JP2004341113A - 感光性樹脂積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも感光性樹脂層が加工性や硬化物の透明性及び低温時の弾性などに優れ、高品位の印刷画像が得られ、IRアブレーション層が高感度であり、感光性樹脂層の非照射部とともに完全に除去することができる感光性樹脂積層体を提供すること。
【解決手段】少なくとも支持体、感光性樹脂、IRアブレーション層およびカバーフィルムを有する感光性樹脂積層体であって、IRアブレーション層が、IR吸収性金属層を含み、かつ、感光性樹脂層が熱除去可能であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも支持体、感光性樹脂、IRアブレーション層およびカバーフィルムを有する感光性樹脂積層体であって、IRアブレーション層が、IR吸収性金属層を含み、かつ、感光性樹脂層が熱除去可能であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性印刷原版や、その他のレリーフ板となり得る感光性樹脂積層体に関し、詳しくは、特にコンピュータ製版技術で印刷版を作製する際に使用する感光性樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、レタープレスやフレキソなどの凸版印刷やその他レリーフ板の分野において、デジタル画像形成技術としても知られているコンピュータ製版技術(コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術)は、極めて一般的なものとなってきている。CTP技術では、感光性印刷版の重合すべきでない領域を覆うために従来から使用されている写真マスク(フォトマスクやネガフィルムともいう)は、印刷版内で形成統合されるマスクに取って代わられている。このような統合マスクを得るための方法として、市場には2つの技術が存在する。一つは感光性印刷原版上にインクジェットプリンターでマスクを印刷する方法であり、もう一つは感光層上に紫外線に対して実質的に不透明で(即ち紫外線を実質的に通さない)、かつ、IRレーザの照射により融除可能な層(この層は、一般に「IRアブレーション層」や「赤外融除層」等と呼ばれており、本明細書では「IRアブレーション層」と呼ぶこととする。)を設け、当該層にIRレーザで画像形成をすることでマスクを形成する方法である。これらの技術を用いることで画像(マスク)が版上に直接形成され、次の工程で当該画像(マスク)を介して紫外線が照射され、製版へといたる。
【0003】
なお、CTP技術はネガフィルムが必要でないという利便性を有するだけでなく、ネガフィルムを使用する従来技術に比べて遙かに高い解像度を与え得る。
【0004】
ところで、上記IRアブレーション層を有する感光性樹脂積層体において、IRアブレーション層には、一般に、高分子バインダにカーボンブラックを多量に含有させた組成物が使用されている(例えば特許文献1参照)。また、通常、IRアブレーション層上には、原版の保存時や取り扱いの際のIRアブレーション層の保護のためにカバーフィルムが設けられており、このカバーフィルムはIRレーザの照射前またはIRレーザの照射後(通常、主露光後、現像前の時点)に除去される。しかし、本発明者等の研究の結果、カバーフィルムを剥がす際にIRアブレーション層に破れ(破損)やキズを生じ、それが最終的に得られる印刷画像に悪影響を及ぼしていることが判った。また、IRアブレーションを実施後、主露光し(紫外線の照射を行い)、熱現像する際に、IRアブレーション層中のカーボンブラックの一部が感光性樹脂層上に残留するという問題があり、版の印刷性能に悪影響を及ぼす原因になっている。
【0005】
【特許文献1】
特許第2916408号公報(第1頁特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、従来よりも感光性樹脂層が加工性や硬化物の透明性及び低温時の弾性などに優れ、高品位の印刷画像が得られ、IRアブレーション層が高感度であり、感光性樹脂層の非照射部とともに完全に除去することができる感光性樹脂積層体を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究した結果、IRアブレーション層をIR吸収性金属からなる金属層(以下、「IR吸収性金属層」ともいう)を含む構成とし、さらに感光性樹脂を特定することで、上記従来の問題が解消されて、高品位の印刷画像が得られることを見出し、遂に本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)少なくとも支持体、感光性樹脂、IRアブレーション層およびカバーフィルムを有する感光性樹脂積層体であって、IRアブレーション層が、IR吸収性金属層を含み、かつ、感光性樹脂層が熱除去可能であることを特徴とする感光性樹脂積層体。(2)IRアブレーション層とカバーフィルムとの間に、有機高分子層を有する前記(1)記載の感光性樹脂積層体。(3)IR吸収性金属層がアルミ蒸着層である前記(1)記載の感光性樹脂積層体。(4)感光性樹脂層がエラストマーバインダと、少なくとも1つのモノマーと、光開始剤とを含み、非照射状態では、少なくとも40℃の処理温度で溶融、軟化および流動化することが可能である前記(1)記載の感光性樹脂積層体。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明を図面を用いて説明すると、図1は本発明における感光性樹脂積層体(以下、「感光性印刷原版」または単に「フレキソ印刷原版」や「原版」ともいう。)の積層構成の一実施態様例における模式断面図であり、支持体1、感光性樹脂層2、IR吸収性金属層3、有機高分子層4およびカバーフィルム5を順次積層した構成である。
【0010】
本発明の感光性樹脂積層体においては、上記図1の例に示すように、IRアブレーション層がIR吸収性金属層3であることから、IRアブレーション層の膜強度が高く、カバーフィルム5の剥離作業によっても、IRアブレーション層に破れやキズが発生しにくい。さらに、本発明においては、IR吸収性金属層3を感光性樹脂層2に接触配置(直接積層)することが好ましく、つまりIR吸収性金属層3と感光性樹脂層2との間に他の層(有機高分子の層や有機高分子を含む組成物の層)を介在させないので、IRアブレーション層の破れがより起こりにくく、しかも、IRアブレーション後、主露光および現像して得られるレリーフの解像度が充分に高いものとなる。
【0011】
本発明において、図1は、露光時におけるIRアブレーション層の感度(すなわち、IRを吸収して融除される時間の短さ)の点から好ましい構成であるが、あくまで例示であり、前記の特徴を有するならば、その他の部分については、公知のこの種のフレキソ印刷原版の技術を適用できることはいうまでもない。
【0012】
本発明において、「IR吸収性金属」とは、IRを吸収して融除され得る、金属、合金または含金属化合物を意味し、ここでの合金とは、2種以上の金属元素の融合物だけでなく、2種以上の金属元素とともに金属元素以外の元素を含む融合物も含む。また、「IR吸収性金属」は1種の材料でも2種以上の材料を併用してもよい。
【0013】
上記金属の好ましい例としては、Al、Zn、Cuが挙げられる。また、上記合金の好ましい例としては、Ca、Sc、Tl、V、Sb、Cr、Mn、Fe、Al、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Ta、W、Au、BiおよびPbから選ばれる2種以上の金属の合金や、かかる2種以上の金属とともに、さらに非金属元素(炭素、ケイ素等)および/または希土類元素(Nd、Sm、Gd、Tb等)を含む合金、が挙げられる。また、含金属化合物としては、IRを吸収して融除され得るものであれば、金属酸化物、金属窒化物等の各種化合物を使用できるが、それらの中でも、亜クロム酸銅、酸化クロム、アルミン酸コバルト−クロム等の暗色無機顔料が好ましい。
【0014】
なお、IRアブレーション層の破れやキズつきの防止(膜強度)の点から、IR吸収性金属には、金属、合金を用いるのが好ましく、特に好ましくはAl、Zn、Cu、Bi−In−Cu合金であり、とりわけ好ましくはAlである。
【0015】
次に、本発明において任意に設置され得る有機高分子層4の構成材料としては、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、両性インターポリマー、アルキルセルローズ、セルローズ系ポリマー(特にヒドロキシプロピルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ニトロセルローズ)、エチレンとビニルアセテートのコポリマー、セルローズアセテートブチレート、ポリブチラール、環状ゴム等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。なお、両性インターポリマーは米国特許第4293635号等に記載されているものである。
【0016】
上記の例示の材料の中でも、重合度500〜4000、好ましくは1000〜3000で、かつ、ケン化度70%以上、好ましくは80〜99%、さらに好ましくは80〜90%のポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールが望ましい。ここで、変性ポリビニルアルコールとは、ポリビニルアルコールの水酸基と反応性を有する化合物(例えば、カルボキシル基、二重結合、芳香族環等を有する化合物)を二次的に反応させたり、酢酸ビニルと他のビニルモノマーとの共重合体をケン化したりして、末端や主鎖中にカルボキシル基、カルボニル基、ポリオキシアルキレン基、アセトアセチル基、スルホン基、シラノール基を導入したものである。
なお、前記有機高分子層は、透明であれば、IRにアブレーションせず、そのまま残っていてもよい。
【0017】
有機高分子層4の厚みは、0.01〜200μm、好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.1〜50μmである。厚みが200μmを超えると、IRアブレーションをする際に用いるドラムへの装着が困難となったり、また、主露光および現像して得られるレリーフの解像度が低下する虞があり、好ましくない。
【0018】
本発明において、IRアブレーション層10は実質的に紫外線(化学線)を透過させない。すなわち、化学線に対する光学濃度が2.0を超える値であり、好ましくは2.5を超える値である。
【0019】
IRアブレーション層10をIR吸収性金属層3のみで構成する場合、IR吸収性金属層3の厚みは、70〜20000Åが好ましく、特に好ましくは100〜8000Å、とりわけ好ましくは100〜5000Åである。厚みが70Å未満であると、IRアブレーション後のマスクとしての機能が劣るので好ましくなく、また、2000Åを超えると、画像形成用のIRではアブレーション(融除)することが困難になるので、好ましくない。
【0020】
一方、IRアブレーション層10をIR吸収性金属層3と有機高分子層4とで構成する場合、IR吸収性金属層3の厚みは、50〜15000Åが好ましく、特に好ましくは70〜8000Å、とりわけ好ましくは100〜5000Åである。厚みが50Å未満であると、IRアブレーション後のマスクとしての機能が劣るので好ましくなく、また、15000Åを超えると、画像形成用のIRではアブレーション(融除)することが困難になるので、好ましくない。
【0021】
有機高分子層4の厚みは、0.01〜200μm、好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.1〜50μmである。厚みが200μmを超えると、IRアブレーションをする際に用いるドラムへの装着が困難となったり、また、主露光および現像して得られるレリーフの解像度が低下する虞があり、好ましくない。
【0022】
本発明において、感光性樹脂層2は、熱除去可能であり、非照射状態では、少なくとも40℃の処理温度で溶融、軟化および流動化することが可能な層である。
具体的には、感光性樹脂層を約40℃以上、好ましくは約40℃から約230℃、より好ましくは約100℃から200℃、最も好ましくは100℃から160℃に加熱することにより、非照射部が溶融、軟化および流動化するものであり、非照射部は、吸収性物質等を表面に接触させることにより除去することができる。
【0023】
前記感光性樹脂層は、熱可塑性バインダ、少なくとも1つのモノマー、および光開始剤を含む組成物で形成されている。該熱可塑性バインダは、エラストマーであることが好ましい。該光開始剤は、化学線に対して感受性をもつ。本明細書を通じて、化学光線には紫外線および/または可視光が含まれるものとする。光重合性組成物は、熱現像に際して部分的に液状化することが可能である。すなわち、熱現像時に、未硬化組成物は、合理的な処理温度または現像温度において軟化、または溶融、または流動化する必要があるが、通常の保存時に低温流れ、すなわち寸法変化の影響を受けるものであってはならない。
【0024】
該熱可塑性バインダは、単一の重合体または重合体の混合物でありうる。バインダとしては、ポリイソプレン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンおよびブタジエン/アクリロニトリルを含めた共役ジオレフィン炭化水素の天然または合成重合体が挙げられる。好ましくは、該熱可塑性バインダは、A−B−A型ブロック共重合体であって、Aは非エラストマーブロック、好ましくはビニル重合体、最も好ましくはポリスチレンを表し、Bはエラストマーブロック、好ましくはポリブタジエンまたはポリイソプレンを表すブロック共重合体のエラストマーブロック共重合体である。この種の好適な熱可塑性エラストマーバインダとしては、好ましいものとしてポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロック共重合体およびポリ(スチレン/ブタジエン/スチレン)ブロック共重合体が挙げられる。非エラストマーとエラストマーの比は、好ましくは10:90から35:65の範囲内とする。より好ましくは、熱可塑性エラストマーバインダは、米国特許第5、972、565号(Dudek他)に記載されているような少なくとも2つのポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロック共重合体の混合物である。該バインダは、感光性層に対して少なくとも60重量%の量で存在するのが好ましい。
【0025】
本明細書に用いられるバインダという用語は、コアシェルミクロゲルおよびミクロゲルの混合物、ならびに米国特許第4956252号(Fryd他)および米国特許5707773号明細書に開示されているような形成済の高分子重合体を包括する。
【0026】
使用できる他の好適な感光性エラストマーとしては、ポリウレタンエラストマーが挙げられる。好適なポリウレタンエラストマーの例としては、(i)有機ジイソシアネートと、(ii)イソシアネート基との重合が可能な少なくとも2つの遊離水素基を有し、さらに分子毎に少なくとも1つのエチレン不飽和付加重合基を有する少なくとも1つの鎖増量剤と、(iii)最小分子量を500とし、イソシアネート基との重合が可能な基を含有する少なくとも2つの遊離水素を有する有機ポリオールの反応生成物である。これらの物質のいくつかのより詳細な説明については、米国特許第5015556号を参照されたい。
【0027】
具体的なバインダの例としては、ポリアミド、ポリエチレン酸化物、ポリプロピレン酸化物、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、酢酸ビニルとピロリドンの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンワックス、ポリアセタール、ポリブチラール、ポリアルキレン、ポリカーボネート、ポリエステルエラストマー、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、スチレンとブタジエンの共重合体、スチレンとイソプレンの共重合体、スチレンとブタジエンの熱可塑性ブロック共重合体、スチレンとイソプレンの熱可塑性ブロック共重合体、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリクロルプレン、ブチルゴム、ニトリルゴム、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、環式ゴム、酢酸ビニルと(アクリレートまたはメタクリレート)の共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、メタクリレート−ブタジエン−スチレンターポリマー、アルキルメタクリレートの重合体または共重合体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体、スチレンとアルコールで部分的にエステル化した無水マレイン酸の共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル(メタクリル)酸、ポリアクリル(メタクリル)酸の金属アルカリ塩、両性共重合体、ヒドロキシアルキルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、スチレンとメタクリル酸の共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリルアミド、イミドとアミドの共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンとテトラフルオロエチレン共重合体の共重合体、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンジミダゾール、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0028】
前記感光性樹脂組成物は、透明で曇りのない感光層を生成する限りにおいてバインダとの相溶性を有する、付加重合可能な少なくとも1つの化合物を含有する。該付加重合可能な少なくとも1つの化合物は、モノマーと称することもでき、単一のモノマーであってもモノマーの混合物であってもよい。該感光性樹脂組成物に使用することのできるモノマーは当該技術分野においてよく知られており、少なくとも1つの末端エチレン基を備えた付加重合性エチレン不飽和化合物が含まれるが、それに限定されない。一般には、モノマーは比較的分子量が小さい(約30,000未満)。モノマーは、分子量が比較的小さく、約5000未満であるのが好ましい。好適なモノマーの例としては、t−アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、ヘキサンジオールジアクリレートおよびへキサンジオールジメタクリレートのようなアルカノールの如き、アルコールおよびポリオールのアクリル酸およびメタクリル酸モノおよびポリエステル;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートおよびジエチレングリコールジアクリレートの如きアルキレングリコール、トリメチロールプロパントリアクリレートの如きトリメチロールプロパン;エトキシル化トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ジペンタエリスリトール;ポリアクリロールオリゴマーなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。ポリアクリロールオリゴマーを使用する場合は、該オリゴマーの分子量は1000を上回るのが好ましい。一官能および多官能アクリレートまたはメタクリレートの混合物を使用することができる。好適なモノマーの他の例としては、イソシアネート、エステル、エポキシドなどのアクリレートおよびメタクリレート誘導体が挙げられる。当業者であれば、モノマーを適切に選択して、感光性樹脂組成物にエラストマー特性を与えることが可能である。エラストマーモノマーの例としては、アクリル化液体ポリイソプレン、アクリル化液体ブタジエン、ビニル含有率が高い液体ポリイソプレン、およびビニル含有率が高い(すなわち、1−2ビニル基の含有率が20重量%を上回る)液体ポリブタジエンが挙げられるが、それらに限定されるものではない。モノマーのさらなる例は、米国特許第4323636号(Chen)、米国特許第4753865号(Fryd他)、米国特許第4726877号(Fryd他)および米国特許第4894315号(Feinberg他)に見いだすことができる。付加重合が可能な化合物(モノマー)はエラストマー組成物に対して少なくとも5重量%、好ましくは10から20重量%の量で存在する。
【0029】
本発明において用いられる光開始剤は、化学線に感応して、過度の停止反応を生じることなく1つまたは複数のモノマーの重合を開始する遊離基を生成する任意の単一化合物、または化合物の組み合わせとすることができる。知られている種類の光開始剤、特にキノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、アリルケトン、過酸化物、ビイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシアルキルフェニルアセトホン、ジアルコキシアクトフェノン、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド誘導体、アミノケトン、ベンゾイルシクロヘキサノール、メチルチオフェニルモルフォリノケトン、モルフォリノフェニルアミノケトン、アルファハロゲノアセトフェノン、オキシスルホニルケトン、スルホニルケトン、オキシスルホニルケトン、スルホニルケトン、ベンゾイルオキシムエステル、チオキサントロン、カンフォルキノン、ケトコウウマリン、ミヒラーケトンなどの遊離基光開始剤を使用することができる。あるいは、光開始剤は、その1つが放射線によって活性化された増感剤により誘発された場合に遊離基を与える化合物の混合物であってもよい。該開始剤は、可視または紫外線に感応するのが好ましい。光開始剤は、一般には光重合性組成物の重量に対して0.001%から10.0%の量で存在する。
【0030】
感光性樹脂層は、任意に、スペクトル増感剤を含有することが可能である。一般には、スペクトル増感剤は、反応開始成分、すなわち光開始剤の波長と異なる波長で放射線を吸収する物質で、吸収されたエネルギーを光開始剤に伝達することが可能である。したがって、活性放射線の波長を調節することができる。
【0031】
感光性樹脂層は、所望される最終特性に応じて、他の添加剤を含有することができる。感光性樹脂層に対するさらなる添加剤としては、増感剤、可塑剤、流動性改質剤、熱重合防止剤、着色剤、加工助剤、抗酸化剤、オゾン分解防止剤および充填剤が挙げられる。加工助剤は、低分子量アルファメチルスチレン重合体または共重合体の如きエラストマーブロック共重合体と相溶性を有する低分子量重合体のような物質である。オゾン分解防止剤は、炭化水素ワックス、ノルボルネンおよび植物油を含む。好適なオゾン分解防止剤としては、アルキル化フェノール、アルキル化ビスフェノール、重合トリメチルジヒドロキノンおよびジラウリルチオプロピノエートが挙げられる。
【0032】
本発明で用いられる感光性樹脂においては、可塑剤を使用して、エラストマーの特性を調節してもよい。好適な可塑剤の例としては、脂肪酸炭化水素オイル、例えばナフテン系オイル、パラフィン系オイル、液体ポリジエン、例えば液体ポリブタジエン、ならびに液体ポリイソプレンが挙げられる。一般に、可塑剤は分子量が約5000未満の液体であるが、約30,000までの分子量をもつものであってもよい。低分子量の可塑剤は、約30,000未満の分子量を包括する。
【0033】
なお、水性、準水性または有機溶剤系現像液(いわゆる湿式現像)に溶解、膨潤または分散可能な感光性樹脂組成物から形成されるフレキソ印刷版も、感光性樹脂組成物が熱現像に際して液状化してレリーフ面を形成することが可能である限り、本発明での使用に適したものであるといえる。溶剤現像に好適な組成物の例は、例えば米国特許第4323637号(Chen他)、米国特許第4427749号(Gruetzmacher他)および米国特許第4894315号(Feinberg他)に開示されている。
【0034】
感光性樹脂層の厚さは、所望の印刷版の種類に応じて、例えば約0.025cm(約0.010インチ)から約0.64cm(約0.250インチ)またはそれ以上の広い範囲で変動しうる。いわゆる「薄い印刷版」については、典型的には光重合可能層は、約0.025cm(約0.010インチ)から約0.17cm(約0.067インチ)までの範囲の厚さである。
【0035】
本発明におけるカバーフィルムは原版の貯蔵および取り扱いの間のIRアブレーション層の保護のために設けられるものであり、IR照射前またはIR照射後に除去(剥離)される。本発明の原版においては、カバーフィルム5の除去、すなわち、剥離作業時に、IRアブレーション層の破れやキズが防止される。
【0036】
カバーフィルムをIR照射前に除去する場合、そのようなカバーフィルムの構成材料としては、ポリアミド;ポリビニルアルコール;エチレンとビニルアセテートとのコポリマー;両性インターポリマー;ヒドロキシアルキルセルローズ、セルローズアセテートのようなセルローズ系ポリマー;ポリブチラール;環状ゴム等が好適である。ここで、両性インターポリマーは米国特許第4293635号に記載されているものである。当該材料はいずれか1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、ニトロセルローズとニトログリセリンのような自己酸化性化合物;アルキルセルローズ(例、エチルセルローズ)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩のような非自己酸化性ポリマー;ポリアセタール;ポリイミド;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリエチレン、ポリブチレンのようなポリアルキレン;ポリフェニレンエーテル;ポリエチレンオキサイド;ポリラクトンおよびこれらの組合せ等も使用できる。
【0037】
一方、カバーフィルムをIR照射後に除去する場合(IR照射時に存在させる場合)、そのようなカバーフィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド等が好適である。これらはいずれかを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、これらに他の有機重合体を少量共重合したり、ブレンドしたりしてもよい。
【0038】
カバーフィルムの厚みは10〜300μmが好ましく、特に好ましくは10〜200μmである。
【0039】
なお、本発明において、カバーフィルムは離型層を介してIR吸収性金属層10上に設けるのが好ましい。該離型層の材料としては、シリコーン離型剤、フッ素樹脂、ステアリン酸系樹脂、ポリエチレンワックス、流動性パラフィン等が好適であり、厚みとしては0.001〜10μm程度が好ましく、特に好ましくは0.001〜5μmである。
【0040】
本発明における支持体は、可撓性を有し、かつ、寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、或いはポリカーボネートを挙げることができる。支持体1の厚みは50〜250μm、好ましくは100〜200μmが原版の機械的特性、形状安定性あるいは印刷版製版時の取り扱い性等から好ましい。また、必要により、支持体と感光性樹脂層との接着を向上させるために、この種の目的で従来から使用されている公知の接着剤を表面に設けてもよい。
【0041】
本発明の感光性樹脂積層体を作製する方法は特に限定されないが、一般的には、支持体上に塗布、スプレーコーティング等で感光性樹脂層を形成するか、若しくは、市販の感光性フレキソ印刷版から保護フィルムを剥がすことで一方の積層体を作成し、さらにこれとは別に、基材フィルム(カバーフィルム)に真空蒸着、スパッタリング等でIR吸収性金属層を形成するか、若しくは、基材フィルム(カバーフィルム)に塗布、スプレーコーティング等で有機高分子層を形成後、これに続けて真空蒸着、スパッタリング等でIR吸収性金属層を形成して他方の積層体を形成し、このようにして得られた2つの積層体をヒートプレス機等を用いてラミネートすることにより作製する。ラミネート条件は、温度を室温〜150℃、好ましくは50〜120℃とし、圧力を20〜200kg重/cm2、好ましくは50〜150kg重/cm2とするのがよい。
【0042】
本発明感光性樹脂積層体から、例えば印刷版またはレリーフ板の作製は以下のようにして行うことができる。
カバーフィルムを剥がした後、または、残したまま、IRアブレーション層にIRレーザによる画像照射を行いことでIRアブレーションを実施し、感光性樹脂層上にマスクを形成する。適当なIRレーザの例としては、ND/YAGレーザ(1064nm)又はダイオードレーザ(例、830nm)を挙げることができる。コンピュータ製版技術に適当なレーザシステムは、市販されており、例えばダイオードレーザシステムOmniSetter(登録商標)(Fa. Misomex;レーザ波長:830nm;作業幅:1800mm)或いはND/YAGレーザシステムDigilas(登録商標)(Fa. Schepers)を挙げることができる。これらは、それぞれ感光性フレキソ印刷原版を保持する回転円筒ドラム、IRレーザの照射装置およびレイアウトコンピュータを含む。画像情報は、レイアウトコンピュータからレーザ装置に直接移される。
【0043】
次に、上記のようにして、マスクをIRアブレーション層に書き込んだ後、感光性フレキソ印刷版にマスクを介して化学線を全面照射する。これはレーザシリンダ上において直接行うことが有利である。或いは、版を、レーザ装置から取り外し、慣用の平板な照射ユニットで照射してもよい。照射工程の間、感光性樹脂層は上記マスクの形成工程(融除工程)で露出した領域において重合し、一方照射光を通さないIRアブレーション層によりなお被覆されているIRアブレーション層領域では、重合は起こらない。化学線の照射は、慣用の真空フレームで酸素を除去して行うことも可能であるが、大気酸素の存在下に行うことが有利である。
【0044】
上記のようにして化学線が照射された版は、現像工程に供される。現像工程は、感光性樹脂層およびIRアブレーション層の非照射部(未硬化部)を軟化または溶融または流動化させるのに充分な温度で加熱し、該層を吸収性の表面に接触させて溶融または流動部を吸収させることを含む。光重合可能層の重合領域は、非重合領域よりも溶融温度が高いため、現像温度で溶融、軟化または流動することはない。「溶融」という用語は、軟化させ、粘度を低下させて流動化、および吸収性物質による吸収を可能にする高温に曝された光重合可能層の非照射部の挙動を示すのに用いられる。感光性樹脂層の溶融部の材料は、通常は、固体と液体の間に鋭い遷移をもたない粘弾性物質であるため、該処理は、吸収性物質による吸収性に対するしきい値を上回る任意の温度で加熱組成物の層を吸収する機能を有する。広範囲な温度レンジを利用して、本発明の目的に応じた組成物層を「溶融」することができる。該処理が問題なく機能する間は、低温では吸収が遅く、高温では吸収が速くなる。脱粘着処理は、感光性印刷要素の表面がまだ粘着性を有し、当該粘着性は一般的に後照射において除去されない場合に適用できる任意の後現像処理である。臭素または塩素溶液による処理の如き当該技術分野でよく知られる方法によって粘着性を取り除くことが可能である。好ましくは、欧州公開特許出願第0017927号や米国特許第4806506号(Gibson)に開示されているように、波長が300nm以下の放射源に曝すことによって脱粘着を行う。
【0045】
【実施例】
次に、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。
実施例1
(感光性樹脂組成物の作製)
CYREL光重合体印刷版UXLタイプ(67ミル(約0.168cm))から光重合可能層を得た。光重合可能層がCYREL印刷版を起源とするサンプルについては、ラミネートに先立って保護シートおよび剥離層を除去した。
A.蒸着シートの作製
ケミカルマット処理を施したPETフィルム(原反は東洋紡績製のE5002で厚さ125μm、ケミカルマット処理は東洋クロスで実施)にポリビニルアルコール(日本合成化学工業製ゴーセノールAH−12)/プロピレングリコール(旭電化製)/界面活性剤(第一工業製薬製エパン740)/純水=8.75g/8.75g/0.01g/332.5gの比率で溶解した水溶液をバーコーター#26で塗布し、100℃、3分間乾燥して、乾燥後の厚みが1μmの塗膜を形成し、次いで、この塗膜の面に、真空蒸着法により、アルミニウムを500Åの厚みに蒸着した。この時の光学濃度(OD)は3.0であった。この光学濃度(OD)は白黒透過濃度計DM−520(大日本スクリーン(株)製造)によって測定した。
【0046】
B.原版の作製
上記感光性樹脂組成物をPETフイルム(厚さ125μm)にポリエステル系接着剤が塗布された支持体と、上記Aで作製したアルミニウム蒸着フィルムの蒸着面を重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて100℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、感光性樹脂層、アルミニウム蒸着層、ポリビニルアルコール層およびケミカルマット化PET保護フィルム(カバーフィルム)からなる版を得た。この版の総厚みは1.90mmであった。
【0047】
C.IRアブレーション
まず、ケミカルマット化PET保護フィルム(カバーフィルム)を剥離した。この時保護フィルム(カバーフィルム)のみが剥がれ、ポリビニルアルコール層とアルミニウム蒸着層は感光性樹脂層上に残っていた。この感光性樹脂層上を10倍ルーペで拡大して観察したところ、ポリビニルアルコール層とアルミニウム蒸着層に破れやキズは認められなかった。この版を、Cyrel Digital Imager Spark(BARCO社製)の回転ドラムにポリビニルアルコール層が表側に、支持体のPETフィルムが裏側なるように巻き付け、真空引き後、ダイオードレーザで画像形成を行った。使用した本装置のレーザー出力は4.8mW、レーザー解像度は2540dpi、レーザースポット径は直径15μmであった。回転ドラムは1500rpmで回転させた。IRアブレーション後、版を取り出して10倍ルーペで拡大して観察したところ、問題なくアルミニウム蒸着層がアブレーションされていることを確認した。
【0048】
D.製版の実施
上記IRアブレーションした、デジタル画像マスクで覆われた感光性フレキソ印刷版全面に、CYREL2001照射装置で化学線を9分間照射した。その後ドラムによって回転させながら熱処理し、吸収性物質(CEREX不織布ナイロンウェブタイプ2320)のウェブに層を接触させ、吸収性物質を層から分離し、層を冷却するサイクルを複数回繰り返した。照射版表面の剥離層を完全に除去するため3回の熱サイクルを要した。処理した版に光仕上げと後照射を10分間ずつ同時に施した。なお前記熱処理条件は以下のとおりである。
現像液ロール温度:135℃
ドラム温度:35℃
圧力:2.2psi/インチ
プレート速度:30インチ/分
出来上がったフレキソ印刷版を10倍の拡大ルーペで検査した。2ポイントの凸部および凹文字、30μm幅の細線、100μmの直径の独立点および156lpi、1%網点全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0049】
実施例2
A.蒸着シートの作製
ケミカルマット処理を施したPETフィルム(原反は東洋紡績製のE5002で厚さ125μm)にシリコーン離型剤(日本工材製NUCシリコーン)を約2秒間、約20cmの距離からスプレーした。その後、実施例1と同様にしてシリコーン離型剤のスプレー面に真空蒸着法により、アルミニウムを500Åの厚みに蒸着した。この時の光学濃度(OD)は3.0であった。
【0050】
B.原版の作製
実施例1と同様に、上記感光性樹脂組成物をPETフイルム(厚さ125μm)にポリエステル系接着剤が塗布された支持体と、前記アルミニウム蒸着フィルムの蒸着面を重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて100℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、感光性樹脂層、アルミニウム蒸着層およびケミカルマット化PET保護フィルム(カバーフィルム)からなる版を得た。この版の総厚みは1.91mmであった。
【0051】
上記作製した原版に、実施例1と同様にして、ケミカルマット化PET保護フィルム(カバーフィルム)を剥離した。この時保護フィルムのみが剥がれ、アルミニウム蒸着層は感光性樹脂層上に残っていた。また、この感光性樹脂層上を10倍ルーペで拡大して観察したところ、アルミニウム蒸着層に破れやキズは認められなかった。次に、この裏露光後の版に、実施例1と同様にして、ダイオードレーザで画像形成(IRアブレーション)を行い、版を取り出して10倍ルーペで拡大して観察したところ問題なくアルミニウム蒸着層がアブレーションされていることを確認した。
この後、実施例1と同様にして、版の全面に化学線を照射し、さらに熱現像を行い、出来上がったフレキソ印刷版を10倍の拡大ルーペで検査したところ、2ポイントの凸部および凹文字、30μm幅の細線、100μmの直径の独立点および156lpi、1%網点全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0052】
実施例3
A.蒸着シートの作製
市販のアルミニウム蒸着CPPフィルム(未延伸ポリプロピレンフィルム:中井工業製ケミライトS、フィルム厚み25μm、アルミニウム蒸着厚み430Å)を用いた。
【0053】
B.原版の作製
実施例1と同様にして、感光性フレキソ印刷原版( CYREL感光性重合体プレートHOSタイプ (デュポン製感光性フレキソ印刷原版))の感光性樹脂層を露出させ、この面に上記アルミニウム蒸着フィルムの蒸着面を重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて80℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、感光性樹脂層、アルミニウム蒸着層およびCPPフィルムからなる版を得た。この版の総厚みは1.88mmであった。
【0054】
上記作製した原版に、実施例1と同様にして、CPPフィルム(カバーフィルム)を剥離した。この時CPPフィルム(カバーフィルム)のみが剥がれ、アルミニウム蒸着層は感光性樹脂層上に残っていた。また、この感光性樹脂層上を10倍ルーペで拡大して観察したところ、アルミニウム蒸着層に破れやキズは認められなかった。次に、実施例1と同様にして、ダイオードレーザで画像形成(IRアブレーション)を行い、版を取り出して10倍ルーペで拡大して観察したところ問題なくアルミニウム蒸着層がアブレーションされていることを確認した。
この後、実施例1と同様にして、版の全面に化学線を照射し、さらに熱現像を行い、出来上がったフレキソ印刷版を10倍の拡大ルーペで検査したところ、2ポイントの凸部および凹文字、30μm幅の細線、100μmの直径の独立点および156lpi、1%網点全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0055】
比較例1
下記表1に示す成分を用いて、カーボンブラック、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)及び可塑剤を含む分散液を調製した。該分散液を、ナンバー26のバーコーターでPETフィルム(厚さ125μm)に塗布し、100℃、3分間乾燥して、水を蒸発させ、平滑で無粘着の塗布膜(4.1g/m2の塗布量及び4.8の化学線領域の光学濃度)を得、つまりIRアブレーション層が設けられたカバーフィルムを得た。
【0056】
【表1】
【0057】
原版の作製
上記作製したIRアブレーション層が設けられたPETフィルム(カバーフィルム)及び実施例1と同じ感光性フレキソ印刷原版を使用し、ヒートプレス機を用いて約100℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、感光性樹脂層、IRアブレーション層およびPETフィルム(カバーフィルム)からなる原版を得た。
次に、得られた原版のカバーフィルムであるPETフィルム(カバーフィルム)を剥がし、実施例1と同様にして化学線照射をする前に、IRアブレーション層を10倍ルーペで拡大して観察すると、一部が破れていたり、多数のキズが発生していた。
さらに、実施例1と同様にして、化学線照射後、熱現像したところ、IRアブレーション層中のカーボンブラックの一部が感光性樹脂層上に残留した。また、出来上がったフレキソ印刷版を10倍の拡大ルーペで検査したところ、前記のIRアブレーション層に発生したキズ等の影響により、所望とする画像以外の微小な凸部や、レリーフの欠損部が認められ、画像再現性の悪いものであった。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明によれば、カバーフィルムを剥がす際のIRアブレーション層の破れやキズの発生を防止できるので、高精度のマスク形成が可能であり、また、熱現像時にIRアブレーション層を感光性樹脂層の非照射部とともに完全に除去することができるので高品位の印刷画像が得られる印刷版を得ることができる等、産業界に寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感光性樹脂積層体の一実施態様例の模式断面図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 感光性樹脂層
3 IR吸収性金属層
4 有機高分子層
5 カバーフィルム
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性印刷原版や、その他のレリーフ板となり得る感光性樹脂積層体に関し、詳しくは、特にコンピュータ製版技術で印刷版を作製する際に使用する感光性樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、レタープレスやフレキソなどの凸版印刷やその他レリーフ板の分野において、デジタル画像形成技術としても知られているコンピュータ製版技術(コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術)は、極めて一般的なものとなってきている。CTP技術では、感光性印刷版の重合すべきでない領域を覆うために従来から使用されている写真マスク(フォトマスクやネガフィルムともいう)は、印刷版内で形成統合されるマスクに取って代わられている。このような統合マスクを得るための方法として、市場には2つの技術が存在する。一つは感光性印刷原版上にインクジェットプリンターでマスクを印刷する方法であり、もう一つは感光層上に紫外線に対して実質的に不透明で(即ち紫外線を実質的に通さない)、かつ、IRレーザの照射により融除可能な層(この層は、一般に「IRアブレーション層」や「赤外融除層」等と呼ばれており、本明細書では「IRアブレーション層」と呼ぶこととする。)を設け、当該層にIRレーザで画像形成をすることでマスクを形成する方法である。これらの技術を用いることで画像(マスク)が版上に直接形成され、次の工程で当該画像(マスク)を介して紫外線が照射され、製版へといたる。
【0003】
なお、CTP技術はネガフィルムが必要でないという利便性を有するだけでなく、ネガフィルムを使用する従来技術に比べて遙かに高い解像度を与え得る。
【0004】
ところで、上記IRアブレーション層を有する感光性樹脂積層体において、IRアブレーション層には、一般に、高分子バインダにカーボンブラックを多量に含有させた組成物が使用されている(例えば特許文献1参照)。また、通常、IRアブレーション層上には、原版の保存時や取り扱いの際のIRアブレーション層の保護のためにカバーフィルムが設けられており、このカバーフィルムはIRレーザの照射前またはIRレーザの照射後(通常、主露光後、現像前の時点)に除去される。しかし、本発明者等の研究の結果、カバーフィルムを剥がす際にIRアブレーション層に破れ(破損)やキズを生じ、それが最終的に得られる印刷画像に悪影響を及ぼしていることが判った。また、IRアブレーションを実施後、主露光し(紫外線の照射を行い)、熱現像する際に、IRアブレーション層中のカーボンブラックの一部が感光性樹脂層上に残留するという問題があり、版の印刷性能に悪影響を及ぼす原因になっている。
【0005】
【特許文献1】
特許第2916408号公報(第1頁特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、従来よりも感光性樹脂層が加工性や硬化物の透明性及び低温時の弾性などに優れ、高品位の印刷画像が得られ、IRアブレーション層が高感度であり、感光性樹脂層の非照射部とともに完全に除去することができる感光性樹脂積層体を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究した結果、IRアブレーション層をIR吸収性金属からなる金属層(以下、「IR吸収性金属層」ともいう)を含む構成とし、さらに感光性樹脂を特定することで、上記従来の問題が解消されて、高品位の印刷画像が得られることを見出し、遂に本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)少なくとも支持体、感光性樹脂、IRアブレーション層およびカバーフィルムを有する感光性樹脂積層体であって、IRアブレーション層が、IR吸収性金属層を含み、かつ、感光性樹脂層が熱除去可能であることを特徴とする感光性樹脂積層体。(2)IRアブレーション層とカバーフィルムとの間に、有機高分子層を有する前記(1)記載の感光性樹脂積層体。(3)IR吸収性金属層がアルミ蒸着層である前記(1)記載の感光性樹脂積層体。(4)感光性樹脂層がエラストマーバインダと、少なくとも1つのモノマーと、光開始剤とを含み、非照射状態では、少なくとも40℃の処理温度で溶融、軟化および流動化することが可能である前記(1)記載の感光性樹脂積層体。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明を図面を用いて説明すると、図1は本発明における感光性樹脂積層体(以下、「感光性印刷原版」または単に「フレキソ印刷原版」や「原版」ともいう。)の積層構成の一実施態様例における模式断面図であり、支持体1、感光性樹脂層2、IR吸収性金属層3、有機高分子層4およびカバーフィルム5を順次積層した構成である。
【0010】
本発明の感光性樹脂積層体においては、上記図1の例に示すように、IRアブレーション層がIR吸収性金属層3であることから、IRアブレーション層の膜強度が高く、カバーフィルム5の剥離作業によっても、IRアブレーション層に破れやキズが発生しにくい。さらに、本発明においては、IR吸収性金属層3を感光性樹脂層2に接触配置(直接積層)することが好ましく、つまりIR吸収性金属層3と感光性樹脂層2との間に他の層(有機高分子の層や有機高分子を含む組成物の層)を介在させないので、IRアブレーション層の破れがより起こりにくく、しかも、IRアブレーション後、主露光および現像して得られるレリーフの解像度が充分に高いものとなる。
【0011】
本発明において、図1は、露光時におけるIRアブレーション層の感度(すなわち、IRを吸収して融除される時間の短さ)の点から好ましい構成であるが、あくまで例示であり、前記の特徴を有するならば、その他の部分については、公知のこの種のフレキソ印刷原版の技術を適用できることはいうまでもない。
【0012】
本発明において、「IR吸収性金属」とは、IRを吸収して融除され得る、金属、合金または含金属化合物を意味し、ここでの合金とは、2種以上の金属元素の融合物だけでなく、2種以上の金属元素とともに金属元素以外の元素を含む融合物も含む。また、「IR吸収性金属」は1種の材料でも2種以上の材料を併用してもよい。
【0013】
上記金属の好ましい例としては、Al、Zn、Cuが挙げられる。また、上記合金の好ましい例としては、Ca、Sc、Tl、V、Sb、Cr、Mn、Fe、Al、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Ta、W、Au、BiおよびPbから選ばれる2種以上の金属の合金や、かかる2種以上の金属とともに、さらに非金属元素(炭素、ケイ素等)および/または希土類元素(Nd、Sm、Gd、Tb等)を含む合金、が挙げられる。また、含金属化合物としては、IRを吸収して融除され得るものであれば、金属酸化物、金属窒化物等の各種化合物を使用できるが、それらの中でも、亜クロム酸銅、酸化クロム、アルミン酸コバルト−クロム等の暗色無機顔料が好ましい。
【0014】
なお、IRアブレーション層の破れやキズつきの防止(膜強度)の点から、IR吸収性金属には、金属、合金を用いるのが好ましく、特に好ましくはAl、Zn、Cu、Bi−In−Cu合金であり、とりわけ好ましくはAlである。
【0015】
次に、本発明において任意に設置され得る有機高分子層4の構成材料としては、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、両性インターポリマー、アルキルセルローズ、セルローズ系ポリマー(特にヒドロキシプロピルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ニトロセルローズ)、エチレンとビニルアセテートのコポリマー、セルローズアセテートブチレート、ポリブチラール、環状ゴム等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。なお、両性インターポリマーは米国特許第4293635号等に記載されているものである。
【0016】
上記の例示の材料の中でも、重合度500〜4000、好ましくは1000〜3000で、かつ、ケン化度70%以上、好ましくは80〜99%、さらに好ましくは80〜90%のポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールが望ましい。ここで、変性ポリビニルアルコールとは、ポリビニルアルコールの水酸基と反応性を有する化合物(例えば、カルボキシル基、二重結合、芳香族環等を有する化合物)を二次的に反応させたり、酢酸ビニルと他のビニルモノマーとの共重合体をケン化したりして、末端や主鎖中にカルボキシル基、カルボニル基、ポリオキシアルキレン基、アセトアセチル基、スルホン基、シラノール基を導入したものである。
なお、前記有機高分子層は、透明であれば、IRにアブレーションせず、そのまま残っていてもよい。
【0017】
有機高分子層4の厚みは、0.01〜200μm、好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.1〜50μmである。厚みが200μmを超えると、IRアブレーションをする際に用いるドラムへの装着が困難となったり、また、主露光および現像して得られるレリーフの解像度が低下する虞があり、好ましくない。
【0018】
本発明において、IRアブレーション層10は実質的に紫外線(化学線)を透過させない。すなわち、化学線に対する光学濃度が2.0を超える値であり、好ましくは2.5を超える値である。
【0019】
IRアブレーション層10をIR吸収性金属層3のみで構成する場合、IR吸収性金属層3の厚みは、70〜20000Åが好ましく、特に好ましくは100〜8000Å、とりわけ好ましくは100〜5000Åである。厚みが70Å未満であると、IRアブレーション後のマスクとしての機能が劣るので好ましくなく、また、2000Åを超えると、画像形成用のIRではアブレーション(融除)することが困難になるので、好ましくない。
【0020】
一方、IRアブレーション層10をIR吸収性金属層3と有機高分子層4とで構成する場合、IR吸収性金属層3の厚みは、50〜15000Åが好ましく、特に好ましくは70〜8000Å、とりわけ好ましくは100〜5000Åである。厚みが50Å未満であると、IRアブレーション後のマスクとしての機能が劣るので好ましくなく、また、15000Åを超えると、画像形成用のIRではアブレーション(融除)することが困難になるので、好ましくない。
【0021】
有機高分子層4の厚みは、0.01〜200μm、好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.1〜50μmである。厚みが200μmを超えると、IRアブレーションをする際に用いるドラムへの装着が困難となったり、また、主露光および現像して得られるレリーフの解像度が低下する虞があり、好ましくない。
【0022】
本発明において、感光性樹脂層2は、熱除去可能であり、非照射状態では、少なくとも40℃の処理温度で溶融、軟化および流動化することが可能な層である。
具体的には、感光性樹脂層を約40℃以上、好ましくは約40℃から約230℃、より好ましくは約100℃から200℃、最も好ましくは100℃から160℃に加熱することにより、非照射部が溶融、軟化および流動化するものであり、非照射部は、吸収性物質等を表面に接触させることにより除去することができる。
【0023】
前記感光性樹脂層は、熱可塑性バインダ、少なくとも1つのモノマー、および光開始剤を含む組成物で形成されている。該熱可塑性バインダは、エラストマーであることが好ましい。該光開始剤は、化学線に対して感受性をもつ。本明細書を通じて、化学光線には紫外線および/または可視光が含まれるものとする。光重合性組成物は、熱現像に際して部分的に液状化することが可能である。すなわち、熱現像時に、未硬化組成物は、合理的な処理温度または現像温度において軟化、または溶融、または流動化する必要があるが、通常の保存時に低温流れ、すなわち寸法変化の影響を受けるものであってはならない。
【0024】
該熱可塑性バインダは、単一の重合体または重合体の混合物でありうる。バインダとしては、ポリイソプレン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンおよびブタジエン/アクリロニトリルを含めた共役ジオレフィン炭化水素の天然または合成重合体が挙げられる。好ましくは、該熱可塑性バインダは、A−B−A型ブロック共重合体であって、Aは非エラストマーブロック、好ましくはビニル重合体、最も好ましくはポリスチレンを表し、Bはエラストマーブロック、好ましくはポリブタジエンまたはポリイソプレンを表すブロック共重合体のエラストマーブロック共重合体である。この種の好適な熱可塑性エラストマーバインダとしては、好ましいものとしてポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロック共重合体およびポリ(スチレン/ブタジエン/スチレン)ブロック共重合体が挙げられる。非エラストマーとエラストマーの比は、好ましくは10:90から35:65の範囲内とする。より好ましくは、熱可塑性エラストマーバインダは、米国特許第5、972、565号(Dudek他)に記載されているような少なくとも2つのポリ(スチレン/イソプレン/スチレン)ブロック共重合体の混合物である。該バインダは、感光性層に対して少なくとも60重量%の量で存在するのが好ましい。
【0025】
本明細書に用いられるバインダという用語は、コアシェルミクロゲルおよびミクロゲルの混合物、ならびに米国特許第4956252号(Fryd他)および米国特許5707773号明細書に開示されているような形成済の高分子重合体を包括する。
【0026】
使用できる他の好適な感光性エラストマーとしては、ポリウレタンエラストマーが挙げられる。好適なポリウレタンエラストマーの例としては、(i)有機ジイソシアネートと、(ii)イソシアネート基との重合が可能な少なくとも2つの遊離水素基を有し、さらに分子毎に少なくとも1つのエチレン不飽和付加重合基を有する少なくとも1つの鎖増量剤と、(iii)最小分子量を500とし、イソシアネート基との重合が可能な基を含有する少なくとも2つの遊離水素を有する有機ポリオールの反応生成物である。これらの物質のいくつかのより詳細な説明については、米国特許第5015556号を参照されたい。
【0027】
具体的なバインダの例としては、ポリアミド、ポリエチレン酸化物、ポリプロピレン酸化物、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、酢酸ビニルとピロリドンの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンワックス、ポリアセタール、ポリブチラール、ポリアルキレン、ポリカーボネート、ポリエステルエラストマー、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、スチレンとブタジエンの共重合体、スチレンとイソプレンの共重合体、スチレンとブタジエンの熱可塑性ブロック共重合体、スチレンとイソプレンの熱可塑性ブロック共重合体、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリクロルプレン、ブチルゴム、ニトリルゴム、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、環式ゴム、酢酸ビニルと(アクリレートまたはメタクリレート)の共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、メタクリレート−ブタジエン−スチレンターポリマー、アルキルメタクリレートの重合体または共重合体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体、スチレンとアルコールで部分的にエステル化した無水マレイン酸の共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル(メタクリル)酸、ポリアクリル(メタクリル)酸の金属アルカリ塩、両性共重合体、ヒドロキシアルキルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、スチレンとメタクリル酸の共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリルアミド、イミドとアミドの共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンとテトラフルオロエチレン共重合体の共重合体、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンジミダゾール、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0028】
前記感光性樹脂組成物は、透明で曇りのない感光層を生成する限りにおいてバインダとの相溶性を有する、付加重合可能な少なくとも1つの化合物を含有する。該付加重合可能な少なくとも1つの化合物は、モノマーと称することもでき、単一のモノマーであってもモノマーの混合物であってもよい。該感光性樹脂組成物に使用することのできるモノマーは当該技術分野においてよく知られており、少なくとも1つの末端エチレン基を備えた付加重合性エチレン不飽和化合物が含まれるが、それに限定されない。一般には、モノマーは比較的分子量が小さい(約30,000未満)。モノマーは、分子量が比較的小さく、約5000未満であるのが好ましい。好適なモノマーの例としては、t−アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、ヘキサンジオールジアクリレートおよびへキサンジオールジメタクリレートのようなアルカノールの如き、アルコールおよびポリオールのアクリル酸およびメタクリル酸モノおよびポリエステル;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートおよびジエチレングリコールジアクリレートの如きアルキレングリコール、トリメチロールプロパントリアクリレートの如きトリメチロールプロパン;エトキシル化トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ジペンタエリスリトール;ポリアクリロールオリゴマーなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。ポリアクリロールオリゴマーを使用する場合は、該オリゴマーの分子量は1000を上回るのが好ましい。一官能および多官能アクリレートまたはメタクリレートの混合物を使用することができる。好適なモノマーの他の例としては、イソシアネート、エステル、エポキシドなどのアクリレートおよびメタクリレート誘導体が挙げられる。当業者であれば、モノマーを適切に選択して、感光性樹脂組成物にエラストマー特性を与えることが可能である。エラストマーモノマーの例としては、アクリル化液体ポリイソプレン、アクリル化液体ブタジエン、ビニル含有率が高い液体ポリイソプレン、およびビニル含有率が高い(すなわち、1−2ビニル基の含有率が20重量%を上回る)液体ポリブタジエンが挙げられるが、それらに限定されるものではない。モノマーのさらなる例は、米国特許第4323636号(Chen)、米国特許第4753865号(Fryd他)、米国特許第4726877号(Fryd他)および米国特許第4894315号(Feinberg他)に見いだすことができる。付加重合が可能な化合物(モノマー)はエラストマー組成物に対して少なくとも5重量%、好ましくは10から20重量%の量で存在する。
【0029】
本発明において用いられる光開始剤は、化学線に感応して、過度の停止反応を生じることなく1つまたは複数のモノマーの重合を開始する遊離基を生成する任意の単一化合物、または化合物の組み合わせとすることができる。知られている種類の光開始剤、特にキノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、アリルケトン、過酸化物、ビイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシアルキルフェニルアセトホン、ジアルコキシアクトフェノン、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド誘導体、アミノケトン、ベンゾイルシクロヘキサノール、メチルチオフェニルモルフォリノケトン、モルフォリノフェニルアミノケトン、アルファハロゲノアセトフェノン、オキシスルホニルケトン、スルホニルケトン、オキシスルホニルケトン、スルホニルケトン、ベンゾイルオキシムエステル、チオキサントロン、カンフォルキノン、ケトコウウマリン、ミヒラーケトンなどの遊離基光開始剤を使用することができる。あるいは、光開始剤は、その1つが放射線によって活性化された増感剤により誘発された場合に遊離基を与える化合物の混合物であってもよい。該開始剤は、可視または紫外線に感応するのが好ましい。光開始剤は、一般には光重合性組成物の重量に対して0.001%から10.0%の量で存在する。
【0030】
感光性樹脂層は、任意に、スペクトル増感剤を含有することが可能である。一般には、スペクトル増感剤は、反応開始成分、すなわち光開始剤の波長と異なる波長で放射線を吸収する物質で、吸収されたエネルギーを光開始剤に伝達することが可能である。したがって、活性放射線の波長を調節することができる。
【0031】
感光性樹脂層は、所望される最終特性に応じて、他の添加剤を含有することができる。感光性樹脂層に対するさらなる添加剤としては、増感剤、可塑剤、流動性改質剤、熱重合防止剤、着色剤、加工助剤、抗酸化剤、オゾン分解防止剤および充填剤が挙げられる。加工助剤は、低分子量アルファメチルスチレン重合体または共重合体の如きエラストマーブロック共重合体と相溶性を有する低分子量重合体のような物質である。オゾン分解防止剤は、炭化水素ワックス、ノルボルネンおよび植物油を含む。好適なオゾン分解防止剤としては、アルキル化フェノール、アルキル化ビスフェノール、重合トリメチルジヒドロキノンおよびジラウリルチオプロピノエートが挙げられる。
【0032】
本発明で用いられる感光性樹脂においては、可塑剤を使用して、エラストマーの特性を調節してもよい。好適な可塑剤の例としては、脂肪酸炭化水素オイル、例えばナフテン系オイル、パラフィン系オイル、液体ポリジエン、例えば液体ポリブタジエン、ならびに液体ポリイソプレンが挙げられる。一般に、可塑剤は分子量が約5000未満の液体であるが、約30,000までの分子量をもつものであってもよい。低分子量の可塑剤は、約30,000未満の分子量を包括する。
【0033】
なお、水性、準水性または有機溶剤系現像液(いわゆる湿式現像)に溶解、膨潤または分散可能な感光性樹脂組成物から形成されるフレキソ印刷版も、感光性樹脂組成物が熱現像に際して液状化してレリーフ面を形成することが可能である限り、本発明での使用に適したものであるといえる。溶剤現像に好適な組成物の例は、例えば米国特許第4323637号(Chen他)、米国特許第4427749号(Gruetzmacher他)および米国特許第4894315号(Feinberg他)に開示されている。
【0034】
感光性樹脂層の厚さは、所望の印刷版の種類に応じて、例えば約0.025cm(約0.010インチ)から約0.64cm(約0.250インチ)またはそれ以上の広い範囲で変動しうる。いわゆる「薄い印刷版」については、典型的には光重合可能層は、約0.025cm(約0.010インチ)から約0.17cm(約0.067インチ)までの範囲の厚さである。
【0035】
本発明におけるカバーフィルムは原版の貯蔵および取り扱いの間のIRアブレーション層の保護のために設けられるものであり、IR照射前またはIR照射後に除去(剥離)される。本発明の原版においては、カバーフィルム5の除去、すなわち、剥離作業時に、IRアブレーション層の破れやキズが防止される。
【0036】
カバーフィルムをIR照射前に除去する場合、そのようなカバーフィルムの構成材料としては、ポリアミド;ポリビニルアルコール;エチレンとビニルアセテートとのコポリマー;両性インターポリマー;ヒドロキシアルキルセルローズ、セルローズアセテートのようなセルローズ系ポリマー;ポリブチラール;環状ゴム等が好適である。ここで、両性インターポリマーは米国特許第4293635号に記載されているものである。当該材料はいずれか1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、ニトロセルローズとニトログリセリンのような自己酸化性化合物;アルキルセルローズ(例、エチルセルローズ)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩のような非自己酸化性ポリマー;ポリアセタール;ポリイミド;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリエチレン、ポリブチレンのようなポリアルキレン;ポリフェニレンエーテル;ポリエチレンオキサイド;ポリラクトンおよびこれらの組合せ等も使用できる。
【0037】
一方、カバーフィルムをIR照射後に除去する場合(IR照射時に存在させる場合)、そのようなカバーフィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド等が好適である。これらはいずれかを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、これらに他の有機重合体を少量共重合したり、ブレンドしたりしてもよい。
【0038】
カバーフィルムの厚みは10〜300μmが好ましく、特に好ましくは10〜200μmである。
【0039】
なお、本発明において、カバーフィルムは離型層を介してIR吸収性金属層10上に設けるのが好ましい。該離型層の材料としては、シリコーン離型剤、フッ素樹脂、ステアリン酸系樹脂、ポリエチレンワックス、流動性パラフィン等が好適であり、厚みとしては0.001〜10μm程度が好ましく、特に好ましくは0.001〜5μmである。
【0040】
本発明における支持体は、可撓性を有し、かつ、寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、或いはポリカーボネートを挙げることができる。支持体1の厚みは50〜250μm、好ましくは100〜200μmが原版の機械的特性、形状安定性あるいは印刷版製版時の取り扱い性等から好ましい。また、必要により、支持体と感光性樹脂層との接着を向上させるために、この種の目的で従来から使用されている公知の接着剤を表面に設けてもよい。
【0041】
本発明の感光性樹脂積層体を作製する方法は特に限定されないが、一般的には、支持体上に塗布、スプレーコーティング等で感光性樹脂層を形成するか、若しくは、市販の感光性フレキソ印刷版から保護フィルムを剥がすことで一方の積層体を作成し、さらにこれとは別に、基材フィルム(カバーフィルム)に真空蒸着、スパッタリング等でIR吸収性金属層を形成するか、若しくは、基材フィルム(カバーフィルム)に塗布、スプレーコーティング等で有機高分子層を形成後、これに続けて真空蒸着、スパッタリング等でIR吸収性金属層を形成して他方の積層体を形成し、このようにして得られた2つの積層体をヒートプレス機等を用いてラミネートすることにより作製する。ラミネート条件は、温度を室温〜150℃、好ましくは50〜120℃とし、圧力を20〜200kg重/cm2、好ましくは50〜150kg重/cm2とするのがよい。
【0042】
本発明感光性樹脂積層体から、例えば印刷版またはレリーフ板の作製は以下のようにして行うことができる。
カバーフィルムを剥がした後、または、残したまま、IRアブレーション層にIRレーザによる画像照射を行いことでIRアブレーションを実施し、感光性樹脂層上にマスクを形成する。適当なIRレーザの例としては、ND/YAGレーザ(1064nm)又はダイオードレーザ(例、830nm)を挙げることができる。コンピュータ製版技術に適当なレーザシステムは、市販されており、例えばダイオードレーザシステムOmniSetter(登録商標)(Fa. Misomex;レーザ波長:830nm;作業幅:1800mm)或いはND/YAGレーザシステムDigilas(登録商標)(Fa. Schepers)を挙げることができる。これらは、それぞれ感光性フレキソ印刷原版を保持する回転円筒ドラム、IRレーザの照射装置およびレイアウトコンピュータを含む。画像情報は、レイアウトコンピュータからレーザ装置に直接移される。
【0043】
次に、上記のようにして、マスクをIRアブレーション層に書き込んだ後、感光性フレキソ印刷版にマスクを介して化学線を全面照射する。これはレーザシリンダ上において直接行うことが有利である。或いは、版を、レーザ装置から取り外し、慣用の平板な照射ユニットで照射してもよい。照射工程の間、感光性樹脂層は上記マスクの形成工程(融除工程)で露出した領域において重合し、一方照射光を通さないIRアブレーション層によりなお被覆されているIRアブレーション層領域では、重合は起こらない。化学線の照射は、慣用の真空フレームで酸素を除去して行うことも可能であるが、大気酸素の存在下に行うことが有利である。
【0044】
上記のようにして化学線が照射された版は、現像工程に供される。現像工程は、感光性樹脂層およびIRアブレーション層の非照射部(未硬化部)を軟化または溶融または流動化させるのに充分な温度で加熱し、該層を吸収性の表面に接触させて溶融または流動部を吸収させることを含む。光重合可能層の重合領域は、非重合領域よりも溶融温度が高いため、現像温度で溶融、軟化または流動することはない。「溶融」という用語は、軟化させ、粘度を低下させて流動化、および吸収性物質による吸収を可能にする高温に曝された光重合可能層の非照射部の挙動を示すのに用いられる。感光性樹脂層の溶融部の材料は、通常は、固体と液体の間に鋭い遷移をもたない粘弾性物質であるため、該処理は、吸収性物質による吸収性に対するしきい値を上回る任意の温度で加熱組成物の層を吸収する機能を有する。広範囲な温度レンジを利用して、本発明の目的に応じた組成物層を「溶融」することができる。該処理が問題なく機能する間は、低温では吸収が遅く、高温では吸収が速くなる。脱粘着処理は、感光性印刷要素の表面がまだ粘着性を有し、当該粘着性は一般的に後照射において除去されない場合に適用できる任意の後現像処理である。臭素または塩素溶液による処理の如き当該技術分野でよく知られる方法によって粘着性を取り除くことが可能である。好ましくは、欧州公開特許出願第0017927号や米国特許第4806506号(Gibson)に開示されているように、波長が300nm以下の放射源に曝すことによって脱粘着を行う。
【0045】
【実施例】
次に、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。
実施例1
(感光性樹脂組成物の作製)
CYREL光重合体印刷版UXLタイプ(67ミル(約0.168cm))から光重合可能層を得た。光重合可能層がCYREL印刷版を起源とするサンプルについては、ラミネートに先立って保護シートおよび剥離層を除去した。
A.蒸着シートの作製
ケミカルマット処理を施したPETフィルム(原反は東洋紡績製のE5002で厚さ125μm、ケミカルマット処理は東洋クロスで実施)にポリビニルアルコール(日本合成化学工業製ゴーセノールAH−12)/プロピレングリコール(旭電化製)/界面活性剤(第一工業製薬製エパン740)/純水=8.75g/8.75g/0.01g/332.5gの比率で溶解した水溶液をバーコーター#26で塗布し、100℃、3分間乾燥して、乾燥後の厚みが1μmの塗膜を形成し、次いで、この塗膜の面に、真空蒸着法により、アルミニウムを500Åの厚みに蒸着した。この時の光学濃度(OD)は3.0であった。この光学濃度(OD)は白黒透過濃度計DM−520(大日本スクリーン(株)製造)によって測定した。
【0046】
B.原版の作製
上記感光性樹脂組成物をPETフイルム(厚さ125μm)にポリエステル系接着剤が塗布された支持体と、上記Aで作製したアルミニウム蒸着フィルムの蒸着面を重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて100℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、感光性樹脂層、アルミニウム蒸着層、ポリビニルアルコール層およびケミカルマット化PET保護フィルム(カバーフィルム)からなる版を得た。この版の総厚みは1.90mmであった。
【0047】
C.IRアブレーション
まず、ケミカルマット化PET保護フィルム(カバーフィルム)を剥離した。この時保護フィルム(カバーフィルム)のみが剥がれ、ポリビニルアルコール層とアルミニウム蒸着層は感光性樹脂層上に残っていた。この感光性樹脂層上を10倍ルーペで拡大して観察したところ、ポリビニルアルコール層とアルミニウム蒸着層に破れやキズは認められなかった。この版を、Cyrel Digital Imager Spark(BARCO社製)の回転ドラムにポリビニルアルコール層が表側に、支持体のPETフィルムが裏側なるように巻き付け、真空引き後、ダイオードレーザで画像形成を行った。使用した本装置のレーザー出力は4.8mW、レーザー解像度は2540dpi、レーザースポット径は直径15μmであった。回転ドラムは1500rpmで回転させた。IRアブレーション後、版を取り出して10倍ルーペで拡大して観察したところ、問題なくアルミニウム蒸着層がアブレーションされていることを確認した。
【0048】
D.製版の実施
上記IRアブレーションした、デジタル画像マスクで覆われた感光性フレキソ印刷版全面に、CYREL2001照射装置で化学線を9分間照射した。その後ドラムによって回転させながら熱処理し、吸収性物質(CEREX不織布ナイロンウェブタイプ2320)のウェブに層を接触させ、吸収性物質を層から分離し、層を冷却するサイクルを複数回繰り返した。照射版表面の剥離層を完全に除去するため3回の熱サイクルを要した。処理した版に光仕上げと後照射を10分間ずつ同時に施した。なお前記熱処理条件は以下のとおりである。
現像液ロール温度:135℃
ドラム温度:35℃
圧力:2.2psi/インチ
プレート速度:30インチ/分
出来上がったフレキソ印刷版を10倍の拡大ルーペで検査した。2ポイントの凸部および凹文字、30μm幅の細線、100μmの直径の独立点および156lpi、1%網点全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0049】
実施例2
A.蒸着シートの作製
ケミカルマット処理を施したPETフィルム(原反は東洋紡績製のE5002で厚さ125μm)にシリコーン離型剤(日本工材製NUCシリコーン)を約2秒間、約20cmの距離からスプレーした。その後、実施例1と同様にしてシリコーン離型剤のスプレー面に真空蒸着法により、アルミニウムを500Åの厚みに蒸着した。この時の光学濃度(OD)は3.0であった。
【0050】
B.原版の作製
実施例1と同様に、上記感光性樹脂組成物をPETフイルム(厚さ125μm)にポリエステル系接着剤が塗布された支持体と、前記アルミニウム蒸着フィルムの蒸着面を重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて100℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、感光性樹脂層、アルミニウム蒸着層およびケミカルマット化PET保護フィルム(カバーフィルム)からなる版を得た。この版の総厚みは1.91mmであった。
【0051】
上記作製した原版に、実施例1と同様にして、ケミカルマット化PET保護フィルム(カバーフィルム)を剥離した。この時保護フィルムのみが剥がれ、アルミニウム蒸着層は感光性樹脂層上に残っていた。また、この感光性樹脂層上を10倍ルーペで拡大して観察したところ、アルミニウム蒸着層に破れやキズは認められなかった。次に、この裏露光後の版に、実施例1と同様にして、ダイオードレーザで画像形成(IRアブレーション)を行い、版を取り出して10倍ルーペで拡大して観察したところ問題なくアルミニウム蒸着層がアブレーションされていることを確認した。
この後、実施例1と同様にして、版の全面に化学線を照射し、さらに熱現像を行い、出来上がったフレキソ印刷版を10倍の拡大ルーペで検査したところ、2ポイントの凸部および凹文字、30μm幅の細線、100μmの直径の独立点および156lpi、1%網点全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0052】
実施例3
A.蒸着シートの作製
市販のアルミニウム蒸着CPPフィルム(未延伸ポリプロピレンフィルム:中井工業製ケミライトS、フィルム厚み25μm、アルミニウム蒸着厚み430Å)を用いた。
【0053】
B.原版の作製
実施例1と同様にして、感光性フレキソ印刷原版( CYREL感光性重合体プレートHOSタイプ (デュポン製感光性フレキソ印刷原版))の感光性樹脂層を露出させ、この面に上記アルミニウム蒸着フィルムの蒸着面を重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて80℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、感光性樹脂層、アルミニウム蒸着層およびCPPフィルムからなる版を得た。この版の総厚みは1.88mmであった。
【0054】
上記作製した原版に、実施例1と同様にして、CPPフィルム(カバーフィルム)を剥離した。この時CPPフィルム(カバーフィルム)のみが剥がれ、アルミニウム蒸着層は感光性樹脂層上に残っていた。また、この感光性樹脂層上を10倍ルーペで拡大して観察したところ、アルミニウム蒸着層に破れやキズは認められなかった。次に、実施例1と同様にして、ダイオードレーザで画像形成(IRアブレーション)を行い、版を取り出して10倍ルーペで拡大して観察したところ問題なくアルミニウム蒸着層がアブレーションされていることを確認した。
この後、実施例1と同様にして、版の全面に化学線を照射し、さらに熱現像を行い、出来上がったフレキソ印刷版を10倍の拡大ルーペで検査したところ、2ポイントの凸部および凹文字、30μm幅の細線、100μmの直径の独立点および156lpi、1%網点全ての試験パターンが正確に形成されていた。
【0055】
比較例1
下記表1に示す成分を用いて、カーボンブラック、ポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセノールGH−23、熱分解開始温度220℃、極限酸素指数22.5)及び可塑剤を含む分散液を調製した。該分散液を、ナンバー26のバーコーターでPETフィルム(厚さ125μm)に塗布し、100℃、3分間乾燥して、水を蒸発させ、平滑で無粘着の塗布膜(4.1g/m2の塗布量及び4.8の化学線領域の光学濃度)を得、つまりIRアブレーション層が設けられたカバーフィルムを得た。
【0056】
【表1】
【0057】
原版の作製
上記作製したIRアブレーション層が設けられたPETフィルム(カバーフィルム)及び実施例1と同じ感光性フレキソ印刷原版を使用し、ヒートプレス機を用いて約100℃、100kg重/cm2でラミネートし、PET支持体、感光性樹脂層、IRアブレーション層およびPETフィルム(カバーフィルム)からなる原版を得た。
次に、得られた原版のカバーフィルムであるPETフィルム(カバーフィルム)を剥がし、実施例1と同様にして化学線照射をする前に、IRアブレーション層を10倍ルーペで拡大して観察すると、一部が破れていたり、多数のキズが発生していた。
さらに、実施例1と同様にして、化学線照射後、熱現像したところ、IRアブレーション層中のカーボンブラックの一部が感光性樹脂層上に残留した。また、出来上がったフレキソ印刷版を10倍の拡大ルーペで検査したところ、前記のIRアブレーション層に発生したキズ等の影響により、所望とする画像以外の微小な凸部や、レリーフの欠損部が認められ、画像再現性の悪いものであった。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明によれば、カバーフィルムを剥がす際のIRアブレーション層の破れやキズの発生を防止できるので、高精度のマスク形成が可能であり、また、熱現像時にIRアブレーション層を感光性樹脂層の非照射部とともに完全に除去することができるので高品位の印刷画像が得られる印刷版を得ることができる等、産業界に寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感光性樹脂積層体の一実施態様例の模式断面図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 感光性樹脂層
3 IR吸収性金属層
4 有機高分子層
5 カバーフィルム
Claims (4)
- 少なくとも支持体、感光性樹脂、IRアブレーション層およびカバーフィルムを有する感光性樹脂積層体であって、IRアブレーション層が、IR吸収性金属層を含み、かつ、感光性樹脂層が熱除去可能であることを特徴とする感光性樹脂積層体。
- IRアブレーション層とカバーフィルムとの間に、有機高分子層を有する請求項1記載の感光性樹脂積層体。
- IR吸収性金属層がアルミ蒸着層である請求項1記載の感光性樹脂積層体。
- 感光性樹脂層がエラストマーバインダと、少なくとも1つのモノマーと、光開始剤とを含み、非照射状態では、少なくとも40℃の処理温度で溶融、軟化および流動化することが可能である請求項1記載の感光性樹脂積層体。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060512 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20071214 |