JP3533196B2 - 高疲労強度ばね用鋼線とその製法 - Google Patents

高疲労強度ばね用鋼線とその製法

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JP3533196B2 JP2001257735A JP2001257735A JP3533196B2 JP 3533196 B2 JP3533196 B2 JP 3533196B2 JP 2001257735 A JP2001257735 A JP 2001257735A JP 2001257735 A JP2001257735 A JP 2001257735A JP 3533196 B2 JP3533196 B2 JP 3533196B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車用エ
ンジンなどの弁ばね等として使用される疲労強度の改善
されたばね用鋼線とその製法に関するものである。
【0002】最近、エンジンの軽量化および高出力化の
観点から弁ばね等はますます小型化する傾向にあり、よ
り過酷な条件、即ちより高い応力負荷のかかる状態で使
用されるようになってきている。本発明はこうした状況
に対処するもので、過酷な使用条件にも耐え得るよう、
鋼中に存在する酸化物系介在物の小径化と個数低減を図
ることによって、より高レベルの疲労特性を有するばね
用鋼線を提供すると共に、その様な高性能のばね用鋼線
を確実に得ることのできる製法を提供するものである。
【0003】
【従来の技術】ばね用途に用いる鋼材の一般的な製法と
しては、転炉精練や電気炉精錬を行なった後、炉外精
錬、例えば溶鋼搬送容器内でのスラグ精錬を行い、得ら
れる溶鋼を連続鋳造工程や造塊工程へ送って鋳造する方
法が採用される。この場合、優れた疲労特性を得るに
は、疲労破壊の起点となる酸化物系介在物を可及的に低
減することが望ましい。
【0004】ところで、特に疲労破壊の起点となり易い
アルミナ系介在物の抑制については、例えば特公平6−
104844号、特公平7−103416号、特開平6
−212237号公報などに見られる如く、A1添加量
を一定量以下に抑え、A1の混入を極力低減することに
よってアルミナ系介在物を少なくする方法が知られてい
る。この方法を採用する場合は、Alの混入を抑えるた
め溶鋼の脱酸にAlを使用せず、SiやMnで脱酸を行
なうのが一般的である。この脱酸処理で溶鋼中に生じる
シリカ系介在物については、CaO含有スラグを用いた
スラグ精錬によってCaO−SiO2系介在物に改質
し、介在物を圧延中に展伸し易い組成とすることにより
その害を可及的に抑えている。
【0005】また特開平11−199982号公報に
は、鋼中に含まれる酸化物系介在物の個数を20個/1
000mm2以下に抑制することによって、疲労特性を
高めた高清浄度圧延鋼材が開示されている。しかし、一
般的な転炉/電気炉→炉外スラグ精錬→鋳造を経る方法
では、処理炉の耐火物や副生スラグから鋼内への酸化物
の混入が避けられず、安定して酸化物系介在物の個数を
抑制することは難かしい。
【0006】更に他の介在物低減技術として特開昭60
−177139号公報には、A1およびA123規制の
下で、真空誘導炉溶解(以下、「VIM」という)やア
ルゴン−酸素脱炭(以下、「AOD」という)によって
精錬し、引き続いてエレクトロスラグ再溶解精錬(以
下、「ESR」という)を行なった後、真空アーク再溶
解(以下、「VAR」という)処理を施すことにより、
アルミナ系介在物を極度に低減する方法が開示されてい
る。
【0007】これらESR法やVAR法は耐火物を使用
しない精錬法であるため、確かにアルミナ系介在物を極
限まで低減することができる。しかしESR法では、通
常CaO−CaF2系スラグが使用されるため、該スラ
グの一部が鋼中に混入する。しかもCaOは、VAR法
によっても還元分解され難く最後まで鋼中に酸化物系介
在物として残存するため、より高レベルの疲労強度が要
求されるばね用鋼では、該介在物が疲労折損の起点にな
ることがあり、高い応力負荷環境下で使用される自動車
用弁ばね鋼に供するには問題がある。
【0008】これに対しVAR法は、耐火物もスラグも
使用しない精錬法であり、例えば特願平11−1642
05号公報には、VAR法のみで疲労特性に優れた高清
浄度鋼を得る方法が開示されている。しかし該公報に開
示された方法では、VAR精錬後における鋼塊中のA1
含有量を2.3〜6ppmに限定しているため、VAR
に供する鋼材の選択自由度が非常に狭められるという問
題が指摘される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、疲労強
度低下の起因となる酸化物系介在物の鋼中存在量を可及
的に低減し、高レベルの疲労特性を有するばね用鋼を提
供すると共に、その様な高品質のばね用鋼を確実に得る
ことのできる製法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明に係る高疲労強度ばね用鋼線とは、C:0.4〜1.
3%、Si:0.1〜2.5%、Mn:0.1〜1.2
%を含有すると共に、A1が0.10%以下である圧延
鋼線であって、縦断面に観察される酸化物系介在物のう
ち、幅方向のサイズが5μm以上のものが2個/100
mm2以下であるところに要旨が存在する。
【0011】該ばね用鋼においては、選択元素として、
Ni:1%以下、Cu:1%以下、Cr:2.5%以
下、Mo:1%以下、およびV:0.5%以下よりなる
群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するもの
は、高疲労特性に加えて強度や靭・延性にも優れたもの
となるので好ましい。
【0012】また本発明にかかる製法とは、上記疲労特
性に優れたばね用鋼線を確実に得ることのできる方法と
して位置付けられるもので、質量%で、C:0.4〜
1.3%、Si:0.1〜2.5%、Mn:0.1〜
1.2%を含み、A1が0.10%以下であり、鋼中介
在物中のCaO含有量を低減した鋼材を、真空アーク再
溶解法により1回以上溶解精錬してから鋳造し、圧延す
るところに要旨を有している。
【0013】この方法を実施するに当たっては、前記溶
解精錬に付される前記鋼材に含まれる介在物中の平均C
aO含量を25%以下とすれば、得られるばね用鋼線中
の酸化物系介在物の一層の小径化と個数低減を増進する
ことができ、その結果として疲労特性をより確実に高め
ることができるので好ましい。また上記鋼材として、N
i:1%以下、Cu:1%以下、Cr:2.5%以下、
Mo:1%以下、およびV:0.5%以下よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種を含むものを使用すれば、疲
労特性に加えて、強度や靭・延性にも優れたばね用鋼線
を得ることができるので、本発明の好ましい実施形態と
して推奨される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者らは前述した様な状況の
下で、鋼材中に含まれる介在物個数と疲労寿命との関係
について検討を行なった。その結果、図1に示す如く、
VAR精錬を実施することにより、直径3〜10mmに
圧延された鋼線の縦断面中に現れる幅方向のサイズが5
μm以上の酸化物系介在物の個数を100mm2当たり
2個以下に抑えれば、例えば中村式回転曲げ疲労試験で
の折損率が著しく低下し、卓越した疲労強度を示すもの
になることが確認された。ここで圧延線材の直径を3〜
10mmの範囲としたのは、ばね用に供せられる鋼線材
の直径は該範囲のものが一般的あり、しかもばね用鋼線
としての性能評価は、ばねへのコイリング工程前で的確
に評価できるからである。
【0015】上記特性を備えたばね用鋼線は、C:0.
4〜1.3%、Si:0.1〜2.5%、Mn:0.1
〜1.2%を基本成分とし、Alは0.10%を超えな
い範囲に抑制し、更に介在物中の平均CaO濃度を25
%以下、好ましくは20%以下、更に好ましくは15%
以下に抑えた鋼を使用し、これをVAR法により1回以
上溶解精錬して得た鋼塊を圧延することによって得るこ
とができる。ここで用いる鋼材として、Ni:1%以
下、Cu:1%以下、Cr:2.5%以下、Mo:1%
以下、およびV:0.5%以下よりなる群から選ばれる
少なくとも1種を選択元素として含む鋼材を使用すれ
ば、得られるばね用鋼線は、疲労特性に加えて強度や靭
・延性にも優れたものとなるので好ましい。
【0016】まず、本発明で鋼材の基本組成を定めた理
由を説明する。
【0017】C:0.4〜1.3% Cは強度の向上に有用な元素であり、その作用をばね用
鋼として有効に発揮させるには、0.4%以上、より好
ましくは0.5%以上含有させることが望ましい。しか
し、C量が多くなり過ぎると鋼が脆化して靱性が損なわ
れるので、1.3%以下、より好ましくは1.0%以下
に抑えるのがよい。
【0018】Si:0.1〜2.5% Siは脱酸剤として必要な元素であり、少なくとも0.
1%以上、好ましくは0.2%以上含有させることが好
ましい。但しSi含量が多過ぎると、脱酸生成物として
生成するSiO2の量が多くなり過ぎて疲労破壊の起点
となるため、2.5%以下、より好ましくは2.2%以
下に抑えることが望ましい。
【0019】Mn:0.1〜1.2% Mnは脱酸に有効に作用する他、疲労特性に悪影響を及
ぼす鋼中のSを固定してその悪影響を阻止する上でも重
要な元素であり、0.1%以上、より好ましくは0.2
%以上含有させることが好ましい。但し、Mn含量が多
過ぎると熱間圧延時の焼入れ性が増大し、金属組織が靭
・延性を欠くベイナイトやマルテンサイト組織になる可
能性が高まり、伸線性が劣化するばかりでなくばね用鋼
線としての靱・延性も低下してくるので、1.2%以
下、より好ましくは1.0%以下に抑えることが望まし
い。
【0020】次に、VAR処理に供される母鋼材に含ま
れるA1量の上限を定めた理由は次の通りである。通
常、脱酸剤としてA1を添加していない鋼材中に含まれ
る酸化物系介在物の主成分はSiO2であり、一方、脱
酸剤としてA1を用いた鋼材中の介在物の主成分はA1
23であるが、これらの鋼材を母材としてVAR精錬す
ると、SiO2もA123もVAR処理による高減圧
(例えば、約10pa)条件下で、下記の反応により還
元される。
【0021】 SiO2+2C→Si+2CO……(1) A123+3C→2A1+3CO……(2) 本発明者らは、A1を添加していない鋼材と、Al添加
により脱酸を行なった鋼材を母材としてVAR精錬を行
ない、VAR処理前後における鋼塊の単位断面に現れる
介在物の面積比率と介在物組成を測定することによっ
て、SiO2、A123およびCaOの還元率を調べた
ところ、図2に示す結果を得た。なお還元率は下記
(3)式によって求めた。
【0022】 還元率(%)=100−100×[VAR後の介在物面積×(介在物中の SiO2、A123またはCaOの濃度)]/[VAR前の母材中の介在物 面積×(介在物中のSiO2、A123またはCaOの濃度)]……(3) 図2からも明らかな様に、脱酸剤としてA1を添加しな
かった鋼材でも又A1を添加した鋼材でも、Al含量が
少ない場合は、VAR処理前後におけるSiO 2の還元
率には殆ど差が認められず、且つ殆どが還元されること
を確認できる。しかし、Al23含量についてはその傾
向がやや異なり、鋼材中のAl含量が比較的少ない場合
は、VAR処理によってAl23の殆どが還元される
が、鋼材中のAl含量が相対的に多くなると、相当量の
Al23が未還元状態で鋼中に残存してくる。
【0023】そして図2の結果からすると、VAR処理
に付される鋼材中のAl含量を0.10%レベル以下に
抑えてやれば、VAR処理時のAl23還元率を充分高
レベルに保つことができ、処理後のAl23量は十分に
低減できると判断される。よって本発明を実施するに当
たっては、VAR処理に供される母鋼材中のAl含量は
0.10%以下に抑えることが望ましい。
【0024】なおVAR精錬は、1回のみの実施で充分
にその目的を果たすことができるが、前記(1),
(2)式の反応をさらに右方向に進め、酸化物系介在物
であるSiO2,Al23およびCaOの還元を促進さ
せるため、2回以上実施することも有効である。
【0025】次に、VAR処理に供される母鋼材中に存
在する介在物中の平均CaO濃度を定めた理由は次の通
りである。まず第1の理由は、上記図2でも明かにした
通り、酸化物系介在物の中でCaOはSiO2,A12
3に比べて還元率が低く、VAR処理後も一部は酸化物
として残存し易い。従って、VAR精練による低減の期
待が少ないCaOについては、被処理母鋼材そのものか
ら介在物中のCaO含量を低減しておくことが望ましい
からである。
【0026】他方、本発明者らが別途確認したところで
は、VAR精錬に供される母鋼材に含まれる介在物中の
平均CaO濃度と、VAR精錬の有無による鋼線材中に
生じる介在物の面積減少率の間には、図3に示す様な関
係を有することが確認された。即ち、この図からも明ら
かな様に、VAR精錬の有無による介在物の面積減少率
は、VAR被処理母鋼材に含まれる介在物中の平均Ca
O濃度によって著しく変わり、該平均CaO濃度が25
%を超える場合は、VAR精錬による介在物の面積減少
率で85%未満の値しか得られないが、該平均CaO濃
度を25%レベル以下に低減してやれば、介在物の面積
減少率を安定して85%以上に高めることができ、同濃
度を20%以下、更に好ましくは15%以下に抑えてや
れば、VAR精錬による前記面積減少率で95%以上の
高い値を確保できることが分かる。
【0027】この様に介在物中のCaO濃度によってV
AR精錬の有無による介在物の面積減少率が顕著に変わ
ってくるのは、介在物中のCaOがSiO2やAl23
の還元にも影響を及ぼし、CaO濃度が高まるとVAR
精錬時の還元効率が低下し、ひいては酸化物系介在物低
減作用が著しく損なわれるためと考えられる。
【0028】これらのことから、本発明によりVAR精
錬後の酸化物系介在物量を極力低減して疲労特性を高め
るには、VAR精錬に供される被処理母鋼材に含まれる
酸化物系介在物中の平均CaO濃度を極力低減し、好ま
しくは25%以下、更に好ましくは20%以下、特に好
ましくは15%以下に抑えておくことが望ましい。な
お、該介在物中の平均CaO濃度を低減するための手段
は特に制限されないが、一般的な方法としては、溶鋼精
練時のスラグ中CaO濃度を低下させる方法、溶鋼脱酸
にAlを用いて介在物中のAl23濃度を高める方法な
どが例示される。
【0029】次に、鋼材中への含有が許容される選択元
素の種類と含有率を定めた理由について説明する。
【0030】Ni:1%以下、Cu:1%以下、Cr:
2.5%以下、Mo:1%以下、およびV:0.5%以
下よりなる群より選ばれる1種以上 Niは、ばね用鋼線の強度上昇にはあまり関与しない
が、靱性を高める作用を有している。しかしその効果は
約1%で飽和するので、それ以上に含有量を増やすこと
は経済的に不利益を招くだけである。
【0031】Cuは、析出硬化作用によって鋼線の高強
度化に寄与する元素である。しかし過剰に添加すると結
晶粒界に偏析し、鋼材の熱間圧延工程で割れやキズを発
生させる原因になるので、1%以下、より好ましくは
0.8%以下に抑えるべきである。
【0032】Crは、Cの活量を低下させ熱処理時の脱
炭防止に有効に作用する。しかし、多量に含有させ過ぎ
ると、Mnと同様に熱処理時の焼入れ性が増大して靱・
延性を劣化させるので、2.5%以下、より好ましくは
2.0%以下に抑えるべきである。
【0033】Moは、焼入れ性を高めてばね用鋼の高強
度化に寄与する元素であるが、多過ぎると靱・延性を極
端に悪化させるので、1%以下、より好ましくは0.8
%以下に抑えるべきである。
【0034】Vは、焼入れ・焼戻し等の熱処理時におけ
る結晶粒の微細化に寄与し、靱・延性の向上に有効に作
用する。しかし多過ぎると、焼入れ加熱時に粗大な炭化
物が生成して靱・延性を却って低下させ、疲労特性にも
悪影響を及ぼすようになるので、0.5%以下、より好
ましくは0.4%以下に抑えなければならない。
【0035】本発明に係る残部成分は実質的にFeであ
るが、P、Sなどの不可避的不純物の混入は勿論許容さ
れるし、必要によっては、前述した本発明の作用効果を
阻害しない範囲で延性向上効果を有するCoなど、結晶
粒微細化効果を有するTi,Nbなど、を少量含有する
ものであっても構わない。
【0036】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるわけではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更して実施することも可能であり、それら
はいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0037】実施例 VAR精錬に供する鋼材として、一般的に知られている
転炉→取鍋加熱精錬→連続鋳造工程によりばね用として
製造された鋼塊を用いた。鋼塊の成分調整は取鍋精錬段
階で行ない、また、介在物中の平均CaO濃度の調整
は、取鍋加熱精錬時に用いるCaO−SiO2系スラグ
のCaO濃度を増減することにより行なった。具体的に
は、ウォラステナイト(CaO・SiO2)を基本スラ
グ組成とし、CaO濃度を高める場合には、主成分がC
aOである焼石灰を追加し、またCaO濃度を低くする
場合は、主成分がSiO2である珪石を追加した。表1
に、VAR精錬に供する前の鋼材の成分と介在物中の平
均CaO濃度を示す。
【0038】
【表1】
【0039】上記各鋼材の一部を使用し、機械加工によ
ってVAR用消耗電極1.5〜2.1トン(直径340
〜360mm×長さ2300〜2700mm)を作製
し、それぞれについてVAR精錬を行なった後、得られ
たVAR鋳塊を熱間圧延して直径5.5mmの鋼線材と
し、660℃で低温焼鈍を行なった後、直径4.8mm
にまで冷間伸線した。また比較用として、VAR精錬を
行なわなかった鋼材についても同様に熱間圧延、低温焼
鈍および冷間伸線を行ない、直径4.8mmの鋼線材を
得た。得られた直径4.8mmの各線材から、断面介在
物観察用のサンプルを採取した。
【0040】なお上記介在物の組成定量には、島津製作
所製の「EPMA−8705」を使用し、加速電圧20
kV、試料電流0.01μAで特性X線の波長分散分光
により介在物中央部の定量解析を行なった。また介在物
のサイズと個数は、組成定量と同時に上記EPMAに付
帯する走査型電子顕微鏡によって観察し、単位断面当た
りに存在する幅方向サイズが5μm以上の介在物個数を
求めた。なお定量対象元素はAl,Mn,Si,Mg,
Ca,Zr,O,Sである。
【0041】これら各元素濃度が既知の物質を標準試料
とし、X線強度と元素濃度との関係を検量線として予め
作成しておき、観察対象介在物から得たX線強度から各
元素の濃度を定量した。更に、各元素がA123,Mn
O,SiO2,MgO,CaO,ZrO2,Sの形で存在
すると仮定し、EPMAによって分析された各元素濃度
から、介在物中のA123,MnO,SiO2,Mg
O,CaO,ZrO2,Sの構成比を算出した。
【0042】また、上記で得た直径4.8mmの各鋼線
材について、オイルテンパー処理→歪取焼鈍→ショット
ピーニング処理→再度の歪取焼鈍を施した後、中村式回
転曲げ疲労試験機を用いて折損率を評価した。該疲労試
験の条件は、試験片長さ;650mm、試験片本数;3
0〜50本、試験荷重;95.8kgf/mm2、回転
速度;4500rpm、試験中止回転数;2×107
とした。また、折損率は下記(4)式により算出した。
【0043】破損率=[折損本数/全ての供試験片本
数]×100(%)……(4)表2に、VAR精錬で得
た鋼線材の成分、断面に観察される長さ5μm以上の介
在物個数、および中村式回転曲げ疲労試験による折損率
を示す。なお、VAR精錬に供さなかった非処理鋼塊を
使用し、上記と同様にして得た鋼線材の介在物個数と折
損率については、表1に示した。
【0044】
【表2】
【0045】表1および表2から次のように考察でき
る。No.1〜7は、本発明の規定要件を満たす実施例
であり、VAR精錬を実施することによって粗大な酸化
物系介在物個数が少なくなり、優れた疲労強度のものが
得られている。これらに対し、No.8〜11は、母鋼
材成分と母鋼材中介在物の平均CaO濃度のうち、いず
れかが本発明の規定要件を外れており、VAR精錬を施
すことで酸化物系介在物個数は減少しているが、折損率
は比較的高くて疲労強度が乏しい。
【0046】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、A
1濃度および介在物の平均CaO濃度を規定した鋼材を
VAR精錬に供することにより、鋼線材中の酸化物系介
在物を極少化することができ、優れた疲労強度を有する
ばね用鋼線を提供し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ばね用鋼線の縦断面に表われる幅方向サイズが
5μm以上の酸化物系介在物の個数と、回転曲げ疲労試
験による折損率との関係を示すグラフである。
【図2】VAR処理前後における鋼塊の単位断面に現れ
る介在物の面積比率と介在物組成から求めたSiO2
A123およびCaOの還元率を示すグラフである。
【図3】VAR精錬に付される母鋼材に含まれる介在物
中の平均CaO濃度と、VAR精錬の有無による鋼線材
中に生じる介在物の面積減少率の関係を示すグラフであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 茨木 信彦 神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会社神 戸製鋼所 神戸製鉄所内 (72)発明者 須田 澄恵 神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会社神 戸製鋼所 神戸製鉄所内 (56)参考文献 特開 平8−225820(JP,A) 特開 平6−212238(JP,A) 特開 平11−199982(JP,A) 特開 平2−107746(JP,A) 特開2000−345232(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21C 7/00 C22B 9/20

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.4〜1.3%、S
    i:0.1〜2.5%、Mn:0.1〜1.2%を含有
    すると共に、Alが0.025〜0.10%である圧延
    鋼線であって、縦断面に観察される酸化物系介在物のう
    ち、幅方向のサイズが5μm以上のものが2個/100
    mm2以下であることを特徴とする高疲労強度ばね用鋼
    線。
  2. 【請求項2】 鋼が、他の元素として、Ni:1%以
    下、Cu:1%以下、Cr:2.5%以下、Mo:1%
    以下、およびV:0.5%以下よりなる群から選ばれる
    少なくとも1種の元素を含むものである請求項1に記載
    のばね用鋼線。
  3. 【請求項3】 質量%で、C:0.4〜1.3%、S
    i:0.1〜2.5%、Mn:0.1〜1.2%を含
    み、Alが0.027〜0.10%であり、鋼中介在物
    中のCaO含有量を低減した鋼材を、真空アーク再溶解
    法により1回以上溶解精錬してから鋳造し、圧延するこ
    とを特徴とする高疲労強度ばね用鋼線の製法。
  4. 【請求項4】 溶解精錬される前記鋼材に含まれる介在
    物中の平均CaO含量を%以下とする請求項3に記載
    の製法。
  5. 【請求項5】 鋼が、他の元素として、Ni:1%以
    下、Cu:1%以下、Cr:2.5%以下、Mo:1%
    以下、およびV:0.5%以下よりなる群から選ばれる
    少なくとも1種の元素を含むものである請求項3または
    4に記載の製法。
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