JP2001063228A - 可逆性感熱記録フィルム - Google Patents

可逆性感熱記録フィルム

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JP2001063228A
JP2001063228A JP24355699A JP24355699A JP2001063228A JP 2001063228 A JP2001063228 A JP 2001063228A JP 24355699 A JP24355699 A JP 24355699A JP 24355699 A JP24355699 A JP 24355699A JP 2001063228 A JP2001063228 A JP 2001063228A
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reversible thermosensitive
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sensitive recording
film
reversible heat
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Shinya Takemoto
晋也 竹本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可逆性感熱記録フィルムの可逆性感熱記録媒
体の基材に対する熱接着性を改善し、加熱加圧して接着
する際に可逆性感熱記録材料を変質させずに記録性を低
下させない可逆性感熱記録フィルムとすることである。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートなどの合成
樹脂からなるフィルム基材1の表面に、アルミニウム蒸
着などによる光学的反射面となる反射層2を設け、その
上に光透過性樹脂に可逆性感熱記録材料を配合した可逆
性感熱記録層3を重ねて設け、その上にポリ塩化ビニル
樹脂などの透明な樹脂からなる保護層4を重ね、さらに
フィルム基材の他の裏面にはガラス転移点(Tg)が5
5〜85℃の熱可塑性樹脂からなる熱接着層5を設け、
全層を積層一体化したテープ状の可逆性感熱記録フィル
ムAとする。ガラス転移点を越える程度の比較的低温で
熱接着が可能になり、可逆性感熱記録材料を変質させ
ず、画像を変色させない低温での熱接着が可能な可逆性
感熱記録フィルムになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、可逆性感熱記録
層を有し、温度によって可視画像を表示および消去可能
な可逆性感熱記録フィルムに関し、詳しくは定期券、入
場許可証、各種プリペイドカードなどのカード類やOH
Pシートなどに対して熱接着可能な可逆性感熱記録フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、可視画像を表示または消去する
可逆性感熱記録材料として、樹脂母材に有機低分子化合
物を分散させたもの、または加熱温度の条件や加熱後の
冷却速度によって可逆的に色調が変化するロイコ染料
(ロイコ色素とも呼ばれる。)を分散させたものが知ら
れている。
【0003】例えば、特開昭63−41186号公報に
は、透明度を可逆的に変化させ、透明/白濁のコントラ
ストによって画像を表示する樹脂母材と、この樹脂母材
中に分散された有機低分子から構成される可逆性感熱記
録材料が開示されている。
【0004】また、ロイコ染料を配合した可逆性感熱記
録材料は特開平2−188293号公報等に開示されて
いる。ロイコ染料は、無色または淡色の電子供与性染料
前駆体からなる還元型の色素であり、加熱エネルギーに
より、酸性基の発色作用または塩基性基の消色作用の一
方が優先するので発色と消色の作用がある。
【0005】このような可逆性感熱記録材料は、テトラ
ヒドロフラン(THF)などの有機溶剤に溶かし、これ
を合成樹脂フィルムなどの基材に塗布して乾燥硬化さ
せ、さらにその表面を保護層で被覆し、得られたフィル
ムを可逆性感熱記録媒体の基材表面に重ねて接着一体化
し、可逆性感熱記録媒体を形成する。
【0006】可逆性感熱記録媒体の基材としては、カー
ド状基材が代表的なものであるが、これに可逆性感熱記
録フィルムを接着するには、フィルムの片面に加熱接着
可能な合成樹脂層を設け、これをカード状基材などの表
面に重ね、カード状基材と可逆性感熱記録フィルムの全
体を厚さ方向から加熱加圧して接着するようにしてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の可逆性感熱記録フィルムは、基材に貼着する接着層の
合成樹脂の熱特性を特に限定せず採用されているため、
基材に完全に接着させるために高温で加熱圧着すると、
可逆性感熱記録材料が変質して記録性(リライト特性)
を低下させることがある。
【0008】リライト特性が低下した状態においては、
通常の現像時に白濁する化合物が黄変するなど、現像色
が通常とは異なる変色状態となったり、消去可能な温度
範囲が通常より狭くなる場合がある。
【0009】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決して、可逆性感熱記録フィルムの可逆性感熱記
録媒体の基材に対する熱接着性を改善し、加熱加圧して
接着する際に可逆性感熱記録材料を変質させずに記録性
(リライト特性)を低下させない可逆性感熱記録フィル
ムとすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、可逆性感熱記録層を有する積
層フィルムからなり、前記可逆性感熱記録樹脂層の透明
性または発色性を温度によって可逆的に変化させて可視
画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録フィルムに
おいて、この可逆性感熱記録フィルムの片面にガラス転
移点(Tg)が55〜85℃の熱可塑性樹脂からなる熱
接着層を設けたのである。
【0011】上記したように構成されるこの発明の可逆
性感熱記録フィルムは、熱接着層を形成する熱可塑性樹
脂のガラス転移点(Tg)を55〜85℃に限定したこ
とにより、このようなガラス転移点を越える比較的低温
度で熱接着層が軟質になり、低温接着性が向上する。
【0012】すなわち、この発明の可逆性感熱記録フィ
ルムを可逆性感熱記録媒体の基材に対して加熱加圧して
接着する際には、加熱条件および加圧条件を従来に比べ
て低温低圧に設定できるようになり、可逆性感熱記録材
料を変質させずに記録性(リライト特性)を低下させず
に接着可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明の可逆性感熱記録フィル
ムの実施形態を、以下に添付図面に基づいて説明する。
【0014】図1に示す可逆性感熱記録フィルムAは、
テープ状に形成された可逆性感熱記録フィルムの実施形
態の断面である。可逆性感熱記録フィルムAは、ポリエ
チレンテレフタレートなどの合成樹脂からなるフィルム
基材1の片面(表面)に、アルミニウム蒸着などによる
光学的反射面となる反射層2を設け、その上に光透過性
樹脂に可逆性感熱記録材料を配合した可逆性感熱記録層
3を重ねて設け、その上にポリ塩化ビニル樹脂などの透
明な樹脂からなる保護層4を重ね、さらにフィルム基材
の他の片面(裏面)にはガラス転移点(Tg)が55〜
85℃の熱可塑性樹脂からなる熱接着層5を設け、全層
を積層一体化したテープ状の可逆性感熱記録フィルムで
ある。
【0015】可逆性感熱記録フィルムAのフィルム基材
1は、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂を好
ましくは40μm以下の厚さに形成したものであり、よ
り好ましい厚さは25μm以下である。このような所定
の厚さを越えるフィルム基材を使用すると、ポリ塩化ビ
ニル樹脂層等からなるカード基材に重ねて熱接着した際
に、熱膨張率および熱収縮率の違いによる歪みが発生
し、カードに反り(カール)が生じる。カールしたカー
ド状の可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッドに対して
全面がムラなく接しなくなるので、印字や消去を完全に
行なうことが困難になる。
【0016】また、可逆性感熱記録フィルムAは、積層
体の全層の厚さを60μm以下にすることによって、カ
ード基材に熱圧プレス接着した際に平滑な表面が形成さ
れ、かつ接着部に段差が形成されないように形成されて
おり、そのためのより好ましい全層厚は50μm以下で
ある。
【0017】また、可逆性感熱記録フィルムAは、熱圧
プレス後に被接着基材から剥がれ難くなるようにできる
だけ薄い方が好ましい。
【0018】また、フィルム基材1は、例えば表面にア
ンカーコート剤を塗布したり、さらにインライン処理に
よって延伸し、またはその他の物理化学的な粗面化処理
を行なって、接着性を高めたものを採用することが好ま
しい。
【0019】熱接着層5の熱可塑性樹脂は、ガラス転移
点(Tg)55〜85℃のものである。熱接着層5を構
成する熱可塑性樹脂のTgが、55℃未満では、可逆性
感熱記録フィルムを重ねて置いた際にブロッキングしや
すくなって、製造工程に支障が生じる。また、Tgが、
85℃を越える熱可塑性樹脂では、通常の成形条件で熱
プレスによる接着性が不良になり、また貼り合わせた後
に柔軟性がなくなり、フィルムを曲げた際に、特に90
°以上に折り曲げると基材から剥がれ易くなり好ましく
ない。なお、通常の成形条件を越える過度のプレス成形
温度や圧力条件では、記録の消去性が低下したり、現像
色が所期したものでなく変色したものになる可能性が高
くなる。
【0020】ガラス転移点(Tg)が55〜85℃の熱
可塑性樹脂としては、ヒートシール用の塩化ビニル系樹
脂または塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂を採用
することができる。特に、塩化ビニル−酢酸ビニル−ア
クリル酸共重合体や塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン
酸共重合体を主成分とする熱接着性樹脂またはポリエス
テル系樹脂を採用することが好ましい。
【0021】また、熱接着層の接着性を向上させるため
には、イソシアネート化合物またはその誘導体を架橋剤
として配合した熱接着性樹脂、またはカルボキシル基を
有する樹脂を採用することも好ましいことである。
【0022】可逆性感熱記録層3は、溶剤を添加して液
状化した可逆性感熱記録材料をフィルム基材1に反射層
2を介して塗布し、加熱乾燥して反射層2と一体に形成
するか、または可逆性感熱記録層3をフィルム基材1に
直接塗布し、さらに反射層2はフィルム基材1と熱接着
層5の間に介在させて設けることもできる。
【0023】このようにすると、金属製の反射層2と可
逆性感熱記録層3が直接に接触しないので、反射層2の
金属の腐食が防止される。
【0024】なお、可逆性感熱記録材料としては、炭素
数12以上の脂肪酸のアルキルエステルおよび炭素数1
0以上の脂肪族二塩基酸を含む有機低分子化合物や、周
知のロイコ染料およびその顕減色剤が挙げられる。
【0025】また、保護層4を形成する樹脂材料の具体
例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテ
ルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテル
ケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリ
カーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミ
ド、アクリル樹脂などが挙げられる。このうち、アクリ
ル樹脂などについては、紫外線硬化型樹脂を採用するこ
とができる。
【0026】図2に示すように、上述のように形成され
た可逆性感熱記録フィルムをカード状の可逆性感熱記録
媒体の積層材料として使用する場合には、ポリ塩化ビニ
ル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂(PET−G)、ポ
リ乳酸を主成分とする生分解性樹脂などからなるカード
基材Bの表面に重ねて、熱プレス加工を行なう。
【0027】なお、図2中の符号6は、ポリ塩化ビニル
樹脂のコアシートを示し、同図中の符号7、8は、ポリ
塩化ビニル樹脂のオーバーシートを示し、同図中の符号
9は磁気テープを示している。
【0028】このようにすると、熱接着層がカード基材
に確実に熱融着し、図3に示すように、カード形可逆性
感熱記録媒体(リライトカード)Cの表層部に可逆性感
熱記録フィルムAが一体に積層され、リライトカードの
表面は平滑で不用意に剥がれない状態になる。
【0029】熱プレス加工の条件としては、ポリ塩化ビ
ニル樹脂からなるカード基材に対して、プレス温度12
0〜140℃程度、プレス時間30分以下、プレス圧力
20kg/cm2 程度を採用して好ましい結果を得てい
る。
【0030】因みに、本願の発明の実施態様、またはそ
の他の関連事項について、以下に項目を分けて列挙す
る。
【0031】(1) 可逆性感熱記録層を有する積層フ
ィルムからなり、前記可逆性感熱記録樹脂層の透明性ま
たは発色性を温度によって可逆的に変化させて可視画像
を表示および消去可能な可逆性感熱記録フィルムにおい
て、この可逆性感熱記録フィルムの片面にガラス転移点
(Tg)が55〜85℃の熱可塑性樹脂からなる熱接着
層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録フィルム。
【0032】(2) 可逆性感熱記録フィルムの基材フ
ィルムが、易接着処理されたポリエステルフィルムであ
る上記第1項に記載の可逆性感熱記録フィルム。
【0033】(3) 可逆性感熱記録フィルムの基材フ
ィルムが、25μm以下の厚さの基材フィルムである上
記第1項または第2項に記載の可逆性感熱記録フィル
ム。
【0034】(4) 熱接着層が、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル−アクリル酸共重合体、または塩化ビニル−酢酸ビ
ニル−マレイン酸共重合体を主成分とする熱接着層であ
る上記第1項乃至第3項のいずれかに記載の可逆性感熱
記録フィルム。
【0035】(5) 熱接着層が、ポリエステル系樹脂
を主成分とする熱接着層である上記第1項乃至第3項の
いずれかに記載の可逆性感熱記録フィルム。
【0036】(6) 上記第1項乃至第5項のいずれか
に記載の可逆性感熱記録フィルムにおいて、熱接着層の
主成分がイソシアネート化合物またはイソシアネート化
合物誘導体によって架橋された樹脂であることを特徴と
する可逆性感熱記録フィルム。
【0037】なお、イソシアネート化合物としては、イ
ソシアネート基を多数もつポリイソシアネート化合物が
あり、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート、ト
ルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、およびこれらポリイソシアネート化合物のトリメチ
ロールプロパンなどによるアダクト型、ビューレット型
またはトリマー型を採用することができる。
【0038】(7) 可逆性感熱記録フィルムの基材フ
ィルムと熱接着層の間に金属製反射層を設けた上記第2
項または第3項に記載の可逆性感熱記録フィルム。
【0039】(8) 上記第1項乃至第7項のいずれか
に記載の可逆性感熱記録フィルムをポリ塩化ビニル、非
晶性ポリエステルまたはポリ乳酸を主成分とするシート
基材に貼り合わせて加熱接着し、一体成形してなる可逆
性感熱記録媒体。
【0040】
【実施例および比較例】〔実施例1〜4、比較例1〜
6〕ポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム基材
(25μm厚)の片面にアルミ蒸着により反射層を形成
し、その上に可逆性感熱記録材料(下記の材料からなる
もの)をテトラヒドロフランに溶解して塗布し、加熱乾
燥して10μm厚の可逆性感熱記録層を形成し、その上
にエポキシアクリレート系紫外線硬化性樹脂からなる保
護層を塗布後に50℃1分間の乾燥を行ない、次いで1
0m/分の速度で160W/cmの紫外線照射にて保護
層を硬化させた。
【0041】そして、フィルム基材の他の片面には、予
めアンカーコート処理した後、下記の接着用樹脂を所定
の溶媒で溶解して塗布し、130℃で3分間乾燥して厚
さ5μmの熱接着層を形成した。
【0042】なお、上記使用した可逆性感熱記録材料
は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(日信化学社製:
ソルバインC)170重量部に対して、アジピン酸ポリ
エステル(大日本インキ社製:ポリサイザー W−40
00、凝固点14℃)を30重量部、ステアリン酸ステ
アリル70重量部、ドデカン二酸30重量部からなる配
合組成物である。
【0043】また、実施例および比較例の接着層を形成
する樹脂とTgの値は、以下に示す通りである。 (1)比較例1の接着層用樹脂:塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体系(日信化学社製:ソルバインC40、T
g:53℃) (2)比較例2の接着層用樹脂:アクリル樹脂系(三菱
レイヨン社製、Tg:43℃) (3)比較例3の接着層用樹脂:ポリエステル樹脂系
(東レ社製、Tg:100℃) (4)比較例4の接着層用樹脂:アクリル樹脂系(三菱
レイヨン社製、Tg:90℃) (5)実施例1の接着層用樹脂:塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体系(日信化学社製:ソルバインC5、Tg:
68℃) (6)実施例2の接着層用樹脂:塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体系(日信化学社製:ソルバインMF、Tg:
80℃) (7)実施例3で使用した接着剤:ポリエステル樹脂系
(東洋紡社製:イソシアネート化合物架橋タイプ、T
g:75℃) (8)実施例4の接着層用樹脂:ポリエステル樹脂系
(大日本インキ化学社製、Tg:60℃) 得られた可逆性感熱記録フィルムをポリ塩化ビニル樹脂
からなるカード基材に重ねて表1に示すプレス成形条件
で接着し、カード型記録媒体(リライトカード)を作製
した。
【0044】得られたカード型記録装置のそれぞれつい
て、ブロッキング試験およびカードの折り曲げによる可
逆性感熱記録フィルムの接着性試験を行なうと共に、サ
ーマルヘッドでの消去可能な熱量の幅(mJ/do
t)、可逆性感熱記録フィルムの変色性を調べ、これら
の結果を表1に示した。
【0045】(a) ブロッキング試験では、得られた実
施例または比較例の可逆性感熱記録フィルムを複数枚
(2枚以上)重ね、40℃で24時間、約40g/cm
2 の荷重で加圧密着させて放置した後、手で簡単に各フ
ィルム同士を剥離できるか否かを調べた。表中には、手
で簡単に剥離できる場合を○印、僅かに接着している場
合を△印、強く接着し剥離が容易でない場合を×印、と
いう三段階で評価し、これらを記号で示した。
【0046】(b) カードの折り曲げ状態での接着性試
験では、実施例または比較例を接着したカード型記録媒
体(リライトカード)について、常温で両端を近づける
ように90°以上に折り曲げた際、可逆性感熱記録フィ
ルムが剥離するか、否かを調べた。表中には、全く剥離
しない場合を○印、僅かに剥離する場合を△印、明らか
に剥離が生じる場合を×印、という三段階で評価し、こ
れらを記号で示した。
【0047】(c) サーマルヘッドでの消去可能な熱量
の幅については、実施例または比較例をサーマルヘッド
で画像を加熱して消去する際に、0.05mJ/dot
以上の熱量幅がある場合を○印、0.05mJ/dot
未満の熱量幅である場合を×印と評価し、その結果を表
1中に併記した。
【0048】(d) 変色(黄変色)性の評価では、実施
例または比較例を接着したカード型記録媒体(リライト
カード)について、製造直後の実施例または比較例(可
逆性感熱記録フィルム)の画像の色とプレス成形前の可
逆性感熱記録フィルムの画像の色とを比べる比色を肉眼
で行ない、黄変の程度を○(黄変なし)または×(黄変
あり)の2段階に評価した。
【0049】
【表1】
【0050】表1の結果からも明らかなように、比較例
1および比較例2の可逆性感熱記録フィルムは、Tgが
低くて接着性は良いが、ブロッキング性に劣っていた。
また、比較例3および比較例4の可逆性感熱記録フィル
ムは、Tgが高すぎるのでプレス温度を上げてプレス成
形時間を長くしないと接着性が悪く、折り曲げた際に剥
離する場合があった。また、プレス条件(温度と圧力)
を上げた場合には、可逆性感熱記録フィルムの画像の消
去性が低下すると共に、本来は白色の画像が黄変する傾
向があった。
【0051】これに対して、所定のTg範囲の熱可塑性
樹脂からなる熱接着層を設けた実施例の可逆性感熱記録
フィルムは、接着性およびブロッキング性のいずれにも
優れたものであった。また、実施例のカード型記録媒体
に対するプレス温度は、130℃、プレス成形時間は1
0分、プレス成形圧力は20kg/cm2 であり、比較
的低温低圧で短時間の条件を採用でき、その結果、画像
や可逆性感熱記録フィルムそのものや画像に黄変などの
変色はなく、またサーマルヘッドによる加熱消去可能な
温度範囲についても充分に広い温度範囲を確保すること
ができた。
【0052】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、熱接
着層を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)を
所定範囲に限定したことにより、可逆性感熱記録材料を
変質させない低温接着が可能になり、低温接着性に優れ
た可逆性感熱記録フィルムであるという利点がある。
【0053】すなわち、この発明の可逆性感熱記録フィ
ルムは、可逆性感熱記録フィルムと可逆性感熱記録媒体
の基材とに対する加熱条件および加圧条件を、比較的低
温低圧に設定できるものであり、可逆性感熱記録材料を
変質または画像を変色させることなく、記録性(リライ
ト特性)を低下させずに確実に熱接着可能な可逆性感熱
記録フィルムになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の可逆性感熱記録フィルムの断面図
【図2】可逆性感熱記録フィルムとカード基材との熱プ
レス加工を説明する分解断面図
【図3】可逆性感熱記録フィルムを接着一体化した可逆
性感熱記録媒体の断面図
【符号の説明】
1 フィルム基材 2 反射層 3 可逆性感熱記録層 4 保護層 5 熱接着層 6 ポリ塩化ビニルコアシート 7、8 ポリ塩化ビニルオーバーシート 9 磁気テープ A 可逆性感熱記録フィルム B カード基材 C カード形可逆性感熱記録媒体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可逆性感熱記録層を有する積層フィルム
    からなり、前記可逆性感熱記録層の透明性または発色性
    を温度によって可逆的に変化させて可視画像を表示およ
    び消去可能な可逆性感熱記録フィルムにおいて、 この可逆性感熱記録フィルムの片面にガラス転移点(T
    g)が55〜85℃の熱可塑性樹脂からなる熱接着層を
    設けたことを特徴とする可逆性感熱記録フィルム。
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