%まで脱炭した後、VODで真空脱炭処理を施して炭
素濃度が約0.04%になるまで脱炭した。その後、A
lを添加し、脱炭中に生成したCr2 3 を還元した
後、さらにAlと他の合金元素を添加して成分調整を行
った。VODのスラグ組成は、投入CaO量を変化させ
るとともに、場合によっては還元前にAl2 3 やMg
Oを添加した。鋼種はSUS430であり、鋼板の評価
は塩水噴霧試験での発銹状況で行った。
【0014】試験1〜12は本発明の実施例を示したもの
である。試験13はVOD処理後スラグのCaO濃度が3
5%超の場合であり、試験14はMgOが30%超の場合
であり、いずれも鋼板の耐銹性が悪くなっている。ま
た、試験15はAlが低い場合であるが、本発明方法の適
用によって良い耐銹性が得られたものの、例えばTra
ns.ISIJ 16巻の258頁以降に記載されてい
る如き他の方法でも製造可能である。
【0015】試験3〜4は、VOD処理後スラグのMg
Oが5%未満の場合であるが、使用性能上は問題ないも
のの、他の例に比較してやや耐銹性が劣っている。ま
た、試験7〜10は、VOD処理後スラグにMgOが1
5%以上含まれているため、他の実施例に比べてVOD
の耐火物溶損が極めて良くなっている。
【0016】
【表1】
【0017】
【発明の効果】本発明により、低融点相が高い脱硫能を
持たず、かつ高融点相とCaSとの格子整合性が悪い介
在物に組成を制御することが可能となり、水溶性介在物
のない、耐銹性に優れた高Alステンレス鋼の製造が可
能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】VOD処理後スラグのCaO濃度と鋼板の耐銹
性との関係を示す図である。ここで、スラグ中のMgO
濃度は6〜15%の場合である。
【図2】VOD処理後スラグのMgO濃度と鋼板の耐銹
性との関係を示す図である。ここで、スラグ中のCaO
濃度は15〜25%の場合である。
【図3】VOD処理後スラグのMgO濃度と析出してい
る固相の組成変化を示す図である。ここで、スラグ中の
CaO濃度は15〜25%の場合である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−16018(JP,A) 特開 平2−179812(JP,A) 特開 平3−211216(JP,A) 特表 昭61−501933(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/00,7/068,7/10 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alを0.020%以上含有するCr系
    ステンレス鋼を、VOD等の取鍋脱ガス炉にて仕上脱炭
    して製造する工程において、取鍋脱ガス炉処理終了時の
    スラグ中のCaO濃度を35%以下とし、かつMgO濃
    度を30%以下とすることを特徴とする耐銹性に優れた
    高Alステンレス鋼の製造方法。
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