JP2015116524A - 温度制御方法 - Google Patents

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博幸 伊藤
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Abstract

【課題】基材の表面に形成された特定の塗膜を備える塗装体を用いることにより、該塗装体表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に抑制することができる温度制御方法を提供する。【解決手段】本発明に係る温度制御方法は、基材と、前記基材の表面に形成された重合体(A)及び遮熱粒子(B)を含有する塗膜と、を備える塗装体を用いた温度制御方法であって、前記塗膜の厚さが5〜60μmであり、かつ、前記塗膜の表面粗さRaが0.5μm以下であることにより、前記塗膜表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に制御できることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、基材と前記基材の表面に形成された塗膜とを備える塗装体を用いた温度制御方法に関する。
近年では省エネへの関心が高まっており、特に都市部を中心に問題となっているヒートアイランド現象の効果的防止策として、建造物や道路表面の昇温を抑制できる遮熱塗料への関心が高まっている。このような遮熱塗料としては、酸化チタンやシリカを添加した塗料が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
その一方で、塗膜特性を高める観点から、塗料に含フッ素系重合体を添加する技術が知られている。含フッ素系重合体は、耐熱性、耐候性、電気絶縁性等に優れ、ガラス、金属、樹脂、木材、スレート、建材ボード等の各種基材に対して防汚性や耐薬品性を付与するコーティング剤や塗料の原料として用いられている。しかしながら、含フッ素系重合体は、基材への密着性が劣るため、十分な塗膜の強度が得られないという課題があった。例えば、特許文献3や特許文献4に開示されている含フッ素系重合体においても、ガラスや硬質アルミ等の各種基材上に塗布した場合には、十分な強度を有する塗膜が得られるとは言い難い。
塗膜の強度を向上させるために、特許文献5や特許文献6では、含フッ素系重合体に有機ケイ素系オリゴマーを配合する技術が開示されている。また、特許文献7では、含フッ素系重合体とメタアクリル系重合体との複合重合体粒子の水性分散体と、有機ケイ素化合物とメタアクリル系重合体との複合重合体粒子の水性分散体との配合技術を開示している。しかしながら、いずれの技術を用いた場合でも、基材と塗膜との密着性や塗膜の強度は十分なものではなかった。
特開2006−8874号公報 国際公開第2006/104290号 特開平10−120858号公報 特開2009−227754号公報 特開平08−120211号公報 国際公開第98/23680号 特開2003−286440号公報
従来の遮熱塗料をタンク等の建造物や道路表面に塗布して作製された塗装体では、十分な日射反射率が得られず、建造物内に蓄熱されることで温度が上昇してしまう場合があった。
また、バインダーとしてのフッ素系重合体及び酸化チタンやシリカ等の遮熱粒子を配合した塗料では、基材と塗膜との密着性がさらに損なわれやすいという課題があった。また、このような塗料では、塗膜の引っ張り強度が不十分となりやすく、塗装表面が環境雰囲気下において汚染されることにより長期に亘る遮熱効果が得られ難いという課題もあった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、前記課題の少なくとも一部を解決することで、基材の表面に形成された特定の塗膜を備える塗装体を用いることにより、該塗装体表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に抑制することができる温度制御方法を提供するものである。
また、本発明に係る幾つかの態様は、前記課題の少なくとも一部を解決することで、前記塗装体が、基材と塗膜との密着性に優れると共に、強度(例えば耐候性、耐水性、耐久性)、耐汚染性および遮熱特性にも優れる塗膜を備えることで、該塗装体表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇をさらに効果的に抑制することができ、かつ、長期間の耐汚染性にも優れるため長期に亘って温度を制御できる方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る温度制御方法の一態様は、
基材と、前記基材の表面に形成された、重合体(A)及び遮熱粒子(B)を含有する塗膜と、を備える塗装体を用いた温度制御方法であって、
前記塗膜の厚さが5〜60μmであり、かつ、前記塗膜の表面粗さRaが0.5μm以下であることにより、塗膜表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に制御できることを特徴とする。
[適用例2]
適用例1の方法において、
前記重合体(A)が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)と、を有する含フッ素系重合体であることができる。
[適用例3]
本発明に係る温度制御方法の一態様は、
基材と、前記基材の表面に、重合体粒子(A)、遮熱粒子(B)及び液状媒体(C)を含有する塗料を塗布して5〜100℃で乾燥させて形成された塗膜と、を備える塗装体を用いた温度制御方法であって、
前記塗膜の厚さが5〜60μmであり、かつ、前記塗膜の表面粗さRaが0.5μm以下であることにより、塗膜表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に制御できることを特徴とする。
[適用例4]
適用例3の方法において、
前記重合体粒子(A)が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)と、を有する含フッ素系重合体粒子であることができる。
[適用例5]
適用例3または適用例4の方法において、
前記塗料において、前記重合体粒子(A)の平均粒子径(Da)と前記遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)との比(Da/Db)が0.02〜2の範囲にあることができる。
[適用例6]
適用例3ないし適用例5のいずれか一例の方法において、
前記重合体粒子(A)の平均粒子径(Da)が0.05〜0.4μmであることができる。
[適用例7]
適用例3ないし適用例6のいずれか一例の方法において、
前記塗料において、前記重合体粒子(A)100質量部に対して、前記遮熱粒子(B)を5〜200質量部含有することができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか一例の方法において、
前記遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)が0.2〜1.5μmであることができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか一例の方法において、
前記塗膜の密度が1.3〜2.3gr/cmであることができる。
[適用例10]
適用例1ないし適用例9のいずれか一例の方法において、
前記遮熱粒子(B)として酸化チタンを含有することができる。
[適用例11]
適用例1ないし適用例10のいずれか一例の方法において、
前記塗膜の引張伸び率が30%以上であることができる。
本発明に係る温度制御方法の一態様によれば、基材の表面に形成された特定の塗膜を備える塗装体を用いることにより、該塗装体表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に抑制することができる。また、本発明に係る温度制御方法の別の態様によれば、基材と塗膜との密着性に優れると共に、強度(例えば耐候性、耐水性、耐久性)、耐汚染性および遮熱特性にも優れる塗膜を備える塗装体を使用することにより、該塗装体表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇をさらに効果的に抑制することができる。本発明に係る温度制御方法は、表面温度を15℃未満に抑制できることから、住宅、総合住宅(マンション、ホテル)、高層建築物・ビル、プラント設備、タンク等の屋外で使用される外壁または塗装での使用が好適である。特にプラント設備、タンク等に置いては内容物の温度管理が必要な内容物(危険物、モノマー、触媒等)の場合には最適である。
本実施の形態に係る温度制御方法で使用される塗装体を模式的に示す断面図である。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
1.温度制御方法
本発明の一実施形態に係る温度制御方法は、基材と、前記基材の表面に形成された、重合体(A)及び遮熱粒子(B)を含有する塗膜と、を備える塗装体を用いた温度制御方法
であって、前記塗膜の厚さが5〜60μmであり、かつ、前記塗膜の表面粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする。このような塗装体を用いることで、塗膜表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に制御できる。以下、本実施の形態に係る温度制御方法で使用される塗装体について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る温度制御方法で使用される塗装体を模式的に示す断面図である。図1に示すように、塗装体100は、基材10と、基材の表面に形成された塗膜20と、を含む。
基材10としては、特に制限されないが、例えばセメント、タイル、金属、プラスチック、ガラス等の基材が挙げられる。基材には、下地調整、密着性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付け等を目的として、予め表面処理することもできる。金属系基材の表面処理としては、例えば、研磨、脱脂、メッキ処理、クロメート処理、火炎処理、カップリング処理等を挙げることができる。プラスチック系基材に対する表面処理としては、例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理等を挙げることができる。無機窯業系基材に対する表面処理としては、例えば、研磨、目止め、模様付け等を挙げることができる。木質基材に対する表面処理としては、例えば、研磨、目止め、防虫処理等を挙げることができる。紙質基材に対する表面処理としては、例えば、目止め、防虫処理等を挙げることができる。劣化塗膜に対する表面処理としては、例えば、ケレン等を挙げることができる。
塗装体100は、基材10の表面に後述する塗料を塗布して、5〜100℃の温度で乾燥させて塗膜20を形成することにより得られる。後述する塗料には、重合体粒子(A)、遮熱粒子(B)及び液状媒体(C)が含まれているため、塗膜20にも重合体(A)や遮熱粒子(B)が含まれることになる。
塗膜20には遮熱粒子(B)が含まれているので、塗膜20の表面はどうしても凹凸が生じやすい。塗膜20の表面に凹凸が生じてしまうと、塗膜の光沢性が低下しやすく、また日射反射率が低下することにより、塗装体内部に蓄熱されやすくなる。したがって、塗膜20の遮熱特性を効果的に発揮させるためには、塗膜20の表面の凹凸をできる限り小さくする必要がある。
本発明では、塗膜20の凹凸を評価するための指標として「表面粗さRa」という概念を導入している。本発明では、塗膜の表面粗さRaが、0.5μm以下である必要あり、0.01μm以上0.48μm以下であることが好ましく、0.03μm以上0.45μm以下であることがより好ましい。塗膜の表面粗さRaが前記範囲にあると、塗膜特性のうち、初期光沢が良好となり、遮熱特性に優れた塗膜が得られる。表面粗さRaが0.5μmを超えると、塗膜20の初期光沢が低下すると共に、遮熱特性が低下する傾向がある。
塗膜の表面粗さRaは、JIS B0601:2001に準拠して測定した「算術平均粗さ」のことをいう。
また、塗膜20の厚さは、乾燥膜厚として5〜60μmであることが必要であり、好ましくは10〜55μm、より好ましくは15〜50μmである。塗膜の厚さが前記範囲であることにより、塗膜の日射反射率が大きくなるため塗膜に十分な遮熱特性を付与できるだけでなく、塗膜の蓄熱を抑制するのに十分な厚みとなる。塗膜の厚さが前記範囲を超えると、塗膜の日射反射率が小さくなるため塗膜に付与される遮熱特性が低くなる傾向がある。一方、塗膜の厚さが前記範囲未満でも、塗膜の日射反射率が小さくなるため塗膜に付
与される遮熱特性が低くなるだけでなく、塗膜表面に蓄熱しやすくなる傾向がある。
なお、塗料の基板10への塗装については、塗膜の厚さが、乾燥膜厚として5〜60μmの範囲となる限り、1回塗りでも2回塗りでも複数回塗りでも構わない。
塗料の基材10への塗装方法についても特に制限はない。塗装は、例えばドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、浸漬法、刷毛塗装、コテ塗装、ローラー塗装、スプレー塗装、バーコーター、ナイフコーター、スクリーン印刷、スピンコーター、アプリケーター、フローコーター、ロールコーター、遠心コーター、超音波コーター、フレキソ印刷等の適宜の方法によることができる。現場塗装の場合には、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装が好ましく、プレコート(ライン塗装)の場合には、ロールコーター、フローコーターが好ましい。
後述する塗料を直接基材上に塗布することもできるが、用途に応じては基材10上にエポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系、メラミン系、アルキド系等の下塗り(プライマー)層や中塗り層を予め形成して用いることができるほか、ジンクリッチペイント等の防食層を設けて使用することもできる。さらに、塗膜20の上にクリア塗装で保護膜、或いは、光触媒やコロイダルシリカ等の防汚性を付与するための親水膜を形成してもよい。
基材10の表面に塗料を塗布した後の乾燥方法(水及び任意的に使用される非水系媒体の除去方法)についても特に制限されず、例えば常温ないし加熱乾燥、温風、熱風、低湿風による乾燥;真空乾燥;(遠)赤外線、電子線等の照射による乾燥等によることができる。乾燥速度としては、応力集中によって塗膜に亀裂が入ったり、塗膜が基材から剥離したりしない程度の速度範囲の中で、できるだけ速く液状媒体が除去できるように適宜に設定することができる。
ここで、乾燥温度は5〜100℃が好ましく、緻密な塗装膜を得るには30〜100℃の温度をかけた方がより好ましい。本実施の形態に係る温度制御方法で使用される塗装体は、建屋の壁面・屋根面、屋外設備(プラント設備、タンク、危険物倉庫)等に適するので、通常15〜30℃の常温乾燥が好ましい。また、基材が100℃の温度に耐えられない(基材が変形する)場合においては、基材が変形しない温度範囲で、かつ、出来る限り高温であることが好ましい。また、塗料中に含まれる液状媒体(C)が水の場合には5℃以下では液状媒体(C)が乾燥し難いため好ましくない。
塗膜20の密度は、好ましくは1.3〜2.3gr/cmであり、より好ましくは1.4〜2.2gr/cmであり、特に好ましくは1.5〜2.1gr/cmである。塗膜の密度が前記範囲にあると、塗膜中に含まれる遮熱粒子の含有割合が遮熱特性を発揮させるのに十分な量となるため、基材/塗膜の密着性と良好な遮熱特性とのバランスに優れた塗膜が得られる。塗膜の密度が前記範囲を超える場合には、良好な遮熱特性を有する塗膜が得られるものの、基材/塗膜界面において遮熱粒子がリッチとなりやすく、基材/塗膜の密着性に劣る場合がある。
塗膜の密度は、JIS K5600−5−11:1999に準拠して測定することができる。
塗布基材の屈曲や温度変化による伸縮に、塗膜が破断することなくどれだけ追随することができるかの指標の一つとして、塗膜の引張伸び率がある。引張伸び率が大きいほど、基材追随性がより向上すると判断できる。塗膜20の引張伸び率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは100%以上であり、特に好ましくは150%以上である。
塗膜の引張伸び率は、以下のようにして測定することができる。後述する塗料を膜厚が0.2〜0.4mmになるようにテフロン(登録商標)シート上に塗布し、常温(25℃)で1週間放置することにより形成した塗膜を7号ダンベルで打ち抜いて試験片を作製する。この試験片について、オートグラフ(株式会社島津製作所製、AG−X型)を用いて50mm/minの引張速度で、JIS A6909に準じて引張伸び率を測定する。
本実施の形態に係る温度制御方法で使用される塗装体は、前述のように耐久性、耐防汚性及び遮熱特性に優れるため、住宅、総合住宅(マンション、ホテル)、高層建築物・ビル、プラント設備、タンク等の外壁、塗装に適する。さらに長期に亘る遮熱特性にも優れるので、プラント設備、温度管理が必要な危険物(有機溶媒、触媒、スチレンやブタジエンやアクリル酸エステルとのモノマーを)を保管するタンク、倉庫(外壁、屋根等)への適用が好ましい。
2.塗料
次に、上記塗装体を作製する際に使用する塗料について説明する。基材の表面に塗装する塗料は、重合体粒子(A)と、遮熱粒子(B)と、液状媒体(C)と、を含有する。以下、塗料の特徴、塗料に含まれる各成分の順に説明する。
2.1.塗料の特徴
上記塗装体を作製する際に使用する塗料は、液状媒体(C)中に重合体粒子(A)と遮熱粒子(B)とを分散させた分散系となっている。この分散系において、重合体粒子(A)の平均粒子径(Da)と遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)との比(Da/Db)は、0.02〜2の範囲にあることが好ましく、0.05〜1の範囲にあることがより好ましく、0.1〜0.5の範囲にあることが特に好ましい。このことの技術的な意味は、以下の通りである。
塗料を基材の表面に塗布して形成された塗膜を乾燥する工程において、重合体粒子(A)および遮熱粒子(B)のうちの少なくとも一方がマイグレーションすると推測される。すなわち、これらの粒子は表面張力の作用を受けることによって塗膜の厚み方向に沿って移動すると考えられる。より具体的には、重合体粒子(A)および遮熱粒子(B)のうちの少なくとも一方が、塗膜面のうちの、基材と接する面とは反対側、すなわち水が蒸発する気固界面側へと移動すると考えられる。このようなマイグレーションが起こると、重合体粒子(A)および遮熱粒子(B)の分布が塗膜の厚み方向で不均一となる。
例えば大気と塗膜との界面に重合体粒子(A)を偏在させることにより、重合体粒子(A)の機能に由来する耐候性や耐水性を塗膜に付与することができる。さらに、大気と塗膜との界面に重合体粒子(A)を偏在させることで、塗膜と大気との界面に遮熱粒子(B)が突出することを抑制することができるので、塗膜の表面粗さRaを小さくすることができると考えられる。また、基材と塗膜との界面における重合体粒子(A)の量を制御することにより、基材と塗膜との密着性を良好にし、塗膜の基材からの剥離を抑制できる。
両粒子の平均粒子径の比(Da/Db)が前記範囲にあると、前述のような効果を発現させることができ、良好な耐候性や耐水性に加え、良好な密着性と遮熱特性を示す塗膜を容易に製造できると考えられる。
2.2.重合体粒子(A)
塗料中に含まれる重合体粒子(A)は、遮熱粒子(B)を基材に定着させたり、遮熱粒子(B)同士を互いに結着させたりするためのバインダーとして機能する成分である。また、重合体粒子(A)は、基材とその上に塗布および乾燥させて形成された塗膜との密着性を向上させるためのバインダーとしても機能する成分である。
重合体粒子(A)の平均粒子径(Da)は、0.05〜0.4μmの範囲にあることが好ましく、0.06〜0.3μmの範囲にあることがより好ましく、0.09〜0.2μmの範囲にあることが特に好ましい。重合体粒子(A)の平均粒子径(Da)が前記範囲にあると、遮熱粒子(B)の表面に重合体粒子(A)を十分に吸着させることができるため、遮熱粒子(B)の移動に伴って重合体粒子(A)も追随して移動することができる。その結果、両者の粒子のうちのどちらかのみが単独で過剰にマイグレーションすることを抑制できるので、塗膜の厚み方向で両者の粒子の分布が過剰に不均一となることを抑制し、基材との密着性や長期耐候性に優れた塗膜を形成することができる。
また、重合体粒子(A)は、下記の[1]および[2]の要件を満たしていることが好ましい。
[1]0.05μm以上0.2μm未満の粒径区間に10〜90容積%、好ましくは20〜80容積%、より好ましくは30〜70容積%存在すること。
[2]0.2μm以上0.4μm以下の粒径区間に90〜10容積%、好ましくは80〜20容積%、より好ましくは70〜30容積%存在すること。
上記[1]および[2]の要件における重合体粒子(A)の存在割合が前記範囲にあると、得られる塗膜と大気との界面に重合体粒子(A)が偏在することを効果的に抑制することができる。これにより、基材と塗膜との密着性を向上させることができるため、基材からの塗膜の剥離等を防止できる点で好ましい。
重合体粒子(A)の平均粒子径(Da)とは、光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、小さい粒子から粒子を累積したときの粒子数の累積度数が50%となる粒子径(D50)の値である。このような粒度分布測定装置としては、例えばコールターLS230、LS100、LS13 320(以上、Beckman Coulter.Inc製)や、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)等が挙げられる。これらの粒度分布測定装置は、重合体粒子(A)の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とする。したがって、この粒度分布測定装置によって得られた粒度分布は、塗料中に含まれる重合体粒子(A)の分散状態の指標とすることができる。
なお、重合体粒子(A)の平均粒子径(Da)および粒度分布測定は、塗料を遠心分離して遮熱粒子(B)を沈降させた後、その上澄み液を上記の方法で測定することによっても測定することができる。
重合体粒子(A)としては、遮熱粒子(B)を基材に定着させるためのバインダーとして機能するものであれば特に限定されないが、例えば以下に説明する含フッ素系重合体粒子は長期耐候性を有する塗膜が得られる点で好適である。
含フッ素系重合体粒子としては、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)と、を有する含フッ素系重合体粒子が好適である。この含フッ素系重合体粒子は、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)と、の共重合体であってもよいが、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)を有する重合体(Aa)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)を有する重合体(Ab)と、を有する、共重合体ではない含フッ素系重合体粒子であることが好ましい。
前記含フッ素系重合体粒子が重合体(Aa)と重合体(Ab)とを有する場合、重合体
(Aa)と重合体(Ab)とはポリマーアロイであってもよい。ここで、「ポリマーアロイ」とは、「岩波 理化学辞典 第5版.岩波書店」における定義によれば、「2成分以上の高分子の混合あるいは化学結合により得られる多成分系高分子の総称」であって「異種高分子を物理的に混合したポリマーブレンド、異種高分子成分が共有結合で結合したブロック及びグラフト共重合体、異種高分子が分子間力によって会合した高分子錯体、異種高分子が互いに絡み合ったIPN(Interpenetrating Polymer
Network)等」をいう。含フッ素系重合体粒子が重合体(Aa)と重合体(Ab)とを有するポリマーアロイである場合には、「異種高分子成分が共有結合によって結合していないポリマーアロイ」の中でもIPN(相互侵入高分子網目)と称される状態であることがより好ましい。
含フッ素系重合体粒子が重合体(Aa)と重合体(Ab)とを有する場合、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)を有する重合体(Aa)は、結晶性樹脂のハードセグメントが凝集して、主鎖にC−H・・・F−Cのような疑似架橋点を与えているものと考えられる。このため樹脂として重合体(Aa)を単独で用いると、その耐候性は良好であるものの、密着性及び柔軟性が不十分となる。一方、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)を有する重合体(Ab)は、密着性及び柔軟性には優れるものの、耐候性が低いことから、これを樹脂として単独で塗膜に使用した場合には、太陽光に暴露されることにより容易に変質するため、良好な耐候性を得ることができない。
しかしながら、重合体(Aa)と重合体(Ab)とを有する含フッ素系重合体粒子を使用することにより、耐候性、密着性、柔軟性を同時に発現することができ、とりわけ耐候性が良好な塗膜を製造することができる。以下、含フッ素系重合体粒子を構成する各繰り返し単位について説明する。
なお、本明細書における「〜(メタ)アクリレート」とは、「〜アクリレート」及び「〜メタクリレート」の双方を包括する概念である。また、「(メタ)アクリル〜」とは、「アクリル〜」及び「メタクリル〜」の双方を包括する概念である。
2.2.1.含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)
上述したように、含フッ素系重合体粒子としては、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)を有することが好ましい。含フッ素エチレン系単量体としては、例えばフッ素原子を有するオレフィン化合物、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。フッ素原子を有するオレフィン化合物としては、例えばフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物、(メタ)アクリル酸3[4〔1−トリフルオロメチル−2,2−ビス〔ビス(トリフルオロメチル)フルオロメチル〕エチニルオキシ〕ベンゾオキシ]2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
Figure 2015116524
(一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rはフッ素原子を含有する炭
素数1〜18の炭化水素基である。)
上記一般式(1)中のRとしては、例えば炭素数1〜12のフッ化アルキル基、炭素数6〜16のフッ化アリール基、炭素数7〜18のフッ化アラルキル基等が挙げられるが、これらの中でも炭素数1〜12のフッ化アルキル基であることが好ましい。上記一般式(1)中のRの好ましい具体例としては、例えば2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、β−(パーフルオロオクチル)エチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル基、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノニル基、1H,1H,11H−パーフルオロウンデシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
含フッ素エチレン系単量体としては、これらの中でもフッ素原子を有するオレフィン化合物が好ましく、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン及び六フッ化プロピレンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。上記の含フッ素エチレン系単量体は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
一般的に含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)を有するフッ素化重合体成分は、耐候性は良好であると考えられており、従来から塗料に使用されることはあったが、このようなフッ素化重合体成分は密着性に劣っていた。そのため従来技術においては、種々のモディファイによってフッ素化重合体の密着性を向上させようとする検討が行われてきた。しかしながら、例えば重合体鎖に官能基を導入することによって密着性を向上する試みは、重合体の合成条件の精密な制御が必要であり、目的を達成することは困難であった。そのため、本願発明者らは、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)と、を有する含フッ素系重合体粒子に着目したのである。
すなわち、本願発明者らは、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)と、を有する含フッ素系重合体粒子を使用することにより、さらに効果的に耐候性を劣化させることなく、密着性を発現させることを可能としたものである。さらに、含フッ素系重合体粒子が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)を有する重合体(Aa)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)を有する重合体(Ab)と、を有する含フッ素系重合体粒子として使用することにより、より効果的に耐候性を劣化させることなく、密着性を発現させることを可能としたものである。
重合体粒子(A)を構成する単量体100モル%に対して、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)を10〜99モル%の割合で含有することが好ましい。含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)の含有割合が前記範囲であると、塗膜の耐候性や耐熱性をより向上させ、基材への密着性をより向上させることができる。
含フッ素系重合体粒子が重合体(Aa)と重合体(Ab)を有する場合、重合体(Aa)は、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)のみを有していてもよく、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)以外の、後述する共重合可能な、その他の単量体に由来する繰り返し単位を有していてもよい。
なお、重合体(Aa)がさらに不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有することにより、塗料としての分散安定性が向上するため、遮熱粒子(B)や含フッ素系重合体粒
子が局所的に偏在しない、均質な塗膜を作製することができる。その結果、強度的に均質な塗膜となり、局所的に塗膜が基材から剥離したり、遮熱粒子(B)の偏在による色むらの発生を効果的に抑制することができる点で好ましい。
重合体(Aa)における含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)の含有割合は、重合体(Aa)の全質量に対して、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。
重合体(Aa)がフッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を含有する場合、その含有割合は、好ましくは50〜100質量%であり、より好ましくは60〜98質量%である。重合体(Aa)が四フッ化エチレンに由来する繰り返し単位を含有する場合、その含有割合は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは1〜50質量%であり、さらに好ましくは2〜30質量%である。重合体(Aa)が六フッ化プロピレンに由来する繰り返し単位を含有する場合、その含有割合は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは2〜30質量%である。
重合体(Aa)は、上記の含フッ素エチレン系単量体、及び任意的に他の不飽和単量体を、公知の方法に従って乳化重合することにより容易に製造することができる。
2.2.2.不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)
上述したように、含フッ素系重合体粒子としては、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)を有することが好ましい。一般的に、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)を有する重合体は、密着性は良好であるが、耐候性が不良であると考えられており、従来から塗膜には使用されなかった。しかしながら、本願発明は、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)と、を有する含フッ素系重合体粒子を使用することにより、良好な密着性を維持しつつ、十分な耐候性を発現することに成功したものである。
不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば不飽和カルボン酸のアルキルエステル、不飽和カルボン酸のシクロアルキルエステル、不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸のアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、(メタ)アクリル酸アリル、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリブトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシエチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシエチルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシエチルトリブトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシメチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシメチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシメチルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシメチルトリブトキシシラン、3−
(メタ)アクリルオキシブチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシブチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシブチルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシブチルトリブトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシヘプチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシヘプチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシヘプチルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシヘプチルトリブトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシヘキシルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシヘキシルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシヘキシルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシヘキシルトリブトキシシラン等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸のシクロアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸エチレングリコール等が挙げられる。
上記の不飽和カルボン酸エステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルであることが特に好ましい。
含フッ素系重合体粒子が重合体(Aa)と重合体(Ab)とを有する場合、重合体(Ab)は、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)のみを有する重合体であってもよく、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)以外の、後述する共重合可能な、その他の単量体に由来する繰り返し単位を有してもよい。
重合体(Ab)における不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)の含有割合は、重合体(Ab)の全質量に対して、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上である。
2.2.3.その他の単量体
上記含フッ素系重合体粒子は、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)及び不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)以外の単量体に由来する繰り返し単位を有してもよい。また、含フッ素系重合体粒子が重合体(Aa)及び重合体(Ab)を有する場合、重合体(Aa)は、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)以外の、その他の単量体に由来する繰り返し単位を有してもよい。重合体(Ab)は、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)以外の、その他の単量体に由来する繰り返し単位を有してもよい。
その他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸、α,β−不飽和ニトリル、カルボニル基含有化合物(上記不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸エステルを除く。)、共役ジエン、芳香族ビニル、ビニルエーテル、アリルエーテル、アルコキシシラン等が挙げられる。なお、アルコキシシラン以外のその他の単量体については、含フッ素系重合体粒子を構成する単量体100モル%に対して、その他の単量体に由来する繰り返し単位を15モル%以下の割合で含有することが好ましい。
上記不飽和カルボン酸としては、エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノ又はジカルボン酸を挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。こ
れらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸よりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
上記α,β−不飽和ニトリルとしては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。
上記カルボニル基含有化合物としては、例えば(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、アクロレイン等を挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。
上記共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等を挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。
上記芳香族ビニルとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、p−ヒドロキシスチレン等を挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。
上記ビニルエーテルとしては、例えばエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル等を挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。
上記アリルエーテルとしては、例えばメチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル等を挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。
また、含フッ素系重合体粒子がアルコキシシランに由来する繰り返し単位を有することにより、得られる塗膜の耐候性をより向上させることができ、長期間この効果を保持することができる。このようなアルコキシシランとしては、下記一般式(2)及び下記一般式(3)で表される単量体よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体であることが好ましい。
Si(OR4−n ・・・・・(2)
(式中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜8の有機基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
SiO(4−m)/2 ・・・・・(3)
(式中、Rは炭素数1〜8の有機基を表し、mは0〜3の数を表す。)
上記一般式(2)及び(3)で表される単量体において、R及びRは炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
としては、例えば、炭素数1〜8の、アルキル基、アリール基、アシル基等が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。アリ
ール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。アシル基としては、好ましくは炭素数1〜6のアシル基であり、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等が挙げられる。上記一般式(2)中に複数存在するRやRは、相互に同一でも異なってもよい。
上記一般式(2)で表される単量体としては、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランを好適に使用することができる。
モノアルコキシシランとしては、例えばトリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジビニルメチルメトキシシラン、ジビニルメチルエトキシシラン、ジビニルメチルプロポキシシラン、ジビニルメチルモノブトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、アリルジメチルプロポキシシラン、アリルジメチルブトキシシラン等が挙げられる。
ジアルコキシシランとしては、例えばジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ジビニルジブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、
アリルメチルジエトキシシラン、アリルメチルジプロポキシシラン、アリルメチルジブトキシシラン等が挙げられる。
トリアルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、アリルトリブトキシシラン、パラスチリルトリメトキシシラン、パラスチリルトリエトキシシラン、パラスチリルトリプロポキシシラン、パラスチリルトリブトキシシラン等が挙げられる。
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシシラン、テトラ−sec−ブトキシシシラン、テトラ−tert−ブトキシシシラン、テトラフェノキシシシラン等が挙げられる。
これらのアルコシキシランは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコシキシランについては、含フッ素系重合体粒子を構成する単量体100モル%に対して、アルコキシシランに由来する繰り返し単位を1〜90モル%の割合で含有することが好ましい。アルコシキシランの含有割合が前記範囲であると、塗膜の耐候性をより向上させることができ、長期間この効果を保持することができる。また、塗膜の基材密着性をより向上させることもでき、塗膜形成時のクラックの発生を抑制することができる。
2.2.4.含フッ素系重合体粒子の調製
含フッ素系重合体粒子は、上記のような構成を採るものである限り、その合成方法は特に限定されないが、例えば公知の乳化重合工程又はこれを適宜に組み合わせることによって、容易に合成することができる。
例えば、含フッ素系重合体粒子が含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)を有する重合体(Aa)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)を有する重合体(Ab)と、を有する場合、先ず、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)を有する重合体(Aa)を公知の方法によって合成する。次いで、該重合体(Aa)に重合体(Ab)を構成するための単量体を加え、重合体(Aa)を含有する重合体粒子の編み目構造の中に前記単量体を吸収させた後、重合体(Aa)の編み目構造の中で吸収させた単量体を重合して重合体(Ab)を合成する方法により、含フッ素系重合体粒子を容易に製造することができる。
含フッ素系重合体粒子としては、得られる塗膜の耐候性をより向上させる観点から、含フッ素エチレン系単量体と、アルコキシシランと、を含有する単量体混合物を水性媒体中で反応させて得られる重合体(Aa)の粒子の存在下で、重合体(Ab)を構成するための単量体(少なくとも不飽和カルボン酸エステルを含む。)を反応させて得られる含フッ素系重合体粒子であることが特に好ましい。
なお、このような方法によって含フッ素系重合体粒子を製造する場合には、重合体(A
a)に、重合体(Ab)の単量体を吸収させる条件を制御することで、得られる含フッ素系重合体粒子の特性をコントロールすることができる。例えば、単量体の吸収温度が低い場合や吸収時間が短い場合には、コアシェル構造の粒子又は表層の一部のみがIPN型の構造である粒子となる。また、吸収温度が高い場合や吸収時間が長い場合には、粒子全体がIPN型の構造である粒子となる。
上記のような観点から、吸収温度は20〜100℃とすることが好ましく、25〜90℃とすることがより好ましく;吸収時間は0.5〜24時間とすることが好ましく、1〜12時間とすることがより好ましい。吸収温度(℃)と吸収時間(h)を乗じた値が、おおむね20〜800(℃・h)、好ましくは30〜600(℃・h)の範囲となるような条件が適当である。
重合体(Aa)の編み目構造の中に重合体(Ab)の単量体を吸収させる操作は、乳化重合に用いられる公知の溶媒中、例えば水中で行うことが好ましい。
含フッ素系重合体粒子中の重合体(Aa)の含有量は、含フッ素系重合体粒子100質量部中、1〜90質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましく、10〜70質量部であることがさらに好ましく、15〜65質量部であることがさらに好ましく、20〜60質量部であることが特に好ましい。含フッ素系重合体粒子が重合体(Aa)を前記範囲で含有することにより、耐候性と密着性とのバランスがより良好となる。
含フッ素系重合体粒子の製造、すなわち重合体(Aa)の重合もしくは得られた重合体(Aa)中に単量体を吸収させた後に行う重合体(Ab)の重合又はこれらの双方は、公知の乳化剤(界面活性剤)、重合開始剤、分子量調整剤等の存在下で行うことができる。
乳化剤の具体例としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、デヒドロアビエチン酸塩、ナフタレンスルホン酸・ホルマリン縮合物、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル、ポリエチレングリコールのアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールのアルキルエーテル等のノニオン性界面活性剤;パーフルオロブチルスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステル、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等のフッ素系界面活性剤等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸リチウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤;クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等の油溶性重合開始剤等を適宜選択して用いることができる。これらのうち、特に過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、クメンハイドロパーオキサイド又はt−ブチルハイドロパーオキサイドを使用することが好ましい。重合開始剤の使用割合は特に制限されないが、単量体組成、重合反応系のpH、他の添加剤等の組み合わせ等を考慮して適宜設定される。
分子量調節剤の具体例としては、例えばn−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲン
ジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物;ターピノレン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル化合物等のほか、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
2.2.5.重合体粒子(A)の物性
2.2.5.1.転移温度
重合体粒子(A)が含フッ素系重合体粒子である場合、JIS K7121に準拠する示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、−50℃〜+80℃の温度範囲における吸熱ピークが少なくとも1つ存在することが好ましい。重合体粒子(A)の有するこの吸熱ピークの1つの温度は、−30℃〜+70℃の範囲にあることがより好ましく、−20〜+60℃の範囲にあることがさらに好ましい。含フッ素系重合体粒子の有する1つの吸熱ピークの温度が前記範囲にある場合には、該粒子は塗膜に対してより良好な柔軟性と粘着性とを付与することができ、従って密着性をより向上させることができる点で好ましい。
また、重合体粒子(A)が含フッ素系重合体粒子である場合、JIS K7121に準拠する示差走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、前述の吸熱ピーク以外に、さらに80℃〜150℃の温度範囲における吸熱ピークが1つ以上観測されることが好ましい。このように吸熱ピークが2つ観測された場合、重合体粒子(A)には少なくとも2つの転移温度が存在することが理解される。
建材等の基材に塗料を塗布して乾燥する場合、通常室温〜80℃程度の環境下で乾燥させる。この場合、該乾燥温度において重合体粒子(A)の表層面が隣り合う遮熱粒子(B)や他の重合体粒子(A)と融着し、密着する必要がある。前記範囲に少なくとも一つの吸熱ピークが存在することは、すなわちこの温度において何らかの相変化を生じることを示しており、その結果、塗膜強度を向上させる融着を促進し、塗装性に優れると考えられる。
さらに、80℃〜150℃の温度範囲における吸熱ピークがもう一つ存在することは、前述の通常の塗料の乾燥条件において、相変化せず、さらに高温でようやく相変化する相が粒子中に存在することを意味する。このような乾燥時に相変化しない相を有することにより、乾燥時の塗料の過剰な流動性を抑制し、塗膜均質性を向上させる効果があるため好ましいと考えられる。
2.2.5.2.テトラヒドロフラン(THF)不溶分
重合体粒子(A)のTHF不溶分は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。THF不溶分は、得られる塗膜の耐溶剤性の指標となる。このため、THF不溶分が前記範囲であれば、上記塗料を用いて塗膜を作製した後、その上にさらに有機溶剤系の塗膜を積層するような場合でも、有機溶剤系塗膜への重合体粒子(A)の溶出を抑制できるため良好であると考えられる。また、THF不溶分は、得られる塗膜の耐久性の指標の一つともなり得る。このため、THF不溶分が前記範囲にあれば、有機溶剤を取り扱う工場のタンク等の表面に塗膜を形成することにより、耐久性が向上するものと考えられる。
2.3.遮熱粒子(B)
一般的に「遮熱」とは、日射を反射することによって、外部からの熱の流入を遮る作用のことをいうが、本発明における「遮熱粒子」とは、近赤外線(波長領域780〜2500nm)を効率的に反射することができる粒子のことをいう。
このような遮熱粒子(B)としては、例えばJR−1000(テイカ株式会社製)、CR−97、R−630(以上、石原産業株式会社製)等の酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型も含む)、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウム、酸化珪素、シリカ(非結晶性シリカも含む)、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、アルミナ、ジオキサンバイオレット(クラリアント社製)、酸化鉄レッド(バイエル社製)、シアニングリーン(東洋インキ株式会社)、キナクリドンバイオレット(クラリアント社製)、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムが効果的に近赤外線を反射することができるため好ましい。
上記以外にも遮熱粒子(B)として、近赤外線を反射する着色顔料を使用してもよい。このような着色顔料としては、例えば、酸化鉄、黄酸化鉄、アンチモン・スズ酸化物、アルミフレーク、鱗片状アルミ、コバルトブルー、リトポン、硫化鉛等;フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、アゾ系、ペリノン系、ペリレン系、インジゴ/チオインジゴ系、ジオキサジン系、メチン/アゾメチン系、イソインドリノン系、ジケトピロロピロール系等の有機顔料;ダイヤモンドブラック、グラファイト、フラーレン、グラフェン、アニリンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ケイソウ土、消石灰、石膏、ベントナイト、クレー、雲母、粘土鉱物、鉄、銅、ニッケル、金、銀、亜鉛、フェライト、ステンレス鋼、酸化クロム、酸化コバルト、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛、亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデン等が挙げられる。
上記例示した遮熱粒子(B)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
塗料中における遮熱粒子(B)の分散安定性を向上させる観点から、遮熱粒子(B)に表面処理を施してもよい。このような表面処理の代表例としては、シランカップリング剤による表面処理が挙げられる。シランカップリング剤としては、特に限定されず、シランにビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、イソシアネート基、スルフィド基等の官能基を有するものが挙げられる。
遮熱粒子(B)として酸化チタンと着色顔料とを併用する場合、遮熱粒子(B)100質量%中の着色顔料の含有量は、10〜100質量%であることが好ましく、20〜95質量%であることがより好ましく、30〜90質量%であることが特に好ましい。
遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)は、前述した比(Db/Da)の値を満足するように選択されるが、近赤外線の波長の約1/2の平均粒子径であることが好ましく、光沢性の高い塗膜を得るためには、0.2〜1.5μmであることがより好ましく、0.3〜1.2μmであることがさらに好ましく、0.4〜0.8μmであることが特に好ましい。遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)が前記範囲にあれば、近赤外線を効果的に反射でき、かつ、光沢が付与された塗膜を形成することができる。このメカニズムは、以下のように考えられる。遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)が前記範囲にあると、遮熱粒子(B)の表面に重合体粒子(A)が十分に吸着させることができるので、大気と塗膜との界面には重合体粒子(A)由来の成分が多く存在するようになる。これにより、大気と塗膜との界面に突出する遮熱粒子(B)を抑制することができるので、塗膜の表面粗さRaを小さくすることができる。その結果、塗膜に光沢を付与することができ、しかも良好な耐候性や耐水性に加え、良好な密着性と遮熱特性を示す塗膜を製造できると考えられる。
なお、遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)は、前述した比(Db/Da)の値を満足するように選択されるが、低光沢性塗膜を得る目的のためには、1.5μmを超える粒子を適時配合することもできる。
ここで、遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)とは、レーザー回折法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、小さい粒子から粒子を累積したときの粒子数の累積度数が50%となる粒子径(D50)の値である。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えばHORIBA LA−300シリーズ、HORIBA LA−920シリーズ(以上、株式会社堀場製作所製)等を挙げることができる。この粒度分布測定装置は、遮熱粒子(B)の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とする。従って、この粒度分布測定装置によって得られた遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)は、塗料中に含まれる遮熱粒子(B)の分散状態の指標とすることができる。なお、遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)は、塗料を遠心分離して遮熱粒子(B)を沈降させた後、その上澄み液を除去し、沈降した遮熱粒子(B)を上記の方法により測定することによっても測定することができる。
上記塗料における重合体粒子(A)と遮熱粒子(B)との含有量の関係は、遮熱粒子(B)表面における重合体粒子(A)の吸着量のバランスの観点から、重合体粒子(A)100質量部に対して、遮熱粒子(B)を、5〜200質量部含有することが好ましく、10〜150質量部含有することがより好ましく、20〜100質量部含有することが特に好ましい。
2.4.液状媒体(C)
上記塗料は、液状媒体(C)を含有する。液状媒体(C)としては、水を含有する水系媒体であることが好ましい。この水系媒体には、水以外の非水系媒体を添加することができ、塗料の塗布性を改善する目的で、80〜350℃の標準沸点を有する非水系媒体を添加することができる。このような非水系媒体の具体例としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;トルエン、キシレン、n−ドデカン、テトラリン等の炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、ラウリルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル;o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン等のアミン化合物;γ−ブチロラクトン、δ−ブチロラクトン等のラクトン;ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン等のスルホキシド・スルホン化合物等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。水以外の非水系媒体を添加する場合、液状媒体(C)の全量100質量%中、90質量%以上が水であることが好ましく、98質量%以上が水であることがより好ましい。上記塗料は、液状媒体(C)として水系媒体を使用することにより、環境に対して悪影響を及ぼす程度が低くなり、取扱作業者に対する安全性も高くなる。液状媒体(C)として水系媒体のみを使用する場合において、塗装時の乾燥温度が常温より低かったり、塗装面が荒れていたりする場合には、良好な表面外観が得られない場合がある。このような場合には、液状媒体(C)の全量100質量%中、10%程度のブチルセルロース等を配合することにより、良好な平滑な塗装膜が得られることがある。
液状媒体(C)中に水以外の非水系媒体を添加する場合、非水系媒体の含有割合は、液状媒体(C)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ここで、「実質的に含有しない」とは、液状媒体(C)として非水系媒体を意図的に添加しないという程度の意味であり、塗料を作製する際に不可避的に混入する非水系媒体を含んでも構わない。
上記塗料は、基材への塗布性の観点から、重合体粒子(A)および遮熱粒子(B)を合わせた固形分含有率(すなわち、質量基準で((A)+(B))/((A)+(B)+(C))の百分率)が10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。
また、上記塗料は、20℃におけるザーンビスコシティーカップ#4を用いた流出時間(粘度)が10〜30秒であること好ましく、15〜25秒であることがより好ましく、18〜23秒であることが特に好ましい。流出時間が前記範囲未満であると、塗料を基材上へ塗工する際、レベリング性が不足するため、塗膜厚みの均一性が得られ難く塗装外観が損なわれる。さらにこのような塗膜厚みが不均一な塗膜を使用すると、安定した遮熱特性の発現が困難となる。一方、流出時間が前記範囲を超えると、塗料を基材上に塗工する際、液ダレが起き易くなり、特に立面では作業性が極めて悪い上に、安定した品質の塗膜が得られにくい。流出時間が前記範囲にあれば、これらの問題の発生を抑制することができ、良好な表面外観と遮熱特性とを両立させた塗膜の作製が可能となる。
なお、上記の「流出時間」は、以下のようにして測定することができる。まず、直径4.0mmの開口部を底部に有するザーンカップ(コーテック株式会社製、ザーンビスコシティーカップNo.4)を準備する。このザーンカップに開口部を閉じた状態で、ザーンカップに塗料を満たし、その後、開口部を開放すると、開口部から塗料が流れ出す。この塗料が全量流れ出るまでの時間(流出時間)を測定する。
2.5.その他の添加剤
上記塗料は、必要に応じて前述の重合体粒子(A)、遮熱粒子(B)、液状媒体(C)以外の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、例えばイソチアゾリン系化合物、増粘剤、架橋剤、消泡剤、充填材、成膜助剤(テキサノール等)、凍結防止剤(エチレングリコール、プロピレングリコール等)、pH調整剤(アンモニア水、エタノールアミン等)、濡れ性改善剤(ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)等が挙げられる。これらの添加剤の添加量は、上記塗料における固形分換算100質量部に対して、40質量部以下とすることができる。
2.5.1.イソチアゾリン系化合物
上記塗料にイソチアゾリン系化合物を添加することにより、イソチアゾリン系化合物が
防腐剤として作用して、塗料を貯蔵した際に、細菌や黴等が増殖して異物が発生することを抑制することができる。また、驚くべきことに、塗膜の劣化、特に耐候性の劣化を抑制することもできる。
塗膜の耐候性の劣化が抑制される効果の発現機構は明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、重合体粒子(A)とイソチアゾリン系化合物との親和性が良好であるために、塗膜が雨水等に晒された場合でもイソチアゾリン系化合物は重合体粒子(A)に吸着される等して保持され、塗膜からほとんど溶出しないと考えられる。イソチアゾリン系化合物が重合体粒子(A)に保持されることで、重合体粒子(A)の太陽光による劣化が抑制され、その結果、耐候性の劣化を抑制できると推測される。
また、一般的にラテックスのような重合体粒子の分散液へ新たな成分を添加すると、その新たな成分がトリガーとなり凝集が発生しやすい。ところが、イソチアゾリン系化合物は重合体粒子の分散性に与える影響が小さいため、凝集の発生を抑制することができる。そのため、重合体粒子(A)及び遮熱粒子(B)を液状媒体(C)中で混合して塗料を作製する際にトリガーとなる成分が存在しないため、重合体粒子(A)や遮熱粒子(B)の凝集を抑制することができる。これにより、基材の表面により均質な塗膜を作製することができるため、このような塗膜を備える塗装体は、良好な耐候性を有するものと推測される。
さらに、塗料にイソチアゾリン系化合物を添加することにより、塗料の流動性を向上させることもできると考えられる。塗料の流動性が向上する結果、より均一な厚みの塗膜を形成することができ、安定した耐候性を発現することができると考えられる。
上記塗料に添加し得るイソチアゾリン系化合物としては、イソチアゾリン骨格を有する化合物であれば特に制限されないが、具体的には下記一般式(4)で表される化合物や下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015116524
上記式(4)中、Rは水素原子又は炭化水素基であり、R、Rはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表す。R、R、Rが炭化水素基である場合、直鎖あるいは分岐鎖のような鎖状の炭素骨格を有していてもよく、環状の炭素骨格を有していてもよく、又はハロゲン原子、アルコキシル基、ジアルキルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基等の置換基を有していてもよい。また、炭化水素基の炭素数は1〜12であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜8であることが特に好ましい。このような炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
Figure 2015116524
上記式(5)中、Rは水素原子又は炭化水素基であり、R10はそれぞれ独立に水素原子又は有機基を表す。Rが炭化水素基である場合、上記式(4)で説明した炭化水素基と同様の炭化水素基であることができる。また、R10が有機基である場合、この有機基にはアルキル基やシクロアルキル基である脂肪族基や芳香族基が含まれるが、脂肪族基であることが好ましい。アルキル基の炭素数は1〜12であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜8であることが特に好ましい。これらのアルキル基及びシクロアルキル基は、ハロゲン原子、アルコキシル基、ジアルキルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基等の置換基を有していてもよい。前記脂肪族基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。上記式(5)中、nは0〜4の整数を表す。
イソチアゾリン系化合物の具体例としては、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記塗料におけるイソチアゾリン系化合物の含有割合は、重合体粒子(A)100質量部に対して、0.002〜0.5質量部であることが好ましく、0.005〜0.2質量部であることがより好ましく、0.01〜0.15質量部であることが特に好ましい。塗料中のイソチアゾリン系化合物の含有割合が前記範囲であると、塗料の長期間にわたる貯蔵安定性が向上する。また、この塗料を塗布して作製された塗膜を備える塗装体は、より良好な耐候性を示す。
なお、イソチアゾリン系化合物の濃度が前記範囲未満であると、上述のような効果を十分に発現させることができないことがあり、特に塗料を長期間貯蔵した際に良好な耐候性を発現する塗装体を作製できない場合がある。イソチアゾリン系化合物の濃度が前記範囲を超えると、重合体粒子(A)の表面に多量のイソチアゾリン系化合物が吸着することがあり、重合体粒子(A)の結着力が低下することで、基材と塗膜との密着性が悪化する場合がある。
2.5.2.増粘剤
上記塗料に添加し得る増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース化合物;上記セルロース化合物のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸、変性ポリ(メタ)アクリル酸等のポリカルボン酸;上記ポリカルボン酸のアルカリ金属塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニル
アルコール系(共)重合体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸等の不飽和カルボン酸とビニルエステルとの共重合体の鹸化物等の水溶性ポリマー等を挙げることができる。これらの中でも特に好ましい増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩等である。
これら増粘剤の市販品としては、例えばCMC1120、CMC1150、CMC2200、CMC2280、CMC2450(以上、株式会社ダイセル製)、ASE60(ロームアンドハース製)、SN612、SN615、SN617、SN618、SN621N(以上、サンノプコ製)、アデカノールUH−420(ADEKA製)等を挙げることができる。
2.5.3.架橋剤
上記塗料は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋により塗膜の緻密化を図り、耐水性を付与することで、長期の屋外暴露に使用することができる。使用することのできる架橋剤としては、ヒドラジン誘導体、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、酸無水物、アミン化合物、アジリジン化合物が挙げられる。
ヒドラジン誘導体は、少なくとも2個のヒドラジノ基を有し、アクリル系重合体中に含有されるカルボニル基1モルに対し0.02〜1モル、好ましくは0.2〜0.6モルの量で配合される。前記ヒドラジン誘導体の配合量が、アクリル系重合体中に含有されるカルボニル基1モルに対し、0.02モルより少なくても、1モルを超えても上記塗料から形成される塗膜の耐温水性や耐溶剤性が不十分となる場合がある。
少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体としては、例えばシュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド及びイタコン酸ジヒドラジド等の2〜10個、特に4〜6個の炭素原子を含有するジカルボン酸ジヒドラジド、またエチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン及びブチレン−1,4−ジヒドラジン等の2〜4個の炭素原子を有する脂肪族の水溶性ジヒドラジンが挙げられ、これらの中でもアジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドが好ましい。ヒドラジン誘導体は、塗膜中の水が乾燥により飛散する際、重合体粒子(A)のカルボニル基と誘導体中のヒドラジノ基が反応して網目構造の被膜を形成する作用を有する。この架橋反応には、通常触媒を用いないが、場合によっては、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸コバルト等の水溶性金属塩等の触媒を使用することができる。
カルボジイミド化合物の具体例としては、ユニオンカーバイド社のUCARLNK Crosslinker XL−29SE、日清紡ケミカル株式会社のカルボジライトE−02,E−03A,E−04,V−02,SV−02,V−02−L2,V−04,V−10等があり、カルボジライトE−02,SV−02,E−03Aが好ましい。
イソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、またリジントリイソシアネート、さらにはブロック化されたイソシアネート類等が挙げられる。
アミノ化合物の具体例としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、アミンアダクト、ポリアミド等が挙げられる。アミノ化合物の市販品としては、三井サイテック(株)製のサイメル、エアプロダクツ社製のアンカミン、エピリンク、ヘンケル社製のバーサミン、バーサミド、富士化成工業(株)製のトーマイド、フジキュアー、第一ゼネラル(株)製のバーサミド、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピキュアー、三和化学(株)製のサンマイド、味の素(株)製のエポメート等が挙げられる。
エポキシ化合物の具体例としては、エポキシ樹脂、エポキシ変性シランカップリング剤等があげられ、市販品としてはジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート、エピレック、カードライト社製のカードライト、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製のコートジル1770、A−187等が挙げられる。
オキサゾリン化合物の具体例としては、株式会社日本触媒から供給されるエポクロスK−1010E,エポクロスK−1020E,エポクロスK−1030E,エポクロスK−2010E,エポクロスK−2020E,エポクロスK−2030E,エポクロスWS−500,エポクロスWS−700等が挙げられ、エポクロスWS−500,WS−700が好ましい。
アジリジン化合物の具体例としては、株式会社日本触媒から供給されるケミタイトPZ−33、DZ−22Eが挙げられる。
上記架橋剤を添加する方法としては、例えば、上記架橋剤を水中に溶解又は分散させたものを塗料に添加する方法、上記架橋剤を少量の水溶性有機溶剤に溶解させたものを塗料に添加する方法、上記架橋剤を直接塗料に添加する方法等が挙げられる。架橋剤は、重合体粒子(A)に導入されている、カルボキシル基と反応して架橋構造を形成する。その結果、耐温水性や、初期耐水性、耐汚染性等の耐水性の向上、塗膜の硬度の向上という作用効果を奏する。
2.5.4.消泡剤
上記塗料に添加し得る消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、変性シリコーン系消泡剤、特殊シリコーン系消泡剤、シリカ系消泡剤、シリカシリコーン系消泡剤、ポリマー系消泡剤疎水性シリカ、疎水性シリコーン、ワックス、特殊ワックス、ポリシロキサン等が挙げられる。
塗料が消泡剤を含有する場合、消泡剤の使用割合としては、塗料の全質量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜4質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%である。
2.5.5.充填剤
上記塗料に添加し得る充填材としては特に限定されず、例えば、カーボンブラック、2硫化モリブデン、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、珪酸カルシウム等が挙げられる。
塗料が充填材を含有する場合、充填材の使用割合としては、塗料の全固形分量に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは0.1〜15質量%であり、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
2.5.6.表面調整剤
上記塗料は、その塗工性を改善する観点から、表面調整剤を含有することができる。表面調整剤としてはシロキサン化合物、アクリル系共重合体、メタクリル系共重合体等が挙
げられる。
塗料が表面調整剤を含有する場合、表面調整剤の使用割合としては、塗料の全固形分量に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは0.1〜15質量%であり、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
2.6.塗料の製造方法
上記塗料は、液状媒体(C)中に重合体粒子(A)が分散する重合体粒子分散液を調製し、そこに遮熱粒子(B)、残りの液状媒体(C)、必要に応じて用いられる添加剤を添加および混合することにより製造することができる。これらの混合には、公知の手法による撹拌によって行うことができ、一般には、遮熱粒子(B)を添加剤の存在下で液状媒体(C)中に分散させて遮熱粒子分散液を調製し、この遮熱粒子分散液と重合体粒子分散液とを混合・撹拌することによって行うことができる。
塗料を製造するための混合撹拌としては、分散液中に遮熱粒子(B)の凝集体が残らない程度に撹拌し得る混合機と、必要にして十分な分散条件とを選択する必要がある。分散の程度は粒ゲージにより測定可能であるが、少なくとも100μmより大きい凝集物がなくなるように混合分散することが好ましい。このような条件に適合する混合機としては、例えばボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサー等を例示することができる。
3.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.実施例1
3.1.1.重合体粒子(A)の作製
電磁式撹拌機を備えた内容積約6Lのオートクレーブの内部を十分に窒素置換した後、脱酸素した純水2.5L及び乳化剤としてパーフルオロデカン酸アンモニウム25gを仕込み、350rpmで撹拌しながら60℃まで昇温した。次いで、単量体であるフッ化ビニリデン(VDF)70%及び六フッ化プロピレン(HFP)30%からなる混合ガスを、内圧が20kg/cmに達するまで仕込んだ。重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネートを20%含有するフロン113溶液25gを窒素ガスを使用して圧入し、重合を開始した。重合中は内圧が20kg/cmに維持されるようVDF60.2%及びHFP39.8%からなる混合ガスを逐次圧入して、圧力を20kg/cmに維持した。また、重合が進行するに従って重合速度が低下するため、3時間経過後に、先と同じ重合開始剤溶液の同量を窒素ガスを使用して圧入し、さらに3時間反応を継続した。その後、反応液を冷却すると同時に撹拌を停止し、未反応の単量体を放出した後に反応を停止することにより、重合体(Aa)の微粒子を40%含有する水系分散体を得た。得られた重合体(Aa)につき、19F−NMRにより分析した結果、各単量体の質量組成比はVDF/HFP=84/16であった。
容量7Lのセパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した後、上記で得られた重合体(Aa)の微粒子を含有する水系分散体1,600g(重合体(Aa)換算で640g)、この水系分散体に含まれる重合体(Aa)100質量部に対して、乳化剤「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製)2質量部、メタクリル酸メチル(MMA)120質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)160質量部及びメタクリル酸(MAA)20質量部ならびに水250質量部を順次仕込み、70℃に昇温した後、油溶性重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル2質量部を含有するテトラヒ
ドロフラン溶液20mLを添加し、75℃に昇温して3時間反応を行い、さらに85℃で2時間反応を行った。その後、冷却した後に反応を停止し、10%アンモニア水溶液でpHを8に調節することにより、重合体粒子(A)を40%含有する水系分散体を得た。
<THF不溶分及びDSC測定>
得られた水系分散体の約10gを直径8cmのテフロン(登録商標)シャーレへ秤り取り、120℃で1時間乾燥して成膜した。得られた膜(重合体)のうちの1gをテトラヒドロフラン(THF)400mL中に浸漬して50℃で3時間振とうした。次いで、THF相を300メッシュの金網で濾過して不溶分を分離した後、溶解分のTHFを蒸発除去して得た残存物の重量(Y(g))を測定した値から、下記式(6)によってTHF不溶分を求めたところ、上記重合体粒子(A)のTHF不溶分は85%であった。
THF不溶分(%)=((1−Y)/1)×100 ・・・・・(6)
さらに、得られた重合体粒子(A)について示差走査熱量計(DSC)によって測定したところ、吸熱ピークが−12℃と90℃にそれぞれ観測された。
<平均粒子径測定>
得られた水系分散体について、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製、型式「FPAR−1000」)を用いて粒度分布を測定し、その粒度分布から最頻粒径を求めたところ、平均粒子径(Da)は330nmであった。
3.1.2.塗料の調製
上記で得られた重合体粒子(A)を含有する水系分散体1,000gに、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを1%含有する水懸濁液を24g仕込み、300rpmで撹拌した。次いで、遮熱粒子(B)として酸化チタン(チタン工業株式会社製、商品名「KR380」、ルチル型、平均粒子径0.38μm)を重合体粒子(A)100質量部に対して38質量部となるように添加し、さらに増粘剤(株式会社ダイセル製、商品名「CMC1120」)を全固形分に対して1質量%となるように添加し、T.K.フィルミックス(R)56−50型(プライミクス株式会社製)を用いて混合分散処理することにより塗料を調製した。
なお、塗料中のイソチアゾリン系化合物の含有割合は、以下の手順で塗料を分析することにより確認することもできる。すなわち、得られた塗料を2.0g秤量し、硫酸アルミニウム水溶液を加えて凝集させる。次に凝集させた重合体成分をろ過し、高速液体クロマトグラフィー装置(カラム:Waters社製、μBondasphere 5μ C18−100Å(内径:3.9mm、長さ:150mm)、移動相:蒸留水を用いて調製した0.01M酢酸アンモニウム2Lにトリフルオロ酢酸を加え、pHを4.0に調整後、高速液体クロマトグラフィー用アセトニトリル500mLを加え混合したもの、流量:0.6mL/分)を使用して定量した結果、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの含有割合は、重合体粒子(A)100質量部に対して0.06質量部であることが確認できた。
3.1.3.評価方法
3.1.3.1.塗料の評価
<腐敗性試験>
上記で調製した塗料100gに、菌液5gを加え、35℃で2週間保存し、その後さらに菌液5gを添加し、35℃で2ヶ月間保存した。この塗料の菌数を市販の「イージーカルト(EASICULT)TTC」(Orion Diagnostica社製:フィンランド)を用い、28℃で48時間恒温器内で培養した後、発生した菌のコロニーの密度を対照表と比較して求めた。なお、上記で作製した重合体粒子(A)を40%含有する水系分散体へ、指標菌としてcomamonas acidovoransを添加して腐敗
させ、菌数が10個/mlとなった水系分散体を菌液として使用した。
ここで、貯蔵安定性に優れた塗料は菌数が少ない。菌数は0個/mlであることが望ましいが、塗膜を製造する場合には、菌数が10個/mlまでならば許容でき、菌数が10個/ml未満であればさらに安定して良好な塗膜を製造することができる。しかしながら、菌数が10個/mlより大きくなると、菌によって発生する異物が多くなり、均質な塗膜の製造が不可能となり、塗膜の生産性が低下する。このことから、菌数の閾値として10個/mlまでが良好な範囲であると考えられる。そこで、評価基準を以下の通りとした。また、その評価結果を表1に併せて示した。
◎:菌数が10個/ml未満
○:菌数が10個/ml以上10個/ml未満
×:菌数が10個/ml以上
3.1.3.2.塗膜の評価
<塗膜の作製>
予め水性エポキシ下塗り材を塗布し120℃で焼成しておいた硬質アルミ基材上に、上記で得られた塗料をギャップ値(ウェット膜厚)200μmのアプリケーターを用いて塗布し、常温(25℃)下で1週間放置することにより塗膜を形成した。以下、このようにして得られた硬質アルミ基材上に塗膜が形成された塗装体のことを「遮熱塗装板」ともいう。
<塗膜の表面粗さRaの測定>
まず、上記で得られた遮熱塗装板の塗膜の任意の部位について、JIS B0601:2001に従い、表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ製、「SURFTEST」)を用いて表面粗さRa(μm)を測定した。その測定結果を表1に併せて示した。
<塗膜の密度測定>
JIS K5600−5−11:1999に従い、上記で得られた遮熱塗装板の塗膜の密度を測定した。その測定結果を表1に併せて示した。
<塗膜の初期光沢>
上記で得られた遮熱塗装板の塗膜の60°光沢度を、村上色彩技術研究所製「精密光沢計GM−26プロ」を用いて測定した。塗膜に光沢性が要求される場合、初期光沢は大きい方がより好ましいが、65以上であれば良好と判断できる。初期光沢の値を表1に併せて示した。
<耐候性評価>
上記で得られた遮熱塗装板の塗膜に対してメタルウェザー(ダイプラ・ウィンテス製)により促進耐候性試験500hrを行い、塗膜の60°光沢を測定し光沢保持率(試験後の光沢/試験前の光沢;%)を算出した。試験条件は、メタルハライドランプ光源を用いてKF−1フィルターで295〜780nmの光を照射し、照射(63℃50%RH下で75mW/cm)4hrと暗黒(30℃98%RH)4hrのサイクル条件とした。なお、耐候性については以下の評価基準に基づいて判断することができる。光沢保持率の結果を表1に併せて示した。
・光沢保持率が80%以上のとき、耐候性は非常に良好。
・光沢保持率が60%以上80%未満のとき、耐候性は良好。
・光沢保持率が60%未満のとき、耐候性は不良。
<耐水性評価>
上記で得られた遮熱塗装板を50℃温水中に24時間浸漬した後の塗膜の膨れ具合を目
視にて観察し、塗膜の耐水性を評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に併せて示した。
・塗膜の膨れが認められない場合には、耐水性は非常に良好であると判断して「◎」
・塗膜の膨れは認められるがごく僅かである場合には、耐水性は良好であると判断して「○」
・塗膜の膨れが大幅に求められる場合には、耐水性は不良であると判断して「×」
また、上述の目視観察後の塗膜の60°光沢を初期光沢と同様の方法で測定し、光沢保持率(試験後の光沢/試験前の光沢;%)を算出した。なお、耐水性については以下の評価基準に基づいて判断することができる。光沢保持率の結果を表1に併せて示した。
・光沢保持率が80%以上のとき、光沢保持率は非常に良好。
・光沢保持率が60%以上80%未満のとき、光沢保持率は良好。
・光沢保持率が60%未満のとき、光沢保持率は不良。
<密着性評価>
上記で得られた遮熱塗装板の塗膜をカッターで1mm角にクロスカット(5×5の25マス)し、ニチバン製セロテープ(登録商標)を用いた密着試験を行って下記基準で評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に示した。
・塗膜の剥離が無い場合には、密着性は非常に良好であると判断して「◎」
・塗膜の剥離が半数未満の場合には、密着性は良好であると判断して「○」
・塗膜の剥離が半数以上の場合には、密着性は不良であると判断して「×」
<引張伸び評価>
塗布基材の屈曲や、温度変化による伸縮に、塗膜が破断することなくどれだけ追随することができるかの指標の一つとして、引張伸びを評価した。引張伸びが大きいほど、基材追随性がより向上すると判断できる。このような引張伸び特性を、下記の方法により評価した。
上記で得られた塗料を膜厚が0.2〜0.4mmになるようにテフロン(登録商標)シート上に塗布し、常温(25℃)で1週間放置することにより形成した塗膜を7号ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。この試験片について、オートグラフ(株式会社島津製作所製、AG−X型)を用いて50mm/minの引張り速度で、JIS A6909に準じて引張り伸びを測定した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に示す。
・引張り伸び率が150%以上であれば、引張り伸び性が非常に良好と判断して「◎」
・引張り伸び率が30%以上150%未満であれば、引張り伸び性が良好と判断して「○」
・引張り伸び率が30%未満であれば、引張り伸び性が不良と判断して「×」
<耐汚染性の評価>
上記で得られた遮熱塗装板の塗膜の表面に、Black FLTR Conc(大日精化工業株式会社製、カーボンブラック水分散液)を均一に塗布し、すぐに30℃オーブンにて30分間乾燥した。その後水洗浄を行い、水分を乾燥により除去した後、目視で汚れの落ち具合を観察し、以下の3段階で評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に示した。
・塗膜の汚染が完全に除去できた場合、耐汚染性は非常に良好であると判断して「◎」
・塗膜の汚染が若干残留する場合、耐汚染性は良好であると判断して「○」
・塗膜の汚染が残留する場合、耐汚染性は不良であると判断して「×」
<遮熱性試験>
上記で得られた遮熱塗装板を白熱灯によって加熱し、最高到達温度を測定した。白熱灯は岩崎電気株式会社製のアイランプ200Wを使用し、印加電圧を85Vとして点灯させて、約300mmの距離から遮熱塗装板の表面(上塗り塗膜側)に光を照射した。遮熱塗装板の裏面側には発泡スチロールを配置して断熱した。そして、約15分間加熱した後の遮熱塗装板の到達温度(飽和した最高温度)を計測した。温度の上昇結果により、以下の3段階で評価した。なお、評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に示した。
・到達温度が60℃未満であれば、遮熱性が非常に良好と判断して「◎」
・到達温度が60℃以上80℃未満であれば、遮熱性が良好と判断して「○」
・到達温度が80℃以上であれば、遮熱性が不良と判断して「×」
<温度上昇試験>
上記で得られた遮熱塗装板及びそのリファレンスとした塗装板を2013年8月1日〜8月5日まで、四日市市川尻町に載置し、塗膜面を5日間太陽光暴露し、遮熱効果を測定した。リファレンスとした塗装板は、表1〜表3に記載の組成から遮熱粒子(B)を除いた組成の塗料をそれぞれ調製し、その塗料を用いて上記の遮熱塗装板と同様にして作製した塗装板を用いた。遮熱塗装板及びリファレンスとした塗装板の各々の塗膜表面温度を測定し、遮熱塗装板の表面温度T1(℃)、リファレンスとした塗装板の表面温度T2(℃)を1分間隔で測定し、T2−T1を算出した。この期間における最大温度差ΔTを表1に併せて示す。
<長期貯蔵後の評価>
上記で得られた塗料をポリビンに1000g充填し、25℃に設定した冷蔵庫で5ヶ月貯蔵した。この貯蔵後の塗料を使用した以外は、上記の塗膜の初期光沢、耐候性評価、耐水性評価、密着性評価、引張伸び評価、耐汚染性の評価、遮熱性試験と同様にして評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
3.2.実施例2〜23、比較例1及び3
上記実施例1の「3.1.1.重合体粒子(A)の作製」において、単量体の組成と乳化剤量を適宜に変更したほかは実施例1と同様にして、表1〜表3に示す組成の重合体粒子(A)を含有する水系分散体を調製し、該水系分散体の固形分濃度に応じて水を減圧除去又は追加することにより、固形分濃度40%の水系分散体を得た。
次いで、上記実施例1の「3.1.2.塗料の調製」において、重合体粒子(A)、遮熱粒子(B)及びイソチアゾリン系化合物を表1〜表3に記載の種類、含有割合とした以外は、実施例1と同様にして塗料を調製した。なお、イソチアゾリン系化合物が水不溶性の場合、超音波により水溶液に分散させた状態の分散液を添加して塗料の調製を行った。その後、成膜温度を表1〜表3に記載の温度とした以外は、上記実施例1の「3.1.3.評価方法」と同様にして評価した。その結果を表1〜表3に併せて示した。
なお、表中に記載の成膜温度が30℃未満の場合にはその温度で1週間放置することにより成膜を行い、表中に記載の成膜温度が30℃を超える場合にはその成膜温度で3時間加熱した後、常温(25℃)下で1週間放置することにより成膜を行った。以下の実施例及び比較例についても同様である。
3.3.実施例24
容量7リットルのセパラブルフラスコに、水150質量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を仕込み、セパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した。一方、別の容器に、水60質量部、乳化剤としてエーテルサルフェート型乳化剤(商品名「アデカリアソープSR1025」、株式会社ADEKA製)を固形分換算で0.8質量部ならびに単量体として2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(TFEMA
)20質量部、アクリロニトリル(AN)10質量部、メチルメタクリレート(MMA)25質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)40質量部及びアクリル酸(AA)5質量部を加え、十分に攪拌して上記単量体の混合物を含有する単量体乳化液を調製した。その後、上記セパラブルフラスコの内部の昇温を開始し、当該セパラブルフラスコの内部の温度が60℃に到達した時点で、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5質量部を加えた。そして、セパラブルフラスコの内部の温度が70℃に到達した時点で、上記で調製した単量体乳化液の添加を開始し、セパラブルフラスコの内部の温度を70℃に維持したまま単量体乳化液を3時間かけてゆっくりと添加した。その後、セパラブルフラスコの内部の温度を85℃に昇温し、この温度を3時間維持して重合反応を行った。3時間後、セパラブルフラスコを冷却して反応を停止した後、アンモニウム水を加えてpHを7.6に調整することにより、重合体粒子(A)を30%含有する水系分散体を得た。
このようにして得られた重合体粒子(A)の水系分散体を使用し、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを重合体粒子(A)100質量部に対して0.11質量部添加し、遮熱粒子(B)として酸化チタン(東邦チタニウム株式会社製、商品名「HT0100」、平均粒子径1.2μm)を重合体粒子(A)100質量部に対して48質量部となるように添加した以外は、上記実施例1と同様にして塗料を調製した。また、成膜温度を表2に記載の温度とした以外は、上記実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に併せて示した。
3.4.実施例25、26
各単量体の種類及び仕込み量(質量部)をそれぞれ表2に記載の通りとした以外は上記実施例24と同様にして、重合体粒子(A)を30%含有する水系分散体をそれぞれ得た。このようにして得られた水系分散体を使用し、遮熱粒子(B)及びイソチアゾリン系化合物を表2に記載の種類及び含有割合とした以外は、上記実施例1と同様にして塗料を調製した。また、成膜温度を表2に記載の温度とした以外は、上記実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に併せて示した。
3.5.実施例27
攪拌機を有する内容積2リットルのステンレス製反応器に、ビニルトリメトキシシラン249質量部、イオン交換水600質量部、炭酸ナトリウム10水和物を1質量部、ニューコール504(日本乳化剤株式会社製、ノニオン系乳化剤)13質量部を仕込んだ。内部を窒素ガスで置換して加圧脱気を3回行い、溶存空気を除去した後、フッ化ビニリデン(VDF)65モル%、四フッ化エチレン(TFE)25モル%、六フッ化プロピレン(HFP)10モル%の混合組成を有する混合ガスを導入し、80℃に昇温した。内圧は2.5MPaであった。その後、過硫酸アンモニウム3質量部をイオン交換水150質量部に溶解して反応容器内に圧入し、重合反応を開始させた。開始後は内圧2.5MPaとなるようにVDF/TFE/HFP=65/25/10(モル%)の混合ガスを追加添加した。12hrの反応後、反応容器を冷却し反応を終了し、含フッ素系重合体粒子を得た。得られた含フッ素系重合体粒子を含有する分散液の固形分濃度は48%であり、水を加えて固形分濃度40%とした。
メタクリル酸メチル20質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル35質量部、アクリル酸5質量部、ジアセトンアクリルアミド5質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5質量部、メタクリル酸シクロヘキシル30質量部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム1質量部及び水50質量部を乳化混合した単量体分散液を準備した。容量7リットルのセパラブルフラスコの内部を窒素雰囲気にして、先に製造した含フッ素系重合体粒子を含有する分散液325質量部(固形分濃度40%)と、過硫酸ナトリウム0.3質量部とを混合し、75℃まで昇温させた。その後、上述の単量体分散液を3時間かけて連続的に添加した後、反応液をさらに85℃〜95℃で2時間維持した後、25℃まで冷却すること
により重合体粒子(A)を40%含有する水系分散体を得た。
このようにして得られた重合体粒子(A)の水系分散体を使用し、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを重合体粒子(A)100質量部に対して0.08質量部添加し、遮熱粒子(B)として後述のように調製したシリカ/酸化チタン混合粉末を重合体粒子(A)100質量部に対して15質量部となるように添加した以外は、上記実施例1と同様にして塗料を調製した。また、成膜温度を表2に記載の温度とした以外は、上記実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に併せて示した。
3.6.実施例28〜39、比較例2及び4
各単量体の種類及び仕込み量(質量部)をそれぞれ表2〜表3に記載の通りとした以外は上記実施例27と同様にして、重合体粒子(A)を含有する水系分散体をそれぞれ得た。このようにして得られた水系分散体を使用し、遮熱粒子(B)及びイソチアゾリン系化合物を表2〜表3に記載の種類及び含有割合とした以外は、上記実施例1と同様にして塗料を調製した。また、成膜温度を表2〜表3に記載の温度とした以外は、上記実施例1と同様にして評価した。その結果を表2〜表3に併せて示した。
3.7.評価結果
各塗料の組成及び各評価試験の結果を下表1〜下表3に併せて示す。なお、表1〜表3における「−」の表記は、該当する成分を使用しなかったか、あるいは該当する操作を行わなかったことを示す。
Figure 2015116524
Figure 2015116524
Figure 2015116524
表1〜表3における各成分の略称は、それぞれ以下の化合物を意味する。
<単量体>
・VDF:フッ化ビニリデン
・TFE:四フッ化エチレン
・HFP:六フッ化プロピレン
・TFEMA:メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル
・TFEA:アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル
・HFIPA:アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル
・MMA:メタクリル酸メチル
・EA :アクリル酸エチル
・EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
・LA :アクリル酸ラウリル
・CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
・HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・BA :アクリル酸ブチル
・EGDMA:ジメタクリル酸エチレングリコール
・MAPS:γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
・TMPTMA:トリメタクリル酸トリメチロールプロパン
・AA :アクリル酸
・MAA:メタクリル酸
・AN :アクリロニトリル
・DVB:ジビニルベンゼン
・ST :スチレン
・DAAM:ジアセトンアクリルアミド
<遮熱粒子>
・酸化チタン:製品名「KR380」(チタン工業株式会社製、ルチル型、平均粒子径0.38μm)をそのまま使用に供するか、または製品名「KR380」をめのう乳鉢で粉砕し、ふるいを用いて分級することにより、平均粒子径が0.12μmである酸化チタンを調製して使用に供した。また、製品名「HT0100」(東邦チタニウム株式会社製)をふるいを用いて分級することにより、平均粒子径1.2μm、6μm及び9μmの酸化チタンをそれぞれ調製して使用に供した。平均粒子径0.05μmの酸化チタンは製品名「MT−700HD」(テイカ株式会社製、微粒子チタン)を使用した。
・酸化アルミニウム:製品名「AKP‐3000」(住友化学株式会社製、平均粒子径0.74μm)、または製品名「AKP‐50」(住友化学株式会社製、平均粒子径0.22μm)を使用に供した。
・酸化マグネシウム:製品名「PUREMAG(R) FNM−G」(タテホ化学工業株式会社製、平均粒子径0.5μm)
・酸化アルミニウム/酸化チタン:酸化アルミニウムとして製品名「AKP−3000」(住友化学株式会社製、平均粒子径0.74μm)を50質量部と、酸化チタンとして製品名「KR380」(チタン工業株式会社製、ルチル型、平均粒子径0.38μm)を50質量部と、を混合し、めのう乳鉢で粉砕し、ふるいを用いて分級することにより、平均粒子径がそれぞれ0.22μm、0.5μmである酸化アルミニウム/酸化チタン混合物を調製して使用に供した。
・シリカ/酸化チタン:シリカとして製品名「シーホスター(R) KE−S100」(株式会社日本触媒製、平均粒子径0.98μm)50質量部と、酸化チタンとして製品名「KR380」(チタン工業株式会社製、ルチル型、平均粒子径0.38μm)50質量部と、を混合し、めのう乳鉢で粉砕し、ふるいを用いて分級することにより、平均粒子径が0.5μmであるシリカ/酸化チタン混合物を調製して使用に供した。
・酸化ジルコニウム/酸化チタン:酸化ジルコニウムとして製品名「UEP酸化ジルコニウム」(第一希元素化学工業株式会社製、平均粒子径0.67μm)を50質量部と、酸化チタンとして製品名「KR380」(チタン工業株式会社製、ルチル型、平均粒子径0.38μm)を50質量部と、を混合し、めのう乳鉢で粉砕し、ふるいを用いて分級する
ことにより、平均粒子径が0.2μmである酸化ジルコニウム/酸化チタン混合物を調製して使用に供した。
・赤色系遮熱顔料:Fastogen Super Magent RH(大日本インキ化学社製)を前述の分級方法を用いて、平均粒子径0.45μmとした。
・青色系遮熱顔料:Fastogen Blue 5485(大日本インキ化学社製)を前述の分級方法を用いて、平均粒子径0.35μmとした。
上記の遮熱粒子の平均粒子径(Db)は、レーザー回折法を測定原理とする粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、型式「HORIBA LA−300シリーズ」)を用いて測定したものである。
本発明に係る温度制御方法(実施例1〜39)によれば、塗膜表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に制御することができ、良好な結果を示すことが明らかとなった。これに対して、比較例1〜4の温度制御方法では、塗膜表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に制御することができなかった。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。
10・・・基材、20・・・塗膜、100・・・塗装体

Claims (11)

  1. 基材と、前記基材の表面に形成された、重合体(A)及び遮熱粒子(B)を含有する塗膜と、を備える塗装体を用いた温度制御方法であって、
    前記塗膜の厚さが5〜60μmであり、かつ、前記塗膜の表面粗さRaが0.5μm以下である、塗膜表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に制御する方法。
  2. 前記重合体(A)が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)と、を有する含フッ素系重合体である、請求項1に記載の方法。
  3. 基材と、前記基材の表面に、重合体粒子(A)、遮熱粒子(B)及び液状媒体(C)を含有する塗料を塗布して5〜100℃で乾燥させて形成された塗膜と、を備える塗装体を用いた温度制御方法であって、
    前記塗膜の厚さが5〜60μmであり、かつ、前記塗膜の表面粗さRaが0.5μm以下である、塗膜表面へ太陽光暴露した際の表面温度上昇を15℃未満に制御する方法。
  4. 前記重合体粒子(A)が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位(Ma)と、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Mb)と、を有する含フッ素系重合体粒子である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記塗料において、前記重合体粒子(A)の平均粒子径(Da)と前記遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)との比(Da/Db)が0.02〜2の範囲にある、請求項3または請求項4に記載の方法。
  6. 前記重合体粒子(A)の平均粒子径(Da)が0.05〜0.4μmである、請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記塗料において、前記重合体粒子(A)100質量部に対して、前記遮熱粒子(B)を5〜200質量部含有する、請求項3ないし請求項6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記遮熱粒子(B)の平均粒子径(Db)が0.2〜1.5μmである、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記塗膜の密度が1.3〜2.3gr/cmである、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記遮熱粒子(B)として酸化チタンを含有する、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記塗膜の引張伸び率が30%以上である、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の方法。
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