JP2001105330A - マルチ砥石およびこれに使用する砥石単板 - Google Patents

マルチ砥石およびこれに使用する砥石単板

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JP2001105330A
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Masaaki Nomura
正明 野村
Masahide Takahashi
雅秀 高橋
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ADAMAS KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加工精度が高く、かつ、保守性にも優れたマル
チ砥石およびこれに使用する砥石単板の提供を目的とす
る。 【解決手段】板状基体1の外周に切削砥粒を固着して切
削刃2を形成した砥石単板3の複数を板状基体1の側面
を互いに当接させてスピンドル4への固定ブロック5に
所定ピッチで分離可能に並設するとともに、各砥石単板
3の切削刃2の厚さを板状基体1の厚みより狭くして、
板状基体1の厚さに等しいピッチでの被削物への加工を
可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマルチ砥石、および
これに使用する砥石単板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】表面に薄膜プロセスにより磁気ヘッドを
形成したウエハを個片に分離して磁気ヘッドスライダを
製造する際に使用されるマルチ砥石の従来例を図3に示
す。この従来例において、砥石は加工機本体のスピンド
ル4に固定される固定ブロック5に複数枚の砥石単板3
を固定して形成される。各砥石単板3は硬質で薄肉の板
状基体1の外周に研削砥粒を固着して研削刃2が形成さ
れ、研削刃2間の間隔d2を上記個片の寸法、あるいは
その整数倍の寸法に合致させるために、砥石単板3の間
にはスペーサ7が介装される。
【0003】しかし上述した従来例において、砥石単板
3は矩形状断面をなして研削刃2と板状基体1との幅寸
法wは同一であるために、切断代を狭くするために研削
刃2の幅を狭くすると、板状基体1の幅も狭くする必要
があり、回転させた際に振れが発生しやすくなる。とり
わけ、磁気ヘッドスライダのような微小部品では切断代
も例えば0.15mm程度と小さいために、加工精度の
向上に限界がある。
【0004】かかる問題を解決するためには、図4に示
すように、筒状基体1’の外周に複数枚の研削刃2を形
成したマルチ砥石も提案されているが、この場合には、
1枚の研削刃2が破損してもマルチ砥石全体を交換する
必要が生じるために、保守性に難がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の欠点
を解消すべくなされたものであって、加工精度が高く、
かつ、保守性にも優れたマルチ砥石およびこれに使用す
る砥石単板の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば上記目的
は、板状基体1の外周に研削砥粒を固着して研削刃2を
形成した砥石単板3の複数を板状基体1の側面を互いに
当接させてスピンドル4への固定ブロック5に所定ピッ
チで分離可能に並設するとともに、各砥石単板3の研削
刃2の厚さを板状基体1の厚みより狭くして、板状基体
1の厚さに等しいピッチでの被削物への加工を可能にし
たマルチ砥石を提供することにより達成される。
【0007】マルチ砥石は固定ブロック5を介して複数
の砥石単板3を連結した構造体であり、固定ブロック5
を加工機本体のスピンドル4に装着して使用される。各
砥石単板3は固定ブロック5に対して取り外し可能であ
り、いずれかの砥石単板3の研削刃2が破損した際に
は、当該砥石単板3のみを取り替えることができるた
め、保守性が向上する。
【0008】また、砥石単板3は所定厚、正確には被削
物への切断、あるいは溝入れのピッチ寸法に一致する板
厚により形成される板状基体1の外周に研削砥粒を固着
させて研削刃2を形成したもので、研削刃2は先端を幅
狭にして被削物の切断代のみへの加工を可能にする。こ
の結果、砥石単板3が高速回転されても、板状基体1が
所定の剛性を有するために、波打ち、あるいは振れの発
生がなく、加工精度を向上させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1、2に本発明の実施の形態を
示す。この実施の形態は、磁気ヘッドが形成されたウエ
ハを個片に分離する際に使用されるマルチ砥石を示すも
ので、加工機本体のスピンドル4に固定される固定ブロ
ック5と、複数枚の砥石単板3とを有する。固定ブロッ
ク5はスピンドル4側にフランジ5aを有する筒形状を
なし、中心部にはスピンドル4先端のテーパに傾きが一
致する錐面を周壁とする嵌合穴5bが設けられる。嵌合
穴5bには、ボルト挿通穴5cとボルト頭部収容凹部5
dが表面側に向けて連設され、嵌合穴5bをスピンドル
4のテーパに外嵌させた後、締結ボルト8を締め付ける
ことによりスピンドル4に固定される。また、上記固定
ブロック5のフランジ5aと反対端には雄ネジ部5eが
形成される。
【0010】砥石単板3は、固定ブロック5の胴部5f
に外嵌可能な挿通穴6を中心に有する外周が円形のドー
ナツ形状の板体からなる板状基体1の外周に研削刃2を
備える。平板状の板状基体1はSK材等の硬質材料によ
り形成され、板厚t1は被削材への溝入れ、あるいは切
断ピッチに一致するように調整される。
【0011】研削刃2は研削砥粒を適宜の結合剤を介し
て板状基体1の外周に固着して形成される。研削砥粒に
は、ダイヤモンド粉体、CBN等の超砥粒を利用でき、
磁気ヘッドが膜形成されたセラミック基板の切断、ある
いは溝入れ加工に使用されるこの実施の形態において
は、粒径4〜30μm、望ましくは6〜12μm、集中
度25〜100%、望ましくは75%程度のダイヤモン
ド粉体の使用が望ましい。また、結合剤には、Cu-S
n系合金からなるメタルボンド、あるいは導電性を有す
るレジンを使用できる。
【0012】砥石単板3の製造に際しては、まず、図2
(a)、(b)に示すように、板状基体1の外周に、該
板状基体1の厚さt1とほぼ等しい厚さで上記研削砥粒
を固着させて砥粒層9を形成する。後述するように、板
状基体1の厚さt1は加工ピッチを決定する要素であ
り、この実施の形態において、0.9mm程度とされ
る。砥粒層9の膜厚(径方向の寸法h9)は後述する研
削刃2の高さにより適宜決定され、ストレート部2aの
長さhsを1.5mmに設定したこの実施の形態におい
て、倍の3mm程度に形成される。
【0013】砥石単板3は、以上のように形成された単
板素材10の砥粒層9に加工を施して、研削刃2を形成
することにより行われる。研削刃2は砥粒層9に基部2
bを残留させ、先端を適宜の手段により幅狭にすること
により行われ、加工手段としては、ワイヤカット放電加
工、あるいは放電加工が使用できる。この実施の形態に
おいて、研削刃2は刃厚中心線c2に対して対称形状に
形成され、先端部に側壁が平行平面であるストレート部
2aが形成される。図示の例においてストレート部2a
の先端(刃先)は直線状とされているが、中心が外方に
突出するV字形状、あるいは円弧形状にすることができ
る。また、ストレート部2aと基部2bとの境界は、該
境界部への応力集中を避け、かつ、研削液が刃先から基
部2b側に速やかに逃げる形状に形成され、図示の例で
は傾斜面とされている。さらに、この実施の形態におい
て、刃厚中心線c2と板状基体1の厚さ方向中心線c1
は一致しており、固定ブロック5への挿入が表裏いずれ
を挿入先頭面として行われても加工ピッチが一定するよ
うに配慮される。
【0014】研削刃2の実質刃高を決定するストレート
部2aの高さhsは加工深さにより適宜決定されるが、
この実施の形態においては上述したように1.5mm程
度に設定される。また、ストレート部2aの幅(刃厚w
2)は被削物に対する加工幅を決定し、板状基体1の厚
さからストレート部2aの幅を引いた寸法が被削物の加
工後の寸法となる。
【0015】以上のようにして製造された砥石単板3
は、中央の挿通穴6を固定ブロック5の胴部5fに外嵌
して装着された後、固定ブロック5に筒状のカラー11
を装着し、次いで、雄ネジ部5eに締め付けナット12
を締結して固定される(図1参照)。固定状態におい
て、各砥石単板3の研削刃2の先端はスピンドル4の回
転中心に対して同心で、かつ、スピンドル4の回転軸線
に沿って配置される。また、この状態で研削刃2の刃厚
中心線c2間のピッチp2は板状基体1の板厚t1に一
致する。さらに、加工機本体側の砥石単板3が固定ブロ
ック5のフランジ5aに圧接し、反対端の砥石単板3が
カラー11に押し付けられることによりぐらつきが防止
されて強固に固定され、締め付けナット12を緩めるこ
とにより所望の砥石単板3を取り外すことができる。必
要であれば、固定ブロック5への砥石単板3の組み付け
状態において、研削刃2にさらに加工を加えて、寸法調
整を行うこともできる。
【0016】なお、以上の説明においては、マルチ砥石
の各砥石単板3の研削刃2はすべて同一仕様に形成され
ているが、研削砥粒粒度、刃厚w2、刃高hs、あるい
は砥粒の材質等の異なった複数種の砥石単板3を組み合
わせてマルチ砥石を構成することもできる。この場合、
例えば、粒度の粗い研削刃2を備えた砥石単板3の複数
枚を連設し、これに続けて粒度の細かな研削刃2を備え
た砥石単板3を連設しておくと、まず、粒度の粗い砥石
単板3により切削対象物を粗研削を行った後、所定寸法
送りをかけて粒度の細かな砥石単板3を当該研削部位に
対応させてさらに仕上げ研削を行うことができる。ま
た、以上の説明においては、磁気ヘッドスライダを個片
に切断する際に使用するマルチ砥石を例示したが、用途
はこれに限られない。
【0017】
【実施例】加工精度の検証を行うために、砥石単板3を
製造した後、加工機本体のスピンドル4に組み付けた
後、以下の研削条件で被削物への研削を行い、図4に示
す従来例における研削状態(比較例)との加工精度の比
較を行った結果を以下に示す。
【0018】・研削条件、および評価方法 被削物(セラミック)を送り速度50mm/minで間
欠的に送り操作されるテーブル上に固定し、スピンドル
回転数15000rpm、切り込み深さ1.0mmで被
削物を湿式にて研削した。研削後、分離されたセラミッ
クピースを顕微鏡により400倍の倍率で寸法測定を行
い、加工精度を算出する。
【0019】・実施例 メタルボンドのダイヤモンド砥粒(粒径10〜20μ
m、集中度75%)の研削刃2を有する砥石単板3を5
枚装着したマルチ砥石を製造し、上記研削条件で研削試
験を行った。砥石単板3には厚さ2mmの板状基体1を
使用し、研削刃2は、外径(図1におけるD寸法)φ1
00mm、砥粒層厚さ(h9)3mm、ストレート部高
さ(hs)1.5mm、刃厚(w2)0.2mmに調整
した。
【0020】・比較例 実施例と同一条件とするために、メタルボンドのダイヤ
モンド砥粒(粒径10〜20μm、集中度75%)の研
削刃2(外径(図4におけるD寸法)φ100mm、砥
粒層厚さ(h9)3mm、ストレート部高さ(hs)
1.5mm、刃厚(w2)0.2mm)をピッチ(p
2)2mmで筒状基体1’上に配列した長さ(L)2×
5=10mmのマルチ砥石を製造し、上記研削条件で研
削試験を行った。
【0021】・試験結果 実施例、および比較例とも、研削ピッチ±0.002m
m、研削溝幅±0.002mmの精度で研削されている
ことが確認できた。この結果、本実施例は、図4に示す
従来例と同様の加工精度を有していることが確認でき
た。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、加工精度が高く、かつ、保守性にも優れたマ
ルチ砥石を得ることができる。また、同一マルチ砥石に
粒度等の異なった砥粒により形成された研削刃を混在さ
せることができるために、加工の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す断面図である。
【図2】砥石単板を示す図で、(a)は単板素材を示す
断面図、(b)は(a)の砥粒層近傍の拡大図、(c)
は砥粒層に加工を施して研削刃を形成した状態を示す断
面図、(d)は(c)の研削刃近傍の拡大図である。
【図3】従来例を示す断面図である。
【図4】他の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 板状基体 2 研削刃 3 砥石単板 4 スピンドル 5 固定ブロック 6 挿通穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C063 AA02 AB03 BA32 BB02 BC02 BC03 BG01 BH32 EE10 EE23 EE31 FF23

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板状基体の外周に研削砥粒を固着して研削
    刃を形成した砥石単板の複数を板状基体の側面を互いに
    当接させてスピンドルへの固定ブロックに所定ピッチで
    分離可能に並設するとともに、 各砥石単板の研削刃の厚さを板状基体の厚みより狭くし
    て、 板状基体の厚さに等しいピッチでの被削物への加工を可
    能にしたマルチ砥石。
  2. 【請求項2】中心にスピンドルへの固定ブロックが挿通
    する挿通穴を備えた外周円形の板状基体と、 板状基体の外周に研削砥粒を固着して形成される研削刃
    とを有し、 前記研削刃の厚さが板状基体の厚さの2/3以下である
    マルチ砥石に使用する砥石単板。
  3. 【請求項3】前記研削刃の両側面は外周端近傍において
    0.25mm以下の間隔で向き合う互いに平行な平面で
    ある請求項2記載のマルチ砥石に使用する砥石単板。
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