JP2001076716A - アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池

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JP2001076716A JP2000016553A JP2000016553A JP2001076716A JP 2001076716 A JP2001076716 A JP 2001076716A JP 2000016553 A JP2000016553 A JP 2000016553A JP 2000016553 A JP2000016553 A JP 2000016553A JP 2001076716 A JP2001076716 A JP 2001076716A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔性のニッケル焼結基板に水酸化ニッケル
を主体とする活物質が充填されたアルカリ蓄電池用ニッ
ケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池において、高い電
圧で放電が行えるようにすると共に、高温での保存特性
や充放電サイクル特性を向上させる。 【解決手段】 多孔性のニッケル焼結基板1に水酸化ニ
ッケルを主体とする活物質2が充填されたアルカリ蓄電
池用ニッケル極において、ニッケル焼結基板に充填され
た活物質の表面部又は多孔性のニッケル焼結基板と活物
質との間に、コバルトCo,ニッケルNiから選択され
る少なくとも1種の元素と、マンガンMn,アルミニウ
ムAl,鉄Fe,銅Cu,銀Agから選択される少なく
とも1種の元素との複合化合物を含む被覆層3又は中間
層4を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、多孔性のニッケ
ル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする活物質が充填
されたアルカリ蓄電池用ニッケル極及びこのようなアル
カリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用したアルカリ蓄電
池に関するものであり、アルカリ蓄電池用ニッケル極を
改善し、このアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用
したアルカリ蓄電池において、高い電圧での放電が行え
るようにすると共に、このアルカリ蓄電池を充電状態で
高温下において保存した場合に、自己放電が生じるのを
抑制して、高温での保存特性を向上させ、さらに、アル
カリ蓄電池における充放電サイクル特性を向上させるよ
うにした点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ニッケル−水素蓄電池、ニッ
ケル−カドミウム蓄電池等のアルカリ蓄電池において
は、その正極として焼結式のニッケル極又は非焼結式の
ニッケル極が使用されてきた。
【0003】ここで、非焼結式のニッケル極は、発泡ニ
ッケル等の導電性の多孔体に水酸化ニッケルを主体とす
る活物質のペーストを直接充填して製造するものであ
り、このためその製造が簡単であるが、高電流での充放
電特性が悪いという問題があった。
【0004】一方、焼結式のニッケル極は、焼結によっ
て得られた多孔性のニッケル焼結基板を用い、この多孔
性のニッケル焼結基板に活物質塩を化学的に含浸させて
活物質を充填させたものであり、ニッケル焼結基板の導
電性が高く、また活物質がこの多孔性のニッケル焼結基
板に密着していることから、高電流での充放電特性に優
れている。このため、このような焼結式のニッケル極を
使用したアルカリ蓄電池は、高電流で放電を行う電動工
具等に好適に使用されている。
【0005】しかし、この焼結式のニッケル極は、非焼
結式のニッケル極に比べて活物質の充填率が低いため、
その活物質の利用率を高める必要があった。また、この
ような焼結式のニッケル極を使用したアルカリ蓄電池に
おいて、充放電を繰り返して行うと、上記のニッケル焼
結基板が脆くなり、充放電サイクル特性に改善の余地が
あった。
【0006】そこで、従来においては、特開平1−20
0555号公報に示されるように、多孔性のニッケル焼
結基板に充填させた活物質の表面に水酸化コバルトの層
を形成し、これを酸素とアルカリ溶液の存在下で加熱処
理して、水酸化コバルトを酸化させ、これにより活物質
における導電性を高めて利用率を向上させるようにした
ものや、特開昭63−216268号公報に示されるよ
うに、多孔性のニッケル焼結基板の表面に水酸化コバル
トの層を形成し、これを酸素とアルカリ溶液の存在下で
加熱処理した後、水酸化ニッケルを主体とする活物質を
上記のニッケル焼結基板に充填させるようにし、活物質
を充填させる際におけるニッケル焼結基板の腐食を抑制
し、アルカリ蓄電池における充放電サイクル特性を改善
するようにしたものや、特開平5−121073号公報
に示されるように、水酸化ニッケルを主体とする活物質
をニッケル焼結基板に充填させた焼結式ニッケル極の表
面に水酸化マンガンの層を形成し、活物質や集電体の表
面における水素の酸化反応速度を低下させ、焼結式ニッ
ケル極における自己放電を抑制するようにしたものが提
案されている。
【0007】しかし、上記の特開平1−200555号
公報に示されるようにして作製した焼結式のニッケル極
をアルカリ蓄電池の正極に使用した場合においても、こ
のアルカリ蓄電池を充電した状態で50℃程度の高温で
長く保存すると、焼結式のニッケル極において酸素が発
生して自己放電が生じ、アルカリ蓄電池における容量が
低下するという問題があった。
【0008】また、特開昭63−216268号(特公
平5−50099号)公報に示されるようにして作製し
た焼結式のニッケル極をアルカリ蓄電池の正極に使用し
た場合においても、このアルカリ蓄電池を50℃程度の
高温で充電させた場合、上記の正極が十分に充電される
前に酸素が発生して、充電効率が低下するという問題が
あった。
【0009】また、特開平5−121073号公報に示
されるようにして作製した焼結式のニッケル極をアルカ
リ蓄電池の正極に使用した場合、このアルカリ蓄電池の
放電時における電圧低下が大きくなり、また充放電を繰
り返した場合に、電池容量が低下するのを十分に抑制す
ることができないという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、多孔性の
ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体とする活物質
が充填されたアルカリ蓄電池用ニッケル極及びこのよう
なアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用したアルカ
リ蓄電池における上記のような様々な問題を解決するこ
とを課題とするものであり、上記のアルカリ蓄電池用ニ
ッケル極を改善して、このアルカリ蓄電池用ニッケル極
を正極に使用したアルカリ蓄電池が、高い電圧で放電で
きるようにし、またこのアルカリ蓄電池を充電状態で高
温下において保存した場合に自己放電が生じるのを抑制
すると共に、さらに充放電を繰り返した場合に電池容量
が低下するのを抑制し、アルカリ蓄電池における充放電
サイクル特性を向上させることを課題とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明における第1の
アルカリ蓄電池用ニッケル極においては、上記のような
課題を解決するため、多孔性のニッケル焼結基板に水酸
化ニッケルを主体とする活物質が充填されてなるアルカ
リ蓄電池用ニッケル極において、多孔性のニッケル焼結
基板に形成された活物質の表面部に、コバルトCo,ニ
ッケルNiから選択される少なくとも1種の元素と、マ
ンガンMn,アルミニウムAl,鉄Fe,銅Cu,銀A
gから選択される少なくとも1種の元素との複合化合物
を含む被覆層を設けるようにしたのである。
【0012】また、この発明における第2のアルカリ蓄
電池用ニッケル極においては、上記のような課題を解決
するため、多孔性のニッケル焼結基板に水酸化ニッケル
を主体とする活物質が充填されてなるアルカリ蓄電池用
ニッケル極において、多孔性のニッケル焼結基板と活物
質との間に、コバルトCo,ニッケルNiから選択され
る少なくとも1種の元素と、マンガンMn,アルミニウ
ムAl,鉄Fe,銅Cu,銀Agから選択される少なく
とも1種の元素との複合化合物を含む中間層を設けるよ
うにしたのである。
【0013】そして、この発明における第1及び第2の
アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いてアルカリ蓄
電池を作製した場合、多孔性のニッケル焼結基板に充填
された活物質の表面部に設けた上記の被覆層や、多孔性
のニッケル焼結基板と活物質との間に設けた上記の中間
層により、活物質やニッケル焼結基板が電解液と接触し
て自己放電するのが抑制されると共に、このアルカリ蓄
電池用ニッケル極において酸素が発生する電位が温度の
上昇に伴って低下するのが抑制され、このアルカリ蓄電
池を充電させた状態で高温下において保存した場合にお
ける保存特性が向上する。
【0014】さらに、上記の第1及び第2のアルカリ蓄
電池用ニッケル極においては、上記のように被覆層や中
間層に、コバルトCo,ニッケルNiから選択される少
なくとも1種の元素と、マンガンMn,アルミニウムA
l,鉄Fe,銅Cu,銀Agから選択される少なくとも
1種の元素との複合化合物を用いているため、焼結式ニ
ッケル極の表面に水酸化マンガンだけの層を形成した従
来のアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いたものに比べ
て、充放電反応がスムーズに行われるようになり、充放
電反応時の過電圧が小さくなって、高い電圧での放電が
行えるようになると共に、このアルカリ蓄電池用ニッケ
ル極が膨化するのも抑制されて、アルカリ蓄電池におけ
る充放電サイクル特性も向上する。
【0015】ここで、上記の第1及び第2のアルカリ蓄
電池用ニッケル極において、被覆層や中間層に用いる上
記の複合化合物は、アルカリ蓄電池中において比較的安
定に存在できるものであることが好ましく、このため、
請求項2及び請求項6に示すように、上記の複合化合物
が水酸化物又は酸化物或いはこれらの混合物であること
が好ましい。
【0016】また、上記の第1及び第2のアルカリ蓄電
池用ニッケル極において、上記のような被覆層や中間層
を設けるにあたり、被覆層や中間層における上記の複合
化合物の量が少ないと、活物質やニッケル焼結基板が電
解液と接触して自己放電したり、このアルカリ蓄電池用
ニッケル極において酸素が発生する電位が温度の上昇に
伴って低下するのを十分に抑制することができなくな
る。一方、上記の複合化合物の量が多くなりすぎると、
アルカリ蓄電池用ニッケル極に充填される活物質の比率
が低下して、十分な電池容量が得られなくなると共に、
アルカリ蓄電池の放電時における電圧が低下し、アルカ
リ蓄電池用ニッケル極における未放電部分が増大して、
アルカリ蓄電池用ニッケル極が膨化し、アルカリ蓄電池
における充放電サイクル特性が低下する。このため、被
覆層や中間層における上記の複合化合物の量を、請求項
3及び請求項7に示すように、水酸化ニッケルを主体と
する活物質を含めた全充填量の0.5〜5重量%の範囲
にすることが好ましく、また請求項4及び請求項8に示
すように、上記の被覆層や中間層中において、マンガ
ン,アルミニウム,鉄,銅,銀から選択される少なくと
も1種の化合物の量を、水酸化ニッケルを主体とする活
物質を含めた充填物の全充填量の0.3〜3重量%の範
囲にすることが好ましい。
【0017】さらに、この発明においては、上記のよう
なアルカリ蓄電池用ニッケル極をアルカリ蓄電池に使用
して充放電を行った場合に、このアルカリ蓄電池用ニッ
ケル極が膨化するのを抑制するため、上記の水酸化ニッ
ケルを主体とする活物質中に、亜鉛,カドミウム,マグ
ネシウム,コバルト,マンガン等を固溶させることが好
ましい。
【0018】
【実施例】以下、この発明の実施例に係るアルカリ蓄電
池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池について具体的に説
明すると共に、比較例を挙げ、この発明の実施例のもの
が優れている点を明らかにする。なお、この発明におけ
るアルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池は、
下記の実施例に示したものに限定されず、その要旨を変
更しない範囲において適宜変更して実施できるものであ
る。
【0019】(実施例A1〜A10)実施例A1〜A1
0においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を製造する
にあたり、下記のようにして作製した多孔性のニッケル
焼結基板を用いた。
【0020】ここで、多孔性のニッケル焼結基板を作製
するにあたっては、カルボニルニッケル粉末と結着剤と
を混練してニッケルスラリーを調製し、このスラリーを
厚さ50μmのパンチングメタルに塗着し、これを乾燥
させた後、還元雰囲気中において焼結して多孔性のニッ
ケル焼結基板を得た。
【0021】そして、この多孔性のニッケル焼結基板を
硝酸ニッケルと硝酸コバルトとの混合水溶液に浸漬させ
て、このニッケル焼結基板に硝酸ニッケルと硝酸コバル
トとの混合水溶液を含浸させた後、このニッケル焼結基
板を25%のNaOH水溶液中に浸漬させて、このニッ
ケル焼結基板にニッケルとコバルトの水酸化物を析出さ
せ、このような操作を繰り返して、上記のニッケル焼結
基板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充填させ
た。
【0022】次いで、図1に示すように、ニッケル焼結
基板1に充填された水酸化ニッケルを主成分とする活物
質2の上に、下記の表1に示す2種類の元素の複合水酸
化物からなる被覆層3を設けるようにした。なお、図1
においては、ニッケル焼結基板1に充填された活物質2
の上に、複合水酸化物からなる被覆層3が均一に設けら
れた場合を示しているが、水酸化ニッケルを主成分とす
る活物質2及び複合水酸化物からなる被覆層3はその一
部が切れているか又は完全な独立層として観察されない
可能性もある。
【0023】ここで、ニッケル焼結基板1に充填された
水酸化ニッケルを主成分とする活物質2の上に、表1に
示す2種類の元素の複合水酸化物からなる被覆層3を形
成するにあたり、実施例A1ではコバルトの硝酸塩とマ
ンガンの硝酸塩とを、実施例A2ではコバルトの硝酸塩
とアルミニウムの硝酸塩とを、実施例A3ではコバルト
の硝酸塩と鉄の硝酸塩とを、実施例A4ではコバルトの
硝酸塩と銅の硝酸塩とを、実施例A5ではコバルトの硝
酸塩と銀の硝酸塩とを、実施例A6ではニッケルの硝酸
塩とマンガンの硝酸塩とを、実施例A7ではニッケルの
硝酸塩とアルミニウムの硝酸塩とを、実施例A8ではニ
ッケルの硝酸塩と鉄の硝酸塩とを、実施例A9ではニッ
ケルの硝酸塩と銅の硝酸塩とを、実施例A10ではニッ
ケルの硝酸塩と銀の硝酸塩とを、それぞれ1:1の重量
比で混合させて、両者の硝酸塩の合計がそれぞれ3wt
%になった硝酸塩水溶液を用いるようにした。
【0024】そして、水酸化ニッケルを主成分とする活
物質が充填されたニッケル焼結基板をそれぞれ上記の各
硝酸塩水溶液に浸漬させた後、これを80℃の25%N
aOH水溶液中に浸漬させ、ニッケル焼結基板に充填さ
れた活物質の上に、表1に示す2種類の元素の複合水酸
化物からなる被覆層を形成して、各アルカリ蓄電池用ニ
ッケル極を作製した。なお、このようにして活物質の上
に上記の複合水酸化物からなる被覆層を形成した場合、
各被覆層の単位面積当たりの重量は5〜6mg/cm2
とほぼ一定しており、これらの各被覆層における複合水
酸化物の量は、活物質と合わせた全充填量に対して約3
wt%になっていた。
【0025】そして、上記のようにして作製した各アル
カリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する一方、負極に
水素吸蔵合金電極を用い、電解液に6規定の水酸化カリ
ウム水溶液を使用して、電池容量が約1.0Ahになっ
た実施例A1〜A10の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0026】(比較例a1)比較例a1においては、上
記の実施例A1〜A10の場合と同様にして、ニッケル
焼結基板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充填
させただけのものをアルカリ蓄電池用ニッケル極として
使用し、ニッケル焼結基板に充填された活物質の上に被
覆層を設けないようにした。
【0027】そして、このアルカリ蓄電池用ニッケル極
を正極に用い、上記の実施例A1〜A10の場合と同様
にして、電池容量が約1.0Ahになった比較例a1の
アルカリ蓄電池を作製した。
【0028】(比較例a2)比較例a2においては、上
記の実施例A1〜A10の場合と同様にして、ニッケル
焼結基板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充填
させた後、このニッケル焼結基板を3wt%の硝酸マン
ガン水溶液に浸漬させ、その後、これを80℃の25%
NaOH水溶液中に浸漬させて、ニッケル焼結基板に充
填された活物質の上に、水酸化マンガンからなる被覆層
が形成されたアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
ここで、上記のようにして活物質の上に上記の水酸化マ
ンガンからなる被覆層を形成した場合、この被覆層にお
ける水酸化マンガンの量は、活物質と合わせた全充填量
に対して約3wt%になっていた。なお、このようにし
て作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極は、前記の特開
平5−121073号公報に示されたアルカリ蓄電池用
ニッケル極に相当するものである。
【0029】そして、このようにして作製したアルカリ
蓄電池用ニッケル極を正極に用い、上記の実施例A1〜
A10の場合と同様にして、電池容量が約1.0Ahに
なった比較例a2のアルカリ蓄電池を作製した。
【0030】次に、上記のようにして作製した実施例A
1〜A10及び比較例a1,a2の各アルカリ蓄電池を
それぞれ充電電流100mAで16時間充電させた後、
放電電流200mAで放電電圧が1.0Vに達するまで
放電を行い、これを1サイクルとして、室温下において
10サイクルの充放電を行った。
【0031】そして、このように室温下において10サ
イクルの充放電を行った各アルカリ蓄電池を用い、充電
電流100mAで16時間充電させた後、放電電流10
00mAの高い電流で放電電圧が1.0Vに達するまで
放電させ、放電が終了する迄の時間の半分の時点におけ
る各アルカリ蓄電池の放電電圧を作動電圧として求め、
その結果を下記の表1に示した。
【0032】また、上記のようにして室温下において1
0サイクルの充放電を行った各アルカリ蓄電池において
10サイクル目の放電容量Q10を測定し、このように1
0サイクルの充放電を行った各アルカリ蓄電池を充電電
流100mAで16時間の条件で11サイクル目の充電
を行った後、各アルカリ蓄電池を50℃で2週間保存さ
せた。その後、上記の各アルカリ蓄電池を室温に戻して
放電電流200mAで1.0Vに達するまで放電させて
11サイクル目の放電容量Q11を求め、下記の式に基づ
いて高温保存特性を求め、その結果を下記の表1に示し
た。
【0033】 高温保存特性(%)=(Q11/Q10)×100
【0034】また、上記のようにして室温下において1
0サイクルの充放電を行った各アルカリ蓄電池を用い、
充電電流1000mAで1.6時間充電させた後、放電
電流1000mAで放電終止電圧1.0Vまで放電さ
せ、これを1サイクルとする充放電サイクル試験を行
い、放電容量が上記の10サイクル目の放電容量Q10
80%に低下するまでの新たなサイクル数を求め、これ
を充放電サイクル特性として下記の表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】この結果から明らかなように、水酸化ニッ
ケルを主成分とする活物質の表面部に、コバルトとニッ
ケルとから選択される1種の元素と、マンガン,アルミ
ニウム,鉄,銅,銀から選択される1種の元素との複合
水酸化物からなる被覆層が形成されたアルカリ蓄電池用
ニッケル極を用いた実施例A1〜A10の各アルカリ蓄
電池は、活物質の表面部に被覆層を設けなかったアルカ
リ蓄電池用ニッケル極を用いた比較例a1のアルカリ蓄
電池や、活物質の表面に水酸化マンガンからなる被覆層
が形成されたアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた比較
例a2のアルカリ蓄電池に比べて、作動電圧が大きく、
高い電圧での放電が行えるようになると共に、高温保存
特性や充放電サイクル特性も向上していた。
【0037】(実施例A6・1〜A6・9)実施例A6
・1〜A6・9においては、上記の実施例A1〜A10
の場合と同様にして、ニッケル焼結基板に水酸化ニッケ
ルを主成分とする活物質を充填させた後、ニッケル焼結
基板に充填された活物質の上に被覆層を設けるにあたっ
て、上記の実施例A6の場合と同様に、ニッケルの硝酸
塩とマンガンの硝酸塩とを1:1の重量比で混合させた
硝酸塩水溶液を用いて、ニッケルとマンガンとの複合水
酸化物からなる被覆層を形成するようにした。
【0038】ここで、実施例A6・1〜A6・9におい
ては、上記の硝酸塩水溶液中におけるニッケルの硝酸塩
とマンガンの硝酸塩との合計の含有率(W1)を、下記
の表2に示すように0.1〜7wt%の範囲で変化させ
て被覆層を形成し、被覆層と活物質とを合わせた全充填
量に対する被覆層における複合水酸化物の重量比率(W
2)が、同表に示すように0.1〜7wt%の範囲にな
った各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0039】そして、このようにして作製した各アルカ
リ蓄電池用ニッケル極を正極に使用し、上記の実施例A
1〜A10の場合と同様にして、電池容量が約1.0A
hになった実施例A6・1〜A6・9の各アルカリ蓄電
池を作製すると共に、これらの各アルカリ蓄電池におい
ても、上記の場合と同様にして、作動電圧、高温保存特
性及び充放電サイクル特性を求め、これらの結果を、上
記の実施例A6のものと合わせて下記の表2に示した。
【0040】
【表2】
【0041】この結果から明らかなように、上記の実施
例A6,A6・1〜A6・9の各アルカリ蓄電池を比較
すると、アルカリ蓄電池用ニッケル極における被覆層と
活物質とを合わせた全充填量に対して、被覆層中におけ
るニッケルとマンガンとの複合水酸化物の重量比率(W
2)が0.5〜5wt%の範囲になったアルカリ蓄電池
用ニッケル極を用いた実施例A6,A6・3〜A6・7
の各アルカリ蓄電池は、上記の重量比率(W2)が5w
t%を越えたアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施
例A6・8,A6・9のアルカリ蓄電池に比べて、作動
電圧が大きく、高い電圧での放電が行えるようになって
おり、また上記の重量比率(W2)が0.5wt%未満
になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例A
6・1,A6・2のアルカリ蓄電池に比べて、高温保存
特性及び充放電サイクル特性が向上していた。
【0042】なお、上記の実施例A6・1〜A6・9に
おいては、ニッケル焼結基板に充填された活物質の上
に、ニッケルとマンガンとの複合水酸化物からなる被覆
層を形成するようにしたが、ニッケルとアルミニウム,
鉄,銅,銀から選択される少なくとも1種の元素との複
合水酸化物からなる被覆層を設けた場合や、コバルトと
マンガン,アルミニウム,鉄,銅,銀から選択される少
なくとも1種の元素との複合水酸化物からなる被覆層を
設けた場合においても、ほぼ同様の結果が得られる。
【0043】(実施例A6・7・1〜A6・7・9)実
施例A6・7・1〜A6・7・9においては、上記の実
施例A1〜A10の場合と同様にして、ニッケル焼結基
板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充填させた
後、ニッケル焼結基板に充填された活物質の上に被覆層
を設けるにあたり、上記の実施例A6・7の場合と同様
に、硝酸塩水溶液中におけるニッケルの硝酸塩とマンガ
ンの硝酸塩の合計の含有率(W1)を5wt%にして、
ニッケルとマンガンとの複合水酸化物からなる被覆層を
形成するようにした。
【0044】ここで、実施例A6・7・1〜A6・7・
9においては、ニッケルの硝酸塩とマンガンの硝酸塩と
の重量比(Ni:Mn)を、下記の表3に示すように、
9.8〜3.1:0.2〜6.9の範囲で変化させて被
覆層を形成し、この被覆層と活物質とを合わせた全充填
量に対して、被覆層中おける水酸化マンガンの重量比率
(W3)が、同表に示すように0.1〜3.4wt%の
範囲になった各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製し
た。
【0045】そして、このようにして作製した各アルカ
リ蓄電池用ニッケル極を正極に使用し、上記の実施例A
1〜A10の場合と同様にして、電池容量が約1.0A
hになった実施例A6・7・1〜A6・7・9の各アル
カリ蓄電池を作製すると共に、これらの各アルカリ蓄電
池においても、上記の場合と同様にして、作動電圧、高
温保存特性及び充放電サイクル特性を求め、これらの結
果を、上記の実施例A6・7のものと合わせて下記の表
3に示した。
【0046】
【表3】
【0047】この結果から明らかなように、上記の実施
例A6・7,A6・7・1〜A6・7・9の各アルカリ
蓄電池を比較すると、アルカリ蓄電池用ニッケル極にお
ける被覆層と活物質とを合わせた全充填量に対して、被
覆層中における水酸化マンガンの重量比率(W3)が
0.3〜3wt%の範囲になったアルカリ蓄電池用ニッ
ケル極を用いた実施例A6・7,A6・7・3〜A6・
7・7の各アルカリ蓄電池は、上記の重量比率(W3)
が3wt%を越えるアルカリ蓄電池用ニッケル極を用い
た実施例A6・7・8,A6・7・9のアルカリ蓄電池
に比べて、作動電圧が大きく、高い電圧での放電が行え
るようになっており、また上記の重量比率(W3)が
0.3wt%未満になったアルカリ蓄電池用ニッケル極
を用いた実施例A6・7・1,A6・7・2のアルカリ
蓄電池に比べて、高温保存特性や充放電サイクル特性が
向上していた。
【0048】なお、上記の実施例A6・7・1〜A6・
7・9においては、ニッケル焼結基板に充填された活物
質の上に、ニッケルとマンガンとの複合水酸化物からな
る被覆層を形成するようにしたが、ニッケルとアルミニ
ウム,鉄,銅,銀から選択される少なくとも1種の元素
との複合水酸化物からなる被覆層を設けた場合や、コバ
ルトとマンガン,アルミニウム,鉄,銅,銀から選択さ
れる少なくとも1種の元素との複合水酸化物からなる被
覆層を設けた場合においても、ほぼ同様の結果が得られ
る。
【0049】(実施例B1〜B10)実施例B1〜B1
0においても、上記の実施例A1〜A10の場合と同様
にして作製した多孔性のニッケル焼結基板を用いるよう
にした。
【0050】そして、実施例B1〜B10においては、
図2に示すように、上記のニッケル焼結基板1の上に、
下記の表4に示す2種類の元素の複合水酸化物からなる
中間層4を形成し、このように中間層4が形成されたニ
ッケル焼結基板1に水酸化ニッケルを主成分とする活物
質2を充填させるようにした。なお、図2においては、
ニッケル焼結基板1の上に、複合水酸化物からなる中間
層4と水酸化ニッケルを主成分とする活物質2とが均一
に設けられた場合を示しているが、複合水酸化物からな
る中間層4及び水酸化ニッケルを主成分とする活物質2
はその一部が切れているか又は完全な独立層として観察
されない可能性もある。
【0051】ここで、ニッケル焼結基板1の上に下記の
表4に示す2種類の元素の複合水酸化物からなる中間層
4を形成するにあたり、実施例B1ではコバルトの硝酸
塩とマンガンの硝酸塩とを、実施例B2ではコバルトの
硝酸塩とアルミニウムの硝酸塩とを、実施例B3ではコ
バルトの硝酸塩と鉄の硝酸塩とを、実施例B4ではコバ
ルトの硝酸塩と銅の硝酸塩とを、実施例B5ではコバル
トの硝酸塩と銀の硝酸塩とを、実施例B6ではニッケル
の硝酸塩とマンガンの硝酸塩とを、実施例B7ではニッ
ケルの硝酸塩とアルミニウムの硝酸塩とを、実施例B8
ではニッケルの硝酸塩と鉄の硝酸塩とを、実施例B9で
はニッケルの硝酸塩と銅の硝酸塩とを、実施例B10で
はニッケルの硝酸塩と銀の硝酸塩とを、それぞれ1:1
の重量比で混合させて、両者の硝酸塩の合計がそれぞれ
10wt%になった硝酸塩水溶液を用いるようにした。
【0052】ここで、このようにしてニッケル焼結基板
の上に上記の各複合水酸化物の中間層を形成した場合、
各中間層の単位面積当たりの重量は8〜10mg/cm
2 とほぼ一定していた。
【0053】次いで、上記のようにして各中間層が形成
された各ニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主成分と
する活物質を充填させるにあたっては、上記の各ニッケ
ル焼結基板をそれぞれ硝酸ニッケルと硝酸コバルトとの
混合水溶液に浸漬させて、中間層が形成された各ニッケ
ル焼結基板に硝酸ニッケルと硝酸コバルトとの混合水溶
液を含浸させた後、各ニッケル焼結基板を25%のNa
OH水溶液中に浸漬させて、中間層が形成された各ニッ
ケル焼結基板にこれらの水酸化物を析出させ、このよう
な操作を繰り返して行い、中間層が形成された各ニッケ
ル焼結基板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充
填させて、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
なお、上記の各中間層における複合水酸化物の量は、活
物質と合わせた全充填量に対して約5wt%になってい
た。
【0054】そして、このようにして作製した各アルカ
リ蓄電池用ニッケル極を正極に使用し、上記の実施例A
1〜A10の場合と同様にして、電池容量が約1.0A
hになった実施例B1〜B10の各アルカリ蓄電池を作
製すると共に、これらの各アルカリ蓄電池においても、
上記の場合と同様にして、作動電圧、高温保存特性及び
充放電サイクル特性を求め、これらの結果を下記の表4
に示した。
【0055】
【表4】
【0056】この結果から明らかなように、ニッケル焼
結基板と水酸化ニッケルを主成分とする活物質との間
に、コバルト及びニッケルから選択される1種の元素
と、マンガン,アルミニウム,鉄,銅,銀から選択され
る1種の元素との複合水酸化物からなる中間層を形成し
たアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例B1〜B
10の各アルカリ蓄電池は、前記の比較例a1,a2の
アルカリ蓄電池に比べて、その作動電圧が大きくなり、
高い電圧での放電が行えるようになると共に、高温保存
特性や充放電サイクル特性も向上していた。
【0057】(実施例B6・1〜B6・9)実施例B6
・1〜B6・9においても、上記の実施例A1〜A10
の場合と同様にして作製した多孔性のニッケル焼結基板
を用いるようにした。
【0058】そして、実施例B6・1〜B6・9におい
ては、上記のニッケル焼結基板の上に中間層を設けるに
あたり、上記の実施例B6の場合と同様に、ニッケルの
硝酸塩とマンガンの硝酸塩とを1:1の重量比で混合さ
せた硝酸塩水溶液を用いて、ニッケルとマンガンとの複
合水酸化物からなる中間層を形成するようにした。
【0059】ここで、実施例B6・1〜B6・9におい
ては、上記の硝酸塩水溶液中におけるニッケルの硝酸塩
とマンガンの硝酸塩との合計の含有率(W4)を、下記
の表5に示すように0.2〜14wt%の範囲で変化さ
せて中間層を形成し、この中間層と活物質とを合わせた
全充填量に対する中間層における複合水酸化物の重量比
率(W5)が、同表に示すように0.1〜7wt%の範
囲になった中間層を形成し、その後は、上記の実施例B
1〜B10の場合と同様にして、上記の各中間層が形成
された各ニッケル焼結基板に、水酸化ニッケルを主成分
とする活物質を充填させて各アルカリ蓄電池用ニッケル
極を作製した。
【0060】そして、このようにして作製した各アルカ
リ蓄電池用ニッケル極を正極に使用し、上記の実施例A
1〜A10の場合と同様にして、電池容量が約1.0A
hになった実施例B6・1〜B6・9の各アルカリ蓄電
池を作製すると共に、これらの各アルカリ蓄電池におい
ても、上記の場合と同様にして、作動電圧、高温保存特
性及び充放電サイクル特性を求め、これらの結果を、上
記の実施例B6のものと合わせて下記の表5に示した。
【0061】
【表5】
【0062】この結果から明らかなように、上記の実施
例B6,B6・1〜B6・9の各アルカリ蓄電池を比較
すると、アルカリ蓄電池用ニッケル極における中間層と
活物質とを合わせた全充填量に対して、中間層中におけ
るニッケルとマンガンとの複合水酸化物の重量比率(W
5)が0.5〜5wt%の範囲になったアルカリ蓄電池
用ニッケル極を用いた実施例B6,B6・3〜B6・7
の各アルカリ蓄電池は、上記の重量比率(W5)が5w
t%を越えるアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施
例B6・8,B6・9のアルカリ蓄電池に比べて、作動
電圧が大きく、高い電圧での放電が行えるようになって
おり、また上記の重量比率(W5)が0.5wt%未満
になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例B
6・1,B6・2のアルカリ蓄電池に比べて、高温保存
特性や充放電サイクル特性が向上していた。
【0063】なお、上記の実施例B6・1〜B6・9に
おいては、ニッケル焼結基板と活物質との間に、ニッケ
ルとマンガンとの複合水酸化物からなる中間層を形成す
るようにしたが、ニッケルとアルミニウム,鉄,銅,銀
から選択される少なくとも1種の元素との複合水酸化物
からなる中間層を設ける場合や、コバルトとマンガン,
アルミニウム,鉄,銅,銀から選択される少なくとも1
種の元素との複合水酸化物からなる中間層を設ける場合
においても、ほぼ同様の結果が得られる。
【0064】(実施例B6・10〜B6・18)実施例
B6・10〜B6・18においても、上記の実施例A1
〜A10の場合と同様にして作製した多孔性のニッケル
焼結基板を用いるようにした。
【0065】そして、実施例B6・10〜B6・18に
おいては、上記のニッケル焼結基板の上に中間層を設け
るにあたり、ニッケルの硝酸塩とマンガンの硝酸塩とを
混合した硝酸塩水溶液を用い、この硝酸塩水溶液中にお
けるニッケルの硝酸塩とマンガンの硝酸塩との合計の含
有率(W4)が、上記の実施例B6の場合と同様に10
wt%になるようにして、ニッケルとマンガンとの複合
水酸化物からなる中間層を形成した。
【0066】ここで、実施例B6・10〜B6・18に
おいては、この硝酸塩水溶液中におけるニッケルの硝酸
塩とマンガンの硝酸塩との重量比(Ni:Mn)を、下
記の表6に示すように9.8〜3.1:0.2〜6.9
の範囲で変化させて中間層を形成し、この中間層と活物
質とを合わせた全充填量に対して、中間層中における水
酸化マンガンの重量比率(W6)が、同表に示すように
0.1〜3.4wt%の範囲になった各アルカリ蓄電池
用ニッケル極を作製した。
【0067】そして、このようにして作製した各アルカ
リ蓄電池用ニッケル極を正極に使用し、上記の実施例A
1〜A10の場合と同様にして、電池容量が約1.0A
hになった実施例B6・10〜B6・18の各アルカリ
蓄電池を作製すると共に、これらの各アルカリ蓄電池に
おいても、上記の場合と同様にして、作動電圧、高温保
存特性及び充放電サイクル特性を求め、これらの結果を
上記の実施例B6のものと合わせて下記の表6に示し
た。
【0068】
【表6】
【0069】この結果から明らかなように、上記の実施
例B6,B6・10〜B6・18のアルカリ蓄電池を比
較すると、アルカリ蓄電池用ニッケル極における中間層
と活物質とを合わせた全充填量に対して、中間層中にお
ける水酸化マンガンの重量比率(W6)が0.3〜3w
t%の範囲になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用い
た実施例B6,B6・12〜B6・16の各アルカリ蓄
電池は、上記の重量比率(W6)が3wt%を越えるア
ルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例B6・17,
B6・18のアルカリ蓄電池に比べて、作動電圧が大き
く、高い電圧での放電が行えるようになっており、また
上記の重量比率(W6)が0.3wt%未満になったア
ルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例B6・10,
B6・11のアルカリ蓄電池に比べて、高温保存特性や
充放電サイクル特性が向上していた。
【0070】なお、上記の実施例B6・10〜B6・1
8においては、ニッケル焼結基板と活物質との間に、ニ
ッケルとマンガンとの複合水酸化物からなる中間層を形
成するようにしたが、ニッケルとアルミニウム,鉄,
銅,銀から選択される少なくとも1種の元素との複合水
酸化物からなる中間層を設ける場合や、コバルトとマン
ガン,アルミニウム,鉄,銅,銀から選択される少なく
とも1種の元素との複合水酸化物からなる中間層を設け
る場合においても、ほぼ同様の結果が得られる。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明における
第1及び第2のアルカリ蓄電池用ニッケル極において
は、多孔性のニッケル焼結基板に水酸化ニッケルを主体
とする活物質が充填されてなるアルカリ蓄電池用ニッケ
ル極において、多孔性のニッケル焼結基板に充填された
活物質の表面部や、多孔性のニッケル焼結基板と活物質
との間において、コバルトCo,ニッケルNiから選択
される少なくとも1種の元素と、マンガンMn,アルミ
ニウムAl,鉄Fe,銅Cu,銀Agから選択される少
なくとも1種の元素との複合化合物を含む被覆層や中間
層を形成するようにした。
【0072】この結果、このようなアルカリ蓄電池用ニ
ッケル極を正極に用いてアルカリ蓄電池を作製した場
合、多孔性のニッケル焼結基板に充填された活物質の表
面部に設けた上記の被覆層や、多孔性のニッケル焼結基
板と活物質との間に設けた上記の中間層により、活物質
やニッケル焼結基板が電解液と接触して自己放電するの
が抑制されると共に、このアルカリ蓄電池用ニッケル極
において酸素が発生する電位が温度の上昇に伴って低下
するのが抑制され、このアルカリ蓄電池を充電させた状
態で高温下において保存した場合における保存特性が向
上した。
【0073】さらに、上記の第1及び第2のアルカリ蓄
電池用ニッケル極においては、上記のように被覆層や中
間層に、コバルトCo,ニッケルNiから選択される少
なくとも1種の元素と、マンガンMn,アルミニウムA
l,鉄Fe,銅Cu,銀Agから選択される少なくとも
1種の元素との複合化合物を用いたため、焼結式ニッケ
ル極の表面に水酸化マンガンだけの層を形成した従来の
アルカリ蓄電池用ニッケル極を用いたものに比べて、充
放電反応がスムーズに行われるようになり、充放電反応
時の過電圧が小さくなって、高い電圧での放電が行える
ようになると共に、このアルカリ蓄電池用ニッケル極が
膨化するのも抑制されて、アルカリ蓄電池における充放
電サイクル特性も向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例において、多孔性のニッケル
焼結基板に充填された活物質の表面部に被覆層を設けた
状態を示した断面説明図である。
【図2】この発明の実施例において、多孔性のニッケル
焼結基板と活物質との間に中間層を設けた状態を示した
断面説明図である。
【符号の説明】 1 ニッケル焼結基板 2 活物質 3 被覆層 4 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松浦 義典 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 前田 礼造 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 能間 俊之 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 米津 育郎 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5H016 AA06 BB01 BB06 BB08 EE01 EE05 HH01 5H028 AA05 BB03 BB06 EE01 EE05 EE10 HH01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性のニッケル焼結基板に水酸化ニッ
    ケルを主体とする活物質が充填されてなるアルカリ蓄電
    池用ニッケル極において、多孔性のニッケル焼結基板に
    形成された活物質の表面部に、コバルトCo,ニッケル
    Niから選択される少なくとも1種の元素と、マンガン
    Mn,アルミニウムAl,鉄Fe,銅Cu,銀Agから
    選択される少なくとも1種の元素との複合化合物を含む
    被覆層を設けたことを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッ
    ケル極。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載したアルカリ蓄電池用ニ
    ッケル極において、上記の複合化合物が、水酸化物又は
    酸化物或いはこれらの混合物であることを特徴とするア
    ルカリ蓄電池用ニッケル極。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載したアルカリ蓄電
    池用ニッケル極において、上記の被覆層中における上記
    の複合化合物の重量が、水酸化ニッケルを主体とする活
    物質を含めた全充填量の0.5〜5重量%の範囲である
    ことを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項に記載したア
    ルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の被覆層中に
    おけるマンガンMn,アルミニウムAl,鉄Fe,銅C
    u,銀Agから選択される少なくとも1種の化合物の重
    量が、水酸化ニッケルを主体とする活物質を含めた全充
    填量の0.3〜3重量%の範囲であることを特徴とする
    アルカリ蓄電池用ニッケル極。
  5. 【請求項5】 多孔性のニッケル焼結基板に水酸化ニッ
    ケルを主体とする活物質が充填されてなるアルカリ蓄電
    池用ニッケル極において、多孔性のニッケル焼結基板と
    活物質との間に、コバルトCo,ニッケルNiから選択
    される少なくとも1種の元素と、マンガンMn,アルミ
    ニウムAl,鉄Fe,銅Cu,銀Agから選択される少
    なくとも1種の元素との複合化合物を含む中間層を設け
    たことを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載したアルカリ蓄電池用ニ
    ッケル極において、上記の複合化合物が、水酸化物又は
    酸化物或いはこれらの混合物であることを特徴とするア
    ルカリ蓄電池用ニッケル極。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載したアルカリ蓄電
    池用ニッケル極において、上記の中間層中における上記
    の複合化合物の重量が、水酸化ニッケルを主体とする活
    物質を含めた全充填量の0.5〜5重量%の範囲である
    ことを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7の何れか1項に記載したア
    ルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の中間層中に
    おけるマンガンMn,アルミニウムAl,鉄Fe,銅C
    u,銀Agから選択される少なくとも1種の化合物の重
    量が、水酸化ニッケルを主体とする活物質を含めた全充
    填量の0.3〜3重量%の範囲であることを特徴とする
    アルカリ蓄電池用ニッケル極。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れか1項に記載したア
    ルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用したことを特徴
    とするアルカリ蓄電池。
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