JP2001064544A - 熱遮断塗膜 - Google Patents

熱遮断塗膜

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JP2001064544A
JP2001064544A JP23899799A JP23899799A JP2001064544A JP 2001064544 A JP2001064544 A JP 2001064544A JP 23899799 A JP23899799 A JP 23899799A JP 23899799 A JP23899799 A JP 23899799A JP 2001064544 A JP2001064544 A JP 2001064544A
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fluororesin
emulsion
coating film
heat
paint
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JP23899799A
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English (en)
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Kiyotaka Arai
清隆 新井
Hiroshi Washida
弘 鷲田
Yasuyuki Sasao
康行 笹尾
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐久性および耐候性の優れた特性に加えて、耐
汚染性が良好な塗膜により、遮熱持続性の優れた塗膜を
提供する。 【解決手段】中空球状体を含有する断熱性塗料を塗装し
て下層塗膜を形成し、紫外線遮蔽機能を有するフッ素樹
脂塗料を塗装して上層塗膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性及び耐汚染
性の良好な熱遮断塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】倉庫の屋根などに太陽光などの熱線が当
たると、屋根などが加熱され、その熱が倉庫内部に伝わ
り、倉庫内部温度が高くなり、倉庫内に収納されている
物品の品質を変質させることがある。これを防止する方
法として、倉庫内に空調設備を設置する方法があるが、
設置費用および運転動力がより多くかかるという欠点が
ある。そこで、空調設備の代わりに、あるいは空調設備
の運転動力軽減のために、倉庫の屋根などに熱遮断塗膜
を形成することが行われている。従来、熱遮断に用いら
れる塗膜としては、水性アクリル樹脂エマルションと熱
線反射顔料とガラスバルーンやセラミックスバルーンか
らなる塗料を塗装して形成した塗膜が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな熱遮断塗膜が太陽光や風雨に曝された場合、長時間
経過すると、塗膜表面が汚れて熱遮断性能が低下した
り、塗膜が劣化してしまうという欠点を有している。本
発明の目的は、耐久性の優れた特性に加え、耐汚染性が
良好な熱遮断塗膜を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされ、中空球状体を含有する断熱性塗料を
塗装して形成される下層塗膜と、紫外線遮蔽機能を有す
るフッ素樹脂塗料を塗装して形成される上層塗膜からな
ることを特徴とする熱遮断塗膜を提供する。また、本発
明は、上記熱遮断塗膜において、フッ素樹脂塗料に親水
性付与剤が添加されている熱遮断塗膜を提供する。ま
た、本発明は、上記熱遮断塗膜において、フッ素樹脂塗
料がエマルション塗料である熱遮断塗膜を提供する。ま
た、本発明は、上記熱遮断塗膜において、フッ素樹脂エ
マルション塗料がフルオロオレフィンを必須成分として
含む単量体を水性媒体中で乳化重合させて得られるフッ
素樹脂エマルションから製造されるものである熱遮断塗
膜を提供する。さらに、本発明は、上記熱遮断塗膜にお
いて、フッ素樹脂エマルション塗料がフルオロオレフィ
ンと親水性部位を有するマクロモノマを必須成分とする
共重合可能な単量体を水性媒体中で乳化重合させて得ら
れるフッ素樹脂エマルションから製造されるものである
熱遮断塗膜を提供する。また、本発明は、上記熱遮断塗
膜において、中空球状体が無機質バルーンである熱遮断
塗膜を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において、中空球状体は、
一般にバルーンと呼ばれ、その材質により、無機質バル
ーン、樹脂バルーン等が知られている。中空球状体は、
比重が軽く断熱性、絶縁性に優れている。中空球状体は
球状体であることから、塗料への高充填が可能であり、
耐衝撃性、寸法安定性に優れる。耐熱性、赤外線放射効
果の観点からは無機質バルーンが好ましい。無機質バル
ーンは、一般的に500〜2000℃の高温で発泡させ
た後冷却して製造することから、バルーンの内部が減圧
になっており断熱性も高い。無機質バルーンとしては、
例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバル
ーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、アルミ
ノシリケートバルーン等が挙げられる。無機質バルーン
の粒径は、1〜100μmが好ましく、10〜80μm
が特に好ましい。1μm未満では、充填により組成物の
粘度が高くなり、高充填ができず断熱性が低下して好ま
しくない。一方、100μm超では高充填により塗膜の
強度が低下して好ましくない。無機質バルーンの密度
は、発泡条件に依存しており、0.1〜1.5g/cm
3が好ましく、0.1〜0.8g/cm3が特に好まし
い。0.1g/cm3未満の場合、充分なバルーン強度
が得られず好ましくない。1.5g/cm3超の場合、
断熱性が低下して好ましくない。
【0006】樹脂バルーンとしては、例えば、塩化ビニ
リデン樹脂、アクリロニトリル樹脂等のバルーンが挙げ
られ、樹脂バルーンの粒径としては20〜80μmの範
囲が良く、樹脂バルーンの密度は0.02〜0.06g
/cm3の範囲がよい。本発明において、中空球状体
(以下、バルーンとも記す。)は1種または2種以上の
組合せを用いることができ、無機質バルーンと樹脂バル
ーンを組合せて使用することもできる。バルーンの充填
量は、固形分体積の20〜95容量%が好ましく、40
〜90容量%が特に好ましい。20容量%未満では充分
な断熱性が得られず、95容量%超では塗膜の強度が著
しく低下して好ましくない。
【0007】本発明の断熱性塗料のバインダとしては、
アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ
素樹脂等またはこれらの混合物が使用できるが、好まし
くは水性アクリル樹脂エマルションである。無機質バル
ーンを樹脂溶液や樹脂エマルションに充填する際に、バ
ルーン表面と溶媒との親和性を高めることにより高充填
が可能になり、かつ塗料の粘度を低減させることができ
る。バルーン表面と溶媒との親和性を高めるものとして
は、分散剤が挙げられる。このような分散剤としては、
ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオ
ン系界面活性剤、高分子系界面活性剤等が挙げられる。
最適な分散剤は、溶媒に依存して選定すればよい。分散
剤の使用量は、特に制限ないが、無機質バルーン100
重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、特に
0.2〜5重量部が好ましい。無機質バルーンは、その
表面をシランカップリング剤処理することにより、フッ
素樹脂等の塗料バインダとのより一層の密着性が付与で
きる。使用されるシランカップリング剤としては、ビニ
ルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、メタクリロ
キシシラン等が例示される。シランカップリング剤によ
る処理は、組成物に添加しても良いが、好ましくは樹脂
エマルションに添加する前に無機質バルーン表面にコー
ティング処理しておくのが良い。シランカップリング剤
の使用量は、特に制限ないが、無機質バルーン100重
量部に対して通常0.1〜10重量部が好ましく、特に
0.2〜5重量部が好ましい。
【0008】本発明において、後述の紫外線遮蔽機能を
有するフッ素樹脂塗料がクリヤタイプの場合には、下層
塗膜の断熱性塗料に熱線反射機能を付与するための顔料
を添加するのが望ましい。これにより、下層塗膜による
熱遮断機能をさらに高めることができる。このような熱
線反射顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、
硫化亜鉛、鉛白、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、
酸化スズ等の無機粉体やアルミニウム等の金属粉が挙げ
られる。熱線反射顔料の使用量としては、顔料容積濃度
で1〜30%程度が適当である。1%未満では熱線反射
作用が充分でなく、30%を越える場合には塗装性が低
下する。
【0009】本発明の下層塗膜を形成するために使用す
る断熱性塗料には、必要に応じて造膜助剤、繊維状補強
材、着色剤、可塑剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、ハ
ジキ防止剤、皮バリ防止剤、硬化剤などを混合してもよ
い。着色剤として、染料、有機顔料、無機顔料などを使
用しても良い。可塑剤としては、従来公知のもの、例え
ば、ジオクチルフタレートなどの低分子量可塑剤、ビニ
ル重合体可塑剤、ポリエステル系可塑剤などの高分子量
可塑剤などが挙げられる。硬化剤としては、例えば、ヘ
キサメチレンイソシアネート三量体などのブロックイソ
シアネートまたはその乳化分散体、メチル化メラミン、
メチロール化メラミン、ブチロール化メラミンなどのメ
ラミン樹脂、メチル化尿素、ブチル化尿素などの尿素樹
脂を挙げることができる。本発明の下層塗膜の塗装は、
スプレー法、ディップ法、ハケ塗り法、ロールコート
法、印刷法等の各種の塗装法により基材に塗料を塗布す
ることにより行うことができる。塗布後、乾燥すること
により下層塗膜を形成することができる。乾燥温度は、
特に制限ないが、通常0〜100℃の範囲が好ましい。
下層塗膜の厚みは、10〜1,000μm程度が好まし
く、100〜500μmが特に好ましい。基材の種類は
特に限定的ではなく、金属、セラミックス、プラスチッ
クス、ガラス等が挙げられる。基材は、必要に応じて、
予めプライマを塗布するなどの予備処理がされていても
よい。
【0010】本発明において、上層塗膜を形成するため
に使用する紫外線遮蔽機能を有するフッ素樹脂塗料は、
フッ素樹脂溶液あるいはフッ素樹脂エマルションから製
造されるものが好ましく、水性フッ素樹脂エマルション
が特に好ましい。フッ素樹脂溶液あるいはフッ素樹脂エ
マルションとしては、フルオロオレフィンの重合によっ
て得られるフッ素樹脂溶液あるいはフッ素樹脂エマルシ
ョン、フルオロオレフィンと炭化水素単量体との共重合
によって得られるフッ素樹脂溶液あるいはフッ素樹脂エ
マルション、および前記フッ素樹脂溶液あるいはフッ素
樹脂エマルションを変成した溶液あるいはエマルション
が使用可能である。
【0011】フルオロオレフィンの重合によって得られ
るフッ素樹脂としては、フルオロオレフィンを重合させ
て得られるポリマが挙げられる。フルオロオレフィンと
しては、例えば、CClF=CF,CF=CF
CF=CH,CH=CHF等のフルオロエチレン
類。CF=CFCF,CFClCF=CF,C
CCl=CF,CFClCF=CF,CCl
CF=CF等のフルオロプロぺン類。炭素子数4以
上のフルオロオレフィン類を挙げることができる。フル
オロオレフィンの全部または一部を、CF=CFOC
,CF=CFOC等のフルオロビニルエー
テル類で置き換えることもできる。これらのフルオロオ
レフィンとしては単独でもよく、複数種が併用されても
よい。
【0012】フルオロオレフィンと炭化水素単量体との
共重合によって得られるフッ素樹脂としては、前記のフ
ルオロオレフィンと下記の炭化水素単量体を共重合させ
て得られるポリマが挙げられる。共重合可能な炭化水素
単量体としては、ビニルエーテル、カルボン酸ビニルエ
ステル等のビニル系単量体が好ましく挙げられる。ビニ
ルエーテルの具体例としては、メチルビニルエーテル、
エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチ
ルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、t
−ブチルビニルエーテル、α、α’−ジメチルプロピル
エーテル、オクチルビニルエーテル、ネオペンチルビニ
ルエーテル等のアルキルビニルエーテル類。メチルイソ
プロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル、
プロピルイソプロペニルエーテル、ブチルイソプロペニ
ルエーテル、シクロヘキシルイソプロペニルエーテル等
のイソプロペニルエーテル類。フェニルビニルエーテ
ル、ベンジルビニルエーテル、ナフチルビニルエーテル
等の芳香族ビニルエーテル類。2−ヒドロキシエチルビ
ニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテ
ル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、9−ヒドロ
キシノニルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチル−4
−ビニロキシメチルシクロヘキサン、3−クロロ−2−
ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどのヒドロキシア
ルキルビニルエーテル類。2−ヒドロキシエチルイソプ
ロペニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルイソプロペ
ニルエーテル、4−ヒドロキシブチルイソプロペニルエ
ーテル、9−ヒドロキシノニルイソプロペニルエーテ
ル、1−ヒドロキシメチル−4−イソプロペノキシメチ
ルシクロヘキサン、3−ヒドロキシ−2−クロロプロピ
ルイソプロペニルエーテル等のヒドロキシアルキルイソ
プロペニルエーテル類が挙げられる。
【0013】カルボン酸ビニルエステルの具体例として
は、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息
香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニ
ル類が挙げられる。これらの炭化水素単量体について
も、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても
よい。
【0014】また、上記共重合体の特徴を失わない範囲
で、上記単量体に他の共重合可能な単量体を加えて重合
することができる。他の共重合可能な単量体としては、
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン
類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン
類、蟻酸アリル、酪酸アリル、安息香酸アリル、シクロ
ヘキサンカルボン酸アリル等のカルボン酸アリル類、ア
リルエチルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリ
ルエーテル類、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル
等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。他
の共重合可能な単量体についても、1種単独で用いても
よいし、2種以上を併用してもよい。フルオロオレフィ
ンと炭化水素単量体を共重合させて得られるフッ素樹脂
は、全重合単位に対して、フルオロオレフィンに基づく
重合単位(F)が20〜80モル%、炭化水素単量体に
基づく重合単位(H)が3〜80モル%、および他の共
重合可能な単量体に基づく重合単位(X)が0〜30モ
ル%の割合で、特に、重合単位(F)が40〜60モル
%、重合単位(H)が40〜60モル%、および重合単
位(X)が0〜20モル%の割合で含まれていることが
好ましい。
【0015】前記フッ素樹脂としては、親水性部位を有
するマクロモノマが共重合されているフッ素樹脂が好適
である。親水性部位を有するマクロモノマとしては、例
えば、ポリオキシアルキレンビニルエーテルなどが挙げ
られる。好適なポリオキシアルキレンビニルエーテルと
しては、例えば、アルキレンオキシド単位が2個以上連
なり、ポリオキシアルキレン基をビニル基とエーテル結
合させたものが挙げられる。アルキレンオキシ単位は、
炭素原子数2〜4のアルキレンオキシド単位が好まし
い。炭素原子数2〜4のアルキレンオキシド単位として
は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチ
レンオキシドから誘導される単位が好ましい。該アルキ
レンオキシド単位は、1種のみが2個以上連なっていて
もよく、2種以上が2個以上連なっていても良い。アル
キレンオキシド単位の1種が2個以上連なったポリオキ
シアルキレン基としては、ポリエチレンオキシド、ポリ
プロピレンオキシド、ポリイソブチレンオキシドが挙げ
られる。
【0016】また、アルキレンオキシド単位の2種以上
が2個以上連なったポリオキシアルキレン基としては、
アルキレンオキシド単位の2〜3種が2個以上連なった
ポリオキシアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン
オキシドの2個以上と他のアルキレンオキシドの2個以
上がブロック状またはランダム状に連なったポリ(エチ
レンオキシド−プロピレンオキシド)、ポリ(エチレン
オキシド−イソブチレンオキシド)、ポリ(エチレンオ
キシド−プロピレンオキシド−イソブチレンオキシド)
等が挙げられる。また、ポリ(プロピレンオキシド−イ
ソブチレンオキシド)等も挙げられる。アルキレンオキ
シド単位の数は、2個以上であるが、2〜100が好ま
しく、2〜50がより好ましく、特に5〜20が好まし
い。上記の親水性部位を有するマクロモノマは、1種単
独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよ
い。親水性部位を有するマクロモノマーを共重合させた
フッ素樹脂は、全重合単位に対して、フルオロオレフィ
ンに基づく重合単位(F)が20〜80モル%、炭化水
素単量体および他の共重合可能な単量体に基づく重合単
位(H・X)が3〜70モル%、および親水性部位を有
するマクロモノマに基づく重合単位(Y)が0.1〜2
5モル%の割合で、特に、重合単位(F)が40〜60
モル%、重合単位(H・X)が40〜60モル%、およ
び重合単位(Y)が0.2〜10モル%の割合で含まれ
ていることが好ましい。
【0017】上記重合反応に際して、反応形式としては
特に限定されることはなく、塊状重合、懸濁重合、乳化
重合、溶液重合等が採用され得るが、重合操作の安定
性、生成共重合体の分離の容易性等から、水性媒体中で
の乳化重合あるいはイソプロピルアルコール、n−ブチ
ルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブタノール
等のアルコール類、エステル類、1個以上のフッ素原子
を含む飽和ハロゲン化炭化水素類、キシレン等の芳香族
炭化水素類等の1種または2種以上を溶媒とする溶液重
合等が好ましい。乳化重合の場合は粘度が低いためバル
ーンを高充填することが可能であり特に好ましい。重合
温度は10〜90℃程度が採用され得る。また、反応圧
力は、適宜選定可能であるが、通常は1〜100kg/
cm、特に、2〜50kg/cm程度を採用するの
が望ましい。
【0018】乳化重合では、乳化重合時に乳化剤を使用
してもしなくてもよいが、用いられる乳化剤としては、
以下のものを好適に例示しうる。ノニオン性乳化剤とし
ては、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、高
級アルコールエチレンオキシド付加物、エチレンオキシ
ドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーなど。
アニオン性乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン
酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸
塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エ
ステル塩、リン酸エステル塩などを単独、または混合し
て使用できる。フッ素樹脂の乳化重合の開始は、重合開
始剤の添加により行われる。かかる重合開始剤として
は、通常のラジカル開始剤を用いることができるが、水
溶性開始剤が好ましく採用され、具体的には過硫酸アン
モニウム塩などの過硫酸塩、過酸化水素あるいはこれら
と亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの還
元剤との組み合わせからなるレドックス開始剤、さらに
これらに少量の鉄、第一鉄塩、硫酸銀などを共存させた
系の無機系開始剤、またはジコハク酸パーオキシド、ジ
グルタル酸パーオキシドなどの二塩基酸過酸化物、アゾ
ビスイソブチルアミジンの塩酸塩、アゾビスイソブチロ
ニトリルなどの有機系開始剤が例示される。
【0019】重合開始剤の使用量は、種類、乳化重合条
件などに応じて適宜変更可能であるが、通常は乳化重合
させるべき単量体100重量部に対して、0.005〜
0.5重量部程度が好ましく採用される。また、これら
の重合開始剤は一括添加してもよいが、必要に応じて分
割添加してもよい。また乳化物のpHを上昇させる目的
で、pH調整剤を用いてもよい。かかるpH調整剤とし
ては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルトリン酸水
素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、テトラホウ酸ナト
リウムなどの無機塩基類、およびトリエチルアミン、ト
リエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエ
チルエタノールアミンなどの有機塩基類などが例示され
る。pH調整剤の添加量は、通常は乳化重合媒体100
重量部に対して、0.05〜2重量部程度、好ましくは
0.1〜2重量部程度である。pHの高い方が重合速度
が速くなる傾向である。
【0020】また、乳化重合の開始温度は、重合開始剤
の種類等に応じて適宜最適値が選定されるが、通常は0
〜100℃、特に10〜90℃程度が好ましく採用され
る。また、反応圧力は適宜選定可能であるが、通常は1
〜100kg/cm2、特に2〜50kg/cm2程度を
採用するのが望ましい。かかる製造方法において、単量
体、水、乳化剤、開始剤などの添加物をそのまま一括仕
込みして重合してもよいが、分散粒子の粒子径を小さく
して分散液の安定性及び塗膜の光沢などの諸物性を向上
させる目的で、重合開始剤を添加する以前にホモジナイ
ザなどの撹拌機を用いて前乳化させ、その後に開始剤を
添加して重合してもよい。また、単量体を分割してある
いは連続して添加してもよく、その際の単量体組成は異
なってもよい。
【0021】本発明において、紫外線遮蔽機能を有する
フッ素樹脂塗料の紫外線遮蔽機能は、塗料中に各種顔料
や紫外線吸収剤の1種または2種以上を添加することに
より達成できる。例えば、顔料を添加するエナメルタイ
プでは、顔料の紫外線反射や吸収機能により達成でき、
また、顔料を添加しないクリヤタイプでは、紫外線吸収
剤の吸収機能により達成できる。紫外線遮蔽機能は、3
60nmの波長において98%以上が好ましく、99%
以上がより好ましく、99.3%以上が特に好ましい。
エナメルタイプで使用する顔料としては、紫外線遮蔽機
能に加え熱線反射作用の大きなものが好ましい。このよ
うな顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫
化亜鉛、鉛白、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸
化スズ等の無機粉体やアルミニウム等の金属粉が挙げら
れる。顔料の使用量としては、顔料容積濃度で5〜50
%が適当である。5%未満では紫外線遮蔽機能と熱線反
射作用が充分でなく、50%を超える場合には塗装性が
低下する。
【0022】クリヤタイプに使用する紫外線吸収剤とし
ては、公知のものや市販のものが特に制限なく使用でき
る。例えば、2,2−メチレンビス(4−(1,1,
3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)フェノール)等のベンゾトリア
ゾール系、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベン
ゾフェノン系が使用できる。紫外線吸収剤の添加量は塗
膜の厚みに依るが、フッ素樹脂塗料の樹脂成分100重
量部に対する添加量(重量部)と厚み(μm)の乗数で
20〜400が好ましく、特に50〜300が好まし
い。必要量より少ないと紫外線遮蔽機能が充分でなく、
必要以上に多いと使用中に分離して好ましくない。
【0023】本発明の上層塗膜を形成するために使用す
るフッ素樹脂塗料には、親水性付与剤を含有させること
が好ましい。親水性付与剤としては、親水性無機化合
物、親水性有機化合物が挙げられる。親水性無機化合物
としては、無機ケイ素化合物、無機アルミニウム化合物
等の水性媒体に溶解または分散したものが好適に採用さ
れ得る。無機ケイ素化合物としては、水ガラスと呼ばれ
るケイ酸アルカリ塩、水分散性コロイダルシリカなどを
例示しうる。また、ケイ酸エステルの加水分解縮合を極
性溶媒中で行い、その後水を加えて無機ケイ素オリゴマ
化合物とし、これを水性媒体に分散したものも用いるこ
とができる。親水性付与剤の配合量は、フッ素樹脂塗料
の樹脂成分100重量部に対して、0.1〜300重量
部が好ましく、特に10〜100重量部が好ましい。
0.1重量部未満では親水性付与剤による表面親水性付
与効果が不充分で、雨水による汚れの流れ落ちが不充分
となり、300重量部超では塗膜の密着性や透明性、耐
候性に問題が生じる。
【0024】本発明に使用するフッ素樹脂塗料は、必要
に応じて造膜助剤、繊維状補強材、着色剤、可塑剤、レ
ベリング剤、ハジキ防止剤、皮バリ防止剤、硬化剤など
の1種または2種以上を混合してもよい。着色剤として
は、染料、上記顔料以外の有機顔料および無機顔料など
が例示される。本発明の熱遮断塗膜においては、上層の
フッ素樹脂塗料のみを着色することによりカラー断熱塗
膜とすることができる。可塑剤としては、従来公知のも
の、例えば、ジオクチルフタレートなどの低分子量可塑
剤、ビニル重合体可塑剤、ポリエステル系可塑剤などの
高分子量可塑剤などが挙げられる。硬化剤としては、例
えば、ヘキサメチレンイソシアネート三量体などのブロ
ックイソシアネートまたはその乳化分散体、メチル化メ
ラミン、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン
などのメラミン樹脂、メチル化尿素、ブチル化尿素など
の尿素樹脂を挙げることができる。また、水性分散液の
安定性を向上させるためにpH調整剤を添加してもよ
い。前記フッ素樹脂エマルションを変成してもよい。変
成エマルションとしては、前記フッ素樹脂エマルション
に他のエマルションをブレンドしたもの、前記フッ素樹
脂エマルションをシードとしてアクリルモノマ、ビニル
モノマを重合させて得られるエマルション等が挙げられ
る。
【0025】本発明の上層塗膜の塗装は、スプレー法、
ディップ法、ハケ塗り法、ロールコート法、印刷法等の
各種の塗装法により下層塗膜上に塗料を塗布し、乾燥す
ることによって行うことができる。乾燥温度は、特に制
限ないが、通常0〜100℃の範囲が好ましい。上層塗
膜の厚みは、1〜100μm程度、好ましくは10〜5
0μmである。
【0026】また、本発明の熱遮断塗膜は、上層塗膜の
表面平滑性の程度が高いほど、低汚染性について良好な
結果を与える。該表面平滑性について、JIS B 0
651−1996の表面粗さ測定法による表面粗さ(単
位:μm)で示すと、18μm以下が好ましく、特に1
3μm以下が好ましい。このJIS B 0651−1
996による表面粗さは、触針式表面粗さ測定器により
測定し、算術平均粗さで表したものである。上層塗膜の
低汚染効果と耐候性および下層塗膜に含有される中空球
状体の断熱効果により、長期にわたり効果的に遮熱効果
を発揮することができる。本発明の熱遮断塗膜は、また
基材との密着性に優れている。本発明の熱遮断塗膜が適
用される物品は、種々のものがあり、例えば、倉庫、工
場、畜舎、体育館などの屋根、屋外タンク、製造プラン
ト、外壁などが挙げられる。本発明において、上層にフ
ッ素樹脂塗料を塗装することにより下層の断熱性塗料の
劣化を防止できる。更にフッ素樹脂塗料に親水性を付与
することにより長期にわたり防汚性を付与でき、熱遮断
性能を維持することができる。
【0027】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例により
更に具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例に
より何ら限定されるものではない。以下の各例中の部は
重量部を示す。例1〜例5は実施例を示し、例6〜例7
は比較例である。
【0028】[製造例1:フッ素樹脂エマルションの製
造例]内容積200mlのステンレス製撹拌機付オート
クレーブ(耐圧50kg/cm・G)に、シクロヘキ
シルビニルエーテル(CHVE)21.7部、エチルビ
ニルエーテル(EVE)7.9部、ヒドロキシブチルビ
ニルエーテル6.4部、親水性部位を有するマクロモノ
マー(CH=CHOCO(CO)
10H:以下、EOVEと記す。)6.9部、イオン交
換水83.1部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
系乳化剤(日本乳化剤製、商品名:Newcol−11
10)4.3部、ラウリル硫酸ナトリウム0.09部、
炭酸カリウム0.44部、過硫酸アンモニュウム(AP
S)0.11部、亜硫酸水素ナトリウム0.02部を仕
込み、氷で冷却して、窒素ガスで3.5kg/cm
なるように加圧し脱気し溶存空気を除去した。次いで、
クロロトリフルオロエチレン42.1部を仕込み、30
℃で12時間反応を行って、樹脂成分濃度50重量%の
フッ素樹脂エマルションを得た。
【0029】[製造例2〜4:フッ素樹脂エマルション
塗料A〜Cの製造例]製造例1で製造したフッ素樹脂エ
マルションの61.5部、消泡剤FSアンチフォーム9
0(ダウ・コーニング社製)の0.02部、造膜助剤テ
キサノール(イーストマン・ケミカル社製)の6.2部
を攪拌混合した。これに顔料の酸化チタン分散液(酸化
チタン濃度:70重量%)の24.2部を加えて攪拌混
合した。このものに、増粘剤チクソゾールT−800
(共栄社化学)の0.31部、消泡剤FSアンチフォー
ム80(ダウ・コーニング社製)の1.8部を添加し、
更に攪拌混合してフッ素樹脂エマルション塗料A(以
下、塗料Aとも記す。)を得た。同様にして、表1に示
した各成分を表1に示した配合量(重量部)で混合し
て、それぞれ塗料B、塗料Cとして表1に示すフッ素樹
脂エマルション塗料B、フッ素樹脂エマルション塗料C
を得た。塗料A〜Cの顔料容積濃度は、いずれも7.3
%であった。
【0030】[製造例5〜6:フッ素樹脂エマルション
塗料D〜Eの製造例]上記製造例2〜4において、顔料
の酸化チタン分散液を配合せず、紫外線吸収剤バイオソ
ープ130(共同薬品社製)を2部添加した以外は、同
様の方法で、表1に示した各成分を表1に示した配合量
(重量部)で混合して、それぞれ塗料D、塗料Eとして
表1に示すフッ素樹脂エマルション塗料D、フッ素樹脂
エマルション塗料Eを得た。
【0031】
【表1】 *1:カタロイドSI−30(触媒化成社製、シリカゾ
ル、親水性付与剤) *2:カタロイドSI−45P(触媒化成社製、シリカ
ゾル、親水性付与剤)
【0032】[製造例7:断熱性塗料Zの製造例]樹脂
成分濃度46.5重量%の水性アクリル樹脂エマルショ
ン(ロームアンドハース社、プライマルAC−33)の
100部、予めγ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シランで表面処理したガラスバルーン(密度0.27g
/cm、平均粒径50μm)の36部、および顔料の
酸化チタン分散液(酸化チタン濃度:70重量%)の1
5部を混合し、白色の断熱性塗料Zを得た。
【0033】[例1〜7]スレート板に、下塗りとして
プライマW(旭硝子コートアンドレジン社、テンプレッ
クスプライマW)を、厚み10μmになるようにローラ
で塗装した。次いで、中塗りとして製造例7の断熱性塗
料Zを、厚み400μmになるようにローラで塗装し
て、下層塗膜を形成した。次いで、該下層塗膜上に、製
造例2〜6の塗料A〜Eおよびアクリル樹脂エマルショ
ン塗料(旭硝子コートアンドレジン社、白色エナメル塗
料QWG)のいずれかを、厚み30μmとなるようにロ
ーラで塗装して、上層塗膜を形成した。塗膜が形成され
たスレート板(以下、塗装板とも記す。)について、以
下の各種測定を行った。塗膜の熱反射機能の指標とし
て、色差計にてL値を測定した。また、上層塗膜の紫外
線遮蔽機能を、紫外線・可視スペクトロメータで測定し
たところ、360nmの波長において、いずれも99.
5%以上であった。耐候性は、サンシャインウエザオメ
ータ(SWOM)3,000時間でのチョーキング(白
亜化)の有無を評価した。汚染性は、屋外曝露3ヶ月後
のL値(b)を測定し、曝露前の初期のL値(a)との
差(△L=b−a)により評価した。遮熱性の評価は、
塗装板の上部15cmより400Wの赤外線ランプを照
射し、1時間後の塗装板の裏面温度を測定することによ
り行った。上層塗膜の表面平滑性は、JIS B 06
51−1996により、触針式表面粗さ測定器にて測定
し、算術平均粗さ(単位:μm)で示した。これらの測
定結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明の熱遮断塗膜は、耐久性が優れ、
さらに耐汚染性が良好である。また、塗膜全体がフッ素
樹脂塗膜の場合に比して、フッ素樹脂塗膜の厚みを薄く
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 127/12 C09D 127/12 (72)発明者 笹尾 康行 神奈川県川崎市幸区塚越3丁目474番地2 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 CA32 CA34 DA06 DB02 DC02 EA13 EB16 EC01 EC24 EC35 4J038 CD082 CD091 CD121 CD131 CG141 CG162 DD001 DG001 HA216 HA446 HA456 HA466 HA486 HA556 KA12 KA21 MA08 MA10 NA03 NA19 PB05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空球状体を含有する断熱性塗料を塗装し
    て形成される下層塗膜と、紫外線遮蔽機能を有するフッ
    素樹脂塗料を塗装して形成される上層塗膜からなること
    を特徴とする熱遮断塗膜。
  2. 【請求項2】フッ素樹脂塗料に親水性付与剤が添加され
    ている請求項1に記載の熱遮断塗膜。
  3. 【請求項3】フッ素樹脂塗料がエマルション塗料である
    請求項1に記載の熱遮断塗膜。
  4. 【請求項4】フッ素樹脂エマルション塗料がフルオロオ
    レフィンを必須成分として含む単量体を水性媒体中で乳
    化重合させて得られるフッ素樹脂エマルションから製造
    されるものである請求項3に記載の熱遮断塗膜。
  5. 【請求項5】フッ素樹脂エマルション塗料がフルオロオ
    レフィンと親水性部位を有するマクロモノマを必須成分
    とする共重合可能な単量体を水性媒体中で乳化重合させ
    て得られるフッ素樹脂エマルションから製造されるもの
    である請求項3または4に記載の熱遮断塗膜。
  6. 【請求項6】中空球状体が無機質バルーンである請求項
    1〜5のいずれかに記載の熱遮断塗膜。
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