JP2001088722A - 車両用操舵装置 - Google Patents
車両用操舵装置Info
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Abstract
うことにより、車両の総合的な運動特性を向上する。 【解決手段】舵角変換部26は、可変設定可能な伝達関
数C(s)を用いて、ステアリングホイールの操作角δh
を、制御用操舵角C(s)・δhに変換する。走行状態判別
部27は、車両の走行状態が、緊急状態、直進状態およ
び旋回状態のうちのいずれに該当するかを判別する。緊
急状態のときには、目標横加速度Gy*および目標ヨーレ
ートγ*に対する実際の横加速度Gyおよびヨーレートγ
の変動が位相進みとなるように伝達関数C(s)が設定さ
れる。直進状態のときには、横加速度Gyおよびヨーレ
ートγの変動が位相遅れとなるように、伝達関数C(s)
が設定される。さらに、旋回状態のときには、横加速度
Gyおよびヨーレートγの変動がニュートラルバランス
となるように、伝達関数C(s)が設定される。
Description
アリングホイールなどの操作手段の操作に対する舵取り
車輪の転舵の関係を変更しうる車両用操舵装置に関す
る。
舵するための舵取り機構との機械的な結合を無くし、ス
テアリングホイールの操作方向および操作量を検出する
とともに、その検出結果に基づいて、舵取り機構に電動
モータ等のアクチュエータからの駆動力を与えるように
した車両用操舵装置が提案されている(たとえば、特開
平9−142330号公報参照)。
取り機構とステアリングホイールとを機械的に連結する
必要がないので、衝突時におけるステアリングホイール
の突き上げを防止できるとともに、舵取り機構の構成を
簡素化および軽量化することができる。また、ステアリ
ングホイールの配設位置の自由度が増し、さらには、ス
テアリングホイール以外のレバーまたはペダル等の他の
操作手段の採用をも可能とすることができる。
両用操舵装置においては、ステアリングホイールの操作
と舵取り機構の動作との関係を電気的制御によって、自
由に変更することができるので、車両の運転性能を飛躍
的に向上できるものと期待されている。たとえば、操舵
に対する車両の運動特性(オーバーステア、アンダース
テア、ニュートラルステアなど)は、車両諸元(重量、
ホイールベース、重心位置等のパラメータ)によって、
ほぼ確定するが、この運動特性は、ステアリングホイー
ルの操作と舵取り機構の動作との関係を、電気的制御に
よって適切に定めることにより、最適化できる。
剛性感および素直さといった運動特性の指標により表さ
れる。しかし、これらの指標は、制御の特性上、相反す
る部分があり、全ての指標を十分に満たすことは困難で
ある。すなわち、たとえば、危険を回避する場合のよう
な緊急時には、良好な応答性が求められるのに対して、
直進時には、ふらつきを無くすために高い剛性感が求め
られ、これらを同時に満たすことは困難である。また、
旋回時には、運転者の意思(ステアリングホイールの操
作)に良好に追従する舵取り制御が必要であるので、素
直さが重視されるが、素直さを高めるには、剛性感を犠
牲にせざるを得ない。
態に応じた適切な舵取り制御を行うことによって、車両
の運動特性を向上できる車両用操舵装置を提供すること
である。
目的を達成するための請求項1記載の発明は、操作手段
(1)の操作に基づいて舵取り機構(2,3)を駆動す
る車両用操舵装置であって、車両の挙動を表す挙動変数
の規範値を操作手段の操作内容に応じて演算する規範値
演算手段(25)と、車両の実際の挙動を表す挙動変数
を検出する車両挙動検出手段(15,16)と、車両の
走行状態を判別する走行状態判別手段(27)と、前記
操作手段の操作角に応じて舵取り機構を駆動する舵取り
制御部(20,26,28)と、前記走行状態判別手段
の判別結果に基づいて、車両の挙動変数の変動を位相進
み、位相遅れまたはニュートラルバランスのいずれかに
制御すべく、前記舵取り制御部による前記舵取り機構の
制御態様を変更する走行状態適応手段(26)とを含む
ことを特徴とする車両用操舵装置である。位相進みと
は、車両の実際の挙動変数が規範の挙動変数よりも早く
変動する状態をいい、位相遅れとは、車両の実際の挙動
変数が規範の挙動変数よりも遅く変動する状態をいい、
ニュートラルバランスとは、位相進みも位相遅れもない
状態をいう。なお、括弧内の数字は、後述の実施形態に
おける対応構成要素を表す。
合が無く、操作手段の操作に対応して舵取り機構が電気
的に制御されるようになっていることが好ましい。この
発明によれば、車両の走行状態に適応して、車両の挙動
変数の変動が、位相進み、位相遅れまたはニュートラル
バランスとなるように、舵取り機構の制御態様が変更さ
れる。これにより、走行状態に適応した適切な舵取り制
御が行われるので、車両の運動特性が向上される。
走行状態判別手段は、緊急操舵のために前記操作手段が
操作された緊急状態、車両が直進している直進状態、お
よび車両が旋回している旋回状態を判別することができ
るものであってもよい。この場合に、請求項3に記載の
ように、前記走行状態適応手段は、前記走行状態判別手
段により車両の走行状態が緊急状態であると判別された
ときには、車両の挙動変数の変動が位相進みとなるよう
に前記舵取り制御部の制御態様を設定し、前記走行状態
判別手段により車両の走行状態が直進状態であると判別
されたときには、車両の挙動変数の変動が位相遅れとな
るように前記舵取り制御部の制御態様を設定し、前記走
行状態判別手段により車両の走行状態が旋回状態である
と判別されたときには、車両の挙動変数の変動がニュー
トラルバランスとなるように前記舵取り制御部の制御態
様を設定するものであってもよい。
動変数の変動が位相進みとなるようにして応答性が向上
される。また、直進時には、車両の挙動変数の変動が位
相遅れとなるようにして剛性感が向上される。さらに、
旋回時には、車両の挙動変数の変動をニュートラルバラ
ンスとして、素直さの向上が図られる。このようにし
て、車両の運動特性の相反する指標を、車両の走行状態
に適応して個別に向上できるから、全ての指標を十分に
満足な値とすることができ、車両の総合的な運動特性を
格段に向上することができる。
速度を含んでもよい。さらに、車両の挙動変数は、車両
のヨーレートを含んでもよい。車両の横加速度および/
またはヨーレートを、車両の走行状態に適応して、位相
進み、位相遅れまたはニュートラルバランスとなるよう
に制御することによって、良好な姿勢制御が可能にな
り、車両の操向性能を向上することができる。
を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、この
発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の基本的な構成
を説明するための概念図である。この車両用操舵装置
は、ステアリングホイール(操作手段)1の回転操作に
応じて駆動される操舵用アクチュエータ2の動作をステ
アリングギア3によって前部左右車輪4(舵取り車輪)
の転舵運動に変換することによって、ステアリングホイ
ール1とステアリングギア3とを機械的に連結すること
なく、操舵を達成している。この場合に、操舵用アクチ
ュエータ2およびステアリングギア3などにより、舵取
り機構が構成されている。
のブラシレスモータ等の電動モータにより構成すること
ができる。ステアリングギア3は、操舵用アクチュエー
タ2の出力シャフトの回転運動をステアリングロッド7
の軸方向(車幅方向)の直線運動に変換する運動変換機
構(ボールねじ機構など)を有する。ステアリングロッ
ド7の運動は、タイロッド8を介してナックルアーム9
に伝達され、このナックルアーム9の回動を引き起こ
す。これにより、ナックルアーム9に支持された車輪4
の転舵が達成される。
回転可能に支持された回転シャフト10に連結されてい
る。この回転シャフト10には、ステアリングホイール
1に操舵反力を与えるための反力アクチュエータ19が
付設されている。具体的には、反力アクチュエータ19
は、回転シャフト10と一体の出力シャフトを有するブ
ラシレスモータ等の電動モータにより構成することがで
きる。回転シャフト10のステアリングホイール1とは
反対側の端部には、渦巻きばねなどからなる弾性部材3
0が車体との間に結合されている。この弾性部材30
は、反力アクチュエータ19がステアリングホイール1
にトルクを付加していないときに、その弾性力によっ
て、ステアリングホイール1を直進操舵位置に復帰させ
る。
出するために、回転シャフト10の回転角に対応する操
作角δhを検出するための角度センサ11が設けられて
いる。また、回転シャフト10には、ステアリングホイ
ール1に加えられた操作トルクTを検出するためのトル
クセンサ12が設けられている。一方、操舵用アクチュ
エータ2の出力値を検出するための出力値センサとし
て、車輪4の転舵角δを検出する転舵角センサ13が設
けられている。この転舵角センサ13は、操舵用アクチ
ュエータ2によるステアリングロッド7の作動量を検出
するポテンショメータなどで構成することができる。
転舵角センサ13は、コンピュータを含むステアリング
系制御装置20(舵取り制御部)に接続されている。こ
の制御装置20には、さらに、車両の横加速度Gyを検
出するための横加速度センサ15と、車両のヨーレート
γを検出するヨーレートセンサ16と、車速Vを検出す
る速度センサ14とが接続されている。なお、横加速度
Gyおよびヨーレートγに相関する変量として、操作角
δhと車速V以外に、たとえば、車輪速を検出するセン
サを制御装置20に接続してもよい。
して操舵用アクチュエータ2と反力アクチュエータ19
とを制御する。図2は、制御装置20の操舵用アクチュ
エータ2の制御に関する制御内容を説明するためのブロ
ック図である。制御装置20は、コンピュータによるプ
ログラム処理によって、図2に示された各機能部の動作
を実現する。具体的に説明すると、制御装置20は、車
両運動モデルに基づいて、操作角δhに対応した規範の
横加速度およびヨーレートである目標横加速度Gy*およ
び目標ヨーレートγ*を演算する目標値演算部25と、
操作角δhを適切な制御用操舵角C(s)・δhに変換する
舵角変換部26と、車両の走行状態が緊急状態、直進状
態および旋回状態のいずれに該当するかを判別するため
の走行状態判別部27と、操舵用アクチュエータ2を制
御するための目標転舵角δ*を演算する目標転舵角演算
部28とを有している。
5によって演算された目標横加速度Gy*および目標ヨー
レートγ*、横加速度センサ15によって検出された車
両の実際の横加速度Gy、ヨーレートセンサ16によっ
て検出された車両の実際のヨーレートγ、ならびに速度
センサ14によって検出された車速Vに基づいて、制御
用操舵角C(s)・δhに対応した適切な目標転舵角δ*を
求める。この目標転舵角δ*に基づいて操舵用アクチュ
エータ2がフィードバック制御されることにより、車両
50(具体的には車輪4)が適切に転舵され、車両50
の操向制御が行われる。
判別結果に応じて、横加速度Gyおよびヨーレートγが
それぞれの目標値Gy*,γ*に対して位相進み、位相遅
れまたはニュートラルバランスとなるように制御する。
具体的には、伝達関数C(s)を走行状態判別部27によ
る判別結果に基づいて適切に変更することにより、走行
状態に適応した姿勢制御が実現される。伝達関数C(s)
には、たとえば、下記第(1)式を採用することができ
る。
値Gy*,γ*に対して位相進みとなるようにする場合に
は、係数α,βは、たとえば、下記第(2)式のように設
定される。 0<α<1 β=1 ・・・・・・(2) また、横加速度Gyおよびヨーレートγを各目標値G
y*,γ*に対して位相遅れとなるようにする場合には、
係数α,βは、たとえば、下記第(3)式のように設定さ
れる。
*,γ*に対して位相進みまたは位相遅れのないニュート
ラルバランスとする場合には、たとえば、下記第(4)式
のように係数α,βが設定される。 α=1 β=1 ・・・・・・(4) そこで、舵角変換部26は、走行状態判別部27によっ
て、車両の走行状態が、緊急操舵のためにステアリング
ホイール1が操作されたことに対応する緊急状態に該当
すると判別された場合には、係数α,βを前記第(2)式
のように設定した前記第(1)式の伝達関数C(s)を用いて
操作角δhを変換して、制御用操舵角C(s)・δhを求め
る。これにより、横加速度Gyおよびヨーレートγの制
御(姿勢制御)の応答性が向上されるので、ステアリン
グホイール1の操作に応じて、速やかな転舵が達成され
る。
27によって、車両50の走行状態が直進状態に該当す
ると判別された場合には、係数α,βを前記第(3)式の
ように設定した前記第(1)式の伝達関数C(s)を用いて操
作角δhを変換し、制御用操舵角C(s)・δhを求める。
これにより、横加速度Gyおよびヨーレートγの制御の
応答性が鈍化され、代わって、剛性感が増大することに
なる。したがって、直進時には、十分な剛性感を得るこ
とができるので、ふらつきを無くすことができる。
部27によって、車両の走行状態が旋回状態に該当する
と判別された場合には、係数α,βを前記第(4)式のよ
うに設定した前記第(1)式の伝達関数C(s)を用いて操作
角δhを変換し、制御用操舵角C(s)・δhを求める。こ
れにより、横加速度Gyおよびヨーレートγは、ステア
リングホイール1の操作に良好に追従するようになり、
いわゆる素直さが向上されることになる。これにより、
旋回時における操向性が良くなり、運転者の意思どおり
に車両の進行方向を変化させることができる。
δhまたは転舵角δ、操作トルクTおよび車両の挙動変
化(横加速度Gyやヨーレートγ)に基づいて車両の走
行状態を判別する。このような走行状態の判別の具体例
は、たとえば、特開平9−301213号公報に開示さ
れており、この公開公報に開示されている処理を走行状
態判別部27の機能の実現のために利用することができ
る。以上のようにこの実施形態によれば、車両の走行状
態が緊急状態、直進状態および旋回状態のいずれに該当
するかを判別し、その判別結果に応じて、横方向加速度
Gyおよびヨーレートγが、位相進み、位相遅れまたは
ニュートラルバランスとなるように舵取り制御(操舵用
アクチュエータ2の制御)を行うようにしている。これ
により、それぞれの走行状態に対して車両の運動特性を
最適化することができるので、車両の総合的な運動特性
を向上することができ、応答性、剛性感および素直さと
いった全ての指標を十分に満足することが可能となる。
形態で実施することも可能である。たとえば、上述の第
(1)式に示した伝達関数C(s)は一例であり、他にも、た
とえば、下記第(5)式に示す伝達関数C(s)を採用しても
よい。
に設定することによって、横方向加速度Gyおよびヨー
レートγが、位相進み、位相遅れまたはニュートラルバ
ランスとなるような舵取り制御を実現できる。より具体
的には、時定数T1を大きく設定することによって、位
相進みの傾向とすることができ、時定数T3を大きく設
定することによって、位相遅れの傾向とすることができ
る。さらに、上述の実施形態では、四輪車両の2つの車
輪が舵取り車輪として転舵可能な場合について説明した
が、四輪操舵システムにこの発明を適用してもよい。こ
の場合には、車両の走行状態が旋回状態であると判別さ
れたときに、旋回開始当初の期間には、横方向加速度G
yを位相進みの状態とし、ヨーレートγはニュートラル
バランスの状態とし、その後に、横方向加速度Gyおよ
びヨーレートγの両方がニュートラルバランスの状態に
移行するように、前車輪および後車輪の個別転舵制御が
行われることが好ましい。これにより、車両がスピンす
る傾向を抑制しつつ、旋回操舵当初の応答性を向上でき
るので、操向性能をさらに向上できる。
てステアリングホイール1が用いられる例について説明
したが、この他にも、レバーやペダルなどの他の操作手
段が用いられてもよい。これらの他にも、特許請求の範
囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すこと
が可能である。
基本的な構成を説明するための概念図である。
である。
Claims (3)
- 【請求項1】操作手段の操作に基づいて舵取り機構を駆
動する車両用操舵装置であって、 車両の挙動を表す挙動変数の規範値を操作手段の操作内
容に応じて演算する規範値演算手段と、 車両の実際の挙動を表す挙動変数を検出する車両挙動検
出手段と、 車両の走行状態を判別する走行状態判別手段と、 前記操作手段の操作角に応じて舵取り機構を駆動する舵
取り制御部と、 前記走行状態判別手段の判別結果に基づいて、車両の挙
動変数の変動を位相進み、位相遅れまたはニュートラル
バランスのいずれかに制御すべく、前記舵取り制御部に
よる前記舵取り機構の制御態様を変更する走行状態適応
手段とを含むことを特徴とする車両用操舵装置。 - 【請求項2】前記走行状態判別手段は、緊急操舵のため
に前記操作手段が操作された緊急状態、車両が直進して
いる直進状態、および車両が旋回している旋回状態を判
別することができるものであることを特徴とする請求項
1記載の車両用操舵装置。 - 【請求項3】前記走行状態適応手段は、前記走行状態判
別手段により車両の走行状態が緊急状態であると判別さ
れたときには、車両の挙動変数の変動が位相進みとなる
ように前記舵取り制御部の制御態様を設定し、前記走行
状態判別手段により車両の走行状態が直進状態であると
判別されたときには、車両の挙動変数の変動が位相遅れ
となるように前記舵取り制御部の制御態様を設定し、前
記走行状態判別手段により車両の走行状態が旋回状態で
あると判別されたときには、車両の挙動変数の変動がニ
ュートラルバランスとなるように前記舵取り制御部の制
御態様を設定するものであることを特徴とする請求項2
記載の車両用操舵装置。
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