JP2002161328A - 磁気特性に優れるFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れるFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法

Info

Publication number
JP2002161328A
JP2002161328A JP2000354949A JP2000354949A JP2002161328A JP 2002161328 A JP2002161328 A JP 2002161328A JP 2000354949 A JP2000354949 A JP 2000354949A JP 2000354949 A JP2000354949 A JP 2000354949A JP 2002161328 A JP2002161328 A JP 2002161328A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
permalloy
molten steel
based permalloy
producing
mgo
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000354949A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4107801B2 (ja
Inventor
Hidekazu Todoroki
秀和 轟
Tatsuya Ito
辰哉 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Yakin Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nippon Yakin Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Yakin Kogyo Co Ltd filed Critical Nippon Yakin Kogyo Co Ltd
Priority to JP2000354949A priority Critical patent/JP4107801B2/ja
Publication of JP2002161328A publication Critical patent/JP2002161328A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4107801B2 publication Critical patent/JP4107801B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/147Alloys characterised by their composition
    • H01F1/14708Fe-Ni based alloys

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】最終製品における介在物を極力低減するととも
に、成分偏析を極力抑えることによって、磁気特性に優
れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造を可能にした、新規
な方法について提案する。 【解決手段】Ni:30〜85wt%を含むFe−Ni系パーマ
ロイ合金の原料を溶解して得られた溶鋼の脱酸および脱
硫工程において、該溶鋼に、石灰石、蛍石およびアルミ
ナをフラックスとして添加し、CaO-SiO2-Al2O3-MgO-F
系の溶融スラグを溶鋼上に形成したのち、Alを用いて脱
酸および脱硫を行って、溶鋼中の酸素および硫黄の合計
濃度を150ppm以下に抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッド、磁気
シールド材やトランスコアの巻鉄心等に使用されFe-Ni
系パーマロイ合金の製造方法に関して、特にステンレス
鋼等を対象とする大量生産設備を用いて、安価に製造す
る技術を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】Fe-Ni系パーマロイ合金は、JIS C2531に
規定されるPD(35〜40wt%Ni)、PB(40〜50wt
%Ni)およびPC(70〜85wt%Ni-Mo-Cu)等がよく知
られており、PBは主として飽和磁束密度が大きい特徴を
生かした用途、例えば時計のステータや電磁レンズのポ
ールピースなどに多く使用されている。一方、PCは優れ
た透磁率を活かした高周波域の高感度トランスや磁気シ
ールド材等に使用されている。
【0003】この種のFe-Ni系パーマロイ合金の磁気特
性を改善する技術として、例えば特開平5−5162号
公報には、磁化容易軸<100>を含む{200}面を、2以
上の集積強度比で面内集積させることが提案されてい
る。
【0004】また、磁気特性に及ぼす不純物あるいは析
出物の影響について、特開平6−122947号公報に
は、不純物元素であるS、B及びOを、S≦0.003wt
%、O≦0.005wt%およびB≦0.005wt%で、且つS+B
+O≦0.008wt%に規制することが提案されている。こ
のように析出物等の第二相が、磁壁移動に対して悪影響
を与えることは知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た方策をもってしても、Fe-Ni系パーマイ合金の磁気特
性の改善は未だ満足されず、更なる改善が求められてい
た。すわち、前記した析出物の制御に止まらずに、非金
属介在物や成分偏析が磁気特性に与える影響を考慮し、
これらを制御するための技術開発が強く望まれていたの
である。
【0006】また、従来のFe-Ni系パーマロイ合金の製
造は、数トン〜10トン規模の真空溶解を代表とする特
殊溶解法によるものが主流であったため、製造コストが
高いこともFe-Ni系パーマロイ合金が抱える問題であっ
た。
【0007】そこで、本発明は、最終製品における介在
物を極力低減するとともに、成分偏析を極力抑えること
によって、磁気特性に優れたFe-Ni系パーマロイ合金の
製造を可能にした、新規な方法について提案することを
目的とする。また、本発明の目的は、数十トン規模の溶
解が可能であるステンレ鋼等の溶解設備を用いて製造す
る技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、磁壁移動
を妨げる要因の一つである、介在物を極力低減するため
の方法について鋭意究明したところ、溶鋼を特定組成の
スラグ存在下において、Alを用いて脱酸および脱硫する
こと、さらには、酸化物系介在物を、熱間圧延時に伸ば
されずに最終板厚製品において微細分散し難い、高融点
介在物に制御すること、また成分偏析を極力抑えるため
には、中間成品であるスラブの偏析、特にNi偏析を小さ
くすること、が極めて有効であるとの知見を得て、本発
明を完成するに到った。
【0009】すなわち、本発明の要旨構成は、次のとお
りである。 (1)Ni:30〜85wt%を含むFe-Ni系パーマロイ合
金の製造方法であって、原料を溶解して得られた溶鋼の
脱酸および脱硫工程において、該溶鋼に、石灰石、蛍石
およびアルミナをフラックスとして添加し、CaO-SiO2-A
l2O3-MgO-F系の溶融スラグを溶鋼上に形成したのち、A
lを用いて脱酸および脱硫を行って、溶鋼中の酸素およ
び硫黄の合計濃度を150ppm以下に抑制することを特
徴とする磁気特性に優れたFe-Ni系パーマロイ合金の製
造方法。
【0010】(2)Ni:30〜85wt%を含むFe-Ni系
パーマロイ合金の製造方法であって、原料を溶解して得
られた溶鋼の脱酸および脱硫工程において、該溶鋼に、
石灰石、蛍石およびアルミナをフラックスとして添加
し、CaO-SiO2-Al2O3-MgO-F系の溶融スラグを鋼上に形
成したのち、Alを用いて脱酸および脱硫を行うに当り、
溶融スラグにおける塩基度CaO/SiO2を重量比で3〜1
0、Al2O3濃度を1〜20wt%およびMgO濃度を1〜20
wt%に調整するとともに、0.001〜0.050wt%のAlを添加
することにより、酸素および硫黄の合計濃度を150pp
m以下、かつ介在物の組成を、MgO・Al2O3およびMgOの
いずれか1種または2種以上に制御することを特徴とす
る磁気特性に優れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造
方法。
【0011】(3)上記(1)または(2)において、
Fe-Ni系パーマロイ合金が、Ni:35〜40wt%を含有
し、最大透磁率μm:50000以上、初透磁率μ0:10000
以上および保磁力Hc:0.05〔Oe〕以下の磁気特性を示す
ものであることを特徴とするFe-Ni系パーマロイ合金の
製造方法。
【0012】(4)上記(1)または(2)において、
Fe-Ni系パーマロイ合金が、Ni:40〜50wt%を含有
し、最大透磁率μm:10000以上、初透磁率μ0:30000
以上および保磁力Hc:0.02〔Oe〕以下の磁気特性を示す
ものであることを特徴とするFe-Ni系パーマロイ合金の
製造方法。
【0013】(5)上記(1)または(2)において、
Fe-Ni系パーマロイ合金がNi:70〜85wt%を含有
し、最大透磁率μm:400000以上、初透磁率μ0:20000
以上および保磁力Hc:0.006〔Oe〕以下の磁気特性を示
すものであることを特徴とするFe-Ni系パーマロイ合金
の製造方法。
【0014】(6)上記(1)または(2)において、
溶鋼を精錬した後、連続鋳造にてスラブを作製し、該ス
ラブに熱間圧延、次いで冷間圧延を施すことを特徴とす
る磁気特性に優れたFe-Ni系パーマロイ合金の製造方
法。
【0015】次に、本発明を導くに到った実験結果につ
いて、詳述する。すなわち、CaO-SiO2-Al2O3-MgO-F系
の溶融スラグ存在下において、種々の脱酸剤を用いて脱
酸および脱硫の実験を行った。この際、精錬容器の耐火
物には、マグネシアあるいはアルミナを用いた。その
後、金型あるいは砂型に鋳込み、デンドライトアーム間
隔が小さいものと大きいものとを、それぞれ作製した。
こうして得られた鋼塊を鍛造した後、均熱加熱処理(13
50度×50時間)を施した後、熱間圧延、次いで冷間圧
延し、0.35mm厚みの製品とした。その後、磁気焼鈍を
1100℃で3時間行ったのち、直流磁化特性を調べた。
【0016】その調査結果の一例を、図1に示す。この
実験結果は、JIS C2531に規定される、PC(Fe−77.4wt
% Ni−4wt% Mo−4.5wt%Cu)の最大透磁率に及ぼ
す、硫黄濃度および酸素濃度の和と、鋳型すなわちデン
ドライトアーム間隔(金型で短く砂型で長い)と、の影
響を示したものである。同図から、S+O濃度が低いほ
ど最大透磁率が高くなることがわかる。また、S+O、
特にOが高濃度の時には、介在物が低融点シリケートと
なっており、磁気特性には不利であることがわかる。さ
らに、同じ均質化熱処理を行っても、デンドライトアー
ム間隔が短い金型材の方が、磁気特性に優れており、そ
の効果はSとOの和が低濃度側でより顕著に表れてい
る。
【0017】以上の例を含む種々の実験結果から、脱酸
剤としてAlを用いた場合、さらにはスラグ塩基度CaO/S
iO2を重量比で3〜10、Al2O3濃度を1〜20wt%およ
びMgO濃度を1〜20wt%とした場合、非金属介在物を
生成する酸素と硫黄濃度が低くなり、酸化物系非金属介
在物がAl2O3、MgO-Al2O3およびMgOのいずれか1種また
は2種以上となり、高い透磁率が得られるまた、凝固組
織の影響を調べた実験からは、砂型より金型に鋳込む方
が、冷却速度が速いため、デンドライトアーム間隔が小
さく、最終製品でのNi偏析が少なくなり、透磁率が向上
することも明らかになった。
【0018】ここに、前記の条件に従って脱酸および脱
硫を行うことによって、次の磁気特性を有するFe-Ni系
パーマロイ合金を製造することが可能である。すなわ
ち、 (i)Ni:35〜40wt%を含有する場合、最大透磁率
μm:50000以上、初透磁率μ0:10000以上および保磁
力Hc:0.05〔Oe〕以下の磁気特性を示すFe-Ni系パーマ
ロイ合金。 (ii)Ni:40〜50wt%を含有する場合、最大透磁率
μm:100000以上、初透磁率μ0:30000以上および保磁
力Hc:0.02〔Oe〕以下の磁気特性を示すFe-Ni系パーマ
ロイ合金。 (iii)Ni:70〜85wt%を含有する場合、最大透磁
率μm:400000以上、初透磁率μ0:20000以上および保
磁力Hc:0.006〔Oe〕以下の磁気特性を示すFe-Ni系パー
マロイ合金。
【0019】さらに、実機において、電気炉、AOD、
VODおよび連続鋳造機(CC)等のステンレス鋼等を対
象とする大量生産設備を用いて、安価に製造するための
実験を行ったところ、前記した条件を満足していれば、
これらの設備によって特に問題なくFe-Ni系パーマロイ
合金の製造が可能であることがわかった。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の製造方法における
各条件について、詳しく説明する。すなわち、Fe-Ni系
パーマロイ合金は、所定配合の原料を溶解して得られた
溶鋼を精錬し、造塊−分塊法または連続鋳造によって得
られたスラブに、熱間圧延そして冷間圧延して最終製品
厚とする、一連の工程を経て製造される。
【0021】本発明では、まず精錬の脱酸および脱硫工
程において、基本的に脱酸後の酸素ポテンシャルを極力
低減する必要があるため、比較的取り扱いが容易であ
り、かつ強力な脱酸剤であるAlを用いる。また、脱硫反
応は低酸素ポテンシャル下にて、かつCaOリッチのスラ
グ共存下において、スラグ−メタル間で進行することか
らも、脱酸剤としてAlを用いることが有利である。
【0022】かくして脱酸剤にAlを用いて、またスラグ
塩基度CaO/SiO2を重量比で3〜10に調整したところに
おいて、脱硫が効果的に進行し、酸素濃度および硫黄濃
度の合計が150ppm以下となる。なお、酸素濃度およ
び硫黄濃度の合計を110ppm以下、より好ましく80
ppm以下とすることが、磁気特性の向上に有利であ
る。
【0023】なお、スラグの塩基度が3未満では十分な
脱硫が不可能であり、10を超えるとスラグの流動性が
悪化し、逆に脱硫が進行しにくくなることと、滓化不良
により出鋼ができなくなるなど、操業に悪影響を与える
ため、塩基度は3〜10の範囲に規定した。好ましく
は、CaO/SiO2:5〜8である。
【0024】また、酸素は酸化物系非金属介在物を、硫
黄は硫化物系非金属介在物を形成することが知られてい
るが、酸素と硫黄の合計濃度が150ppm以下になる
と、磁壁移動が容易となり、磁気特性を向上することが
できる。ただし、Alは添加しすぎると、固溶による格子
歪を生じ、磁気特性を悪化させてしまう。また、0.001w
t%未満では、脱酸および脱硫が効果的に進行しないた
め、Alの範囲を0.001〜0.050wt%、好ましくは0.005〜
0.030wt%とする。
【0025】さらに、脱酸および脱硫工程において溶鋼
上に形成する溶融スラグは、Al2O3濃度を1〜20wt%
およびMgO濃度を1〜20wt%に規制することにより、
介在物の組成をAl2O3、MgO・Al2O3およびMgOのいずれか
1種または2種以上に制御することが好ましい。Al
2O3、MgO・Al2O3およびMgOは高融点酸化物であり、熱間
圧延工程で容易に伸ばされないため、最終製品でも、分
散することなく集中して存在することとなる。その結
果、磁壁の移動を妨げる介在物の存在頻度が低くなり、
磁気特性を向上させることができのである。本発明で
は、特に精錬容器の耐火物を限定する必要はないが、介
在物を制御する観点から、ハイアルミナなどのアルミナ
系、あるいはマグネシアカーボン質、アルミナマグネシ
アカーボン質等のマグネシア系を用いることが好まし
い。
【0026】次に、スラグ中各成分について説明する。
すなわち、Al2O3およびMgOは、介在物をAl2O3、MgO・Al
2O3およびMgOのいずれか1種または2種以上に制御する
ために、必要な成分である。そのためには、それぞれ1
wt%未満では3種のうちのいずれにもならず、Siが酸化
した形態の、低融点シリケート系介在物となってしま
う。この介在物は、熱間圧延で容易に伸ばされ、冷間圧
延で分断されるため、最終製品では微細に分散し、その
存在頻度が高くなってしまう。一方、20wt%を超える
とスラグの融点が著しく上昇し、流動性が損なわれる結
果、スラグ−メタル間反応により進行する脱硫反応を妨
げることになる。さらに、流動性の悪化は、脱酸時に生
成する介在物(一次脱酸生成物)の吸収能をも低下させ
る。このような観点から、Al2O3濃度を1〜20wt%、M
gO濃度を1〜20wt%と定めた。
【0027】ちなみに、精錬容器の内張り煉瓦にハイア
ルミナを用い、この容器の中でスラグ中アルミナ濃度を
高め、マグネシア濃度を低めにすると、介在物はアルミ
ナとなる。また、ハイアルミナあるいはマグネシアアル
ミナカーボンあるいはマグネシア煉瓦を用いた容器の中
で、スラグ中アルミナおよびマグネシア濃度を10wt%
ほどの中間に制御すると、介在物はスピネルとなる。さ
らに、マグネシアアルミナカーボンあるいはマグネシア
煉瓦を用いた容器の中で、スラグ中アルミナを低めに、
スラグ中マグネシア濃度を高めに制御すると、介在物は
マグネシアになる。
【0028】以上の技術によっても、磁気特性は十二分
に改善されるが、さらに高い透磁率を得ようとする場合
は、Ni偏析を低減し、Fe-Niマトリックスを均質化する
必要がある。Ni偏析は凝固組織のデンドライトアーム間
隔と密接な関係があり、デンドライトアーム間隔が小さ
い方がNi偏析低減に有利である。なぜなら、デンドライ
トアーム間隔が小さい方が均質化熱処理時のNi拡散距離
が短くなるからである。連続鋳造材では、普通造塊材や
エレクトロスラグ再溶解(ESR)材と比較し、デンドラ
イトアーム間隔が1/5〜1/10と小さいため、連続鋳造材
を利用することにより、Ni偏析を低減し、さらに磁気特
性を向上させることが可能である。
【0029】
【実施例】所定のFe-Ni組成(PB:Fe−46.5wt%Ni、P
C:Fe−77〜80wt%Ni、PD:Fe−35.5wt%Ni)に成
る溶鋼60トンを、電気炉で溶解し、その後AODある
いはVOD法による精錬において、石灰石、蛍石および
アルミナ等のフラックスを添加し、CaO−SiO2−Al2O3
MgO−F系の溶融スラグを形成した後、Alを用いて脱酸
を行った。その際の溶解条件および精錬条件を、表1に
示す。
【0030】その後、普通造塊材は鍛造してスラブと
し、連続鋳造材はそのままNi偏析の均質化熱処理を行っ
た。この均質化熱処理条件は1350℃×50hである。引
き続き、熱間圧延、そして冷間圧延を行い、0.35mm厚み
の製品とした。その後、磁気焼鈍を1100℃×3h、水素
雰囲気にて行い、直流磁化特性を測定した。
【0031】ここで、直流磁化特性は、JIS C2531の規
定に基づき、45mmφ×33mmφのリング試験片を
1次、および2次側とも50ターン巻線し、磁場20
〔Oe〕の条件下で測定した。また、メタルおよびスラグ
組成は蛍光X線により定量分析し、介在物組成はエネル
ギー分散型分析装置(EDS)により、各ロット20点ず
つの定量分析を行った。その評価結果を、表2に示す。
なお、表1および2には、PB、PCおよびPD相当の
合金毎に分類し、各々発明例および比較例を示してあ
る。以下に各鋼種毎の評価結果について、説明する。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】〔PB相当合金〕表1に示したように、成分
並びにスラグ組成が本発明の範囲を満足する、発明例で
あるNo.1、2および3は、酸素および硫黄の合計濃度
が全て150ppm以下である。また、表2に示したよう
に、発明例No.1、2および3において、介在物組成は
アルミナ、スピネルおよびマグネシアの1種または2種
以上に制御されていた。その結果、直流磁化特性に優れ
たものとなり、PC相当合金に匹敵する磁気特性レベルに
あることが確認された。
【0035】一方、比較例であるNo.4においては、Al
が本発明の下限未満であるため、介在物が全てアルミ
ナ、スピネルおよびマグネシアのいずれにもならず、熱
間圧延工程で伸びやすいシリケート系主体となった。さ
らに、No.4では、スラグ中のアルミナ濃度が本発明の
上を上回っており、スラグの流動性が悪く、AODで鋼
に悪影響を及ぼし、操業時間の延長を引き起こした。ま
た、No.5では、Al量が本発明の上限を超えているた
め、固溶Alの影響により、磁気特性が悪化した。
【0036】〔PC相当合金〕表1に示したように、成分
並びにスラグ組成が本発明の範囲を満足する、発明例で
あるNo.6、7および8は、酸素および硫黄の合計濃度
が全て150ppm以下である。また、表2に示したよう
に、発明例No.6、7および8において、介在物組成は
アルミナ、スピネルおよびマグネシアの1種または2種
以上に制御されていた。その結果、直流磁化特性に優れ
たものであることが確認された。
【0037】一方、比較例であるNo.9においては、Al
が本発明の下限未満であるため、酸素および硫黄の合計
濃度が150ppmを超えているとともに、介在物が全て
アルミナ、スピネルおよびマグネシアのいずれにもなら
ず、熱間圧延工程で伸びやすいシリケート系主体となっ
た。また、No.10では、スラグ塩基度が1.45と本発明
の下限未満であるため、酸素および硫黄の合計濃度が15
0ppmを超えているとともに、介在物が全てアルミ
ナ、スピネルおよびマグネシアのいずれにもならず、熱
間圧延工程で伸びやすいシリケート系が一部に生成し
た。さらに、No.10では、MgOが本発明の上限を超えた
ため、No.4同様に、スラグ流動性が悪化し、AOD出鋼に
悪影響を及ぼし、操業時間の延長を引き起こした。これ
ら比較例は、いずれも直流磁化特性が劣っていることが
確認された。
【0038】〔PD相当合金〕表1に示したように、成分
並びにスラグ組成が本発明の範囲を満足する、発明例で
あるNo.11、12および13は、酸素および硫黄の合
計濃度が全て150ppm以下である。また、表2に示し
たように、発明例No.11、12および13において、
介在物組成はアルミナ、スピネルおよびマグネシアの1
種または2種以上に制御されていた。その結果、直流磁
化特性に優れたものとなり、PB相当合金に匹敵する磁
気特性レベルにあることが確認された。
【0039】一方、比較例であるNo.14においては、A
lが本発明の下限未満であるため、酸素および硫黄の合
計濃度が150ppmを超えているとともに、介在物が全
てアルミナ、スピネルおよびマグネシアのいずれにもな
らず、熱間圧延工程で伸びやすいシリケート系主体とな
った。また、No.16では、スラグ塩基度が12.8と本発
明の上限を超えて著しく高かったため、AODにて出鋼が
一部不可能となり、全て屑化扱いとなってしまった。そ
のため、介在物測定並びに直流磁化特性測定は不可能で
あった。
【0040】なお、前記のPB、PCおよびPDに分類した発
明例の中には、普通造塊材と連続鋳造材とを比較して示
してあり、この中で、酸素および硫黄の合計濃度が同等
レベルの例(例えばNo.6とNo.7)で比較すると、普通
造塊材よりも連続鋳造材の方が直流磁化特性に優れてい
る。これは、凝固時のデンドライトアーム間隔が連続鋳
造材の方が小さく、スラブでの均質化熱処理時のNi拡散
に有利なためであることが確認された。
【0041】なお、以上の実施例は、全てステンレス鋼
用の精錬設備を用いて、造塊、そして圧延を実施したも
のであり、60トン規模のチャージである。これは、限
られたAl濃度の範囲で、高塩基度スラグに適量のアルミ
ナ、マグネシアを混合し、脱酸および脱硫すると同時
に、介在物組成をアルミナ、スピネル、マグネシアのい
ずれかに制御する技術を確立したことによって実現した
ものである。そのため、従来の数トン規模の真空溶解よ
りも、製造コストが安価である。
【0042】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、パーマロイ合金中の非金属介在物を形成する酸素と
硫黄の濃度を低減できるともに、非金属介在物組成を熱
間圧延工程において伸びないアルミナ、スピネルおよび
マグネシアのいずれか1種または2種以上に制御でき
る。その結果、磁気特性を改善し、1ランク上の特性を
持つ鋼種並みに、すなわちPDをPBに、PBをPCにまで引き
上げることができる。さらに、連続鋳造材を用いて製造
することによって、更に磁気特性を向上することができ
る。また、これらの製造を、ステンレス鋼等の大量生産
ラインで製造することが可能なため、製造コストの低減
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】PCの最大透磁率に及ぼす、硫黄濃度および酸素
濃度の和と、鋳型すなわちデンドライトアーム間隔(金
型で短く砂型で長い)と、の影響を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ni:30〜85wt%を含むFe-Ni系パーマ
    ロイ合金の製造方法であって、原料を溶解して得られた
    溶鋼の脱酸および脱硫工程において、該溶鋼に、石灰
    石、蛍石およびアルミナをフラックスとして添加し、Ca
    O−SiO2−Al2O3−MgO−F系の溶融スラグを溶鋼上に形
    成したのち、Alを用いて脱酸および脱硫を行って、溶
    鋼中の酸素および硫黄の合計濃度を150ppm以下に抑
    制することを特徴とする磁気特性に優れたFe-Ni系パー
    マロイ合金の製造方法。
  2. 【請求項2】Ni:30〜85wt%を含むFe-Ni系パーマ
    ロイ合金の製造方法であって、原料を溶解して得られた
    溶鋼の脱酸および脱硫工程において、該溶鋼に、石灰
    石、蛍石およびアルミナをフラックスとして添加し、Ca
    O−SiO2−Al2O3−MgO−F系の溶融スラグを溶鋼上に形
    成したのち、Alを用いて脱酸および脱硫を行うに当り、
    溶融スラグにおける塩基度CaO/SiO2を重量比で3〜1
    0、Al2O3濃度を1〜20wt%およびMgO濃度を1〜20
    wt%に調整するとともに、0.001〜0.050wt%のAlを添加
    することにより、酸素および硫黄の合計濃度を150pp
    m以下、かつ介在物の組成をAl2O3、MgO・Al2O3およびM
    gOのいずれか1種または2種以上に制御することを特徴
    とする磁気特性に優れたFe-Ni系パーマロイ合金の製造
    方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、Fe-Ni系パー
    マロイ合金が、Ni:35〜40wt%を含有し、最大透磁
    率μm :50000以上、初透磁率μ0:10000以上および保
    磁力Hc:0.05〔Oe〕以下の磁気特性を示すものであるこ
    とを特徴とするFe-Ni系パーマロイ合金の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1または2において、Fe-Ni系パー
    マロイ合金が、Ni:40〜50wt%を含有し、最大透磁
    率μm:100000以上、初透磁率μ0:30000以上および保
    磁力Hc:0.02〔Oe〕以下の磁気特性を示すものであるこ
    とを特徴とするFe-Ni系パーマロイ合金の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1または2において、Fe-Ni系パー
    マロイ合金がNi:70〜85wt%を含有し、最大透磁率
    μm:400000以上、初透磁率μ0:20000以上および保磁
    力Hc:0.006〔Oe〕以下の磁気特性を示すものであるこ
    とを特徴とするFe-Ni系パーマロイ合金の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1または2において、溶鋼を精錬し
    た後、連続鋳造にてスラブを作製し、該スラブに熱間圧
    延、次いで冷間圧延を施すことを特徴とする磁気特性に
    優れたFe-Ni系パーマロイ合金の製造方法。
JP2000354949A 2000-11-21 2000-11-21 磁気特性に優れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法 Expired - Lifetime JP4107801B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000354949A JP4107801B2 (ja) 2000-11-21 2000-11-21 磁気特性に優れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000354949A JP4107801B2 (ja) 2000-11-21 2000-11-21 磁気特性に優れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006220968A Division JP4510787B2 (ja) 2006-08-14 2006-08-14 磁気特性に優れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002161328A true JP2002161328A (ja) 2002-06-04
JP4107801B2 JP4107801B2 (ja) 2008-06-25

Family

ID=18827453

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000354949A Expired - Lifetime JP4107801B2 (ja) 2000-11-21 2000-11-21 磁気特性に優れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4107801B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007146208A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Hitachi Metals Ltd Fe−Ni系合金板及びFe−Ni系合金板の製造方法
WO2008099812A1 (ja) * 2007-02-13 2008-08-21 Hitachi Metals, Ltd. 磁気シールド材料、磁気シールド部品及び磁気シールドルーム
CN112063801A (zh) * 2020-09-17 2020-12-11 浦项(张家港)不锈钢股份有限公司 不锈钢及其制备方法
CN114855005A (zh) * 2022-04-06 2022-08-05 中国科学院上海高等研究院 一种深冷低温坡莫合金及其制备方法以及应用

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007146208A (ja) * 2005-11-25 2007-06-14 Hitachi Metals Ltd Fe−Ni系合金板及びFe−Ni系合金板の製造方法
WO2008099812A1 (ja) * 2007-02-13 2008-08-21 Hitachi Metals, Ltd. 磁気シールド材料、磁気シールド部品及び磁気シールドルーム
US8157929B2 (en) 2007-02-13 2012-04-17 Hitachi Metals, Ltd. Magnetic shielding material, magnetic shielding component, and magnetic shielding room
JP5326576B2 (ja) * 2007-02-13 2013-10-30 日立金属株式会社 地磁気シールド材料、地磁気シールド部品及び地磁気シールドルーム
CN112063801A (zh) * 2020-09-17 2020-12-11 浦项(张家港)不锈钢股份有限公司 不锈钢及其制备方法
CN114855005A (zh) * 2022-04-06 2022-08-05 中国科学院上海高等研究院 一种深冷低温坡莫合金及其制备方法以及应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4107801B2 (ja) 2008-06-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016191124A (ja) 高Mn含有Fe−Cr−Ni合金およびその製造方法
CN115244199B (zh) 不锈钢、不锈钢钢材及不锈钢的制造方法
US20120261085A1 (en) Extremely low carbon steel plate excellent in surface characteristics, workability, and formability and a method of producing extremely low carbon cast slab
JP4510787B2 (ja) 磁気特性に優れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法
KR100711410B1 (ko) 연성이 높은 박강판 및 그 제조방법
JP3687644B2 (ja) 無方向性電磁鋼板の製造方法
JP4107801B2 (ja) 磁気特性に優れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法
JP4593313B2 (ja) 熱間加工性に優れるFe−Ni系磁性合金板およびその製造方法
WO2023062855A1 (ja) 表面性状に優れたニッケル合金およびその製造方法
JP5215327B2 (ja) 磁気特性に優れたFe−Ni系パーマロイ合金の製造方法
JP2001220651A (ja) 耐ヘビーシェリング損傷性に優れたレール
JPH07122090B2 (ja) 方向性けい素鋼素材の溶製方法
JP2001026811A (ja) ステンレス鋼の精錬に用いるSi合金鉄およびステンレス鋼の精錬方法
JP5509913B2 (ja) S及びTi含有量の少ない高Si鋼の溶製方法
JP3825570B2 (ja) 加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼鋳片およびその製造方法
JP2002194497A (ja) Si脱酸鋼とその製造方法
JP7413600B1 (ja) Fe-Ni系合金板及びその製造方法
JP3036373B2 (ja) 酸化物分散鋼の製造法
JP4256617B2 (ja) 高純度フェロボロン、鉄基非晶質合金用母合金および鉄基非晶質合金の製造方法
JP3645821B2 (ja) Fe−Niパーマロイ合金の製造方法
JP7007510B1 (ja) 表面性状に優れたFe-Ni合金およびその製造方法、CFRP用金型
JP3247154B2 (ja) 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の溶製方法
JP3881626B2 (ja) Fe−Ni合金の精錬方法
JP2000273525A (ja) 高清浄度鋼の製造方法
JP3840096B2 (ja) 耐錆性に優れた低熱膨張性シャドウマスク用Fe−Ni系合金の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060613

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060814

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071023

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080311

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080401

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110411

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120411

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130411

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130411

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140411

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250