JP3511022B2 - ポリエーテル−ポリウレタンを含むir融蝕層を有する感光性フレキソ印刷要素 - Google Patents

ポリエーテル−ポリウレタンを含むir融蝕層を有する感光性フレキソ印刷要素

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結合剤としてエラ
ストマーのポリエーテル−ポリウレタンを含むIR融蝕
層を有する、レーザーによるディジタルイメージングに
よりフレキソ印刷版を製造するための感光性フレキソ印
刷要素に関する。本発明はさらに、この種の要素を使用
したフレキソ印刷版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フレキソ印刷版の慣用されている製造方
法は、光重合記録要素に写真マスクをかぶせ、このマス
クを通して化学線を記録要素に照射し、露光した要素の
重合していない領域を現像液で洗い出すというもので、
これは次第にCtP(コンピューター・トゥ・プレー
ト)技術により置き換えられ、しばしばディジタルイメ
ージングとしても知られる。CtP法においては、慣用
システムの写真マスクは、記録要素に統合されるマスク
に置き換えられている。
【0003】いくつかの異なった方法が提案されていた
が、これまでのところ二つのみが市場において明らかな
重要性をもっている。第一の方法においては、例えばW
O97/25206に開示されているように、光重合性
要素には、適当なインク受容層が施されており、マスク
がインクジェットプリンターにより印刷されている。光
重合性要素は次いで公知の方法で露光され、現像され
る。
【0004】第二の方法においては、光重合性要素が実
質的に不透明なIR融蝕層により被覆される。この種の
層は通常カーボンブラックを含む。レーザーによるイメ
ージの照射は、レーザービームが当る点で、IR融蝕層
を取り除き、下にある光重合性層の被覆を取り除く。そ
れからイメージ記録要素に、公知の方法で除去される形
成されたマスクを通して化学線を全面にわたって照射
し、現像液を使用して洗い出す。洗い出し工程において
は、IR融蝕層の未融蝕の残渣と、その下にある露光さ
れた重合性要素の重合していない領域が除去される。
【0005】IR融蝕層を有するフレキソ印刷要素は、
一般に公知である。EP−A654150には、IR融
蝕層を有するフレキソ印刷要素が開示されている。IR
融蝕層は、IR吸収材料を含む。さらに、重合結合剤
と、多くの異なった補助剤、例えば分散補助剤または可
塑剤が、任意の成分として開示されている。さらに、光
重合性層とIR融蝕層の間にある追加の遮蔽層が開示さ
れている。これは、光重合性層からIR融蝕層へのモノ
マーの拡散を防ぐことを意図している。
【0006】EP−A741330は、この種の遮蔽層
を持たないIR融蝕フレキソ印刷要素を開示している。
非常に多くの広範にわたる異なった重合体が、IR融蝕
層の結合剤として開示されている。さらに、IR融蝕層
は、より少量の第二の結合剤を含んでいてもよく、多数
の広範にわたる種々の重合体が同様に開示されている。
【0007】EP−A767407は、エラストマー
の、フィルムを形成する結合剤を有するIR融蝕層を持
つフレキソ印刷要素を開示している。開示された結合剤
は、ポリアミドと、ポリビニルアルコールとポリエチレ
ングリコールのグラフト共重合体である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】IR融蝕によるフレキ
ソ印刷版の製造方法において、IR融蝕層の質は、フレ
キソ印刷版の質と、方法の経済的効率に対して重要なパ
ラメーターである。IR融蝕層は、多くの広範な品質の
基準を満足させなければならない;
【0009】・可能な限り低いレーザー出力で、速く、
完全に層を除去することを確実にするために、IR融蝕
層はレーザーに対する高い感度を有していなければなら
ない。 ・IR融蝕層は、慣用の現像工程の間、重合していない
層の成分とともに除去することができるように、光重合
性層の慣用の洗い出し剤に可溶でなければならない。そ
うでなければ、2回の洗い出し工程が行われなければな
らない。 ・現在使用されるレーザー装置は通常回転ドラム(外部
または内部ドラム)を伴った装置である。このためIR
融蝕層は、ドラムに固定されたときに、しわが寄ったり
破れたりしないように、弾力のあるものでなければなら
ない。 ・IR融蝕層は、IR融蝕の妨害をするような塵を寄せ
付けないように、べたつきのないものでなければならな
い。 ・保存と移動のために、フレキソ印刷要素は通常、IR
融蝕の前に取り除かなければならない保護フィルムによ
って、損傷から保護されている。保護フィルムは、除去
の際にIR融蝕層が損傷を受けないようにIR融蝕層に
対して低い粘着性を持っていなければならない。 ・逆に、保護フィルムの除去と同時に取り除かれないよ
うにするため、また、IR融蝕層と光重合性層の間の直
接の接触の利点を気泡が無にすることの無いように、I
R融蝕層は、感光性層に強力に貼りついていなければな
らない。
【0010】高感度、高品質の、IR融蝕層を有するフ
レキソ印刷要素を製造しようとする当業者は、対応の困
難な状態に直面することが予想される。可能な限り高い
感度のIR融蝕層を得るためには、自己酸化の結合剤、
例えばニトロセルロースの使用が推奨される。しかし、
ニトロセルロース層は非常に脆く、そのためにニトロセ
ルロース層の弾性は満足の行かないものであり、この種
のフレキソ印刷要素はドラム装置上に固定されたときに
容易にしわがよる。脆性は適当な可塑剤の添加によって
減少させることができても、可塑剤の添加によって、過
大に被覆フィルムに粘着する、粘着性のある層となる。
しかし、典型的な粘着性のない結合剤、例えばあるポリ
アミドは、明らかに感度が低い。
【0011】概略を述べたすべての要求を満たすフレキ
ソ印刷要素を得るために、多数の可能な成分からどの成
分を選択しなければならないかを示す、先行技術の文献
は存在しない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、先行技
術の欠点を持たず、上記の要求を満足させるIR融蝕層
を有するフレキソ印刷要素を提供することにある。従っ
て、少なくとも、寸法の安定な支持体、少なくともエラ
ストマーの結合剤、重合可能な化合物及び光開始剤また
は光開始剤組成物を含む光重合性層、少なくとも2.5
の化学線スペクトル領域の光学濃度を有し、少なくとも
1種のエラストマーの結合剤及びレーザー照射のための
IR吸収剤を含むレーザー融蝕性層を含み、さらに任意
で除去可能な柔軟な保護フィルムを含み、レーザー融蝕
性層のエラストマーの結合剤がエラストマーのポリエー
テル−ポリウレタンである、レーザーによるディジタル
イメージングを行なうフレキソ印刷版製造のための感光
性フレキソ印刷要素が見出された。
【0013】本発明者等は、この種のフレキソ印刷要素
を使用するフレキソ印刷版の製造方法も見出した。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明を、以下の記載により詳細
に説明する。
【0015】本発明の光重合性印刷要素においては、慣
用の光重合性層、所望により粘着層を備えた層は、寸法
の安定な支持体に塗布される。適当な寸法の安定な支持
体の例として、金属、例えば鋼またはアルミニウムな
ど、またはプラスチック、例えばポリエチレンテレフタ
レート(PET)またはポリエチレンナフタレート(P
EN)などから作製された板、フィルム、円錐形および
円筒形の管(スリーブ)が挙げられる。
【0016】光重合性層は、負に働く光重合性混合物、
即ち露光により硬化するものからなる。これは、予め用
意した重合体と光架橋することにより、低分子量の光重
合性化合物の光重合により、または、これらの双方によ
り、行なうことができる。光重合性層は、実質的に、現
像液中に洗い出すことのできる重合体でエラストマーの
結合剤、エチレン性不飽和の、ラジカル重合可能な化合
物、光開始剤または光開始剤組成物、およびさらに任意
の添加剤と補助剤からなる。この種の層の組成は原則的
に知られており、例えばDE−A−2456439また
はEP−A−084851に記載されている。
【0017】エラストマーの結合剤は単一の結合剤また
は様々な結合剤の混合物であってよい。適当な結合剤の
例として、公知のビニル芳香族−ジエン共重合体または
ブロック共重合体、例えば、慣用されるSISまたはS
BSブロック共重合体、ジエン−アクリロニトリル共重
合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体あるいは
ジエン−アクリレート−アクリル酸共重合体が挙げられ
る。適当な光重合性化合物の例として、慣用のエチレン
性不飽和モノマー、例えば単官能または多官能アルコー
ルのアクリレートまたはメタクリレート、アクリルアミ
ドまたはメタクリルアミド、ビニルエーテルあるいはビ
ニルエステルが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、ブ
タンジオールジ(メタ)アクリレートおよびヘキサンジ
オールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。光重合の
開始剤として適当なものは、芳香族化合物、例えばベン
ゾインまたはベンゾイン誘導体などのケト化合物であ
る。
【0018】光重合性混合物は、さらに、慣用される補
助剤、例えば熱開始重合禁止剤、可塑剤、染料、顔料、
フォトクロミック添加剤、酸化防止剤、オゾン亀裂防止
剤、または押出し助剤などを含んでいてもよい。
【0019】光重合性層の正確な組成と厚さは、特別の
要求によって当業者により決定される。他の上部に配置
された、同一のまたは異なった組成の複数の光重合性層
を使用することも可能である。さらに、フレキソ印刷要
素は、追加の層、例えば粘着層、上層または弾性下層を
含んでいてもよい。
【0020】光重合性層は、使用される結合剤に応じて
水性または有機性媒体で現像することができる。しか
し、本発明の利点は、層を有機性媒体で現像した場合に
特に明らかとなる。
【0021】本発明に必須な要素は、新規IR融蝕層で
あり、光重合性層に直接、または間接的に、即ち薄い内
部層、例えば粘着または遮蔽層によって分離されて、塗
布される。IR融蝕層は好ましくは、光重合性層に直接
塗布される。
【0022】IR融蝕層は、少なくとも1種のエラスト
マーの結合剤とレーザー照射のためのIR吸収剤を含
み、実質的に化学線の照射に対して不透明である(透過
させない)。一般的に、化学線のスペクトル領域のIR
融蝕層の光学濃度は少なくとも2.5、好ましくは少な
くとも3.0、非常に特に好ましくは少なくとも3.5
である。当該光学濃度は、フレキソ印刷要素の全面への
照射の間、露光に使用された波長または波長範囲でそれ
ぞれ測定される。
【0023】少なくとも1種のエラストマーの結合剤
は、ポリエーテル−ポリウレタンである。適当なポリエ
ーテル−ポリウレタンは、イソシアネート基と反応する
ことのできる二官能性のポリエーテル、好ましくはポリ
エーテル−ジオールを使用して、原則的に公知の方法で
形成させることができる。二官能性のポリエーテルは、
好ましくは対称のジイソシアネートと、短鎖で、低分子
量のジオールと反応する。これにより硬質および軟質セ
グメントから構築され、エラストマーの特性を持つ重合
体が得られる。さらに詳細の合成原理は、例えば、「Po
lyurethanes,4.3章,Ullmann's Encyclopedia of Indust
rial Chemistry, 第6版、2000 Electronic Release」
に記載されている。
【0024】ポリエーテル−ポリウレタンの合成のため
の適当なポリエーテル−ジオールは、一般式HO−(Z
−O−)Hを有する。これらは、同一のZ基を含む単
独重合体であっても、一個の分子中に異なったZ基を有
する共重合体またはブロック共重合体であってもよい。
Z基は、特に、エチレン、プロピレンまたはブチレンか
ら誘導された2価の基である。ポリエーテル−ジオール
は、活性水素原子を持つ化合物、例えば水やアルコール
を用いてエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチ
レンオキシドの重合を行なうことにより、原則的に公知
の方法で得ることができる。ポリエーテル−ジオール
は、環状エーテル、例えばTHFの重合によっても製造
することができる。さらに少量の別の鎖単位を含むポリ
エーテル−ジオールも使用することができる。例とし
て、ポリアルキレンオキシドとホスゲンの反応より得ら
れるカルボナート基が挙げられる。しかし、この種の追
加の単位の量は、鎖単位の全量に対して一般に5モル%
を超えるべきではない。ポリエーテル−ポリウレタンは
市販されている。
【0025】使用されるポリエーテル−ポリウレタンの
平均分子量M(重量平均)は、通常20000から2
00000g/モル、好ましくは20000から150
000g/モル、特に好ましくは、30000から13
0000g/モルである。
【0026】もちろん2種以上の異なったポリエーテル
−ポリウレタンの混合物を使用することも可能である。
【0027】IR融蝕層中のポリエーテル−ポリウレタ
ンの量は、IR融蝕層のすべての成分の量に対して、一
般に、40質量%より大きく、最大90質量%、好まし
くは45から80質量%、非常に特に好ましくは45か
ら70質量%である。
【0028】IR融蝕層は、さらにレーザー照射のため
の吸収剤として層に細かく分散する物質を含んでいる。
これは、750から20000nmの間に最大可能吸収
を持っているべきである。吸収剤として適当な物質は、
赤外吸収染料、例えばフタロシアニンおよびフタロシア
ニン誘導体、メロシアニンまたはメチン染料など、およ
び強く発色した無機顔料、例えば、カーボンブラック、
グラファイト、酸化鉄、または酸化クロムなどである。
カーボンブラックが好ましい。IR吸収剤としての機能
に加えて、カーボンブラックは、同時にIR融蝕層を化
学線の照射にたいして不透明にすることを確実にし、こ
れは、追加でUV吸収染料を使用する必要が全く無いこ
とを意味する。できる限り高い可能な着色力と、できる
限り均一な層を得るために、微粒子を使用することが好
ましい。微細カーボンブラック等級が好ましく、例え
ば、Printex(登録商標)U、Printex
(登録商標)L6、Special Black4また
はSpecial Black250(Degussa
製)が挙げられる。
【0029】レーザー照射の吸収剤の量は、層のすべて
の成分の和に対して、通常1から59.9質量%、好ま
しくは10から50質量%、特に好ましくは25から5
0質量%である。
【0030】IR融蝕層は、追加でさらに補助剤または
添加剤を含んでいてもよい。この種の補助剤の例とし
て、顔料の分散助剤、充填材、可塑剤、被覆助剤が挙げ
られる。この種の補助剤または添加剤は、層の特性に悪
影響を与えない限り、層に求められる特性に応じて当業
者によって選択される。カーボンブラックの分散助剤と
して、特に、ポリオキシアルキレン誘導体、例えば、S
olperse等級(Zeneca製)またはブロック
共重合体、例えば、Disperbyk等級(Byk
製)が挙げられる。補助剤としてUV吸収剤を使用する
ことも可能である。これは通常吸収剤としてカーボンブ
ラックを使用する場合は全く必要がないが、時たま有利
であろう。IR染料を吸収剤として使用する場合、さら
にUV吸収剤の使用は、それぞれの場合全く必要ではな
いのにかかわらず、しばしば避けられない。一般に、I
R融蝕層のすべて成分の和に対して、すべての添加剤お
よび補助剤の量は、20質量%、好ましくは10質量
%、非常にとくに好ましくは、5質量%をこえるべきで
ない。
【0031】IR融蝕層のすべての成分は、IR融蝕層
がフレキソ印刷版の慣用される有機現像液に完全に可溶
であるか、または少なくとも膨潤するように、さらに選
択されるべきであり、そのため光重合性層の重合してい
ない領域と共に単回の操作でIR融蝕層の残渣を除去す
ることができる。しかし、本発明はこの態様に限定され
るものではない。
【0032】護フィルムは必須ではないが、本発明の
フレキソ印刷要素の移動、保存、取り扱いの間の損傷に
対して、IR融蝕フレキソ印刷要素を柔軟な保護フィル
ムにより保護することが推奨される。
【0033】IR融蝕層は、できるだけレーザー照射に
より効率的に除去することができるように、可能な限り
薄いものであるべきである。層の厚さは、層が少なくと
も2.5の光学濃度を持っていなければならないという
限りにおいて、低い限界のみを持つ。一般に、1から1
0μmの厚さが適当であるが、本発明はこの範囲に限定
されない。
【0034】特に有利な態様では、IR融蝕層は、ポリ
エーテル−ポリウレタンまたは複数のポリエーテル−ポ
リウレタンに加えて、異なる化学的性質を有するさらに
少なくとも1種の結合剤を含み、これは、以下では2番
目の結合剤として参照される。2番目の結合剤として、
異なる複数の結合剤を使用することもできる。2番目の
結合剤の量は、第1の結合剤ポリエーテル−ポリウレタ
ンの量よりも少ない。この種の2番目の結合剤はIR融
蝕層のすべての成分に対して通常0から40質量%、好
ましくは0から20質量%、特に好ましくは0から10
質量%である。
【0035】2番目の結合剤は、求めるIR融蝕層の特
性に応じて、2番目の結合剤によって層の特性に悪影響
が及ぼされることのないことを条件として当業者が選択
することができる。
【0036】ポリエーテル−ポリウレタンに加えて、特
に推奨される2番目の結合剤は、例えば、セルロースの
エステル化、またはエーテル化により得ることのできる
セルロース誘導体である。適当なセルロース誘導体の例
として、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、酢酸セルロース、アセチルプロピオン酸セルロー
ス、アセチル酪酸セルロース、ニトロセルロース、また
はこれらの混合物が挙げられる。ニトロセルロース及び
エチルセルロースのどちらも非常にうまくいくことが分
かっている。
【0037】本発明の感光性フレキソ印刷要素は、まず
支持体に光重合性層と、任意で他の層を塗布し、続いて
IR融蝕層を塗布、例えば流延または積層を行なうこと
によって製造できる。このために、まずすべてのIR融
層の成分を、激しく混合した適当な溶媒または溶媒混
合物中に溶解または分散させる。この種の溶液または分
散液を、直接光重合性層上に塗布し、溶媒を蒸発させ
る。しかし、溶液は、支持フィルム、例えばPETフィ
ルム上に流延することもでき、溶媒を蒸発させる。被覆
された支持フィルムは、それから光重合性層上に、圧力
下、および/または熱の影響下、積層される。この場合
IR融蝕層の支持フィルムは、感光性フレキソ印刷
要素の保護フィルムとして機能する。
【0038】本発明の、IR融蝕層を備えた感光性印刷
要素は、フレキソ印刷版の製造に使用される。存在する
場合には、保護フィルムが、まず除去される。それから
IR融蝕層に、写真マスクを得るために適当なレーザー
によりイメージを照射する。適当なIRレーザーとし
て、例えば、Nd/YAGレーザー(1064nm)お
よびダイオードレーザー(例えば830nm)が挙げら
れる。コンピューター・トゥ・プレート技術のための適
当なレーザーシステムは市販されており、例えば、Om
niSetter(登録商標)ダイオードレーザーシス
テム(Misomex、波長830nm、働き幅180
0nm)またはdigilas(登録商標)Nd/YA
Gレーザーシステム(Schepers)が挙げられ、
各々円筒ドラムを含み、その上に、IR融蝕層を持った
フレキソ印刷要素が取り付けられている。ドラムを続い
て回転させ、要素に、レーザービームで、像が描かれ
る。
【0039】マスクの書き込みの後、感光性フレキソ印
要素は、全面をマスクを通して化学線に露光される。
これは、レーザー円筒の上で直接行なうことが有利であ
る。しかし、版を取り除いて慣用の平台露光装置で、大
気中、窒素下または減圧下で露光することもできる。露
光工程の間、光重合性層は、前工程のIR融蝕の結果
覆されていない領域光化学的に架橋され、一方被覆さ
れている領域は架橋されていないままである。
【0040】次の工程で、露光要素は現像される。現像
は、原則的に、フレキソ印刷版用の市販の有機洗い出し
試薬、例えば、nylosolv(登録商標)またはO
ptisol(登録商標)を用いて市販の現像装置で行
なうことができる。現像の間、未露光の光重合性層とI
R融蝕層の残渣が取り除かれる。この工程で、単一の洗
い出し試薬のみを用いることが好ましい。しかし、まず
IR融蝕層の残渣を洗い出し試薬を用いて除去し、続い
て版を第2の洗い出し試薬で現像することもできる。現
像の後、得られたフレキソ印刷版は、公知の方法で乾燥
される。工程は、さらに工程、例えば、UV−Cまたは
Brによる脱粘着の工程を含んでいてもよい。
【0041】本発明のIR融蝕層を有するフレキソ印刷
要素は、いくつかの利点を持っている。レ−ザー照射の
感度は、純粋なニトロセルロース層に及ばないが、それ
でもほとんどの市販の版よりも高い。層の表面は粘着性
が無く、保護または被覆フィルムの粘着性は低く、問題
なく保護フィルムを取り除くことができる。一方、光重
合性層に対する粘着性は充分に大きく、IR融蝕層は、
速い意図しない保護フィルムの除去においてでさえ光重
合性層に対して粘着している。層は、nylosolv
(登録商標)などの慣用される有機洗い出し剤を用いて
洗浄除去することができる。驚くほどの高い弾性が特に
有利であり、この種のフレキソ印刷版を、問題なく、層
の破れやしわの寄りなしにレーザー照射ユニットのドラ
ムの周囲に据え付けることを可能とする。
【0042】
【実施例】以下の実施例により例を挙げて、本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0043】IR吸収剤および結合剤の製造の一般的な
操作 分散助剤(Solsperse 20000)を溶媒混
合物中に予備溶解する。次いで、結合剤と他の添加剤を
攪拌しながら加え、溶解する。それからカーボンブラッ
クをゆっくりと加え、溶解機の速度5000rpmで、
15分間分散させる。得られた混合物を実験室用攪拌ボ
ールミルで1時間磨砕する。分散液は、すべての成分の
合計に対して10質量%の固体含量を有している。
【0044】分散液を、実験室用ナイフコーターを用い
てPETフィルム上にコートし、60℃で10分間乾燥
させる。塗布比率は、約2.5μmの厚さの乾燥フィル
ムが形成されるように設定される。化学線のスペクトル
領域におけるこの種のフィルムの光学濃度は3.0から
3.5である。
【0045】保護フィルムと基板層は、市販のフレキソ
印刷版FAH254タイプ(BASF製)から除去さ
れ、そのため光重合性層の表面が現れる。IR融蝕層で
被覆されたフィルムは、光重合性層の表面に乾燥積層さ
れ、そのため、IR融蝕層と光重合性層は、互いに結合
する。PETフィルムは、保護層を形成する。版は室温
で1週間保存される。
【0046】[実施例1−5]ポリエーテル−ポリウレタ
ンをそれぞれの場合に結合剤として用い、いくつかの実
験では2番目の結合剤を使用した。それぞれの出発材料
の量を表1に示す。
【0047】得られた版の、被覆フィルムの粘着性、基
板の粘着性、IR融蝕層の弾性および粘着性を測定し
た。測定パラメーターの測定法を表3に示し、結果を表
2に示す。 [比較実施例C1−C5]ポリエーテル−ポリウレタン以
外の結合剤を使用した。それぞれの出発材料の量を表1
に示す。
【0048】得られた版の、被覆フィルムの粘着性、基
板の粘着性、弾性およびIR融蝕層の粘着性を測定し
た。測定パラメーターの測定法を表3に示し、結果を表
2に示す。
【0049】[レーザーイメージング、フレキソ印刷版
への転換の一般的操作]PET保護層を、IR融蝕層を
持つフレキソ印刷要素から取り除き、版をNd/YAG
レーザーシステム(Scheper,Ohio,dig
ilas(登録商標))の回転ドラム(直径0.25
m)の上に取り付ける。ドラムを1600rpmで回転
させる。レーザーは、ドラムの回転に対して10μmづ
つ前進する。
【0050】最初の実験において、まずレーザービーム
が当たる点のIR融蝕層の完全な除去に必要な最小のレ
ーザー出力が、各々の版において当該ドラム速度とレー
ザーの進行のために決定された。必要なレーザー出力
は、版の感度、即ち、層を除去するために必要な、単位
面積当りの最小エネルギーをJ/mで決定するために
使用することができる。
【0051】さらに実験では、各々の版が、決定された
レーザー出力で、ディジタル方式で描画される。ディジ
タルマスクと共に得られた光重合性フレキソ印刷要素
は、15分間慣用の方法で、化学線で照射され、次いで
慣用の方法で、ブラシ洗浄機で、市販の(有機)洗い出
し試薬nylosolv(登録商標)IIを用いて現像
される。現像の後に、版を60℃で2時間乾燥し、粘着
性を取り除くためにUV−C光を照射し、最後に10分
間化学線で後架橋させる。
【0052】[実施例1−5および比較実施例C1−C
5]各々の場合に、製造されたフレキソ印刷要素を使用
した。各々の場合に決定されたレーザー出力と感度を表
2に示した。IR融蝕層の、洗い出し試薬中の洗浄除去
のし易さも測定された。結果を表2に示し、測定方法を
表3に示した。
【0053】[比較実施例C6−C9]IR融蝕層を有す
る4種の市販のフレキソ印刷要素の機械的特性、感度、
操作特性が、上記の概略の通りに測定された。結果を同
様に表2に示した。
【0054】
【表1】
【0055】各々の場合の量は質量%であり、層のすべ
ての成分を基準とし、すべての実施例で、分散助剤とし
てさらに3質量%のSolperse 2000を含
む。 分散液の固体:溶媒比は1:9である。 (省略:EtOH:エタノール、PrOH:1−プロパ
ノール、EA:酢酸エチル、Bz:ベンジルアルコー
ル、Ac:アセトン、MEK:メチルエチルケトン、
T:トルエン)
【0056】
【表2】
【表3】
【0057】基板粘着性と被覆フィルムの粘着性の値は
N/4cmで表す。4cm幅の印刷版の一片をZwic
k1435 Universal試験機で、応力/歪試
験のために測定した。 洗浄除去のし易さ:nyloflex Combi L
FII洗い出しユニットで標準の洗い出し操作を行な
う。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ユルゲン、カクツン ドイツ、67150、ニーデルキルヒェン、 ハウプトシュトラーセ、43 (56)参考文献 特開 平11−314472(JP,A) 特開 平9−171247(JP,A) 特開 平11−160857(JP,A) 特開 平5−19469(JP,A) 特開 平11−301130(JP,A) 特表 平7−509789(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 7/00 - 7/42

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも、 寸法の安定な支持体、 少なくともエラストマーの結合剤、重合可能な化合物及
    び光開始剤または光開始剤組成物を含む光重合性層、 少なくとも2.5の化学線スペクトル領域の光学濃度を
    有し、少なくとも1種のエラストマーの結合剤及びレー
    ザー照射のためのIR吸収剤を含むレーザー融蝕性層、を含み、さらに 任意で除去可能な柔軟な保護フィルムを
    含み、 レーザー融蝕性層のエラストマーの結合剤がエラストマ
    ーのポリエーテル−ポリウレタンである、 レーザーによるディジタルイメージングを行なうフレキ
    ソ印刷版製造のための感光性フレキソ印刷要素。
  2. 【請求項2】レーザー融蝕性層中のポリエーテル−ポリ
    ウレタンの量が、40質量%を上回り最大90質量%で
    ある請求項1に記載の感光性フレキソ印刷要素。
  3. 【請求項3】レーザー融蝕性層が、エラストマーのポリ
    エーテル−ポリウレタンと異なる少なくとも1種の第二
    の結合剤を含み、少なくとも1種の第二の結合剤の量が
    エラストマーのポリエーテル−ポリウレタンの量よりも
    少ない、請求項1または2に記載の感光性フレキソ印刷
    要素。
  4. 【請求項4】第二の結合剤がセルロース誘導体である請
    求項3に記載の感光性フレキソ印刷要素。
  5. 【請求項5】第二の結合剤が、メチルセルロース、エチ
    ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
    シプロピルセルロース、酢酸セルロース、アセチルプロ
    ピオン酸セルロース、アセチル酪酸セルロース及びニト
    ロセルロースからなる群より選択されたセルロース誘導
    体である、請求項4に記載の感光性フレキソ印刷要素。
  6. 【請求項6】レーザー融蝕性層が、1から40質量%の
    第二の結合剤を含んでいる、請求項3から5のいずれか
    に記載の感光性フレキソ印刷要素。
  7. 【請求項7】IR吸収剤がカーボンブラックである、請
    求項1から6のいずれかに記載の感光性フレキソ印刷要
    素。
  8. 【請求項8】エラストマーのポリエーテル−ポリウレタ
    ンが20000g/モルから200000g/モルの平
    均分子量Mを有する請求項1から7のいずれかに記載
    の感光性フレキソ印刷要素。
  9. 【請求項9】使用する出発材料が請求項1から8のいず
    れかに記載の感光性フレキソ印刷要素であり、 a)除去可能な、柔軟な保護フィルムが存在する場合は
    これを除去する工程、 b)レーザー融蝕層にIRレーザーによりマスクを書
    き込む工程、 c)工程b)で形成したマスクを通して感光性フレキソ
    印刷要素の全面を化学線で露光する工程、 d)少なくとも1種の現像液により工程c)で形成され
    た中間体を処理し、工程b)で除去されていないレーザ
    融蝕層の残渣を除去し、露光した光重合性層を現像
    する工程 を含む、フレキソ印刷版の製造方法。
  10. 【請求項10】工程b)が回転ドラムを有するレーザー
    装置を用いて行われ、感光性フレキソ印刷要素がこのド
    ラムに融蝕のために取付けられている、請求項9に記載
    の方法。
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