JP2001102080A - レドックス電池 - Google Patents
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Landscapes
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 バナジウムレドックスフロー電池では、V5+
は温度が上昇したり、硫酸濃度が低いと脱水縮合反応を
起こし重合物の沈澱を生じ、電解液の温度が低下すると
V2+、V3+、V4+が析出しやすくなるという問題があっ
た。 【解決手段】 本発明は、液透過性の多孔性炭素電極か
らなる、正極と負極が隔膜により分離され、正極液及び
負極液の酸化還元反応により充放電するレドックスレド
ックスフロー電池において、正極液及び負極液中のバナ
ジウム濃度が0.5mol/L〜8mol/L、硫酸イオン濃度
が0.3mol/L〜9mol/Lであって、かつ正極液及び/
又は負極液中に硫酸アンモニウムとリン酸との混合系、
またはリン酸アンモニウムを存在させるレドックスフロ
ー電池を提供する。本発明により、電解液中のV5+の安
定性が改善され、同時にV2+、V3+、V4+の析出も抑制
できる。
は温度が上昇したり、硫酸濃度が低いと脱水縮合反応を
起こし重合物の沈澱を生じ、電解液の温度が低下すると
V2+、V3+、V4+が析出しやすくなるという問題があっ
た。 【解決手段】 本発明は、液透過性の多孔性炭素電極か
らなる、正極と負極が隔膜により分離され、正極液及び
負極液の酸化還元反応により充放電するレドックスレド
ックスフロー電池において、正極液及び負極液中のバナ
ジウム濃度が0.5mol/L〜8mol/L、硫酸イオン濃度
が0.3mol/L〜9mol/Lであって、かつ正極液及び/
又は負極液中に硫酸アンモニウムとリン酸との混合系、
またはリン酸アンモニウムを存在させるレドックスフロ
ー電池を提供する。本発明により、電解液中のV5+の安
定性が改善され、同時にV2+、V3+、V4+の析出も抑制
できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電力貯蔵用のバナジ
ウムレドックスフロー電池、殊にその電解液に関するも
のである。
ウムレドックスフロー電池、殊にその電解液に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】電力貯蔵用の電池として種々の新型電池
が開発されているが、その中に電解液流通型の電池であ
るレドックスフロー型電池がある。レドックスフロー電
池としては電極活物質として鉄、及びクロムを用いる鉄
−クロム電池が知られているが、以下のような欠点を有
していた。 (ア)エネルギー密度が小さい。 (イ)イオン交換膜を通しての鉄イオンとクロムイオン
の混合による電解液の劣化が起こる。 (ウ)電解液成分の副反応により負極が自己放電するた
め両極の充電状態のバランスが崩れるため、この酸化状
態に傾いたバナジウムイオンのバランスを還元剤等で処
理する等の操作により初期の状態に戻すためのリバラン
ス装置が必要になる。
が開発されているが、その中に電解液流通型の電池であ
るレドックスフロー型電池がある。レドックスフロー電
池としては電極活物質として鉄、及びクロムを用いる鉄
−クロム電池が知られているが、以下のような欠点を有
していた。 (ア)エネルギー密度が小さい。 (イ)イオン交換膜を通しての鉄イオンとクロムイオン
の混合による電解液の劣化が起こる。 (ウ)電解液成分の副反応により負極が自己放電するた
め両極の充電状態のバランスが崩れるため、この酸化状
態に傾いたバナジウムイオンのバランスを還元剤等で処
理する等の操作により初期の状態に戻すためのリバラン
ス装置が必要になる。
【0003】これに対し、バナジウムレドックスフロー
電池では正極液及び負極液ともにバナジウムイオンを用
いるため混合による電解液の劣化がなくリバランス装置
も不要である。また、エネルギー密度、起電力共に鉄−
クロム電池よりも高く、優れた電池性能を持つ新しいレ
ドックスフロー電池として着目されている。
電池では正極液及び負極液ともにバナジウムイオンを用
いるため混合による電解液の劣化がなくリバランス装置
も不要である。また、エネルギー密度、起電力共に鉄−
クロム電池よりも高く、優れた電池性能を持つ新しいレ
ドックスフロー電池として着目されている。
【0004】バナジウムレドックスフロー電池では電解
液としてバナジウムの硫酸溶液が用いられている。バナ
ジウムレドックスフロー電池の電解セルに於ける電極反
応は以下の通りである。 VO2++H2O ⇔ VO2 ++2H++e V3+ +e ⇔ V2+
液としてバナジウムの硫酸溶液が用いられている。バナ
ジウムレドックスフロー電池の電解セルに於ける電極反
応は以下の通りである。 VO2++H2O ⇔ VO2 ++2H++e V3+ +e ⇔ V2+
【0005】充電動作の時は右方向に、放電動作の時は
逆の左方向に反応が進行する。すなわち、充電時には正
極においては電解液中の4価のバナジウムは酸化されて
5価になり、負極においては3価のバナジウムは2価へ
と還元される。このとき電気エネルギーはイオンの価数
変化により電解液中に蓄積される。 上式に示したVO
2 +とV2+の濃度はそのまま充電状態の活物質の濃度を表
す。そのため、電池のエネルギー密度は電解液中の活物
質であるバナジウムの濃度に依存し、蓄電容量は電解液
量の増加により増すことができる。電池の安定化、高密
度化のためには電解液中のバナジウムを高濃度で長期間
安定化させる技術が重要となる。また、電池は気候条件
等の変化に対応して幅広い(例えば、0℃〜50℃)温
度域で使用することが出来ることが求められている。そ
のため、電池の使用温度域に対応した幅広い温度域で安
定な電解液が必要となる。
逆の左方向に反応が進行する。すなわち、充電時には正
極においては電解液中の4価のバナジウムは酸化されて
5価になり、負極においては3価のバナジウムは2価へ
と還元される。このとき電気エネルギーはイオンの価数
変化により電解液中に蓄積される。 上式に示したVO
2 +とV2+の濃度はそのまま充電状態の活物質の濃度を表
す。そのため、電池のエネルギー密度は電解液中の活物
質であるバナジウムの濃度に依存し、蓄電容量は電解液
量の増加により増すことができる。電池の安定化、高密
度化のためには電解液中のバナジウムを高濃度で長期間
安定化させる技術が重要となる。また、電池は気候条件
等の変化に対応して幅広い(例えば、0℃〜50℃)温
度域で使用することが出来ることが求められている。そ
のため、電池の使用温度域に対応した幅広い温度域で安
定な電解液が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】バナジウムレドックス
フロー電池では、電解液として高濃度のバナジウム硫酸
溶液が用いられている。電解液の安定性は、バナジウム
濃度、硫酸濃度、不純物組成、温度等の影響を受ける。
バナジウム及びバナジルイオンの硫酸溶液中の安定性は
各価数によって異なっており、V5+とV4+、V3+、V2+
の間の安定性はメカニズムが異なっていると思われる。
V4+、V3+、V2+の安定性は各バナジウムイオンとSO
4 2-あるいはHSO4 -との溶解度積で決まるが、V5+の
安定性はV5 +の脱水縮合による重合反応の生成物の析出
によって起こる。例えば3価のバナジウムイオンを例に
取ると、 2V3++3SO4 2-=V2(SO4)3 溶解度積をK3とすると K3=(V3+)2(SO4 2-)3 従って、V3+の安定性は電解液中の硫酸濃度が低く、温
度が高くなるほど良くなる。V4+、V2+の安定性も同様
の機構で説明できる。
フロー電池では、電解液として高濃度のバナジウム硫酸
溶液が用いられている。電解液の安定性は、バナジウム
濃度、硫酸濃度、不純物組成、温度等の影響を受ける。
バナジウム及びバナジルイオンの硫酸溶液中の安定性は
各価数によって異なっており、V5+とV4+、V3+、V2+
の間の安定性はメカニズムが異なっていると思われる。
V4+、V3+、V2+の安定性は各バナジウムイオンとSO
4 2-あるいはHSO4 -との溶解度積で決まるが、V5+の
安定性はV5 +の脱水縮合による重合反応の生成物の析出
によって起こる。例えば3価のバナジウムイオンを例に
取ると、 2V3++3SO4 2-=V2(SO4)3 溶解度積をK3とすると K3=(V3+)2(SO4 2-)3 従って、V3+の安定性は電解液中の硫酸濃度が低く、温
度が高くなるほど良くなる。V4+、V2+の安定性も同様
の機構で説明できる。
【0007】これに対してV5+は強酸性中ではVO2 +イ
オンとして存在するが、温度が上昇したり、硫酸濃度が
低ければ脱水縮合反応を起こす。V5+イオンは他の価数
のバナジウムイオンと異なり、電解液の硫酸濃度が低い
ほど、又は温度が高いほど不安定になる。従って、
V4+、V3+、V2+の安定性向上のため硫酸濃度を下げた
り、温度を上げるとV5+は逆に析出しやすくなるという
問題がある。しかも実際には電池が大型になればなるほ
ど電池の反応熱で液温が上昇する傾向があるので、V5+
の析出を抑えるために温度を常温に保持する必要があっ
た。また、従来バナジウム電池では、正極及び負極電解
液中のバナジウムや硫酸の初期濃度を同一濃度にして使
用するが、充放電操作を繰り返すうちに電解液中のイオ
ンの組成バランスが徐々に崩れて正極電解液中に五酸化
バナジウムが析出するか、あるいは負極電解液中に硫酸
バナジウムが析出しやすくなっていく。特に、正極液中
での5価のバナジウム化合物の重合反応は、反応を開始
してからの重合物の沈澱生成速度が非常に速い。また、
冬場などに外気温、室温が低下すると低温域で不安定で
あるV2+、V3+、V4+が析出しやすくなるという問題が
生じる。特にV2+溶液は電解液中の硫酸イオン濃度が高
くなると非常に析出しやすく、低温度域で非常に析出し
やすい。
オンとして存在するが、温度が上昇したり、硫酸濃度が
低ければ脱水縮合反応を起こす。V5+イオンは他の価数
のバナジウムイオンと異なり、電解液の硫酸濃度が低い
ほど、又は温度が高いほど不安定になる。従って、
V4+、V3+、V2+の安定性向上のため硫酸濃度を下げた
り、温度を上げるとV5+は逆に析出しやすくなるという
問題がある。しかも実際には電池が大型になればなるほ
ど電池の反応熱で液温が上昇する傾向があるので、V5+
の析出を抑えるために温度を常温に保持する必要があっ
た。また、従来バナジウム電池では、正極及び負極電解
液中のバナジウムや硫酸の初期濃度を同一濃度にして使
用するが、充放電操作を繰り返すうちに電解液中のイオ
ンの組成バランスが徐々に崩れて正極電解液中に五酸化
バナジウムが析出するか、あるいは負極電解液中に硫酸
バナジウムが析出しやすくなっていく。特に、正極液中
での5価のバナジウム化合物の重合反応は、反応を開始
してからの重合物の沈澱生成速度が非常に速い。また、
冬場などに外気温、室温が低下すると低温域で不安定で
あるV2+、V3+、V4+が析出しやすくなるという問題が
生じる。特にV2+溶液は電解液中の硫酸イオン濃度が高
くなると非常に析出しやすく、低温度域で非常に析出し
やすい。
【0008】レドックスフロー型電池のシステム上、バ
ナジウムレドックスフロー電池の電解液中にバナジウム
化合物の析出が起こると電池性能が低下するだけでな
く、電池セル内に析出物が詰まり、液の流れを阻害し電
池の運転も不可能になることがある。従って、バナジウ
ム電解液の安定化のためにはまずV5+の高温安定化技術
が望まれている。同様に、電解中のV2+の低温での安定
化技術も望まれている。本発明は、バナジウム電解液中
のバナジウムイオンの安定性の向上を図ることを目的と
するものである。
ナジウムレドックスフロー電池の電解液中にバナジウム
化合物の析出が起こると電池性能が低下するだけでな
く、電池セル内に析出物が詰まり、液の流れを阻害し電
池の運転も不可能になることがある。従って、バナジウ
ム電解液の安定化のためにはまずV5+の高温安定化技術
が望まれている。同様に、電解中のV2+の低温での安定
化技術も望まれている。本発明は、バナジウム電解液中
のバナジウムイオンの安定性の向上を図ることを目的と
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような問題を解決す
るためにバナジウム電解液中でV5+が析出する原因につ
いて研究、調査を行ってきた結果、V5+の析出は脱水縮
合による重合反応によって起こると知見するに至った。
V5+は強酸性中ではVO2 +イオンとして存在するが、温
度が上昇したり、硫酸濃度が低ければ脱水縮合反応を起
こすと考えられる。
るためにバナジウム電解液中でV5+が析出する原因につ
いて研究、調査を行ってきた結果、V5+の析出は脱水縮
合による重合反応によって起こると知見するに至った。
V5+は強酸性中ではVO2 +イオンとして存在するが、温
度が上昇したり、硫酸濃度が低ければ脱水縮合反応を起
こすと考えられる。
【0010】本発明者らは、V5+の脱水縮合反応を防止
するための電解液に添加して使用することのできる安定
剤として、ある種のリン酸塩、縮合リン酸塩特にヘキサ
メタリン酸ナトリウムが非常に効果があることを見出し
た(特願平10−150000)。この知見に基づき更
なる研究の結果、硫酸アンモニウムとリン酸との混合
系、またはリン酸アンモニウムの添加もまたバナジウム
化合物の沈殿生成防止効果をもつことを見出し本発明を
完成した。
するための電解液に添加して使用することのできる安定
剤として、ある種のリン酸塩、縮合リン酸塩特にヘキサ
メタリン酸ナトリウムが非常に効果があることを見出し
た(特願平10−150000)。この知見に基づき更
なる研究の結果、硫酸アンモニウムとリン酸との混合
系、またはリン酸アンモニウムの添加もまたバナジウム
化合物の沈殿生成防止効果をもつことを見出し本発明を
完成した。
【0011】即ち、本発明は,液透過性の多孔性炭素電
極からなる、正極と負極が隔膜により分離され、正極と
負極で正極液及び負極液の酸化還元反応を行わせて充放
電するレドックスフロー電池において、正極液及び負極
液中のバナジウム濃度が0.5mol/L〜8mol/L、硫酸
イオン濃度が0.3mol/L〜9mol/Lであって、かつ正
極液及び/又は負極液中に硫酸アンモニウムとリン酸と
の混合系、またはリン酸アンモニウムを存在させること
を特徴とするレドックスフロー電池である。本発明によ
って、バナジウムレドックスフロー電池において電解液
中のバナジウムイオン、特に5価のバナジウムイオンを
安定化し、高温度域においてのバナジウム電解液の安定
性を向上させ、バナジウム化合物の沈澱の生成を抑える
ことができる。
極からなる、正極と負極が隔膜により分離され、正極と
負極で正極液及び負極液の酸化還元反応を行わせて充放
電するレドックスフロー電池において、正極液及び負極
液中のバナジウム濃度が0.5mol/L〜8mol/L、硫酸
イオン濃度が0.3mol/L〜9mol/Lであって、かつ正
極液及び/又は負極液中に硫酸アンモニウムとリン酸と
の混合系、またはリン酸アンモニウムを存在させること
を特徴とするレドックスフロー電池である。本発明によ
って、バナジウムレドックスフロー電池において電解液
中のバナジウムイオン、特に5価のバナジウムイオンを
安定化し、高温度域においてのバナジウム電解液の安定
性を向上させ、バナジウム化合物の沈澱の生成を抑える
ことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で安定剤として使用する硫酸アンモニウム及びリ
ン酸は、それぞれの一種類のみでも沈殿抑制効果がやや
見られるが、2種類の混合物として電解液に加えること
により優れた効果を示す。一方、リン酸アンモニウム
は、それ単独て電解液に加えることにより優れた効果を
示す。さらに、上記硫酸アンモニウム及びリン酸の混合
系、またはリン酸アンモニウムは、V5+の析出防止のみ
でなく、V 2+、V3+及びV4+の析出防止に対しても効果
があり、充電状態での電解液の安定性に大きく寄与する
ことがわかった。
本発明で安定剤として使用する硫酸アンモニウム及びリ
ン酸は、それぞれの一種類のみでも沈殿抑制効果がやや
見られるが、2種類の混合物として電解液に加えること
により優れた効果を示す。一方、リン酸アンモニウム
は、それ単独て電解液に加えることにより優れた効果を
示す。さらに、上記硫酸アンモニウム及びリン酸の混合
系、またはリン酸アンモニウムは、V5+の析出防止のみ
でなく、V 2+、V3+及びV4+の析出防止に対しても効果
があり、充電状態での電解液の安定性に大きく寄与する
ことがわかった。
【0013】電解液に存在させる硫酸アンモニウム及び
リン酸、またはリン酸アンモニウムの量は、電解液重量
に対して0.1%〜10%であることが好ましく、より
好ましくは0.3%〜5%、さらに好ましくは0.5%
〜3%、特に好ましくは1%〜2%、最も好ましくは硫
酸アンモニウム2%、リン酸1%、リン酸アンモニウム
2%である。また、硫酸アンモニウムとリン酸との混合
系を使用する場合は、硫酸アンモニウムとリン酸とのモ
ル比が0.1〜5の範囲が好ましく、0.5〜2の範囲
が更に好ましい。また、本発明で安定剤として使用する
硫酸アンモニウム及びリン酸、またはリン酸アンモニウ
ムは、上記の添加量で正極液又は負極液のいずれか一方
に添加しても効果を示すが、正極液と負極液の両方に添
加することが最も好ましい。
リン酸、またはリン酸アンモニウムの量は、電解液重量
に対して0.1%〜10%であることが好ましく、より
好ましくは0.3%〜5%、さらに好ましくは0.5%
〜3%、特に好ましくは1%〜2%、最も好ましくは硫
酸アンモニウム2%、リン酸1%、リン酸アンモニウム
2%である。また、硫酸アンモニウムとリン酸との混合
系を使用する場合は、硫酸アンモニウムとリン酸とのモ
ル比が0.1〜5の範囲が好ましく、0.5〜2の範囲
が更に好ましい。また、本発明で安定剤として使用する
硫酸アンモニウム及びリン酸、またはリン酸アンモニウ
ムは、上記の添加量で正極液又は負極液のいずれか一方
に添加しても効果を示すが、正極液と負極液の両方に添
加することが最も好ましい。
【0014】本発明の電池に用いられる電解液は、バナ
ジウムの濃度が、0.5mol/L〜8.0mol/L、好まし
くは0.6mol/L〜6.0mol/L、より好ましくは0.
8mol/L〜5.0mol/L、さらに好ましくは1.0mol
/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mol/L〜
3.5mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜3.0mo
l/Lの水溶液である。バナジウムの濃度が、0.5mol
/L未満であると電池のエネルギー密度が小さくなり、
8.0mol/Lを越えると、電解液の粘度が高くなり電池
セルの抵抗が高くなり、かつ電力効率も低いものとな
る。
ジウムの濃度が、0.5mol/L〜8.0mol/L、好まし
くは0.6mol/L〜6.0mol/L、より好ましくは0.
8mol/L〜5.0mol/L、さらに好ましくは1.0mol
/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mol/L〜
3.5mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜3.0mo
l/Lの水溶液である。バナジウムの濃度が、0.5mol
/L未満であると電池のエネルギー密度が小さくなり、
8.0mol/Lを越えると、電解液の粘度が高くなり電池
セルの抵抗が高くなり、かつ電力効率も低いものとな
る。
【0015】電解液としてはバナジウムの硫酸水溶液が
好ましく用いられ、電解液における硫酸イオンの濃度
は、好ましくは0.5mol/L〜9.0mol/L、より好ま
しくは0.8mol/L〜8.5mol/L、さらに好ましくは
1.0mol/L〜8.0mol/L、特に好ましくは1.2mo
l/L〜7.0mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜
6.0mol/Lである。
好ましく用いられ、電解液における硫酸イオンの濃度
は、好ましくは0.5mol/L〜9.0mol/L、より好ま
しくは0.8mol/L〜8.5mol/L、さらに好ましくは
1.0mol/L〜8.0mol/L、特に好ましくは1.2mo
l/L〜7.0mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜
6.0mol/Lである。
【0016】本発明の電池は、正極電解液中では、充電
状態で4価/5価のバナジウムイオンの混合または5価
のバナジウムイオン単独の状態をとりうるが、好ましく
は充電終止状態における正極電解液中の5価のバナジウ
ムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.5mol/L、好ま
しくは0.6mol/L〜5.5mol/L、より好ましくは
0.8mol/L〜4.5mol/L、さらに好ましくは1.0
mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mol/L〜
3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜3.5mo
l/Lの水溶液である。
状態で4価/5価のバナジウムイオンの混合または5価
のバナジウムイオン単独の状態をとりうるが、好ましく
は充電終止状態における正極電解液中の5価のバナジウ
ムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.5mol/L、好ま
しくは0.6mol/L〜5.5mol/L、より好ましくは
0.8mol/L〜4.5mol/L、さらに好ましくは1.0
mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mol/L〜
3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜3.5mo
l/Lの水溶液である。
【0017】充電終止状態における正極電解液中の5価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
【0018】本発明のレドックスフロー電池は、正極電
解液中では、放電状態で4価/5価のバナジウムイオン
の混合又は4価のバナジウムイオン単独、または4価/
3価のバナジウムイオンの混合状態をとりうるが、好ま
しくは放電終止状態における正極電解液中の4価のバナ
ジウムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.5mol/L、
好ましくは0.6mol/L〜5.5mol/L、より好ましく
は0.8mol/L〜4.5mol/L、さらに好ましくは1.
0mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mol/L
〜3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜3.5
mol/Lの水溶液である。
解液中では、放電状態で4価/5価のバナジウムイオン
の混合又は4価のバナジウムイオン単独、または4価/
3価のバナジウムイオンの混合状態をとりうるが、好ま
しくは放電終止状態における正極電解液中の4価のバナ
ジウムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.5mol/L、
好ましくは0.6mol/L〜5.5mol/L、より好ましく
は0.8mol/L〜4.5mol/L、さらに好ましくは1.
0mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mol/L
〜3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜3.5
mol/Lの水溶液である。
【0019】放電終止状態における正極電解液中の4価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
【0020】放電終止状態における正極電解液中の3価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは30%以下、より好ましく
は25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ま
しくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは30%以下、より好ましく
は25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ま
しくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。
【0021】本発明のレドックスフロー電池は、負極電
解液中では、充電状態で3価/2価のバナジウムイオン
の混合又は2価のバナジウムイオン単独の状態をとりう
るが、好ましくは充電終止状態における負極電解液中の
2価のバナジウムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.
5mol/L、好ましくは0.6mol/L〜5.5mol/L、よ
り好ましくは0.8mol/L〜4.5mol/Lさらに好まし
くは1.0mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.
2mol/L〜3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L
〜3.5mol/Lの水溶液である。
解液中では、充電状態で3価/2価のバナジウムイオン
の混合又は2価のバナジウムイオン単独の状態をとりう
るが、好ましくは充電終止状態における負極電解液中の
2価のバナジウムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.
5mol/L、好ましくは0.6mol/L〜5.5mol/L、よ
り好ましくは0.8mol/L〜4.5mol/Lさらに好まし
くは1.0mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.
2mol/L〜3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L
〜3.5mol/Lの水溶液である。
【0022】充電終止状態における負極電解液中の2価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
【0023】本発明のレドックスフロー電池は、負極電
解液中では、放電状態で3価/2価のバナジウムイオン
の混合または3価のバナジウムイオン単独、または4価
/3価のバナジウムイオンの混合状態をとりうるが、好
ましくは放電終止状態における負極電解液中の3価のバ
ナジウムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.5mol/
L、好ましくは0.6mol/L〜5.5mol/L、より好ま
しくは0.8mol/L〜4.5mol/L、さらに好ましくは
1.0mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mo
l/L〜3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜
3.5mol/Lの水溶液である。
解液中では、放電状態で3価/2価のバナジウムイオン
の混合または3価のバナジウムイオン単独、または4価
/3価のバナジウムイオンの混合状態をとりうるが、好
ましくは放電終止状態における負極電解液中の3価のバ
ナジウムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.5mol/
L、好ましくは0.6mol/L〜5.5mol/L、より好ま
しくは0.8mol/L〜4.5mol/L、さらに好ましくは
1.0mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mo
l/L〜3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜
3.5mol/Lの水溶液である。
【0024】放電終止状態における負極電解液中の3価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
【0025】放電終止状態における負極電解液中の4価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは30%以下、より好ましく
は25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ま
しくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。こ
れらの本発明の安定剤を添加した電解液を使用したレド
ックスフロー型電池を用いて充放電評価を行い、安定剤
の電池性能に与える影響を調べ、バナジウム電池用電解
液としての実用性に問題ないことが確認された。
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは30%以下、より好ましく
は25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ま
しくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。こ
れらの本発明の安定剤を添加した電解液を使用したレド
ックスフロー型電池を用いて充放電評価を行い、安定剤
の電池性能に与える影響を調べ、バナジウム電池用電解
液としての実用性に問題ないことが確認された。
【0026】
【実施例】以下に好適な実施例について説明する。 実施例1及び比較例1 実施例1はV5+の析出を防止する安定剤として硫酸アン
モニウム及びリン酸を用いた例を示す。 電解液の調製: V4+:2M/SO4 2-:5Mのバナジウム電解液に安定
剤として2%硫酸アンモニウム及び1%リン酸を溶解さ
せた後、V4+→V5+へと電解酸化を行い、V5+を含有す
る安定剤を添加した電解液を作製した。また、比較例と
して安定剤をいっさい添加しないバナジウム電解液も同
様の方法で調製した。
モニウム及びリン酸を用いた例を示す。 電解液の調製: V4+:2M/SO4 2-:5Mのバナジウム電解液に安定
剤として2%硫酸アンモニウム及び1%リン酸を溶解さ
せた後、V4+→V5+へと電解酸化を行い、V5+を含有す
る安定剤を添加した電解液を作製した。また、比較例と
して安定剤をいっさい添加しないバナジウム電解液も同
様の方法で調製した。
【0027】V5+の静置安定性評価試験:上記の方法に
おいて調製した本発明の安定剤を添加したV5+電解液及
び比較例の電解液をそれぞれ10mlサンプル瓶に採取
し、50℃、45℃恒温槽内で放置した。放置すること
によりV5+の赤褐色の析出物が生ずるので、この赤褐色
の析出物の発生の有無を目視観察し、沈殿の生成開始ま
での日数を調べた。その結果を表1に示す。これらの安
定剤を加えた本発明の電解液は長期間にわたって析出物
が発生せず、比較例1と比べ顕著な沈殿生成抑制の効果
が見られた。
おいて調製した本発明の安定剤を添加したV5+電解液及
び比較例の電解液をそれぞれ10mlサンプル瓶に採取
し、50℃、45℃恒温槽内で放置した。放置すること
によりV5+の赤褐色の析出物が生ずるので、この赤褐色
の析出物の発生の有無を目視観察し、沈殿の生成開始ま
での日数を調べた。その結果を表1に示す。これらの安
定剤を加えた本発明の電解液は長期間にわたって析出物
が発生せず、比較例1と比べ顕著な沈殿生成抑制の効果
が見られた。
【0028】
【表1】
【0029】実施例2及び比較例2 実施例2はV2+の析出を防止する安定剤として硫酸アン
モニウム及びリン酸混合物を用いた例を示す。試験用電
解液のバナジウムイオン、及び硫酸イオン濃度をV2+:
1.8M/SO4 2-:5Mとし、低温温度域での安定剤
の効果を調べた。
モニウム及びリン酸混合物を用いた例を示す。試験用電
解液のバナジウムイオン、及び硫酸イオン濃度をV2+:
1.8M/SO4 2-:5Mとし、低温温度域での安定剤
の効果を調べた。
【0030】電解液の調製: V3+:1.8M/SO4 2-:5Mのバナジウム電解液に
2%硫酸アンモニウム及び1%リン酸を溶解させた後、
V3+→V2+へと電解還元を行い、V2+を含有する安定剤
を添加した電解液を作製した。また、比較例2として安
定剤をいっさい添加しないバナジウム電解液も同様の方
法で調製した。
2%硫酸アンモニウム及び1%リン酸を溶解させた後、
V3+→V2+へと電解還元を行い、V2+を含有する安定剤
を添加した電解液を作製した。また、比較例2として安
定剤をいっさい添加しないバナジウム電解液も同様の方
法で調製した。
【0031】V2+の静置安定性評価試験:上記の方法に
おいて調製した安定剤を添加した電解液及び比較例電解
液をそれぞれ10mlサンプル瓶に採取し、サンプル瓶中
に窒素ガスを充分吹き込んでから密閉し、−5℃の恒温
槽内で放置した。放置することによりV2+の紫色の結晶
が析出するので、この紫色の結晶の析出の有無を目視観
察し、結晶の沈殿の生成開始までの日数を調べた。その
結果を表2に示す。これらの安定剤を加えた本発明の電
解液は結晶の析出するまでの期間が長く、比較例2と比
べ顕著な結晶の生成抑制の効果が見られた。
おいて調製した安定剤を添加した電解液及び比較例電解
液をそれぞれ10mlサンプル瓶に採取し、サンプル瓶中
に窒素ガスを充分吹き込んでから密閉し、−5℃の恒温
槽内で放置した。放置することによりV2+の紫色の結晶
が析出するので、この紫色の結晶の析出の有無を目視観
察し、結晶の沈殿の生成開始までの日数を調べた。その
結果を表2に示す。これらの安定剤を加えた本発明の電
解液は結晶の析出するまでの期間が長く、比較例2と比
べ顕著な結晶の生成抑制の効果が見られた。
【0032】
【表2】
【0033】実施例3及び比較例3 実施例3はV4+の析出を防止する安定剤として硫酸アン
モニウム及びリン酸を用いた例を示す。試験用電解液の
バナジウムイオン及び硫酸イオン濃度をV4+:2M/S
O4 2-:5Mとし、低温温度域での安定剤の効果を調べ
た。
モニウム及びリン酸を用いた例を示す。試験用電解液の
バナジウムイオン及び硫酸イオン濃度をV4+:2M/S
O4 2-:5Mとし、低温温度域での安定剤の効果を調べ
た。
【0034】電解液の調製: V4+:2M/SO4 2-:5Mのバナジウム電解液に2%
硫酸アンモニウム及1%リン酸を溶解させ、V4+の安定
剤を添加した電解液を作製した。また、比較例3として
安定剤をいっさい添加しないバナジウム電解液も同様の
方法で調製した。
硫酸アンモニウム及1%リン酸を溶解させ、V4+の安定
剤を添加した電解液を作製した。また、比較例3として
安定剤をいっさい添加しないバナジウム電解液も同様の
方法で調製した。
【0035】V4+の静置安定性評価試験:上記の方法に
おいて調製した安定剤を添加した電解液及び比較例電解
液をそれぞれ10mlサンプル瓶に採取し、サンプル瓶中
に窒素ガスを充分吹き込んでから密閉し、−5℃及び1
0℃の恒温槽内で放置した。放置することによりV4+の
青色の析出物が生ずるので、この青色の沈澱の発生の有
無を目視観察し、沈殿の生成開始までの日数を調べた。
その結果を表3に示す。これらの安定剤を加えた本発明
の電解液は長期間にわたって沈澱が発生せず、比較例3
と比べ顕著な沈殿生成抑制の効果が見られた。
おいて調製した安定剤を添加した電解液及び比較例電解
液をそれぞれ10mlサンプル瓶に採取し、サンプル瓶中
に窒素ガスを充分吹き込んでから密閉し、−5℃及び1
0℃の恒温槽内で放置した。放置することによりV4+の
青色の析出物が生ずるので、この青色の沈澱の発生の有
無を目視観察し、沈殿の生成開始までの日数を調べた。
その結果を表3に示す。これらの安定剤を加えた本発明
の電解液は長期間にわたって沈澱が発生せず、比較例3
と比べ顕著な沈殿生成抑制の効果が見られた。
【0036】
【表3】
【0037】実施例4及び比較例4 実施例4はV5+の析出を防止する安定剤として2%硫酸
アンモニウム及び1%リン酸を用い、実際のバナジウム
レドックスフロー電池用セルを用いて連続充放電試験を
行った例を示す。試験用電解液のバナジウムイオン、及
び硫酸イオン濃度はV5+:2M/SO4 2-:5Mとし
た。また、比較例4として安定剤をいっさい添加しない
バナジウム電解液も準備した。
アンモニウム及び1%リン酸を用い、実際のバナジウム
レドックスフロー電池用セルを用いて連続充放電試験を
行った例を示す。試験用電解液のバナジウムイオン、及
び硫酸イオン濃度はV5+:2M/SO4 2-:5Mとし
た。また、比較例4として安定剤をいっさい添加しない
バナジウム電解液も準備した。
【0038】充放電条件:レドックスフロー電池セル用
のイオン交換膜としてポリスルホン系のアニオン交換
膜、電極として液透過性多孔質炭素電極を用いた。正極
液貯槽、及び負極液貯槽の両方に上記の方法で調製した
電解液を各80ml入れ、セル電圧1.30V〜1.60
Vの範囲で連続充放電を行った。温度は35℃で一定に
した。
のイオン交換膜としてポリスルホン系のアニオン交換
膜、電極として液透過性多孔質炭素電極を用いた。正極
液貯槽、及び負極液貯槽の両方に上記の方法で調製した
電解液を各80ml入れ、セル電圧1.30V〜1.60
Vの範囲で連続充放電を行った。温度は35℃で一定に
した。
【0039】連続充放電試験:上記の方法で調製した2
%硫酸アンモニウム及び1%リン酸を添加した電解液
(実施例4)及び安定剤を加えない比較電解液(比較例
4)を用いて、上記の条件で連続充放電を行った。それ
ぞれ正極液中に沈殿物が析出し、電解液の循環する配管
系統の抵抗が増加し、系内の圧力上昇が見られた時点で
充放電を終了した。それぞれの電池性能の比較と連続し
て充放電可能な最大サイクル数の比較を行った。
%硫酸アンモニウム及び1%リン酸を添加した電解液
(実施例4)及び安定剤を加えない比較電解液(比較例
4)を用いて、上記の条件で連続充放電を行った。それ
ぞれ正極液中に沈殿物が析出し、電解液の循環する配管
系統の抵抗が増加し、系内の圧力上昇が見られた時点で
充放電を終了した。それぞれの電池性能の比較と連続し
て充放電可能な最大サイクル数の比較を行った。
【0040】試験結果:2%硫酸アンモニウム及び1%
リン酸を添加した電解液を用いて充放電試験を行った場
合は、電池としての性能は通常の添加剤を用いない電解
液を用いたレドックスフロー電池のそれほとんど変化は
ないが、逆に充放電の繰り返しによる電池の寿命評価に
おいては比較例の電解液を使用した場合の約3倍の連続
充放電サイクル寿命を示した。
リン酸を添加した電解液を用いて充放電試験を行った場
合は、電池としての性能は通常の添加剤を用いない電解
液を用いたレドックスフロー電池のそれほとんど変化は
ないが、逆に充放電の繰り返しによる電池の寿命評価に
おいては比較例の電解液を使用した場合の約3倍の連続
充放電サイクル寿命を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮林 光孝 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田16番地 鹿 島北共同発電株式会社V電池開発室内 (72)発明者 佐藤 完二 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田16番地 鹿 島北共同発電株式会社V電池開発室内 Fターム(参考) 5H026 AA10 EE11 HH00 HH05 RR01
Claims (6)
- 【請求項1】 液透過性の多孔性炭素電極からなる、正
極と負極が隔膜により分離され、正極と負極で正極液及
び負極液の酸化還元反応を行わせて充放電するレドック
スレドックスフロー電池において、正極液及び負極液中
のバナジウム濃度が0.5mol/L〜8mol/L、硫酸イオ
ン濃度が0.3mol/L〜9mol/Lであって、かつ正極液
及び/又は負極液中に硫酸アンモニウムとリン酸との混
合系、またはリン酸アンモニウムを存在させることを特
徴とするレドックスフロー電池。 - 【請求項2】 前記リン酸及び硫酸アンモニウム、また
はリン酸アンモニウムの量が、電解液対して重量でそれ
ぞれ0.1%〜10%であることを特徴とする請求項1
記載のレドックスフロー電池。 - 【請求項3】 前記リン酸及び硫酸アンモニウムの量
が、電解液に対して重量でそれぞれ硫酸アンモニウム
0.5%〜3%、及びリン酸0.5%〜3%であること
を特徴とする請求項1又は2記載のレドックスフロー電
池。 - 【請求項4】 前記リン酸アンモニウムの量が、電解液
に対して重量で2%であることを特徴とする請求項1又
は2記載のレドックスフロー電池。 - 【請求項5】 充電終止状態の正極電解液中の5価バナ
ジウムイオンの濃度が、全バナジウムイオン濃度の50
〜100%であることを特徴とする請求項1乃至4のい
ずれか1項に記載のレドックスフロー電池。 - 【請求項6】 充電終止状態の負極電解液中の2価バナ
ジウムイオンの濃度が、全バナジウムイオン濃度の50
〜100%であることを特徴とする請求項1乃至5のい
ずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28045299A JP2001102080A (ja) | 1999-09-30 | 1999-09-30 | レドックス電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28045299A JP2001102080A (ja) | 1999-09-30 | 1999-09-30 | レドックス電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001102080A true JP2001102080A (ja) | 2001-04-13 |
Family
ID=17625268
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28045299A Pending JP2001102080A (ja) | 1999-09-30 | 1999-09-30 | レドックス電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001102080A (ja) |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2014143171A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-08-07 | Amazon Cell Co Ltd | バナジウムリン酸錯体二次電池 |
JP2014229521A (ja) * | 2013-05-23 | 2014-12-08 | 旭化成イーマテリアルズ株式会社 | 電解液組成物及びレドックスフロー電池 |
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WO2015128902A1 (ja) * | 2014-02-28 | 2015-09-03 | Leシステム株式会社 | 固体活物質の製造方法、製造された固体活物質およびその利用法 |
US20160099480A1 (en) * | 2014-10-06 | 2016-04-07 | Battelle Memorial Institute | All-vanadium sulfate acid redox flow battery system |
KR101677107B1 (ko) | 2015-08-24 | 2016-11-17 | 한국에너지기술연구원 | 레독스 흐름전지용 전해액 첨가제 및 이를 포함하는 레독스 흐름전지 |
JP2016212955A (ja) * | 2015-04-28 | 2016-12-15 | 株式会社クオルテック | 金属リン酸錯体二次電池 |
CN106299389A (zh) * | 2016-11-11 | 2017-01-04 | 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 | 全钒液流电池双极板及其制备方法 |
KR20210059595A (ko) * | 2019-11-15 | 2021-05-25 | 한국생산기술연구원 | 첨가제를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지용 전해질 및 그를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지 |
-
1999
- 1999-09-30 JP JP28045299A patent/JP2001102080A/ja active Pending
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WO2015129286A1 (ja) * | 2014-02-28 | 2015-09-03 | Leシステム株式会社 | 固体活物質の製造方法、製造された固体活物質およびその利用法 |
JPWO2015129286A1 (ja) * | 2014-02-28 | 2017-06-01 | Leシステム株式会社 | 固体活物質の製造方法、製造された固体活物質およびその利用法 |
EP3204976A4 (en) * | 2014-10-06 | 2018-03-14 | Battelle Memorial Institute | All-vanadium sulfate acid redox flow battery system |
KR102410425B1 (ko) * | 2014-10-06 | 2022-06-17 | 바텔리 메모리얼 인스티튜트 | 전바나듐 설페이트 산 레독스 흐름 전지 시스템 |
KR20170057453A (ko) * | 2014-10-06 | 2017-05-24 | 바텔리 메모리얼 인스티튜트 | 전바나듐 설페이트 산 레독스 흐름 전지 시스템 |
US11532832B2 (en) | 2014-10-06 | 2022-12-20 | Battelle Memorial Institute | All-vanadium sulfate acid redox flow battery system |
CN107078330A (zh) * | 2014-10-06 | 2017-08-18 | 巴特尔纪念研究院 | 全硫酸钒酸氧化还原液流电池系统 |
JP2017535035A (ja) * | 2014-10-06 | 2017-11-24 | バッテル メモリアル インスティチュート | 全バナジウム硫酸酸性レドックスフローバッテリーシステム |
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US10673090B2 (en) | 2014-10-06 | 2020-06-02 | Battelle Memorial Institute | All-vanadium sulfate acid redox flow battery system |
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