JP2004221790A - 圧電発音素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】音響特性に優れ、且つ安価に得られる圧電発音素子及びその製造方法を提供する
【解決手段】圧電発音素子は、圧電素子13と該圧電素子13を貼り付けた振動板12とからなる圧電振動板14を有し、圧電素子13を円形の一部が直線でカットされた形状に形成して構成する。
製法では、振動板に円形の圧電素子を接合し、所望形状に合わせて、圧電素子の一部を直線状にカットする工程を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】圧電発音素子は、圧電素子13と該圧電素子13を貼り付けた振動板12とからなる圧電振動板14を有し、圧電素子13を円形の一部が直線でカットされた形状に形成して構成する。
製法では、振動板に円形の圧電素子を接合し、所望形状に合わせて、圧電素子の一部を直線状にカットする工程を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に組み込まれる圧電発音素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型高性能化、通信技術の進歩により、発音素子自体も小型化・薄型化が進んでいる。圧電発音素子は原理的に構造が簡単で特に薄型化に適しており、各種電子機器に広く使われている。圧電発音素子の代表的な例としては、図14に示すような圧電ブザーが知られている。この圧電ブザー1は、円形の圧電素子2と金属薄板による振動板3とが接着されて成る圧電振動板4が設けられ、この圧電振動板4の外周部が、機器の筐体5に形成された突起部6に接着され、圧電素子2の両面、即ち金属の振動板3と圧電素子2の表面の電極間、に信号電圧7を印加する事により音を出すというものである。従来、圧電発音素子は、周波数による発生音圧の変動が著しく大きく、高品位な音を発音する事は難しく、電子音(ブザー音)等の用途に限定されていた。一方、圧電素子を用いた高音質な小型スピーカーも検討されてきている。特許文献1には、円形の圧電素子を有する圧電型スピーカが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7ー226999号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の圧電発音素子に用いられる圧電素子は出来るだけ薄くする事が望まれており、一般的には、圧電素子がシート成形によって作成される。一般的なシート成形プロセスは、簡略的には、焼成前の状態で厚さ数10μm〜数100μm程度の薄いシート状に形成し、このシート状のものを焼成して圧電素子を形成することになる。従来のメカプレスして焼成する工程に比べると、薄物を作るのに適した製法といえる。実際には、目的に合わせて素子形状を変える必要がある。この方法には、大きく分けて焼成前に行う場合と焼成後に行う場合がある。焼成前に行う方法としては、「打ち抜き」が用いられる。これは、焼成前のシートが柔らかい状態のため行えるが、非常に安価に形状を作成する事が可能で、かつ形状自由度も高い。一方、焼成後に行う方法は、素子の硬度が通常の圧電素子並となるので、砥石加工が主となる。この方法の場合、加工能率が悪い事や、形状自由度が低いことなどから、あまり一般的には用いられない。
【0005】
形状加工を焼成前に行う場合、形状自由度が高いことは魅力的だが、一方で注意すべき点がある。一般的にセラミックス素子を焼成すると、体積収縮が起こる。例えば、直径φ25mmで打ち抜いた円形の圧電シート(圧電素子)を焼成すると、体積収縮により焼成後の圧電素子の直径はφ25mm未満となる。例えば5%の収縮の場合は、焼成後の圧電素子の直径はφ23.75mmとなる。従って、打ち抜く寸法は、焼成時の収縮を考慮して決定される。
【0006】
このように、焼成前に形状を打ち抜く場合、収縮を考慮する必要があり、これは形状についても同様である。理想的には形状対称性の良い円形が望ましい。これは、収縮量が円の中心に対して全ての方向で等しい事による。これに対して、多角形や非対称形状の場合、場所による収縮量の違いによる変形や反り・ひび等の原因となり、これが歩留まりを悪化させる要因となる。
【0007】
正円形の圧電素子は電極形成にも適する。圧電素子は電極面を形成する必要があり、一般的には、スクリーン印刷などにより導電性ペーストを印刷し加熱処理して電極を形成する。スクリーン印刷を行う為には、電極印刷用のマスクに対して圧電素子を所定の位置にセットする必要がある。形状対称性の良い正円形は縦横の区別も無く位置決めがし易い。
【0008】
このように、圧電発音素子に用いられる圧電素子は、シート成形法を用い、焼成前に打ち抜きにより形状形成を行う事が低コストに適しており、その場合は、形状対称性の良い円形が最も適するということになる。その一方で、圧電発音素子の音響特性、特に周波数特性を平坦化させるためには、形状異方性を持たせることが有効である。この理由は、例えば縦横の寸法を変えることにより共振周波数を分散させて音響特性の平坦化が可能になること等による。
【0009】
これらの事情から、圧電発音素子を安価に得る為には正円形の圧電素子を用いることが望ましく、一方で音響特性を改善する為には形状異方性を持たせる事が必要となり、両者を同時に実現する事が難しい。
【0010】
本発明は、上述の点に鑑み、音響特性に優れ、且つ安価に得られる圧電発音素子及びその製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る圧電発音素子は、圧電素子と該圧電素子を貼り付けた振動板とからなる圧電振動板を有し、圧電素子を円形の一部が直線でカットされた形状に形成した構成とする。
【0012】
本発明の圧電発音素子では、圧電素子の形状を円形の一部が直線でカットされた形状に形成されるので、圧電素子の形状異方性が確保され、音響特性が向上する。円形の圧電シートを焼成した後、一部を直線にカットして形状異方性を有する圧電素子を形成することが可能になり、圧電発音素子が精度良く且つ安価得られる。
【0013】
本発明に係る圧電発音素子の製造方法は、振動板に円形の圧電素子を接合し、所望形状に合わせて、圧電素子の一部を直線状にカットする工程を有する。
【0014】
本発明の圧電発音素子の製造方法では、最初に円形の圧電素子を振動板に接合するので、円形故に圧電素子の寸法精度が高く、且つ振動板に対する圧電素子の位置決めもし易い。その後、円形の圧電素子の一部を直線状にカットするので、形状異方性を有する圧電素子となり、音響特性に優れた圧電発音素子の製造が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る圧電発音素子は、圧電素子を安価に作成可能な正円形状とし、この圧電素子を振動板と合体させた後に、所定の形状に切断し、即ち正円形状の一部を直線にカットして構成し、音響特性を改善するというものである。例えば厚さ数10μmの圧電素子そのものは非常に脆く割れ易い。本発明では、この薄膜の圧電素子を振動板に貼り付けることで振動板の強度により圧電素子を保持し、振動板の無い部分を切断して削除するようになす。これによって、圧電発音素子としては、圧電素子部の形状異方性が確保され、音響特性を改善することが可能となる。 さらに、1枚の正円形圧電素子から2つの半円形の圧電発音素子を作成することも可能である。半円形の振動板形状は、周波数特性の平坦性も良く、小型かつ高音質圧電発音素子になる。なお、本発明は、モノモルフ構造、バイモルフ構造の両者に適用するすることが出来る。
【0016】
以下、図面を参照して本発明に実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る圧電発音素子の実施の形態の一代表例を示す。本実施の形態においては、図1Aに示すように、長方形の振動板12の表面上に接着剤を介して当初は正円形である圧電素子13を接合した後、圧電素子13の振動板12の両側辺から均等にはみ出した部分13a,13bを長方形の辺に沿って切断し、小判形状の圧電素子13を形成して圧電振動板14を構成する。即ち、圧電素子13は、円形の2箇所を、その直径に対して平行かつ線対称となる直線でカットした小判型形状である。圧電素子13の両面には電極が形成される。振動板12を金属で形成したときには、振動板12が一方の電極となり、圧電素子13の上面に形成した電極16が他方の電極となる。この圧電振動板14を樹脂シート15〔15A,15B〕で被覆して本実施の形態の圧電発音素子11が構成される(図1B,C参照)。この圧電発音素子11は、図1Dに示すように、その支持部分である樹脂シート15の外周部15aを、支持部材、例えば機器の筐体17内の支持部18に取付けて支持される。
この圧電発音素子11では、圧電素子13の両電極面に所要の信号電圧を印加することにより、発音素子として機能する。
【0018】
図2は、かかる圧電発音素子11の製造方法の実施の形態を示す。
先ず、図2Aに示すように、短辺の寸法が円形の圧電素子13の直径より小さい長方形の振動板12を設け、この振動板12の圧電素子13を接着する部分に接着剤22を形成する。振動板12の材質は、例えば、ステンレス材、銅合金材、アルミニウム合金材、ニッケル合金材、チタン合金材などの、ある程度の弾性率を有する金属材料、若しくはプラスティック材料等が適する。本例では、金属材料で薄板状の振動板12を形成する。同図示するように、振動板12としては、エッチングや打ち抜きにより互いに連続した複数の振動板12を有した集合基板化された形態でもよい。集合基板化された複数の振動板12は、互いに切断し易い細くて薄い連結部21を介して連結され、圧電素子13を接合すべき領域に所要の接着剤22が塗布される。振動板12と連結部21は一体に形成され、例えば連結部21はハーフエッチングにより振動板12より薄く形成される。
【0019】
接着剤22としては、例えばエポキシ樹脂接着剤や嫌気効果接着剤など所定の接着強度をもつ接着剤を使用し得る。接着剤22の塗布方法としては、スクリーン印刷やスタンピング方法など、接着剤22の塗布量をある程度安定して塗布できる塗布方法を用いる。
【0020】
次に、図2Bに示すように、接着剤22が塗布された振動板12の所定位置に、円形の圧電素子13をセットした状態で、接着剤22の硬化条件に合わせた処理を行う。円形の圧電素子13は、その中心が長方形の振動板12の中心に合致又は合致に近い状態で振動板12に接着される。このため、円形の圧電素子13の両側の一部13a,13bは、同じ量だけ振動板12の両側短辺よりはみ出す(図2C参照)。
【0021】
次に、図2Cに示すように、振動板12の外形に合わせた位置、厳密には振動板12の外形より外側の位置で、例えばカッター、超音波カッター、ロータリーカッター、その他一般的な切断に用いる装置を用いて切断し、図において円形の圧電素子13の上下にはみ出した部分13a,13bを削除する(鎖線位置mで削除する)。なお、振動板12の外形と一致した位置、あるいは振動板12の外形より内側の位置で圧電素子13を切断することも可能である。削除部分は、圧電素子13のみである。また、圧電素子13の厚さは通常100μm以下と薄いため、カッターによる切断行為で、振動板12の外周部に沿ってクラックが進行し、容易に圧電素子13を切断することができる。鋏でも切断を可能にする。実際には、カッター刃の磨耗による切断性能の低下等を防ぐ為に、刃の材料としては耐磨耗性の有る材料を選定すると共に、切断回数或いは切断距離を管理して定期的に刃の交換を行う等の注意が必要である。さらに、隣合う振動板12間の連結部21を切断する(鎖線位置nで切断する)。
【0022】
このようにして、図2Dに示すように、長方形の振動板12上に小判形の圧電素子13が接着されて成る圧電振動板11を得る。この圧電振動板14を、図示せざるも、圧電振動板14より大きい面積の柔軟性のある樹脂シート15で被覆して図1に示す圧電発音素子11を製造する。
【0023】
樹脂シート15は、熱可塑性樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シート、ポリエステル樹脂シート等を選択して使用することができる。本例では、圧電振動板14の両面を被覆する樹脂シート15のうち、一方の樹脂シート15Aにポリプロピレン粘着シートを使用し、他方の樹脂シート15Bに熱可塑性樹脂シートを使用する。本例のポリプロピレン粘着シート15Aは、ポリプロピレン樹脂シートをベースとし、圧電素子13側の面に粘着層を有した粘着テープで形成される。
厚みに関しては、ベースとなるポリプロピレン樹脂シートの厚さが例えば20〜40μm程度で、粘着層を含む総厚は例えば60〜80μm程度である。ポリプロピレンは汎用的なテープとしては、材料固有の機械的共振鋭度(Q値)が低く、音響材料に適している。このポリプロピレン粘着シート15Aを圧電振動板14の一方の面に貼り付け、音響特性の改善と、電極16の絶縁性及び圧電素子13の保護を確保している。
【0024】
本例の熱可塑性樹脂シート15Bは、厚みが50μm〜100μm程度であり、振動板12の他方の面に熱圧着により貼り付けられる。熱可塑性樹脂は、加熱により接着性が再現するため、完成した圧電発音素子、例えば圧電スピーカの最外周部、即ち支持部材への接着部15dを再加熱・加圧することにより、支持部材に簡単に接着することが可能となる。熱可塑性樹脂シート15B自体のヤング率が小さく、前述のポリプロピレン樹脂シート15Aとの組み合わせにより、樹脂シート部に適度な強度を持たせることが可能である。
【0025】
圧電素子13は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料で形成され、出来るだけ厚さの薄いものが望ましい。電極16は、例えばAg,Ni,Au等のメタライズ電極膜、例えば導電性ペーストによる電極膜で形成することができる。
【0026】
本実施の形態に係る圧電発音素子11によれば、圧電素子13が円弧状の両端を直線で結んだ、いわゆる小判形状をなして形状異方性を有するので、高い音質の圧電発音素子を提供することができる。図7は、この小判形状の圧電素子13を用いて成る圧電発音素子11、即ち図5A,Bの試料の圧電発音素子の音響特性を示す。
なお、図5の試料は後述するバイモルフ型の圧電発音素子(圧電スピーカ)11である。この圧電発音素子11は、直径φ25mmの圧電素子13を26mm×19mmの略長方形の振動板12の両面に貼り付けた後に圧電素子13を19mm幅に切断した小判型圧電素子13を用い、樹脂シート15で被覆して作成したものである。圧電素子13上面の電極16と金属材による振動板12からリード線19a,19bが導出される。
この図7の音響特性から分かるように、音圧の極大と極小の差が小さく、一般的な圧電発音素子、例えば図9に示す正円形(直径φ25mm)の圧電素子を用いた圧電発音素子(即ち圧電スピーカ)の音響特性に比べて、音圧周波数が大幅に改善されていることが認められる。図9の正円形の圧電素子を用いた音響特性では、3kHz,9kHz辺りに異常な落ち込みがある。
本実施の形態では、圧電ブザーに用いられる例えば直径φ25mの圧電素子を流用しつつ、一部加工を行うことで安易に音質の高品質化を達成することができる。
【0027】
本実施の形態に係る圧電発音素子11の製造方法によれば、1枚の正円形の振動板13から一部直線状にカットし、小判形状の圧電素子13を得て圧電発音素子を製造するので、形状異方性を有する圧電素子13の寸法精度もよく、音響特性に優れた圧電発音素子を安価に製造することができる。
【0028】
図1及び図2では、圧電素子を、円形から加工して円弧状に両端を直線で結ぶ小判形としたが、形状はこれに限らず、円形から一部直線にカットした形状、つまり形状異方性を有し音響特性が改善される形状であれば、非対称形状等、どのような形状でも可能である。
【0029】
図3は、本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態を示す。本例は圧電素子の中央部を切断し、1枚の圧電素子から2個の発音素子を作成した例である。
本実施の形態においては、図3Aに示すように、円形の振動板25の表面上に接着剤を介して正円形の圧電素子13を接合した後、振動板25と共に圧電素子13を中央より鎖線位置pで2分割するように切断し、2個の半円形の圧電振動板27〔271 、272 〕を構成する.前述と同様に、各半円形の圧電素子261 、262 の両面には電極が形成さる。振動板25を金属で形成したときは、半円形の振動板251 、252 が一方の電極となり、圧電素子261 、262 の上面に形成した電極29(図3C参照)が他方の電極となる。この各圧電振動板271 、272 を夫々樹脂シート15〔15A,15B〕で被覆して同時に2個の圧電発音素子281 、282 が構成される(図3B,C参照)。この半円形の圧電発音素子28〔281 、282 〕は、図3Dに示すように、その支持部分である樹脂シート15〔15A,15B〕の外周部15aを、支持部材、例えば機器の筐体17内の支持部18に取付けて支持される。
その他の、振動板25の材質、厚み、圧電素子13の材質、厚さ、電極29の構成、樹脂シート15の構成等は、前述の圧電発音素子11と同様であるので、重複説明を省略する。
この圧電発音素子281 、282 では、圧電素子261 、262 の両電極面に所要の信号を印加することにより、発音素子として機能する。
【0030】
図4は、かかる圧電発音素子28〔281 、282 〕の製造方法の実施の形態を示す。
先ず、図4Aに示すように、略半円形状の振動板251 及び252 を分断スペース31を挟んで配列し、且つ分断スペース31の一部において2つの半円形状の振動板251 及び252 を連結部32により連結してなる集合基板化された振動板25が設けられる。2つの振動板251 、252 は、円形をなすように分断スペース31を挟んで上下に対称的に配列される。連結部32は、振動板25〔251 、252 〕と一体に形成されると共に、切断し易いように細くて薄く形成される。連結部32は、例えばハーフエッチング等により振動板25より薄く形成される。分断スペース31は、振動板の製法と、分断するは刃の幅や位置決め精度などによって適宜決定される。例えば0.1〜0.5mm程度の幅が適する。また、分断スペース31にもよるが、1mm以下が適する。各半円形の振動板251 及び252 の圧電素子261 及び262 を接着する部分には、接着剤22が塗布される。接着剤の材質、塗布方法は前述と同様である。
【0031】
次に、図4Bに示すように、両半径形の振動板251 、252 上に跨がって1枚の正円形の圧電素子13をセットし、圧電素子13を接着剤22を介して振動板251 及び252 に貼り付ける。
【0032】
次に、図4Cに示すように、分断スペース31の部分に切断手段、例えばカッターを通すようにして正円形の圧電素子13を上下に2分割する。同時に振動板251 及び252 を連結している連結部32も切断される。切断手段は前述と同様のものが使用できる。これにより、図4Dに示すように、1枚の正円形の圧電素子13から2個の半円形の圧電素子261 、262 が作成され、且つ夫々の圧電素子261 、262 が半円形の振動板251 、252 上に接着されて成る2個の半円形の圧電振動板271 及び272 を得る。この圧電振動板271 、272 を、図示せざるも夫々圧電振動板271 、272 より大きい面積の柔軟性のある樹脂シート15で被覆して図3に示す圧電発音素子281 及び282 を製造する。
【0033】
本実施の形態に係る圧電発音素子28〔281 、282 〕によれば、圧電素子26〔261 、262 〕が半円形をなして形状異方性を有するので、高い音質の圧電発音素子を提供することができる。図8は、この半円形の圧電素子26を用いて成る圧電発音素子28、即ち図6の試料の圧電発音素子(圧電スピーカ)の音響特性を示す。
なお、図6の試料は後述するバイモルフ型の圧電発音素子28である。この圧電発音素子28は、直径φ25mmの圧電素子13を上下に対称に配置した半円形の振動板25の両面に貼り付け、中央部で2つに分断して半円形の圧電素子26を用い、樹脂シート15で被覆して作成したものである。圧電素子26上面の電極29と金属材による振動板25とから夫々リード線19a,19bが導出される。
この図8から分かるように、音圧の極大点と極小点の差が小さく、一般的な圧電発音素子、即ち前述の図9に示す正円形(直径φ25mm)の圧電素子を用いた圧電発音素子(圧電スピーカ)の音響特性に比べて、音圧周波数特性が大幅に改善されていることが認められる。
本実施の形態では、前述と同様に圧電ブザー等に用いられている例えば直径φ25mmの圧電素子を流用しつつ、一部加工を行うことで安易に音質の高品質化を達成することができる。
【0034】
本実施の形態に係る圧電発音素子281 、282 の製造方法によれば、1枚の正円形の振動板13から2分割して夫々2枚の半円形の圧電素子261 、262 を得て、2個の半円形の圧電発音素子281 、282 を作成するので、音響特性に優れた圧電発音素子を安価の製造することができる。
【0035】
上述の図1、図3の実施の形態では、振動板12又は25の片面に圧電素子13又は26を接着した構造(通常モノモルフ型という)について示したが、その他、振動板12又は25の両面に圧電素子13又は26を接着した構造(通常バイモルフ型という)についても適用することができる。
【0036】
図10〜図13は、上述した圧電発音素子11又は28〔281 、282 〕に適用される他の実施の形態を示す。
図10は、バイモルフ型の圧電発音素子である。この圧電発音素子41は、電極を兼ねる金属薄板による振動板45の両面に圧電素子46A,46Bを接着し、圧電素子46A,46Bの表面に電極47A,47Bを設けた圧電振動板48を形成し、この圧電振動板48を樹脂シート15〔15A,15B〕で被覆して構成される。樹脂シート15の最外周部53が支持部材の取付け部となる。
図11に示す圧電発音素子42は、金属薄板による振動板45の片面に圧電素子46を接着し、圧電素子46の表面に電極47を設けた圧電振動板51を形成し、この圧電振動板51を樹脂シート15〔15A,15B〕で被覆して構成される。樹脂シート15の最外周部53が支持部材の取付け部となる。
【0037】
図12に示す圧電発音素子43は、金属薄板による振動板45の両面に圧電素子46A,46Bを接着し、圧電素子46A,46Bの表面に電極47A,47Bを形成したバイモルフ型の圧電振動板48を用い、圧電振動板48の一方の面に圧電振動板48より一回り大きいポリプロピレン粘着シート15Aを被覆し、このポリプロピレン粘着シート15Aの最外周部53の接着層に剥離紙52を被着し、圧電振動板48の他方の面に圧電振動板48と同じ大きさの樹脂シート15Bを被覆して構成される。他方の樹脂シート15Bは、ポリプロピレン粘着シートあるいは熱可塑性樹脂シートの何れでもよい。この圧電発音素子43を支持部材に取り付けるときは、剥離紙52を剥離してポリプロピレン粘着シート15Aを直接支持部材に貼り付けるようになす。
【0038】
図13に示す圧電発音素子44は、金属薄板による振動板45の両面に圧電素子46A,46Bを接着し、圧電素子46A,46Bの表面に電極47A,47Bを形成したバイモルフ型の圧電振動板48を用い、圧電振動板48の一方の面に圧電振動板48より一回り大きいポリプロピレン粘着シート15Aを被覆し、このポリプロピレン粘着シート15Aの最外周部53の接着層に剥離紙52を被着して構成される。圧電振動板48の他方の面には樹脂シート15が被覆されない。この圧電発音素子43を支持部材に取り付けるときは、剥離紙52を剥離してポリプロピレン粘着シート15Aを直接支持部材に貼り付けるようになす。
【0039】
一方、上述した各実施の形態に係る圧電発音素子においては、圧電振動板を樹脂シート15で被覆し、圧電発音素子を樹脂シート15の最外周部で支持部材に支持する構成とすることにより、次のような効果を奏する。
(1) 圧電振動板を構成する金属材料やプラスチック材料の持つ材料固有の減衰比に対して、樹脂シート15そのものの減衰比は大きく、この樹脂シート15の減衰効果によって、圧電振動板そのものの減衰効果を高めるとが可能になる。この効果により、共振点近傍の山・谷の音圧差を抑制することができる。これにより、音圧周波数特性のより平坦化が得られる。
(2) 圧電振動板の全ての電極面が樹脂シート15で被覆することにより、端子分以外の全ての電極面が樹脂シート15で絶縁被覆され、電極面の絶縁性を確保できる。同時に外力による圧電素子部分の割れやひびの発生を抑制する効果も有る。
(3) 樹脂シート15は、(1)、(2)の効果を持つと同時に機器への接着という機能を併せ持っている。即ち、樹脂シートの外周部分の接着性により支持部材、例えば機器の筐体内の支持部に直接に実装することができる。
(4) 圧電発音素子の自由振動領域(XS×YS)外の筐体接着部である最外周部は樹脂シートのみの領域である。従って、樹脂シート15は、圧電振動板を支えるエッジも兼ね備えており、ある程度の強度を持っている必要がある。例えば何らかの外力により樹脂部に亀裂が入ったりすると振動前後の機密性が確保できなくなり、音響特性の劣化が生じる。本実施の形態では、熱可塑性樹脂シート、ポリプロピレン粘着テープ、ポリエチレン粘着テープ等、ある程度の強度を持った樹脂シート15を組み合わせることにより、樹脂部の強度を確保し、圧電発音素子の信頼性を確保することができる。圧電振動板を支える部分が樹脂シート15であり、適度の柔軟性を有するので、大振動にも対応でき低音再生が改善される。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係る圧電発音素子によれば、圧電素子が円の一部を直線でカットした形状であるので、形状異方性を有する圧電素子となり、最適な音響特性を有する圧電発音素子を提供することがでる。圧電素子を、高い寸法精度で形成される円形状の圧電素子から一部を直線状にカットして得るので、音響特性に優れた圧電発音素子を精度良く且つ安価に提供することができる。
【0041】
圧電素子を半円形状とするときは、圧電素子が形状異方性を有すると共に、1枚の円形の圧電素子から2個の半円形の圧電素子が得られ、音響特性に優れた圧電発音素子を精度良く且つより安価に提供できる。
圧電素子を円弧状の両端を直線で結んだ小判形状とするときは、圧電素子が形状異方性を有すると共に、円形の圧電素子から形成され、音響特性に優れた圧電発音素子を精度良く且つ安価に提供できる。
圧電振動板を、この圧電振動板より大きい面積の樹脂シートで被覆するときは、共振点近傍の山・谷の音圧差を抑制し音圧周波数特性をさらに平坦化することができる。樹脂シートの最外周部が圧電発音素子の取付け部を兼ねるので、柔軟な支持により低音の音圧を改善することができる。
【0042】
本発明に係る圧電発音素子の製造方法によれば、振動板に円形の圧電素子を接合し、所望形状に合わせて圧電素子の一部を直線状にカットする工程を有するので、形状異方性を有する圧電素子が得られ、音響特性に優れた圧電発音素子を製造することができる。高い寸法精度で形成される円形の圧電素子から出発するので、音響特性に優れた圧電発音素子を精度良く且つ安価に製造することができる。
【0043】
円形の圧電素子を振動板の外形に等しい位置で直線状にカットするときは、形状異方性を有する圧電素子を精度よく且つ容易に形成することがでる。
円形の圧電素子2分割して2個の半円形の圧電素子を形成するときは、音響特性に優れた圧電発音素子をより安価に製造することができる。
圧電振動板を、この圧電振動板より大きい面積の樹脂シートで被覆する工程を有するときは、さらに音響特性に優れた圧電発音素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A 本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態の圧電振動板を示す構成図である。
B 本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態を示す一部破断とする平面図である。
C 本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態を示す断面図である。
D 本発明の一実施の形態に係る圧電発音素子を支持部材に支持した状態の断面図である。
【図2】A〜D 本発明に係る圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図、特に圧電振動板の作成工程図である。
【図3】A 本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態の圧電振動板を示す構成図である。
B 本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態を示す一部破断とする平面図である。
C 本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態を示す断面図である。
D 本発明の他の実施の形態に係る圧電発音素子を支持部材に支持した状態の断面図である。
【図4】A〜D 本発明に係る圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図、特に圧電振動板の作成工程図である。
【図5】A 図7の音響特性の測定に使用した圧電発音素子の試料を示す一部破断とする平面図でる。
B その断面図である。
【図6】A 図8の音響特性の測定に使用した圧電発音素子の試料を示す一部破断とする平面図でる。
B その断面図である。
【図7】本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態(圧電素子が小判形)の音響特性図である。
【図8】本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態(圧電素子が半円形)の音響特性図である。
【図9】圧電素子が正円形の圧電発音素子の音響特性図である。
【図10】本発明に係る圧電発音素子の圧電振動板の他の実施の形態を示す断面図である。
【図11】本発明に係る圧電発音素子の圧電振動板の他の実施の形態を示す断面図である。
【図12】本発明に係る圧電発音素子の圧電振動板の他の実施の形態を示す断面図である。
【図13】本発明に係る圧電発音素子の圧電振動板の他の実施の形態を示す断面図である。
【図14】A 従来の円形圧電素子を用いた圧電ブザーの例を示す構成図である。
B 図14Aの圧電ブザーを支持部材に取り付けた状態の説明図である。
【符号の説明】
11、28〔281 、282 〕・・・圧電発音素子、12、25〔251 、252 〕・・・振動板、13、26〔261 、262 〕・・・圧電素子、14、27〔271 、272 〕・・・圧電振動板、15〔15A,15B〕・・・樹脂シート、16、29・・・電極、17・・・筐体、18・・・支持部
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に組み込まれる圧電発音素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型高性能化、通信技術の進歩により、発音素子自体も小型化・薄型化が進んでいる。圧電発音素子は原理的に構造が簡単で特に薄型化に適しており、各種電子機器に広く使われている。圧電発音素子の代表的な例としては、図14に示すような圧電ブザーが知られている。この圧電ブザー1は、円形の圧電素子2と金属薄板による振動板3とが接着されて成る圧電振動板4が設けられ、この圧電振動板4の外周部が、機器の筐体5に形成された突起部6に接着され、圧電素子2の両面、即ち金属の振動板3と圧電素子2の表面の電極間、に信号電圧7を印加する事により音を出すというものである。従来、圧電発音素子は、周波数による発生音圧の変動が著しく大きく、高品位な音を発音する事は難しく、電子音(ブザー音)等の用途に限定されていた。一方、圧電素子を用いた高音質な小型スピーカーも検討されてきている。特許文献1には、円形の圧電素子を有する圧電型スピーカが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7ー226999号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の圧電発音素子に用いられる圧電素子は出来るだけ薄くする事が望まれており、一般的には、圧電素子がシート成形によって作成される。一般的なシート成形プロセスは、簡略的には、焼成前の状態で厚さ数10μm〜数100μm程度の薄いシート状に形成し、このシート状のものを焼成して圧電素子を形成することになる。従来のメカプレスして焼成する工程に比べると、薄物を作るのに適した製法といえる。実際には、目的に合わせて素子形状を変える必要がある。この方法には、大きく分けて焼成前に行う場合と焼成後に行う場合がある。焼成前に行う方法としては、「打ち抜き」が用いられる。これは、焼成前のシートが柔らかい状態のため行えるが、非常に安価に形状を作成する事が可能で、かつ形状自由度も高い。一方、焼成後に行う方法は、素子の硬度が通常の圧電素子並となるので、砥石加工が主となる。この方法の場合、加工能率が悪い事や、形状自由度が低いことなどから、あまり一般的には用いられない。
【0005】
形状加工を焼成前に行う場合、形状自由度が高いことは魅力的だが、一方で注意すべき点がある。一般的にセラミックス素子を焼成すると、体積収縮が起こる。例えば、直径φ25mmで打ち抜いた円形の圧電シート(圧電素子)を焼成すると、体積収縮により焼成後の圧電素子の直径はφ25mm未満となる。例えば5%の収縮の場合は、焼成後の圧電素子の直径はφ23.75mmとなる。従って、打ち抜く寸法は、焼成時の収縮を考慮して決定される。
【0006】
このように、焼成前に形状を打ち抜く場合、収縮を考慮する必要があり、これは形状についても同様である。理想的には形状対称性の良い円形が望ましい。これは、収縮量が円の中心に対して全ての方向で等しい事による。これに対して、多角形や非対称形状の場合、場所による収縮量の違いによる変形や反り・ひび等の原因となり、これが歩留まりを悪化させる要因となる。
【0007】
正円形の圧電素子は電極形成にも適する。圧電素子は電極面を形成する必要があり、一般的には、スクリーン印刷などにより導電性ペーストを印刷し加熱処理して電極を形成する。スクリーン印刷を行う為には、電極印刷用のマスクに対して圧電素子を所定の位置にセットする必要がある。形状対称性の良い正円形は縦横の区別も無く位置決めがし易い。
【0008】
このように、圧電発音素子に用いられる圧電素子は、シート成形法を用い、焼成前に打ち抜きにより形状形成を行う事が低コストに適しており、その場合は、形状対称性の良い円形が最も適するということになる。その一方で、圧電発音素子の音響特性、特に周波数特性を平坦化させるためには、形状異方性を持たせることが有効である。この理由は、例えば縦横の寸法を変えることにより共振周波数を分散させて音響特性の平坦化が可能になること等による。
【0009】
これらの事情から、圧電発音素子を安価に得る為には正円形の圧電素子を用いることが望ましく、一方で音響特性を改善する為には形状異方性を持たせる事が必要となり、両者を同時に実現する事が難しい。
【0010】
本発明は、上述の点に鑑み、音響特性に優れ、且つ安価に得られる圧電発音素子及びその製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る圧電発音素子は、圧電素子と該圧電素子を貼り付けた振動板とからなる圧電振動板を有し、圧電素子を円形の一部が直線でカットされた形状に形成した構成とする。
【0012】
本発明の圧電発音素子では、圧電素子の形状を円形の一部が直線でカットされた形状に形成されるので、圧電素子の形状異方性が確保され、音響特性が向上する。円形の圧電シートを焼成した後、一部を直線にカットして形状異方性を有する圧電素子を形成することが可能になり、圧電発音素子が精度良く且つ安価得られる。
【0013】
本発明に係る圧電発音素子の製造方法は、振動板に円形の圧電素子を接合し、所望形状に合わせて、圧電素子の一部を直線状にカットする工程を有する。
【0014】
本発明の圧電発音素子の製造方法では、最初に円形の圧電素子を振動板に接合するので、円形故に圧電素子の寸法精度が高く、且つ振動板に対する圧電素子の位置決めもし易い。その後、円形の圧電素子の一部を直線状にカットするので、形状異方性を有する圧電素子となり、音響特性に優れた圧電発音素子の製造が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る圧電発音素子は、圧電素子を安価に作成可能な正円形状とし、この圧電素子を振動板と合体させた後に、所定の形状に切断し、即ち正円形状の一部を直線にカットして構成し、音響特性を改善するというものである。例えば厚さ数10μmの圧電素子そのものは非常に脆く割れ易い。本発明では、この薄膜の圧電素子を振動板に貼り付けることで振動板の強度により圧電素子を保持し、振動板の無い部分を切断して削除するようになす。これによって、圧電発音素子としては、圧電素子部の形状異方性が確保され、音響特性を改善することが可能となる。 さらに、1枚の正円形圧電素子から2つの半円形の圧電発音素子を作成することも可能である。半円形の振動板形状は、周波数特性の平坦性も良く、小型かつ高音質圧電発音素子になる。なお、本発明は、モノモルフ構造、バイモルフ構造の両者に適用するすることが出来る。
【0016】
以下、図面を参照して本発明に実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る圧電発音素子の実施の形態の一代表例を示す。本実施の形態においては、図1Aに示すように、長方形の振動板12の表面上に接着剤を介して当初は正円形である圧電素子13を接合した後、圧電素子13の振動板12の両側辺から均等にはみ出した部分13a,13bを長方形の辺に沿って切断し、小判形状の圧電素子13を形成して圧電振動板14を構成する。即ち、圧電素子13は、円形の2箇所を、その直径に対して平行かつ線対称となる直線でカットした小判型形状である。圧電素子13の両面には電極が形成される。振動板12を金属で形成したときには、振動板12が一方の電極となり、圧電素子13の上面に形成した電極16が他方の電極となる。この圧電振動板14を樹脂シート15〔15A,15B〕で被覆して本実施の形態の圧電発音素子11が構成される(図1B,C参照)。この圧電発音素子11は、図1Dに示すように、その支持部分である樹脂シート15の外周部15aを、支持部材、例えば機器の筐体17内の支持部18に取付けて支持される。
この圧電発音素子11では、圧電素子13の両電極面に所要の信号電圧を印加することにより、発音素子として機能する。
【0018】
図2は、かかる圧電発音素子11の製造方法の実施の形態を示す。
先ず、図2Aに示すように、短辺の寸法が円形の圧電素子13の直径より小さい長方形の振動板12を設け、この振動板12の圧電素子13を接着する部分に接着剤22を形成する。振動板12の材質は、例えば、ステンレス材、銅合金材、アルミニウム合金材、ニッケル合金材、チタン合金材などの、ある程度の弾性率を有する金属材料、若しくはプラスティック材料等が適する。本例では、金属材料で薄板状の振動板12を形成する。同図示するように、振動板12としては、エッチングや打ち抜きにより互いに連続した複数の振動板12を有した集合基板化された形態でもよい。集合基板化された複数の振動板12は、互いに切断し易い細くて薄い連結部21を介して連結され、圧電素子13を接合すべき領域に所要の接着剤22が塗布される。振動板12と連結部21は一体に形成され、例えば連結部21はハーフエッチングにより振動板12より薄く形成される。
【0019】
接着剤22としては、例えばエポキシ樹脂接着剤や嫌気効果接着剤など所定の接着強度をもつ接着剤を使用し得る。接着剤22の塗布方法としては、スクリーン印刷やスタンピング方法など、接着剤22の塗布量をある程度安定して塗布できる塗布方法を用いる。
【0020】
次に、図2Bに示すように、接着剤22が塗布された振動板12の所定位置に、円形の圧電素子13をセットした状態で、接着剤22の硬化条件に合わせた処理を行う。円形の圧電素子13は、その中心が長方形の振動板12の中心に合致又は合致に近い状態で振動板12に接着される。このため、円形の圧電素子13の両側の一部13a,13bは、同じ量だけ振動板12の両側短辺よりはみ出す(図2C参照)。
【0021】
次に、図2Cに示すように、振動板12の外形に合わせた位置、厳密には振動板12の外形より外側の位置で、例えばカッター、超音波カッター、ロータリーカッター、その他一般的な切断に用いる装置を用いて切断し、図において円形の圧電素子13の上下にはみ出した部分13a,13bを削除する(鎖線位置mで削除する)。なお、振動板12の外形と一致した位置、あるいは振動板12の外形より内側の位置で圧電素子13を切断することも可能である。削除部分は、圧電素子13のみである。また、圧電素子13の厚さは通常100μm以下と薄いため、カッターによる切断行為で、振動板12の外周部に沿ってクラックが進行し、容易に圧電素子13を切断することができる。鋏でも切断を可能にする。実際には、カッター刃の磨耗による切断性能の低下等を防ぐ為に、刃の材料としては耐磨耗性の有る材料を選定すると共に、切断回数或いは切断距離を管理して定期的に刃の交換を行う等の注意が必要である。さらに、隣合う振動板12間の連結部21を切断する(鎖線位置nで切断する)。
【0022】
このようにして、図2Dに示すように、長方形の振動板12上に小判形の圧電素子13が接着されて成る圧電振動板11を得る。この圧電振動板14を、図示せざるも、圧電振動板14より大きい面積の柔軟性のある樹脂シート15で被覆して図1に示す圧電発音素子11を製造する。
【0023】
樹脂シート15は、熱可塑性樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シート、ポリエステル樹脂シート等を選択して使用することができる。本例では、圧電振動板14の両面を被覆する樹脂シート15のうち、一方の樹脂シート15Aにポリプロピレン粘着シートを使用し、他方の樹脂シート15Bに熱可塑性樹脂シートを使用する。本例のポリプロピレン粘着シート15Aは、ポリプロピレン樹脂シートをベースとし、圧電素子13側の面に粘着層を有した粘着テープで形成される。
厚みに関しては、ベースとなるポリプロピレン樹脂シートの厚さが例えば20〜40μm程度で、粘着層を含む総厚は例えば60〜80μm程度である。ポリプロピレンは汎用的なテープとしては、材料固有の機械的共振鋭度(Q値)が低く、音響材料に適している。このポリプロピレン粘着シート15Aを圧電振動板14の一方の面に貼り付け、音響特性の改善と、電極16の絶縁性及び圧電素子13の保護を確保している。
【0024】
本例の熱可塑性樹脂シート15Bは、厚みが50μm〜100μm程度であり、振動板12の他方の面に熱圧着により貼り付けられる。熱可塑性樹脂は、加熱により接着性が再現するため、完成した圧電発音素子、例えば圧電スピーカの最外周部、即ち支持部材への接着部15dを再加熱・加圧することにより、支持部材に簡単に接着することが可能となる。熱可塑性樹脂シート15B自体のヤング率が小さく、前述のポリプロピレン樹脂シート15Aとの組み合わせにより、樹脂シート部に適度な強度を持たせることが可能である。
【0025】
圧電素子13は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料で形成され、出来るだけ厚さの薄いものが望ましい。電極16は、例えばAg,Ni,Au等のメタライズ電極膜、例えば導電性ペーストによる電極膜で形成することができる。
【0026】
本実施の形態に係る圧電発音素子11によれば、圧電素子13が円弧状の両端を直線で結んだ、いわゆる小判形状をなして形状異方性を有するので、高い音質の圧電発音素子を提供することができる。図7は、この小判形状の圧電素子13を用いて成る圧電発音素子11、即ち図5A,Bの試料の圧電発音素子の音響特性を示す。
なお、図5の試料は後述するバイモルフ型の圧電発音素子(圧電スピーカ)11である。この圧電発音素子11は、直径φ25mmの圧電素子13を26mm×19mmの略長方形の振動板12の両面に貼り付けた後に圧電素子13を19mm幅に切断した小判型圧電素子13を用い、樹脂シート15で被覆して作成したものである。圧電素子13上面の電極16と金属材による振動板12からリード線19a,19bが導出される。
この図7の音響特性から分かるように、音圧の極大と極小の差が小さく、一般的な圧電発音素子、例えば図9に示す正円形(直径φ25mm)の圧電素子を用いた圧電発音素子(即ち圧電スピーカ)の音響特性に比べて、音圧周波数が大幅に改善されていることが認められる。図9の正円形の圧電素子を用いた音響特性では、3kHz,9kHz辺りに異常な落ち込みがある。
本実施の形態では、圧電ブザーに用いられる例えば直径φ25mの圧電素子を流用しつつ、一部加工を行うことで安易に音質の高品質化を達成することができる。
【0027】
本実施の形態に係る圧電発音素子11の製造方法によれば、1枚の正円形の振動板13から一部直線状にカットし、小判形状の圧電素子13を得て圧電発音素子を製造するので、形状異方性を有する圧電素子13の寸法精度もよく、音響特性に優れた圧電発音素子を安価に製造することができる。
【0028】
図1及び図2では、圧電素子を、円形から加工して円弧状に両端を直線で結ぶ小判形としたが、形状はこれに限らず、円形から一部直線にカットした形状、つまり形状異方性を有し音響特性が改善される形状であれば、非対称形状等、どのような形状でも可能である。
【0029】
図3は、本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態を示す。本例は圧電素子の中央部を切断し、1枚の圧電素子から2個の発音素子を作成した例である。
本実施の形態においては、図3Aに示すように、円形の振動板25の表面上に接着剤を介して正円形の圧電素子13を接合した後、振動板25と共に圧電素子13を中央より鎖線位置pで2分割するように切断し、2個の半円形の圧電振動板27〔271 、272 〕を構成する.前述と同様に、各半円形の圧電素子261 、262 の両面には電極が形成さる。振動板25を金属で形成したときは、半円形の振動板251 、252 が一方の電極となり、圧電素子261 、262 の上面に形成した電極29(図3C参照)が他方の電極となる。この各圧電振動板271 、272 を夫々樹脂シート15〔15A,15B〕で被覆して同時に2個の圧電発音素子281 、282 が構成される(図3B,C参照)。この半円形の圧電発音素子28〔281 、282 〕は、図3Dに示すように、その支持部分である樹脂シート15〔15A,15B〕の外周部15aを、支持部材、例えば機器の筐体17内の支持部18に取付けて支持される。
その他の、振動板25の材質、厚み、圧電素子13の材質、厚さ、電極29の構成、樹脂シート15の構成等は、前述の圧電発音素子11と同様であるので、重複説明を省略する。
この圧電発音素子281 、282 では、圧電素子261 、262 の両電極面に所要の信号を印加することにより、発音素子として機能する。
【0030】
図4は、かかる圧電発音素子28〔281 、282 〕の製造方法の実施の形態を示す。
先ず、図4Aに示すように、略半円形状の振動板251 及び252 を分断スペース31を挟んで配列し、且つ分断スペース31の一部において2つの半円形状の振動板251 及び252 を連結部32により連結してなる集合基板化された振動板25が設けられる。2つの振動板251 、252 は、円形をなすように分断スペース31を挟んで上下に対称的に配列される。連結部32は、振動板25〔251 、252 〕と一体に形成されると共に、切断し易いように細くて薄く形成される。連結部32は、例えばハーフエッチング等により振動板25より薄く形成される。分断スペース31は、振動板の製法と、分断するは刃の幅や位置決め精度などによって適宜決定される。例えば0.1〜0.5mm程度の幅が適する。また、分断スペース31にもよるが、1mm以下が適する。各半円形の振動板251 及び252 の圧電素子261 及び262 を接着する部分には、接着剤22が塗布される。接着剤の材質、塗布方法は前述と同様である。
【0031】
次に、図4Bに示すように、両半径形の振動板251 、252 上に跨がって1枚の正円形の圧電素子13をセットし、圧電素子13を接着剤22を介して振動板251 及び252 に貼り付ける。
【0032】
次に、図4Cに示すように、分断スペース31の部分に切断手段、例えばカッターを通すようにして正円形の圧電素子13を上下に2分割する。同時に振動板251 及び252 を連結している連結部32も切断される。切断手段は前述と同様のものが使用できる。これにより、図4Dに示すように、1枚の正円形の圧電素子13から2個の半円形の圧電素子261 、262 が作成され、且つ夫々の圧電素子261 、262 が半円形の振動板251 、252 上に接着されて成る2個の半円形の圧電振動板271 及び272 を得る。この圧電振動板271 、272 を、図示せざるも夫々圧電振動板271 、272 より大きい面積の柔軟性のある樹脂シート15で被覆して図3に示す圧電発音素子281 及び282 を製造する。
【0033】
本実施の形態に係る圧電発音素子28〔281 、282 〕によれば、圧電素子26〔261 、262 〕が半円形をなして形状異方性を有するので、高い音質の圧電発音素子を提供することができる。図8は、この半円形の圧電素子26を用いて成る圧電発音素子28、即ち図6の試料の圧電発音素子(圧電スピーカ)の音響特性を示す。
なお、図6の試料は後述するバイモルフ型の圧電発音素子28である。この圧電発音素子28は、直径φ25mmの圧電素子13を上下に対称に配置した半円形の振動板25の両面に貼り付け、中央部で2つに分断して半円形の圧電素子26を用い、樹脂シート15で被覆して作成したものである。圧電素子26上面の電極29と金属材による振動板25とから夫々リード線19a,19bが導出される。
この図8から分かるように、音圧の極大点と極小点の差が小さく、一般的な圧電発音素子、即ち前述の図9に示す正円形(直径φ25mm)の圧電素子を用いた圧電発音素子(圧電スピーカ)の音響特性に比べて、音圧周波数特性が大幅に改善されていることが認められる。
本実施の形態では、前述と同様に圧電ブザー等に用いられている例えば直径φ25mmの圧電素子を流用しつつ、一部加工を行うことで安易に音質の高品質化を達成することができる。
【0034】
本実施の形態に係る圧電発音素子281 、282 の製造方法によれば、1枚の正円形の振動板13から2分割して夫々2枚の半円形の圧電素子261 、262 を得て、2個の半円形の圧電発音素子281 、282 を作成するので、音響特性に優れた圧電発音素子を安価の製造することができる。
【0035】
上述の図1、図3の実施の形態では、振動板12又は25の片面に圧電素子13又は26を接着した構造(通常モノモルフ型という)について示したが、その他、振動板12又は25の両面に圧電素子13又は26を接着した構造(通常バイモルフ型という)についても適用することができる。
【0036】
図10〜図13は、上述した圧電発音素子11又は28〔281 、282 〕に適用される他の実施の形態を示す。
図10は、バイモルフ型の圧電発音素子である。この圧電発音素子41は、電極を兼ねる金属薄板による振動板45の両面に圧電素子46A,46Bを接着し、圧電素子46A,46Bの表面に電極47A,47Bを設けた圧電振動板48を形成し、この圧電振動板48を樹脂シート15〔15A,15B〕で被覆して構成される。樹脂シート15の最外周部53が支持部材の取付け部となる。
図11に示す圧電発音素子42は、金属薄板による振動板45の片面に圧電素子46を接着し、圧電素子46の表面に電極47を設けた圧電振動板51を形成し、この圧電振動板51を樹脂シート15〔15A,15B〕で被覆して構成される。樹脂シート15の最外周部53が支持部材の取付け部となる。
【0037】
図12に示す圧電発音素子43は、金属薄板による振動板45の両面に圧電素子46A,46Bを接着し、圧電素子46A,46Bの表面に電極47A,47Bを形成したバイモルフ型の圧電振動板48を用い、圧電振動板48の一方の面に圧電振動板48より一回り大きいポリプロピレン粘着シート15Aを被覆し、このポリプロピレン粘着シート15Aの最外周部53の接着層に剥離紙52を被着し、圧電振動板48の他方の面に圧電振動板48と同じ大きさの樹脂シート15Bを被覆して構成される。他方の樹脂シート15Bは、ポリプロピレン粘着シートあるいは熱可塑性樹脂シートの何れでもよい。この圧電発音素子43を支持部材に取り付けるときは、剥離紙52を剥離してポリプロピレン粘着シート15Aを直接支持部材に貼り付けるようになす。
【0038】
図13に示す圧電発音素子44は、金属薄板による振動板45の両面に圧電素子46A,46Bを接着し、圧電素子46A,46Bの表面に電極47A,47Bを形成したバイモルフ型の圧電振動板48を用い、圧電振動板48の一方の面に圧電振動板48より一回り大きいポリプロピレン粘着シート15Aを被覆し、このポリプロピレン粘着シート15Aの最外周部53の接着層に剥離紙52を被着して構成される。圧電振動板48の他方の面には樹脂シート15が被覆されない。この圧電発音素子43を支持部材に取り付けるときは、剥離紙52を剥離してポリプロピレン粘着シート15Aを直接支持部材に貼り付けるようになす。
【0039】
一方、上述した各実施の形態に係る圧電発音素子においては、圧電振動板を樹脂シート15で被覆し、圧電発音素子を樹脂シート15の最外周部で支持部材に支持する構成とすることにより、次のような効果を奏する。
(1) 圧電振動板を構成する金属材料やプラスチック材料の持つ材料固有の減衰比に対して、樹脂シート15そのものの減衰比は大きく、この樹脂シート15の減衰効果によって、圧電振動板そのものの減衰効果を高めるとが可能になる。この効果により、共振点近傍の山・谷の音圧差を抑制することができる。これにより、音圧周波数特性のより平坦化が得られる。
(2) 圧電振動板の全ての電極面が樹脂シート15で被覆することにより、端子分以外の全ての電極面が樹脂シート15で絶縁被覆され、電極面の絶縁性を確保できる。同時に外力による圧電素子部分の割れやひびの発生を抑制する効果も有る。
(3) 樹脂シート15は、(1)、(2)の効果を持つと同時に機器への接着という機能を併せ持っている。即ち、樹脂シートの外周部分の接着性により支持部材、例えば機器の筐体内の支持部に直接に実装することができる。
(4) 圧電発音素子の自由振動領域(XS×YS)外の筐体接着部である最外周部は樹脂シートのみの領域である。従って、樹脂シート15は、圧電振動板を支えるエッジも兼ね備えており、ある程度の強度を持っている必要がある。例えば何らかの外力により樹脂部に亀裂が入ったりすると振動前後の機密性が確保できなくなり、音響特性の劣化が生じる。本実施の形態では、熱可塑性樹脂シート、ポリプロピレン粘着テープ、ポリエチレン粘着テープ等、ある程度の強度を持った樹脂シート15を組み合わせることにより、樹脂部の強度を確保し、圧電発音素子の信頼性を確保することができる。圧電振動板を支える部分が樹脂シート15であり、適度の柔軟性を有するので、大振動にも対応でき低音再生が改善される。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係る圧電発音素子によれば、圧電素子が円の一部を直線でカットした形状であるので、形状異方性を有する圧電素子となり、最適な音響特性を有する圧電発音素子を提供することがでる。圧電素子を、高い寸法精度で形成される円形状の圧電素子から一部を直線状にカットして得るので、音響特性に優れた圧電発音素子を精度良く且つ安価に提供することができる。
【0041】
圧電素子を半円形状とするときは、圧電素子が形状異方性を有すると共に、1枚の円形の圧電素子から2個の半円形の圧電素子が得られ、音響特性に優れた圧電発音素子を精度良く且つより安価に提供できる。
圧電素子を円弧状の両端を直線で結んだ小判形状とするときは、圧電素子が形状異方性を有すると共に、円形の圧電素子から形成され、音響特性に優れた圧電発音素子を精度良く且つ安価に提供できる。
圧電振動板を、この圧電振動板より大きい面積の樹脂シートで被覆するときは、共振点近傍の山・谷の音圧差を抑制し音圧周波数特性をさらに平坦化することができる。樹脂シートの最外周部が圧電発音素子の取付け部を兼ねるので、柔軟な支持により低音の音圧を改善することができる。
【0042】
本発明に係る圧電発音素子の製造方法によれば、振動板に円形の圧電素子を接合し、所望形状に合わせて圧電素子の一部を直線状にカットする工程を有するので、形状異方性を有する圧電素子が得られ、音響特性に優れた圧電発音素子を製造することができる。高い寸法精度で形成される円形の圧電素子から出発するので、音響特性に優れた圧電発音素子を精度良く且つ安価に製造することができる。
【0043】
円形の圧電素子を振動板の外形に等しい位置で直線状にカットするときは、形状異方性を有する圧電素子を精度よく且つ容易に形成することがでる。
円形の圧電素子2分割して2個の半円形の圧電素子を形成するときは、音響特性に優れた圧電発音素子をより安価に製造することができる。
圧電振動板を、この圧電振動板より大きい面積の樹脂シートで被覆する工程を有するときは、さらに音響特性に優れた圧電発音素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A 本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態の圧電振動板を示す構成図である。
B 本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態を示す一部破断とする平面図である。
C 本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態を示す断面図である。
D 本発明の一実施の形態に係る圧電発音素子を支持部材に支持した状態の断面図である。
【図2】A〜D 本発明に係る圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図、特に圧電振動板の作成工程図である。
【図3】A 本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態の圧電振動板を示す構成図である。
B 本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態を示す一部破断とする平面図である。
C 本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態を示す断面図である。
D 本発明の他の実施の形態に係る圧電発音素子を支持部材に支持した状態の断面図である。
【図4】A〜D 本発明に係る圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図、特に圧電振動板の作成工程図である。
【図5】A 図7の音響特性の測定に使用した圧電発音素子の試料を示す一部破断とする平面図でる。
B その断面図である。
【図6】A 図8の音響特性の測定に使用した圧電発音素子の試料を示す一部破断とする平面図でる。
B その断面図である。
【図7】本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態(圧電素子が小判形)の音響特性図である。
【図8】本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態(圧電素子が半円形)の音響特性図である。
【図9】圧電素子が正円形の圧電発音素子の音響特性図である。
【図10】本発明に係る圧電発音素子の圧電振動板の他の実施の形態を示す断面図である。
【図11】本発明に係る圧電発音素子の圧電振動板の他の実施の形態を示す断面図である。
【図12】本発明に係る圧電発音素子の圧電振動板の他の実施の形態を示す断面図である。
【図13】本発明に係る圧電発音素子の圧電振動板の他の実施の形態を示す断面図である。
【図14】A 従来の円形圧電素子を用いた圧電ブザーの例を示す構成図である。
B 図14Aの圧電ブザーを支持部材に取り付けた状態の説明図である。
【符号の説明】
11、28〔281 、282 〕・・・圧電発音素子、12、25〔251 、252 〕・・・振動板、13、26〔261 、262 〕・・・圧電素子、14、27〔271 、272 〕・・・圧電振動板、15〔15A,15B〕・・・樹脂シート、16、29・・・電極、17・・・筐体、18・・・支持部
Claims (8)
- 圧電素子と該圧電素子を貼り付けた振動板とからなる圧電振動板を有し、
前記圧電素子が円形の一部を直線でカットした形状であることを特徴とする圧電発音素子。 - 前記圧電素子が半円形状であることを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
- 前記圧電素子が円形の2箇所を、その直径に対して平行かつ線対称となる直線でカットした小判形状であることを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
- 前記圧電振動板が、該圧電振動板より大きい面積の樹脂シートで被覆されて成ることを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
- 振動板に円形の圧電素子を接合し、所望形状に合わせて、前記圧電素子の一部を直線状にカットする工程を有することを特徴とする圧電発音素子の製造方法。
- 前記圧電素子の一部の直線状のカットは、振動板の外形に等しい位置で行うことを特徴とする請求項5記載の圧電発音素子の製造方法。
- 前記圧電素子の一部の直線状のカットは、圧電振動板を2分割して、圧電素子を半円形状とすることを特徴とする請求項5記載の圧電発音素子の製造方法。
- 前記圧電素子の一部を直線状にカットして圧電振動板を形成した後、
該圧電振動板を該圧電振動板より大きい面積の樹脂シートで被覆する工程を有することを特徴とする請求項5記載の圧電発音素子の製造方法。
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