JP2004243685A - カード用シートおよびカード - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザマーキングの発色性が良好で、レーザマーキングに伴う変形がほとんど生じず、低温融着性、および、ハンドリング性に優れたカード用シートを提供することにある。また、このカード用シートを用いて製造されたカードを提供することにある。
【解決手段】カード用シートは、レーザビームを照射することによって発色する発色層と、少なくとも一方の表面に接着層とを有するカード用シートであって、発色層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度(Tg1)と、接着層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度(Tg2)とが、(式1) Tg1 ≧ Tg2 を満たし、かつ、接着層は、表面の10点平均粗さ(Rz)が3μm〜40μmである。また、カードは、このカード用シートを少なくとも1枚以上有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ストライプカード、ICカード等のプラスチックカード、およびカード用シートに関し、特に、レーザによるマーキングが可能なカード、および、このカードに用いられるカード用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気ストライプカードやICカード等のプラスチックカードに、レーザビームを照射して、文字、バーコード等をマーキングすることが行われる。例えば、バーコード、顔写真等を印刷する替わりに、YAGレーザ等を用いて、カードの個別番号やロット番号、あるいは個人情報、顔写真等をカードに書き込むことが行われている。このように、レーザ等により情報をカードに書き込めば、磨耗や経時劣化で個人情報が消失するのを防ぐことができる。また、レーザを用いたマーキングは、簡単な工程で行うことができるので、工業的にも価値が高く、注目されている。
レーザビームを照射してマーキングを行うことができるカードとしては、例えば、レーザビームの照射によって容易に脱色または変色する発色剤を含有するカードが知られている。このような発色剤としては、特開昭49−82340号公報(例えば、特許文献1参照)に半導体化した金属酸化物が開示されており、特開昭56−45926号公報(例えば、特許文献2参照)に熱応答性染料が開示されており、特開昭56−144995号公報(例えば、特許文献3参照)に染料及びそれと併用されるケイ素含有無機化合物が開示されている。
【0003】
一般に、レーザビームをレンズで集光して照射することにより、パワー密度の高いレーザ光をレンズの焦点付近で得ることができる。パワー密度の高いレーザ光を目的物に照射すると、その光熱変換作用によって、照射された部分を溶融、蒸発させ、最終的には、切断、溶接、穴あけ、表面焼入れ等を行うことができる。
しかしながら、発色剤を含有する樹脂層を有するカードにレーザビームを照射してマーキングを行う場合には、樹脂が変形しないような温度領域で所定の時間内に発色を行わせることが必要であるが、このような条件で発色を行わせると、従来のカードでは、十分な発色濃度及び良好なコントラスト状態を実現することができなかった。一方、発色した画像が十分な発色濃度を得るために、高い温度で発色を行わせると、カードに発泡、膨れ等の変形が生じた。
また、従来のカードの材料としては、大量生産が可能であり、印刷適性、ラミネート適性、エンボス適性等に優れることから、ポリ塩化ビニル系樹脂(以下「PVC」という)が使用されてきた。ところが、PVCにレーザビームを照射すると、照射部分の樹脂が蒸発して有害物質を発生することが懸念され、また、使用後のカードを処分する際には環境問題を引き起こす、という問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭49−82340号公報
【特許文献2】
特開昭56−45926号公報
【特許文献3】
特開昭56−144995号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、優れた発色性を示し、レーザビームを照射してもほとんど変形が生じず、低温融着性およびハンドリング性に優れたカード用シートを提供することにある。また、このカード用シートを用いて製造されたカードを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のカード用シートは、レーザビームを照射することによって発色する発色層と、少なくとも一方の表面に接着層とを有するカード用シートであって、該発色層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度(Tg1)と、該接着層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度(Tg2)とが、(式1) Tg1 ≧ Tg2
を満たし、かつ、該接着層は、表面の10点平均粗さ(Rz)が3μm〜40μmであることを特徴とする。
ここで、前記発色層を形成する樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂、もしくはポリカーボネート系樹脂と実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂とのポリマーアロイを主成分とすることができる。
また、前記接着層を形成する樹脂組成物は、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を主成分とすることができる。
また、前記発色層を形成する樹脂組成物は、さらに、レーザビームの照射により発色する添加物を含有することができる。
本発明のカードは、上記カード用シートを1種以上用いて製造されたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、カード用シートとは、カードを構成するシートをいい、例えば、カードの表層に使用されるオーバーシート、中層に使用されるコアシート、オーバーシートとコアシートとの間に配置される中間シート等が挙げられる。一般にカードは、印刷を施した白色のコアシートに、透明のオーバーシートを重ねて、また、必要に応じて中間シートを重ねて、熱プレスでシート間を熱融着した後、打ち抜き刃でカード形状に切断し、場合によっては最後にエンボッサーで文字刻印を施して製造される。また情報記録のための磁気ストライプやICチップ、アンテナコイル等を付与してもよい。
【0008】
本発明のカード用シートは、レーザビームを照射することによって発色する発色層と、少なくとも一方の表面に接着層とを有するシートである。本発明のカード用シートは、例えば、透明シート等のオーバーシート用基材上に発色層と接着層とを積層して一方の面にのみ接着層を有するオーバーシートを構成することもできるし、白色シート等のコアシート用基材上に発色層と接着層とを積層して一方の面にのみ接着層を有するコアシートを構成することもできるし、あるいは、オーバーシートとコアシートとの間に配置されるための両面に接着層を有する中間シートを構成することもできる。さらにまた、本発明の両面に接着層を有するカード用シートを、オーバーシート用基材に貼着してオーバーシートを構成することもできるし、あるいは、コアシート用基材に貼着してコアシートを構成することもできる。
【0009】
本発明のカードは、これらのカード用シートを少なくとも1種有し、レーザマーキングを施すことができるカードである。例えば、本発明のカード用シートが中間シートである場合には、オーバーシートとコアシートとの間に中間シートを配置して重ね、熱融着させた後、カード形状に打ち抜くことにより、本発明のカードを形成することができる。このカードには、レーザマーキングを施すことができる。
以下に、本発明のカード用シートの層構成を、図面を用いて具体的に説明する。なお、同一の構成要素については同一の参照番号を付して、これらの説明を省略する。
【0010】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係るカード用シートの層構成を示す図である。図1において、発色層1の上側には第一接着層2が設けられており、下側には第二接着層3が設けられている。ここで、第一接着層2と第二接着層3とは同一構成であっても、異なっていてもよい。本実施形態のように、両表面の最外層に接着層を配置した層構成の場合には、中間シートとして好適であり、オーバーシートとコアシートとの間にこのカード用シートを挟み込んで熱融着させれば、容易に積層体を形成することができる。なお、本発明において、単に「接着層」と称す場合には、第一接着層および/または第二接着層を指すものとする。
【0011】
図1(b)は、本発明の第2の実施形態に係るカード用シートの層構成を示す図である。本実施形態は、発色層1の上側にはオーバーシート用基材4が配置されており、下側には接着層3が配置されていて、オーバーシートを構成している。なお、オーバーシート用基材4は、単層でも積層体でもよいが、可視光透過性を有する素材からなることが好ましい。
例えば、図1(b)に示すオーバーシートの接着層3を、コアシートに重ねて熱融着させることにより、カードを形成するための積層体を容易に形成することができる。
【0012】
図1(c)は、本発明の第3の実施形態に係るカード用シートの層構成を示す図である。本実施形態は、発色層1の下側にはコアシート用基材5が配置されており、上側には接着層2が配置されていて、コアシートを構成している。なお、コアシート用基材5は、単層でも積層体でもよい。また、コアシート用基材は、発色層1に形成された画像等が鮮明に見えるように、例えば白色であることが好ましい。
【0013】
本発明において発色層とは、レーザビームを照射することによって発色する層である。発色層には、レーザビームを照射することによって発色する添加物が含まれていることが好ましく、この添加物は、発色層中に均一に分散して存在していることが好ましい。添加物としては、例えば、レーザビームを吸収して、光熱変換により発熱し、有色を呈する発色剤が挙げられる。
【0014】
発色剤としては、レーザビームを吸収し光熱変換による発熱によって有色になる金属酸化物等が好ましく用いられる。具体的には、良好なコントラストを示す黒色系の酸化物を形成する金属として、銅、鉄、ニッケル、マンガン、チタン、鉛、クロム、コバルト、スズ、タリウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、ビスマス、パラジウム、銀、白金、金等が挙げられる。
【0015】
発色層に、カーボンブラックや、レーザビームの波長を吸収する光吸収剤を含有させてもよい。このような発色層にレーザビームを照射すると、光吸収剤等の周辺のバインダー樹脂が炭化し、この炭化した部分が黒色を呈する。あるいはまた、金属酸化物等の発色剤と光吸収剤とを併用してもよい。本発明に好ましく用いられる光吸収剤としては、使用するレーザの波長域に吸収ピークを有するシアニン系色素、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。
発色剤等の添加物の含有量は、発色層を形成する樹脂組成物の100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0016】
本発明においては、発色層が、例えば、レーザビームの照射前に可視光透過性を有しており、レーザビームを照射した後は、レーザビームの未照射部分が可視光透過性を有するようにしてもよい。ここで、「可視光透過性」とは、発色層の裏面に配置された層を視覚的に識別することができるような透明性をいう。発色層を形成する樹脂の屈折率と、混合する発色剤等の屈折率との差は小さいことが好ましく、屈折率の差が小さくなるように組み合わせて使用することにより、発色層の可視光透過性を実現することができる。
【0017】
発色剤は、微細粒子の状態で分散されていることが好ましい。微細粒子を、発色層中に均一に分散させることにより、発色感度を高くすることができ、また、発色層自体が凝集破壊を生じたり、剥離することを防止することができる。
【0018】
発色層は、ポリカーボネート系樹脂、もしくはポリカーボネート系樹脂と実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂とのポリマーアロイを主成分とする樹脂組成物から形成されることが好ましい。このような樹脂組成物を用いることにより、カードの耐熱性を向上させることができ、レーザビームを照射しても、発色層が膨れたり、変形することを防止することができる。
【0019】
本発明においてポリカーボネート系樹脂とは、主成分がポリカーボネートである樹脂組成物を意味する。ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールとアセトンから合成されるビスフェノールAから、界面重合法、エステル交換法、ピリジン法等によって製造されるもの、ビスフェノールAとジカルボン酸誘導体、例えばテレ(イソ)フタル酸ジクロリド等との共重合体により得られるポリエステルカーボネート、ビスフェノールAの誘導体、例えばテトラメチルビスフェノールA等の重合により得られるものを例示することができる。
発色層を形成する樹脂組成物は、複数のポリカーボネート系樹脂を主成分とするものでも良く、また、複数のポリカーボネート系樹脂と、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂とのポリマーアロイを主成分とするものでも良い。
【0020】
本発明において実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂とは、芳香族ジカルボン酸等成分とジオール成分との脱水縮合体をいい、その中でも結晶性が低く、プレス融着等の実用上頻繁に行われる熱加工を行っても、結晶化による白濁や融着不良を起さないものをいう。なお、本発明においては、非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂に類似するもの、例えば、PBT (ポリブチレンテレフタレート)等も含まれる。
【0021】
本発明に好ましく用いられる芳香族ジカルボン酸等成分の代表的なものとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸が好ましい。また、テレフタル酸の一部を他のジカルボン酸で置換してもよい。他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ネオペンチル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等が挙げられる。なお、用いられる他のジカルボン酸成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジカルボン酸成分の量も適宜選択することができる。
【0022】
本発明に好ましく用いられるジオール成分の代表的なものとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらの中ではエチレングリコールが好ましい。また、エチレングリコールの一部を他のジオール成分等で置換してもよい。他のジオール成分等としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、メトキシポリアルキレングリコール等が挙げられる。なお、用いられる他のジオール成分等は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジオール成分等の量も適宜選択することができる。
【0023】
本発明に用いられる実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂としては、具体的には、テレフタル酸とエチレングリコールとを縮合重合させたポリエチレンテレフタレートがコストの観点から好ましいが、テレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外の他のジオール成分を含んだ共重合ポリエステルを使用することができる。
【0024】
共重合ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分の60モル%以上がテレフタル酸であり、残りのジカルボン酸成分が他のジカルボン酸成分で置換されたジカルボン酸成分と、ジオール成分の60モル%以上がエチレングリコールで、残りのジオール成分が他のジオール成分等で置換されたジオール成分とを縮合重合させた共重合ポリエステルが挙げられる。
本発明における実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートと上記の共重合ポリエステルとの混合物であってもよい。ただし、共重合ポリエステルを使用する場合には、共重合成分の選択や含有量等によっては、シートのガラス転移温度や引張り弾性率の変化が大きいので注意を要する。
【0025】
本発明において、特に好適に使用できる共重合ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコールの約30モル%を、1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル樹脂が好ましく、例えば、イーストマンケミカル社製の商品名「PETG」を商業的に入手することができる。
本発明においては、上述した非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を2種以上併用してもよく、例えば、2種以上の実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂と、ポリカーボネートとのポリマーアロイでもよい。
【0026】
本発明のカード用シートを構成する接着層は、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成されることが好ましい。接着層を形成するために使用される実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂としては、上述の発色層を形成する樹脂組成物の説明において既述した実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂と同様のものを挙げることができる。
【0027】
本発明のカード用シートは、発色層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度Tg1と、接着層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度Tg2が、下記式(1)の関係を満たすことが必要である。
Tg1 ≧ Tg2 …(1)
接着層を形成する樹脂組成物が実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を主成分とし、接着層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度(Tg2)が、発色層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度(Tg1)以下であることによって、低温融着性を実現することができる。
【0028】
接着層は、表面の10点平均粗さ(Rz)が3μm〜40μmの範囲であることが必要であり、Rzが10μm〜30μmの範囲であることが好ましい。Rzが3μm未満では、カード用シートを他のシートに積層してプレス融着する際に、シート間の空気の抜けが不十分となり、カード表面に変形が生じる。また、シート表面の滑り性が低下するため、カード用シートのハンドリング性が低下する。また、Rzが40μmを越えると、シート間の密着性が低下し、他のシートとの接着性が低下してしまう。
【0029】
接着層の表面に、例えばマット加工を施すことにより、表面の10点平均粗さ(Rz)が3μm〜40μmを実現することができる。マット加工の方法としては、まず鏡面のシートを形成してから、マットロール等を用いて表面に加工を施しても良いし、あるいはシートの押出し成形の際にキャストロールをマットロール等に変更して押出成形を行うことにより、表面に加工を施しても良い。例えば、口金から押し出されたシートを、表面に微小な凹凸の付いた金属マットロールと表面に微小な凹凸の付いたゴムロール(以下「マット形成用ロール」と記載する)の間に挟み込んで、圧力等を適宜与えつつ、マット形成用ロールを回転させてシートを通過させ、マット形成用ロール表面の凹凸をシート表面に転写することにより、シートの表裏面にマット加工が施されたカード用シートを得ることができる。なお、マット加工を施す方法は、ここで記載された方法に限定されるものではない。
【0030】
本発明のカードは、中間シートとして機能する本発明のカード用シートに、オーバーシートとコアシートとを用いて形成することができる。
ここで使用されるオーバーシートとしては、従来から一般的に使用されているものを用いることができる。オーバーシートを形成する材料としては、例えば、PVC系樹脂、ABS樹脂、非晶質ポリエステル系樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル樹脂、生分解性樹脂が挙げられる。オーバーシートは、接着剤を用いてコアシートや中間シート等に貼り合わされてもよいが、加熱加圧による熱融着等によってコアシートや中間シート等と貼り合わされることが好ましい。したがって、コアシート等との熱融着が可能な材料を選択することが好ましい。また、オーバーシートは裏側に配置された層、例えば、中間シート等に形成された画像等を視覚的に認識することができるように、可視光透過性を有する材料を選択することが好ましい。なお、オーバーシートは、単層でも2層以上の積層体でもよい。
【0031】
オーバーシートには、必要に応じて、着色剤、滑剤、フィラー、衝撃改良剤等の添加剤を含有させたり、物性を改良するための異種ポリマーをブレンドしたりすることができる。特にクレジットカードのように、文字を刻印するためにエンボス加工が施されるカードの場合には、タルクのような板状フィラー、あるいはポリブチレンテレフタレートのような引張強度を低下させるポリマーをオーバーシートにブレンドすることが好ましい。
【0032】
ここで使用されるコアシートとしては、従来から一般的に使用されているものを用いることができる。コアシートを形成する材料としては、例えば、加熱加圧によって変形する熱可塑性樹脂が好ましく使用される。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、非晶質ポリエステル系樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート系樹脂、PVC系樹脂、生分解性樹脂等の汎用プラスチックが挙げられる。これ以外にも、耐熱性が良好なエンジニアリングプラスチックを使用することができる。エンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。これらの1種類または2種類以上を主成分とする材料からなるフィルムやシートがコアシートとして好ましく使用される。
なお、コアシートは、単層でも2層以上の積層体でもよい。
【0033】
コアシートは透明、半透明または不透明のいずれでもよく、白色や有彩色に着色されていてもよい。使用用途に応じて、適宜選択されることが好ましい。コアシートを半透明シートおよび不透明なシートとする場合には、コアシートを形成する樹脂中に無機顔料や有機顔料を配合することができる。透明シートとする場合にも、透明性を損なわない範囲内の量で、顔料を配合することができる。コアシートには、必要に応じて、可塑剤、帯電防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
また、コアシートの表面には、オーバーシートや中間シート等と接合加工する際に脱気が容易に行われるように、エンボス加工等が施されていることが好ましい。
【0034】
本発明のカードは、オーバーシート用基材に発色層と接着層とを有する本発明のカード用シートに、コアシートを重ねて形成することもできる。ここで、オーバーシート用基材としては、上記したオーバーシートと同様のものを使用することができる。
【0035】
さらにまた、本発明のカードは、コアシート用基材に発色層と接着層とを有する本発明のカード用シートに、オーバーシートを重ねて形成することもできる。ここで、コアシート用基材としては、上記したコアシートと同様のものを使用することができる。
【0036】
中間シートとしてのカード用シート、オーバーシートとしてのカード用シート、コアシートとしてのカード用シート等、本発明のカード用シートを形成する方法を以下に説明する。
本発明のカード用シートは、例えば、各層を構成する材料を押出機に供給し、共押し出しして積層する共押出法、各層を予めシート状に形成しておき、これをラミネートする方法によって形成することができるが、生産性、コスト等を考慮すると、共押出法によって形成することが好ましい。具体的には、まず、各層を形成する樹脂組成物等の材料をそれぞれ配合し、必要に応じてペレット状にする。これら材料を、それぞれ、複数のTダイが連結されたTダイ押出機の各ホッパーに投入し、温度200℃〜280℃の範囲内で溶融して共押し出しし、キャストロール、マット形成用ロール等の間を通過させ、急冷固化させることによりカード用シートを得る。
また、ラミネートする方法によって形成する場合、ラミネートするための単層シートは、この単層シートを形成するための材料を配合し、必要に応じてペレット化した後、Tダイ押出機を用いて、温度200〜280℃の範囲内で溶融押出しし、キャストロール間を通過させ、急冷固化することにより単層シートを得ることができる。この場合、積層体形成後、マット加工処理を施すことができる。あるいは、オーバーシート用基材またはコアシート用基材に、中間シートとしてのカード用シートを貼着することによりオーバーシートとしてのカード用シート、または、コアシートとしてのカード用シートを形成してもよい。オーバーシート用基材、コアシート用基材等は、本発明のカード用シートと同様の方法で形成することができるが、これらに限定されることなく、公知の方法、例えば、特開平10−71763号公報の第(6)〜(7)頁の記載に従って得ることができる。
【0037】
本発明のカード用シートは、例えば、中間シートとして使用される場合には、総厚が25μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは50μm〜150μmの範囲内である。ここで、接着層の厚さと発色層の厚さの比率は、カード用シートが接着層と発色層の2層構成の場合には、接着層/発色層の厚み比が、5/95〜50/50であることが好ましく、さらに好ましくは10/90〜30/70である。また、カード用シートが接着層/発色層/接着層の3層構成の場合には、接着層/発色層/接着層の厚み比が、5/90/5〜30/40/30であることが好ましく、さらに好ましくは10/80/10〜25/50/25である。接着層の厚みが薄くなりすぎると、コアシートやオーバーシート等との接着性が低下する。一方、接着層の厚みが厚くなりすぎると、相対的に発色層の厚みを薄くしなければならないことがある。発色層の厚みが薄くなりすぎると、発色性が低下し、レーザビームの照射によって得られる画像の視認性が低下する。さらには、カード用シートの耐熱性も低下する。
【0038】
オーバーシートやコアシートの厚さは作製するカードの厚さに応じて設計されることが好ましい。
一般的には、オーバーシートの厚さは50μm〜200μmであることが好ましく、75μm〜150μmであることが更に好ましい。一般的に、コアシートの厚さは、100μm〜800μmであることが好ましく、さらに好ましくは、コアシートは200μm〜600μmである。なお、オーバーシートまたはコアシートが本発明のカード用シートで構成される場合にも、これらの層の厚さは、上記範囲内であることが好ましい。
例えば、総厚さが760μmのカードを作製する場合には、中間シートとして100μm厚の本発明のカード用シートと、100μm厚のオーバーシートと、230μm厚のコアシートとを用いて、オーバーシート/本発明のカード用シート/コアシート/コアシート/オーバーシートの順に積層することができる。あるいは、230μmのコアシートの代わりに460μm厚のコアシートを用いて、オーバーシート/本発明のカード用シート/コアシート/オーバーシートの順に積層することができる。
【0039】
本発明のカードは、本発明のカード用シートを1種類以上用いて形成されたものである。以下に、オーバーシート/中間シート/コアシート/オーバーシートの層構成のカードを製法する方法を示す。
コアシートの一方の表面に、中間シートとしての本発明のカード用シート、さらにその上にオーバーシートを配置する。また、コアシートの他方の表面にオーバーシートを配置する。それらを加熱加圧して熱融着させ、積層体を形成した後、この積層体をカード形状に打ち抜いて、カードを作製することができる。ここで加熱加圧する方法としては、プレス方式、ラミネート方式等が挙げられるが、特に、これらに限定されるものではなく、使用されるシートの材質等に応じて適宜選択されることが好ましい。なお、カードの層構成は上述のものに限定されるものではない。
【0040】
なお、本発明においてシートとは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。ところで、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(JIS K 6900)。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かでなく、明確に区別しにくいので、本願においては、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0041】
【実施例1】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
【0042】
(実施例1)
第一接着層用樹脂組成物および第二接着層用樹脂組成物として、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製の商品名「PETG6763」(ガラス転移温度:80℃)、表中「PETG」と表記する)を用い、発色層用樹脂組成物として、発色層用樹脂組成物100質量部に対してスズ系発色剤を10質量部添加したポリカーボネート系樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の商品名「ノバレックス7022」(ガラス転移温度:160℃)、表中「PC」と表記する)を用いた。これらの樹脂組成物を、2台の押出機の各ホッパーにそれぞれ投入し、温度250℃で溶融し、共押し出しした後、金属表面に微小凹凸を有する金属マットロールとゴム表面に微小凹凸を有するゴムマットロールとからなるマット形成用ロール間に挟み込み、ロールを回転させ通過させて冷却固化し、2種3層構成の積層シート(カード用シート)を得た。得られたカード用シートは、接着層/発色層/接着層=25μm/50μm/25μmであり、総厚さが100μmであった。なお、得られたカード用シートの両面には、10点平均粗さ(Rz)が15μmのマット処理が施されていた。
得られたカード用シートと、オーバーシートとしてPETG製オーバーシートと、コアシートとしてPETG製コアシートとを用い、PETG製オーバーシート/得られたカード用シート/PETG製コアシート/PETG製オーバーシートの順に重ねた後、プレス温度120℃、シート面圧10kg/cm、加熱時間10分の条件下で加熱プレスを行って、カード形成用の積層体を得た。
次に、得られたカード形成用の積層体をカード形状に打ち抜いて、カードを作製した。
【0043】
(実施例2)
実施例1において、発色層用樹脂組成物を、ポリカーボネート系樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の商品名「ノバレックス7022」、ガラス転移温度:160℃)と、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製の商品名「PETG6763」、ガラス転移温度:80℃)とのポリマーアロイ(組成比:PC/PETG=55/45、ガラス転移温度:90℃)に変更した以外は、実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0044】
(実施例3)
実施例1において、発色層用樹脂組成物を、ポリカーボネート系樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の商品名「ノバレックス7022」、ガラス転移温度:160℃)と、芳香族ポリエステル系樹脂(三菱レーヨン(株)製の商品名「タフペットN1000」、ガラス転移温度:60℃、表中「PBT」と表記する)とのポリマーアロイ(組成比:PC/PBT=60/40、ガラス転移温度:130℃)に変更した以外は実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0045】
(実施例4)
実施例1において、接着層用樹脂組成物を、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製の商品名「PETG6763」、ガラス転移温度:80℃)と、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製の商品名「イーストボンド19411」、ガラス転移温度:51℃)とのポリマーアロイ(組成比:PETG6763/イーストボンド19411=25/75、ガラス転移温度:58℃)に変更した以外は実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0046】
(実施例5)
実施例1において、表面の10点平均粗さ(Rz)が3μmになるように、カード用シートの表裏面にマット処理を施した以外は実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0047】
(実施例6)
実施例1において、表面の10点平均粗さ(Rz)が30μmになるように、カード用シートの表裏面にマット処理を施した以外は実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0048】
(実施例7)
実施例1において、表面の10点平均粗さ(Rz)が40μmになるように、カード用シートの表裏面にマット処理を施した以外は実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0049】
(実施例8)
実施例1において、接着層および発色層の各層の厚さを、第一接着層/発色層/第二接着層=15μm/70μm/15μmに変更した以外は実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0050】
(比較例1)
第一接着層および第二接着層を設けず、発色層用樹脂組成物として、発色層用樹脂組成物100質量部に対してスズ系発色剤10質量部を添加したポリエチレンテレフタレート(表中、「PET」と表記する)を用いた。この発色層用樹脂組成物を押出機のホッパーに投入し、温度270℃で溶融し、押し出した後、マット形成用ロール間に挟み込み、通過させて冷却固化した。その後、延伸して、厚さ100μmの単層シートを得た。ただし、得られた単層シート(カード用シート)の両表面の10点平均粗さ(Rz)は0.5μmであった。
カード用シートとして、得られた単層シートを用いた以外は実施例1と同様にして、カードを作製した。
【0051】
(比較例2)
実施例1において、発色層用樹脂組成物を、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製の商品名「PETG6763」、ガラス転移温度:80℃)と、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製の商品名「イーストボンド19411」、ガラス転移温度:51℃)とのポリマーアロイ(組成比:PETG6763/イーストボンド19411=25/75、ガラス転移温度:58℃)に変更した以外は実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0052】
(比較例3)
実施例1において、表面の10点平均粗さ(Rz)が2μmになるように、カード用シートの表裏面にマット処理を施した以外は実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0053】
(比較例4)
実施例1において、表面の10点平均粗さ(Rz)が45μmになるように、カード用シートの表裏面にマット処理を施した以外は実施例1と同様にして、カード用シート、および、カードを作製した。
【0054】
得られたカードについて、下記評価方法に基づき、層間の接着性、レーザマーキング性、および、カードの表面性の評価を行った。また、これらの評価を総合して、総合評価を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0055】
《評価方法》
(1)層間の接着性の評価
得られたカードについて、カード用シートの接着層と、オーバーシート、または、コアシートとの間の接着強度を、日本工業規格JIS X 6305に基づいて測定した。接着強度が6N/cm以上のものは使用可能なものとして、記号「○」で示し、6N/cm未満のものは使用不可能なものとして、記号「×」で示した。
【0056】
(2)レーザマーキング性の評価
得られたカードについて、カード用シートに隣接するオーバーシートの面上から、波長1.06μmのマーキング用YAGレーザ(キーエンス社製)を用いて、レーザビームを照射し、所定の画像パターンを形成した。但し、レーザパワー(W)を固定した状態で、マーキング速度を変化させて、所定の画像パターンのマーキングを行った。画像の発色濃度を、マクベス反射濃度計(RD−918S)を用いて測定した。飽和発色濃度(最大限に発色した状態の画像の濃度)が得られる最適条件を探し、発色性について下記基準に基づき評価を行った。また、膨れ・変形についても、下記基準に基づき評価を行った。
評価基準:
「発色性」については、マーキング速度が速くても、飽和発色濃度に達したものを記号「○」、マーキング速度を遅くしないと飽和発色濃度に達しないものを記号「×」で示した。
「膨れ・変形」については、レーザビームを照射した部分及びその周辺に、膨れや変形がほとんど認められなかったものを記号「○」、かなり大きな膨れや変形が認められたものを記号「×」で示した。
【0057】
(3)カードの表面性の評価
得られたカードの表面状態を肉眼で観察し、以下に示す基準に基づき評価を行った。カード表面に、エア抜き不良による変形が認められなかったものを記号「○」、カード表面に変形が認められたものを記号「×」で示した。
【0058】
(4)総合評価
上記(1)〜(3)の各評価が、すべて「○」であったものを記号「○」、上記(1)〜(3)の評価のうち、1つでも「×」があったものを記号「×」で示した。
【0059】
【表1】
Figure 2004243685
【0060】
【表2】
Figure 2004243685
【0061】
表1から明らかなように、本発明のカード用シートを用いて形成されたカードは、層間の接着性、レーザマーキング性、および、カードの表面性すべての評価において良好であり、総合評価が「○」であった。
一方、表2から明らかなように、比較例1〜4のカード用シートは、いずれか1つ以上の評価項目が「×」であり、実用上問題があった。すなわち、カード用シートが接着層を有しない比較例1は、オーバーシートやコアシートとの接着性が悪かった。また、発色層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度が接着層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度より低い比較例2は、飽和発色濃度に達するまでレーザビームを照射すると、照射部分に膨れや変形が生じた。接着層の表面の10点平均粗さ(Rz)が3μm未満であるカード用シートを用いた比較例3は、オーバーシート等をプレス融着する際に、シート間の空気を十分に抜くことができなかったので、カード表面に変形が生じた。接着層の表面の10点平均粗さ(Rz)が40μmより大きいカード用シートを用いた比較例4は、シート間の密着性が悪く、オーバーシート等との接着性が不良であった。
【0062】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、優れた発色性を示し、レーザビームを照射してもほどんど変形が生じず、低温融着性およびハンドリング性に優れたカード用シートを提供することができる。また、このカード用シートを用いて、レーザマーキング性が良好で、レーザマーキングを行ってもカード表面に変形が発生しないカードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施形態に係るカード用シートの層構成を示す図であり、(b)は、本発明の第2の実施形態に係るカード用シートの層構成を示す図であり、(c)は、本発明の第3の実施形態に係るカード用シートの層構成を示す図である。
【符号の説明】
1 発色層
2 第一接着層
3 第二接着層
4 オーバーシート用基材
5 コアシート用基材

Claims (5)

  1. レーザビームを照射することによって発色する発色層と、少なくとも一方の表面に接着層とを有するカード用シートであって、該発色層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度(Tg1)と、該接着層を形成する樹脂組成物のガラス転移温度(Tg2)とが、(式1) Tg1 ≧ Tg2 を満たし、かつ、該接着層は、表面の10点平均粗さ(Rz)が3μm〜40μmであることを特徴とするカード用シート。
  2. 前記発色層を形成する樹脂組成物が、ポリカーボネート系樹脂、もしくはポリカーボネート系樹脂と実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂とのポリマーアロイを主成分とすることを特徴とする請求項1記載のカード用シート。
  3. 前記接着層を形成する樹脂組成物が、実質的に非結晶性の芳香族ポリエステル系樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載のカード用シート。
  4. 前記発色層を形成する樹脂組成物が、さらに、レーザビームの照射により発色する添加物を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカード用シート。
  5. 請求項1から4に記載のカード用シートを1種以上用いて製造されたことを特徴とするカード。
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