JP3912186B2 - 耐疲労特性に優れたばね鋼 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐疲労特性に優れたばね鋼に関し、詳しくは例えば、自動車のエンジン用弁ばねや懸架ばねなどの用途に好適な耐疲労特性に優れたばね鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の軽量化、エンジンの高出力化が進み、これに対処するために、エンジン用弁ばねや懸架ばねに用いられるばね鋼の疲労強度向上に対する要望が大きくなっている。例えば、コイル状に巻いたばねの内径側に存在する表皮下の非金属介在物(以下、「非金属介在物」を単に「介在物」という)が、ばねの疲労破壊の1原因となるため、上記要望に対して、介在物組成を制御して低融点化し、熱間圧延及び冷間伸線時に介在物を微細化して無害化する技術が、特公平7−6037号公報や特許第2687839号公報に開示されている。
【0003】
しかしながら、前記各公報で提案されているような低融点の介在物は、鋼の精錬段階で凝集粗大化する傾向があり、介在物と鋼の間の濡れ性が低い場合には、熱間圧延、冷間伸線の工程を経てもなお微細化されずに残存し、これが起点となってばねが疲労破壊することが想定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、自動車のエンジン用弁ばねや懸架ばねなどの用途に好適な耐疲労特性に優れたばね鋼を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記に示す耐疲労特性に優れたばね鋼にある。
【0006】
すなわち、「質量%で、C:0.45〜0.8%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜1.0%、Cr:0.1〜1.5%、Cu:0〜0.5%、Ni:0〜0.5%、Mo:0〜0.5%、V:0〜0.2%及びNb:0〜0.2%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のPは0.025%以下、Sは0.025%以下、Alは0.0008%以下、Nは0.005%以下、O(酸素)は0.0025%以下で、長手方向縦断面において、幅2.5μm以上の酸化物系介在物の平均組成が質量%で、SiO:75%超、Al:15%未満(0%を除く)、MnO:10%未満(0%を除く)、CaO:10%未満(0%を除く)、MgO:10%未満(0%を除く)で、しかも、これらの総量が100%である耐疲労特性に優れたばね鋼」である。
【0007】
なお、本発明でいう「長手方向縦断面」(以下「L断面」という)とは、鋼材を圧延方向(又は鍛錬軸)に平行にその中心線を通って切断した面をいう。又、介在物の「幅」とは、L断面における圧延方向(又は鍛錬軸)に垂直な方向の最大長さのことを指す。介在物形態が粒形であった場合も、同一定義とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、耐疲労特性に優れたばね鋼を提供することを目的として種々の調査・研究を行った。すなわち、前記した課題を解決するために、ばね鋼中の酸化物系介在物を調整し、耐疲労特性に関して調査・研究を重ねた。その結果、下記(a)及び(b)の知見を得た。
【0009】
(a)溶解原料である合金鉄や耐火物などからばね鋼に不可避的に混入する不純物としてのAlの量を厳しく管理することで、凝集粗大化しやすいAl系介在物の割合を低減することができ、ばね鋼の耐疲労特性を高めることができる。
【0010】
(b)上記(a)のばね鋼に不可避的に混入する不純物としてのAlの量を厳しく管理したうえで、L断面において、幅2.5μm以上の酸化物系介在物の平均組成を質量%で、SiO:75%超、Al:15%未満(0%を除く)、MnO:10%未満(0%を除く)、CaO:10%未満(0%を除く)、MgO:10%未満(0%を除く)で、しかも、これらの総量が100%とすれば、従来、耐疲労特性に悪影響を及ぼす「硬質介在物」として避けられてきた高融点のSiO介在物が、却って疲労破壊の起点となる介在物の発生を防止することになり、耐疲労特性の低下を抑制できる。
【0011】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、成分(組成)含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)鋼の化学組成
C:0.45〜0.8%
Cは、強度を確保するのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.45%未満の場合には、最終製品であるばねに高い強度を付与させることが困難であるため耐疲労特性が低下する。一方、その含有量が0.8%を超えると、靱性の低下が著しくなるので耐疲労特性が低下する。したがって、Cの含有量を0.45〜0.8%とした。なお、Cの含有量は0.5〜0.7%とすることが好ましい。
【0013】
Si:0.1〜2.0%
Siは、脱酸に有効な元素であり、その含有量が0.1%未満ではその効果を発揮させることができない。脱酸効果が十分得られない場合には、介在物個数の増加を招き、耐疲労特性が低下する。一方、2.0%を超えると、パーライト相中のフェライト相の延性が低下して、冷間での加工性の低下をきたすとともに、合金鉄から混入する不純物としてのAlの量も増加して、耐疲労特性の低下を生じさせるAl系介在物を増大させることになる。したがって、Siの含有量を0.1〜2.0%とした。なお、特に合金鉄から混入する不純物としてのAlの量を低減して耐疲労特性を高めるために、Siの含有量の上限は1.7%とすることが好ましい。
【0014】
Mn:0.1〜1.0%
Mnは、脱酸に有効な元素であり、その含有量が0.1%未満ではこの効果を発揮させることができない。脱酸効果が十分得られない場合には、介在物個数の増加を招き、耐疲労特性が低下する。一方、1.0%を超えると、焼入れ性が増大して熱間での加工後にベイナイト相やマルテンサイト相の低温変態生成物が生じて、冷間での加工性の低下をきたすとともに、合金鉄から混入する不純物としてのAlの量も増加して、耐疲労特性の低下を生じさせるAl系介在物を増大させることになる。したがって、Mnの含有量を0.1〜1.0%とした。なお、特に合金鉄から混入する不純物としてのAlの量を低減して耐疲労特性を高めるために、Mnの含有量の上限は0.8%とすることが好ましい。
【0015】
Cr:0.1〜1.5%
Crは、強度を高める作用や脱炭を抑制する作用を有する。しかし、その含有量が0.1%未満では前記効果が得難い。特に、強度が低いことは耐疲労特性の低下につながる。一方、1.5%を超えると、粗大な炭化物が生成して耐疲労特性の低下をきたすとともに、合金鉄から混入する不純物としてのAlの量も増加して、耐疲労特性の低下を生じさせるAl系介在物を増大させることになる。したがって、Crの含有量を0.1〜1.5%とした。なお、特に合金鉄から混入する不純物としてのAlの量を低減して耐疲労特性を高めるために、Crの含有量の上限は0.75%とすることが好ましい。
【0016】
本発明のばね鋼が含有するFeと不純物以外の成分元素は、上記のC、Si、Mn及びCrだけであってもよい。しかし、上記の成分に加え、必要に応じて、Cu、Ni、Mo、V及びNbのいずれか1種以上を選択的に含有させることができる。すなわち、Cu、Ni、Mo、V及びNbの各元素を任意添加元素として添加し、含有させてもよい。
以下、上記の任意添加元素に関して説明する。
【0017】
Cu:0〜0.5%
Cuは、添加すれば、鋼の耐食性を高める作用を有する。この効果を得るには、Cuは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Cuの含有量が0.5%を超えると、熱間加工時に生成したスケールの除去性が低下するし、熱間加工性の低下もきたす。したがって、Cuの含有量を0〜0.5%とした。なお、Cuを添加する場合、その含有量は、0.01〜0.5%とするのがよい。
【0018】
Ni:0〜0.5%
Niは、添加すれば、フェライト中に固溶してフェライトの靱性を高める作用を有する。この効果を得るには、Niは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Niの含有量が0.5%を超えるとコストが嵩み経済的に不利となる。したがって、Niの含有量を0〜0.5%とした。なお、添加する場合のNiの含有量は、0.01〜0.5%とするのがよい。
【0019】
Mo:0〜0.5%
Moは、添加すれば、鋼の焼入れ性を高めるとともに熱処理で微細な炭化物として析出して強度を高める作用がある。これらの効果を得るには、Moは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Moの含有量が0.5%を超えると、焼入れ性が大きくなりすぎて熱間での加工後にベイナイト相やマルテンサイト相の低温変態生成物が生じて、冷間での加工性の低下をきたす。したがって、Moの含有量を0〜0.5%とした。なお、Moを添加する場合、その含有量は、0.01〜0.5%とするのがよい。
【0020】
V:0〜0.2%及びNb:0〜0.2%
V及びNbは、添加すれば、いずれもオーステナイト結晶粒を微細化して靱性を高める作用を有する。更に、微細な炭化物として析出して強度を高める作用も有する。これらの効果を得るには、VとNbのいずれについても0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、いずれの元素も0.2%を超えて含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、V及びNbの含有量をいずれも0〜0.2%とした。なお、これらの元素を添加する場合、Vの含有量は、0.005〜0.2%とするのがよく、Nbの含有量も、0.005〜0.2%とするのがよい。なお、これらの元素はいずれか1種のみ又は2種の複合で添加することができる。
【0021】
以下、不純物元素に関して説明する。
【0022】
P、S、Al、N及びO(酸素)は、ばね鋼中に不純物として含まれ、靱性、延性や耐疲労特性に有害である。以下、各不純物元素について述べる。
【0023】
P:0.025%以下
Pは、ばね鋼の偏析を助長するとともに靱性の低下を招く。特に、その含有量が0.025%を超えると、ばね鋼の偏析が著しくなるし、靱性の低下も著しくなるため耐疲労特性が低下する。したがって、不純物としてのPの含有量を0.025%以下とした。なお、Pの含有量は0.020%以下とすることが好ましい。
【0024】
S:0.025%以下
Sは、鋼中で硫化物を形成して耐疲労特性を低下させてしまう。特に、その含有量が0.025%を超えると、耐疲労特性の低下が著しくなる。したがって、不純物としてのSの含有量を0.025%以下とした。なお、Sの含有量は0.015%以下とすることが好ましい。
【0025】
Al:0.0008%以下
Alは、凝集粗大化しやすいAl系介在物の生成主体となる元素で、耐疲労特性を低下させてしまう。特に、その含有量が0.0008%を超えると耐疲労特性の劣化が大きくなる。したがって、不純物としてのAlの含有量を0.0008%以下とした。なお、不純物としてのAlの含有量は、0.0005%以下とすることが好ましい。
【0026】
N:0.005%以下
Nは、歪時効によって延性を低下させる。特に、本発明のばね鋼においては、Alの含有量を0.0008%以下に抑えているため、Nの含有量が0.005%を超えると歪時効による延性の低下が極めて著しくなり、耐疲労特性が低下する。したがって、不純物としてのNの含有量を0.005%以下とした。なお、Nの含有量は0.003%以下とすることが好ましい。
【0027】
O(酸素):0.0025%以下
Oの含有量が0.0025%を超えると酸化物系介在物の個数と幅が増大し、耐疲労特性が著しく低下する。このため、不純物としてのOの含有量を0.0025%以下とした。なお、Oの含有量は0.0015%以下とすることが好ましい。
(B)酸化物系介在物の幅
L断面における幅2.5μm未満の酸化物系介在物が耐疲労特性に及ぼす影響は小さい。更に、上記した幅2.5μm未満の介在物は微小であるため、EPMA法など物理的な分析方法で組成分析を行うとマトリックス部が含まれてしまう場合があり、精度よく測定を行うことが困難である。したがって、L断面における酸化物系介在物の幅を2.5μm以上とした。
(C)L断面における幅2.5μm以上の酸化物系介在物の平均組成
ばね鋼に混入する不純物としてのAlの量(含有量)を0.0008%以下に抑えたうえで、L断面における幅2.5μm以上の酸化物系介在物の平均組成(以下、単に「平均組成」という)を既に述べたSiO:75%超、Al:15%未満(0%を除く)、CaO:10%未満(0%を除く)、MnO:10%未満(0%を除く)、MgO:10%未満(0%を除く)で、しかも、これらの総量を100%に規定することで、高融点のSiO介在物が却って疲労破壊の起点となる介在物の発生を防止することになり、従来提案されている技術のように低融点化を図らなくとも、耐疲労特性の低下を抑制できる。
【0028】
本発明においては、溶鋼段階でのAlの含有量を厳しく管理して介在物の凝集粗大化の起点となりやすいAlの生成を抑制することと、疲労破壊の起点となる介在物の発生を防止する高融点のSiO の作用を利用することが極めて重要である。
【0029】
すなわち、「平均組成」におけるAlの量を15%未満(0%を除く)、SiOの量を75%超として、これらを前記した量のMnO、CaO及びMgOと複合して存在させることで初めて、介在物の凝集粗大化が生じなくなって、耐疲労特性の低下を防止することができる。逆に言えば、「平均組成」におけるAlの量が15%以上の場合には、これを起点とした介在物の凝集粗大化が極めて容易に生じ、凝集粗大化した介在物が疲労破壊の起点となってしまう。又、「平均組成」におけるSiOの量が75%以下の場合には、SiOの作用としての疲労破壊の起点となる介在物の発生を防止する効果が得難く、介在物の凝集粗大化が容易に生じ、やはり凝集粗大化した介在物が疲労破壊の起点となってしまう。
【0030】
したがって、「平均組成」におけるSiOの量を75%超、Alの量を15%未満(0%を除く)とした。
【0031】
なお、「平均組成」におけるAlの量は10%以下(0%を除く)であることが好ましく、8%以下(0%を除く)であれば一層好ましい。
【0032】
「平均組成」におけるMnOの量が10%以上の場合には、低級酸化物の増加により耐疲労特性の低下が生じる。したがって、「平均組成」におけるMnOの量を10%未満(0%を除く)とした。なお、「平均組成」におけるMnOの量は8%以下(0%を除く)であることが好ましく、5%以下(0%を除く)であれば一層好ましい。
【0033】
又、CaOとMgOは、耐火物やスラグから不可避的に混入するが、これらが多量に存在すると、疲労強度の改善に悪影響を及ぼすため、「平均組成」におけるCaOとMgOの量をいずれも10%未満(0%を除く)とした。
【0034】
なお、「平均組成」におけるCaOの量は8%以下(0%を除く)であることが好ましく、5%以下(0%を除く)であれば一層好ましい。又、「平均組成」におけるMgOの量も8%以下(0%を除く)であることが好ましく、5%以下(0%を除く)であれば一層好ましい。
【0035】
本発明の耐疲労特性に優れたばね鋼は、「平均組成」を上記のように規定することによって、すなわち、質量%で、SiO :75%超、Al :15%未満(0%を除く)、MnO:10%未満(0%を除く)、CaO:10%未満(0%を除く)、MgO:10%未満(0%を除く)で、しかも、これらの総量が100%と規定することによって得られる。
【0036】
酸化物系介在物の組成を精度よく短時間で容易に測定するためには、例えば、鋼材から採取した試験片を鏡面研磨し、その研磨面を被検面としてEPMA装置で分析すればよい。
(D)ばね鋼の溶製方法及び鋳造方法
本発明に係るばね鋼は、「転炉による1次精錬−2次精錬−連続鋳造」のプロセスで鋼塊にするのがよい。転炉溶製及び2次精錬の工程は、鋼中の不純物元素の低減に極めて有効で、更に、連続鋳造することによって製造コストを比較的低く抑えることができるからである。
【0037】
なお、「2次精錬」とは、ガスバブリングやアーク式加熱方式などを有するとりべ精錬法、真空処理装置を使用する精錬法といった「清浄化のための転炉外での精錬法」で通常「炉外精錬」と称されるものを指す。
(E)ばねへの加工
本発明に係るばね鋼をばねにするための加工方法は特に規定する必要はなく、例えば、上記(D)項で述べた方法で製造した鋼塊を通常行われている熱間圧延や熱間鍛造の方法で鋼材にし、これを素材として通常の加工方法で所定のばねに加工すればよい。
【0038】
以下、実施例により本発明の効果を更に具体的に説明する。
【0039】
【実施例】
表1〜5に示す化学組成を有する鋼のうち鋼B9及び鋼B10を除いたものについて、溶銑予備処理によって溶銑中のP及びSの含有量を低減した後、70トン転炉にて脱炭処理し、次いで、Alの含有量を3%以下とした耐火物で内張りされた取鍋に出鋼し、成分調整を実施した。なお、投入する合金鉄から混入する金属Alの総量は、溶鋼1トン当たり10g以下に規制した。
【0040】
鋼B9及び鋼B10については、溶銑予備処理を施さずに脱炭処理し、上記の処理を行った。
【0041】
次いで、炉外精錬設備にて2次精錬を実施し、処理中のスラグはスラグ更新により塩基度(つまり、CaO/SiO 比)を1.2以下に制御して、介在物の組成制御を行い、ブルーム連鋳機による鋼塊製造、分塊圧延によるビレット製造の工程を経て、通常の方法で直径8mmの線材に、圧延温度及び冷却速度を調整しつつ熱間圧延した。なお、表1〜3における鋼A1〜A48は本発明例に係る鋼、表4及び表5における鋼B1〜B18は比較例に係る鋼である。
【0042】
【表1】
Figure 0003912186
【0043】
【表2】
Figure 0003912186
【0044】
【表3】
Figure 0003912186
【0045】
【表4】
Figure 0003912186
【0046】
【表5】
Figure 0003912186
【0047】
上記の直径8mmの各線材から切り出したサンプルのL断面を鏡面研磨し、その研磨面の表面から2mmまでの領域を被検面としてEPMA装置で分析して幅が2.5μm以上の酸化物系介在物の組成を測定した。
【0048】
表6〜8に上記の測定結果を示す。
【0049】
上記の直径8mmに熱間圧延した各線材は、次に通常の方法で冷間伸線加工して、直径4mmの鋼線に仕上げた。この後、900℃の鉛浴でオーステナイト化してから油焼入れし、更に焼戻しして、ロックウェルC換算硬さで53±2に仕上げた。
【0050】
上記のようにして得た直径4mmの鋼線を200mmに切断して、中村式回転曲げ疲労試験を行って耐疲労特性を調査した。なお、試験応力は750MPaとした。
【0051】
表6〜8に、上記の中村式回転曲げ疲労試験結果を併せて示す。
【0052】
【表6】
Figure 0003912186
【0053】
【表7】
Figure 0003912186
【0054】
【表8】
Figure 0003912186
【0055】
表6〜8から、本発明例に係る鋼A1〜A48の場合には、中村式回転曲げ疲労試験で、繰返し数1000万回でも破壊に到らず、比較例に係る鋼B1〜B18に比べて高い疲労強度を有していることが明らかである。
【0056】
【発明の効果】
本発明のばね鋼は耐疲労特性に優れるので、これを素材として自動車のエンジン用弁ばねや懸架ばねなどを提供することができ、したがって、自動車の軽量化、エンジンの高出力化に対処することが可能である。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.45〜0.8%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜1.0%、Cr:0.1〜1.5%、Cu:0〜0.5%、Ni:0〜0.5%、Mo:0〜0.5%、V:0〜0.2%及びNb:0〜0.2%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のPは0.025%以下、Sは0.025%以下、Alは0.0008%以下、Nは0.005%以下、O(酸素)は0.0025%以下で、長手方向縦断面において、幅2.5μm以上の酸化物系介在物の平均組成が質量%で、SiO:75%超、Al:15%未満(0%を除く)、MnO:10%未満(0%を除く)、CaO:10%未満(0%を除く)、MgO:10%未満(0%を除く)で、しかも、これらの総量が100%である耐疲労特性に優れたばね鋼。
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