JP2001078759A - 微生物担体および生ごみ処理装置 - Google Patents

微生物担体および生ごみ処理装置

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JP2001078759A
JP2001078759A JP24769799A JP24769799A JP2001078759A JP 2001078759 A JP2001078759 A JP 2001078759A JP 24769799 A JP24769799 A JP 24769799A JP 24769799 A JP24769799 A JP 24769799A JP 2001078759 A JP2001078759 A JP 2001078759A
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garbage
microorganism
microorganism carrier
chips
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JP24769799A
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Masahiro Iijima
正大 飯島
Kazuo Tokushima
一雄 徳島
Kazuma Matsui
数馬 松井
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Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性に優れた微生物担体を提供する。 【解決手段】 生ごみを分解処理する微生物担体として
竹チップを用いる。木質材料のなかでも異質な竹は、耐
摩耗性がよく、摩耗粉の処理などを考えると環境性にも
優れ、また、微生物のすみかである細孔を確保してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生ごみを分解処理
する微生物を担持する微生物担体、およびそれを用いた
生ごみ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】微生物を用いて生ごみを分解処理する生
ごみ処理装置において、微生物を担持する微生物担体と
しては、微生物を担持するのに必要な細孔を有している
こと、微生物の繁殖に適当な湿度を維持できるような保
水性を有していること、生ごみ分解に必要な空気を微生
物に供給できるように、微生物担体を分解槽に充填した
ときに微生物担体相互の間に適当な空隙を確保できるこ
とが要求される。
【0003】そして、上記条件を満たすものとして多孔
質の木質細片があり、生ごみ処理装置の微生物担体とし
ては、入手容易性などの点から一般的に杉チップ(杉細
片)が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、生ごみ
処理装置では、微生物の生ごみ分解に必要とされる空気
を分解槽内に供給するために、生ごみと微生物担体との
攪拌が必要であり、微生物担体として上記杉チップを用
いた場合には、杉材の耐摩耗性が低いので、分解槽内で
生ごみと杉チップを攪拌しているうちに、杉チップは短
期間で摩耗してしまう。この摩耗して細かくなった杉チ
ップは分解槽内の微生物担体相互間の空隙率を低下さ
せ、これにより分解槽内における生ごみ分解に必要な空
気が不足して微生物の生ごみ分解性能を低下させる。
【0005】そして、摩耗が早く進むことにより、杉チ
ップの交換を頻繁に行わなければならず、摩耗した杉チ
ップの分解槽内からの取り出しおよびこれらの処理も大
きな手間となっている。
【0006】一方、微生物担体として杉チップなどの木
質材料に代わるものとして、工業材料化が考えられ、特
公平2−34679号公報には主化学組成が二酸化珪素
(SiO2 )68%、アルミナ(Al2 3 )21%の
多孔質セラミックが記載されている。この多孔質セラミ
ックは表面の細孔形状により菌付着能に優れるが、生ご
みと微生物担体との攪拌が必要な生ごみ処理装置に用い
た場合には、硬質なセラミック材料と金属からなる攪拌
部材との摩擦及びセラミック材料同士の摩擦により、や
はり摩耗量が多いという問題がある。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、耐摩耗性に優れた微生物担体を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明では、生ごみを分解処理する微生物を
担持するために竹細片(竹チップ)を用いることを特徴
としている。
【0009】木質材料のなかでも異質である竹は、耐摩
耗性がよく、摩耗粉の処理などを考えると環境性にも優
れ、また、微生物のすみかである細孔を確保しているな
ど上記の微生物担体に要求される条件を満たしている。
従って、請求項1記載の発明により、耐摩耗性に優れた
微生物担体を提供することが可能となる。
【0010】また、請求項2記載の発明では、竹細片は
縦繊維方向長さ(d)および縦繊維方向の直交方向長さ
(e)がともに2mm〜10mmの範囲内であることを
特徴としている。
【0011】竹細片の縦繊維方向長さ(d)および縦繊
維方向の直交方向長さ(e)が2mmより小さい場合
は、竹細片を微生物担体として分解槽に充填したとき
に、竹細片相互間の空隙率が小さくなって微生物の活動
に必要な空気が不足し、微生物の生ごみ分解能力を低下
させる。また、縦繊維方向長さ(d)および縦繊維方向
の直交方向長さ(e)が10mmより大きい場合は、微
生物担体全体としての表面積が小さくなり、担持できる
微生物の量が減少し、微生物の生ごみ分解能力を低下さ
せる。従って、請求項2記載の発明によれば、微生物の
生ごみ分解能力をより良好に発揮させることができる。
【0012】また、請求項3記載の発明では、竹細片は
縦繊維方向長さ(d)が5mm以上あることを特徴とし
ている。
【0013】竹はその繊維構造特性から縦繊維方向
(D)に強く、縦繊維方向の直交方向(E)に弱いの
で、図2(b)に示す竹細片のように縦繊維方向の直交
方向長さ(e)に対して縦繊維方向長さ(d)が短か過
ぎる場合には、縦繊維方向の直交方向(E)の途中で破
断し易い。そこで、請求項3記載の発明によれば、微生
物担体(12)として用いる竹細片の強度を確保するこ
とができる。
【0014】上記のように竹はその繊維構造特性から縦
繊維方向(D)に強いので、竹細片を粉砕加工にて形成
した場合には、切断面において縦繊維がきれいに切断さ
れず、切断面が不均一になり、摩耗し易いという問題が
ある。
【0015】そこで、請求項4記載の発明では、竹細片
は縦繊維を切断加工にて形成されたものであることを特
徴としている。
【0016】これにより、竹細片の切断面において縦繊
維をきれいに切断でき、耐摩耗性のより高い竹細片を得
ることができる。
【0017】また、請求項5記載の発明では、竹細片は
粉砕加工にて形成されたものであることを特徴としてい
る。
【0018】これにより、入手容易などのような形状の
竹材料も用いることができるので、容易に竹チップを得
ることができる。また、粉砕(破砕)加工によって形成
された竹チップは、切断加工によって製造された竹チッ
プに比較して形が不揃いであり表面が粗いため、空隙率
を大きくすることができるとともに、どのような機種の
生ごみ処理装置においても攪拌の困難さを生じることも
ない。
【0019】また、請求項6記載の発明では、竹細片が
未乾燥の竹材料から形成されるものである場合には、竹
材料は密閉空間に所定時間放置されることを特徴として
いる。
【0020】このように竹材料を密閉空間で放置するこ
とで、竹に付着している菌と竹内部に含まれている栄養
分によって醗酵が進行する。この醗酵作用により、内部
物質によって当初酸性だった竹のpHがアルカリ性に移
行し、竹細片を微生物担体として好適に使用することが
できる。
【0021】ところで、採取されて間もない未乾燥の竹
材料を用いる場合には、上記のように竹細片を密閉状態
で放置することによって醗酵作用が進行するが、採取後
乾燥した竹材料の場合には、竹内部に水分がなくなるこ
とにより竹に含まれる栄養分が固形化しており、密閉状
態で放置しても醗酵作用が進行しない。
【0022】そこで、請求項7記載の発明では、竹細片
が乾燥した竹材料から形成されるものである場合には、
竹材料は水に所定時間浸漬されることを特徴としてい
る。
【0023】このように、乾燥した竹を水に浸漬するこ
とにより、竹内部に留まっていた栄養分が溶出して菌繁
殖を助けるとともに、竹内部から菌繁殖を阻害する物質
を溶出させることが可能となる。また、竹は組織が網紋
状のため吸水しにくいが、一旦吸水すれば竹内部では水
分が発散しにくいため、予め水に浸漬させることにより
微生物の繁殖に適した水分の調整が可能となる。
【0024】なお、請求項6記載の未乾燥竹材料の密閉
空間での放置、および請求項7記載の乾燥竹材料の水へ
の浸漬は、竹細片に加工する前後のどちらで行ってもよ
い。
【0025】また、請求項8記載の発明のように、上記
水には栄養物が含有されているようにすることで、さら
に菌繁殖効果を高めることができる。なお、栄養物の組
成は具体的には、NH4Cl:K2HPO4:MgSO4
KCl:FeSO4=3:1:0.25:0.25:
0.002とすることができる。
【0026】また、請求項9記載の発明では、微生物を
用いて生ごみを分解処理する生ごみ処理装置であって、
請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の微生物
担体により微生物を担持することを特徴としている。
【0027】これにより、生ごみ処理装置の微生物担体
(12)の耐摩耗性を向上させることができ、生ごみ処
理装置における微生物担体(12)の交換時期間隔を長
くすることができる。
【0028】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1お
よび図2に基づいて説明する。
【0030】本実施形態は、本発明を生ごみ処理装置に
適用したものであって、図1にこの生ごみ処理装置1の
概略全体構成を示す。
【0031】この生ごみ処理装置1は、台所のシンク
(流し台)2下方に設置されており、シンク2には、シ
ンク2の排水を下水道に排出するための排出孔3が設け
られている。この排出孔3の下方には、生ごみを後述の
粉砕部8にまで移送する移送路4が形成されており、こ
の移送路4の上方部は生ごみの投入口5となっている。
この投入口5は、上記排出孔3と投入口5との間に設置
された開閉ゲート6にて開閉される。
【0032】そして、開閉ゲート6の下方で、上記移送
路4の下流部には、生ごみを粉砕する粉砕部8が設けら
れている。この粉砕部8の図1中左側には、粉砕部8で
粉砕された生ごみを分解処理する分解部10が設けられ
ている。この分解部10内には、分解槽(微生物容器)
11が設けられており、この分解槽11内には微生物の
担持された微生物担体12が入っている。この微生物担
体12については後述する。
【0033】なお、上記微生物として、高温域にて生育
可能で、その温度域で生ごみに対する高い分解活性を示
す高温菌を使用した場合には、その生育条件下では他の
菌が生育できないため雑菌繁殖を防止でき、また、酸素
存在下で生育する好気性菌を使用した場合には、臭気成
分を排出しないという理由から高温好気性菌が使用され
る。
【0034】また、この分解槽11の底部には通水部1
3が設けられている。生ごみ分解にて発生した分解水
は、この通水部13によって分解槽外部に排出され、さ
らに、排出部7を通じて屋外に排出される。
【0035】分解槽11内には、生ごみと微生物担体1
2とを攪拌し、上記微生物に酸素を供給して生ごみの分
解効率を高めるための攪拌翼14が設けられている。こ
の攪拌翼14は耐食性に優れた金属から構成され、攪拌
用モータ15にて回転駆動される。
【0036】分解部10の上方には、上記分解槽11内
の微生物担体12を、上記微生物の活動を促進する所定
温度に温調する温調ヒータ21が設けられている。そし
てこの温調ヒータ21にて生じた熱は、ファン22にて
分解槽11の外壁に設けられた通風ダクト20内に送風
され、分解槽11を外壁から温める。
【0037】さらに分解部10の上方には、換気ポンプ
23が設置されており、この換気ポンプ23の吸込口
は、上記分解槽11内に連通している。一方、この換気
ポンプ23の吐出口には、換気パイプ24が接続され、
この換気パイプ24の下流部は排出部7に接続されてい
る。次に、本実施形態における微生物担体12として使
用される竹の種類および物性条件について説明する。
【0038】本実施形態における微生物担体12として
用いられる竹は、入手容易性の点から孟宗竹(モウソウ
チク)および真竹(マダケ)の2種類である。
【0039】図2に竹材を裁断して製造した竹チップを
示し、この図2に基づき微生物担体12として用いる竹
チップの寸法について説明する。
【0040】微生物担体12として用いるのは、縦繊維
方向長さdおよび縦繊維方向の直交方向長さeが2〜1
0mmの範囲の竹チップとする。縦繊維方向長さdおよ
び縦繊維方向の直交方向長さeが2mmより小さい場合
は、分解槽11内での微生物担体12相互間の空隙率が
小さくなり過ぎ、微生物の生ごみ分解に必要な空気が不
足して微生物の生ごみ分解能を低下させる。また、縦繊
維方向長さdおよび縦繊維方向の直交方向長さeが10
mmより大きい場合は、個々の微生物担体12の大きさ
が大きくなって、分解槽11内の微生物担体12全体と
しての表面積が小さくなることから、担持することので
きる微生物の量が減少し、これもまた、微生物の生ごみ
分解能を低下させる。
【0041】また、竹はその繊維構造特性から縦繊維方
向Dに強く、縦繊維方向の直交方向Eに弱いので、図2
(b)に示す竹細片のように縦繊維方向の直交方向長さ
eに対して縦繊維方向長さdが短か過ぎる場合には、縦
繊維方向の直交方向Eの途中で破断し易い。そこで、微
生物担体12として用いる竹チップを製造する際には、
縦繊維方向長さdが5mm以上となるように竹を裁断
し、微生物担体12としての強度を確保する。そして、
裁断後、径2〜10mmの篩を篩過した竹チップを微生
物担体12として用いる。
【0042】上記の縦方向長さdおよび縦方向の直交方
向長さeが2〜10mmの竹チップは、微生物担体12
として要求される以下の物性(保水率、空隙率、微細孔
径、比重)を満足する。
【0043】上記竹チップの保水率は10〜30%の範
囲内である。ここでいう保水率は、竹チップによって保
持される水の体積(ミリリットル)を竹チップの体積
(ミリリットル)で割った値である。
【0044】上記竹チップの保水率から、竹チップは、
微生物の繁殖に適当な湿度を維持するのに適した保水性
を有し、微生物を良好に繁殖させることができる。とこ
ろで、保水率があまりに高くなり過ぎると分解槽11内
の空隙率が低下し、好気的条件を保ちにくい。従来技術
で用いられていた杉チップは保水率が最大60%になる
が、竹チップの保水率は最大30%であり、竹チップは
保水率があまり高くなり過ぎない点でより好ましい。
【0045】上記竹チップを分解槽11内に充填したと
きの竹チップ相互間の空隙率は50%以上である。これ
により微生物担体12と生ごみを攪拌したときに、微生
物が生ごみ分解処理を行うのに必要な空気を確保でき
る。
【0046】上記竹チップの表面に形成されている微細
孔径は20〜200μmの範囲内である。これにより微
生物のすみかを確保でき、微生物を良好に担持すること
ができる。
【0047】上記竹チップの比重は0.5〜1.2の範
囲内であり、平均値は0.8である。微生物担体が生ご
みより軽いと、微生物担体12は分解槽11内で表層に
浮いてしまい、逆に生ごみより重いと分解槽11内の底
に沈んでしまい、いずれも微生物担体12と生ごみとの
攪拌が困難である。従って、微生物担体12の比重は生
ごみと同程度であることが望ましい。上記竹チップの比
重はこれを満たし、生ごみとの攪拌を良好に行うことが
できる。
【0048】また、本発明者らの実験、検討によれば、
竹チップを微生物担体として用いた場合には、従来技術
で一般的に用いられている杉チップを用いた場合と比較
して、以下の2つの理由により菌繁殖能が数十倍すぐれ
ていることが確認された。
【0049】第1に、杉材の幹の横断面は木質部の周囲
が樹皮に覆われている円形状であって、栄養分は木質部
のうち樹皮近傍部分を通過するのに対し、竹材の幹の横
断面は円形の木質部の中心部分が空洞となっている中空
形状であり、栄養分は木質部の全面にわたって通過す
る。従って、杉材から製造される杉チップはあまり栄養
分を含まないのに対し、竹材から製造される竹チップは
栄養分を豊富に含むこととなり、これらを微生物担体と
して使用したときには、竹チップのほうがより多くの微
生物を繁殖させることができる。
【0050】第2に、杉チップと竹チップのそれぞれ
を、縦繊維方向の両端に位置する2つの端面と縦繊維方
向の直交方向に位置する4つの側面を備える直方体とし
たとき、杉チップは縦繊維方向の両端面において微細孔
を形成しているが、縦繊維方向の直交方向の側面におい
ては微細孔を形成していない。これに対し、竹チップ
は、縦繊維方向の両端面および縦繊維方向の直交方向の
側面において繊維が交錯して微細孔が形成されている。
従って、杉チップは、縦繊維方向の両端面の2面でしか
微生物を担持できないのに対し、竹チップは、縦繊維方
向の両端面と縦繊維方向の直交方向の4つの側面の計6
面すべてで微生物を担持でき、これらを微生物担体とし
て使用したときには、竹チップのほうがより多くの微生
物を繁殖させることができる。
【0051】さらに、本発明者らの実験、検討によれ
ば、竹チップを微生物担体として用いた場合には、従来
技術で一般に用いられている杉チップを用いた場合と比
較して、摩耗量が1/3以下であることが確認された。
従って、竹チップを微生物担体として用いた場合には、
杉チップを用いた場合に比較して、分解槽内の微生物担
体の交換時期間隔を長くすることが可能となる。
【0052】次に、図3に基づいて、本発明者らが行っ
た微生物担体として竹チップを用いた場合における生ご
みの分解実験結果について説明する。
【0053】この実験では、生ごみ分解のための微生物
として、高温域で高い分解活性を示し、かつ、酸素を必
要とする高温好気性分解菌を用いた。微生物担体の竹チ
ップには孟宗竹を用いた。
【0054】実験のため、分解槽11を2つ準備し、一
方の分解槽には高温好気性分解菌を担持させた竹チップ
を11リットル投入し、他の分解槽には、比較のために
高温好気性分解菌を担持させた杉チップを11リットル
投入した。以下、竹チップを投入した分解槽を竹チップ
分解槽といい、杉チップを投入した分解槽を杉チップ分
解槽という。
【0055】各分解槽に標準生ごみ(重量比で野菜60
%、穀物20%、果物10%、肉類10%)を投入し
て、分解槽に備えられた攪拌翼14を回転駆動させ、微
生物担体12と生ごみを攪拌した。換気ポンプ23によ
り分解槽11内に外気を供給して分解槽11内の好気的
条件を確保した。また、各分解槽は、常に50℃になる
ように温度制御装置(温調ヒータ21、ファン22)に
て温度調整した。
【0056】図3(a)の縦軸は、標準生ごみの投入量
をkg単位で示し、横軸は分解処理開始からの経過日数
を示す。各分解槽には、図3(a)に示すように1日目
から7日目までは1日あたり1kgの標準生ごみを投入
し、8日目から14日目までは1日あたり2kgの標準
生ごみを投入した。
【0057】図3(b)の縦軸は、分解処理開始後、分
解されなかった生ごみの重量増加量をkg単位で示し、
横軸は分解処理開始からの経過日数を示す。図3(b)
に示すように、分解処理開始から7日目までは、杉チッ
プ分解槽および竹チップ分解槽ともに生ごみをほぼ完全
に分解でき、各分解槽ともに重量増加量はほぼ0kgで
ある。これが、14日目になると、杉チップ分解槽では
分解されなかった生ごみが4kgに増加するのに対し、
竹チップ分解槽では1kgに増加するだけである。この
ことから、竹チップを微生物担体として使用した場合に
は、従来技術の杉チップを微生物担体として使用した場
合に比較して、高い生ごみ処理能力を発揮することがで
きるといえる。
【0058】図3(c)の縦軸は、分解槽内のpHの変
動を示し、横軸は分解処理開始からの経過日数を示す。
図3(c)から、杉チップ分解槽ではpH4〜9の範囲
で変動しているのに対し、竹チップ分解槽ではpH7〜
9の範囲で安定していることがわかる。
【0059】分解槽内のpHが酸性領域に移行するの
は、以下の理由による。即ち、生ごみ中のタンパク質が
微生物によって分解されると二酸化炭素、水およびアン
モニアとなり、このうちアンモニアは周知のようにアル
カリ性を示す。そこで、微生物の生ごみ処理能力が十分
でないと、分解される生ごみの量が減り、生ごみ中のタ
ンパク質の分解により生ずるアンモニアが減少する。ま
た、雰囲気が好気的でない場合、有機酸が生成する。こ
の結果分解槽内のpHは酸性領域に移行することにな
る。
【0060】従って、分解槽内のpHは生ごみ処理能力
を間接的に示しているといえ、分解槽内のpHは7以上
であることが好ましい。図3(c)に示すように杉チッ
プ分解槽にて11日目以降にpHが酸性領域に移行して
いるのは、杉チップ分解槽において、微生物の生ごみ処
理能力が低下していることを示す。これに対し、竹チッ
プ分解槽では、上記のようにpH7〜9の範囲で安定
し、生ごみ処理能力が維持されていることを示す。
【0061】図3(d)の縦軸は、分解槽内に投入した
微生物担体の摩耗量をグラム単位で示し、横軸は分解処
理開始からの経過日数を示す。なお、この図3(d)に
おける摩耗量の値(グラム)は、微生物担体の摩耗量に
加えて、生ごみを一部含む値となっており、微生物担体
の摩耗量のみを表すものではない。
【0062】図3(d)に示すように分解処理開始から
7日目では、杉チップ分解槽における摩耗量は40グラ
ムであり、竹チップ分解槽における摩耗量は20グラム
である。14日目では、杉チップ分解槽における摩耗量
は100グラムであり、竹チップ分解槽における摩耗量
は45グラムである。これにより、竹チップを微生物担
体として使用した場合には、杉チップに比較して耐摩耗
性に優れていることがわかる。
【0063】従って、微生物担体12として竹チップを
使用した場合には、杉チップを使用した場合に比較し
て、耐摩耗性に優れていることから、微生物担体12が
短期間で摩耗するのを防止することが可能となり、これ
により微生物担体12の摩耗による分解槽11内の微生
物担体12相互間の空隙率低下を防止でき、微生物の生
ごみ処理能力を長期間に渡って発揮させることができ
る。さらに、分解槽11内の微生物担体12の交換時期
間隔を長くすることが可能となる。
【0064】ところで、微生物担体として一般的に用い
られている杉チップは、杉材料を粉砕加工によって細か
く砕いて細片にすることによって製造される。
【0065】しかしながら、竹材料はその繊維構造特性
から縦繊維方向に強いため、本発明における竹チップを
杉チップと同様に粉砕加工して細片とした場合には、切
断面において縦繊維がきれいに切断されず、切断面が不
均一になる。このため、粉砕加工により製造した竹チッ
プは、その製造段階および分解槽11内で生ごみと攪拌
する際において摩耗量が多いという問題がある。
【0066】そこで、本実施形態においては、上記問題
を解決するために、竹チップを以下のように製造してい
る。
【0067】まず、円筒状の竹材料を縦繊維方向に割り
裂き、図4に示すような径2〜3mmの竹ひごを作成す
る。次に、この竹ひごを縦繊維方向Dにおいて10mm
間隔で切断加工する。これによって、縦方向の直行方向
長さeが2〜3mmで、縦方向長さdが10mmの竹細
片を得ることができる。そして、切断加工することによ
って縦繊維をきれいに切断することができ、均一な切断
面とすることができ、耐摩耗性のより高い形状の竹担体
を製造することができる。
【0068】次に、図5に基づいて、本発明者らが行っ
た上記製造方法によって製造した竹チップの摩耗特性に
ついての実験結果を説明する。
【0069】本例による切断加工により製造した竹チッ
プと、比較のため粉砕加工により製造した竹チップおよ
び杉チップについて接触摩耗試験を行った。
【0070】図5の縦軸は竹チップあるいは杉チップの
摩耗率(竹チップ等の重量に対する摩耗量)を%で示
し、横軸は接触摩耗試験開始からの経過月数を示す。図
5に示すように、接触摩耗試験開始から12カ月経過時
点における摩耗率は、それぞれ切断加工竹チップが1
%、粉砕加工竹チップが5.5%、杉チップが10%で
あった。これにより、まず竹チップは杉チップに比較し
て耐摩耗性に優れることが分かる。さらに、同じ竹チッ
プでも切断加工により製造した竹チップは、粉砕加工に
より製造した竹チップに比較して摩耗量を大幅に低減す
ることができ、耐摩耗性に優れることが分かる。
【0071】従って、本例のように切断加工により竹チ
ップを製造した場合には、竹チップの耐摩耗性をより向
上させることができる。
【0072】上記で説明した実施形態では、微生物担体
として用いられる竹チップを、円筒状の竹材料を切断加
工することにより製造した。しかしながら、円筒状の竹
材料は現実問題として入手が容易ではない上に、形を揃
えた竹ひごを切断する必要がある。また、切断加工によ
って製造した竹チップは摩耗量が少ない一方、表面が滑
らかであるため、生ごみ処理装置の機種によっては攪拌
が困難であるという問題がある。
【0073】従って、微生物担体として、円筒状の竹材
料を切断加工して製造された竹チップに代えて、竹材料
を粉砕(破砕)加工によって製造した竹チップを用いる
ことができる。粉砕加工によれば、入手容易などのよう
な形状の竹材料でも用いることができ、さらに、従来よ
り一般的に使用されている木材チップの製造装置を用い
ることができる。
【0074】このようして得られた竹チップのうち、上
記と同様、径2〜10mmの篩を用いて篩過した竹チッ
プを微生物担体として用いる。この2〜10mmの竹チ
ップの物性は、保水率は10〜30%であり、空隙率は
50%以上であり、細孔径は20〜200μmであり、
比重は0.5〜1.2(平均値0.8)である。
【0075】また、粉砕加工によって製造された竹チッ
プは、切断加工によって製造された竹チップに比較して
形が不揃いであり表面が粗いため、空隙率を大きくする
ことができ、さらに、どのような機種の生ごみ処理装置
においても攪拌の困難さを生じることがないなど、生ご
み処理装置に用いる微生物担体として優れた特質を備え
ている。
【0076】なお、竹は抗菌作用を有しているため、上
記実施形態のように竹チップを製造した後、これを直ち
に微生物担体として使用することができない。このた
め、製造された竹チップを袋(密閉空間)に詰めた後、
1ヶ月以上静置する。この間に、竹チップに付着してい
る菌と竹チップ内部に含まれている栄養分によって醗酵
が行われる。この醗酵作用により、内部物質によって当
初酸性だった竹チップのpHがアルカリ性に移行するこ
とになる。
【0077】上記の高温好気性菌の生育環境としてpH
が所定範囲(一般的にpH6〜9.5)であることが必
要であり、生ごみ分解過程における有機酸の発生等によ
るpHの変動を考慮すると微生物担体のpHは8以上で
あることが望ましい。従って、上記醗酵作用によってア
ルカリ性になった竹チップは、微生物担体として好適に
使用することができる。
【0078】ところで、採取されて間もない竹を微生物
担体として用いる場合には、上記のように竹チップを袋
に詰めて密閉状態で静置することによって醗酵作用が進
行するが、採取後乾燥した竹の場合には、竹内部に水分
がなくなることにより竹に含まれる栄養分が固形化して
おり、上記のように袋に入れて静置しても醗酵作用が進
行しない。このため、乾燥した竹を微生物担体として用
いる場合には、使用する前に水に浸漬させる。上記大き
さ(径2〜10mm)の竹チップであれば、2時間浸漬
させる必要がある。
【0079】このように、乾燥した竹チップを水に浸漬
させることにより、竹内部に留まっていた栄養分が溶出
して菌繁殖を助けるとともに、竹内部から菌繁殖を阻害
する物質を溶出させることが可能となる。これによって
竹チップのpHがアルカリ性に移行する。また、竹は組
織が網紋状のため吸水しにくいが、一旦吸水すれば竹内
部では水分が発散しにくい。このため、予め竹チップを
水に浸漬させることにより、微生物の繁殖に適した水分
調整を行うことが可能となる。
【0080】さらに、竹チップを浸漬させる水に予め栄
養物を含有させておくことで、さらに菌繁殖効果を高め
ることができる。本実施形態において水に含有させる栄
養物の組成は、 NH4Cl:K2HPO4:MgSO4:KCl:FeSO
4=3:1:0.25:0.25:0.002 であり、菌繁殖効果の点から炭素を持たない化合物が適
当である。
【0081】以上のように乾燥した竹チップは、水に浸
漬することで微生物担体として好適に使用することがで
きる。
【0082】なお、上記実施形態で説明した未乾燥竹チ
ップの醗酵や乾燥竹チップの水への浸漬といった処理
は、醗酵作用等が速やかに進行する点で、竹材料を切断
加工等によって竹チップに加工した後に行うのが好まし
いが、これらの処理を竹チップに加工する前の段階の竹
材料に対して行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した生ごみ処理装置の全体概略構
成を示す断面図である。
【図2】上記実施形態における竹チップの斜視図であ
る。
【図3】本発明における微生物担体の標準生ごみの分解
実験結果を示すグラフである。
【図4】本発明における竹チップの製造工程を示す工程
図である。
【図5】本発明における竹チップの接触摩耗試験結果を
示すグラフである。
【符号の説明】
11…分解槽、12…微生物担体、14…攪拌翼。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 数馬 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 4B033 NA02 NA11 NB02 NB12 NB60 NB62 NC12 NE02 4D004 AA03 CA04 CA18 CA42 CB13 CC03 CC08 CC15 DA03 DA09 DA20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生ごみを分解処理する微生物を竹細片に
    よって担持した微生物担体。
  2. 【請求項2】 前記竹細片は縦繊維方向長さ(d)およ
    び縦繊維方向の直交方向長さ(e)がともに2mm〜1
    0mmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の
    微生物担体。
  3. 【請求項3】 前記竹細片は縦繊維方向長さ(d)が5
    mm以上あることを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の微生物担体。
  4. 【請求項4】 前記竹細片は縦繊維を切断加工にて形成
    されたものであることを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれか1つに記載の微生物担体。
  5. 【請求項5】 前記竹細片は破砕加工にて形成されたも
    のであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    1つに記載の微生物担体。
  6. 【請求項6】 前記竹細片が、未乾燥の竹材料から形成
    されるものである場合には、前記竹材料は密閉空間に所
    定時間放置されることを特徴とする請求項1ないし5の
    いずれか1つに記載の微生物担体。
  7. 【請求項7】 前記竹細片が、乾燥した竹材料から形成
    されるものである場合には、前記竹材料は水に所定時間
    浸漬されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれ
    か1つに記載の微生物担体。
  8. 【請求項8】 前記水は、栄養物が含有されたものであ
    ることを特徴とする請求項7に記載の微生物担体。
  9. 【請求項9】 生ごみを微生物により分解処理する生ご
    み処理装置において、前記微生物を担持する微生物担体
    として請求項1ないし8のいずれか1つに記載の微生物
    担体が用いられていることを特徴とする生ごみ処理装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011234624A (ja) * 2010-04-30 2011-11-24 Earth Project:Kk 暗渠
JP2014057946A (ja) * 2012-09-19 2014-04-03 Ohbayashi Corp 油分解促進材及びそれを用いた油汚染土の浄化方法

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JP2011234624A (ja) * 2010-04-30 2011-11-24 Earth Project:Kk 暗渠
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