JP2001064146A - シート状パック料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】人体各部位の皮膚状態を改善することができ、
感触、安全性、安定性、意匠性、利便性に優れるシート
状パック料を提供する。 【解決手段】水溶性高分子と、系中に粉末状に分散して
いる粉体成分とからなるパック料組成物が、シート状に
形成されていることを特徴とするシート状パック料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、人体各部位の皮膚
状態を改善することができ、感触、安全性、安定性、意
匠性、利便性に優れるシート状パック料に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、皮膚の乾燥を防ぎ、肌に潤いを与
えるために、グリセリン、プロピレングリコール等の保
湿剤を配合したクリーム、乳液等の化粧料を肌に塗布す
るのが一般的であった。しかしながら、上記化粧料は汗
等で流れ落ちたり、塗布量が多いとベトツキがあり、皮
膚の局部を集中的にケアすることは難しく、使用上にお
いて必ずしも簡便なものではなかった。また、皮膚に塗
布したのち乾燥させて剥離するピールオフタイプのパッ
ク料もあるが、皮膚に充分な潤いとハリを与えるもので
はなかった。また、スクラブ剤等の粉末を配合したクリ
ーム、洗い流しタイプのパック料もあるが、使用時に目
に粉末が恐れがあり、安全上から粉末の選定には注意を
要する。さらに、ポリオレフィン繊維等の不織布に、薬
効成分等を配合したパック料が担持され、使用上簡便な
シート状パック料も提案されているが、薬効成分等がパ
ック料中に溶解しているため、視覚的に薬効成分等の存
在が目でみえず、視覚的な意匠面で不満足であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、人体各部位
の皮膚状態を改善することができ、感触、安全性、安定
性、意匠性、利便性に優れるシート状パック料を提供す
ることを目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、次の手段によって上記目的を達成することが
できた。すなわち、本発明は、水溶性高分子と、系中に
粉末状に分散している粉体成分とからなるパック料組成
物が、シート状に形成されていることを特徴とするシー
ト状パック料にある。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明で用いる水溶性高分子化合
物とは、ポリアクリル酸又はその塩（ナトリウム塩、カ
リウム塩、アミン塩、アンモニウム塩等）、ポリメタク
リル酸又はその塩（ナトリウム塩、カリウム、アミン
塩、アンモニウム塩塩等）、ポリアクリルアミド、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシ
メチルセルローズ、カラギーナン、キサンタンガム、プ
ルラン、寒天、ゼラチン、グルコマンナン、アルギン酸
ナトリウム、アルギン酸カリウム、アラビアゴム、キト
サン塩等の水溶性の合成高分子化合物又は天然高分子化
合物、或は上記水溶性の高分子化合物の成分の共重合体
で、何れもパック組成物をゲル状態にするものである。
これら水溶性高分子化合物は一種又は二種以上をパック
組成物中に２〜９８重量％の範囲で配合することが好ま
しい。

【０００６】本発明で用いられる粉体成分の一種として
は、動植物由来物質の粉砕物であり、例えば、動植物由
来物質を洗浄、乾燥後粉砕、若しくは凍結乾燥後粉砕し
たもの、或は抽出乾燥粉末で、その動植物由来物質と
は、例えば、テングサ、スセンダマス等の紅色、褐色及
び緑色の紅藻類、藍藻類、緑藻類、褐藻類に属する昆布
属、ヒバマ タ属の海藻類、アロエ、アマチャ、アン
ズ、イラクサ、ウーロン茶、エイジツ、延命草、オウゴ
ン、ガイヨウ、柿の葉、カシ、カバノキ、甘草、クルミ
殻、クチナシ、クワ、ゲンノショウコ、小麦胚芽、紅
茶、高麗人参、コーヒー、米糠、サクランボの種、サル
ビア、桜の葉、サンショウ、シソ、シャクヤク、ショウ
ブの葉、ショウブの根、センブリ、大根の葉、茶、茶の
実、中国茶、チンピ、月見草、トウガラシ、トウヒ、ニ
ンジン、ビワ、ヒマワリ、ブクリョウ、ひのき、マロニ
エ、桃核、桃の葉、ヨクニイン、レモン、ローズマリ
ー、ワレモコウ等の植物由来物質、または牡蠣、蟹、貝
殻、シルク、コラーゲン等の動物由来物質であり、これ
らを乾燥させたものまたは乾燥し粉砕したもの、または
凍結乾燥し、粉砕したものなどである。あるいは、これ
らの動植物由来物質を水、エタノール、プロピレングリ
コール、１，３−ブチレングリコール、希硫酸水、苛性
ソーダ水等の親水性溶媒、オリーブ油、スクワラン、大
豆油、流動パラフィン、パーシック油、パルミチン酸イ
ソプロピル、ヒマワリ油等の親油性溶媒で抽出した抽出
液を凍結乾燥及び熱乾燥、または適当なバインダーを用
いて粉末化した抽出物である。

【０００７】さらに、他の粉体成分としては、各種薬効
成分、香料、油剤の一種または二種以上を内包するカプ
セルであり、内包する薬効成分として、アルコルビン酸
その誘導体、アルブチン、エラグ酸、胎盤抽出物、コウ
ジ酸その誘導体、ハイドロキノン誘導体等の美白剤、ト
コフェロール（ビタミンＥ）その誘導体、ショウガエキ
ス、ニコチン酸アミド、ニンジンエキス等の血行促進
剤、シャクヤクエキス、ハマメリスエキス、スルホ石炭
酸亜鉛、アルミニウムヒドロキシクロライド等の皮脂分
泌抑制剤、シルク抽出液、トコフェロールその誘導体、
γ−アミノ酪酸、ジイソプロピルジクロロアセテート等
の美肌剤等である。香料としては、メントール、カンフ
ァ、天然香料、合成香料等である。油剤としては、ホホ
バ油、ミンク油、月見草油、イソノナン酸イソトリデシ
ル、スクワラン等が挙げられる。上記カプセルのカプセ
ル化剤としては、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポ
リアクリル酸、ポリメタクル酸、アラビアゴム、ポリビ
ニルエーテル、寒天、カラギーナン等の高分子化合物の
一種または二種以上であり、カプセルは薬効成分等を内
包される通常の方法でもって製造される。特に、オリー
ブ油、大豆油等の親油性溶媒で抽出した親油性成分や油
剤をゼラチンカプセルで被覆したものが好適である。

【０００８】本発明における粉体成分としては、上記の
動植物粉砕物、親水性溶媒または親油性溶媒で抽出した
動植物由来物質の抽出物、薬効成分、香料、油剤を内包
するカプセルが、人体や皮膚へ何らかの効能作用が有す
るものが好ましいく、これらの粉体成分は、粉体成分を
除くパック組成物の色と異なる色の粉体成分を選ぶか、
着色処理したものを選ぶことが好ましい。その他の粉体
成分としては、クレイ、海泥、樹脂粉末等の着色粉体成
分が使用できるが、上記粉体成分は、メッシュを用いて
分級した一定の粒度を有する粉体が好ましい。特に視覚
的に配合されていることがわかり、製造工程で破壊され
ず、系中に溶解せず、変質もせず安定に存在し、また粉
体成分によって皮膚に適度な刺激感があるためには、平
均粒子径が０．０５ｍｍから３ｍｍの顆粒状態のものが
望ましい。粉体成分の形状としては、特に制限が制限が
ない。

【０００９】本発明では、上記粉体成分の一種または二
種以上が、パック組成物中に分散して存在するが、製造
時または経日で系中に溶解ぜず、分散して存在するため
には、パック組成物を製造するときの粉体成分の添加時
期や系の粘度が重要であり、例えば、前記水溶性高分子
等による粘性によって、最終パック組成物の粘度が、好
ましくは５万ｃｐｓ以上のゲル状の系であって、添加時
期としては、パック組成物の製造の最終工程で、粉体成
分を添加し、攪拌混合して均一に分散することが好まし
い。上記粘度はＢ型回転粘度計を用い、２５℃で測定し
た粘度である。

【００１０】上記粉体成分の配合量としては、粉体成分
の一種または二種以上を、パック組成物中に、０．００
０１〜１０．０重量％の範囲で配合することが好まし
い。

【００１１】本発明では、パック料はシート状に形成さ
れ、各皮膚部位に貼って肌の手入れをした後に剥離する
形態のものである。シート状に形成する方法として、パ
ック組成物をシート基材に担持しシート状にする方法、
またはパック組成物をシート状に延展し、その裏面を架
橋剤や離型剤にて非粘着処理する方法等がある。好まし
くは、使い勝手の上から、シート基材に担持する方法で
あり、シート基材しては、ナイロン、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレ
フィン等の合成繊維、パルプ、絹、綿、麻、レーヨン、
コラーゲン等の天然繊維や再生繊維等からなる織布、不
織布、またはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂の薄肉シ
ート、耐水紙、シルクフィブロインシート、コラーゲン
シート、キトサンシート、アロエシート等である。これ
らシート基材は他の材質のものと複合してあってもよ
く、また透湿のための微細孔を有していてよく、さらに
は親水処理、疎水処理、起毛処理を施したものを用いて
もよい。シート基材の厚みとしては肌への密着性と強度
の点から０．１〜５ｍｍ程度が望ましい。シート基材の
形状としては、四角、矩形、台形、円形、楕円形等であ
る。また本発明では上記シート基材に、切断線を備える
ことが好ましく、切断線は切断線に沿って切り裂き可能
であれば、点状、線状のミシン目、又は押し刃によって
シート基材の表面に線状の凹部を設けたものであっても
よい。この切断線はシート基材にパック組成物を担持さ
せる前にシート基材に形成してもよいが、パック組成物
を担持したシート基材とパック組成物に同時に切断線を
形成することが好ましい。皮膚の局所部位の小さな面積
の所に貼着する際に、切断線に沿って切断することによ
って、シート基材が小さな略三角形、矩形、台形等に分
割可能となる。すなわち、目元、口元等の小さな部位に
は切断分割して貼着してもよく、首、背中等の大きな部
位にそのまま貼着できる。

【００１２】本発明のシート状パック料の製造方法とし
ては、例えば、水溶性高分子化合物と、粉体成分以外の
他の成分と、水とを混合してゲル状のものとし、その中
に粉体成分の一種又は二種以上と混合してゲル状のパッ
ク組成物を製造し、このパック組成物をシート基材の上
に一定の厚みになるように塗工し、次いで一定の形状に
切断して製品とするが、特に塗工方法等については上記
製造方法のみに限定されるものではない。そして必要に
よっては、パック組成物に含まれる水を揮発させ、ゲル
状態を調節することも可能である。パック組成物の厚み
としては０．１〜５ｍｍ程度が望ましい。また、本発明
では、シート状パック料の一方の面には、シリコーン等
で離型処理された離型紙が積層されていてもよい。離型
紙の材質としては、前記シート基材と同様のものに離型
処理されたものが用いられ、その形状としてはシート基
材と同一形状のものやシート基材より大きい形状のもの
が用いられ、離型紙にも切断線が形成されていることが
好ましい。得られたシート状パック料は、パック組成物
が乾燥しないように、アルミニウム等を積層した袋に密
閉保存される。

【００１３】上記パック組成物には、アルコール等の溶
媒；水不溶性ポリマーからなる接着性付与剤；グリセリ
ン、ポリグリセリン、１，３−ブチレングリコール、プ
ロピレングリコール、糖類等の保湿剤；塩類；キレート
剤；中和剤；防腐剤；顔料；色素等を本発明の効果を損
なわない範囲で適宜配合することができる。

【００１４】本発明のシート状パック料は、特に老化が
気になりだした３０代〜４０代の人の首筋、目元、口元
等にシートをそのまの形、又は切断した形で貼着し、５
分〜２４時間放置してからシートを剥離することによっ
て、肌がトリートメントされる効果が発現される。シー
ト状パック料を皮膚に貼着する前に、皮膚を洗浄料やク
レンジング料で洗浄した後に、シート状パック料を貼着
することが好ましく、シート状パック料を剥離した後
は、その部位に基礎化粧料等を塗布すると更に効果が増
強される。

【００１５】これらの方法で得られたシート状パック料
は、保湿作用等の皮膚機能亢進、血行促進、抗酸化作用
を有し、美肌、整肌効果、皮膚乾燥防止作用、保護作用
を得ることができる。

【００１６】

【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明をさ
らに詳細に説明する。尚、本発明で用いた官能評価方法
は次の通りである。

【００１７】官能評価方法 ３０代〜４０代の女性パネラー１０名が、シート状パッ
ク料を毎日就寝前に片方の頬に貼着し、起床後剥離する
方法で、１週間使用して、貼着しなかった方の頬と比較
し、「肌が整った」と回答した人数でもって評価した。
また、「製品の使用時の感触が優れる」、「製品の意匠
性に優れる」と回答した人数で製品の評価も行った。

【００１８】実施例１〜２、比較例１〜２ 図１の形状の本発明のシート状パック料を作成した。図
１において、１は連続気泡を有する肌色に着色されたポ
リエステル系ウレタンシートからなる、厚み１ｍｍ、最
大縦寸法８０ｍｍ、最大横寸法１１０ｍｍの略蝶々型の
シート基材であり、２は該シート基材（１）の縦横の中
心線上を横切るように形成された点線状の切断用の切断
線であり、３はシート基剤（１）に厚み１ｍｍで塗工さ
れた下記表１の組成からなるパック組成物であり（図１
では、シート基材の裏側に、シート基材と同形状に塗工
されている）、４は厚みが０．２ｍｍのシリコーン処理
白色ポリエステルシートからなる離型紙である。尚、本
発明のシート状パック料は図１の形状に限定されるもの
ではない。

【００１９】 （表１） 配合成分（重量％） 実施例１ 実施例２ 比較例１ 比較例２ --------------------------------------------------------------- ゼラチン ２ ２ ２ ２ ポリビニルアルコール １ １ １ １ カルボキシメチルセルロース １ １ １ １ ナトリウム ポリアクリル酸ナトリウム ５ ５ ５ ５ グリセリン ２５ ２５ ２５ ２５ １，３−ＢＧ ５ ５ ５ ５ 酸化チタン １ １ １ １ ポリオキシエチレン ０．１ ０．１ ０．１ ０．１ 硬化ひまし油 凍結粉砕海藻（褐藻）粉末 ２．０ ２．０ − − （１２〜３２メッシュ） ショウブ根エキス乾燥粉末 ０．２ ０．２ − − （黄色粉末、０．０５ｍｍ〜１ｍｍΦ） ビタミンＥゼラチンカプセル ０．１ − − − （ビタミンＥ７０％含有、青色着色、０．１ｍｍ〜０．５ｍｍΦ） シルク抽出液ゼラチンカプセル − ２．０ − − （シルク抽出物７０％含有、青色着色、０．１ｍｍ〜０．８ｍｍΦ） ビタミンＥ − − − ０．１ カオリン ３ ３ ３ ３ 精製水 残量 残量 残量 残量

【００２０】表１の配合成分のゼラチンを精製水１０ｇ
に溶解し、またポリビニルアルコールを精製水１０ｇに
溶解して、各々を加温下において攪拌混合し、次いでポ
リアクリル酸ナトリウムをグリセリン、１，３−ＢＧと
混合したものに、酸化チタン、ポリオキシエチレン硬化
ひまし油、カオリンの成分を加えて攪拌混合してゲル状
パック組成物を得た。次いで、海藻粉末、カプセル等の
粉体成分を加え攪拌混合して調製したパック組成物を、
前記シート基材に延展し、このパック組成物の露出面に
離型紙を貼付した後、図１に示される形状に型抜きする
と同時に点線状の切断線の加工も行って実施例１のシー
ト状パック料を得た。海藻粉末の添加時期として、ポリ
アクリル酸ナトリウム、グリセリン、１，３−ＢＧと一
緒に添加する以外は、実施例１と同様にして、実施例２
のシート状パック料を得た。また、同様にして、表１の
組成で比較例１〜２のシート状パック料を得た。実施例
１、２のパック組成物の粘度（２５℃）は、１０万〜１
５万ｃｐｓであった。

【００２１】上記の実施例１〜２及び比較例１〜２のシ
ート状パック料を縦横の切断線に沿って４分割し、離型
紙を除いたものを用い、頬に貼着して前記官能評価試験
を実施して、表２の結果を得た。尚、保存安定性とし
て、４０℃で空気中に１ケ月保存した時のシート状パッ
ク料の色調等の外観の変化を観察し、変化なしを○と
し、やや変化有りを△とし、変化有りを×とした。

【００２２】 （表２） 肌が整った 保存安定性 製品使用時の感触 製品の意匠性 実施例１ ９ ○ １０ １０ 実施例２ ９ △ ９ ９ 比較例１ ４ ○ ５ ４ 比較例２ ６ × ５ ４

【００２３】表２の結果より、実施例１、２のシート状
パック料は各比較例に比べ、使用後に肌が整い、また製
品に凹凸感があり適度の刺激を有し感触が良く、さらに
粉体成分が点在することにより美的意匠性にも優れ、効
能効果を有する印象を受けるとの評価を得た。また、保
存安定性試験で、実施例２は海藻粉末の色が海藻粉末の
周囲に僅かに溶けだしていたが粉体としては残ってい
た。比較例２では、ビタミンＥが変色した。

【００２４】

【発明の効果】上記の如く、本発明のシート状パック料
は、人体各部位の皮膚状態を改善することができ、感
触、安全性、安定性、意匠性、利便性に優れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のシート状パック料を示す平
面図である。

【符号の説明】

１ シート基材 ２ 切断線 ３ パック組成物 ４ 離型紙

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水溶性高分子と、系中に粉末状に分散し
   ている粉体成分とからなるパック料組成物が、シート状
   に形成されていることを特徴とするシート状パック料。
2. 【請求項２】 粉体成分が、下記（ａ）〜（ｃ）から選
   ばれる一種または二種以上である請求項１記載のシート
   状パック料。 （ａ）動植物由来物質の粉砕物 （ｂ）動植物由来物質を親水性溶媒または親油性溶媒で
   抽出した抽出物 （ｃ）薬効成分、香料、油剤の一種または二種以上を内
   包するカプセル
3. 【請求項３】 粉体成分の粒径が平均粒子径が０．０５
   ｍｍ〜３ｍｍである請求項１または請求項２記載のシー
   ト状パック料。