JP3646026B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、ステアリングホイールなどの操作手段の操作に対する舵取り車輪の転舵の関係を変更しうる車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステアリングホイールと舵取り車輪を転舵するための舵取り機構との機械的な結合を無くし、ステアリングホイールの操作方向および操作量を検出するとともに、その検出結果に基づいて、舵取り機構に電動モータ等のアクチュエータからの駆動力を与えるようにした車両用操舵装置が提案されている(たとえば、特開平9−142330号公報参照)。
【0003】
このような構成を採用することにより、舵取り機構とステアリングホイールとを機械的に連結する必要がないので、衝突時におけるステアリングホイールの突き上げを防止できるとともに、舵取り機構の構成を簡素化および軽量化することができる。また、ステアリングホイールの配設位置の自由度が増し、さらには、ステアリングホイール以外のレバーまたはペダル等の他の操作手段の採用をも可能とすることができる。
【0004】
上記のような構成の車両用操舵装置においては、ステアリングホイールの操作と舵取り機構の動作との関係を電気的制御によって、自由に変更することができるので、車両の運転性能を飛躍的に向上できるものと期待されている。
たとえば、ステアリングホイールの操作トルクまたは操作角に対応する目標ヨーレートまたは目標横加速度を求め、これらに基づいて舵取り機構の動作を制御することによって、車両の姿勢制御を行うことができ、操舵に対する車両の運動特性を最適化できる。
【0005】
舵取り機構の目標転舵角は、目標ヨーレートまたは目標横加速度、ならびに車両の諸元等から求めたパラメータ(スタビリティファクタ)および車速を用いて演算されるようになっていて、目標ヨーレートまたは目標横加速度に対する目標転舵角のゲインが、車速に対して非線型に設定されるようになっている。そのため、中速域および高速域では問題はないが、低速域では、車速の減少とともに前記ゲインが指数関数的に増大し、タイヤ角の変化が激しくなり、車両の横揺れが大きくなるという問題を生じる。そこで、従来は、姿勢制御を行う車速領域を、たとえば、30km/h以上の中高速域に限定していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これでは、低速域における姿勢制御が行われないことになるから、たとえば、跨ぎ路での急制動時または急加速時などに、車両姿勢が不安定になる等、低速走行時における車両の運動性能が必ずしもよくないという問題がある。そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、低速走行時における車両の運動性能を改善できる車両用操舵装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、操作手段(1)の操作に応じて舵取り機構(2,3)を駆動する車両用操舵装置であって、車両の挙動を表す挙動変数の規範値である目標挙動変数を操作手段の操作内容に応じて演算する目標挙動変数演算手段(31)と、当該車両用操舵装置が搭載される車両の車速を検出する車速検出手段(14)と、前記目標挙動変数演算手段によって演算された目標挙動変数および前記車速検出手段によって検出された車速に基づいて前記舵取り機構の目標転舵角を設定する目標転舵角設定手段(32)と、前記目標挙動変数に対する前記目標転舵角のゲインを、所定車速(境界車速)以上の中高速域においては車速およびスタビリティファクターを用いて(たとえば、車速に対して非線型に)定められるゲイン曲線に基づいて定め、前記所定車速未満の低速域においては車速の減少に伴って前記ゲインが線型に変化するように(好ましくは、スタビリティファクターと無関係に)定めるゲイン設定手段(35)と、前記目標転舵角設定手段によって設定された目標転舵角に基づいて前記舵取り機構を駆動制御する舵取り制御手段(20,33)とを含み、前記ゲイン設定手段は、前記低速域における前記ゲインを、車速の減少に伴うゲインの増加率が、前記ゲイン曲線の前記所定車速における接線の場合の値以下となるように定めるものであることを特徴とする車両用操舵装置である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0008】
前記操作手段と舵取り機構との間には機械的な結合が無く、操作手段の操作に対応して舵取り機構が電気的に制御されるようになっていることが好ましい。
この発明によれば、低速域においては、目標挙動変数に対する目標転舵角のゲインが、車速の減少に伴って線型に変化するように定められる。これにより、低速域における指数関数的なゲインの増加を防止できるので、低速域においても、姿勢制御を良好に行うことができる。これにより、低速走行時における車両の運動性能を改善することができる。むろん、中高速域における姿勢制御も良好に行えるから、全車速領域において、良好な車両の運動性能を実現できる。
【0009】
なお、前記舵取り制御手段は、車両の実際の挙動を表す挙動変数を検出する挙動変数検出手段(15,16)の出力を用いて、舵取り機構をフィードバック制御するものであることが好ましい。
【0010】
より具体的には、たとえば、前記所定車速V*以上では、下記第(1)式に従って非線型にゲインを定めることとし、前記所定車速V*未満の低速域では、下記第(2)式に従って線型にゲインを定めることが好ましい。
【0011】
【数1】
【0012】
なお、前記車両の挙動変数は、車両の横加速度を含んでもよい。さらに、車両の挙動変数は、車両のヨーレートを含んでもよい。
すなわち、目標横加速度および/または目標ヨーレートに対する目標転舵角のゲインを低速域において線型に設定することにより、低速域における良好な姿勢制御が可能になり、低速走行時における車両の運動性能を向上することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記舵取り制御手段は、前記低速域において、減速度または加速度が所定の条件を満たすことを条件に、前記目標挙動変数に基づく前記舵取り機構の制御を実行する手段(S4,S5)を含むことを特徴とする請求項1記載の車両用操舵装置である。
請求項1の発明により、低速走行時における車両の運動性能を改善できるが、乗員数やタイヤの空気圧変化などにより車両の特性が変化したりした場合には、横揺れが発生するおそれがある。
【0014】
そこで、この発明では、低速走行時には、姿勢制御がとくに必要な場合に満たされる条件、すなわち、たとえば、加速度または減速度が各所定値以上となる急加速時または急減速時であることを条件に、姿勢制御を行うようにしている。
請求項3記載の発明は、前記舵取り制御手段は、前記低速域において、操作手段の操作角または操作角速度が所定の条件を満たすことを条件に、前記目標挙動変数に基づく前記舵取り機構の制御を実行する手段(S2,S3)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の車両用操舵装置である。
【0015】
この発明でも、請求項2の発明の場合と同じく、姿勢制御がとくに必要な場合に満たされる条件、すなわち、操作角または操作角速度が、たとえば、各所定値以上の大きな値を示すことを条件に、姿勢制御を行うこととしている。
これらの請求項2または3の発明により、低速走行時における姿勢制御を良好に行いつつ、車両の横揺れを防ぐことができ、結果として、車両の運動性能をさらに向上できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の基本的な構成を説明するための概念図である。この車両用操舵装置は、ステアリングホイール(操作手段)1の回転操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータ2の動作をステアリングギア3によって前部左右車輪4(舵取り車輪)の転舵運動に変換することによって、ステアリングホイール1とステアリングギア3とを機械的に連結することなく、操舵を達成している。この場合に、操舵用アクチュエータ2およびステアリングギア3などにより、舵取り機構が構成されている。
【0017】
操舵用アクチュエータ2は、たとえば公知のブラシレスモータ等の電動モータにより構成することができる。ステアリングギア3は、操舵用アクチュエータ2の出力シャフトの回転運動をステアリングロッド7の軸方向(車幅方向)の直線運動に変換する運動変換機構(ボールねじ機構など)を有する。ステアリングロッド7の運動は、タイロッド8を介してナックルアーム9に伝達され、このナックルアーム9の回動を引き起こす。これにより、ナックルアーム9に支持された車輪4の転舵が達成される。
【0018】
ステアリングホイール1は、車体に対して回転可能に支持された回転シャフト10に連結されている。この回転シャフト10には、ステアリングホイール1に操舵反力を与えるための反力アクチュエータ19が付設されている。具体的には、反力アクチュエータ19は、回転シャフト10と一体の出力シャフトを有するブラシレスモータ等の電動モータにより構成することができる。
回転シャフト10のステアリングホイール1とは反対側の端部には、渦巻きばねなどからなる弾性部材30が車体との間に結合されている。この弾性部材30は、反力アクチュエータ19がステアリングホイール1にトルクを付加していないときに、その弾性力によって、ステアリングホイール1を直進操舵位置に復帰させる。
【0019】
ステアリングホイール1の操作入力値を検出するために、回転シャフト10の回転角に対応する操作角δhを検出するための角度センサ11が設けられている。また、回転シャフト10には、ステアリングホイール1に加えられた操作トルクTを検出するためのトルクセンサ12が設けられている。
一方、操舵用アクチュエータ2の出力値を検出するための出力値センサとして、車輪4の転舵角δを検出する転舵角センサ13が設けられている。この転舵角センサ13は、操舵用アクチュエータ2によるステアリングロッド7の作動量を検出するポテンショメータなどで構成することができる。
【0020】
角度センサ11、トルクセンサ12および転舵角センサ13は、コンピュータを含むステアリング系制御装置20(舵取り制御手段)に接続されている。この制御装置20には、さらに、車両の横加速度Gyを検出するための横加速度センサ15と、車両のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ16と、車速Vを検出する速度センサ14とが接続されている。なお、横加速度Gyおよびヨーレートγに相関する変量として、操作角δhと車速V以外に、たとえば、車輪速を検出するセンサを制御装置20に接続してもよい。
【0021】
制御装置20は、駆動回路22,23を介して操舵用アクチュエータ2と反力アクチュエータ19とを制御する。
図2は、制御装置20の制御内容を説明するためのブロック図である。制御装置20は、コンピュータによるプログラム処理によって、図2に示された各機能部の動作を実現する。
図中の記号について説明すると、Gyは横加速度センサ15によって検出される車両の横加速度、Gy*は横加速度の目標値、γはヨーレートセンサ16によって検出される車両のヨーレート、δは転舵角センサ13によって検出される舵取り機構の転舵角、δ*は転舵角の目標値、δhは角度センサ11によって検出される操作角、Vは速度センサ14によって検出される車速、Tはトルクセンサ12によって検出される操作トルク、T*は操作トルクの目標値、i*は操舵用アクチュエータ2の駆動電流の目標値、ih*は反力アクチュエータ19の駆動電流の目標値を示す。
【0022】
目標横加速度演算部31は、操作角δhに基づいて、Gy*=K1・δhにより、目標横加速度Gy*を求める。K1は、操作角δhに対する目標横加速度Gy*のゲインであり、最適な制御を行えるように調整される。発生可能な横加速度は車速が小さくなると小さくなるので、ゲインK1は車速Vの関数とされている。
一方、角度センサ11が検出する操作角δhに基づき、目標トルク演算部25によって目標トルクT*が求められる。具体的には、目標トルクT*は、T*=K2・δh(ただし、K2は、操作角δhに対する目標トルクT*のゲインである。)として定められる。この目標トルクT*に対する操作トルクTの偏差(T*−T)が求められ、これに基づいて、反力アクチュエータ制御部26は、反力アクチュエータ19の目標駆動電流ih*を設定する。この目標駆動電流ih*は、ih*=G4・(T*−T)により定められる。ただし、G4は、伝達関数であり、たとえば、G4=Kd(1+1/(Td・s))とされる。Kdはゲイン、Tdは時定数、sはラプラス演算子である。
【0023】
目標転舵角δ*を求める目標転舵角演算部32は、横加速度に基づく目標転舵角δG *と、ヨーレートに基づく目標転舵角δγ*とを加算して、目標転舵角δ*=δG *+δγ*を求める。横加速度に基づく目標転舵角δG *は、目標横加速度Gy*に対する実際の車両50の横加速度Gyの偏差(Gy*−Gy)および伝達関数G1により、δG *=G1・(Gy*−Gy)として求められる。これに対して、ヨーレートに基づく目標転舵角δγ*は、車両50の実際のヨーレートγと車速Vとの積算値γ・Vの目標横加速度Gy*に対する偏差(Gy*−γ・V)を求め、この偏差と伝達関数G2とによって、δγ*=G2・(Gy*−γ・V)として求められる。目標ヨーレートγ*と目標横加速度Gy*との間には、γ*V=Gy*なる関係が成立するので、前述の偏差(Gy*−γ・V)=(γ*−γ)Vは、目標ヨーレートγ*に対する実際のヨーレートγの偏差に対応している。
【0024】
こうして求められた目標転舵角δ*に基づき、舵取り制御部33は、操舵用アクチュエータ2の駆動制御を実行する。具体的には、舵取り制御部33は、目標転舵角δ*に対する実際の転舵角δの偏差(δ*−δ)を求め、この偏差(δ*−δ)と伝達関数G3とを用いて、目標駆動電流i*=G3・(δ*−δ)を求め、この目標駆動電流i*に基づいて、操舵用アクチュエータ2をフィードバック制御する。
【0025】
前述の伝達関数G1,G2,G3は、たとえば、それぞれ、下記第(3)式、第(4)式および第(5)式のように定められる。
【0026】
【数2】
【0027】
ゲインKa,Kb,Kcおよび時定数Ta,Tb,Tcは、最適な制御を行えるように適切に調整されるのであるが、とくに、この実施形態では、ヨーレートγおよび横加速度Gyを制御することにより車両50の姿勢制御を最適に行うために、目標横加速度Gy*および目標ヨーレートγ*に対する各目標転舵角δG *,δγ*のゲインKa,Kbを設定するためのゲイン設定部35が設けられている。
【0028】
このゲイン設定部35は、車速Vの領域を境界車速V*(たとえば30km/h)により区分し、下記第(6)(7)式により、ゲインKa,Kbを設定する。
【0029】
【数3】
【0030】
図3は、上記第(6)(7)式によるゲインKa,Kbの設定例を示す図である。すなわち、ゲインKa,Kbは、車速Vの変化に伴って変化する。具体的には、ゲインKa,Kbは、中高速域(V≧30km/h)では、車速Vの増加に伴って緩やかに、かつ非線型に増加する。そして、低速域(V<30km/h)では、車速Vの減少に伴って緩やかにかつ線型に変化する。上記第(7)式は、境界車速V*における前記第(6)式の値に対応する曲線AH上の点と、最低車速(0km/h)でのゲインK0に対応する点とを結ぶ直線ALを表しており、とくに、この実施形態では、点(V*,K*)における曲線AHの接線を表している。
【0031】
図3では、直線ALは、車速Vの減少に伴ってゲインKa,Kbが増大するようになっているが、低速域においては、たとえば、Ka=Kb=K*としてゲインKa,Kbを一定にするようにしてもよいし、また、車速Vの減少に伴ってゲインKa,Kbが減少するように直線ALを定めてもよい。いずれの場合でも、境界車速V*における曲線AHの接線の場合よりも、車速Vの減少に伴うゲインKa,Kbの増加率が小さくなるように直線ALを定めることが好ましい。
【0032】
参照符号Aで示すように、上記第(6)式を低速域に適用すると、車速Vの減少に伴ってゲインKa,Kbが指数関数的に急増し、タイヤ角の急変をもたらすから、車両50の横揺れが激しくなるのであるが、この実施形態では、上記第(7)式で表される直線ALを採用しているので、このような不具合はない。
そこで、この実施形態では、制御装置20は、中高速域のみならず低速域においても、横加速度Gyおよびヨーレートγの制御、すなわち姿勢制御を行うようになっており、このような低速域における姿勢制御を行っても、車両50の大きな横揺れが発生したりすることがない。
【0033】
図4は、この発明の第2の実施形態に係る車両用操舵装置の動作を説明するためのフローチャートである。この実施形態は、上述の第1の実施形態の改良に係るので、前述の図1ないし図3を必要に応じて参照することとする。
第1の実施形態により、低速域での姿勢制御をある程度良好に行うことが可能となるのであるが、乗員数やタイヤの空気圧変化などの状況によって車両の特性が変化すると、低速域における横揺れを完全に防止することが困難な場合も考えられる。
【0034】
そこで、この実施形態では、低速域における姿勢制御(横加速度および/またはヨーレートの制御)を、一定の条件が満たされたことを条件に行うこととしている。
具体的に説明すると、制御装置20は、まず、車速Vが30km/h以上かそれ未満かを判断することにより、車速Vが低速域に属するかどうかを判断する(ステップS1)。中高速域(V≧30km/h)であれば、目標横加速度Gy*および目標ヨーレートγ*に基づく舵取り制御、すなわち姿勢制御が行われる(ステップS6)。
【0035】
車速Vが低速域に属する場合(ステップS1のNO)には、角度センサ11によって検出される操作角δhが所定値(たとえば、約90度)以上かどうかが判断される(ステップS2)。ステアリングホイール1が大きく操作されて操作角δhが当該所定値以上となる場合には(ステップS2のYES)、姿勢制御(ステップS6)が実行される。
操作角δhが前記所定値未満であれば(ステップS2のNO)、さらに、操作角速度δh′が所定値(たとえば、約180度/秒)以上かどうかが判断される(ステップS3)。操作角速度δh′が前記所定値以上となるような急操舵時には(ステップS3のYES)、姿勢制御(ステップS6)が実行される。操作角速度δh′は、操作角δhを時間に関して微分することによって求めることができる。
【0036】
操作角速度δh′が前記所定値未満である場合(ステップS3のNO)には、次いで、加速度が所定値(たとえば、0.2g)以上かどうかが判断される(ステップS4)。加速度が当該所定値以上となるような急加速時(ステップS4のYES)には、姿勢制御(ステップS6)が実行される
加速度が前記所定値以上でない場合(ステップS4のNO)には、次いで、減速度(ここでは、負の加速度の絶対値)が所定値(たとえば、0.3g)以上かどうかが判断される(ステップS5)。もしも、減速度が前記所定値以上となるような急減速時であれば(ステップS5のYES)、姿勢制御(ステップS6)が行われる。これに対して、減速度が前記所定値に満たない場合には(ステップS5のNO)、姿勢制御(ステップS6)を行わない。
【0037】
加速度および減速度の検出には、加速度センサを用いてもよいし、また、車速Vを時間に関して微分することによって加速度または減速度を演算するようにしてもよい。
このようにこの実施形態によれば、低速域においては、姿勢制御がとくに必要な場合、すなわち、大きなステアリング操作が行われた場合、急操舵が行われた場合、急加速が行われた場合または急減速が行われた場合に、姿勢制御を行うこととしている。そのため、低速域において車体の横揺れの発生を防ぐことができ、かつ、必要な姿勢制御を良好に行うことができる。
【0038】
なお、ステップS2〜S5の各判断はどのような順序で行ってもよい。また、これらの各判断ステップS2〜S5によって表される条件(低速域において姿勢制御を行う条件)は、いずれかを単独で用いることとしてもよいし、任意の2つまたは3つを組み合わせて適用することとしてもよい。すなわち、たとえば、操作角δhについての条件(ステップS2)や操作角速度δh′に関する条件(ステップS3)を省いたりしてもよい。
【0039】
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することも可能である。たとえば、上述の実施形態では、横加速度に基づく目標転舵角δG *およびヨーレートに基づく目標転舵角δγ*の演算のためのゲインKa,Kbの両方についてこの発明を適用しているが、いずれか一方のみのゲインKa,Kbの設定を低速域と中高速域とで切り換えるようにしてもよい。また、上述の実施形態では、四輪車両の2つの車輪が舵取り車輪として転舵可能な場合について説明したが、4つの車輪の全てが転舵される四輪操舵システムにこの発明を適用してもよい。
【0040】
また、上述の実施形態では、操作手段としてステアリングホイール1が用いられる例について説明したが、この他にも、レバーやペダルなどの他の操作手段が用いられてもよい。
これらの他にも、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の基本的な構成を説明するための概念図である。
【図2】舵取り制御の内容を説明するためのブロック図である。
【図3】目標横加速度および目標ヨーレートに対する転舵角のゲインの設定例を示す特性図である。
【図4】この発明の他の実施形態に係る車両用操舵装置による舵取り制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 操舵用アクチュエータ
11 角度センサ
12 トルクセンサ
13 転舵角センサ
14 速度センサ
15 横加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
20 ステアリング系制御装置
31 目標横加速度演算部
32 目標転舵角演算部
33 舵取り制御部
35 ゲイン設定部
Claims (3)
- 操作手段の操作に応じて舵取り機構を駆動する車両用操舵装置であって、
車両の挙動を表す挙動変数の規範値である目標挙動変数を操作手段の操作内容に応じて演算する目標挙動変数演算手段と、
当該車両用操舵装置が搭載される車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記目標挙動変数演算手段によって演算された目標挙動変数および前記車速検出手段によって検出された車速に基づいて前記舵取り機構の目標転舵角を設定する目標転舵角設定手段と、
前記目標挙動変数に対する前記目標転舵角のゲインを、所定車速以上の中高速域においては車速およびスタビリティファクターを用いて定められるゲイン曲線に基づいて定め、前記所定車速未満の低速域においては車速の減少に伴って前記ゲインが線型に変化するように定めるゲイン設定手段と、
前記目標転舵角設定手段によって設定された目標転舵角に基づいて前記舵取り機構を駆動制御する舵取り制御手段とを含み、
前記ゲイン設定手段は、前記低速域における前記ゲインを、車速の減少に伴うゲインの増加率が、前記ゲイン曲線の前記所定車速における接線の場合の値以下となるように定めるものであることを特徴とする車両用操舵装置。 - 前記舵取り制御手段は、前記低速域において、減速度または加速度が所定の条件を満たすことを条件に、前記目標挙動変数に基づく前記舵取り機構の制御を実行する手段を含むことを特徴とする請求項1記載の車両用操舵装置。
- 前記舵取り制御手段は、前記低速域において、操作手段の操作角または操作角速度が所定の条件を満たすことを条件に、前記目標挙動変数に基づく前記舵取り機構の制御を実行する手段を含むことを特徴とする請求項1または2記載の車両用操舵装置。
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