JP2001102080A - レドックス電池 - Google Patents

レドックス電池

Info

Publication number
JP2001102080A
JP2001102080A JP28045299A JP28045299A JP2001102080A JP 2001102080 A JP2001102080 A JP 2001102080A JP 28045299 A JP28045299 A JP 28045299A JP 28045299 A JP28045299 A JP 28045299A JP 2001102080 A JP2001102080 A JP 2001102080A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mol
electrolyte
vanadium
concentration
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28045299A
Other languages
English (en)
Inventor
Sumie Sekiguchi
純恵 関口
Koichi Furusato
洸一 古里
Mitsutaka Miyabayashi
光孝 宮林
Kanji Sato
完二 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KASHIMAKITA KYODO HATSUDEN KK
Original Assignee
KASHIMAKITA KYODO HATSUDEN KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KASHIMAKITA KYODO HATSUDEN KK filed Critical KASHIMAKITA KYODO HATSUDEN KK
Priority to JP28045299A priority Critical patent/JP2001102080A/ja
Publication of JP2001102080A publication Critical patent/JP2001102080A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バナジウムレドックスフロー電池では、V5+
は温度が上昇したり、硫酸濃度が低いと脱水縮合反応を
起こし重合物の沈澱を生じ、電解液の温度が低下すると
2+、V3+、V4+が析出しやすくなるという問題があっ
た。 【解決手段】 本発明は、液透過性の多孔性炭素電極か
らなる、正極と負極が隔膜により分離され、正極液及び
負極液の酸化還元反応により充放電するレドックスレド
ックスフロー電池において、正極液及び負極液中のバナ
ジウム濃度が0.5mol/L〜8mol/L、硫酸イオン濃度
が0.3mol/L〜9mol/Lであって、かつ正極液及び/
又は負極液中に硫酸アンモニウムとリン酸との混合系、
またはリン酸アンモニウムを存在させるレドックスフロ
ー電池を提供する。本発明により、電解液中のV5+の安
定性が改善され、同時にV2+、V3+、V4+の析出も抑制
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電力貯蔵用のバナジ
ウムレドックスフロー電池、殊にその電解液に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】電力貯蔵用の電池として種々の新型電池
が開発されているが、その中に電解液流通型の電池であ
るレドックスフロー型電池がある。レドックスフロー電
池としては電極活物質として鉄、及びクロムを用いる鉄
−クロム電池が知られているが、以下のような欠点を有
していた。 (ア)エネルギー密度が小さい。 (イ)イオン交換膜を通しての鉄イオンとクロムイオン
の混合による電解液の劣化が起こる。 (ウ)電解液成分の副反応により負極が自己放電するた
め両極の充電状態のバランスが崩れるため、この酸化状
態に傾いたバナジウムイオンのバランスを還元剤等で処
理する等の操作により初期の状態に戻すためのリバラン
ス装置が必要になる。
【0003】これに対し、バナジウムレドックスフロー
電池では正極液及び負極液ともにバナジウムイオンを用
いるため混合による電解液の劣化がなくリバランス装置
も不要である。また、エネルギー密度、起電力共に鉄−
クロム電池よりも高く、優れた電池性能を持つ新しいレ
ドックスフロー電池として着目されている。
【0004】バナジウムレドックスフロー電池では電解
液としてバナジウムの硫酸溶液が用いられている。バナ
ジウムレドックスフロー電池の電解セルに於ける電極反
応は以下の通りである。 VO2++H2O ⇔ VO2 ++2H++e V3+ +e ⇔ V2+
【0005】充電動作の時は右方向に、放電動作の時は
逆の左方向に反応が進行する。すなわち、充電時には正
極においては電解液中の4価のバナジウムは酸化されて
5価になり、負極においては3価のバナジウムは2価へ
と還元される。このとき電気エネルギーはイオンの価数
変化により電解液中に蓄積される。 上式に示したVO
2 +とV2+の濃度はそのまま充電状態の活物質の濃度を表
す。そのため、電池のエネルギー密度は電解液中の活物
質であるバナジウムの濃度に依存し、蓄電容量は電解液
量の増加により増すことができる。電池の安定化、高密
度化のためには電解液中のバナジウムを高濃度で長期間
安定化させる技術が重要となる。また、電池は気候条件
等の変化に対応して幅広い(例えば、0℃〜50℃)温
度域で使用することが出来ることが求められている。そ
のため、電池の使用温度域に対応した幅広い温度域で安
定な電解液が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】バナジウムレドックス
フロー電池では、電解液として高濃度のバナジウム硫酸
溶液が用いられている。電解液の安定性は、バナジウム
濃度、硫酸濃度、不純物組成、温度等の影響を受ける。
バナジウム及びバナジルイオンの硫酸溶液中の安定性は
各価数によって異なっており、V5+とV4+、V3+、V2+
の間の安定性はメカニズムが異なっていると思われる。
4+、V3+、V2+の安定性は各バナジウムイオンとSO
4 2-あるいはHSO4 -との溶解度積で決まるが、V5+
安定性はV5 +の脱水縮合による重合反応の生成物の析出
によって起こる。例えば3価のバナジウムイオンを例に
取ると、 2V3++3SO4 2-=V2(SO43 溶解度積をK3とすると K3=(V3+2(SO4 2-3 従って、V3+の安定性は電解液中の硫酸濃度が低く、温
度が高くなるほど良くなる。V4+、V2+の安定性も同様
の機構で説明できる。
【0007】これに対してV5+は強酸性中ではVO2 +
オンとして存在するが、温度が上昇したり、硫酸濃度が
低ければ脱水縮合反応を起こす。V5+イオンは他の価数
のバナジウムイオンと異なり、電解液の硫酸濃度が低い
ほど、又は温度が高いほど不安定になる。従って、
4+、V3+、V2+の安定性向上のため硫酸濃度を下げた
り、温度を上げるとV5+は逆に析出しやすくなるという
問題がある。しかも実際には電池が大型になればなるほ
ど電池の反応熱で液温が上昇する傾向があるので、V5+
の析出を抑えるために温度を常温に保持する必要があっ
た。また、従来バナジウム電池では、正極及び負極電解
液中のバナジウムや硫酸の初期濃度を同一濃度にして使
用するが、充放電操作を繰り返すうちに電解液中のイオ
ンの組成バランスが徐々に崩れて正極電解液中に五酸化
バナジウムが析出するか、あるいは負極電解液中に硫酸
バナジウムが析出しやすくなっていく。特に、正極液中
での5価のバナジウム化合物の重合反応は、反応を開始
してからの重合物の沈澱生成速度が非常に速い。また、
冬場などに外気温、室温が低下すると低温域で不安定で
あるV2+、V3+、V4+が析出しやすくなるという問題が
生じる。特にV2+溶液は電解液中の硫酸イオン濃度が高
くなると非常に析出しやすく、低温度域で非常に析出し
やすい。
【0008】レドックスフロー型電池のシステム上、バ
ナジウムレドックスフロー電池の電解液中にバナジウム
化合物の析出が起こると電池性能が低下するだけでな
く、電池セル内に析出物が詰まり、液の流れを阻害し電
池の運転も不可能になることがある。従って、バナジウ
ム電解液の安定化のためにはまずV5+の高温安定化技術
が望まれている。同様に、電解中のV2+の低温での安定
化技術も望まれている。本発明は、バナジウム電解液中
のバナジウムイオンの安定性の向上を図ることを目的と
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような問題を解決す
るためにバナジウム電解液中でV5+が析出する原因につ
いて研究、調査を行ってきた結果、V5+の析出は脱水縮
合による重合反応によって起こると知見するに至った。
5+は強酸性中ではVO2 +イオンとして存在するが、温
度が上昇したり、硫酸濃度が低ければ脱水縮合反応を起
こすと考えられる。
【0010】本発明者らは、V5+の脱水縮合反応を防止
するための電解液に添加して使用することのできる安定
剤として、ある種のリン酸塩、縮合リン酸塩特にヘキサ
メタリン酸ナトリウムが非常に効果があることを見出し
た(特願平10−150000)。この知見に基づき更
なる研究の結果、硫酸アンモニウムとリン酸との混合
系、またはリン酸アンモニウムの添加もまたバナジウム
化合物の沈殿生成防止効果をもつことを見出し本発明を
完成した。
【0011】即ち、本発明は,液透過性の多孔性炭素電
極からなる、正極と負極が隔膜により分離され、正極と
負極で正極液及び負極液の酸化還元反応を行わせて充放
電するレドックスフロー電池において、正極液及び負極
液中のバナジウム濃度が0.5mol/L〜8mol/L、硫酸
イオン濃度が0.3mol/L〜9mol/Lであって、かつ正
極液及び/又は負極液中に硫酸アンモニウムとリン酸と
の混合系、またはリン酸アンモニウムを存在させること
を特徴とするレドックスフロー電池である。本発明によ
って、バナジウムレドックスフロー電池において電解液
中のバナジウムイオン、特に5価のバナジウムイオンを
安定化し、高温度域においてのバナジウム電解液の安定
性を向上させ、バナジウム化合物の沈澱の生成を抑える
ことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で安定剤として使用する硫酸アンモニウム及びリ
ン酸は、それぞれの一種類のみでも沈殿抑制効果がやや
見られるが、2種類の混合物として電解液に加えること
により優れた効果を示す。一方、リン酸アンモニウム
は、それ単独て電解液に加えることにより優れた効果を
示す。さらに、上記硫酸アンモニウム及びリン酸の混合
系、またはリン酸アンモニウムは、V5+の析出防止のみ
でなく、V 2+、V3+及びV4+の析出防止に対しても効果
があり、充電状態での電解液の安定性に大きく寄与する
ことがわかった。
【0013】電解液に存在させる硫酸アンモニウム及び
リン酸、またはリン酸アンモニウムの量は、電解液重量
に対して0.1%〜10%であることが好ましく、より
好ましくは0.3%〜5%、さらに好ましくは0.5%
〜3%、特に好ましくは1%〜2%、最も好ましくは硫
酸アンモニウム2%、リン酸1%、リン酸アンモニウム
2%である。また、硫酸アンモニウムとリン酸との混合
系を使用する場合は、硫酸アンモニウムとリン酸とのモ
ル比が0.1〜5の範囲が好ましく、0.5〜2の範囲
が更に好ましい。また、本発明で安定剤として使用する
硫酸アンモニウム及びリン酸、またはリン酸アンモニウ
ムは、上記の添加量で正極液又は負極液のいずれか一方
に添加しても効果を示すが、正極液と負極液の両方に添
加することが最も好ましい。
【0014】本発明の電池に用いられる電解液は、バナ
ジウムの濃度が、0.5mol/L〜8.0mol/L、好まし
くは0.6mol/L〜6.0mol/L、より好ましくは0.
8mol/L〜5.0mol/L、さらに好ましくは1.0mol
/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mol/L〜
3.5mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜3.0mo
l/Lの水溶液である。バナジウムの濃度が、0.5mol
/L未満であると電池のエネルギー密度が小さくなり、
8.0mol/Lを越えると、電解液の粘度が高くなり電池
セルの抵抗が高くなり、かつ電力効率も低いものとな
る。
【0015】電解液としてはバナジウムの硫酸水溶液が
好ましく用いられ、電解液における硫酸イオンの濃度
は、好ましくは0.5mol/L〜9.0mol/L、より好ま
しくは0.8mol/L〜8.5mol/L、さらに好ましくは
1.0mol/L〜8.0mol/L、特に好ましくは1.2mo
l/L〜7.0mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜
6.0mol/Lである。
【0016】本発明の電池は、正極電解液中では、充電
状態で4価/5価のバナジウムイオンの混合または5価
のバナジウムイオン単独の状態をとりうるが、好ましく
は充電終止状態における正極電解液中の5価のバナジウ
ムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.5mol/L、好ま
しくは0.6mol/L〜5.5mol/L、より好ましくは
0.8mol/L〜4.5mol/L、さらに好ましくは1.0
mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mol/L〜
3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜3.5mo
l/Lの水溶液である。
【0017】充電終止状態における正極電解液中の5価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
【0018】本発明のレドックスフロー電池は、正極電
解液中では、放電状態で4価/5価のバナジウムイオン
の混合又は4価のバナジウムイオン単独、または4価/
3価のバナジウムイオンの混合状態をとりうるが、好ま
しくは放電終止状態における正極電解液中の4価のバナ
ジウムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.5mol/L、
好ましくは0.6mol/L〜5.5mol/L、より好ましく
は0.8mol/L〜4.5mol/L、さらに好ましくは1.
0mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mol/L
〜3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜3.5
mol/Lの水溶液である。
【0019】放電終止状態における正極電解液中の4価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
【0020】放電終止状態における正極電解液中の3価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは30%以下、より好ましく
は25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ま
しくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。
【0021】本発明のレドックスフロー電池は、負極電
解液中では、充電状態で3価/2価のバナジウムイオン
の混合又は2価のバナジウムイオン単独の状態をとりう
るが、好ましくは充電終止状態における負極電解液中の
2価のバナジウムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.
5mol/L、好ましくは0.6mol/L〜5.5mol/L、よ
り好ましくは0.8mol/L〜4.5mol/Lさらに好まし
くは1.0mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.
2mol/L〜3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L
〜3.5mol/Lの水溶液である。
【0022】充電終止状態における負極電解液中の2価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
【0023】本発明のレドックスフロー電池は、負極電
解液中では、放電状態で3価/2価のバナジウムイオン
の混合または3価のバナジウムイオン単独、または4価
/3価のバナジウムイオンの混合状態をとりうるが、好
ましくは放電終止状態における負極電解液中の3価のバ
ナジウムイオンの濃度が、0.5mol/L〜7.5mol/
L、好ましくは0.6mol/L〜5.5mol/L、より好ま
しくは0.8mol/L〜4.5mol/L、さらに好ましくは
1.0mol/L〜4.0mol/L、特に好ましくは1.2mo
l/L〜3.8mol/L、最も好ましくは1.5mol/L〜
3.5mol/Lの水溶液である。
【0024】放電終止状態における負極電解液中の3価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは50%〜100%、より好
ましくは60%〜99%、さらに好ましくは65%〜9
8%、特に好ましくは70%〜97%、最も好ましくは
75%〜96%である。
【0025】放電終止状態における負極電解液中の4価
のバナジウムイオンの濃度の全バナジウムイオンの濃度
に対する割合は、好ましくは30%以下、より好ましく
は25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ま
しくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。こ
れらの本発明の安定剤を添加した電解液を使用したレド
ックスフロー型電池を用いて充放電評価を行い、安定剤
の電池性能に与える影響を調べ、バナジウム電池用電解
液としての実用性に問題ないことが確認された。
【0026】
【実施例】以下に好適な実施例について説明する。 実施例1及び比較例1 実施例1はV5+の析出を防止する安定剤として硫酸アン
モニウム及びリン酸を用いた例を示す。 電解液の調製: V4+:2M/SO4 2-:5Mのバナジウム電解液に安定
剤として2%硫酸アンモニウム及び1%リン酸を溶解さ
せた後、V4+→V5+へと電解酸化を行い、V5+を含有す
る安定剤を添加した電解液を作製した。また、比較例と
して安定剤をいっさい添加しないバナジウム電解液も同
様の方法で調製した。
【0027】V5+の静置安定性評価試験:上記の方法に
おいて調製した本発明の安定剤を添加したV5+電解液及
び比較例の電解液をそれぞれ10mlサンプル瓶に採取
し、50℃、45℃恒温槽内で放置した。放置すること
によりV5+の赤褐色の析出物が生ずるので、この赤褐色
の析出物の発生の有無を目視観察し、沈殿の生成開始ま
での日数を調べた。その結果を表1に示す。これらの安
定剤を加えた本発明の電解液は長期間にわたって析出物
が発生せず、比較例1と比べ顕著な沈殿生成抑制の効果
が見られた。
【0028】
【表1】
【0029】実施例2及び比較例2 実施例2はV2+の析出を防止する安定剤として硫酸アン
モニウム及びリン酸混合物を用いた例を示す。試験用電
解液のバナジウムイオン、及び硫酸イオン濃度をV2+
1.8M/SO4 2-:5Mとし、低温温度域での安定剤
の効果を調べた。
【0030】電解液の調製: V3+:1.8M/SO4 2-:5Mのバナジウム電解液に
2%硫酸アンモニウム及び1%リン酸を溶解させた後、
3+→V2+へと電解還元を行い、V2+を含有する安定剤
を添加した電解液を作製した。また、比較例2として安
定剤をいっさい添加しないバナジウム電解液も同様の方
法で調製した。
【0031】V2+の静置安定性評価試験:上記の方法に
おいて調製した安定剤を添加した電解液及び比較例電解
液をそれぞれ10mlサンプル瓶に採取し、サンプル瓶中
に窒素ガスを充分吹き込んでから密閉し、−5℃の恒温
槽内で放置した。放置することによりV2+の紫色の結晶
が析出するので、この紫色の結晶の析出の有無を目視観
察し、結晶の沈殿の生成開始までの日数を調べた。その
結果を表2に示す。これらの安定剤を加えた本発明の電
解液は結晶の析出するまでの期間が長く、比較例2と比
べ顕著な結晶の生成抑制の効果が見られた。
【0032】
【表2】
【0033】実施例3及び比較例3 実施例3はV4+の析出を防止する安定剤として硫酸アン
モニウム及びリン酸を用いた例を示す。試験用電解液の
バナジウムイオン及び硫酸イオン濃度をV4+:2M/S
4 2-:5Mとし、低温温度域での安定剤の効果を調べ
た。
【0034】電解液の調製: V4+:2M/SO4 2-:5Mのバナジウム電解液に2%
硫酸アンモニウム及1%リン酸を溶解させ、V4+の安定
剤を添加した電解液を作製した。また、比較例3として
安定剤をいっさい添加しないバナジウム電解液も同様の
方法で調製した。
【0035】V4+の静置安定性評価試験:上記の方法に
おいて調製した安定剤を添加した電解液及び比較例電解
液をそれぞれ10mlサンプル瓶に採取し、サンプル瓶中
に窒素ガスを充分吹き込んでから密閉し、−5℃及び1
0℃の恒温槽内で放置した。放置することによりV4+
青色の析出物が生ずるので、この青色の沈澱の発生の有
無を目視観察し、沈殿の生成開始までの日数を調べた。
その結果を表3に示す。これらの安定剤を加えた本発明
の電解液は長期間にわたって沈澱が発生せず、比較例3
と比べ顕著な沈殿生成抑制の効果が見られた。
【0036】
【表3】
【0037】実施例4及び比較例4 実施例4はV5+の析出を防止する安定剤として2%硫酸
アンモニウム及び1%リン酸を用い、実際のバナジウム
レドックスフロー電池用セルを用いて連続充放電試験を
行った例を示す。試験用電解液のバナジウムイオン、及
び硫酸イオン濃度はV5+:2M/SO4 2-:5Mとし
た。また、比較例4として安定剤をいっさい添加しない
バナジウム電解液も準備した。
【0038】充放電条件:レドックスフロー電池セル用
のイオン交換膜としてポリスルホン系のアニオン交換
膜、電極として液透過性多孔質炭素電極を用いた。正極
液貯槽、及び負極液貯槽の両方に上記の方法で調製した
電解液を各80ml入れ、セル電圧1.30V〜1.60
Vの範囲で連続充放電を行った。温度は35℃で一定に
した。
【0039】連続充放電試験:上記の方法で調製した2
%硫酸アンモニウム及び1%リン酸を添加した電解液
(実施例4)及び安定剤を加えない比較電解液(比較例
4)を用いて、上記の条件で連続充放電を行った。それ
ぞれ正極液中に沈殿物が析出し、電解液の循環する配管
系統の抵抗が増加し、系内の圧力上昇が見られた時点で
充放電を終了した。それぞれの電池性能の比較と連続し
て充放電可能な最大サイクル数の比較を行った。
【0040】試験結果:2%硫酸アンモニウム及び1%
リン酸を添加した電解液を用いて充放電試験を行った場
合は、電池としての性能は通常の添加剤を用いない電解
液を用いたレドックスフロー電池のそれほとんど変化は
ないが、逆に充放電の繰り返しによる電池の寿命評価に
おいては比較例の電解液を使用した場合の約3倍の連続
充放電サイクル寿命を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮林 光孝 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田16番地 鹿 島北共同発電株式会社V電池開発室内 (72)発明者 佐藤 完二 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田16番地 鹿 島北共同発電株式会社V電池開発室内 Fターム(参考) 5H026 AA10 EE11 HH00 HH05 RR01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液透過性の多孔性炭素電極からなる、正
    極と負極が隔膜により分離され、正極と負極で正極液及
    び負極液の酸化還元反応を行わせて充放電するレドック
    スレドックスフロー電池において、正極液及び負極液中
    のバナジウム濃度が0.5mol/L〜8mol/L、硫酸イオ
    ン濃度が0.3mol/L〜9mol/Lであって、かつ正極液
    及び/又は負極液中に硫酸アンモニウムとリン酸との混
    合系、またはリン酸アンモニウムを存在させることを特
    徴とするレドックスフロー電池。
  2. 【請求項2】 前記リン酸及び硫酸アンモニウム、また
    はリン酸アンモニウムの量が、電解液対して重量でそれ
    ぞれ0.1%〜10%であることを特徴とする請求項1
    記載のレドックスフロー電池。
  3. 【請求項3】 前記リン酸及び硫酸アンモニウムの量
    が、電解液に対して重量でそれぞれ硫酸アンモニウム
    0.5%〜3%、及びリン酸0.5%〜3%であること
    を特徴とする請求項1又は2記載のレドックスフロー電
    池。
  4. 【請求項4】 前記リン酸アンモニウムの量が、電解液
    に対して重量で2%であることを特徴とする請求項1又
    は2記載のレドックスフロー電池。
  5. 【請求項5】 充電終止状態の正極電解液中の5価バナ
    ジウムイオンの濃度が、全バナジウムイオン濃度の50
    〜100%であることを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
  6. 【請求項6】 充電終止状態の負極電解液中の2価バナ
    ジウムイオンの濃度が、全バナジウムイオン濃度の50
    〜100%であることを特徴とする請求項1乃至5のい
    ずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
JP28045299A 1999-09-30 1999-09-30 レドックス電池 Pending JP2001102080A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28045299A JP2001102080A (ja) 1999-09-30 1999-09-30 レドックス電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28045299A JP2001102080A (ja) 1999-09-30 1999-09-30 レドックス電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001102080A true JP2001102080A (ja) 2001-04-13

Family

ID=17625268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28045299A Pending JP2001102080A (ja) 1999-09-30 1999-09-30 レドックス電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001102080A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8094433B2 (en) * 2006-06-05 2012-01-10 Xiamen University Supercapacitor
JP5167450B1 (ja) * 2012-08-03 2013-03-21 株式会社ギャラキシー バナジウム電解液の製造方法
JP2014143171A (ja) * 2012-09-28 2014-08-07 Amazon Cell Co Ltd バナジウムリン酸錯体二次電池
JP2014229521A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 旭化成イーマテリアルズ株式会社 電解液組成物及びレドックスフロー電池
JP2015065157A (ja) * 2013-08-26 2015-04-09 一般社団法人新エネルギー支援機構 電力エネルギーの輸送システム
WO2015128902A1 (ja) * 2014-02-28 2015-09-03 Leシステム株式会社 固体活物質の製造方法、製造された固体活物質およびその利用法
US20160099480A1 (en) * 2014-10-06 2016-04-07 Battelle Memorial Institute All-vanadium sulfate acid redox flow battery system
KR101677107B1 (ko) 2015-08-24 2016-11-17 한국에너지기술연구원 레독스 흐름전지용 전해액 첨가제 및 이를 포함하는 레독스 흐름전지
JP2016212955A (ja) * 2015-04-28 2016-12-15 株式会社クオルテック 金属リン酸錯体二次電池
CN106299389A (zh) * 2016-11-11 2017-01-04 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 全钒液流电池双极板及其制备方法
KR20210059595A (ko) * 2019-11-15 2021-05-25 한국생산기술연구원 첨가제를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지용 전해질 및 그를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지

Cited By (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8094433B2 (en) * 2006-06-05 2012-01-10 Xiamen University Supercapacitor
JP5167450B1 (ja) * 2012-08-03 2013-03-21 株式会社ギャラキシー バナジウム電解液の製造方法
WO2014021203A1 (ja) * 2012-08-03 2014-02-06 株式会社ギャラキシー バナジウム電解液の製造方法
JP2014143171A (ja) * 2012-09-28 2014-08-07 Amazon Cell Co Ltd バナジウムリン酸錯体二次電池
JP2014229521A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 旭化成イーマテリアルズ株式会社 電解液組成物及びレドックスフロー電池
CN105493329B (zh) * 2013-08-26 2017-03-01 一般社团法人新能源支援机构 电力能量的输送系统
JP2015065157A (ja) * 2013-08-26 2015-04-09 一般社団法人新エネルギー支援機構 電力エネルギーの輸送システム
CN105493329A (zh) * 2013-08-26 2016-04-13 一般社团法人新能源支援机构 电力能量的输送系统
WO2015128902A1 (ja) * 2014-02-28 2015-09-03 Leシステム株式会社 固体活物質の製造方法、製造された固体活物質およびその利用法
WO2015129286A1 (ja) * 2014-02-28 2015-09-03 Leシステム株式会社 固体活物質の製造方法、製造された固体活物質およびその利用法
JPWO2015129286A1 (ja) * 2014-02-28 2017-06-01 Leシステム株式会社 固体活物質の製造方法、製造された固体活物質およびその利用法
EP3204976A4 (en) * 2014-10-06 2018-03-14 Battelle Memorial Institute All-vanadium sulfate acid redox flow battery system
KR102410425B1 (ko) * 2014-10-06 2022-06-17 바텔리 메모리얼 인스티튜트 전바나듐 설페이트 산 레독스 흐름 전지 시스템
KR20170057453A (ko) * 2014-10-06 2017-05-24 바텔리 메모리얼 인스티튜트 전바나듐 설페이트 산 레독스 흐름 전지 시스템
US11532832B2 (en) 2014-10-06 2022-12-20 Battelle Memorial Institute All-vanadium sulfate acid redox flow battery system
CN107078330A (zh) * 2014-10-06 2017-08-18 巴特尔纪念研究院 全硫酸钒酸氧化还原液流电池系统
JP2017535035A (ja) * 2014-10-06 2017-11-24 バッテル メモリアル インスティチュート 全バナジウム硫酸酸性レドックスフローバッテリーシステム
US20160099480A1 (en) * 2014-10-06 2016-04-07 Battelle Memorial Institute All-vanadium sulfate acid redox flow battery system
US10673090B2 (en) 2014-10-06 2020-06-02 Battelle Memorial Institute All-vanadium sulfate acid redox flow battery system
CN107078330B (zh) * 2014-10-06 2021-03-23 巴特尔纪念研究院 全硫酸钒酸氧化还原液流电池系统
JP2016212955A (ja) * 2015-04-28 2016-12-15 株式会社クオルテック 金属リン酸錯体二次電池
KR101677107B1 (ko) 2015-08-24 2016-11-17 한국에너지기술연구원 레독스 흐름전지용 전해액 첨가제 및 이를 포함하는 레독스 흐름전지
CN106299389A (zh) * 2016-11-11 2017-01-04 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 全钒液流电池双极板及其制备方法
KR102362607B1 (ko) * 2019-11-15 2022-02-15 한국생산기술연구원 첨가제를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지용 전해질 및 그를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지
KR20210059595A (ko) * 2019-11-15 2021-05-25 한국생산기술연구원 첨가제를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지용 전해질 및 그를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9123931B2 (en) Redox flow batteries based on supporting solutions containing chloride
AU2002328660B2 (en) Vanadium / polyhalide redox flow battery
US8911612B2 (en) Method of operating metal-bromine cells
KR20160037826A (ko) 레독스 플로우 전지
JPH0864223A (ja) バナジウム系レドックスフロー型電池の電解液
JP2001102080A (ja) レドックス電池
WO2013042103A1 (en) A method of operating metal- bromine cells
US20150357653A1 (en) Vanadium Solid-Salt Battery and Method for Producing Same
WO2015182917A1 (ko) 레독스 흐름 전지용 양극 전해질 제조 방법 및 레독스 흐름 전지
EP3413386A1 (en) Redox flow battery electrolyte and redox flow battery
JPH0419966A (ja) レドックス電池
JP6204069B2 (ja) 電解液及びレドックスフロー電池
WO2024056104A1 (zh) 一种钒铬电解液、其制备方法及由其构成的液流电池
JP6597678B2 (ja) 負極用電解液及びフロー電池
JPH11339835A (ja) レドックス電池
JP5167450B1 (ja) バナジウム電解液の製造方法
US9966626B2 (en) Redox flow battery
KR101521391B1 (ko) 레독스 흐름 전지
KR102362607B1 (ko) 첨가제를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지용 전해질 및 그를 포함하는 바나듐 레독스 흐름전지
WO2019181983A1 (ja) 電解液およびレドックスフロー電池
JP2020107415A (ja) レドックスフロー電池
JPH04286871A (ja) レドックス型二次電池
JPWO2019078146A1 (ja) 電解液、およびレドックスフロー電池
JP2020107502A (ja) レドックスフロー電池
JPH04101358A (ja) 2液性電池