JP4134223B2 - 疲労特性に優れたSiキルド鋼線材およびばね - Google Patents

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Description

本発明は、疲労特性の優れたSiキルド鋼線材およびこの鋼線材から得られるばねに関するものであり、例えば高強度ばね(弁ばね、クラッチばね)などとしたときに高い疲労特性が発揮でき、こうした特性が要求される自動車用エンジンの弁ばねやクラッチばね、ブレーキばね、更には懸架ばねやスチールコード等の素材として有用なものである。
最近、自動車の軽量化や高出力化の要請が高まるにつれて、エンジンやサスペンション等に使用される弁ばねや懸架ばね等においても高応力設計が指向されている。そのためこれらのばねには、負荷応力の増大に対応するため、耐疲労性や耐へたり性に優れたものが強く望まれている。とりわけ弁ばねについての疲労強度増大の要請は非常に強く、従来鋼の中でも疲労強度に優れているとされているSWOSC−V(JIS G 3566)でも対応が困難になってきている。
高い疲労強度が要求されるばね用線材では、線材中に存在して折損起点となる非金属介在物を極力低減することが必要である。こうした観点から、上記の様な用途に用いられる鋼材としては、上記非金属介在物の存在を極力低減した高清浄鋼が用いられるのが一般的である。また、素材の高強度化が図られるにつれて、非金属介在物に起因する断線、疲労折損の危険性が高まることから、その主要因となる非金属介在物の低減・小型化の要求は一段と厳しいものとなっている。
介在物を無害化(疲労に対して)するための技術として、介在物組成を制御する技術が開示されている。例えば非特許文献1には、弁ばね用鋼では、融点が1400〜1500℃程度よりも低いCaO−Al23−SiO2三成分系介在物に制御すると、疲労破壊の起点とはならず疲労特性が向上することが開示されている。
また特許文献1には、圧延鋼材のL断面において、長さ(l)と幅(d)の比が1/d≦5の非金属介在物の平均組成が、SiO2:20〜60%、MnO:10〜80%に、CaO:50%以下、MgO:15%以下の一方または両方を含むことによって、冷間加工性と疲労特性に優れた清浄度鋼が得られることが示されている。
特許文献2には、圧延鋼材のL断面において、長さ(l)と幅(d)の比が1/d≦5の非金属介在物の平均組成が、SiO2:35〜75%、Al23:30%以下、CaO:50%以下、MgO:25%以下からなるものとすることによって、冷間加工性と疲労特性に優れた清浄度鋼が得られることが示されている。
特許文献3には、介在物中のSiO2:25〜75%、Al23:35%以下、CaO:50%以下、MgO:40%以下の一方あるいは両方含み、MnO:60%以下に制御することで、疲労強度が向上することが開示されている。
特許文献4には、介在物のうち最も融点の高いものの融点を1500℃以下に制御することで、疲労強度が向上することが開示されている。
また特殊な成分を用いた技術では、特許文献5のLi2O組成への介在物制御や、特許文献6の鋼材中にBa,Sr,Ca,Mgを含有させるものがある。
「第182・183回西山記念技術講座」、(社)日本鉄鋼協会編、第131〜134頁 特開昭62−99436号公報 特開昭62−99437号公報 特開昭63−140068号公報 特開平5−320827号公報 特開2005−29888号公報 特開昭63−227748号公報
従来技術では、熱延時の介在物の変形を促進するため、ガラス化しやすい組成へ制御することや、更に変形を促進するため介在物を低融点組成に制御することが記載されている。また、具体的な介在物組成としては、ガラスの安定なSiO2系複合酸化物系が示されている。
従来の方法だけでは、今後の更なる高疲労特性化のニーズに対応できない。また、変形をより促進するために、介在物を更に低融点化させようとして、従来多数報告されているSiO2−Al23−CaO−MgO−MnO等の系で、格段の低融点化をねらっても、これ以上は困難なレベルに達している。
Ba,Sr,Ca,Mg等の成分を規定した従来技術も存在するが、各々の成分の差異または複合化の効果を活用できておらず、その結果現在の高い要求に耐え得る疲労強度を実現できない技術となっている。
尚、非金属介在物のうち、Al23を多く含むものでは、低融点介在物を得ることが困難であることから、こうした線材を得るための鋼材は、Alキルド鋼ではなく、Siを用いて脱酸する所謂「Siキルド鋼」を素材とした線材が用いられるのが一般的である。
本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、介在物を低融点で変形し易くすることで、疲労特性に優れたSiキルド鋼線材、およびこうした鋼線材から得られる疲労特性に優れたばね等を提供することにある。
このような状況下において、本発明者らは、介在物中のSiO2,Al23,MgO,CaO,MnO,BaOをバランス良く制御することによって、介在物の融点を著しく低下させることを見出した。
一般論としては、酸化物の複合化による低融点化は考え得ることである。しかしながら、鋼中介在物として制御できる限られた成分によって、ガラスの安定なSiO2系介在物の融点を低下させることは容易ではなく、具体的な手段はこれまで実現できていなかった。これに対して、本発明者らは、SiO2,Al23,MgO,CaO,MnO,BaOを最適なバランスで制御することで実現できることを見いだしたのである。特に、従来類似と考えられていたBa,Ca,Mgのなかでも、Ba,(Mg+Ca)を夫々制御すること、およびいずれも含有させることが重要である。なおかつ、SiO2系のガラスの安定性に対して複雑な影響を発現するAl(Al23)を適切に制御することによって、著しく疲労強度を向上させることが可能となったのである。
即ち、上記目的を達成し得た本発明のSiキルド鋼線材とは、線材中に存在する酸化物系介在物が、SiO2:30〜90%(「質量%」の意味、以下同じ)、Al23:2〜35%、MgO:35%以下(0%を含まない)、CaO:50%以下(0%を含まない)、MnO:20%以下(0%を含まない)およびBaO:0.2〜20%を夫々含み、且つ(MgO+CaO)の合計含有量が3%以上であり、更に前記の酸化物系介在物の組成を除いた化学成分で、C:1.2%以下(0%を含まない)、Si:1.4〜4.0%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.01%以下(0%を含まない)を夫々含み、残部がFeおよび不可避不純物である点に要旨を有するものである。
上記の各種Siキルド鋼線材においては、線材中に存在する酸化物系介在物が、更にLi2O:0.1〜20%の範囲で含むものも好ましい実施形態である。
本発明のSiキルド鋼線材においては、更に、Cr,Ni,V,Nb,Mo,W,Cu,Ti,Coおよび希土類元素よりなる群から選択される1種以上の元素を含有するものであってもよい。尚、介在物に大きな影響を与えない成分は(例えば、B,Pb,Bi等)、鋼特性向上のために加えても、本発明の効果を発揮するものである。
上記のようなSiキルド鋼線材を用いて、ばねに成形することによって、疲労強度の優れたばねが実現できる。
本発明では、酸化物系介在物の組成を適切に制御する(最適なバランスで複合する)ことにより、低融点且つ熱延時にガラス状態を保たせることによって、熱延時の介在物微細化を促進し、疲労特性に優れたSiキルド鋼線材が実現できた。
熱間圧延時の変形比の大きい線材では、介在物は熱間圧延時に展伸分断させて微細化することが有用であることは知られている。本発明者らは、こうした情況の下で、凝固後の加熱、熱間圧延による介在物形態の変化をも考慮して、ばねの疲労特性を向上させるための個々の介在物の組成と形態について、様々な角度から検討した。その結果、BaO,Al23,SiO2,MgO,CaOおよびMnOの濃度を適切に制御して、酸化物系介在物中の各酸化物成分の割合を適切化するようにすれば、酸化物系介在物の熱延時の変形が著しく促進されて微細化され易くなることを見出した。
従来においても、酸化物系介在物系中の各酸化物の割合を適切にすることは、鋼材の特性向上に有効であることは知られているが(例えば、前記特許文献1〜6)、必ずしも疲労強度が良好になるとは限らず、これらの成分をバランス良く含有させることによって、Siキルド鋼線材の疲労特性が格段に向上し得ることが判明したのである。例えば、CaO−Al23−SiO2三成分系介在物では、一般的に知られている三元系状態図において、三成分が或る組成範囲に低融点領域が存在することが知られているが、いずれかの成分が高くなるような組成では、介在物の融点が却って高くなって、線材の疲労特性が低下することになる。
本発明のSiキルド鋼線材は、線材中に存在する酸化物系介在物の組成を適切に調整した点に特徴を有するものであるが、酸化物系介在物を構成する各酸化物の含有率を定めた理由は次の通りである。
[BaO:0.2〜20%]
BaOは、介在物を複合化し低融点化するためにはなくてはならない成分である。介在物中にBaOを含有させると、ガラスの安定化はあまり低下させずに、低融点化させる効果がある。この効果を発現させるためには、最低でも0.2%のBaOが必要であり、好ましくは1%以上とするのが良い。一方、BaO濃度が高くなり過ぎると反対に介在物の融点が高くなる。従って、BaOは20%以下(好ましくは10%以下)とする必要がある。
[SiO2:30〜90%]
SiO2は、ガラスを安定な介在物とするのに必要不可欠な成分であり、最低でも30%は必要である。一方、SiO2含有量が過剰になり過ぎると、硬質なSiO2結晶相が生成し、熱延時の延伸分断が阻害されるため、90%以下とする必要がある。
[Al23:2〜35%]
Al23は、Siキルド鋼の介在物組成を低融点化する効果がある。また、介在物中のCaO等の濃度が高くなったときに結晶化を抑制する効果もある。これらの効果を発現するためには、2%以上含有させる必要がある。しかしながら、Al23の含有量が高くなり過ぎると、介在物中にAl23結晶が生成し、熱延時の延伸分断が阻害されるため、35%以下とする必要がある。
[MgO:35%以下(0%を含まない)、CaO:50%以下(0%を含まない)、MgO+CaO:合計含有量が3%以上]
MgOおよびCaOは、介在物を最適な複合組成にし、低融点化するために必須の成分である。MgOおよびCaOのいずれも、単独では高融点であるが、SiO2系酸化物の融点を低下させる効果がある。その効果を発現させるためには、いずれか或は合計で3%以上含有させる必要がある。但し、これらの濃度が高くなり過ぎると、介在物の融点が高くなったり、MgO,CaOの結晶が生成したりして、熱延時の延伸分断を阻害する。従って、上限がある。MgOとCaOでは、結晶生成能に差があるので上限は異なり、MgOは35%以下、CaOは50%以下とする。
[MnO:20%以下(0%を含まない)]
MnOは、SiO2系酸化物の融点を低下させる効果があるが、高Si鋼においてあまり高濃度に制御することは現実的でないため、20%以下とした。
本発明のSiキルド鋼線材においては、上記各成分をバランスよく含有させることによって、疲労特性が向上したものとなるが、必要によってLi2Oを含有させることも有用である。Li2Oを含有させる場合の範囲設定理由は次の通りである。
[Li2O:0.1〜20%]
Li2Oは、介在物中の結晶を微細にする効果があり、ガラスを安定でなおかつ低融点に制御した本発明鋼において、万が一結晶が生成した場合にも、結晶を粗大にしない効果がある。従って、Li2Oを含有させることも有用である。こうした作用を発揮させるためには、Li2Oは2%程度以上含有させることが好ましいが、0.1%程度の添加によっても、多少の効果は発揮すると考えられ、低濃度の添加によって少なくとも悪いことは起こらないと推定される。しかしながら、Li2Oの含有量が20%を超えて過剰に含有されてもその効果が飽和する。
上記のように介在物中の各成分割合を適切に調整したSiキルド鋼線材を用いてばね成形することによって、疲労特性に優れたばねが実現できる。
本発明は、ばねの素材として有用なSiキルド鋼線材を想定してなされたものであり、その鋼種については特に限定するものではないが、介在物組成を制御するためには、脱酸成分であるSiやMnを0.1質量%以上含むものであることが好ましい。より好ましくはSi:1.4%以上、更に好ましくは1.9%以上である。但し、これらの成分は、過剰に含有されると、鋼材が脆化しやすくなるので、Siで4.0%以下、Mnで2.0%以下とすべきである。
Alは酸化物系介在物の組成制御を行うために積極的に含有させることも可能であるが、多過ぎると介在物中のAl23濃度が高くなり断線の原因となる粗大Al23が生成する可能性があるので、0.01%以下であることが好ましい。
ばね用鋼としての基本成分であるC含有量については、1.2%以下であることが好ましい。C含有量が1.2%を超えると、鋼材が脆化し、実用的でなくなる。
上記基本成分の他は、Feおよび不可避不純物(例えば0.02%以下のS,0.02%以下のP等)であるが、必要によってCr,Ni,V,Nb,Mo,W,Cu,Ti,Coおよび希土類元素(REM)よりなる群から選択される1種以上を含むものであってもよい。これらを含有させるときの好ましい含有量は、各々の元素によって異なるが、Cr:0.5〜3%、Ni:0.5%以下、V:0.5%以下、Nb:0.1%以下、Mo:0.5%以下、W:0.5%以下、Cu:0.1%以下、Ti:0.1%以下、Co:0.5%以下である。また介在物粘性を下げ、より効果を発揮する元素としてREMを0.05%以下程度添加しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
実験は、実機または実験室レベルで実施した。即ち、実機では転炉で溶製した溶鋼を取鍋に出鋼し(実験室では、転炉から出鋼される溶鋼を模擬した500kgの溶鋼を溶製し)、各種フラックスを添加して成分調整、適宜、電極加熱(およびアルゴンバブリング)を実施し、溶鋼処理(スラグ精錬)を実施した。またCa,Mg,Ce,Ba,Liなどの合金元素を必要に応じて溶鋼処理中に添加した。次いで、該溶鋼を鋳造して鋼塊とした(実験室レベルでは、実機と同等の冷却速度が得られる鋳型にて鋳造した)。得られた鋼塊を鍛造および熱間圧延して直径:8.0mmの鋼線材とした。
得られた各鋼線材について、線材中の酸化物系介在物の組成を測定すると共に、弁ばねを模擬した回転曲げ疲労試験による評価試験を行った。これらの測定方法は、下記の通りである。
[介在物組成(但し、LiO2を除く)]
熱間圧延した各鋼線材のL断面(軸心を含む断面)を研磨し、該研磨断面に存在する酸化物系介在物300個について、EPMA(Electron Probe Microanalyzer)で組成分析を行い、酸化物に換算し、その平均値を求めた。尚、S濃度が5%以下のものを酸化物系介在物とした。このときの、EPMAの測定条件は下記の通りである。
EPMA装置:JXA−8621MX(日本電子株式会社製)
分析装置(EDS):TN−5500(Tracor Northern社製)
加速電圧:20kV
走査電流:5nA
測定方法:エネルギー分散分析で定量分析(粒子全域を測定)
[Li2Oの測定]
介在物中のLi2O濃度はEPMAでは測定できないため、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy:2次イオン質量分析法)による分析法を独自に開発し、下記の手順で測定した。
(1)一次標準試料
1)まず、鋼中介在物のCaO,MgO,Al23,MnO,SiO2,BaO等の各濃度を、EDX、EPMA等によって分析する。
2)Li2Oを除く介在物組成と同組成の合成酸化物と、これらに各種Li2Oを加えた合成酸化物を多数作製し、それらのLi2O濃度を化学分析によって定量分析し、標準試料を作製する。
3)作製した各合成酸化物のSiに対するLiの相対2次イオン強度を測定する。
4)Siに対するLiの相対2次イオン強度と、上記1)で化学分析したLi2O濃度の検量線を引く。
(2)二次標準試料(測定環境補正用)
5)測定時の環境補正用として、別途Siウエハー上にLiイオンをイオン注入した標準試料を作製し、Siに対するLiの相対2次イオン強度を測定し、上記2)を実施する際に補正する。
(3)実際の測定
6)鋼中介在物のSiに対するLiの相対2次イオン強度を測定し、上記4)で求めた検量線によってLi2O濃度を求める。
[疲労強度試験(破断率)]
各熱間圧延線材(直径:8.0mm)について、皮削り(直径:7.4mm)→パテンティング→冷間線引き加工(直径:4mm)→オイルテンパー[油焼入れと鉛浴(約450℃)焼戻し連続工程]にて直径4.0mm×650mmのワイヤを作製した。得られたワイヤについて、歪取焼鈍相当処理(400℃)→ショットピーニング→低温焼鈍を行った後、中村式回転曲げ試験機を用いて、公称応力908MPa、回転数:4000〜5000rpm、中止回数:2×107回で試験を行った。そして、破断したもののうち介在物折損したものについて、下記式により破断率を求めた。
破断率(%)=[介在物折損本数/(介在物折損本数+所定回数に達し中止した本数)]×100
鋼線材の化学成分組成を、溶製時のスラグ組成と共に下記表1に、各鋼線材の介在物組成および疲労特性(破断率)を下記表2に夫々示す。
Figure 0004134223
Figure 0004134223
これらの結果から、次のように考察できる。試験No.1〜4,6,7,10,11,16〜23のものでは、介在物組成が適切に制御されたものとであり、良好な疲労強度が得られていることが分かる。
これに対して、試験No.5,8,9、12〜15のものでは、介在物中の組成が本発明で規定する範囲を外れたものとなっているので、疲労試験結果が良くない。
詳しくは、試験No.5、8では、SiO2,CaOおよびMgOの濃度は適切に制御されているが、Al23濃度が高かったり低かったりして破断率が高くなっている。
試験No.9,12では、SiO2,CaO,MgOおよびAl23の濃度は適切に制御されているが、BaO濃度が高かったり低かったりして破断率が高くなっている。
試験No.13では、SiO2,CaOおよびAl23の濃度は適切に制御されているが、MgO濃度が高すぎて破断率が高くなっている。
試験No.14では、SiO2,MgOおよびAl23の濃度は適切に制御されているが、CaO濃度が高すぎて破断率が高くなっている。
試験No.15では、SiO2,MgO,Al23およびBaO濃度は適切に制御されているが、CaO+MgOの濃度が低く破断率が高くなっている。

Claims (4)

  1. 線材中に存在する酸化物系介在物が、SiO2:30〜90%(「質量%」の意味、以下同じ)、Al23:2〜35%、MgO:35%以下(0%を含まない)、CaO:50%以下(0%を含まない)MnO:20%以下(0%を含まない)およびBaO:0.2〜20%を夫々含み、且つ(MgO+CaO)の合計含有量が3%以上であり、更に前記の酸化物系介在物の組成を除いた化学成分で、C:1.2%以下(0%を含まない)、Si:1.4〜4.0%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.01%以下(0%を含まない)を夫々含み、残部がFeおよび不可避不純物であることを特徴とする疲労特性に優れたSiキルド鋼線材。
  2. 線材中に存在する酸化物系介在物が、更にLi2O:0.1〜20%の範囲で含むものである請求項1に記載のSiキルド鋼線材。
  3. 更に、Cr,Ni,V,Nb,Mo,W,Cu,Ti,Coおよび希土類元素よりなる群から選択される1種以上の元素を含有するものである請求項1または2に記載のSiキルド鋼線材。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のSiキルド鋼線材から得られたものであるばね。
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