JP3686531B2 - 可逆性感熱記録シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、温度によって可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録シートに関し、詳しくは定期券、入場許可証、各種プリペイドカードなどのカード類やOHPシート等に適用できる可逆性感熱記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、交通機関の利用者が使用する定期券、催し物会場や所定の建物への入場許可証その他の繰り返し使用されるカード類は、表面に印刷された文字等を管理者が肉眼でチェックするか、またはカード類に記録された磁気記録情報を装置で読み取って不正使用を防止している。
【0003】
しかし、カード類の表面に記載された内容と磁気記録された情報が一致しない場合は、管理者が表面の記載内容だけで正否を直ちに判別できず、また磁気記録の読み取り装置が誤作動する場合もあるので、カード類の不正使用を完全に防止することは困難であった。
【0004】
また、プリペイドカードなどのような磁気記録カードやICチップを付設したICカードにおいても、過去の支払い金額や残額などのカードに記録された情報を使用時毎に目で見て確認できないので、管理者および使用者共に不便さがあった。
【0005】
このような不便さを解消するために、目で識別可能な記録情報を可逆性感熱記録層によって表示する可逆性感熱記録シート(特開昭54−19377号公報、特開昭55−154198号公報)が知られている。
【0006】
この可逆性感熱記録シートは、高分子樹脂母材の中に結晶性の有機低分子物質を分散させた記録材料を層状に設け、この記録材料を特定温度領域(T1)に加熱して透明化するステップと、前記特定温度領域以上の領域(T2)に加熱して白濁化させるステップとを選択的に用い、層状の記録材料の要所にコントラストの違いを生じさせて可視画像を表示しまたは消去するようになっている。
【0007】
図4に示すように、従来の可逆性感熱記録シートBの感熱記録材料層10は、プラスチックフィルム11上に設けられるものであるが、表示された画像の視認性を向上させるために、通常、感熱記録材料層10とプラスチックフィルム11の間に光反射性の金属(Al、Ni、Snなど)を蒸着した光反射層12を介在させている。
【0008】
光反射層を感熱記録材料層の背面側に設けると、可逆性感熱記録シートの正面の画像は、感熱記録材料層の透明部分が直下の光反射層が可視光線を反射して金属色(銀色)になり、感熱記録材料層の不透明(白濁)部分は白色画像になり、透明部の銀色と不透明部の白色とのコントラストによって画像の視認性が向上する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の可逆性感熱記録シートは、シート基材上に形成された金属蒸着膜からなる光反射層の上に感熱記録材料を直接塗装したものであり、感熱記録材料層を重ねて設ける工程や、感熱記録材料の塗装前に一旦巻き取って保存する工程において前記金属蒸着膜が傷つき易く、また汚れ易いという問題点がある。このような傷や汚れのある金属蒸着膜に接した感熱記録材料層は、耐久性が低下して剥離等を起こし易くなり、また、可逆性感熱記録シートは、金属蒸着膜の表面状態がそのまま画像として現れるので、金属蒸着膜に傷や汚れがあれば製品の外観が損なわれることにもなる。
【0010】
また、光反射層を感熱記録材料層に重ねて設けた従来の可逆性感熱記録シートは、水に浸漬したり高湿度の雰囲気内に長時間保管すると、金属蒸着層が腐食したり、剥落することが多いという問題点もある。
【0011】
このような腐食は、金属蒸着層が単独で水に曝された場合に比べて顕著に起こることから、塩化ビニル系樹脂を成分とする感熱記録材料層に浸透した水分が、塩化ビニル系樹脂の分解生成物である例えば塩酸を伴って光反射層に浸透し、これが金属蒸着膜を腐食しているものと推定される。
【0012】
また、可逆性感熱記録シートの金属蒸着層に重ねて感熱記録材料層を形成する方法として、通常はテトラヒドロフランなどの非常に溶解性の強い溶剤で希釈した材料を塗布する方法が採られるが、この塗布時に溶解性の強い溶剤が金属蒸着膜からなる光反射層を腐食するという問題点もある。
【0013】
そこで、この発明の課題は上記した問題点を解決し、金属蒸着膜からなる光反射層が製造段階で破損したり汚損したりし難い可逆性感熱記録シートとし、また耐水性に優れた可逆性感熱記録シートを提供し、水に浸漬した際や高湿度の雰囲気内に長時間保管した場合でも金属蒸着膜が腐食したり剥落を起こさないものとすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、可逆性感熱記録材料からなる記録層と光反射層を有し、これら両層の間に前記光反射層を保護する保護層を設けた積層体からなる可逆性感熱記録シートとしたのである。また、透明性を温度によって可逆的に変化させることにより可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録材料からなる記録層を設け、この記録層の一方の面側に光透過性の合成樹脂層を設け、この合成樹脂層に重ねて金属を反射材料とする光反射層を設けた積層体からなる可逆性感熱記録シートとしたのである。
【0015】
上記可逆性感熱記録シートにおいて、保護層または光透過性の合成樹脂層を形成する合成樹脂はポリエチレンテレフタレートを採用することができ、光反射層として、アルミ蒸着層上にクロム蒸着層もしくはシリコンメタル蒸着層を重ねて設けた光反射層を採用することができる。
【0016】
この発明の可逆性感熱記録シートは、記録層の一側に合成樹脂層などからなる保護層を介して金属を反射材料とする光反射層を設けたので、光反射層は記録層側からの物理的な衝撃や汚れから保護される。合成樹脂層は、光透過性のある合成樹脂であるから、可逆性感熱記録材料の画像の視認性を妨げない。
【0017】
光反射層は、可逆性感熱記録材料からなる記録層との間に光透過性の合成樹脂層を介して記録層とは直接に接しないので、テトラヒドロフランなどの非常に溶解性の強い溶剤で希釈して塗装される可逆性感熱記録材料を用いても、金属を反射材料とし金属蒸着膜などからなる光反射層が溶剤で腐食しない。
【0018】
また、この発明の可逆性感熱記録シートは、合成樹脂層によって防水性が高められており、記録層側から浸透した水蒸気が光反射層に透過し難いので、シートそのものを水に浸漬したり高湿度の雰囲気内に長時間保管しても、光反射層を構成する金属の腐食や層の剥落を起こし難く、耐水性に優れたものになる。
【0019】
合成樹脂層の材質としてポリエチレンテレフタレートを採用すると、可逆性感熱記録シートの耐水性、防湿性は、特に優れたものになり、塩化ビニル系樹脂を成分とする感熱記録材料層に水分が浸透した場合でも塩化ビニル系樹脂の分解生成物である例えば塩酸を伴って光反射層にまで浸透することがなくなり、光反射層は腐食され難くなる。
【0020】
この発明の可逆性感熱記録シートを製造するときは、記録層を形成する以前に光反射層を合成樹脂層で被覆して保護することによって、それ以後の製造工程、例えば中間製品をロール状に巻き取る工程での光反射層の表面の損傷を防止できる。
【0021】
この発明の可逆性感熱記録シートに使用する接着剤は、金属を腐食するほどの高い溶解性の溶剤を含まない一般的なラミネート用の接着剤であり、光反射層を損傷することはない。また接着剤を塗布した後、溶剤を蒸発させた後に接着するドライラミネート法を採用すれば、光反射層に溶剤が接することが全くない。
【0022】
また、この発明の可逆性感熱記録シートでは、記録層の一側に設けた光透過性の合成樹脂層を透過した可視光が光反射層に反射し、また記録層の白濁部分で反射された可視光とのコントラストにより画像が形成されるが、合成樹脂層の厚さによって画像が浮き上がって立体的に見える作用がある。
【0023】
このような作用は、視認性の特殊効果として好ましいものであり、例えば金属光沢面に直接に文字を書いた場合に比べて、鏡の上に書いた文字が浮かび上がって立体的に見えるように画像表示の形態を多様化できる利点がある。
【0024】
【発明の実施の形態】
この発明に記録層の形成材料として用いる可逆性感熱記録材料は、例えば樹脂母材に結晶性の有機低分子化合物を分散状態に配合し、前記配合物の透明性を温度によって可逆的に変化させることにより可視画像を表示および消去可能な周知の可逆性感熱材料を使用することができる。
【0025】
ここでいう母材樹脂を構成する樹脂は、透明性、成膜性、高温領域での弾性その他の耐熱性、繰り返し加熱される条件での耐久性等の点で良好なものが好ましく、例えば以下のものが適当な母材樹脂種の例として挙げられる。
【0026】
すなわち、母材樹脂種としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アルコール共重合体、その他の酢酸ビニル化合物、塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、またはその共重合体などが挙げられる。
【0027】
特に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、または塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体と紫外線(UV)硬化樹脂等の光硬化性樹脂もしくは電子線(EB)硬化樹脂等の放射線硬化性樹脂との混合物は、高温領域での弾性率が高く、繰り返しリライト(表示・消去)した際の耐久性が良好である。
【0028】
また、前記樹脂母材に分散状態に配合される結晶性の有機低分子化合物は、カルボン酸、ジカルボン酸、ケトン、エーテル、アルコール、エステルおよびその誘導体などが挙げられ、それらの1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0029】
特に、結晶性の有機低分子化合物として炭素数12以上の脂肪酸のアルキルエステルを採用することは、このものが低融点(mp)である点で好ましく、このもの共に炭素数10以上の脂肪族二塩基酸の高融点(mp)のものを併用することも好ましいことである。
【0030】
このような脂肪酸アルキルエステルと脂肪族二塩基酸の配合割合を適当に調整することにより、透明化する温度領域や透明性の度合いおよび白濁状態の濁りの程度を任意に変化させることができる。実際に可逆性感熱記録材料を使用する印字・消去装置の性能や印字のコントラストの鮮明度などを考慮して、前記配合割合を設定することが好ましい。
【0031】
以上述べたような可逆性感熱記録材料は、一般に溶剤コーティングにより対象物表面に層状に積層することができる。また、貧溶媒での分散コーティング、無溶剤での押し出しコーティングなどによる積層方法や、離型フィルムに予め積層した可逆性感熱記録材料層を対象物に熱転写して積層する方法を採用することもできる。
【0032】
可逆性感熱記録材料からなる記録層の一側に設ける合成樹脂層は、光透過性の合成樹脂からなるものであり、フィルムまたは塗膜の形態からなる。樹脂例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂などがあり、透明性と共に耐熱性に優れた樹脂を採用することが好ましい。
【0033】
この発明に用いる金属を反射材料とする光反射層は、画像の視認性を向上させる光学的反射性が良好な金属を含むものであればよく、金属の種類を限定したものではない。光反射層は、記録層に形成された画像を表面から見やすくするためのものであり、アルミニウムやスズなどの蒸着または箔の接着またはアルミ粉などを混ぜた光反射性の塗料の塗布層を採用することもできる。
【0034】
なお、色、光沢、コスト、汎用性などの面から判断すると、特にアルミニウムの蒸着膜を形成することが好ましい。アルミニウムの蒸着膜は、水、酸、アルカリによって腐食されやすいため、蒸着膜の表面に薄膜のクロム、シリコンメタルなどの金属を蒸着して、アルミ蒸着の色と光沢を損なうことなく耐腐食性を向上させることが好ましい。
【0035】
金属蒸着の方法としては、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着法などの周知の方法を選択的に採用することができる。
【0036】
また、プラスチックフィルムの表面に、金属蒸着膜を形成する場合には、直接に蒸着するばかりでなく、フィルムの表面に予め着色または未着色の接着剤層を設けてもよく、アンカーコート層を介して金属蒸着膜を形成することもできる。
【0037】
光反射層の厚さは、金属蒸着膜の場合は数百オングストローム(Å)であるが、感熱記録シートに形成する画像の色、光沢、製造コスト、強度、平面性などを考慮して適宜に決定すればよく、また下地が透けて見える厚さを採用することも可能である。
【0038】
この発明に用いるシート基材は、透明であっても不透明であってもよく、例えば合成樹脂製シート基材の樹脂例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォンなどが挙げられる。特に、耐熱性、強度、耐溶剤性、機械的強度、汎用性、コストなどの点からポリエチレンテレフタレートが好ましい樹脂である。
【0039】
この発明の可逆性感熱記録シートおよびその製造方法の実施形態について、以下に添付図面を参照して説明する。
【0040】
図1に示すように、第1実施形態は、光透過性の合成樹脂フィルム1の図中下面に光反射性の金属を蒸着することにより光反射層2を形成し、合成樹脂フィルム1の図中上面に可逆性感熱記録材料を塗装して記録層3を形成した可逆性感熱記録シートA1 である。
【0041】
このような可逆性感熱記録シートA1 は、必要に応じて図外の合成樹脂製のシート基材に接着して使用することができる。
【0042】
光反射層を他の層に重ねて接着により一体化する際は、ドライラミネート法(乾式ラミネート法)を採用することが好ましい。このラミネート法であれば、例えば熱可塑性樹脂系(酢酸ビニル・塩化ビニル・エチレン−酢ビコポリマー)などからなる接着剤を溶剤に溶解した溶液を接着対象面に均一に塗布し、乾燥させた後、加圧下で圧着する方法により接着一体化するので、金属蒸着膜からなる光反射層に溶剤を触れさせることが少なく、積層一体化が可能である。
【0043】
図2に示す第2実施形態は、可逆性感熱記録シートの製造工程に関し、先ず、図2(a)に示すように光透過性の合成樹脂フィルム1の下面に光反射性の金属を蒸着して光反射層2を形成し、次に光反射層2に重ねて合成樹脂製のシート基材4をドライラミネート法によって接着する。その後、図2(b)に示すように、合成樹脂フィルム1の上方の面に、可逆性感熱記録材料を塗装して記録層3を形成して可逆性感熱記録シートA2 を製造する。
【0044】
上記の製造方法では、金属蒸着を施す合成樹脂フィルム1としてフィルム厚が厚いものを採用することにより、その厚さに応じて記録文字等の画像が立体的に見える効果が顕著であり、また薄厚の合成樹脂フィルムを採用すると、金属蒸着を施す際にフィルムの厚さに比例してコストがかなり節約できるという利点がある。
【0045】
また、図3に示す第3実施形態では、予めシート基材4の上面に光反射性の金属を蒸着して光反射層2を形成しておき、この光反射層2に重ねて光透過性の合成樹脂フィルム1を接着し、次いで接着された合成樹脂フィルム1の上面に可逆性感熱記録材料を塗装して記録層3を形成して可逆性感熱記録シート(図2(b)に示す形態)を製造する。
【0046】
同様に図3を利用して説明する第4実施形態では、予め光透過性の合成樹脂フィルム1の上面に可逆性感熱記録材料を塗装して記録層3を形成しておき、別途設けたシート基材4の上面に光反射性の金属を予め蒸着しておくことにより光反射層2を形成し、シート基材4の上面の光反射層2と合成樹脂フィルム1の下面を接着することにより、全層を一体化して可逆性感熱記録シート(図2(b)に示す形態)を製造する。
【0047】
第3および第4実施形態の製造方法では、金属蒸着を施すシート基材の厚さを薄くすれば、金属蒸着膜からなる光反射層を形成する際のコストを削減することができる。またカードやシートの規格等によって可逆性感熱記録シートを所定の厚さで形成する必要がある場合には、シート基材の厚さを薄く形成すれば、その分だけ合成樹脂フィルムの厚さを厚く形成することが可能になり、画像を立体的に見せる効果を高めることができる。
【0048】
なお、可逆性感熱記録シートを構成する素材として、前記以外のフィルムを使用することも可能であり、その場合に光透過性の合成樹脂フィルムの厚さは薄く形成し、画像を立体的に見せる効果をあまり高めないように調整することもできる。
【0049】
また、図示したフィルム以外に数種類の他のフィルムを張り合わせて可逆性感熱記録シートの全体の厚さを調整することもできる。さらにまた、可逆性感熱記録材料を塗装し記録層を予め形成した汎用のフィルムを多数枚製造し、種々の厚さのシートの需要に対し、別途製造したフィルムを積層することによって対応することもできる。
【0050】
【実施例および比較例】
〔実施例1〕
188μm厚の透明なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの片方の面にアルミニウム蒸着処理を施し、アルミニウム蒸着処理を施さなかった方の面に下記の組成の可逆性感熱記録材料をテトラヒドロフランに溶解して塗布し、110℃のオーブン内で5分間加熱乾燥して溶剤を除去して塗膜を硬化させ10μm厚の記録層を形成した。この記録層の表面には、紫外線硬化型樹脂をイソプロピルアルコールで希釈したものを塗布し、加熱乾燥後、UVランプにより紫外線を照射して層厚2μmの保護層を形成し、図1に示される断面形状の可逆性感熱記録シートを製造した。
【0051】
<可逆性感熱記録材料の組成>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 100重量部
12−トリコサン(C11H23COC11H23,TmB68℃) 44重量部
エイコサン二酸(HO2 CC18H36CO2 H,TmC126℃) 4重量部
得られた可逆性感熱記録シートをカード状に打ち抜いて80℃のオーブン内で1分間加熱し、その後、室温にまで徐冷して記録層を透明にした。次に、記録層の一部を8dot/mm、走行速度40mm/secのサーマルヘッドでパルス幅1msecで0.30mJ/dotのエネルギーを与えて白濁した画像(記録部)を表示させ、以下の試験項目で評価し、結果を表1に示した。
【0052】
(a)画像のコントラスト(記録濃度OD値)
透明部と白濁部の反射濃度(OD値)を反射濃度計(マクベスRD−914)で測定し、コントラスト(透明部OD値−白濁部OD値)を調べた。
【0053】
(b)光反射層の腐食試験
可逆性感熱記録シートを水(水道水、室温)に1ヵ月間、または5%炭酸ナトリウム水溶液(室温)に24時間浸漬し、浸漬後の腐食状態を観察した。結果は腐食有り(○印)、腐食なし(×印)の2段階に評価した。
【0054】
(c)光反射層表面(記録層塗装面)の傷付き性
製造時に肉眼で観察して、傷なし(○印)、傷あり(×印)の2段階に評価した。
【0055】
(d)印字画像の浮き文字効果
浮き出しによる文字の立体感が大きい(大)、立体感が小さい(小)、立体感が全くない(なし)の3段階に評価した。
【0056】
(e)アルミニウム蒸着にかかるコスト
所定コストに比べてコストが低い(○)、コストが高い(×)の2段階に評価した。
【0057】
【表1】
【0058】
〔実施例2〕
前述した第2実施形態の製造方法(図2)に従い、188μm厚の透明なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの表面にドライラミネート用の接着剤を1μmの厚さに塗布し、加熱乾燥して溶剤を除去した後、片面にアルミニウム蒸着処理を施した12μm厚の透明なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムのアルミニウム蒸着面を前記樹脂フィルムの接着剤塗布面に重ねて加圧して接着し、厚さ約200μmの複合フィルムを作製した。
【0059】
この複合フィルムの12μm厚樹脂フィルムの表面に実施例1で使用した組成の可逆性感熱記録材料をテトラヒドロフランに溶解して塗布し、110℃のオーブン内で5分間加熱乾燥して溶剤を除去して塗膜を硬化させ10μm厚の記録層を形成した。
【0060】
その後は、実施例1と全く同様にして記録層の表面に紫外線硬化型樹脂による層厚2μmの保護層を形成し、図2(b)に示される断面形状の可逆性感熱記録シートを製造した。実施例2についても、前記試験項目で評価し、結果を表1中に併記した。
【0061】
〔実施例3〕
前述した第3実施形態(図3)の製造方法に従い、188μm厚の透明なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの表面にドライラミネート用の接着剤を1μmの厚さに塗布し、加熱乾燥して溶剤を除去した後、片面にアルミニウム蒸着処理を施した12μm厚の透明なポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムのアルミニウム蒸着面を前記樹脂フィルムの接着剤塗布面に重ねて加圧して接着し、厚さ約200μmの複合フィルムを作製した。
【0062】
この複合フィルムの188μm厚樹脂フィルムの表面に実施例1で使用した組成の可逆性感熱記録材料をテトラヒドロフランに溶解して塗布し、110℃のオーブン内で5分間加熱乾燥して溶剤を除去して塗膜を硬化させ10μm厚の記録層を形成した。
【0063】
その後は、実施例1と全く同様にして記録層の表面に紫外線硬化型樹脂による層厚2μmの保護層を形成し、図2(b)に示される断面形状の可逆性感熱記録シートを製造した。実施例3についても、前記試験項目で評価し、結果を表1中に併記した。
【0064】
〔比較例〕
片面にアルミニウム蒸着処理を施した188μm厚のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムのアルミニウム蒸着面側に、実施例1で使用した組成の可逆性感熱記録材料をテトラヒドロフランに溶解して塗布し、110℃のオーブン内で5分間加熱乾燥して溶剤を除去して塗膜を硬化させ10μm厚の記録層を形成した。
【0065】
その後は、実施例1と全く同様にして記録層の表面に紫外線硬化型樹脂による層厚2μmの保護層を形成して可逆性感熱記録シートを製造した。比較例についても、前記試験項目で評価し、結果を表1中に併記した。
【0066】
表1の結果からも明らかなように、金属蒸着層と可逆性感熱記録材料層の間に、透明なプラスチックフィルムを介在させることにより、特に水やアルカリ水に浸漬した際のアルミ蒸着膜の腐食に対して防止効果があり、また感熱記録材料の塗工時に金属蒸着を汚したり傷つけることもなくなった。また、金属蒸着層を保護する透明な合成樹脂フィルムの厚さに対応して記録層の文字などの画像が浮き上がって見える効果があり、薄厚の合成樹脂フィルムを採用して金属蒸着のコストを削減できた。
【0067】
【発明の効果】
この発明によれば、以上説明したように、可逆性感熱記録材料からなる記録層の一側に光透過性の合成樹脂層のような保護層を介して光反射層を設けたので、光反射層が保護された可逆性感熱記録シートとなり、製造段階で光反射層が破損したり汚損したりし難いものになる。また耐水性に優れた可逆性感熱記録シートになり、水に浸漬した際や高湿度の雰囲気内に長時間保管した場合でも光反射層の金属蒸着膜が腐食や剥落を起こすことがない可逆性感熱記録シートとなる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の可逆性感熱記録シートの拡大断面図
【図2】第2実施形態の製造工程を説明する可逆性感熱記録シートの拡大断面図
【図3】第3及び第4実施形態の製造工程を説明する可逆性感熱記録シートの拡大断面図
【図4】従来の可逆性感熱記録シートの拡大断面図
【符号の説明】
1 合成樹脂フィルム
2、12 光反射層
3 記録層
4 シート基材
10 感熱記録材料層
11 プラスチックフィルム
Claims (2)
- 可逆性感熱記録材料からなる記録層と光反射層を有し、これら両層の間に前記光反射層を保護する保護層を設けた積層体からなり、前記光反射層はアルミ蒸着層上にクロム蒸着層もしくはシリコンメタル蒸着層を重ねて設けたものからなる可逆性感熱記録シート。
- 保護層が、ポリエチレンテレフタレートからなる保護層である請求項1記載の可逆性感熱記録シート。
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1998
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