JP2001080225A - 感度が向上したir−融蝕性層付きフレキソ印刷素子 - Google Patents

感度が向上したir−融蝕性層付きフレキソ印刷素子

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JP2001080225A
JP2001080225A JP2000209274A JP2000209274A JP2001080225A JP 2001080225 A JP2001080225 A JP 2001080225A JP 2000209274 A JP2000209274 A JP 2000209274A JP 2000209274 A JP2000209274 A JP 2000209274A JP 2001080225 A JP2001080225 A JP 2001080225A
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アルフレート、ライネンバッハ
Sabine Philipp
ザビネ、フィリップ
Eddy Daems
エディー、ディームズ
Hieronymus Andriessen
ハイアロニムス、アンドリーセン
Luc Leenders
ラック、リーンダーズ
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Agfa Gevaert NV
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 IR−融蝕性層が高感度で同時に可撓性であ
る、光重合性フレキソ版および製造方法を提供する。 【解決手段】 コンピュータ製版技術によりフレキソ印
刷版を製造するために使用される感光性印刷素子であっ
て、支持体、重合性層、及び化学線を実質的に通さない
IR−融蝕性層からなり、IR−融蝕性層が、少なくと
も1種の熱−可燃性の高分子バインダ、少なくとも1種
のIR−吸収材料及び少なくとも1種の脂肪族ジエステ
ルを含む感光性印刷素子、及びこの素子を用いてフレキ
ソ印刷版を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ製版
技術によりフレキソ印刷版を製造するために使用される
感光性印刷素子であって、支持体、光重合性層及び化学
線を実質的に通さないIR−融蝕性層からなり、且つこ
のIR−融蝕性層は少なくとも1種の熱−可燃性の高分
子バインダ、少なくとも1種のIR吸収材料及び少なく
とも1種の脂肪族ジエステルを含む感光性印刷素子に関
する。さらに、本発明は、この素子を用いてフレキソ印
刷版を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フレキソ印刷の分野において、デジタル
画像形成技術としても知られているコンピュータ製版技
術(CtP技術)は、極めて一般的なものとなってきて
いる。CtP技術では、光重合性印刷版の重合するべき
でない領域を覆うために従来から使用されている写真マ
スクは、印刷版内で形成統合されるマスクで取って代わ
られている。このような統合マスクを得るためには幾つ
かの可能な方法はあるが、市場には2つの技術だけが存
在する。即ち、光重合性版上にインクジェットプリンタ
ーでマスクを印刷するか、又は光重合性版を、化学線に
対して実質的に不透明(即ち化学線を実質的に通さな
い)で被覆し、IRレーザでこのようなマスクに画像形
成することである。このようなIR−融蝕性層は、通常
カーボンブラックを含有する。このIR−融蝕性層を有
する光重合性印刷版は、例えばEP−A654150又
はEP−A767407に開示されている。IRレーザ
で照射することより、黒色層は、その部分で蒸発し、下
記の光重合性層が露出する。レーザ装置は、レイアウト
コンピュータシステムに直接繋がれている。この技術を
用いて、画像は一般に版上に直接形成され、次の工程で
化学線が照射される。
【0003】CtP技術は、別にフォトマスクを作製す
ることを回避させるだけでなく、遙かに高い解像度を与
えるものである。CtP技術の従来技術に対する優位性
の詳細な議論は、例えば"Deutsher Drucker, Nr. 21/3.
6.99,w12-w16頁"に記載されている。
【0004】IR−融蝕性層を有する光重合性印刷素子
を用いてフレキソ印刷版を製造する方法における重要な
工程は、素子をIRレーザで照射する工程である。IR
−融蝕性層は、良好な結果を得るために幾つかの要件を
満たさなければならない。経済的理由から、IR−融蝕
性層を照射する時間を可能な限り短くすべきである。こ
のため、IR照射に対する感度は、できる限り高い必要
がある。さらに、画像形成のためには、現今の通常技術
では、回転ドラム付きレーザ装置が使用される。光重合
性フレキソ素子を円筒ドラムに取り付け、ドラムを20
00rpmに回転させながらレーザを照射する。このた
め、フレキソ印刷素子のIR−融蝕性層についても、フ
レキソ印刷素子を曲げる際にIR−融蝕性層が皺になっ
たり、破れたりしないようにするために、弾性的でなけ
ればならない。
【0005】EP−A654150には、IR−融蝕性
層を有する光重合性フレキソ印刷版が開示されている。
このIR−融蝕性層はIR吸収材料を含む。さらに、そ
れは所望により高分子バインダ及び様々な他の成分
(例、顔料分散剤、界面活性剤、可塑剤、或いは塗布助
剤)を含んでいる。しかしながら、上述の公報には、I
R−融蝕性層の感度については示唆がない。特に、IR
−融蝕性層の感度の改善と同時に、上記問題なく円筒ド
ラムに取り付けるために可撓性を改善する方法について
の示唆はない。
【0006】EP−A767407には、可撓性フィル
ム形成バインダ及びカーボンブラックを含むIR−融蝕
性層を有する光重合性印刷版が開示されている。バイン
ダとして、ポリアミド(例、MacromeltR)又はポリビニ
ルアルコール/ポリエチレン/グリコールグラフトポリ
マー(例、MowiolR)が記載されている。このようなバイ
ンダは、フレキソ印刷素子を円筒ドラムに問題なく取り
付けることは可能であるが、画像形成速度が充分とは言
えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】IR−融蝕性層が高感
度で同時に可撓性である改良された光重合性フレキソ印
刷版を得るとの問題は、未だに解決されていない。本発
明の目的は、このような本発明の目的は、光重合性フレ
キソ印刷版を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】まず最初の態様において
は、本発明は、コンピュータ製版技術によりフレキソ印
刷版を製造するために使用される感光性印刷素子であっ
て、支持体、少なくとも1種のエラストマー、少なくと
も1種の重合性化合物、及び少なくとも1種の光開始剤
又は光開始剤組成物を含む光重合性層、化学線を実質的
に通さないIR−融蝕性層、及び必要により、剥離可能
可撓性カバーシートを含み、且つIR−融蝕性層が、少
なくとも1種の熱−可燃性の高分子バインダ、少なくと
も1種のIR−吸収材料及び一般式 R1(CO)[O−CHR3−CH2]nO(CO)R2 {但し、n=1〜30、R1及びR2が炭素原子数1〜2
0個の直鎖又は分岐のアルキル鎖を表し、そしてR3
H又はメチルを表す。}で表される少なくとも1種の脂
肪族ジエステルを含むことを特徴とする感光性印刷素子
に関するものである。
【0009】第2の態様において、本発明は、この素子
を用いてフレキソ印刷版を製造する方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】驚くべきことに、熱−可燃性の高
分子バインダと、このような特定の可塑剤とを組み合わ
せることにより、IR−融蝕性層がIR照射に対して優
れた感度を示し、高い画像形成速度をもたらし、同時に
高い可撓性を示す重合性フレキソ印刷版が得られ、そし
てこれにより素子(版)を、IR−融蝕性層の皺や破れ
の発生無くレーザ装置の円筒ドラムに取り付けることが
できることが分かった。
【0011】本発明の感光性素子に好適な支持体は、可
撓性で、しかし寸法安定性に優れた材料であり、例えば
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナ
フタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィ
ルム、或いはポリカーボネートを挙げることができ、こ
れらは寸法安定性に優れた支持体材料として使用可能な
充分に高い粘弾性を有している。
【0012】光重合性層は、少なくとも1種のエラスト
マーバインダ、少なくとも1種の重合性化合物及び少な
くとも1種の光開始剤又は光開始剤組成物を含んでい
る。このような光重合性層は、フレキソ印刷分野で良く
知られており、例えばEP−A767407に開示され
ている。光重合性層は、ここでは単一層であるが、二相
以上の異なる光重合性層を使用することができることが
理解されるであろう。
【0013】エラストマーバインダは、単一のポリマー
でも、或いはポリマー混合物でも良い。好適なバインダ
の例としては、ビニル芳香族/ジエン共重合体又はブロ
ック共重合体(例えば従来のS−B−S−又はS−I−
Sブロック共重合体)、ジエン/アクリロニトリル共重
合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレ
ン/アクリル酸共重合体又はジエン/アクリレート/ア
クリル酸共重合体を挙げることができる。適当な重合性
化合物としては、重合性印刷版の製造に使用でき且つエ
ラストマーバインダと相溶性である慣用の重合可能なエ
チレン性モノ又はポリ不飽和有機化合物である。このよ
うなモノマーの例としては、モノ又はポリ官能性アルコ
ールのモノ又はポリアクリレート若しくはメタクリレー
ト、アクリル−又はメタクリルアミド、ビニルエーテル
又はビニルエステルを挙げることができる。好ましいモ
ノマーの例としては、ブチル(メタ)アクリレート、2
−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチ
レングリコール(メタ)アクリレート又はポリエチレン
オキシド−ジ(メタクリレート)を挙げることができ
る。特定の光開始剤の例として、芳香族ケト化合物、例
えばベンゾイン又はベンゾイン誘導体が挙げられる。光
重合性層は、さらに添加剤、例えば可塑剤、熱重合防止
剤、染料又は酸化防止剤を含んでも良い。
【0014】光重合性層の成分を適当に選択することに
より、当該技術者は、所望の溶解度特性に従い、水溶性
現像液、半水溶性現像液又は有機溶剤性現像液に可溶或
いは分散する光重合性層を製造することができる。
【0015】本発明の光重合性フレキソ印刷素子の主要
な構成成分は、光重合性層の頂上のその新規なIR−融
蝕性層であり、少なくとも1種の熱−可燃性の高分子バ
インダ、少なくとも1種のIR−吸収材料及び少なくと
も1種の脂肪族ジエステルを含んでいる。IR−融蝕性
層は実質的に化学線を通さない(即ち化学線に対して不
透明である)。一般に、化学線に対する光学濃度は、
2.5を超える値であり、好ましくは3.5を超える値
である。光学濃度は、画像を形成したIR−融蝕性層を
介して、光重合性素子の全露光に使用された化学線の波
長又は波長範囲で得られる。IR−融蝕性層は、ここで
は単一層であるが、二層以上の異なるIR−融蝕性層を
使用することができることが理解されるであろう。
【0016】高分子バインダは、IR−融蝕性層がIR
レーザ照射に曝された際に、IR吸収材料より発生した
熱により効果的に除去することができる。用語「熱−可
燃性」とは、前段の溶融段階無しに、バインダが分解、
解重合、又は蒸発することを意味する。このため、画像
の各画素は、極めて急なエッジを有し、高解像度をもた
らす。
【0017】バインダは上述の要求を満たすバインダで
あれば、どのような種類でも本発明の範囲内において使
用することができるが、熱−可燃性バインダはニトロ基
又は硝酸エステル基を有することが好ましい。本発明の
範囲内における好適なバインダとしては、通常、特に推
進剤の成分として公知である高分子材料である。
【0018】このようなバインダの例としては、ポリ
(グリシジルアジド)、ポリ(硝酸グリシジル)又はポ
リ(硝酸ビニル)を挙げることができる。他の例として
は、ポリスチレンのニトロ誘導体、例えばニトロ−、ジ
ニトロ−又はトリニトロスチレン基を含むポリマーを挙
げることができる。ポリスチレンは、さらに主鎖がニト
ロ置換されていても、或いは主鎖のみニトロ置換されて
いても良い。他の例としては、ポリアクリレート又はポ
リメタクリレート、例えばモノマーとして2,4−ジニ
トロフェニルアクリレート又はp−ニトロフェニルアク
リレートを含むポリマーを挙げることができる。
【0019】熱−可燃性バインダとして、セルロース又
はセルロース誘導体、例えばセルロースエーテル、の硝
酸エステルが重要である。このようなバインダは、本発
明の範囲内であり好ましい。ニトロセルロースとしても
知られているセルロース硝酸エステルは、市販されてお
り(例、Hercules又はWolff-Wals-rode)、モノマー当
たり3個の硝酸エステルの最大置換度までの異なったエ
ステル化度のものを入手できる。エステル化の程度は、
セルロース硝酸エステル燃焼性に影響を与えるだけでな
く、その溶解性にも影響を与える。用いようとする現像
材の性質に応じて、当該技術者は、エステル及び炭化水
素に容易い溶解するタイプ又はアルコールに容易に溶解
する対応を選択することができる。
【0020】セルロースエーテル;例えば、メチルセル
ロース、エチルセルロース、そして特に2−ヒドロキシ
エチルセルロース、2−ヒドロキシプロピルセルロース
又はカルボキシメチルセルロースから誘導される硝酸エ
ステルを使用することも可能である。ニトロ化カルボキ
シメチルセルロースも、バインダの水溶解性を向上させ
るナトリウム塩として使用できるかも知れない。2種以
上の熱−可燃性バインダの混合物を使用することも可能
である。一般に、IR−融蝕性層中の熱−燃焼バインダ
の量は、IR−融蝕性層中の全成分の全量に対して20
〜80質量%、好ましくは30〜70質量%である。
【0021】別の成分として、本発明のIR−融蝕性層
は、 一般式 R1(CO)[O−CHR3−CH2nO(C
O)R2 で表される少なくとも1種の脂肪族ジエステルを含んで
いる。
【0022】このエステルは、可塑剤として機能する。
このような可塑剤無しに、皺又は破れの発生無く曲げる
ことができる弾性的性質を有するIR−融蝕性層を得る
ことは不可能である。このエステルは、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、これらのオリゴマー及び
ポリマーから誘導される(R3がH又はメチルであり得
る)。重合度nは、1〜30、好ましくは1〜10、特
に2〜6をとり得る。R1及びR2は炭素原子数1〜20
個(好ましくは5〜11個)の直鎖又は分岐のアルキル
鎖であり得る。2個の基は、同一でも(対称性ジエステ
ルを与える)又は異なっても(非対称エステルを与え
る)良い。特に、R1及びR2の例としては、メチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ
ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、n
−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、n−
オクチル、n−ノニル、n−デシル又はn−ウンデシル
基を挙げることができる。好ましいジエステルの例とし
ては、n−ペンチル又はn−ヘプチル基を含むもので、
トリエチレングリコール−ヘキサン酸ジエステル、トリ
エチレングリコール−2−エチルヘキサン酸ジエステ
ル、及びトリエチレングリコール−オクタン酸ジエステ
ルが特に好ましい。また、2種以上のジエステルの混合
物も使用することができる。一般に、IR−融蝕性層中
のジエステルの量は、IR−融蝕性層の全成分の合計量
に対して1〜30質量%、特に5〜20質量%が好まし
い。
【0023】さらに、IR−融蝕性層は、少なくとも1
種のIR吸収材料を含み、これは750〜20000n
mの範囲で強い吸収を有するはずの層内に均一に分散さ
れている。好適なIR−吸収材料としては、IR吸収染
料(例、フタロシアニン及び置換フタロシアニン誘導
体、シアニン染料、メロシアニン染料及びポリメチン染
料)或いは濃色の無機顔料(例、カーボンブラック、グ
ラファイト、酸化鉄又は酸化クロム)を挙げることがで
きる。カーボンブラックの使用が好ましい。カーボンブ
ラックは、IR−融蝕性層が化学線に対して不透明にな
り、これにより他のUV−吸収染料の添加を絶対的に不
要にすることを保証する。最大カラー強度のためには小
粒径を使用することが望ましい。特に、30nm未満の
平均粒径の微細カーボンブラックの銘柄を使用すること
が望ましい。好適な銘柄の例としては、PrintexR U(プ
リンテックス(商標登録)U)、PrintexR L6、Spezials
chwarz 4(スペチアールシュバルツ(商標登録)4)又
はSpezialschwarz 250(Degussa社製)を挙げることが
できる。一般に、IR−融蝕性層中のIR吸収材料の量
は、IR−融蝕性層の全成分の合計量に対して1〜60
質量%であり、さらに10〜50質量%が好ましく、特
に25〜50質量%が好ましい。
【0024】IR−融蝕性層は、必要により追加の成分
及び添加剤を含むこともできる。このような成分の例と
しては、熱−可燃性である必要のない高分子バインダ、
顔料分散剤、フィラー、界面活性剤又は塗布助剤を挙げ
ることができる。このような添加剤は、層に対する所望
の性質に従い当業者が選択することができるが、それら
がIR−融蝕性層の画像形成性に悪影響を与えないこと
が条件となる。カーボンブラックの分散剤として、特に
ポリオキシアルキレン誘導体、例えばSolperse R-grades
(ゾルパース(商標登録)−グレード)(Zeneca)、或い
はブロック共重合体、例えばDisperbykR-grades(ディ
スペアビク(商標登録)−グレード)(Byk)が適当であ
る。添加剤として、UV−吸収材料、又はUVに吸収の
ある染料を使用することもできる。UV−吸収材料を使
用するのは、屡々、IR吸収剤としてカーボンブラック
と一緒でも有利であり、他のIR吸収剤と共には避けた
方がよい。その数は限定されないが、このような添加剤
の量はIR−融蝕性層の全成分の合計量に対して20質
量%以下、特に10質量%以下が好ましい。
【0025】IR−融蝕性層の成分は、IR−融蝕性層
が光重合層の現像溶液に溶解又は少なくとも膨潤する様
に選択されることが好ましい。但し、本発明のはこの態
様に限定されるものではない。
【0026】IR−融蝕性層上において剥離可能可撓性
カバーシートで感光性印刷素子を覆うことが屡々有利で
ある。しかしながら、このような保護カバーシートは絶
対に必要というものではない。
【0027】さらに、IR−融蝕性層を損傷せずにカバ
ーシートの除去を容易にする剥離改良ポリマーとして、
前記追加のバインダの少なくとも1種を使用すること
も、必須ではないが、有利である。このために好適なバ
インダの例としては、特定のポリメチルメタクリレート
(例えばPlexigumR)、酢酸ビニル−クロトン酸共重合
体、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリ
ドン(例、LuviskolR)、ポリスチレン(例、Suprano
lR)、塩素化PVC、メチルフェニルシリコーン又はポ
リエチレンワックスを挙げることができる。
【0028】光重合性フレキソ印刷素子は、また、必要
に応じて前記の層の間に1層以上の層を有していても良
い。このような層の例としては、当該技術分野では公知
であり、接着層、特に支持体と光重合性層との間のも
の、モノマー又は他の小分子の、ある層から他の層への
拡散を防止するための光重合性層とIR−融蝕性層の間
の中間層、或いは非粘着層を挙げることができる。
【0029】本発明の感光性フレキソ印刷素子は、一般
に、まず支持体上に、光重合性層及び所望により追加の
層を形成し、次いでIR−融蝕性層を塗布又はラミネー
ション技術により施すことにより製造される。市販の感
光性フレキソ印刷素子を使用することもできる。その場
合、保護フィルムを剥がし、前記と同様にIR−融蝕性
層を施す。
【0030】IR−融蝕性層付き感光性フレキソ印刷素
子を製造する第1段階において、IR−融蝕性層の全成
分を、適当な溶剤に溶解させるか、或いはカーボンブラ
ック等の顔料を用いるときは、適当な溶媒中の顔料及び
その他の成分との分散液を作製する。後者の場合、分散
剤の使用が屡々推奨される。このような溶液又は分散液
は、光重合層の上に直接塗布され、その後溶剤を蒸発さ
せる。或いは、このような溶液又は分散液を支持体
(例、PETシート)上に塗布し、その後溶剤を蒸発さ
せる。その後、塗布支持体を、圧力及び/又は加熱下
に、印刷素子の光重合性層と共に、光重合性層がIR−
融蝕性層に隣接するように、ラミネートする。IR−融
蝕性層用支持体は、目下、光重合性印刷素子全面用の保
護フィルムとして機能している。
【0031】本発明の光重合性印刷素子を用いるフレキ
ソ印刷素子の製造方法は、存在する場合には、保護フィ
ルムを感光性印刷素子から除去する工程も包含する。そ
の後、IR−融蝕性層をIRレーザにより画像用に照射
して、光重合性層上にマスクを形成する。適当なIRレ
ーザの例としては、ND/YAGレーザ(1064n
m)又はダイオードレーザ(例、830nm)を挙げる
ことができる。コンピュータ製版技術に適当なレーザシ
ステムとは、市販されており、例えばダイオードレーザ
システムOmniSetterR(Fa. Misomex;レーザ波長:83
0nm;作業幅:1800mm)或いはND/YAGレ
ーザシステムdigilasR(Fa. Schepers)を挙げることがで
き、これらはそれぞれ回転円筒ドラム、及びその上の取
り付けられたIR−融蝕性層を有する感光性フレキソ印
刷素子からなる。画像情報は、レイアウトコンピュータ
からレーザ装置に直接移される。
【0032】マスクをIR−融蝕性層に書き込んだ後、
感光性フレキソ印刷素子にマスクを介して化学線を全面
照射する。これはレーザシリンダ上において直接行うこ
とが有利である。或いは、版は、レーザ装置から除去
し、慣用の平板な照射ユニットで照射する。照射工程の
間、感光性層は前の融除工程で露出した領域において重
合し、一方照射光を通さないIR−融蝕性層によりなお
被覆されているIR−融蝕性層領域では重合は起こらな
い。EP−A767407に記載されているように、化
学線の照射は、慣用の真空フレームで酸素を除去して行
うことも可能であるけれども、大気酸素の存在下に行う
ことが有利である。
【0033】その後、照射された素子は現像され、フレ
キソ印刷版を得る。現像工程は、慣用の現像ユニットで
実施することができる。版の性質に応じて、水又は有機
溶剤、これらの溶剤混合物を使用することができる。現
像の間に、感光性層の非重合領域及びIR−融蝕性層の
残留部は除去される。IR−融蝕性層を1種の溶剤又は
溶剤混合物でまず除去し、別の現像剤で感光性層を現像
することも可能である。現像工程後、得られた印刷版は
乾燥させる。PETベースフィルム付き素子の典型的な
条件は、45〜65℃で1〜4時間である。PETベー
スフィルム付き素子は65℃を超える温度でさえ、寸法
安定性の損失無く乾燥させることができ、乾燥時間を短
縮できる。幾つかの後処理操作をさらに行うことができ
る。例えば、印刷版を非粘着性にするために、例えばU
V−C光の照射又はBr2による処理を行うことができ
る。
【0034】本発明の感光性フレキソ印刷素子は優れた
可撓性を示す。これはIR−融蝕性層において皺、破れ
の発生無く、曲げることができる。このことは問題を起
こさずにレーザドラムに素子を取り付けることができる
ことを意味する。さらに、この素子は、従来の印刷版に
比較してIRレーザ照射に遙かに高感度である。
【0035】下記の実施例により本発明を説明するが、
これはその範囲を限定するものではない。
【0036】
【実施例】
[実施例1] IR−融蝕性層の作製 カーボンブラック、ニトロセルロース及び可塑剤の分散
物を、下記の成分を用いて作製した:
【0037】
【表1】
【0038】分散液を、50μmコーティングナイフで
PETフィルム(厚さ125μm)に塗布し、溶剤を蒸
発させ、平滑で無粘着の塗布膜(3g/m2の特定塗布
量及び3.7の化学線領域の光学濃度)を得た。
【0039】[実施例2] IR−融蝕性層付き感光性フレキソ印刷版の作製 PET支持体、光重合性層及びポリアミド層から構成さ
れる感光性フレキソ印刷版(NyloflexR FAR 284 (BAS
F))のPET保護フィルムを剥離した。ポリアミド層
は、光重合性層から慣用の接着テープを用いて除去し
た。
【0040】実施例1で作製されたIR−融蝕性層及び
上記フレキソ印刷版を、Codor LPP650ラミネータを用い
て約40℃の温度でラミネートし、PET支持体、光重
合性層及びIR−融蝕性層からなる版を得た。実施例1
の分散液が塗布されたPETフィルムは、今新しい保護
フィルムの機能している。
【0041】[実施例3〜6] 光重合性版のIR−融蝕性層 実施例2の光重合性版からPET保護フィルムを剥離し
た。黒色のIR−融蝕性層が光重合性版上に完全に残っ
た。この版は90°の角度で繰り返し曲げることがで
き、その際IR−融蝕性層は皺も破れも発生しなかっ
た。
【0042】この版に、1063nmで放射するNdY
LFレーザで画像形成を行った。画像平面パワー(image
plane power)を、200mWと450mWの最大値の
間に各50mWの間隔で設定した。22μmのスポット
径を、11μmのピッチ及び4m/秒のスキャン速度で
用いた。ディジタル画像を版上に形成した。表1に、照
射されたサンプルの結果を示した。
【0043】
【表2】 表1:版照射後の光学濃度の減少
【0044】[実施例7] フレキソ印刷版の作製 実施例6で得られたディジタル画像マスクで覆われた光
重合性フレキソ印刷版全面に、化学線を15分間照射
し、その後市販の現像溶液nylosolv IIRを用いてドラム
ブラシ洗浄機内で慣用法で現像した。現像工程中、IR
−融蝕性層の残部及び光重合性層の非照射領域は除去さ
れ、照射領域が残った。現像後、フレキソ印刷版を、6
0℃で2時間乾燥し、UV−C光で照射し、非粘着と
し、最後に化学線で10分間後照射した。
【0045】印刷版上に、全ての試験素子が正確に形成
された。
【0046】[実施例8] 回転ドラム上での照射 市販の光重合性フレキソ印刷版(NyloflexR FAR 284 (B
ASF))の保護フィルム及びポリアミド基板層を除去し
た。版表面に、実施例1のIR−融蝕性層をラミネート
した。
【0047】PETフィルム除去後、IR−融蝕性層で
覆われた光重合性版を、ND−YAGレーザ装置(Schep
ers digilasR、60w)の回転ドラムに取り付けた。
皺、破れの発生が無かった。ドラムを1600回転で回
転させながら版にディジタル画像を形成した。レーザパ
ワーは、20%から80%まで、5%ずつ増加させた。
30%のパワーで、印刷版上に全ての試験画素を正確に
形成させるのに充分であることが分かった。即ち、黒色
IR−融蝕性層はレーザビームで照射された領域で完全
に除去された。
【0048】[比較例1]実施例1を繰り返したが、そ
の際慣用の3.5の光学濃度を有するIR−融蝕性層を
用いた。この層は、35質量%のカーボンブラック及び
65質量%のエラストマーポリアミドバインダ(Makrom
eltR 6900)から作製される。皺、破れは観察されなか
ったが、全ての試験画素を正確に形成するに必要なレー
ザパワーは60%であった。
【0049】実施例8及び比較例1は、本発明のIR−
融蝕性層は、比較可能な光学濃度において、慣用のシス
テムで約2倍の高い感度をもたらすことを示している。
【0050】[実施例9〜11]これらの実施例は、本
発明のフレキソ印刷素子の性質に対する好適な第2のバ
インダによる追加的利益を示している。
【0051】IR−融蝕性層を、実施例1に記載の手順
を用いて製造したが、その際表2の組成を用いた。実施
例10及び11において、それぞれおよそ35%のニト
ロセルロースを剥離性改良ポリマーで置換した。
【0052】
【表3】 表2:実施例9〜11のIR−融蝕性層を作製するため
の成分量
【0053】IR−融蝕性層を、実施例2に記載の手順
に従いフレキソ印刷素子を製造するために使用し、及び
実施例3に従いIR−融蝕させた。
【0054】その結果を表3に示す:
【0055】
【表4】 表3:版のIR−融蝕後の、UVにおける光学濃度の減
【0056】実施例9〜11は、35%のニトロセルロ
ースの剥離性改良ポリマーで置換しても、IR−融蝕性
層の感度が融蝕に顕著に影響することはないことを示し
ている。フレキソ印刷素子の頂上の保護PETフィルム
の剥離は、顕著に改良されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/032 G03F 7/032 7/20 505 7/20 505 511 511 (71)出願人 500241158 アグファ‐ゲヴェルト、ナムローゼ、フェ ンノートシャップ ベルギー国、B‐2640、モルトセル、セプ テストラート、27 (72)発明者 アルフレート、ライネンバッハ ドイツ、67071、ルートヴィッヒスハーフ ェン、オランゲリーシュトラーセ、30 (72)発明者 ザビネ、フィリップ ドイツ、64546、メルフェルデン−ヴァル ドルフ、ズデーテンシュトラーセ、23 (72)発明者 エディー、ディームズ ベルギー、2640、モルトセル、ゼプテスト ラート、27 (72)発明者 ハイアロニムス、アンドリーセン ベルギー、2640、モルトセル、ゼプテスト ラート、27 (72)発明者 ラック、リーンダーズ ベルギー、2640、モルトセル、ゼプテスト ラート、27

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンピュータ製版技術によりフレキソ印
    刷版を製造するために使用される感光性印刷素子であっ
    て、 支持体、 少なくとも1種のエラストマーバインダ、少なくとも1
    種の重合性化合物、及び少なくとも1種の光開始剤又は
    光開始剤組成物を含む光重合性層、 化学線を実質的に通さないIR−融蝕性層、及び必要に
    より、剥離可能可撓性カバーシートを含み、且つIR−
    融蝕性層が、少なくとも1種の熱−可燃性の高分子バイ
    ンダ、少なくとも1種のIR−吸収材料及び一般式 R1(CO)[O−CHR3−CH2nO(CO)R2 {但し、nが1〜30の範囲にあり、R1及びR2が炭素
    原子数1〜20個の直鎖又は分岐のアルキル鎖を表し、
    そしてR3がH又はメチルを表す。}で表される少なく
    とも1種の脂肪族ジエステルを含むことを特徴とする感
    光性印刷素子。
  2. 【請求項2】 熱−可燃性の高分子バインダが、ニトロ
    基又は硝酸エステル基を有する請求項1に記載の感光性
    印刷素子。
  3. 【請求項3】 熱−可燃性の高分子バインダが、セルロ
    ース又はセルロースエーテルの硝酸エステルである請求
    項1に記載の感光性印刷素子。
  4. 【請求項4】 IR−吸収材料がカーボンブラックであ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の感光性印刷素子。
  5. 【請求項5】 脂肪族ジエステルが、トリエチレングリ
    コール−ヘキサン酸ジエステル、トリエチレングリコー
    ル−2−エチルヘキサン酸ジエステル及びトリエチレン
    グリコール−オクタン酸ジエステルから選択される少な
    くとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の感光
    性印刷素子。
  6. 【請求項6】 IR−融蝕性層が少なくとも1種の別の
    高分子バインダを含む請求項1〜5のいずれかに記載の
    感光性印刷素子。
  7. 【請求項7】 別の高分子バインダが、IR−融蝕性層
    の全成分の合計に対して20質量%未満の量で存在する
    請求項6に記載の感光性印刷素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の素子を
    用いてフレキソ印刷版を製造する方法であって、 (a)必要により、剥離可能可撓性オーバーシートを除
    去する工程、 (b)IR−融蝕性層にIR−レーザを画像様に照射し
    てマスクを形成する工程、 (c)感光性素子に、マスクを介して化学線を全照射す
    る工程、 (d)工程(c)の生成物を少なくとも1種の現像溶液
    で処理して、工程(b)で除去されなかったIR−融蝕
    性層残留部を除去し、且つ光重合性層を現像する工程を
    含む製造方法。
  9. 【請求項9】 工程(b)において、回転ドラムを有す
    るレーザ装置を用い、そしてIR−レーザによる照射の
    ためにフレキソ印刷素子をドラムの円筒表面に取り付け
    る請求項8に記載の方法。
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