JP6597678B2 - 負極用電解液及びフロー電池 - Google Patents

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Description

本明細書で開示する発明である本開示は、負極用電解液及びフロー電池に関する。
従来、この種のフロー電池としては、チタンイオンとカテコール類との錯体をフロー電池の活物質に用いたものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。このフロー電池では、pHが強アルカリ域でのサイクリックボルタンメトリー(CV)評価を行い、フロー電池として利用できるとしている。また、フロー電池としては、TiのEDTAキレートをフロー電池用負極電解液に用いるものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。このフロー電池では、負側に標準電極電位をシフトさせることにより起電力の大きいレドックス電池を得ることができるとしている。また、フロー電池としては、酸化還元するメディエータを用いるものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。このフロー電池では、ポリオキソメタレートをメディエータとして用いて間接的に固体活物質の酸化還元を行うことにより、充放電容量を高めることができる。
特表2015−529941号公報 特表2015−529942号公報 特開昭57−9072号公報 特開2016−85955号公報
チタンイオンは、標準電極電位が−0.368Vであり、Ag/AgCl電極基準では−0.57Vと卑であると共に安価であり、有望な水溶性フロー電池負極材料である。しかしながら、強酸性域でしか安定ではなく、この強酸性域では水素発生が起こるため、負極活物質として使用するのは困難であった。また、例えば、水素発生を防ぐべく弱酸性以上にpHを上昇させると、チタンイオンが沈殿する問題があった。上述の特許文献1、2では、Tiイオンとカテコール類やカルボン酸及びそれらとの混合配位子構造の活物質が挙げられているが、pH=9以上の条件での評価例は、可逆水素電極(RHE)基準で−0.4V以下、Ag/AgCl電極基準で−1.1V以下の酸化還元電位である。Ti(サリチレート)3は、pH=8.6の弱アルカリ域で動作するが、その可溶性濃度は0.5Mと他に比して低く、高濃度化はできないとの問題に加え、Ag/AgCl電極基準で−0.96Vであり、固体活物質の酸化還元電位よりかなり低い。また、各種Tiラクテートの中性、酸性域の酸化還元電位も示しているが、pHによる変動が非常に大きく、また、酸化還元ピーク電位差が1Vもあり、分極が極めて大きいという問題がある。Tiシトレートは、pH=5の結果のみで中性域での挙動は示唆されていなかった。この特許文献1、2では、分子内にo−ジヒドロキシベンゼン構造(カテコール構造)を有する化合物と反応させると強アルカリ域まで安定になるとしているが、安定になりすぎて酸化還元電位が−1.1V(Ag/AgCl電極基準)以下まで下がり、弱アルカリ性域までの水素発生を防止できなかった。また、シトレートは、0.54V(Ag/AgCl電極基準)に酸化還元電位をもつが、中性やアルカリ性になると沈殿が発生する問題があった。また、特許文献3には、TiのEDTAキレートをフロー電池用負極電解液に用いる例があるが、pH=4以下の酸性域でのみ安定動作するとしている。また、特許文献4のフロー電池では、ポリオキシメタレート(POM)をメディエータに用いているが、これは分子量が数千と極めて大きくメディエータのモル濃度を高めるのが困難であるなど、更なる改良が望まれていた。一方、固体の負極活物質、例えばリン酸チタン酸リチウム(LTP)やリン酸チタン酸ナトリウム(NTP)などが安定に動作する弱酸性から弱アルカリ性領域で安定に存在し、また固体活物質の酸化還元電位である−0.7〜−0.8V付近で酸化還元するTi化合物は知られていなかった。
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、チタンイオンを含むものにおいて、より広いpH領域で利用することができる負極用電解液及びフロー電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、チタンイオンに、キレート剤とカテコール構造を有する化合物とを併用すると、より広いpH領域で安定的に利用することができる負極活物質溶液(アノライト)となることを見いだし、本明細書で開示する発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示する負極用電解液は、
電解液を流通させて充放電するフロー電池の負極に用いられる負極用電解液であって、
チタンイオンと、キレート剤と、カテコール構造を有するカテコール系化合物と、を含むものである。
本明細書で開示するフロー電池は、
上述した負極用電解液を流動させて負極集電体に接触させる送液部、を備えたものである。
本開示は、チタンイオンを含むものにおいて、より広いpH領域で利用することができる負極用電解液及びフロー電池を提供することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、チタンイオンの安定化を図るために、チタンキレートが考えられるが、カルボキシル基を有する一般的なキレート剤からなるチタンキレートは、安定性が低く中性域での溶解度は低い。また、カテコール構造(o−ジヒドロキシベンゼン構造)を有するカテコール系化合物のチタン化合物は強アルカリ域でも安定に溶解するが、安定性が高すぎるためか、酸化還元電位が−1.2V以下(Ag/AgCl電極基準)と低くなりすぎ、やはり中性域では水素発生を防止することはできない。ところが、キレート剤とカテコール系化合物とチタンイオンとを混在させたところ、弱アルカリ域まで沈殿することなく、また酸化還元電位も低くなりすぎることなく、水素発生なしにチタンイオンの酸化還元が可能となることを見出した。これは、キレート剤とカテコール系化合物の両方がチタンイオンに配位したためと考えられる。また、その錯体は配位子が複数の状態を持ちうることから、固体活物質の酸化還元電位を挟む形で複数の酸化還元電位を示すようになり、固体活物質と共存させるフロー電池用のメディエータとして良好に動作するものと推察される。そして、このように弱酸性から弱アルカリ性域、中性域でも動作可能であるフロー電池用の負極用電解液では、腐食の問題や漏れが起きた時の安全性の問題が解決できる。また、負極用電解液をメディエータとして固体活物質と共存させ、フロー電池に用いれば、容量を向上することができ、且つ固体活物質の失活防止に必要な、弱酸性から弱アルカリ性域での動作が可能となる。また、固体活物質の充放電を行うのに必要な固体活物質酸化還元電位に近いか、それを挟む多段の酸化還元電位で動作するメディエータとなり、分極の小さな高容量フロー電池が実現できる。
フロー電池10の構成の概略を示す説明図。 フロー電池10Bの構成の概略を示す説明図。 実験例1のメディエータ含有電解液及び固体活物質のCV測定結果。 実験例1のフロー電池の充放電曲線。 実験例1のLTP添加時のフロー電池特性の評価結果。 実験例3の電解液のCV測定結果。 実験例4のメディエータ含有電解液及び固体活物質のCV測定結果。 実験例4のフロー電池の充放電曲線。 実験例4のNTP添加前後のフロー電池特性の評価結果。 実験例5、6のメディエータ含有電解液のCV測定結果。 実験例7、8のメディエータ含有電解液のCV測定結果。 実験例9、10のメディエータ含有電解液のCV測定結果。 実験例13、14のメディエータ含有電解液のCV測定結果。 実験例15、16の電解液のCV測定結果。
本開示の負極用電解液は、電解液を流通させて充放電するフロー電池の負極に用いられるものである。この負極用電解液は、チタンイオンと、キレート剤と、カテコール構造を有するカテコール系化合物と、を含む。この電解液の溶媒は、水であることが好ましい。チタンイオンは、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物などから得られるが、このうち硫酸チタンが好ましい。この負極用電解液において、チタンイオンの含有量は、0.01mol/L以上2mol/L以下の範囲であることが好ましく、0.1mol/L以上1mol/L以下の範囲であることがより好ましい。
負極用電解液に含まれるキレート剤は、分子内にカルボキシ基を3つ以上有する化合物が好ましい。また、キレート剤は、ジアミン構造を有することが好ましい。溶媒に対して溶解しやすく、チタンイオンと錯体を形成しやすいためである。例えば、キレート剤は、置換基を有してもよい炭素数2以上5以下の炭素鎖を含むジアミン構造を有し、このジアミン構造の窒素にカルボキシ基が結合した化合物であることが好ましい。置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、スルホ基などの親水性基などが挙げられる。このキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、式1)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA、式2)およびこれらの誘導体のうち1以上を含むものとしてもよい。エチレンジアミン四酢酸の誘導体としては、カルボキシ基1つが水酸基に置換されたEDTAOHなどが挙げられる。なかでも、キレート剤としては、DPTAおよびその誘導体がより好ましい。DPTAが好ましいのは、4つのカルボキシ基を有するのに加え、水酸化がジアミン構造に結合しており、水への溶解度が上がるためである。なお、キレート剤の水溶性を向上する置換基としては、水酸基のほか、中性やアルカリ域での溶解度が高くなるスルホ基などが挙げられる。また、キレート剤は、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリとしては、例えば、リチウムやナトリウム、カリウム、などが挙げられ、このうちリチウムやナトリウムであることが好ましい。キレート剤は、チタンイオンに対して1.5モル当量以下の範囲で含まれていることが好ましい。チタンイオンとキレート剤は等モル量含まれていることが好ましいが、この範囲においても、十分機能する。
負極用電解液に含まれるカテコール系化合物は、ピロカテコール及び、置換基として水酸基、スルホ基及びカルボキシ基のうち1以上を有するカテコール誘導体のうち1以上を含むものとしてもよい。このカテコール系化合物は、ピロカテコール(式3)、ピロガロール(式4)、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸(DHBDS、式5)及びこれらの誘導体のうち1以上を含むものとしてもよい。このうち、DHBDSがより好ましい。DHBDSは、スルホ基を有しており、キレート剤で説明したように、中性やアルカリ域での溶解度が高くなるためである。このカテコール系化合物は、チタンイオンに対して1.5モル当量以下の範囲で含まれていることが好ましい。チタンイオンとカテコール系化合物は等モル量含まれていることが好ましいが、この範囲においても、十分機能する。
この負極用電解液は、充放電可能な活物質の機能を有する負極活物質溶液(アノライト)としてもよい。この負極用電解液は、キレート剤とカテコール系化合物とがチタンイオンに配位したチタン錯体を含んでいると推察される。この錯体が酸化還元可能であることにより、負極活物質として作用する。また、この負極用電解液は、水溶性の酸化還元物質であり、メディエータであるものとしてもよい。メディエータは、固体活物質と集電体との間の電子の授受を媒介する物質である。メディエータと固体活物質とを組み合わせたフロー電池では、メディエータを循環させ、固体活物質を循環させずに利用できるため、フロー電池中の固体活物質含有量を増加でき、容量をより高めることができる。この負極の固体活物質は、例えばリン酸チタン酸リチウム(LTP)及びリン酸チタン酸ナトリウム(NTP)のうち1以上を含むものとしてもよい。この負極用電解液は、この固体活物質の酸化還元電位よりも低い低電位側酸化還元電位とこの固体活物質の酸化還元電位よりも高い高電位側酸化還元電位とを有するため、組み合わせが好適である。
この負極用電解液は、pHが3以上9以下であるものとしてもよい。この負極用電解液は、キレート剤とカテコール系化合物とチタンイオンとが含まれており、チタンイオンの安定化が図られており、弱酸性から弱アルカリ性、中性域など、より広いpH領域で安定的に利用することができる。この負極用電解液のpHの調整は、例えば、カチオンをナトリウム、リチウム、カリウム、有機アンモニウムなどとするものを用いることができる。この負極用電解液は、チタンイオン、キレート剤及びカテコール系化合物の配合比が、モル当量で、1:(0.25〜2):(0.25〜2)の比であることが好ましい。また、この配合比は、1:(0.5〜1.5):(0.5〜1.5)の比であることがより好ましい。
(フロー電池)
本開示のフロー電池は、上述したいずれかの負極用電解液を流動させて負極集電体に接触させる送液部を備えたものである。この負極用電解液は、それ自体が酸化還元可能であるため、アノライトとして利用することができる。このフロー電池は、負極用電解液がチタンイオンとキレート剤とカテコール系化合物とを含む錯体をメディエータとして含むメディエータ含有電解液であるものとし、負極用電解液が流通する流路内に固体活物質が共存しているものとしてもよい。また、この負極用電解液は、固体活物質の酸化還元電位よりも低い低電位側酸化還元電位と固体活物質の酸化還元電位よりも高い高電位側酸化還元電位とを有することが好ましい。このフロー電池は、ケースと、ケースの内部を正極室と負極室とに分離するセパレータと、負極室に配設された負極集電体と、負極用電解液が流動する経路に配設され固体活物質を収容した収容部とを備えたものとしてもよい。このフロー電池において、正極は、正極活物質溶液(カソライト)が流通する構成としてもよいし、固体の正極活物質とメディエータ含有電解液を流通させる構成とを併用する構成としてもよいし、正極活物質を備え電解液が流通しない構成としてもよい。以下には、正極と負極とが、固体活物質とメディエータを含むメディエータ含有電解液とを利用したフロー電池について主として説明する。
(正極)
正極で用いる固体活物質は、水系電解液中で充放電可能な電圧域にあるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リン酸バナジウムナトリウム(Na32(PO43)、リチウムマンガネート(LiMn24)などの無機系の活物質を好適に用いることができる。このうち、リン酸鉄リチウムやリン酸バナジウムナトリウムがより好適である。固体活物質としては、無機系活物質に限らず、キノン系やポリアニリンなどの導電性高分子など水に不溶か難溶な有機系活物質としてもよい。この固体活物質の形状は限定されるものではなく、メディエータとの接触面積を多くできるものとして、粒子状や繊維状、シート状、多孔質状などとすることができる。例えば、粒子状とする場合には、10mm〜0.1mmのサイズとしてもよい。粒子状の固体活物質は、例えば、固体活物質と結着材とを混練し塊状にしたものを、粉砕したものとしてもよい。結着材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。固体活物質と結着材との比率は、例えば、質量比で99:1〜90:10の範囲などとしてもよい。また、固体活物質としては、例えば、その表面をカーボン被覆したものを用いてもよい。カーボン被覆によって、固体活物質成分の電解液への溶解が防止でき、劣化防止の効果が期待される。カーボン被覆の方法は、例えば、固体活物質の表面を炭素源となる物質で被覆し、その後、不活性雰囲気下で焼成してもよい。炭素源としては、有機化合物としてもよく、例えば、スクロースのような糖化合物としてもよい。不活性雰囲気としては、アルゴン雰囲気や窒素雰囲気などが挙げられる。
正極のメディエータは、水溶性の酸化還元物質であれば特に限定されないが、例えば、ポリオキソメタレート(POM)であることが好ましい。ポリオキソメタレートは、分子量が大きく、セパレータを通過しにくく、対極側への拡散によるクロスコンタミネーションが生じにくい。ポリオキソメタレートは、イソポリ酸でもよいし、ヘテロポリ酸でもよいが、ヘテロポリ酸が好ましい。ヘテロポリ酸としては、例えば、ケイバナドモリブデン酸(H4+x[SiVxMo12-x40](0≦x≦4))、リンバナドモリブデン酸(H3+x[PVxMo12-x40](0≦x≦4))、ケイタングステン酸(H4[SiW1240])などが挙げられる。ポリオキソメタレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。メディエータがケイバナドモリブデン酸である場合、上記一般式中のxの値は1.5以上3.5以下であることが好ましい。こうしたものでは、pH3〜pH10.5という広いpHの範囲で再現性良く動作可能である。このメディエータは、固体活物質の酸化還元電位に近い酸化還元電位(標準電位)を有するか、固体活物質の酸化還元電位を挟むような複数の酸化還元電電位を有する(固体活物質の酸化還元電位よりも低い低電位側酸化還元電位と固体活物質の酸化還元電位よりも高い高電位側酸化還元電位とを有する)ものとすることが好ましい。こうしたものでは、分極が生じにくく、エネルギーロスを低減できる。特に、水溶液系電解液を用いた電池では、セル電圧が1V前後と低いことから、分極の低減の効果は、非水系電解液を用いた電池よりも相対的に大きくなる。例えば、分極が大きいと、送液部(送液ポンプ等)の駆動エネルギーすら確保できない状況になり得る。また、1種のメディエータで、固体活物質の酸化反応にも還元反応にも対応できるため、複数種のメディエータを用いる必要がない。ここで、固体活物質の酸化還元電位に近い酸化還元電位とは、固体活物質の酸化還元電位との差が0.5V以下の範囲にある酸化還元電位としてもよく、0.18V以下の範囲にある酸化還元電位とすることが好ましく、0.12V以下の範囲にある酸化還元電位とすることがより好ましい。メディエータは、固体活物質の酸化還元電位を挟むような複数の酸化還元電位を有する場合も、固体活物質の酸化還元電位に近い酸化還元電位を有することがより好ましい。なお、上述したポリオキソメタレートは、固体活物質の酸化還元電位に近い位置に固体活物質の酸化還元電位を挟むような複数の酸化還元電位を有する。
正極のメディエータ含有電解液は、導電材を含むものとしてもよい。導電材としては、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。なお、電解液は、導電材を含まないものとすることが好ましい。正極の電解液は、メディエータを含むものとすれば、導電材を用いなくても、固体活物質と集電体との間の電子の授受が円滑に行われる。
正極の集電体としては、カーボンフェルト、カーボンペーパー、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、白金、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化(還元)性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀、白金、金などで処理したものも用いることができる。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1cm〜500μmのものが用いられる。なお、この集電体は、フロー電池においては電極と称されることがある。
正極の送液部は、固体活物質を含まないメディエータ含有電解液を流動させて集電体に接触させるものとしてもよいし、固体活物質とメディエータ含有電解液を含む電極組成物を流動させて集電体に接触させるものとしてもよい。この送液部は、例えば、送液ポンプとしてもよい。正極電極組成物は、送液ポンプを用いて所定量、流通させればよく、その所定流量は、電池スケールに合わせて適宜設定することができる。また、送液部は、正極室、送液ポンプ(循環ポンプ)、正極の収容部に接続された循環経路を備え、正極電極組成物のうち少なくとも正極メディエータ含有電解液を循環させるものとしてもよい。
セパレータは、イオン透過能を有し、かつ、正極の電極組成物と負極の電極組成物とが混じり合うクロスコンタミネーションを防止する機能を有するものであれば、特に限定されず、用いることができる。例えば、セパレータは、イオンを伝導可能なイオン伝導性高分子膜(イオン交換膜)や、イオン伝導性固体電解質膜、ゲル膜、微多孔膜などのうち1以上としてもよい。イオン伝導性高分子膜としては、例えば、炭素−フッ素からなる疎水性テトラフルオロエチレン骨格とスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖から構成されるパーフルオロカーボン材料(テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニル共重合体)などが挙げられる。より具体的には、例えば、ナフィオン(ナフィオンは登録商標)などが挙げられる。また、イオン伝導性固体電解質膜としては、例えば、カチオン伝導性ガラス(酸化物系ガラス)などが挙げられる。
(負極)
この負極は、負極室には負極集電体が配設され、収容部に固体活物質を収容しており、送液部が上記負極用電解液をメディエータ含有電解液として負極室と収容部との間を送液するものとしてもよい。固体活物質は、例えば、LTPやNTPを用いることができる。負極集電体としては、例えば、上述した正極のものを利用することができる。また、負極の送液部は、正極の送液部と同様の構成としてもよい。
図1は、本発明の一実施形態であるフロー電池10の構成の概略を示す説明図である。フロー電池10は、ケース12と、このケース12の内部を正極室14と負極室16とに分離するセパレータ18と、正極室14に配置された正極集電体20と、負極室16に配設された負極集電体50とを備えている。このフロー電池10では、正極室14と正極リザーバ容器30との間に正極側循環経路32を備え、この正極側循環経路32の途中に正極側循環ポンプ38が取り付けられている。また、負極室16と負極リザーバ容器60との間に負極側循環経路62を備え、この負極側循環経路62の途中に負極側循環ポンプ68が取り付けられている。正極リザーバ容器30は、その内部に正極メディエータ含有電解液22と正極固体活物質24とを含む正極電極組成物26を貯留しており、フィルタ31によって正極固体活物質24の流出を防止している。また、負極リザーバ容器60は、その内部に負極メディエータ含有電解液52と負極固体活物質54とを含む負極電極組成物56を貯留しており、フィルタ61によって負極固体活物質54の流出を防止している。また、フロー電池10は、その電流や電圧を測定するための回路80を備えている。この回路80は、正極室14の出口36に接続された参照電極81(例えばAg/AgCl参照電極)と正極集電体20との間の電位差(カソード電圧)を測定する電圧計83を備えている。また、負極室16の出口66に接続された参照電極84(例えばAg/AgCl参照電極)と負極集電体50との間の電位差(アノード電圧)を測定する電圧計86を備えている。また、正極集電体20と負極集電体50との間を流れる電流を測定する電流計87や、外部入出力装置89と並列に設けられ正極集電体20と負極集電体50との間の電位差(セル電圧)を測定する電圧計88を備えている。
このフロー電池10では、正極側循環ポンプ38により正極メディエータ含有電解液22を循環させて正極集電体20に接触させると共に、負極側循環ポンプ68により負極メディエータ含有電解液52を循環させて負極集電体50に接触させながら、充放電を行う。このとき、回路80により各電圧や電流を測定し、その値に基づいて、循環する各メディエータ含有電解液22,52などの流速を調整することもできる。
以上説明した負極用電解液及びフロー電池では、負極用電解液が、チタンイオンとキレート剤とカテコール系化合物とを含み、安定化されているため、より広いpH領域で安定的に充放電することができる。この効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、この負極用電解液では、キレート剤とカテコール系化合物の両方がチタンイオンに配位した錯体を形成し、その錯体は配位子が複数の状態を持ちうることから、充放電可能な負極活物質溶液として機能するものと推察される。また、この錯体では、固体活物質の酸化還元電位を挟む形で複数の酸化還元電位を示すようになり、固体活物質と共存させるフロー電池用のメディエータとして良好に動作するものと推察される。そして、このように弱酸性から弱アルカリ性域、中性域でも動作可能である負極用電解液では、腐食の問題や漏れが起きた時の安全性の問題が解決できる。また、負極用電解液をメディエータとして固体活物質と共存させ、フロー電池に用いれば、容量を向上することができ、且つ固体活物質の失活防止に必要な、弱酸性から弱アルカリ性域での動作が可能となる。また、固体活物質の充放電を行うのに必要な固体活物質酸化還元電位に近いか、それを挟む多段の酸化還元電位で動作するメディエータとなり、分極の小さな高容量フロー電池が実現できる。
また、上述したフロー電池では、水系電解液を用いるため、非水系の電解液を用いるものに比してより安全で、よりコストを低減できる。更に、液相系の酸化還元物質をメディエータとして用いることによって、固体間の電気的な接触が困難な系においても、集電体とメディエータ、メディエータと固体活物質の電子の授受すなわち酸化還元が可能となる。更にまた、負極用電解液(メディエータ含有電解液)では、複数の酸化還元電位を有し、且つ固体活物質の酸化還元電位を挟む形のメディエータとすることにより、分極を小さくし、大電流が取れるようにすることができる。そして、上述したフロー電池では、固体活物質を含まないメディエータ含有電解液のみを流動させたため、固体活物質を含めた電極組成物全体を流動させる場合に比して、流動物の粘度が低い。このため、電極組成物全体を流動させる場合よりも、送液圧力を低くすることができ、ポンプ駆動エネルギーを低減でき、効率がよい。
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の負極リザーバ容器60、負極側循環経路62及び負極側循環ポンプ68が本開示の送液部に相当し、負極リザーバ容器60が収容部に相当する。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述したフロー電池10では、正極リザーバ容器30は、フィルタ31を備えたものとしたが、フィルタ31を備えないものとしてもよい。この場合、正極メディエータ含有電解液22だけでなく、正極固体活物質24をも含む、正極電極組成物26が、正極循環経路32を流動する。この正極電極組成物26は、例えば、正極メディエータ含有電解液22に正極固体活物質24が懸濁したスラリーとして流動する。同様に、負極リザーバ容器60は、フィルタ61を備えたものとしたが、フィルタ61を備えないものとしてもよい。
上述したフロー電池10では、正極と負極の両方で、電解液を流動させるものとしたが、負極用電解液を流動させるものとすれば、正極側は特にこれに限定されない。図2は、負極にフロー電池の構成を有するフロー電池10Bの構成の概略を示す説明図である。フロー電池10Bにおいて、フロー電池10と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。このフロー電池10Bでは、正極室14には、正極固体活物質24の粒子及び正極集電体20を収容している。また、正極室14には、循環経路は接続されていない。このような構造にしても、負極においては、フロー電池の構成を用いて容量を高めることができる。
以下では、負極用電解液及びフロー電池を具体的に作製した例について、実験例として説明する。なお、本開示は、以下の実験例に限定されるものではない。
[実験例1]
1Mの硫酸チタン水溶液に水酸化リチウムで中和した1Mの1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸(DPTA(DPTALi))水溶液を1モル当量加えた。その後、水酸化リチウムで中和した1Mの4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸(DHBDS(DHBDSLi))水溶液を1モル当量加え、負極用電解液(メディエータ含有電解液)である実験例1の濃褐色のTiDDLi(1:1:1)を得た。この電解液では、水酸化リチウムにて徐々に中和し、pH=8の弱アルカリ性まで調整しても沈殿は発生しなかった。
(サイクリックボルタンメトリー(CV)評価)
この実験例1の電解液をpHを7.09に調整し、サイクリックボルタンメトリー(CV)を評価した。CV評価は、作用極を白金、対極を白金、参照極を銀塩化銀電極とし、窒素雰囲気下、掃引速度20mV/秒の条件で行った。また、負極活物質であるリン酸チタンリチウム(LiTi2(PO43、LTP)のCV評価も行った。LTPのCV評価では、LTPを80質量部、導電材としてケッチェンブラックを10質量部、結着材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を10質量部、秤量し、混練したものを5mgとり、ステンレスメッシュに挟み込んだ電極を用い評価した。その他の条件は実験例1のCV評価と同じとした。図3は、実験例1の電解液及び固体活物質(LTP)のCV測定結果である。この電解液では、中性域で沈殿は発生せず、LTPの酸化還元電位を挟む形で複数の酸化還元電位が観察された(図3の矢印参照)。このため、負極活物質溶液(アノライト)として、また固体活物質を共存させた場合のメディエータとして使用できることがわかった。
(フロー電池の作製)
フロー電池評価用のアノライトは、以下のように調整した。30質量%の硫酸チタン水溶液10gに、1Mの水酸化リチウムで中和したDPTA(DPTALi)を12.5mL(1モル当量)加え溶解した。その後、水酸化リチウムで中和したDHBDS(DHBDSLi)を3.75g(1モル当量)加え、濃褐色のTiDDLi(1:1:1)を得た。水酸化リチウムにて中和後、1.25Mの硫酸リチウム水溶液を加え、50mLに希釈し、pH=4.12、濃度0.25MのTiDDLi(1:1:1)の褐色液体を得た。このTiDDLi液15mLに、pH=5.57に調整した2M−HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)をバッファとして1mL加え、pH=4.80に調整したものを、フロー電池用負極活物質溶液(アノライト)として用いた。正極液(カソライト)にはポリオキシメタレート(POM)であるケイバナドモリブデン酸(10質量%)のpH=5.40、1.25M硫酸リチウム液を用いた。正極固体活物質には、リン酸鉄リチウム(LFP)を用いた。イオン交換膜(隔膜)にはナフィオン(登録商標)膜を用いた。図1に示すフロー電池を以下のように組み立てた。まず、ケース内に、イオン交換膜と、イオン交換膜を介して対向する正極集電体及び負極集電体とを配設した。正極集電体及び負極集電体としてはいずれも厚さ3mm、4cm2のカーボンフェルトを用いた。次に、正極側のリザーバ容器内に、上述したLFPを1.5g及びカソライト15mLを投入し、負極側のリザーバ容器内に顆粒状のLTP固体活物質(LTP85質量%、ケッチェンブラック10質量%、PTFE結着材5質量%)を1g、及び実験例1のアノライト15mLを投入した。なお、各リザーバ容器には、あらかじめ、固体活物質粒子の流出を防止するフィルタを配設し、固体活物質粒子がフロー電池内を流動しないように構成した。このように、アノライト、カソライトを流しながら充放電を行うことができるフロー電池を構成した(図1参照)。充放電の最初において、アノライトの流路内に設けたリザーバ内に収容したLTPにアノライト液を流通させ評価を行った。所定サイクル評価後、LTPをリザーバ内より取り出し、アノライト液のみを循環する方法で評価を行った。図4は、LTPを添加しアノライトをLTPに流通させて行ったアノライトの充放電曲線(LTP添加)と、LTPを取り出しアノライトのみを流通させて行ったアノライトの充放電曲線(LTP無添加)である。また、図5は、LTP添加時のフロー電池特性の評価結果である。図4に示すように、LTP無添加では、−0.6Vと−0.8V(Ag/AgCl基準)付近に、図3のCV波形に対応した2段のプラトーが現れており、アノライトとして機能することが分かった。また、実験例1のアノライトにLTPを添加することにより、容量が大幅に増加しており、負極活物質溶液の流路内に固体活物質を共存させるフロー電池用のメディエータ含有電解液として良好に機能することがわかった。図5に示すように、繰り返し充放電時の充放電曲線及びアノライトのpH変化を見ると、pH変動があってもフロー電池として機能していることがわかった。
[実験例2,3]
カテコール類であるDHBDSを用いずに、硫酸チタンとキレート剤のDPTAOHとを当量加えたTiDPTA溶液を作製し、これを実験例2の電解液とした。また、キレート剤を用いずに、硫酸チタンに対し、Liで中和したDHBDSを3倍当量加えた溶液(TiDHBDSLi)を作製し、これを実験例3の電解液とした。実験例2のTiDPTA液をpH調整したところ、pH=0.4以上になると白濁し、更に中和すると沈殿し固化してしまった。このように沈殿が多量発生するため、実験例2では、フロー電池用アノライトとしては使用できないことが分かった。実験例3のTiDHBDSLi液は、沈殿の発生はなく、褐色液となった。実験例3のTiDHBDSLiのCVを評価した。図6は、実験例3の電解液のCV測定結果である。実験例3のTiDHBDSLi液は、アルカリ領域まで沈殿は起こらないものの、実験例1で見られた、−0.9V付近には明瞭な還元ピークがみられず水素発生に対応する電流の急激な増大が起きているのみであった。このことから、実験例3の電解液では、水素発生なしに還元(充電)できないことがわかった。さらに、実験例3の電解液では、固体活物質の酸化還元電位から離れた、しかも、還元側にのみ酸化還元電位が存在することから、固体活物質と共存させ容量増加を行うには不適格であることがわかった。
[実験例4]
実験例1のLi塩に代えてNa塩を用いて作製したメディエータ含有電解液を実験例4とした(TiDDNa)。この実験例4の電解液では、水酸化ナトリウムによりpH=8の弱アルカリ性まで徐々に中和しても沈殿は発生しなかった。この実験例4の電解液をpH=7.03に調整し、CV評価を行った。図7は、実験例4のメディエータ含有電解液及び固体活物質(リン酸チタン酸ナトリウム:NTP)のCV測定結果である。その結果、Li塩からNa塩に変更しても、弱酸性から弱アルカリ性域まで沈殿することなく良好な酸化還元電位を示すことがわかった。また、実験例4では、NTPの酸化還元電位を挟む形で複数の酸化還元電位が観察された(図7の矢印参照)。このため、実験例4は、負極液(アノライト)として、また固体活物質を共存させた場合のメディエータ含有電解液として使用できることがわかった。
(フロー電池の作製)
また、実験例1と同様な操作により、実験例4のメディエータ含有電解液を用いたフロー電池の評価を行った。このフロー電池では、LTPの代わりにNTP固体活物質を用い、正極固体活物質は用いずにカソライトに0.5M−DHBDSNaの1.5M硫酸ナトリウム水溶液を用いた。充放電の最初において、アノライトの流路内に設けたリザーバ内に固体活物質を入れず、アノライト液のみを循環させ、その後、リザーバ内に顆粒状のNTP固体活物質1gを添加し、固体活物質にアノライト液を循環させ、評価を行った。それ以外は、実験例1と同様である。図8は、実験例4のフロー電池の充放電曲線である。図9は、実験例4のNTP添加前後のフロー電池特性の評価結果である。図8、9に示すように、実験例4のフロー電池では、CV波形に応じたプラトーが観察され、アノライトとして機能することがわかった。また、NTP添加により容量が大きな充放電特性を示すことから、実験例4のアノライトは、負極活物質溶液の流路内に固体活物質を共存させるフロー電池用のメディエータとして良好に機能することがわかった。
[実験例5〜8]
Ti/DPTA/DHBDSの当量比を、1:1:0.5、1:1:0.25、1:0.5:1、1:0.5:2とした液を調整し、それぞれを実験例5〜8のメディエータ含有電解液とした。この実験例5〜8の電解液に対し、水酸化リチリウムでpHを調整後、CV評価を行った。図10は、実験例5、6のメディエータ含有電解液のCV測定結果である。図11は、実験例7、8のメディエータ含有電解液のCV測定結果である。DHBDSの当量比を0.25と減じても中性域で沈殿は発生せず、複数の酸化還元電位が観察されアノライトとして使用できることがわかった。また、DPTAの当量比を0.5としTiに比して減じても、中性域で沈殿は発生せず、複数の酸化還元電位が観察されアノライトとして使用できることがわかった。また、固体活物質を共存させた場合のメディエータとして使用できることがわかった。例えば、DHBDSはTiの1〜2倍の当量比としても良好に機能することがわかった。
[実験例9、10]
DPTAの代わりに EDTAOHを用い、実験例1と同様な操作により1:1:1の当量比で作製したメディエータ含有電解液を実験例9とした。また、DPTAの代わりにEDTAを用い、リチウムの代わりにナトリウムを用い、実験例1と同様な操作により1:1:1の当量比としたメディエータ含有電解液を実験例10とした。実験例9,10のいずれも、中和時に沈殿は発生しなかった。図12は、実験例9、10のメディエータ含有電解液のCV測定結果である。図12に示すように、両者とも中性域で複数の酸化還元電位を示しており、カルボキシル基が分子内に3つ以上あるキレート剤がフロー電池のメディエータの構成物質として使用できることがわかった。
[実験例11、12]
カテコール類を用いずに、硫酸TiとEDTAOHとを当量混ぜ、リチウム塩を用いて作製した電解液を実験例11とした。また、カテコール類を用いずに、硫酸TiとEDTAとを当量混ぜ、ナトリウム塩を用いて作製した電解液を実験例12とした。これらの電解液を、それぞれ水酸化リチウム、水酸化ナトリウムで中和したところ、pH=0.4以上で白濁し、アノライトとして用いることができないことが分かった。
[実験例13、14]
DHBDSの代わりにピロカテコール(PyC)を用いた以外は実験例1と同様に作製したメディエータ含有電解液を実験例13とした。また、DHBDSの代わりにピロガロール(PyG)を用いた以外は実験例1と同様に作製したメディエータ含有電解液を実験例14とした。いずれの電解液についても、pH=9まで中和しても沈殿は発生しなかった。図13は、実験例13、14のメディエータ含有電解液のCV測定結果である。図13に示すように、両者とも複数の酸化還元電位が観察され、アノライトとして、また、固体活物質共存させた場合のメディエータとして使用できることがわかった。
[実験例15、16]
キレート剤を用いず、カテコール類としてPyCを用い、Tiと3倍当量のカテコール溶液を調整し、水酸化リチウムでアルカリ域まで中和した電解液を実験例15(TiPyC3)とした。また、キレート剤を用いず、カテコール類としてPyGを用い、Tiと3倍当量のカテコール溶液を調整し、水酸化リチウムでアルカリ域まで中和した電解液を実験例16(TiPyG3)とした。図14は、実験例15、16の電解液のCV測定結果である。実験例15、16の電解液は、中和によって沈殿は発生しないものの、実験例3と同様であり、−0.9V近傍には明瞭な還元ピークがみられず、電流の急激な増大が起きているのみであることから、水素発生なしに還元(充電)できないことがわかった。固体活物質の酸化還元電位から離れた、しかも、還元側にのみ酸化還元電位が存在することから、メディエータに用いるには不適格であることがわかった。
以上の実験結果より、Tiとキレート剤のみの電解液では、中和に伴い沈殿が多量発生し、仮に上澄みを採取しても上澄みのpHをさら上げると、再び沈殿が発生した。このようにpH上昇に伴い、沈殿が発生すると、活物質濃度が大幅に減少するとともにフロー電池の流路のつまりの原因ともなり、フロー電池の電解液に用いる物質としては不適格であった。また、Tiとカテコール類のみの錯体では、沈殿は起こらないものの、明瞭な還元ピークがみられないことから、水素発生なしに充電できないことがわかった。さらに、固体活物質と共存させ容量増加を図る際には、固体活物質の酸化還元電位から離れた、しかも、還元側にのみ酸化還元電位が存在することから、メディエータとしては不適格であることがわかった。
一方、Tiとキレート剤とカテコール類との混合配位子Ti錯体では、CV評価およびフロー電池の充放電評価から中性域でも酸化還元が起き、充放電できており、弱酸性(pH=3以上) から弱アルカリ性(pH=9以下)の範囲の条件でも働くフロー電池用アノライトとして有効に用いることができることがわかった。更に、アノライト流路内に固体活物質としてLTPやNTPを添加したところ、容量が大幅に伸び、これらの電解液はメディエータとしても働くことがわかった。なお、特許文献1,2のTiとo−ジヒドロキシベンゼン構造体とカルボン酸との混合配位子錯体ではそのようなことは起こっておらず、ここで得られた弱アルカリ域まで沈殿することなく安定で、卑になりすぎることなく複数の酸化還元電位を示す現象は、本開示の構成によってはじめて見いだされたものであり、通常のカルボン酸ではなく安定なキレート剤を用いた効果であるといえる。
なお、本開示は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本発明は、エネルギー産業、例えば電池産業の分野に利用可能である。
10,10B フロー電池、12 ケース、14 正極室、16 負極室、18 セパレータ、20 正極集電体、22 正極メディエータ含有電解液、24 正極固体活物質、26 正極電極組成物、30 正極リザーバ容器、31 フィルタ、32 正極側循環経路、34 入口、36 出口、38 正極側循環ポンプ、50 負極集電体、52 負極メディエータ含有電解液、54 負極固体活物質、56 負極電極組成物、60 負極リザーバ容器、61 フィルタ、62 負極側循環経路、64 入口、66 出口、68 負極側循環ポンプ、80 回路、81 参照電極、83 電圧計、84 参照電極、86 電圧計、87 電流計、88 電圧計、89 外部入出力装置。

Claims (13)

  1. 電解液を流通させて充放電するフロー電池の負極に用いられる負極用電解液であって、
    チタンイオンと、キレート剤と、カテコール構造を有するカテコール系化合物と、を含み、
    前記カテコール系化合物は、ピロカテコール、ピロガロール、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸及びこれらの誘導体のうち1以上を含み、
    前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA)およびこれらの誘導体のうち1以上を含む、負極用電解液。
  2. 前記カテコール系化合物は、ピロカテコール及び、置換基として水酸基、スルホ基及びカルボキシ基のうち1以上を有するカテコール誘導体のうち1以上を含む、請求項1に記載の負極用電解液。
  3. 前記キレート剤は、ジアミン構造を有し、分子内に3以上のカルボキシ基を有する化合物である、請求項1又は2に記載の負極用電解液。
  4. 前記キレート剤は、置換基を有してもよい炭素数2以上5以下の炭素鎖を含む前記ジアミン構造を有し該ジアミン構造の窒素に前記カルボキシ基が結合した化合物である、請求項3に記載の負極用電解液。
  5. 前記キレート剤は、前記チタンイオンに対して1.5モル当量以下の範囲で含まれている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の負極用電解液。
  6. 前記カテコール系化合物は、前記チタンイオンに対して1.5モル当量以下の範囲で含まれている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の負極用電解液。
  7. 前記負極用電解液は、pHが3以上9以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の負極用電解液。
  8. 前記カテコール系化合物は、アルカリ金属塩であり、
    前記キレート剤は、アルカリ金属塩である、請求項1〜のいずれか1項に記載の負極用電解液。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の負極用電解液を流動させて負極集電体に接触させる送液部、を備えた、フロー電池。
  10. 前記負極用電解液が流通する流路内に固体活物質が共存しており、
    前記負極用電解液は、前記チタンイオンと前記キレート剤と前記カテコール系化合物とを含む錯体をメディエータとして含むメディエータ含有電解液である、請求項に記載のフロー電池。
  11. 前記負極用電解液は、前記固体活物質の酸化還元電位よりも低い低電位側酸化還元電位と前記固体活物質の酸化還元電位よりも高い高電位側酸化還元電位とを有する、請求項10に記載のフロー電池。
  12. 請求項11のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    ケースと、
    前記ケースの内部を正極室と負極室とに分離するセパレータと、
    前記負極室に配設された前記負極集電体と、
    前記負極用電解液が流動する経路配設され固体活物質を収容した収容部と、
    を備えたフロー電池。
  13. 前記固体活物質は、リン酸チタン酸リチウム及びリン酸チタン酸ナトリウムのうち1以上を含む、請求項1012のいずれか1項に記載のフロー電池。
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