JP2001220651A - 耐ヘビーシェリング損傷性に優れたレール - Google Patents

耐ヘビーシェリング損傷性に優れたレール

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JP2001220651A JP2000029863A JP2000029863A JP2001220651A JP 2001220651 A JP2001220651 A JP 2001220651A JP 2000029863 A JP2000029863 A JP 2000029863A JP 2000029863 A JP2000029863 A JP 2000029863A JP 2001220651 A JP2001220651 A JP 2001220651A
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Kentaro Mori
健太郎 森
Hiroyasu Yokoyama
泰康 横山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化物系介在物が少なく、耐ヘビーシェリン
グ損傷性に優れたレールを提供する。 【解決手段】 化学成分が重量%で、C:0.5〜0.9%、
Si:0.2〜0.6%、Mn:0.5〜1.6%、P:0.03%以
下、S:0.01%以下、Cr:0〜1.1%、残部が実質的に
鉄からなるレールであって、このレール中の全酸素濃度
が30ppm以下であることを特徴とする耐ヘビーシェリン
グ損傷性に優れたレール。さらに、sol.Alを2 ppm以上8
ppm以下含有する耐ヘビーシェリング損傷性に優れたレ
ール。酸化物系介在物が基本的にAl2 O3-SiO2-MnO複合
介在物であり、その組成が重量%で、Al2 O3が10〜20
%、MnOが30〜50%、残部 SiO2である耐ヘビーシェリン
グ損傷性に優れたレール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、レール頭部の内
部に発生するヘビーシェリングタイプの転動疲労損傷に
対する耐損傷性に優れたレールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道輸送は、他の輸送機関と比較して輸
送効率が高く、年々高速化し、積載荷重が増大し、ダイ
ヤが過密化される傾向にある。そのため、レールに対す
る負荷が次第に過酷になっており、軌道直線部のレール
には、その頭頂面の転動疲労損傷が増加し、また、軌道
曲線部のレールには、レールが車輪のフランジ部と接触
する側のレール頭部コーナー部(以下、ゲージコーナー
部という)のレール内部に生じる転動疲労損傷(以下、
ヘビーシェリング損傷という)が増加している。従っ
て、レールに求めらレール品質特性はより厳しいものと
なり、従来以上に耐ヘビーシェリング損傷性に優れたレ
ールが求められている。
【0003】このゲージコーナー部内部に発生するヘビ
ーシェリング損傷(以下、GCヘビーシェリング損傷と
いう)の発生原因については全てが解明されている訳で
はないが、その一因として、レール内部に粗大な非金属
介在物が存在すると、これが損傷の起点となってヘビー
シェリング損傷に進展すると考えられている。そこで、
これらの非金属介在物の量と形態を制御する技術が開発
されている。
【0004】例えば、特開平5−171247号公報に
は、Ca添加量適正化してSをCaSとして固定する手
段により、MnS系伸長介在物を低減する高炭素シリコ
ンキルド高清浄溶鋼の製造方法が提案されている。この
技術では、Cを0.51%以上としγ凝固させ、かつ、
Siを0.10%以上でAlを0.010%以下とする
ことにより、シリコンキルド鋼とした上で、SとCaの
溶鋼中濃度比:Ca/Sを1/7〜7/7の範囲でCa
を添加する。これにより、凝固過程において偏析濃化す
るSが、同じく偏析濃化するCaや、溶鋼中で生成した
カルシウムシリケートと反応し、逐次CaSとして固定
されるため、MnS伸長介在物の生成が抑制されるとい
うものである。
【0005】特開平5−263121号公報には、Mn
O介在物を低減し、MnOより析出するMnS伸長介在
物を低減する高炭素高清浄溶鋼の製造方法が提案されて
いる。この技術は、Cを0.51〜1.50%含有する
溶鋼を、大気精錬炉で溶製後、未脱酸もしくは弱脱酸状
態で出鋼後、真空度1Torr以下での真空処理により
溶解酸素を30ppm以下とし、次いでAlを0.00
5〜0.015%、Siを0.1〜0.8%の範囲で添
加し、その後にMnを添加することにより、最終凝固部
に晶出するMnSの晶出核となる2次脱酸生成物数を減
少させ、かつ酸化物中のMnO濃度を低下させ、MnS
の晶出を抑制するというものである。
【0006】また、MnS以外の酸化物系介在物に対し
ては、一般には、過度のAl添加は、より粗大な介在物
の一種であるアルミナ・クラスターを生成させる。これ
も、GCヘビーシェリング損傷の起点となるため、Al
脱酸は極力避けるのが一般的傾向である。
【0007】特開平8−73998号公報には、レール
頭部の非金属介在物について、介在物最大長さと個数を
制御して、GCヘビーシェリング損傷を抑制する技術が
提案されている。この技術では、レール頭部の酸化物系
非金属介在物の最大長さを100μm 以下、個数を10
4 個/mm3以下に制御して、GCヘビーシェリング損傷を
抑制する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近鉄道全体
としての輸送効率向上の観点から、列車の高速化、ダイ
ヤの過密化、車両積載重量の増大に伴う高軸重化が進ん
でいることが、レールの使用環境をより一層過酷にして
いる。そのため、ゲージコーナー部の内部にヘビーシェ
リング損傷が発生するようになり、前述した従来技術で
は解決することが困難になっている。
【0009】例えば、特開平5−171247号公報、
特開平5−263121号公報では、損傷の起点となる
非金属介在物のうち、粗大なMnSを抑える技術を示し
ているが、他の非金属介在物、特に酸化物系介在物に対
しての技術は開示されていない。
【0010】また、特開平8−73998号公報記載の
技術では、レール頭部の介在物の最大長さと個数を規定
しているが、これらの数値を求めるためには、レール頭
部より試験片を採取し、JIS G0555に規定され
ているような非金属介在物の検鏡およびカウントを行う
必要がある。そのため、品質判定に多大の時間と労力を
要するという問題がある。
【0011】本発明は、上述した問題点を解決し、酸化
物系介在物が少なく、耐ヘビーシェリング損傷性に優れ
たレールを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題は次の発明に
より解決される。第1の発明は、化学成分が重量%で、
C:0.5〜0.9%、Si:0.2〜0.6%、Mn:0.5〜1.6
%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:0〜1.1
%、残部が実質的に鉄からなるレールであって、このレ
ール中の全酸素濃度が30ppm以下であることを特徴とす
る耐ヘビーシェリング損傷性に優れたレールである。
【0013】この発明は、レールの素材となるレール鋼
について、酸化物系介在物の量と組成に着目して、GC
ヘビーシェリング損傷性との関係を調査する中でなされ
た。その中で、特に酸化物系介在物の総量(以下、T.O
値)がGCヘビーシェリング損傷性に大きな影響を及ぼ
すことを見出した。この知見に基づき、レール鋼のT.O
値を所定の値以下とすることによりGCヘビーシェリン
グ損傷性に優れたレールの製造が可能であることを突き
止めた。
【0014】図1は、T.O値とヘビーシェリング損傷指
数の関係を示す図である。この図は、多数のレール鋼よ
り製造したレールについて、西原式転動試験器によりシ
ミュレーション試験を行い、後述のヘビーシェリング損
傷指数を求めて作成した。後述のように、ヘビーシェリ
ング損傷指数は、1.0未満であれば、レールのGCヘビ
ーシェリング損傷は発生しない。図より、ヘビーシェリ
ング損傷指数が1.0未満となる条件は、T.O値、即ち酸化
物系介在物の総量が30ppm未満の領域であることがわか
る。従って、この発明では、酸化物系介在物の総量を30
ppm未満に限定する。
【0015】次に、化学組成を限定した理由を説明す
る。 C: Cは、高強度化およびパーライト組織生成のため
必須元素であり、耐摩耗性についても決定的な効果を示
す元素である。このC量が0.5%未満では、オーステナ
イト粒界に耐摩耗性および耐損傷性に好ましくない初析
フェライトが大量に生成する。一方0.9%を超えるとオ
ーステナイト粒界を脆化させる初析セメンタイトが大量
に生成させるばかりか、レール頭部熱処理層や溶接部の
微小偏析部にマルテンサイトが生成し、靭性、延性を損
なう。従って、C量を0.5〜0.9%の範囲に限定する。
【0016】Si: Siは、脱酸に必要な元素であ
り、その効果を発揮させるには0.1%以上必要である。
一方、0.6%を超える過多な添加は、SiO2 リッチな
介在物を晶出して耐ヘビーシェリング損傷性を損なう。
従って、Siを0.1〜0.6%の範囲に限定する。
【0017】Mn: Mnは、パーライト変態温度を低
下させ、焼き入れ性を高める元素であり、脱酸にも有効
である。さらに、SをMnSとして固定するが、そのた
めには0.5%必要である。しかし、Mn量が1.6%を超え
ると、偏析部にマルテンサイトが生成し易くなる。従っ
て、Mn量を0.5〜1.6%の範囲に限定する。
【0018】P: Pは、一般に有害元素であり、粒界
偏析による脆化の原因となる。この傾向は、Pが0.03%
を超えると現れるので、P量を0.03%以下に限定する。
【0019】S: Sもやはり有害元素として知られて
おり、特にSが0.01%を超えると、MnSが起点となり
ヘビーシェリング損傷を引き起こす。従って、S量を0.
01%以下に限定する。
【0020】Cr: Crは、パーライト変態温度を低
下させることにより、高強度化に寄与すると同時に、パ
ーライト組織中のフェライトを強化することにより耐摩
耗性の向上に貢献する。従って、非熱処理型のレールに
おいては不要であるが、熱処理型のレールにおいては添
加することが望ましい。しかし、1.1%を超えて添加す
ると衝撃靭性を低下させる作用も有しているので、Cr
量を無添加を含む0〜1.1%の範囲に限定する。
【0021】化学成分の残部は実質的に鉄であるが、こ
れは鉄と上記の化学成分以外に、通常のレール鋼の原料
から混入する元素や製造過程で混入する元素が含まれて
いてもよい。また、発明の目的を損なわない限り、脱酸
剤や合金元素等のその他の元素が含まれていてもよい。
【0022】第2の発明は、化学成分としてさらに、so
l.Alを2 ppm以上8ppm以下含有することを特徴とする第
1の発明の耐ヘビーシェリング損傷性に優れたレールで
ある。
【0023】この発明は、さらにレール鋼中のsol.Alに
着目して鋭意検討した結果なされた。その課程で、sol.
Al量によりヘビーシェリング損傷指数が変化することを
見出した。その結果、sol.Al量が2〜8ppmの範囲であれ
ば、この指数は0.7以下となり、レールのGCヘビーシ
ェリング損傷をより完全に防止できることがわかった。
従って、この発明では、sol.Alを2 ppm以上8ppm以下の
範囲に限定する。
【0024】第3の発明は、酸化物系介在物が基本的に
Al2 O3-SiO2-MnO複合介在物であり、その組成が重量%
で、Al2 O3が10〜20%、MnOが30〜50%、残部 SiO2であ
ることを特徴とする第1の発明の耐ヘビーシェリング損
傷性に優れたレールである。
【0025】この発明は、レール鋼の酸化物系介在物の
組成に着目して、GCヘビーシェリング損傷性との関係
を調査する中でなされた。その結果、第1の発明の酸化
物系介在物はAl2 O3-SiO2-MnO複合介在物であることを
突き止めた。さらに検討の結果、この複合介在物の組成
がある特定の範囲内にある時、GCヘビーシェリング損
傷性が良好となることを見出した。
【0026】このような介在物の組成範囲を定量化する
ため、この特性に対応するヘビーシェリング損傷指数が
1.0未満となる組成範囲を求めた。その結果、Al2 O3
ついては10〜20%、かつMnOについては30〜50%とする
ことにより、ヘビーシェリング損傷指数が1.0未満とな
ることがわかった。従ってこの発明では、Al2 O3-SiO2-
MnO複合介在物の組成をAl2 O3:10〜20%、MnO:30〜50
%の範囲に限定する。
【0027】
【発明の実施の形態】発明の実施に当たっては、まず、
転炉、電気炉等を用いてレール鋼を溶製する。ここで転
炉の場合は、溶銑予備処理によりP,S等を低下させて
おく。脱酸の際は、フェロシリコンやフェロマンガン等
の脱酸剤はできるだけ低Alのものを使用し、溶鋼へのAl
の混入を防止する。
【0028】出鋼後の溶鋼については、不活性ガス等に
よる溶鋼攪拌を行うことにより、ヘビーシェリング損傷
の起点となる非金属介在物が、浮上除去するのを促進す
ることができる。一般に、溶鋼中の脱酸により発生した
非金属介在物は、凝集、合体により肥大化し、Stokesの
法則により浮上して除去される。従って、酸化物系非金
属介在物の総量と最大粒径には正の相関がある。(例え
ば、第126,127西山記念講座テキスト,1988,日本鉄鋼協
会) 非金属介在物を起点としてヘビーシェリング損傷が発生
するメカニズムは、せん断応力のかかる位置に粗大な非
金属介在物が存在している場合に、非金属介在物自体が
破砕されるか、若しくは非金属介在物とその周囲のマト
リックスとの界面が分離することにより発生すると言わ
れている。従って、非金属介在物のサイズが大きければ
破砕されやすく、マトリックスとの界面積も大きいた
め、損傷の起点となる。以上より、酸化物介在物総量を
制御すれば、ヘビーシェリング損傷を防止することがで
きる。
【0029】また、溶鋼に真空脱ガス処理を行うことに
より、全酸素量を低減させることができる。鋳造用タン
ディッシュ内では、酸素のピックアップを防止し、溶鋼
の酸素濃度を維持することが望ましい。このようにし
て、この発明の化学成分に調製した溶鋼を、鋳造してビ
レットを製造する。その後、このビレットに軌条圧延を
行い、レールを製造することにより、ヘビーシェリング
損傷性に優れたレールが製造できる。
【0030】ヘビーシェリング損傷性は、この発明のヘ
ビーシェリング損傷指数を測定することにより、容易に
検査できる。このヘビーシェリング損傷指数は、過去多
数のレール鋼より製造したレールについて、シミュレー
ション試験成績と敷設後レールのGCヘビーシェリング
損傷の有無の実態との関係を解析して設定した指数であ
る。この指数は、小さいほど損傷が発生し難くなり、損
傷の発生が実質的に無視できる(あるいは許容範囲の)
上限値を、1.0に規格化しておく。すなわち、ヘビーシ
ェリング損傷指数が1.0未満であれば、敷設後レールの
GCヘビーシェリング損傷は、実質的に発生しない。
【0031】実施に当たっては、さらにsol.Alを第2の
発明の範囲内に限定すれば、より完全にヘビーシェリン
グ損傷を防止できる。あるいは、酸化物系介在物の組成
を第3の発明の範囲内に限定しても、同様の効果が得ら
れる。これは、酸化物系介在物の組成がヘビーシェリン
グ損傷を起こしにくい形態に変化したためと推定され
る。以下、発生する介在物の組成について着目して検討
する。
【0032】図2は、この場合の酸化物系介在物の組成
を、Al2 O3-SiO2-MnO三元状態図にプロットした図であ
る。図中の○印はsol.Alが第2の発明の範囲内であり、
ヘビーシェリング損傷指数が1.0未満のレール、●印はs
ol.Alがこの範囲外、ヘビーシェリング損傷指数が1.0以
上のレールを表す。図中の太い破線は晶出する酸化物の
境界線、細い破線は晶出温度の等温線を示す。
【0033】この図より、ヘビーシェリング損傷の発生
を防止するのに最適な介在物組成の領域が存在すること
がわかる。ヘビーシェリング損傷指数が1.0未満のレー
ル(○印)は、介在物組成がspessartite(3MnO・Al2 O3
・3SiO2)の領域にほぼ一致している。この領域は、sol.
Alが第2の発明の範囲の場合と一致しており、また、第
3の発明の範囲もこの領域に入っている。
【0034】このspessartiteの融点は、Al2 O3-SiO2-M
nO酸化物 の中では1300℃以下と低いことが特徴であ
る。このようにこの発明では、酸化物系介在物を低融点
化することにより、熱間圧延時において、高い延性を有
し微細化され易い形態にしていると考えられる。
【0035】
【実施例】高炉より出銑した溶銑を溶銑予備処理工程を
経て、300トン転炉にて精錬し、P≦0.03%、S≦0.
01%のレール鋼を溶製した。出鋼に際し、Al含有量の少
ないフェロシリコン(Al≦0.01%)、およびフェロマン
ガンを投入して脱酸を行うとともに、他の化学成分を調
製した。さらに取鍋受鋼時に、CaO-SiO2-Al2 O3系フラ
ックスを取鍋スラグ中に添加してスラグ組成を調製し、
Al2 O3の解離を防止した。
【0036】次にRH式真空脱ガス装置を用いて、真空撹
拌精錬処理により溶鋼中の全酸素量を低減させた。その
後、連続鋳造設備にて250mm×350mm断面の鋳片に鋳造
し、軌条圧延を行いレールを製造した。得られたレール
の化学成分を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1で、比較品は全酸素量が本発明の範囲
より高く、化学成分が本発明の範囲から外れているレー
ルである。これに対して発明品1〜9は、いずれも化学成
分が発明の範囲内である。また、発明品4〜9はsol.Alが
第2の発明の範囲内であり、発明品6〜9はさらに介在物
組成が第3の発明の範囲内である。
【0039】これらのレールについて、レール頭頂部よ
り深さ40mm以内の部位よりT.O分析用試験片、介在物検
鏡用試験片を採取した。その後、T.Oを燃焼法で分析
し、介在物については検鏡試験により、光学顕微鏡によ
り介在物の位置を同定し、EPMAにより組成分析を行っ
た。GCヘビーシェリング損傷性は、やはりレール頭頂部
より深さ40mm以内の部位より試験片を採取し、西原式転
動試験器により試験を行い評価した。試験結果を表1に
合わせて示す。
【0040】まず比較品については、ヘビーシェリング
損傷指数が1.0を超えており、耐ヘビーシェリング損傷
性が低い。発明品はいずれもヘビーシェリング損傷指数
が1.0以下であり、耐ヘビーシェリング損傷性に優れて
いる。中でも、発明品6〜9の介在物組成は、Al2 O3が15
〜20% MnOが37〜43%であり、いずれも好ましい範囲
(第3の発明の範囲:Al2O3:10〜20%、MnO:30〜50%、
残部 SiO2)を満たしている。その結果、ヘビーシェリ
ング損傷指数は0.2〜0.4というかなり低い値が得られて
いる。発明品4,5については、Al2 O3が23%,25%で第
3の発明の範囲からは外れているが、ヘビーシェリング
損傷指数は0.5,0.7と十分に低い値を示している。
【0041】これに対して比較品については、介在物組
成は上記好ましい範囲内(Al2O3:10〜20%、MnO:30〜50
%、残部:SiO2)となっているが、前述のようにT.Oが上
限を超えている。そのため、ヘビーシェリング損傷指数
が1.0を超え、耐損傷性が不良となっている。
【0042】また、発明品1〜2は、T.Oは発明の範囲内
で介在物総量は良好なものの、前述のようにsol.Alが高
いため(第2の発明の上限8ppm超)、Al2 O3が上記好ま
しい組成範囲(10〜20%)を超えており、介在物組成が
コランダム領域(Corundum:Al2 O3と同じ結晶構造で硬
度が高い)に入っている。そのため、熱間圧延時に微細
化が不十分となり、他の発明品と比べると耐損傷性がや
や低目となっている。発明品3では、逆にsol.Alが低い
ため、介在物組成が上記好ましい組成範囲(Al2 O3:10〜
20%)に届かず、介在物融点が高く微細化されにくくな
り、やはり耐損傷性が他の発明品と比べるとやや低目で
ある。
【0043】
【発明の効果】この発明は、酸化物系介在物の総量T.O
値とGCヘビーシェリング損傷性の関係に基づき、T.O
値を限定することにより、耐ヘビーシェリング損傷性に
優れたレールを製造することができる。さらに、sol.Al
量あるいは介在物の組成を好ましい範囲に限定すること
により、耐ヘビーシェリング損傷性をより向上させるこ
とができる。その結果、レールの寿命延長、鉄道輸送効
率向上などの産業上有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】T.O値(全酸素濃度)とヘビーシェリング損傷
指数の関係を示す図。
【図2】Al2 O3-SiO2-MnO三元状態図による酸化物系介
在物の組成を示す図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学成分が重量%で、C:0.5〜0.9%、
    Si:0.2〜0.6%、Mn:0.5〜1.6%、P:0.03%以
    下、S:0.01%以下、Cr:0〜1.1%、残部が実質的に
    鉄からなるレールであって、このレール中の全酸素濃度
    が30ppm以下であることを特徴とする耐ヘビーシェリン
    グ損傷性に優れたレール。
  2. 【請求項2】 化学成分としてさらに、sol.Alを2 ppm
    以上8ppm以下含有することを特徴とする請求項1記載の
    耐ヘビーシェリング損傷性に優れたレール。
  3. 【請求項3】 酸化物系介在物が基本的にAl2 O3-SiO2-
    MnO複合介在物であり、その組成が重量%で、Al2 O3が1
    0〜20%、MnOが30〜50%、残部 SiO2であることを特徴
    とする第1の発明の耐ヘビーシェリング損傷性に優れた
    レール。
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