JP4338849B2 - Icカード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、非接触でICチップに情報を記録および消去可能であると共に、可逆性感熱記録材料の記録層に画像の表示および消去が可能なICカードに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ICカード類を大別すると、ICチップの情報を読み書きする際にカード表面にリーダライタの接点を露出させて設けた「接触式のICカード」と、カードにループコイル形のアンテナ回路とICチップを内蔵している「非接触式のICカード」の2種類に分類できる。
【0003】
図5に示すような「非接触式のICカード」(印刷面を有しない中間製品を示す)は、磁界中をカードが通過するときにループコイル形のアンテナ回路部7に誘導電流が発生し、この電流によってICチップ9の情報を読み取ると共にその書き換えを行なえるものである。
【0004】
このような非接触式のICカードは、情報の入出力のためにリーダライタに挿入して接点を接続させる必要がなく、例えば装置内外の磁界中にICカードを通過させるだけでよいので、リーダライタまたはこれを搭載した装置に故障や汚損が起こりにくくて装置の補修作業が軽減化され、またICカードの傷みも少ないという利点を有している。
【0005】
非接触式のICカードの将来的な用途としては、交通機関の自動改札機に使用される定期券などや高速道路の料金徴収システム用カード、テレフォンカード、銀行カード、健康診断用カード、電子マネーなどが考えられている。
【0006】
一方、ICカードに記録された情報は、カードリーダがなければ読取できず、すなわちカードそのものを見て確認できないので、カードの使用者などが不便さを感じる場合がある。
【0007】
このような不便さを解消するために、目で識別可能な記録情報を可逆性感熱記録層によって表示できる可逆性感熱記録シート(特開昭54−19377号公報、特開昭55−154198号公報)が知られ、これはカード用材料として利用できるものである。
【0008】
上記した可逆性感熱記録材料は、例えば高分子樹脂母材の中に結晶性の有機低分子物質を分散させたものであり、この記録材料を特定温度領域(T1)に加熱して透明化するステップと、前記特定温度領域以上の領域(T2)に加熱して白濁化させるステップとを選択的に用い、層状の記録材料の要所にコントラストの違いを生じさせて可視画像を表示しまたは消去するようになっている。
【0009】
上記以外の可逆性感熱記録材料の例としては、加熱温度の条件や加熱後の冷却速度によって可逆的に色調が変化するロイコ染料(ロイコ色素とも呼ばれる。)を樹脂母材中に分散させたもの、または熱可塑性樹脂フィルムの表面にサンドブラスト法やエンボス加工によって予め微細な凹凸を形成する処理、すなわち粗面化処理を行なったものが知られており、後者の材料は、ガラス転移温度(Tg)以上で融点(Tm)以下に加熱加圧することにより、歪みを保有させた状態で平滑面を形成させて要所を透明化して画像を形成するものである(特開平2−223499号公報)。
【0010】
このような可逆性感熱記録材料において、記録画像の視認性を向上させるためには、感熱記録材料層の裏面側に光反射性の金属(Al、Ni、Snなど)からなる光反射層を設けることが好ましい。
【0011】
光反射層を感熱記録材料層の下層側に設けると、感熱記録材料層の透光性部分を通過する光線は光反射層で反射されて金属色に表示され、かつ感熱記録材料層の不透明部、すなわち着色部または不透明部の表面で反射された光は金属色以外の有色に表示され、これらの透明部の金属色とそれ以外の有色とのコントラストが高まって感熱記録画像の視認性が向上する。
【0012】
非接触式のICカードに感熱記録材料層を設け、その裏面側に光反射層を設けた場合の積層構造は、例えば図5に示すようになる。
【0013】
同図に示すICカードは、透明なポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)などのシートからなる第1カード基材21の表面に可逆性感熱記録材料からなる記録層22を重ねて設け、その上に重ねて透明なPETなどからなる保護層23を設け、さらに第1カード基材21の下面には接着層24を介してアルミニウム箔などからなる光反射層部25を貼り合わせて設け、第1積層体A’’を構成している。
【0014】
また、ICカードは、PETなどからなる第2カード基材26の上面に接着層27を介して銅箔を貼り付け、これをフォトリソ法や印刷法等で形成したレジストパターンをエッチングしてアンテナ回路部(アンテナコイルパターンとも呼ばれる。)28を形成したものを第2積層体B’’としている。そして、ICチップ9を実装した後、第2積層体B’’のアンテナ回路部28と、前記した第1積層体A’’の光反射層部25をホットメルト接着層29を介して加熱加圧により積層一体化し、その後、保護層23上の所定区域に印刷層10を設けると共に、それを透明なPETからなる印刷保護層11で被覆して表示窓12を形成し、また第2カード基材26の下面には印刷層13を設けたものをICカードとしている。
【0015】
このようなICカードは、表示窓12から透過する光が光反射層部25で反射されるので、適宜に形成される記録層22の画像のコントラストがハッキリとして見えやすく、コイル状のアンテナ回路部28およびICチップの機能によってリーダライタ等に非接触の状態で集積回路に情報の読取や書き換えができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のICカードは、金属製のアンテナコイルパターンと光反射層がそれぞれの目的に応じて2層を形成しているので、これら2つの積層位置が異なる金属層のうち、光反射層に反射した電波がアンテナコイルパターンに取り込まれる場合があり、これに発生する誘導電流も乱れてICチップの情報の読み取りと書き換えが不正確になるという問題点がある。
【0017】
また、金属層を部分的に複数層に設けたICカードは、硬質の金属層の重なり部分が他の合成樹脂からなる部分に比べて盛り上がって、カード表面に凹凸が形成されやすいという問題点もある。
【0018】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、非接触でICチップに情報を記録可能であると共に、可逆性感熱記録材料の記録層に画像の表示および消去が可能なICカードにおいて、ICチップの情報読み書き時の電波障害を防止し、また金属層を部分的に積層した場合にカード表面に形成されやすい凹凸の形成を防止することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、ICチップを内蔵すると共にアンテナ回路部を有し、さらに可逆性感熱記録材料からなる記録層を有して画像表示および消去が可能なICカードにおいて、このICカードの前記記録層より下層側に光反射層部を配置し、この光反射層部および前記アンテナ回路部は同一平面を形成するように設けたICカードとしたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明でいうICカードの形態は、その厚みや大きさを特に限定したものではなく、通常の名刺サイズのカードの他、タグやラベルまたはシートなどの形態を含むものである。
【0021】
この発明で記録層の形成材料として用いる可逆性感熱記録材料は、例えば樹脂母材に結晶性の有機低分子化合物を分散状態に配合し、前記配合物の透明性を温度によって可逆的に変化させることにより可視画像を表示および消去可能な周知の可逆性感熱材料を使用することができる。
【0022】
ここでいう母材樹脂は、透明性、成膜性、高温領域での弾性その他の耐熱性、繰り返し加熱される条件での耐久性等の点で良好な樹脂が好ましく、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アルコール共重合体、その他の酢酸ビニル化合物、塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、またはその共重合体などが適当な樹脂母材として挙げられる。
【0023】
また、前記樹脂母材に分散状態に配合される結晶性の有機低分子化合物は、カルボン酸、ジカルボン酸、ケトン、エーテル、アルコール、エステルおよびその誘導体などが挙げられ、それらの1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0024】
特に、有機低分子化合物として、例えばパルミチン酸ヘキサデシル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸エチル、リグノセリン酸メチルなどの炭素数12以上の脂肪酸のアルキルエステルを採用することは、このものが低融点(mp)である点で好ましく、このものと共に炭素数10以上の脂肪族二塩基酸の高融点(mp)のものを併用することも好ましいことである。
【0025】
可逆性感熱記録材料として採用するロイコ染料は、無色または淡色の電子供与性染料前駆体からなる還元型の色素であり、加熱エネルギーにより、酸性基による発色作用または塩基性基による消色作用の一方が優先するので発色と消色の作用がある。このようなロイコ染料と、これを発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基とを有する両性化合物とを顕減色剤として配合された可逆性感熱記録材料は、特開平2−188293号公報等に記載されているような周知の材料を利用できる。
【0026】
このようなロイコ染料(電子供与性染料前駆体)の具体例としては、トリフェニルメタンフタリド系化合物、ジフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、インドリノフタリド系化合物などがある。
【0027】
トリフェニルメタン系化合物の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリドなどが挙げられる。
【0028】
ジフェニルメタン系化合物としては、4,4´−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどが挙げられる。
【0029】
また、チアジン系化合物として、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどが挙げられる。
【0030】
ロイコ染料を発色状態または消色状態にするための顕減色剤としては、分子内にロイコ染料を発色させることができる構造と、分子間の凝集力を制御する長い脂肪族鎖構造を併有する化合物であり、たとえば、ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸などの炭素数12以上の脂肪族基を有する有機リン化合物、またはα−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシテトラデカン酸などの脂肪族カルボン酸化合物、またはフェノール系化合物が挙げられる。
【0031】
また、熱可塑性樹脂フィルムの表面にサンドブラスト法やエンボス加工によって微細な凹凸を形成する処理、すなわち粗面化処理を行なった記録層の樹脂材料としては、周知の熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリカーボネートなどの非晶性樹脂が取り扱いが容易で好ましいものである。
【0032】
粗面化処理は、内部に歪みを有しないように熱に安定なフロストを形成する方法であればよく、例えばサンドブラスト法、粗面化ロールによるエンボス法、粗面化した支持体上への流延法、溶剤処理法などを採用できる。
【0033】
フロストの状態としては、表面粗さがJIS B 0601の10点平均粗さ(Rz)で1〜10μmの範囲が好ましい。なぜなら、Rzが1μm未満では、画像の識別が困難になり、Rzが10μmを越えるとフロスト面の平滑(透明)化のための加圧が過剰になり、再加熱してフロスト面に戻すことが難しくなる。
【0034】
以上述べたような可逆性感熱記録材料を用いてICカード内に記録層を形成するには、溶剤コーティングにより基材となる層(フィルム)に積層するか、貧溶媒での分散コーティング、無溶剤での押し出しコーティングなどによる積層方法や、離型フィルムに予め積層した可逆性感熱記録材料層を対象物に熱転写して積層する方法を採用できる。
【0035】
この発明に用いる金属を反射材料とする光反射層は、画像の視認性を向上させる光学的反射面を形成し、かつ導電性の高い金属層を形成するものであり、例えばアルミニウム、銅、銀またはこれらを主成分とする合金を適用できる。
【0036】
光反射層は、上記した金属で形成した箔を接着するか、金属蒸着、メッキなどの手法で層状に設けることができる。金属蒸着の方法としては、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着法などの周知の方法を選択的に採用することができる。また、対象面に直接蒸着するばかりでなく、予め着色または未着色の接着剤層を設けて蒸着してもよく、アンカーコート層を介して金属蒸着膜を形成することもできる。
【0037】
金属蒸着膜は数百オングストローム(Å)の膜であるが、感熱記録シートに形成する画像の色、光沢、製造コスト、強度、平面性などを考慮して光反射層の厚さは適宜に決定する。
【0038】
この発明に用いるカード用基材は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ガラス繊維強化エポキシ樹脂などが挙げられる。特に、耐熱性、強度、耐溶剤性、機械的強度、汎用性、コストなどの点でポリエチレンテレフタレートが好ましい樹脂である。
【0039】
また、後述する第1積層体に用いられる第1カード基材は、透明性の高い特性が望まれる。さらに第1カード基材1および第2カード基材5の表面に、周知の易接着処理を行なうことも好ましい。
【0040】
この発明のICカードの積層構造および製造方法の実施形態について、以下に添付図面を参照して説明する。
【0041】
図1および図3に示すように、第1実施形態のICカードは、予め形成した2つの積層体を張り合わせて製造されたものである。すなわち、透明なポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)のシートなどからなる第1カード基材1の表面に可逆性感熱記録材料からなる記録層2を重ねて設け、その上に重ねて透明なPETなどからなる保護層3を設け、第1カード基材1の裏面側にはガラス転移温度(Tg)が比較的低くて接着しやすいホットメルト接着剤層4を設けたものを第1積層体Aとしている。
【0042】
一方、PETやPET−Gなどからなる第2カード基材5の片面には接着層6を介して銅箔やアルミニウム箔などからなる金属層Mを接着一体化し、これにフォトリソ法でレジストパターンを形成した後、エッチング(ネガまたはポジのいずれの方法であってもよい。)して図3に示すアンテナ回路部(アンテナコイルパターン)7および光反射層部8を区分けして形成した。さらにICチップ(図3)9を第2カード基材5の所定位置に組み込んでアンテナ回路部7と接続し、これを第2積層体Bとした。
【0043】
そして、第1の積層体と第2の積層体は、金属層Mとホットメルト接着剤層4を対向させて加熱加圧して両積層体を張り合わすように接着一体化し、保護層3の所定区域に印刷層10を設けると共に、その印刷層10を透明なPETなどからなる印刷保護層11で被覆して画像の表示窓12を形成し、また第2カード基材5の下面には保護印刷層13を設けて第1実施形態のICカードを形成している。
【0044】
なお、第1積層体Aと第2積層体Bなどの張り合わせ方法としては、各層を構成するシート状またはフィルム状の材料を巻き取ったロールを一定の速度で繰り出しながら加熱加圧のためのロール対間を通過させて連続して張り合わせる方法、または各層を構成する枚葉シートまたは枚葉フィルムを重ねて加熱加圧してバッチ式に積層一体化する方法などを採用できる。
【0045】
次に、図2および図3に示すように、第2実施形態のICカードは、透明なポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)のシートなどからなる第1カード基材1の表面に可逆性感熱記録材料からなる記録層2を塗布した後、硬化させて設け、その上に透明なPETなどからなる保護層3を設け、第1カード基材1の裏面には接着層14を介して銅箔やアルミニウム箔などからなる金属層Mを接着一体化し、これをフォトリソ法でレジストパターンを形成した後、エッチングして図3に示すアンテナ回路部7および光反射層部8を区分けして形成した。さらにICチップ9を第1カード基材1に組み込んでアンテナ回路部7と接続したものを第1積層体A’としている。
【0046】
そして、PETやPET−Gなどからなる第2カード基材5の上面にはホットメルト接着剤層15を設けたものを第2積層体B’としている。
【0047】
第1積層体A’と第2積層体B’は、第1実施形態の製造工程と同様にして、金属層Mとホットメルト接着剤層15を対向させて加熱加圧してホットメルト樹脂を接着させることにより、両積層体を接着一体化し、保護層3上の所定区域に印刷層10を設けると共に、その印刷層10を透明なPETなどからなる印刷保護層11で被覆して画像の表示窓12を形成し、第2カード基材5の下面には保護印刷層13を設けて第2実施形態のICカードを形成している。
【0048】
以上のようにして得られた第1実施形態および第2実施形態のICカードは、アンテナコイルパターン部および光反射層部が、同一金属層からフォトリソ法でレジストパターンを形成し、同時にエッチングして形成されたことにより、同一平面を形成するように一層に形成されている。このようにアンテナ回路部7および光反射層部8が配置されていることにより、ICチップの情報読み書き時に電波障害が起こらず、感熱記録層に形成される画像のコントラストが向上するICカードになる。
【0049】
なお、アンテナ回路部と光反射層部を区分けして形成する際、図3に示した配置ばかりでなく、図4に示すようにアンテナ回路部7’と光反射層部8’をカードの両端方向に離れた位置に形成し、カードの機能に応じてより正確な読み書きができるように設計することもできる。
【0050】
また図示は省略したが、他の実施形態としてアンテナコイルパターン部が光反射層部と同様の機能を有するようにこれらを配置形成することもできる。いずれの態様においても、この発明のICカードは、アンテナコイルパターン部と光反射層部とを同時に形成することが可能であり、製造効率が極めて良好であった。
【0051】
本願の発明の実施態様、またはその他の関連事項について、以下に項目を分けて列挙する。
【0052】
(1) 透明性樹脂からなる第1のフィルム基材の片面側に可逆性感熱記録材料からなる記録層を一体に形成し、前記透明フィルム基材の他の片面側に接着剤層を一体に形成したものを第1積層体とし、また第2のフィルム基材にICチップを取り付けると共にこのフィルム基材の片面にアンテナ回路部および光反射層部を同一金属層をエッチングすることによって形成したものを第2積層体とし、前記アンテナ回路部および光反射層部と第1のフィルム基材の接着剤層を対向させて接着させることにより第1積層体および第2積層体を接着一体化することからなるICカードの製造方法。
【0053】
(2) 透明性樹脂からなる第1のフィルム基材の片面側に可逆性感熱記録材料からなる記録層を一体に形成し、前記透明フィルム基材の他の片面側にICチップを取り付けると共にこのフィルム基材の片面にアンテナ回路部および光反射層部を同一金属層をエッチングすることによって形成したものを第1積層体とし、また第2のフィルム基材の片面に接着剤層を設けたものを第2積層体とし、前記接着剤層と前記アンテナ回路部および光反射層部を対向させて接着することにより第1積層体および第2積層体を接着一体化することからなるICカードの製造方法。
【0054】
【実施例】
下記組成の可逆性感熱記録材料をテトラヒドロフランに溶解して188μm厚の透明なPETシートの表面に塗布し、110℃のオーブン内で5分間加熱乾燥して溶剤を除去して塗膜を硬化させ10μm厚の記録層を形成した。この記録層の表面には、紫外線硬化型樹脂をイソプロピルアルコールで希釈したものを塗布し、加熱乾燥後、UVランプにより紫外線を照射して層厚2μmの保護層を形成した。
【0055】
次に前記PETシートの裏面にはガラス転移温度(Tg)が−14℃で融点が62℃の厚さ300μmのEVA樹脂からなるホットメルト接着剤層を設けたものを第1積層体とした。
【0056】
一方、片面に銅箔が貼り合わされたポリエステルフィルムの銅箔部にフォトリソ法にてレジストパターンを形成し、次いでエッチングして図3に示すようなアンテナ回路部7と光反射層部8を区分けして形成した。そして、ICチップを第2カード基材の所定位置に組み込んでアンテナ回路部7と接続したものを第2積層体とした。
【0057】
第1積層体と第2積層体は、エッチングされた銅箔からなる金属層とホットメルト接着剤層を対向させて100℃、5kg/cm2 で加熱加圧して両積層体を貼り合わせて接着一体化した。最後に、前記保護層の上にオフセット印刷法により印刷層と印刷保護層を設けると共に画像の表示窓を形成し、また第2積層体側にも印刷層を設けてICカードを形成した。
【0058】
<可逆性感熱記録材料の組成>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 100重量部
12−トリコサン(C1123COC1123,TmB68℃) 44重量部
エイコサン二酸(HO2 CC1836CO2 H,TmC126℃) 4重量部
得られたICカードの表面には、外観や触感でわかるような凹凸はなく、また電磁誘導電流を利用して非接触でICチップの情報読み書きを行なう時に電波障害による誤まった情報は記録されることなく、正確な記録ができるICカードであった。
【0059】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、ICチップ、アンテナ回路部および可逆性感熱記録層を有するICカードにおいて、その光反射層部およびアンテナ回路部を同一金属層から形成したので、電磁誘導電流を利用して非接触でICチップの情報読み書きを行なう時にカード内で反射した電波がアンテナ回路部に取り込まれるといった電波障害がなく、ICチップに情報を正確に記録できるという利点がある。
【0060】
また、この発明のICカードは、光反射層部およびアンテナ回路部が同一平面を形成するように同一金属層からなるので、金属層同士が層厚方向に重なって配置されることがなく、カード表面には凹凸が形成されないという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態であるICカードの層構成を示す断面図
【図2】第2実施形態であるICカードの層構成を示す断面図
【図3】第1実施形態または第2実施形態のICカードの印刷層のない中間製品の平面図
【図4】他の実施形態のICカードの印刷層のない中間製品の平面図
【図5】従来例のICカードの層構成を示す断面図
【符号の説明】
1、21 第1カード基材
2、22 記録層
3、23 保護層
4、15、29 ホットメルト接着剤層
5、26 第2カード基材
6、14、24、27 接着層
7、7’、28 アンテナ回路部
8、8’、25 光反射層部
9 ICチップ
10、13 印刷層
11 印刷保護層
12 表示窓
M 金属層
A、A’ 第1積層体
B、B’ 第2積層体

Claims (3)

  1. ICチップを内蔵すると共にアンテナ回路部を有し、さらに可逆性感熱記録材料からなる記録層を有して画像表示および消去が可能なICカードにおいて、
    このICカードの前記記録層より下層側に光反射層部を配置し、この光反射層部および前記アンテナ回路部は同一平面を形成するように設けたことを特徴とするICカード。
  2. 光反射層部およびアンテナ回路部が、同一金属で形成されたものである請求項1記載のICカード。
  3. 光反射層部およびアンテナ回路部が、同一金属層から同時に形成されたものである請求項1または2に記載のICカード。
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