JP2001095094A - 圧電型電気音響変換器 - Google Patents
圧電型電気音響変換器Info
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Abstract
単な接続構造でバイモルフ型振動板を構成できる圧電型
電気音響変換器を得る。 【解決手段】2層または3層の圧電セラミックス層3
1,32を積層して積層体が形成され、この積層体の表
裏面には主面電極33,34が形成され、各セラミック
ス層31,32の間には内部電極35が形成される。す
べてのセラミックス層31,32は厚み方向において同
一方向に分極されており、主面電極33,34と内部電
極35との間に交番信号を印加することで、積層体は全
体として屈曲振動を生じる。
Description
ウンダ,圧電スピーカ,圧電ブザーなどの圧電型電気音
響変換器、特にその振動板の構造に関するものである。
電型電気音響変換器が広く用いられている。この種の圧
電型電気音響変換器は、円形の圧電セラミック板の片面
に円形の金属板を貼り付けてユニモルフ型振動板を構成
し、この振動板の周縁部を円形のケースの中に支持し、
ケースの開口部をカバーで閉鎖した構造のものが一般的
である。しかしながら、ユニモルフ型振動板の場合、電
圧印加によって外径が伸縮するセラミック板を、寸法変
化しない金属板に接着して屈曲振動を得るものであるか
ら、その変位量つまり音圧が小さいという欠点がある。
る積層構造のバイモルフ型振動板が提案されている(特
開昭61−205100号公報)。この振動板は、複数
のセラミックグリーンシートおよび複数の電極を積層
し、同時に焼成して得られた焼結体を利用したものであ
り、振動板の振動を拘束しない位置に形成されたスルー
ホールにより、電極間を電気的に接続している。そし
て、厚み方向に順に配置された第1および第2の振動領
域が相互に逆方向に振動するように構成することで、ユ
ニモルフ型に比べて大きな変位量つまり大きな音圧を得
ることができる。
ルフ型振動板の場合、例えば3層のセラミックス層から
なる振動板を屈曲振動させようとすると、上記公報の第
17図に示すように、一方の主面の電極と一方の内部電
極とをスルーホールを介して相互に接続し、他方の主面
電極と他方の内部電極とをスルーホールを介して相互に
接続した上、両者の間に交番電圧を印加する必要があ
る。そのため、主面電極と内部電極との間の複雑な相互
接続が必要となり、コスト高になる可能性があった。
う場合も、内部電極と表裏の主面電極との間に電圧を印
加して分極しなければならない。例えば3層構造の振動
板の場合、上記公報の第14図に示すように、内部電極
と導通する2個のスルーホールを接続用の電極でつな
ぎ、この接続用電極と表裏の主面電極との間に高電圧を
印加して分極している。このように、従来のバイモルフ
型振動板の場合、分極処理のために内部電極をスルーホ
ールを介して外部に引き出す必要があり、接続用の電極
を形成するなど、煩雑な処理を必要とするという欠点が
あった。
電極との相互接続をなくし、簡単な接続構造でバイモル
フ型振動板を構成できる圧電型電気音響変換器を得るこ
とにある。また、他の目的は、分極処理を簡単に行なう
ことができる圧電型電気音響変換器を得ることにある。
め、請求項1に記載の発明は、2層または3層の圧電セ
ラミックス層を積層して積層体が形成され、この積層体
の表裏主面には主面電極が形成され、各セラミックス層
の間には内部電極が形成され、すべてのセラミックス層
は厚み方向において同一方向に分極されており、上記主
面電極と内部電極との間に交番信号を印加することで、
上記積層体は全体として屈曲振動を生じることを特徴と
する圧電型電気音響変換器を提供する。
極との間に交番電圧を印加すれば、表側および裏側のセ
ラミックス層に働く電界方向が厚み方向において逆方向
になる。一方、分極方向は全てのセラミックス層が厚み
方向において同一方向に向いている。圧電セラミックス
は、分極方向と電界方向とが同一方向であれば平面方向
に縮む性質を有し、分極方向と電界方向とが逆方向であ
れば平面方向に伸びる性質を有している。したがって、
上記のように交番電圧を印加すれば、表側のセラミック
ス層が延びた時、裏側のセラミックス層が縮み、全体と
して積層体は屈曲振動を生じることになる。この変位量
はユニモルフ型振動板に比べて大きくなるので、音圧も
増大する。
し、これと内部電極との間に交番電圧を印加すれば、屈
曲振動を発生させることができるので、従来のように主
面電極と内部電極との間の複雑な相互接続が不要とな
り、構造が簡単になり、加工コストを低減できる。
面に形成された端面電極と接続し、上記端面電極と2つ
の主面電極との間に交番信号を印加するのが望ましい。
この場合には、スルーホールなどの格別な加工を必要と
しない。
ックス層で構成されている場合、中間のセラミックス層
の厚みを積層体の全体の厚みの50%〜80%とするの
が望ましい。音圧を高めるには、積層体の積層数を増や
せばよいが、共振周波数により厚みが固定されている場
合には、積層数も自由に増やすことができない。3層構
造の積層体の場合、2つの内部電極の間には電位差がな
いので、中間層は屈曲振動には寄与せず、表側および裏
側のセラミックス層のみが屈曲振動することになる。セ
ラミックス層はその厚みが薄い程、変位量が大きい。そ
こで、積層体の全体の厚みを一定とし、中間層の厚みを
表裏層の厚みに対して相対的に厚くすると、屈曲振動に
寄与する表側および裏側のセラミックス層の厚みが相対
的に薄くなり、大きな変位量が得られる。なお、中間層
の厚みを大きくし過ぎると、表裏層の厚みが薄くなり過
ぎ、強度が低下して大きな変位が得られない。そこで、
中間層の厚みを全体の50%〜80%の範囲とすること
で、大きな音圧を得ることができる。
て2層または3層のセラミックグリーンシートを積層
し、同時に焼成して得られる焼結体よりなり、積層体の
表裏主面に形成された主面電極間に電圧を印加すること
で、すべてのセラミックス層を厚み方向において同一方
向に分極するのが望ましい。すなわち、予め焼成し分極
処理したセラミック板を複数枚積層接着して積層体を得
ることも可能であるが、これでは積層体の厚みを薄くで
きず、音圧が小さい。これに対し、セラミックグリーン
シートを電極膜を間にして積層し、同時焼成すれば、非
常に薄い積層体を得ることができ、高い音圧を得ること
ができる。しかも、積層体の各セラミックス層の分極方
向が同一方向を向いているので、その分極処理は、従来
のように内部電極と主面電極との間に電圧を印加する必
要がなく、表裏の主面電極の間に電圧を印加するだけで
よく、分極処理が非常に簡単になる。
受話器や圧電サウンダのような発音体として用いる場
合、請求項5〜8に記載のような構造とすることができ
る。すなわち、請求項5,6は受話器としての用途に適
した例であり、広いレンジの周波数に対応するため、共
振領域以外の領域で使用される。そのため、積層体の振
動エネルギーが比較的小さいので、積層体の対向する2
辺だけをケースに支持し、他の2辺は弾性封止体で変位
自在に封止した構造となっている。一方、請求項7,8
は圧電サウンダなどの用途に適した例であり、単一周波
数での大音量に対応するため、共振領域で使用される。
この場合には、積層体の振動エネルギーが非常に大きい
ので、積層体の4辺すべてをケースに支持した構造とな
っている。いずれの構造も、積層体の主面電極と内部電
極とをリード線を使用せずにハウジングの外部に引き出
すことができるので、表面実装部品として構成すること
ができる。
型電気音響変換器の第1実施例を示す。この圧電型電気
音響変換器は、円板状の振動板(積層体)1と、この振
動板1を収容した円形のケース10および裏蓋11とで
構成されている。ケース10の上面には放音穴12が形
成され、下面開口部に裏蓋11が接着されている。ケー
ス10の外周部の対称位置には、外部接続用端子13,
14がインサート成形などにて固定され、端子13,1
4の一部はケース10の内側に露出している。端子1
3,14の内側露出部に、振動板1の電極が導電性接着
剤15,16によって電気的に接続されている。なお、
導電性接着剤15,16を塗布した箇所以外の振動板1
の外周部とケース10との隙間は、シリコーンゴムなど
の弾性封止剤(図示せず)で封止されている。
Tなどからなる2層の圧電セラミックス層2,3を積層
したものであり、振動板1の表裏主面には主面電極4,
5が形成され、セラミックス層2,3の間には内部電極
6が形成されている。2つのセラミックス層2,3は、
図4に太線矢印で示すように厚み方向において同一方向
に分極されている。
の主面電極5は、振動板1の直径よりやや小さい円形に
形成され、その引出電極4a,5aが振動板1の外周縁
まで引き出されている。内部電極6は主面電極4,5と
ほぼ対称形状に形成され、内部電極6の引出電極6aは
上記引出電極4a,5aとほぼ対称位置へ引き出され、
端面に設けられた端面電極7に接続されている。なお、
端面電極7の一部は振動板1の表裏面まで引き出されて
いる。上記引出電極4a,5aは導電性接着剤15によ
って端子13と接続され、端面電極7は導電性接着剤1
6によって端子14と接続されている。そして、端子1
3,14の間に所定の交番電圧を印加することで、振動
板1を屈曲振動させることができる。
他方の端子14にプラスの電圧を印加すると、図4の細
線矢印で示す方向の電界が生じる。セラミックス層2,
3は、分極方向と電界方向とが同一方向であれば平面方
向に縮む性質を有し、分極方向と電界方向とが逆方向で
あれば平面方向に伸びる性質を有するので、表側のセラ
ミックス層2は縮み、裏側のセラミックス層3は伸びる
ことになる。そのため、振動板1は中心部が下方へ凸と
なるように屈曲する。端子13,14に印加する電圧を
交番電圧とすれば、振動板1は周期的に屈曲振動を生
じ、これによって大きな音圧の音を発生することができ
る。
法で製造される。すなわち、マザー基板状態のセラミッ
クグリーンシートの表面に電極膜を印刷などの手法で所
定のパターンに形成し、このセラミックグリーンシート
1枚と、電極膜を形成していないセラミックグリーンシ
ート1枚とを積層して圧着する。次に、この積層体から
振動板1に対応する形状に打ち抜き、あるいはカットす
る。次に、打ち抜きまたはカットされた積層体を同時焼
成して焼結積層体を得る。次に、焼結積層体の表裏主面
に主面電極を形成し、これら主面電極間に分極電圧を印
加することで、積層体を構成する全てのセラミックス層
を厚み方向において同一方向に分極する。その後、端面
電極7などを形成し、振動板1を得る。
状態のセラミックグリーンシートを個別形状に打ち抜い
た後、焼成し、その後で分極処理したが、積層されたセ
ラミックグリーンシートを焼成した後、マザー基板状態
で分極処理し、その後で個別形状にカットしてもよい。
この場合には、焼結体をカットするために、レーザー加
工などの公知の方法を用いればよい。
響変換器の第2実施例を示す。図1,図2では、ケース
10に固定された端子13,14を用いて振動板1の電
極を外部へ引き出したが、図5,図6ではリード線2
0,21を用いたものである。この場合には、リード線
20,21が振動板1の裏面側の主面電極5と端面電極
7とにそれぞれ半田や導電性接着剤などの接合剤22,
23によって接続される。そのため、表裏の主面電極
4,5を導電性接着剤を用いて相互に接続してもよい
し、予め端面電極によって主面電極4,5を接続してお
いてもよい。
響変換器の第3実施例を示す。この圧電型電気音響変換
器は、長方形の振動板(積層体)30と、この振動板3
0を収容した角形のケース40および裏蓋41とで構成
されている。ケース40の上面には放音穴42が形成さ
れ、下面開口部に裏蓋41が接着されている。ケース4
0の対向する2辺の内側面には段差状の支持部42a,
42bが形成され、これら支持部42a,42b上に振
動板30の短辺側の2辺が接着剤などの支持剤43a,
43bによって支持されている。ケース40の支持部4
2a,42bを設けた側面とは異なる側面には、制動孔
48が形成されている。また、振動板30の長辺側の2
辺とケース40との隙間はシリコーンゴムなどの弾性封
止剤44a,44bによって封止されている。裏蓋41
の両端部表裏面には外部接続用電極45a,45bが形
成されており、表裏の電極45a,45bは裏蓋41の
両端部側縁に形成されたスルーホール溝46a,46b
の内面を介して相互に導通している。
した後、図8に示すようにスルーホール溝46a,46
bから導電性接着剤47a,47bを流し込むことで、
外部接続用電極45a,45bと振動板30の電極とが
相互に接続されるとともに、スルーホール溝46a,4
6bが閉じられる。これにより、圧電型電気音響変換器
が完成する。
に示すように、2層の圧電セラミックス層31,32を
積層したものであり、振動板30の表裏主面には主面電
極33,34が形成され、セラミックス層31,32の
間には内部電極35が形成されている。2つのセラミッ
クス層31,32は、図10に太線矢印で示すように厚
み方向において同一方向に分極されている。
側の主面電極34は、振動板30の短辺と同幅でかつ長
辺よりやや短く形成され、その一端は振動板30の一方
の短辺側端面に形成された端面電極36に接続されてい
る。そのため、表裏の主面電極33,34は相互に接続
されている。内部電極35は主面電極33,34とほぼ
対称形状に形成され、内部電極35の一端は上記端面電
極36と離れており、他端は振動板30の他方の短辺側
端面に形成された端面電極37に接続されている。な
お、振動板30の他方の短辺側端部の上下面には、端面
電極37と導通する細幅な補助電極38が形成されてい
る。
4は、図8のように導電性接着剤47aによって外部接
続用電極45aと接続され、端面電極37は導電性接着
剤47bによって外部接続用電極45bと接続されてい
る。そして、外部接続用電極45a,45bの間に所定
の交番電圧を印加することで、振動板30を長さベンデ
ィングモードで屈曲振動させることができる。すなわ
ち、振動板30の短辺側両端部を支点とし、長手方向の
中央部を最大振幅点として屈曲振動させることができ
る。
は、中心部のみが最大振幅点となるため、変位体積が小
さく、音響変換効率が比較的低い。また、振動板1の周
囲が拘束されるので、周波数が高くなり、低い周波数の
圧電振動板を得ようとすれば、半径寸法が大きくなる。
これに対し、第3実施例のような矩形振動板30の場合
には、最大振幅点が長さ方向の中心線にそって存在する
ので、変位体積が大きく、高い音響変換効率を得ること
ができる。また、振動板30はその長さ方向両端部が固
定されるが、その間の部分は弾性封止剤44a,44b
によって自由に変位できるので、円形の振動板に比べて
低い周波数を得ることができる。逆に、同じ周波数を得
るのであれば、寸法を小型化できる。
の第4実施例を示す。図10では内部電極35が部分電
極である例を示したが、図11では全面電極としたもの
である。この場合には、内部電極35が端面電極36側
まで延びているので、内部電極35と端面電極36とが
導通してしまう恐れがある。そこで、振動板30’の端
面にまず絶縁層39を形成し、その上に表裏の主面電極
33,34を導通させる端面電極36を形成したもので
ある。これにより、内部電極35を全面電極とした場合
でも、内部電極35と主面電極33,34とを確実に絶
縁できる。
実施例の振動板50は、3層の圧電セラミックス層51
〜53を積層したものであり、振動板50の表裏面には
主面電極54,55が形成され、各セラミックス層51
〜53の間には内部電極56,57が形成されている。
3つのセラミックス層51〜53は太線矢印で示すよう
に厚み方向において同一方向に分極されている。
0と同様に振動板50の短辺と同幅でかつ長辺よりやや
短く形成され、その一端は振動板50の一方の短辺側端
面に形成された端面電極58に接続されている。そのた
め、表裏の主面電極54,55は相互に接続されてい
る。内部電極56,57の一端は端面電極58と離れて
おり、他端は振動板50の他方の短辺側端面に形成され
た端面電極59に接続されている。したがって、内部電
極56,57も相互に接続されている。なお、振動板5
0の他方の短辺側端部の上下面には、端面電極59と導
通する細幅な補助電極59aが形成されている。
端面電極59にプラスの電圧を印加すると、図12の細
線矢印で示す方向の電界が生じる。この時、中間層であ
るセラミックス層52の両側に位置する内部電極56,
57は同一電位であるため、電界が生じない。表側のセ
ラミックス層51は分極方向と電界方向とが同一方向で
あるため平面方向に縮み、裏側のセラミックス層52は
分極方向と電界方向とが逆方向であるため平面方向に伸
びる。そして、中間層52は伸び縮みしない。そのた
め、振動板50は下方へ凸となるように屈曲する。端面
電極58,59間に交番電圧を印加すれば、振動板50
は周期的に屈曲振動を生じ、これによって大きな音圧の
音を発生することができる。なお、図12では、内部電
極56,57を部分電極としたが、図11のように全面
電極としてもよい。
方法も、図4に示した2層構造の振動板1の製造方法と
同様である。すなわち、マザー基板状態のセラミックグ
リーンシートの表面に電極膜を印刷などの手法で所定の
パターンに形成し、このセラミックグリーンシートを3
枚積層して圧着する。この積層体から振動板50に対応
する形状に打ち抜きまたはカットし、この打ち抜きまた
はカットされた積層体を同時焼成して焼結積層体を得
る。次に、焼結積層体の表裏面に主面電極54,55を
形成し、これら主面電極間に分極電圧を印加すること
で、積層体を構成する全てのセラミックス層51〜53
を厚み方向において同一方向に分極する。その後、端面
電極58,59などを形成することで、振動板50を得
る。この場合も、分極に際し、内部電極56,57と主
面電極54,55とを相互に接続する必要がなく、表裏
の主面電極54,55間に電圧を印加するだけでよいの
で、分極処理が簡単である。
2の実施例では3層のセラミックス層51〜53がほぼ
同一厚みである例を示したが、図13では中間のセラミ
ックス層52を表裏のセラミックス層51,53に比べ
て厚くしたものである。特に、中間のセラミックス層5
2の厚みは、振動板50’の全体の厚みの50%〜80
%とするのが望ましい。なお、他の構造は図12と同様
であるため、重複説明を省略する。
割合を変化させた時の音圧の変化を示す。縦軸は2層構
造の振動板(図10参照)の音圧を1とした時の音圧の
比率であり、横軸は振動板50’の全体の厚みに対する
中間セラミックス層52の厚みの割合を表す。なお、音
圧は、振動板50’の全体の厚みが一定で、かつ印加電
圧が一定である条件で測定した。
3層の場合には音圧が上昇することが分かる。また、3
層すべてが同一厚みである場合(33%)に比べて、中
間層の厚みを全体の50%〜80%とした場合には、さ
らに音圧が上昇する。特に、中間層の厚みを全体の60
%〜70%とした場合に最大の音圧(2層に比べて1.
6倍)を得ることができる。したがって、積層数に制約
がある場合に、中間層の厚みを大きくすることで、積層
数を少なく(3層)しながら、音圧を最大限まで上げる
ことができる。
気音響変換器の第7実施例であり、表面実装型の圧電受
話器として構成した例を示す。この圧電受話器は、大
略、長方形の振動板(積層体)30と、この振動板30
を収容した角形のケース60と、放音孔69を有する上
蓋68とで構成されている。振動板30は図9,図10
に示されたものと同様であるため、同一符号を付してあ
る。ケース60は、例えばLCP(液晶ポリマー),S
PS(シンジオタクチックポリスチレン),PPS(ポ
リフェニレンサルファイド),エポキシなどの耐熱性樹
脂で形成され、上蓋68も液晶ポリマーまたはガラスエ
ポキシなどの耐熱性材料あるいはセラミックスで形成さ
れている。ケース60の上面には開口部61が形成さ
れ、この上面開口部61に上蓋68が接着されている。
ケース60の対向する2辺の内側面には段差状の支持部
62a,62bが形成され、これら支持部62a,62
bの上面とケース60の外側面とに露出するように、外
部接続用電極63a,63bがインサート成形されてい
る。この外部接続用電極63a,63bとしては、例え
ばAu,Snメッキを施したCu合金、Feなどからな
る金属端子で構成される。ケース60の支持部62a,
62bを設けた側面とは異なる側面には、制動孔64が
形成されている。
a,62b上に接着剤などの支持剤65a,65bによ
って支持されている。また、振動板30の長辺側の2辺
とケース60との隙間はシリコーンゴムなどの弾性封止
剤66a,66bによって封止されている。そして、振
動板30の短辺側の2辺に設けられた端面電極36,3
7は、導電ペースト67a,67bによって支持部62
a,62bの上面に露出した外部接続用電極63a,6
3bとそれぞれ電気的に接続されている。なお、支持剤
65a,65bおよび弾性封止剤66a,66bの塗布
は、導電ペースト67a,67bによって振動板30と
外部接続用電極63a,63bとを接着した後で行う方
がよい。そして、導電ペースト67a,67b、支持剤
65a,65bおよび弾性封止剤66a,66bの加熱
硬化は、同時に行ってもよい。
換器の第8実施例であり、図15〜図17に示された例
の変形例である。この実施例では、外部接続用電極63
a,63bが、ケース60にインサートされたものでは
なく、別体に形成された金属端子をケース60の孔60
aに挿入し、接着したものである。その他の構造は図1
5〜図17と同様であるから、同一部品には同一符号を
付して説明を省略する。
気音響変換器の第9実施例であり、表面実装型部品とし
て構成した例を示す。この実施例では、図15〜図17
におけるインサート端子よりなる外部接続用電極63
a,63bに代えて、無電解湿式めっき法あるいはスパ
ッタなどの乾式めっき法により形成した電極膜63c,
63dとしたものである。この例では、電極膜63c,
63dがケース60の支持部62a,62bを設けた側
部の外面から支持部62a,62bの上面にかけて連続
的に形成されている。その他の構成は図15〜図17の
ものと同様であるから、同一部品には同一符号を付して
説明を省略する。
て、振動板としては、図9,図10に示された振動板3
0に限らず、図11,図12,図13に示された振動板
30’,50,50’を用いることも可能である。
換器の第10実施例である。この実施例は、図7に示す
実施例の変形例であり、図7と同一部分には同一符号を
付して説明を省略する。図22は裏側から見た斜視図で
あり、ケース40’の内側面全周に段差状の支持部42
が形成されている。これら支持部42の頂面は同一高さ
に形成されており、支持部42上に振動板30の4辺全
周が接着剤などの支持剤43によって支持されている。
この実施例は、例えば圧電サウンダなどの単一周波数で
の発音器として用いられるものであり、振動板30の全
周が支持剤43によって拘束されるが、振動板30を共
振領域で使用することにより、強く励振させることがで
き、大音量を得ることができる。
換器の第11実施例である。この実施例は、図15〜図
17に示す実施例とほぼ同様な構造を有し、図15〜図
17と共通部分には同一符号を付して説明を省略する。
この実施例では、角形のケース60の内側面全周に段差
状の支持部62が形成され、振動板30の4辺すべてが
支持部62に対して接着剤などの支持剤65によって支
持されている。この実施例も、圧電サウンダなどの単一
周波数での発音器として用いられる例であり、振動板3
0は共振領域で使用される。
なく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能
である。上記実施例では、振動板の端面に内部電極と導
通する端面電極を形成し、この端面電極を介して外部へ
引き出すようにしたが、これに限るものではない。すな
わち、特開昭61−205100号公報のようにスルー
ホールを介して内部電極を外部へ引き出してもよいし、
スリット状の溝あるいは穴を介して外部へ引き出しても
よい。上記実施例の振動板1,30,30’,50,5
0’の製造方法は、セラミックグリーンシートを電極膜
を介して2枚または3枚積層し、この積層体を同時焼成
して焼結積層体を得た後、この焼結積層体を分極処理す
るものであるが、この方法に代えて、予め焼成し分極処
理した2枚または3枚の圧電セラミックス板を積層接着
してもよい。ただし、積層後に焼成する前者の製造方法
は、予め焼成したものを積層する後者の方法に比べて、
振動板の厚みを格段に薄くでき、音圧を大きくできるの
で、前者の製造方法の方が音響変換効率に優れた振動板
を得ることが可能である。本発明の振動板は、圧電セラ
ミックス層のみで構成されたものに限らず、積層体の片
面に金属フィルムや樹脂シートなどの補強シートを貼り
付けてもよい。但し、この補強シートはユニモルフ型振
動板の金属板とは異なり、積層体の割れなどを防止する
ためのものであり、積層体の屈曲振動を阻害しないもの
が望ましい。
に記載の発明によれば、2層または3層の圧電セラミッ
クス層からなる積層体の表裏面に主面電極を形成し、各
セラミックス層の間に内部電極を形成し、すべてのセラ
ミックス層を厚み方向において同一方向に分極したの
で、主面電極と内部電極との間に交番信号を印加すれ
ば、表側と裏側のセラミックス層が逆方向に伸縮し、全
体として積層体が屈曲振動を生じることになる。この変
位量はユニモルフ型振動板に比べて大きくなるので、音
圧も増大する。また、すべてのセラミックス層が厚み方
向において同一方向に分極されているので、従来のよう
な主面電極と内部電極との間の複雑な相互接続が不要で
あり、主面電極と内部電極との間に交番信号を印加する
だけでよく、構造が簡単で、製造コストを低減できる。
施例の外観斜視図である。
ある。
板の斜視図である。
施例の外観斜視図である。
ある。
施例を裏側から見た分解斜視図である。
板の斜視図である。
である。
である。
である。
変換器の中間層の厚みと音圧との関係を示す特性図であ
る。
実施例の斜視図である。
視図である。
実施例の分解斜視図である。
実施例の斜視図である。
視図である。
0実施例の分解斜視図である。
1実施例の分解斜視図である。
8)
受話器や圧電サウンダのような発音体として用いる場
合、請求項5〜8に記載のような構造とすることができ
る。すなわち、請求項5,6は受話器としての用途に適
した例であり、広いレンジの周波数に対応するため、共
振領域以外の領域も使用される。そのため、積層体の振
動エネルギーが比較的小さくても変位できるように、積
層体の対向する2辺だけをケースに支持し、他の2辺は
弾性封止体で変位自在に封止した構造となっている。一
方、請求項7,8は圧電サウンダなどの用途に適した例
であり、単一周波数での大音量に対応するため、共振領
域で使用される。この場合には、積層体の振動エネルギ
ーを大きくするため、積層体の4辺すべてをケースに支
持した構造となっている。いずれの構造も、積層体の主
面電極と内部電極とをリード線を使用せずにハウジング
の外部に引き出すことができるので、表面実装部品とし
て構成することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】2層または3層の圧電セラミックス層を積
層して積層体が形成され、この積層体の表裏主面には主
面電極が形成され、各セラミックス層の間には内部電極
が形成され、すべてのセラミックス層は厚み方向におい
て同一方向に分極されており、上記主面電極と内部電極
との間に交番信号を印加することで、上記積層体は全体
として屈曲振動を生じることを特徴とする圧電型電気音
響変換器。 - 【請求項2】上記内部電極は積層体の端面に形成された
端面電極と接続され、上記端面電極と2つの主面電極と
の間に交番信号が印加されることを特徴とする請求項1
に記載の圧電型電気音響変換器。 - 【請求項3】上記積層体は3層のセラミックス層で構成
され、中間のセラミックス層の厚みは、積層体の全体の
厚みの50%〜80%であることを特徴とする請求項1
または2に記載の圧電型電気音響変換器。 - 【請求項4】上記積層体は電極膜を介して2層または3
層のセラミックグリーンシートを積層し、同時に焼成し
て得られる焼結体よりなり、上記積層体の表裏主面に形
成された主面電極間に電圧を印加することで、すべての
セラミックス層を厚み方向において同一方向に分極して
なることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記
載の圧電型電気音響変換器。 - 【請求項5】上記積層体は矩形板状に形成され、上記積
層体が、下面に開口部を有し上面に放音穴を有するケー
スに収容され、上記積層体の対向する2辺が、上記ケー
スの内側面対向部に形成された支持部に支持剤により支
持され、上記積層体の他の2辺と上記ケースの内側面と
の間の隙間が弾性封止剤により封止され、上記ケースの
下面開口部が、上記積層体の主面電極と内部電極とに接
続される外部接続用電極を有する裏蓋で閉じられている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の
圧電型電気音響変換器。 - 【請求項6】上記積層体は矩形板状に形成され、上記積
層体が、上面に開口部を有し、上記積層体の主面電極と
内部電極とに接続される外部接続用電極を有するケース
に収容され、上記積層体の対向する2辺が、上記ケース
の内側面対向部に形成された支持部に支持剤により固定
され、上記積層体の他の2辺と上記ケースの内面との間
の隙間が弾性封止剤により封止され、上記ケースの上面
開口部が、放音穴を有する上蓋で閉じられていることを
特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電型
電気音響変換器。 - 【請求項7】上記積層体は矩形板状に形成され、上記積
層体が、下面に開口部を有し上面に放音穴を有するケー
スに収容され、上記積層体の4辺が、上記ケースの内側
面に形成された支持部に支持剤により固定され、上記ケ
ースの下面開口部が、上記積層体の主面電極と内部電極
とに接続される外部接続用電極を有する裏蓋で閉じられ
ていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに
記載の圧電型電気音響変換器。 - 【請求項8】上記積層体は矩形板状に形成され、上記積
層体が、上面に開口部を有し、上記積層体の主面電極と
内部電極とに接続される外部接続用電極を有するケース
に収容され、上記積層体の4辺が、上記ケースの内側面
に形成された支持部に支持剤により固定され、上記ケー
スの上面開口部が、放音穴を有する上蓋で閉じられてい
ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載
の圧電型電気音響変換器。
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